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2014年5月27日(火)

エターナルを『仮面ライダー バトライド・ウォー2』で演じた松岡充さんにインタビュー! 大道克己を演じる際に心がけていることや撮影秘話を激白

文:電撃オンライン

 バンダイナムコゲームスより、6月26日に発売されるPS3/Wii Uソフト『仮面ライダー バトライド・ウォーII』。本作に登場する仮面ライダーエターナルを演じた松岡充さんへのインタビューを掲載する。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 『仮面ライダー バトライド・ウォーII』は、歴代の平成仮面ライダーが登場する“バイク&ヒーローアクションゲーム”の第2弾タイトル。多彩な仮面ライダーを操り、広大なフィールドをバイクで駆け抜けながら大量の敵とのバトルを繰り広げていく。最新のライダーである仮面ライダー鎧武が参戦している他、究極フォームや映画にスポットを当てたストーリーなど、多数の新要素が用意されている。

 今作では、劇場版作品にのみ登場する仮面ライダーも多く登場する。そのライダーの中でも屈指の人気を誇る、仮面ライダーエターナルを演じた松岡充さんにインタビューを実施した。こちらは、『電撃PlayStation Vol.560』(KADOKAWA刊)に掲載されたものに、誌面の都合上、掲載できなかったトークを加えた“完全版”となっている。

【松岡充プロフィール】

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 ロックバンド・SOPHIAのボーカリストとしてデビュー。ドラマや映画、舞台など俳優としても幅広く活やくし、子どものころからのあこがれである仮面ライダーの役も演じる。現在は新バンド・MICHAELを展開中だ。

■ライフワークの中で誇りと自負するエターナルを再び演じて

――1月に行われた“超英雄祭 KAMEN RIDER × SUPER SENTAI LIVE & SHOW 2014”の後にツイッターで「エターナルとの付き合いはまだまだ続く」という発言があり、どういうことだろうと思っておりましたが……また仮面ライダーエターナルに会えてとてもうれしいです。

 ありがとうございます。もう、ずっと待ってたんですよ(笑)。いままで発売されたゲームでも“仮面ライダーエターナル”が登場しているものはあるのですが、“大道克己”ではありませんでしたからね。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

――“大道克己”としてゲームに登場することを聞いた時の感想を教えて下さい。

 うれしいの一言ですね。映像作品の中だけで終わらずにエターナルというキャラクターが、ゲームをプレイした方々の心の中で生き続ける。僕らにとっての初代仮面ライダーが、思い出の中で生き続けているように。

 映画のお話が決まった時から“仮面ライダー”になれることはがすごくうれしかったし、エターナルは僕のライフワークの中で誇りとなっていますから。ゲームもそうですが、玩具やフィギュアなどさまざまな商品が発売されてエターナルがまだまだ生きているのはうれしい限りです。

――役者としても活躍されていらっしゃいますが、ゲームのアテレコは初めてとのこと。ゲームのアテレコをされて苦労した点はありましたか?

 僕の中で“大道克己”というキャラクター作りがあります。彼はNEVER(ネバー)なので、基本的にセリフを収録する時は感情の起伏はつけずに同じテンションを維持するので、ノドの同じところを使い続けることになるんです。でも、どこかで人間の魂が残っているので、決して機械的なテンションではない。激情したときには「うおおおおおお!」といった雄たけびのような声を出すこともあります。

 なので、アテレコでは感情が乗るようなセリフは後にしてもらって、セリフ的なものをとるという形をとらせていただきました。芝居や歌であれば、いろんな感情、いろんな声を使えるのですが、大道克己に関してはノドのある一点に負担をかけるので大変でしたね。

――収録したセリフの中で久しぶりに言えてうれしかったものはありますか?

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 全部うれしかったな(笑)。気持ちいいのはやっぱり「ここよりもおもしろいところなんて、もう本当の地獄ぐらいしかあるまい。先に行って遊んで来い」とか。グッとくるのは「生きてるんだろ、お前たちはまだ」とか。「メモリの数が違う」なんて、超Sなセリフですよね。

 “超英雄祭”の時、実は「死神のパーティータイムだ」っていうセリフを言いたかったんですが、お子様連れのお客様がいる中で、こんなセリフはさすがに……と思って控えました(笑)。

――セリフを収録される際に心がけたことはなんでしょうか?

 ファンや遊んだ人から「ゲームに登場するエターナルが僕の声と違っていて残念だった」という声を聴きました。再びエターナルを演じてとてもうれしかったのですが、ファンの中の“エターナル像”とまったく違ったらがっかりさせてしまうので、自分自身が演じる以上は、その像を損なわないように心がけました。

 セリフを収録しながらストーリーを追っていくと、実際生きようとする気持ちが誰よりも強いキャラクターなんだな、というのを改めて実感しましたね。

■松岡充少年が夢見た究極のゴッコ遊びがゲームで実現!

