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2014年5月1日(木)

『ペルソナQ』をストーリー中心にレビュー。初めて遊ぶ人も大事にした、丁寧なキャラ描写を高評価

文:長雨

『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』

 アトラスが6月5日に発売する3DS用RPG『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』の発売カウントダウン企画として、レビュー記事をお届けします。

 実際に遊んだからこそわかったプレイ感覚や新要素はもちろん、『ペルソナ』シリーズを知らない人でも楽しめる理由やRPGとしての完成度の高さについても紹介していきます!


【そもそも『ペルソナQ』って何?】

 『ペルソナQ』は『ペルソナ』シリーズの最新作で、『ペルソナ3』と『ペルソナ4』のキャラクターが一堂に会し、異世界を舞台に新たなストーリーが展開する。また、迷宮を冒険するRPG『世界樹の迷宮』シリーズならではの遊びが採り入れられているのも大きな特徴だ。

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▲『ペルソナ3』&『ペルソナ4』の人気キャラクターに加えて、『ペルソナQ』オリジナルとなる新キャラも登場。『ペルソナ4』に登場した八十神高校の七不思議にまつわる、謎めいた物語が始まる!

 チーフプロデューサーは橋野桂さん。ディレクターは『ペルソナ3』『ペルソナ4』でバトルプランニングを担当し、『世界樹の迷宮IV 伝承の巨神』ではディレクションを手掛けた金田大輔さん、キャラクターデザインは副島成記さん、シリーズサウンドディレクターは目黒将司さん、サウンドコンポーザーは喜多條敦志さんと、豪華スタッフによって開発されている。

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▲シャドウと呼ばれる敵が徘徊するラビリンスを探索しながら、その謎を解いていくことに。バトルでは、敵の弱点を突くことで有利に戦えるシステムが用意されている。

■『ペルソナ』&『世界樹の迷宮』を知らなくても楽しめる親切な作り

 人気RPGの『ペルソナ』と、これまた人気RPGの『世界樹の迷宮』の魅力が詰まった『ペルソナQ』。どちらのシリーズも大好きな自分にとっては、思わず「神ゲー!」と叫んでしまうほど期待しているゲームです。しかも、『ペルソナ3』と『ペルソナ4』のキャラクターたちが夢の競演を果たすということで、いよいよもって傑作の予感しかしていません!

 という自分みたいなファンも多いと思いますが、実際に遊ばずに“神ゲー”と決めつけてしまうのでは信憑性がありません。ここはぜひ、ちゃんと遊んだうえで記事を書きたいです! という私の熱弁が功を奏したのか、なんと発売1カ月以上前にもかかわらず、ゲームを遊んだレビューをお届けできることになりました。やった!

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▲6月5日に発売される本格派RPG『ペルソナQ』をレビューします!

 さっそくながら結論を述べると……『ペルソナ』&『世界樹の迷宮』ファンである私にとっては、文句なしの出来でした。まあ、当たり前ですよね。おもしろいゲームとおもしろいゲームを組み合わせたら、おもしろいに決まってます! 細部にシリーズファンがニヤリとする小ネタが詰まっていて、『ペルソナ』シリーズ最新作という肩書に負けない完成度の高さとなっています。

 そのうえで個人的に高評価だったのが、本作で初めて『ペルソナ』シリーズや『世界樹の迷宮』シリーズタイプのゲームを遊ぶ人のことを考えて、丁寧に物語やシステムが作られていることです。ゲームシステムはチュートリアルしだいである程度カバーできると思いますが、ストーリーやキャラクターって、なかなかそうもいかないじゃないですか。特に今回は『ペルソナ3』&『ペルソナ4』のキャラクターが共演するので、シリーズファン以外は設定についていけないと不安に思うかもしれません。

 でも、ご安心を。そこでプレイヤーの気持ちを代弁してくれるのが、本作からの新キャラの玲ちゃん&善くんなのです!

