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2014年4月9日(水)

“Unite Japan 2014”SCEセッションで『Morpheus』国内初お披露目に会場から大きな拍手! PS MobileはUnityとの親和性の高さをアピール

文:広田稔

 4月7日、8日に開催された、統合ゲームエンジン『Unity』の開発者向けイベント“Unite Japan 2014”。2日目には、ソニー・コンピュータエンタテインメントが“Unity で開発する PlayStationプラットフォーム向けゲームタイトル”と題したセッションを実施した。

 内容の目玉は、Unityで作ったゲームをPlayStation Mobile(PSM)向けに書き出せる『Unity for PlayStation Mobile』のパブリックプレビューを始めたこと、VRヘッドマウントディスプレー『Project Morpheus』(プロジェクトモーフィアス)を国内で初披露したという2点だ。

『Project Morpheus』
▲セッション会場の様子。満員で関心の高さがうかがえる。

■Morpheusお披露目……だけど体験はなし

 セッションでは、3月にGDCにて開発を明らかにした『Project Morpheus』の実機を公開した。Unite Japan 2014の会場では、ライバルである米Oculus VRの『Oculus Rift』はデモを数多く展示していたのだが、こちらは壇上で披露するだけにとどまり、体験はできなかった。

『Project Morpheus』
▲Project Morpheus。単なるHMDではなく、かぶると視界いっぱいに映像が広がり、頭を向けた方向に合わせて映像を切り替えてくれるという、SFのようなゲーム体験ができるのが特徴だ。
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▲ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジア 開発サポート部 ジャパンテクニカルサポート課・課長、秋山賢成氏は、「OculusとUnityもいいとは思うが、PlayStaitonとの相性もいい。UnityとProject Morpheusもがっちり組んで対応をやっている」と語っていた。
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▲秋山氏が「他社さんのイベントなんですが……。日本初のお披露目となります」とMorpheusを取り出すと、会場から大きな拍手が巻き起こった。
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▲写真はNASA協力の『Mars』を体験しているところ。

 秋山氏は「Morpheusは3Dサラウンドに対応している。3D空間に入り込むにあたって、オーディオも非常に大切な軸だと考えていて、Unityだと簡単に対応できる。Morpheusは立ち上げて時間は経っているが、Marsの企画をNASAと立ち上げたのは最近。開発環境は相性がいい」と語っていた。

『Project Morpheus』 『Project Morpheus』
▲Unityの素材配信サービス“アセットストア”で無料配信してるFPSのデモ『Bootcamp』をPS4向けに書き出して……。
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▲さらにMorpheus向けに対応させてみた。秋山氏は「スクリプトをさらっと書くだけで、Morpheus向けのコンテンツに変換できる」とコメント。

 VRヘッドマウントは、自分でかぶってみないとおもしろさが伝わらないのが難しいところ。東京ゲームショウ2014での出展も予定しているそうなので、ぜひ体験してみてほしい!

■個人で作ったゲームがPS Vitaで遊べる!

 先日掲載したニュース記事でも報じたUnity for PSMのパブリックプレビューは、これによって個人の開発者が作ったゲームがPS Vitaで試せるようになったことを意味する。

 PS4/PS3/PS Vita向けのゲーム制作は、基本的に法人向けにしか用意されていない。一方、PSMは個人でもSCEと契約し、PlayStation Storeを通じてゲームを販売して、Android端末やPS Vitaで遊んでもらうことが可能だ。しかもPSMの場合、専用の開発機ではなく市販のPS Vitaでテストをしながら作れる。iOSの“App Store”やAndroidの“Google Play”のように、学生などでも自分が生み出したゲームを配布できるのが魅力といえる。

 Unityも、統合ゲームエンジンとして個人の開発者にも愛用されているツールだ。今までPSM向けタイトルは、独自の開発キット(SDK)でつくっていたので、なかなかおっくうで手が出せなかったという人もいるはず。Unityと手を組むことで、より手軽な開発が可能になったわけだ。

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▲個人でもデベロッパー登録して、PS Storeで販売できるのがPSMの特徴。
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▲説明を担当した、ソニー・コンピュータエンタテインメント ジャパンアジア パブリシャーリレーション部 ディベロッパーリレーション課 課長、多田浩二氏。

 前日の19:00にUnity向けに公開された“ユニティちゃん”モデルをいきなり書き出して、PS Vitaでデモしていた。この開発のスピード感がUnityのスゴさだ。

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▲Unity自体は、PS4/PS3/PS Vita/PS Vita TV/PSMと、多様なPlayStationプラットフォームに対応。
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▲PS4/PS3/PS VitaとPSMの違い。専用の開発機ではなく、市販のPS Vitaで実行できるのも異なる点だ。
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▲Unityにサンプルとして含まれている3Dゲーム『Angry Bots』をPS Vitaで動かしているデモ。

 多田氏は「PSMは2Dゲームが作りやすいけど、本格的な3Dゲームは面倒という声もあった。しかしUnity for PSMでそれが可能になった。特にFPSは、照準とキャラと移動があって、なかなかスマホのバーチャルパッドでは操作しにくいところがある。そういうところもスティックを使って簡単に操作できる」とアピールしていた。

●『Angry Bots』PSMデモ

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▲こちらは2Dのデモ。

 個人が使えるUnityのBasic版、およびUnity for PSMのライセンス料金は無料。さらにPlayStation Storeで配信するために必要な“PSMパブリッシャーライセンス”も無料期間中なので、ただで作って配信までもっていけるということだ。Unity for PSMの正式版は夏頃に登場予定なので、その頃にはUnityで作られているゲームで遊べるかも!?

 開発者にとっても、スマートフォンとは異なり、アナログスティックを使えるゲームに挑戦できるのはやりがいがあるはず。ツクールシリーズなどでゲームを作って内輪で遊んでいた人なら、世界に向けて配信できる時代がきたというだけでも胸が熱くなるのではないだろうか。

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▲Unityで開発した場合、スマートフォン向けには書き出せない。また開発環境はWindows版のUnityのみで、Mac版は非対応。
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▲Unitu Editor、PSM Took Set、PSM Development Assistant for Unityの3つが必要。ただしライセンスは無料でOK。
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▲夏頃に正式版をリリース予定。また5月29日からPSM Developer Programの対象国も12カ国追加する。

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