――松岡さん自身、リアルタイムで仮面ライダーを見て育った世代かと思いますが、ご覧になっていたのでしょうか?

 もちろん見てましたし、大ファンでしたよ。仮面ライダーのグッズもたくさん持ってて、前に風車のおもちゃが着いた仮面ライダーの自転車もありました。電池を入れれば風車は回るんですが、自分の起こした風で回したくてがんばったな(笑)。

 小学生のころは仮面ライダーごっこがはやっていましたね。僕はアマゾン役に手をあげてたのですが、なぜか不人気で、V3やストロンガーにいっちゃうんですよね。そういえば、あのころライダー同士が戦うのはご法度でしたね。いやー……すごいですよね、僕らが夢見たことがゲームの世界で繰り広げられるって。今の子どもがうらやましいですよ(笑)。

――お手軽にゴッコ遊びが1人でできるってことですからね。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 しかもリアルに表現されているのはうれしいですよね。ちなみにゲームのエターナルはボスキャラとして登場するようなので、ぜひやりこんでほしいです。

――プレイヤーが操作するライダーは全員バイクに乗って移動できるのですが、もしエターナルにバイクがあったらどういうものが似合うと思いますか?

 エターナルの乗り物って青い車なんですよね。……これが“エターナル号”に変わるんじゃないですかね?(笑)

――車も変身するかんじでしょうか(笑)。

 そうですね。初代ライダーの旧サイクロン号のようなフルカウルタイプで、白いボディーに青のファイアパターンなんていいかなと思います。

――ゲームの画面を見られた時の感想を教えてください

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 イベントシーンを見させていただきました。一度映画として完成したシーンをもう一度CGで再現するのは、「スゴイ」という言葉だけで済ませるのはもったいないくらいですね。逆に既存のストーリーに沿わないものがゲームで実現できるなら、エターナルの新しい物語も展開できんじゃないかなと、ひそかに期待しております。

――その時もまたご自身が声をあてたいでしょうか?

 もちろん。なんならモーションキャプチャーもしちゃいますよ(笑)。

■運命のように惹かれあったエターナルとの出会い

――話題が前後してしまうのですが、初めてエターナル役のオファーが来た時の感想は?

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 僕と似た考えの方はいらっしゃるとおもうのですが、ど真ん中の正義のヒーローというより、そのヒーローを手こずらせる最後のボスというのは憧れると思います。しかもそれが仮面ライダーということで、僕の中ですべてが揃った気がしました。全員集合仮面ライダーっていうところに並ばない仮面ライダーのほうが、正直僕はうれしいかな……。こんなこと言ったら怒られるかもしれませんが(笑)。

――エターナルという名前やカラーリングもすでに決まっていたのでしょうか?

 決まってました。最初のラフスケッチを拝見させていただいた時、僕好きな青であったり、SOPHIAのファンクラブと同じ“エターナル”という名前だったり……ただただびっくりしました。エターナルが抱えてる闇、なぜ悪になったのかということさえも、僕がSOPHIAとして歌ってきたことと重なるところがありましたね。

 人間って、ポジティブに笑って生きていたいけど、できないから苦しむ。そんな苦しみを克服した時の喜びとか、人と繋がった時の暖かさ。そういうところを僕は音楽で表現していたつもりでした。エターナルは、それらを全部かかえこんでいるキャラクターだった。どれだけ僕の歌詞を見て、このストーリーを作ったのだろうと思ったくらいです。

――大道克己がエターナルメモリと引き合ったような感じですね。

 ええ、しかもその話をいただいたのが大阪でのライブ当日だったんです。そのライブは、SOPHIAのメンバーの1人がガンを告知されて活動休止をしなくてはいけない最後のツアーで、大阪厚生年金会館で行える最後のステージでもありました。

 ひょっとしたら、僕らにとっても最後のステージになるかもしれない……そんなライブが終わった後のタイミングでこの話を聞いた時、いろいろな想いがフィードバックされました。すべてが引き合ったキャラクターだと思います。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

――歌詞にも想いを込められているというお話ですが、『仮面ライダーW』という作品については、どのような想いやテーマを込めて作られたのでしょうか?