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▲玲(声:名塚佳織)。何者かに記憶を奪われたという八十神高校1年生。どこからともなくアメリカンドッグやドーナツなどを取り出し、つねに何かを食べている。▲善(声:梶裕貴)。玲と同様に、何者かに記憶を奪われた八十神高校1年生の少年。ずっと一緒にいた玲に対しては過保護で、彼女のことになると、周りが見えなくなって暴走することも。

 この2人は記憶喪失の一般人のような位置付けなので、ゲーム中の専門用語や不思議な現象について何も知りません。例えば本作では、自分の中に眠る“別人格”、“もう一人の自分”が“伝来の神や悪魔”の姿となって出現した“ペルソナ”を召喚して戦いますが、玲ちゃんたちはそんな事情を知りません。なので、そういった疑問を主人公たちに質問して、主人公たちがそれに答えるという流れで、自然と『ペルソナ』シリーズを初めて遊ぶ人にも世界観が伝わるようになっています。

 ちなみにキャラクター同士の会話の中でも、誰と誰が幼なじみとか、主人公との出会いに関するエピソードとか、『ペルソナ3』や『ペルソナ4』のネタバレになりすぎない範囲で、キャラクター同士の関係性がしっかりと説明されながら物語が進んでいきます。『ペルソナQ』の紹介記事を読んでストーリーやキャラクターが気になった人が予備知識なしで遊んでも、最初のラビリンスをクリアするころには本作の世界観をしっかり理解できると思いますよ。

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▲ベルベットルームに関連したキャラも登場。休息などができる保健室はエリザベス、アイテムの購入などができる美術室はテオドアが担当することになりますが……テオドアのエプロン姿は反則ですね(笑)。

■『ペルソナ3』と『ペルソナ4』と、どちらの主人公を選んでも大丈夫!

 さて、ここからは実際にゲームを遊んだ流れに沿って紹介していきます。最初に行うのは主人公選択で、『ペルソナ3』主人公と『ペルソナ4』主人公のどちらかを選ぶことになります。本作は主人公にデフォルトの名前がないので、あらかじめどんな名前にするのか決めておくのがオススメです。それぞれの主人公に名前をつける必要があるので、名前候補はぜひ2人分を考えておきましょう(ランダムで名前を決められる機能があるので、名前を考えるのが苦手な人でも安心ですが、自分で考えた名前にすると、より感情移入できると思います!)。

 基本的にはここで選んだ主人公が所属するチームをメインとした物語が展開しますが、物語を進めれば選ばなかったチームのメンバーと合流できるので、ご安心ください。ここで難易度も選択できますが、一部を除いてはゲーム中に自由に変更できるので、あまり悩まずに決めてしまって大丈夫です。


【『ペルソナ3』サイドのストーリー&キャラクター】

 とある秋の嵐の夜。中止になった文化祭を残念に思いながらもタルタロスに集まっていた“特別課外活動部”の面々は、奇妙な鐘の音を耳にする。それと同時に、『ペルソナ3』主人公たちはベルベットルームごと異変に巻き込まれてしまう。気がつくと、そこは文化祭ににぎわう見知らぬ学校“やそがみこうこう”だった。

 さらに、戸惑う彼らの前に、タルタロスと同じようにシャドウが立ちはだかる。シャドウと戦いながら、脱出の方法を探し始めた少年少女たちだったが、彼らの前に“特別捜査隊”を名乗る高校生たちが現れ……。

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▲タルタロスと呼ばれる迷宮で戦いに身を投じていた主人公たち。なぜか文化祭中の学校に閉じ込められることに。
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▲『ペルソナ3』主人公(声:石田彰)。月光館学園に転入してきた高等部2年生。特別課外活動部に所属する。▲真田明彦(声:緑川光)。月光館学園高等部の3年生で、ボクシング部の主将。好きなものはトレーニングとプロテイン。▲桐条美鶴(声:田中理恵)。大企業“桐条グループ”の令嬢。月光館学園高等部の3年生で生徒会長を務めている。▲荒垣真次郎(声:中井和哉)。月光館学園高等部3年生で、真田たちとは旧知の仲。現在は休学中らしいが……。
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▲山岸風花(声:能登麻美子)。引っ込み思案な月光館学園高等部の2年生。特別課外活動部では、ペルソナのナビゲーション能力で味方を支援している。▲伊織順平(声:鳥海浩輔)。主人公とゆかりのクラスメイトで、明るくお調子者な少年。ペルソナ能力に目覚め、主人公と同時期に特別課外活動部に参加した。▲岳羽ゆかり(声:豊口めぐみ)。月光館学園高等部の2年生で、同じ寮に住む女子。勝ち気で明るく前向きな性格をしている。▲アイギス(声:坂本真綾)。シャドウを制圧するために作られた人型兵器。心の力であるペルソナを扱うために自我を与えられている。
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▲コロマル(声:?)。主人を事故で失った後、野良犬として暮らしていた忠犬。ペルソナ能力を覚醒させ、主人公たちとともに戦うことになる。▲天田乾(声:緒方恵美)。月光館学園初等科に所属する5年生。特別課外活動部では最年少だが、ペルソナ使いとしての適性を見出されて活動に加わる。

