2014年6月13日(金)
E3会場のマイクロソフトブースにおいて、“ID@Xbox”についてのメディア向けクローズドセッションが開催された。その模様をお届けする。
“ID@Xbox”とは、マイクロソフトが展開しているインディデベロッパのサポートプログラム。今回紹介されたタイトルは『NERO(ニロ)』と『GET EVEN(ゲットイーヴン)』の2作で、これらは今後のXbox Oneにおけるインディタイトルの中でも、特に注目の作品とのことだ。
本作は、一人称視点の探索型パズルゲーム。物語や登場人物の出自などは明かされず、プレイヤーはイノセントな状態で探索を行うこととなる。プレイヤーキャラクターは子どものように背の低い人物となっているため、視点は一般的な一人称ゲームよりも低い位置に存在する。
パズルには、ストーリー進行に必要なものと、そうでないものの2種類がある。ストーリー進行に必要なパズルは、鳥カゴに入れられた発光するクラゲ(見た目はランタンに似ている)の目印を追いかけていけば発見できる。また、ストーリー進行に不必要なパズルは、解くことで作中世界をより深く知ることができるという。フィールド上には幹にシンボルマークのようなサインの輝く樹木があり、それはパズルの在り処を示している。
プレイヤーキャラクターは、右手から光球を投げられる。この光球にはステージ上のギミックを動作させる効果があり、基本的にはこれを利用してパズルを解いて行くようだ。また、暗闇で光源として利用するシーンもあるという。プレイヤーキャラクターには、影のような姿をしたキャラクターが同行する。特定のパズルを解く際には、彼の手助けが必要となる。
パズルを解くとリワードとしてナレーションが再生され、このナレーションを聞き集めることで、本作のストーリーが徐々に解き明かされていく。パズルの解法はさまざまだが、中には周辺を見て回らないとカギとなる要素が見つからないこともあるようだ。
今回のデモで披露されたのは、きらめく月や星々、発光する草木などに照らされた森を行くステージ。ただし、レベルごとに世界の様相は大きく変化するとのことだ。フィールド上には石舞台のような場所があり、そこで発光している色によって、ストーリー進行に必要なパズルの解除率を確認できる(橙:ロック/青:アンロック)。
本作はゲームをやめた後も感情や感覚が残るような、人それぞれが独自の解釈を持つような、そういった“強い個人的な経験”を体験できるタイトルであるという。作品全体のテーマとしては、「要求のために犠牲を払わなければならない」という概念を抱えているとのことだが、その上でどのような体験がプレイヤーを待つのだろうか? なお、Albertoエグゼクティブディレクターは影響を受けた作品として、スタジオジブリのアニメーションや『ファイナルファンタジーVII』などを挙げていた。
▲Giuria Carlotta Zamboniプロデューサーと、Alberto Belliエグゼクティブディレクター。 |
こちらのタイトルは、いくつかの特異なシステムを搭載したFPSだ。まず特徴的なのが、プレイヤーキャラクターの武器がコーナーショットであること。コーナーショットとは物陰から隠れての射撃に特化した銃器システム。本体は後方にトリガーが備えられたライフル状の概観をしていて、先端には拳銃のマウントとビデオカメラが備わっている。この本体が中ほどでL字型に曲がるので、拳銃だけを曲がり角から出して射撃するといった戦闘が可能だ。
極めてリアルなマップは、フォトグラメトリ技術(異なる観測点から対象を撮影した写真を用いて、視差情報から3次元構造を解析する技術)を使用して作成されたもの。ポーランドに実在する廃墟を撮影して、ゲーム内に再現している。ゲームプレイやシナリオについても、リアルさが追求されているようだ。
本作における象徴的なシステムが、“過去のメモリーを改ざんして現実に影響を与える”という要素。デモ動画の中では、改ざんの影響を受けて敵キャラクターの姿が変わるというフィーチャーを確認できた。具体的にどのようなシステムとして実装されるのかが気になるところだ。
2つのストーリーが絡み合って演出されるというシナリオや、他人のプレイに介入する形で行われるPvPなど、インディゲームらしい独創性に溢れた本作。PC用としても開発されている本作は“Oculus Rift”に対応するようだが、Xbox One自体は“Oculus Rift”へ対応するのか……という点も含め、今後の情報に期待したい。
▲Wojciech Pazdurデベロップメントディレクター。 |
以上2作が、マイクロソフトが太鼓判を押すインディタイトルとなるが、“インディらしい特化した個性が光る大作である”という点が共通する。マイクロソフトがこれらをピックアップしてメディアに紹介したことは、インディか一般タイトルをさほど区別せずに出展していたPlayStation陣営とは、ある意味で対局に位置するスタンスのように見える。
『サンセットオーバードライブ』や『スケイルバウンド』からも覗けるようにXbox Oneはソフトの“個性”を重要視しているように思えるが、そこで展開されるインディ市場は、PlayStation StoreやSteamなどの強豪に対してどのようなアドバンテージを得られるだろうか? 今後の動向を見守ろう。
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