 人は1人じゃ戦えない、そういった現代人に向けてのメッセージが『仮面ライダー』という作品の中にもあるんだということ。そして、いままで自分がやってきたことのすべてが仮面ライダーにつながることを表現したかったので、歌詞にはそんなリアルな想いが込めました。

 「とりあえず『仮面ライダー』の主題歌を作ってよ」と言われて作ったわけではないです。『仮面ライダー』を通じて松岡充に出会う方もいらっしゃいますし、僕が『仮面ライダー』をやることで音楽ファンが『仮面ライダー』に興味を持っていただけるとも思いました。ここのつながりにはリアリティがあったほうが絶対いいですからね。それを許容してもらえるスタッフと『仮面ライダー』ファンにはとても感謝しています。

■続編の話があればすぐにでも演じる!? 映画・Vシネマ撮影秘話で思わぬ発言も

――敵役のライダーでありながら高い人気を誇るエターナルですが、その人気を実感したというエピソードがあれば教えてください。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 ファンやスタッフから「エターナルの人気ありますよ! 高いですよ!と言われはするのですが、具体的な人気を計るバロメーターがないんですよね。今回ようやくゲームで登場したことで実感はできたかな(笑)。

――バロメーターになってるかはわかりませんが、敵役のライダーがスピンオフとしてVシネマに登場したのは初ですからね。

 そうですよね。そういった成績をドンドン未来につなげていきたいって、もうちょっとエターナルの活躍を見たいですよね(笑)。Vシネマのスタッフの方からは、GOサインが出たらすぐ撮影できる体勢はあるって、ずっと言ってくれてるんですよね。あとは東映さんだけですね……。

――なるほど。なら、ぜひこの記事を東映の方に読んでもらって進められるといいですね。

 実感できる効果が現れて、何かしらの出来事になればいいかなとは思っています(笑)。

――ちなみに、もし続編があったらどうなると思いますか?

 大道克己は不死身なので、「ちょっと休憩してたわ」って言ってよみがえるのもアリですかね。スピンオフ作品を通じて、エターナルがただのワルじゃなく本当は心優しい男だいうことが表現できました。

 Vシネマでの翔太郎のセリフにも「ひとつ何か違っていたら風都を守る仮面ライダーになっていたかもしれない」というものがありました。エターナルは、Wが守る風都ではなく、次に守らなければならない場所を探すっていうのも……。風都に打撃を与えてしまったことを悔いて、世のため人のために仮面ライダーになるエターナルを見たい気もしますね。

――その時は、NEVERのメンバーも一緒というのもいいですね。

 あー、そういうのがいいですね。守ろうと決めたのにNEVERのメンバーが誤解で殺されてしまって、それに怒ってまた悪にちょっと行ってしまうとか……。人がみんな悪魔だったんだっていうことをもう一回思い知らされたり。そしたら、また繰り返しちゃうんでしょうかね(笑)。

――Vシネマではご自身がアクションされていましたが……。

 ええ、ほとんどでしたね。さすがにすごい高さの場所から飛び降りるといった、万が一のことが起こるところは除きますが。格闘シーンは結構がんばったんですよ(笑)。

――アクションが激しいことで有名な、坂本浩一監督の作品ですからね。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 はい。坂本監督はどんなアクションでも「大丈夫大丈夫、できるできる」って言うんですよ(笑)。実際にアクションができる方なので実演してくれるんですが「なんですか、いまの?」っていうくらい素早くて、テクニカルな攻撃が多いんですよね。

 大振りなアクションではないけど確実に相手を封じ込めていく。すごいことなんだけど、手際よくサラッっと決めるんですよね。

――冒頭のヘリコプター内での格闘シーンは、まさに敵を封じ込める動きでしたね。

 はい、あのシーンを撮影したのはクランクインの日だったんですよ。ヘリからヘリに飛び移るシーンだということを聞かされて、「マジですか!?」ってなりましたね(笑)。もちろん実際には飛んでないんですが、雨が降りしきる中の撮影で大変でしたね。

 ヘリコプターの中でガイアメモリを奪うシーンでは、狭いところでアクション指導を受けてから撮影したのですが、途中で操縦席の後ろにある鉄板の部分を思い切り殴ってしまいましたよ。めちゃくちゃ痛かったんですがNEVERなので痛みを感じない設定だからなんとか我慢しましたが(苦笑)。 

 あとで、血が出てしまったことを報告したら「ダメだよ! さっきのカットでは血は出てなかったんだから! 今すぐつぶして!」と、スタッフの方にものすごい怒られました(笑)。普通、ドラマや舞台なら役者が血を出していたら「大丈夫ですか?」って駆けつけて手当てしてくれるところですが、ダメ出しされたのは初めてでしたね。笑い話になってますが、最初は震え上がりましたよ。

――SOPHIAのシングル『cod-E ~Eの暗号~』のPVは坂本監督が撮られましたが、いつもと違う人に撮られるのはどうでしたか?