【『ペルソナ4』サイドのストーリー&キャラクター】

 八十神高校文化祭の最終日。『ペルソナ4』主人公は、“特別捜査隊”の仲間たちと文化祭を楽しんでいた。しかし突然、聞き慣れない鐘の音が鳴り響き、窓の外に本来あるはずがない時計塔が出現。その異変と時を同じくして、校内にシャドウの反応が確認される。

 シャドウを撃退するため戦う少年少女たちだったが、そんな彼らの前に同じくペルソナを使う見知らぬ学校の生徒たちが姿を現す。“特別課外活動部”に所属しているという月光館学園の生徒たち。彼らとともに、出口を求めて迷宮の謎に挑む……!

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▲文化祭中に異変が起こり、それまでいた学校とは似て非なる異世界へ送り込まれてしまう。
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▲『ペルソナ4』主人公(声:浪川大輔)。八十稲羽に引っ越してきた高校2年生。特別捜査隊の仲間とともに連続殺人事件の謎を追っている。▲花村陽介(声:森久保祥太郎)。八十神高校の2年生で、主人公のクラスメイト。陽気な性格で、空気を読むことに長けたムードメーカー。▲里中千枝(声:堀江由衣)。稲羽市出身で、肉とカンフーを愛する少女。主人公や陽介、雪子らと同じクラスに通う八十神高校の2年生。▲天城雪子(声:小清水亜美)。八十神高校の2年生で、地元の老舗“天城屋旅館”の1人娘。主人公の同級生で、クラスでも人気が高い。
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▲久慈川りせ(声:釘宮理恵)。人気絶頂のアイドル。突如休業を宣言し、八十神高校の1年生として学校に転入してきた。▲クマ(声:山口勝平)。テレビの中の異世界で暮らしている謎の物体。見た目は着ぐるみのように見えるが、その中身は……。▲白鐘直斗(声:朴ろ美 ※「ろ」は王へんに路)。高校1年生にして、代々探偵として活躍してきた白鐘家の5代目。▲巽完二(声:関 智一)。八十神高校の1年生。中学時代に1人で族をつぶしたとウワサされる問題児。今時珍しい硬派な一匹狼タイプ。

 選んだ主人公によってプロローグは異なりますが、どちらの場合も謎の時計塔の鐘の音にいざなわれるようにして、文化祭中の八十神高校に似た異世界の学校に閉じ込められてしまうことに。そして、そこで出会った玲と善とともに、異世界の出口を求めてシャドウが巣食うラビリンスの謎に挑むことになります。

 ゲームをプレイしていてうれしいのは、この豪華声優がしゃべりまくること! フルボイスではありませんが、アニメムービーのようなパートはしっかりしゃべりますし、メインのイベントはほぼすべてボイス演出が入っています。

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▲かなりの量をしゃべります! 声優陣がめちゃくちゃ豪華なので、ボイス演出はうれしいところです。

 一番うれしいのは、ラビリンスの探索中やバトル中にもボイス演出が用意されていること。宝箱を見つけた時や仲間のHPが減ってピンチの時など、状況に合わせて実況解説のようにボイスが入るので、臨場感があってワクワクします。このあたりの演出は『ペルソナ』シリーズファンにとっては、あって安心できるうれしい要素ですし、シリーズ初体験の人にとっては新鮮な感覚でプレイできて楽しいと思います。

 余談ですが、本作のセーブデータは、3DSカードに3個、SDカードに16個保存できます。特定の名場面のセーブデータを残しておきたいというストーリー重視派の人にとっては、このセーブデータ数の多さも魅力的ではないでしょうか。

■難易度は少し高めだけど、いつでも難易度を変えられるので安心!

 プロローグを終えると、いよいよラビリンスの探索へ。5人でパーティを組み、迷路のようなラビリンスを進んでいくことになります。このあたりのゲームシステムは『世界樹の迷宮』シリーズを踏襲しているので、完成度の高さは折り紙付きですね。

 オートマッピング機能がありますし、もろもろのゲームシステムはチュートリアルがしっかりと用意されているので、『世界樹の迷宮』を知らない人も順を追ってゲームに慣れていけるようになっています。

 オートマッピングは、歩いた部分の道が自動的に塗りつぶされていく形で、扉や階段などのアイコンはプレイヤー自身が設置する必要があります。これ1つでマッピングをしなくてもよいというわけではありませんが、サポート機能としてとても便利なので、私は常時オートマッピング機能をオンにして遊びました。各階層の踏破率100%を目指したい時など、このオートマッピング機能があるととても便利でした!

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▲下画面を使って自分でマッピングもできる他、オートマッピングで手間を省くことも可能。なお、一方通行や宝箱のアイコンは、プレイヤーの行動によって自動的に変化するので、その宝箱を開けているのかどうかもひと目でわかる親切設計です。

 バトルシステムは、従来の『ペルソナ』シリーズをベースにしながら独自の進化を遂げています。敵の弱点属性を突いたキャラクターはBOOST状態となり、BOOST状態の仲間が多いほど、強力な“追撃”や“総攻撃”が発生しやすくなります。また、敵の弱点を突くと、その敵がひるんで行動できなくなることもあるので、とにかく敵の弱点を考えて戦うことが重要となります。

 ちなみにバトル中の演出は派手で爽快なものですが、演出をオフにしてバトルを高速化することもできます。RPGといえば経験値稼ぎに専念したい時もあるので、こういう設定変更ができるのはうれしいですね。

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▲敵の弱点を突くとBOOST状態に! “追撃”は仲間が強力な一撃を見舞ってくれるもの。“総攻撃”はパーティメンバー全員で行う強力な攻撃で、敵全体に対して攻撃できます。どちらも超強力!

 ラビリンスの探索中に注意したいのは、F.O.E(フューシス・オイケイン・エイドロン)と呼ばれる超強力なシャドウです。そこらのザコとは比べものにならないほど強い存在なので、基本的には戦いを避けて逃げ回ることになります。このF.O.Eの姿はマップ上でも確認できるので、その動きを読んで、ぶつからないように動くという、普通のRPGとはちょっと違う遊び方が求められるのがポイントです。

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▲間違ってぶつかってしまった時の絶望感といったら……。下手をするとボス敵よりも強いので、困ったものです。

 もちろん、ちゃんとキャラクターを育てれば、いつかはこの強敵を撃破できる日が来ます。F.O.Eの撃破を目標にして、じっくりとキャラクターを育成することも、『ペルソナQ』の魅力の1つだと思います!

 その他にも楽しいシステムはたくさん用意されていますが、それらについては後日あらためてレビューを掲載する予定です。特にキャラクターをカスタマイズできる“サブペルソナ”のシステムは奥深くて楽しいので、RPG好きの人はぜひご期待ください。

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▲主に敵を倒した際に入手できる“サブペルソナ”をセットすることで、パラメータやスキルに補正がかかります。この“サブペルソナ”もレベルアップや合体で強化ができるので、自由にキャラを育成できます。

 こうやってゲームシステムを紹介すると、複雑で難易度が高いゲームだと感じるかもしれません。たしかにRPGファンが達成感を味わえるくらいの難易度なので、ちょっと難しい部類かもしれませんね。

 ただ、本作は誰もが最後まで遊べるようにさまざまな難易度が用意されています。NORMALの難易度が標準となり、そこから1段階難しいHARDと、1段階簡単なEASYが存在。そしてさらにもう1段階簡単なSAFETYもあり、幅広いユーザーが遊べるように配慮されています。ちなみに、SAFETYの場合は、戦闘で全滅した際にすぐにやり直せるので、安心して遊べます。

 そしてもちろん、ディープなゲーマー向けの超絶高難度の“RISKY(敵がより強力。しかも主人公が倒れるとゲームオーバー)”もあります。このRISKYだけは例外ですが、基本的にはいつでも難易度を変更できるので、純粋にストーリーやキャラクターを楽しみたい人は難易度を調整しながら遊ぶのがオススメです。

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▲多数のキャラクターからパーティメンバーを選択。“サブペルソナ”でのカスタマイズの自由度が高いので、自分の好みを重視したメンバー選びをしても大丈夫です。ちなみにナビゲーターである風花とりせも性能に違いがあり、自由に選ぶことができます。

■最後にちょっとだけ暴走を……コロマルさんとクマと玲ちゃんがヤバイです!