 いやいや、もうぜひ坂本監督にお願いしたかったんですよ。坂本さんを含めて当時のプロデューサーもSOPHIAのことを本当に知っていて好きでいてくれたんですよね。普通に音楽ファンとしてライブを見てくれたみたいで、そこに共感していただいていたのが映画やVシネマにつながった。そういう意味でSOPHIAの作品もやりたいとおっしゃってくれたんですよ。

 ロサンゼルスのAnime Expo(アニメエキスポ)で演劇とライブを持っていくという時も、エターナルを連れて行けないかと交渉してくれました。坂本監督はロスを中心に活動されていた方なので、そのブレーンをつかって向こうでアクションできる人たちを集めてもらいました。映画だから、Vシネマだから、SOPHIAだから、そういう境目はなく、この時の『仮面ライダー』のチームはいろいろ動いてもらえたので、とても感謝しております。

■大道克己役を通じて表現された松岡充のヒーロー像とは?

――大道克己とエターナルの魅力はどこにあると思いますか?

 先ほどの話にも出たように、大道克己とエターナルの魅力は完全無欠の正義だけじゃない、人間でないくせに人間ぽいところでしょうか。仮面ライダーは誰よりも強くて皆を守る。ヒーローの形としては当然の姿なんですが、エターナルはそこが欠けているじゃないですか。子どものころは、完全なるヒーローの強さに憧れるけれど、仮面ライダーを知っている世代が大人になった時、それでも仮面ライダーを好きって言えるのはこういう一味違ったキャラクターがいることだと思うんです。

 エターナルを含め、『仮面ライダー』シリーズがいまだに人気があるというのは幼きころに夢見たヒーローだけじゃないところではないかとおもいます。

――先ほどの話では大道克己と共通点の多い松岡さんですが、逆にここは憧れるという点はありますでしょうか?

 ……そうですね。なんだかんだで人を大切にする、仲間を大切にするところでしょうか。そうでなかったらNEVERのメンバーは揃わなくて1人で戦っていたでしょうしね。もちろん僕もわかっているつもりですが、大道克己を演じて改めて教えられたところです。

 あと、信用していないようですごい信用しているところですね。プロフェッサー・マリアのことを恨んでいるんだけど、助けにくることを誰よりも信じている。ぜんぜん悪じゃないんですよねぇ、標的が風都ってだけで悪にはなっちゃうんですが。

――彼の生き様、考え方には悪の要素はないですからね。

『仮面ライダー バトライド・ウォーII』

 何をもって正義とするのか、というテーマは僕も楽曲で表現していたこともあります。僕らが生きている現実の世界でも、何が成功で何が失敗か。何が勝ちで何が負けか。何が正義で何が悪か。こういうことは誰が決めているのかなといつも思っています。

 よく、人生はレースと言うけどどこがゴールなのか誰が決めるのか。また、ゴールは死んだ時だと簡単に言う人もいますが、死んだ後の世界だって僕らには見えなくてわからない。どこまでこの肉体が続くのか、魂が続くのかなんてそうなってみないとわからない。じゃあゴールなんて決めなくていいと思うし、ゴールを決めないから今生きてることの幸せを実感することにつながる。それで満足できると思いますから。

――そういう生き方こそが、人間としてのヒーロー像なんでしょうね。

 だと思います。子どもがお父さんこそヒーローだと思うのはその通りですから。でも、そのお父さんも別の場所に行けば敵になることもあるだろうし、逆に力を発揮できないまま何かに押し込められているかもしれない。

 人の立場や目線で善も悪も変わる。そんなことは『仮面ライダー』というシリーズからも十分見てとれるメッセージで、『仮面ライダー』を見て育った僕が実際に演じた時も、自分が思っていたことは間違っていなかったと思えました。

――最後に、ゲームでエターナルに再開することを楽しみにしている読者の方にメッセージをお願いします。

 まずは皆さんのおかげでゲームのなかでエターナルが登場できたこと、本当に感謝しています。直接リクエストしてくれた人ばかりでなかったとしても、ゲームでエターナルを見て、かっこいいなとか、一味違うストーリーを持ったライダーであることを知ってほしいです。

 そうすれば、そこから派生するメッセージをいろんな形でみなさまにお伝えできることが可能になっていくと思います。仮面ライダーの世界で表現できることを僕は能動的にやっていけたらなとおもいますので、今後また期待していて下さい。

(C)石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映 (C)石森プロ・東映 (C)BANDAI NAMCO Games Inc.
※画面は開発中のもの。

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