 というわけで、比較的シリーズ初プレイの人に向けたレビューをお届けしましたが、『ペルソナ』シリーズのファンとしてはストーリーやキャラの楽しさについてももっとお伝えしたいところ。ネタバレ的な問題もあるので詳しくは書きませんが、『ペルソナ3』&『ペルソナ4』で評価が高かったテンポがよいキャラクター同士のかけあいは健在です。個人的には荒垣先輩と冒険できるのもポイントが高いですね。

 キャラの外見がデフォルメされたチビキャラなので、番外編やスピンオフかもしれないと思っていましたが、実際に遊んでみたところ、コミカルな部分もありつつも、しめるところはきっちりとシリアス。個人的に『ペルソナ4』に近いバランスで、キャラ同士の掛け合いに笑いつつ、その根底では深いテーマを持つドラマが展開するイメージです。しっかりと『ペルソナ』シリーズの正統続編だと思います。

 なんて物語本編について書き始めるとキリがないので、ここではもうちょっと別の視点からのオススメポイントを紹介していきますね。

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▲クマのマイペースなかわいさは、今回も大安定。クマの活躍を楽しむためだけに『ペルソナQ』を買うのも、アリだと思います。

 まず声を大にして言いたいのは、コロマルさんとクマがあいかわらずかわいいこと(笑)。クマのとぼけたキャラが卑怯すぎるほどおもしろいのはいつものこと(?)として、今回はコロマルさんの予想外の活躍シーンが多くてたまりません。ちょっとだけネタバレですが、『ペルソナ3』ルートで遊ぶとコロマルさんが巨大化(?)するイベントがあるんですよ。このシーンがもう、おもしろくってかわいくってサイコーなので、ここでイチオシしておきます。

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▲なぜかコロマルさんが巨大化!? ゆかりがうらやましい!▲もふもふなコロマルさんは、『ペルソナ4』チームのメンバーにも大人気です。

 そして思わぬ伏兵だったのが、新キャラの玲ちゃんです。善くんのこまごまとしたズレっぷりもじわじわと来るんですけど、玲ちゃんはストレートな天然でツボに入りました(笑)。見かけによらない食いしん坊キャラで、いつも手に何か食べ物を持っているところもかわいいです。ドーナツとかアメリカンドッグとかたこ焼きとか、そんな小物のグラフィックまでしっかり作り込まれていて、開発スタッフの並々ならぬ愛を感じます。

 ちなみに彼女たちは戦闘においても、他のペルソナ使いたちとちょっと違う戦い方を見せてくれます。ペルソナは使えないものの、攻守に活躍してくれる強力なスキルをたくさん使えるので、そこにもぜひ注目してみてください。

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▲時にはクマのウソを信じ込んでだまされる、素直な玲ちゃん。合コン喫茶イベントも必見です(笑)。

 あと、細かい部分ですけど、最初に選んだ主人公はプレイヤー自身ということか、セリフはしゃべらずに選択肢を選んで受け答えをすることになります。逆に選ばなかったほうはちゃんと個性が立ったセリフをしゃべるキャラクターとなるんですが、『ペルソナ3』の主人公も『ペルソナ4』の主人公も、硬派のような天然のような不思議な魅力にあふれた人物となっています。

 どれを選ぶか悩んでしまう選択肢も多いですし、2人の主人公のリアクションも気になりますし、なんだかんだで主人公を変えて2回はクリアしたいと思っています!

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▲ゲーム序盤からユニークな選択肢が次々と登場。「コンゴトモヨロシク」を選ぶとどうなるか、気になりますよね。ちゃんとネタで返してくれますよ(笑)。

【次回予告:奥深いゲームシステムをコアゲーマーがレビュー!】

 今回のレビューはストーリーやキャラクター中心でしたが、次回はRPG好きのライターによるゲームシステムを中心としたレビューをお届けします。本格的なRPGとしても完成度が高いゲームなので、本作独自のゲームシステムにご注目ください!

 次回の発売カウントダウン記事は、ソフト発売まで残り28日となる5月8日に掲載予定。謎の時計塔の針が示す11:55ごろ、またお会いしましょう!

『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』
▲12時を目前として針が止まったかのように見える、謎の時計塔。この針が動いた時、主人公たちは異世界から脱出できるのだろうか?

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データ

▼『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス ベルベット モデル』
■メーカー:アトラス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■発売日:2014年6月5日
■希望小売価格:25,380円+税
▼『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』(ダウンロード版)
■メーカー:アトラス
■対応機種:3DS
■ジャンル:RPG
■配信日:2014年6月5日
■価格:6,463円+税

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