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2014年6月25日(水)

『新生FFXIV』吉田Pインタビュー。新ジョブ“忍者”、新PvP“フロントライン”、新クリスタルタワーをみっちりと聞いてきた【E3 2014】

文:megane

 2013年8月27日の正式サービス開始以来、世界中で楽しまれているMMORPG『ファイナルファンタジーXIV:新生エオルゼア(新生FFXIV)』。E3 2014の会場で行われた吉田直樹ディレクター兼プロデューサーへのメディア合同インタビューをお届けする。

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▲『新生FFXIV』ディレクター兼プロデューサーの吉田直樹さん。E3 2014は取材対応と配信番組への取材のはしごで、ほとんど会場は見れていないとか。

 『新生FFXIV』はこれまでにメジャーアップデートとして2回のパッチが配信され、最新パッチであるパッチ2.3が7月8日に配信予定ということも発表された。また、さらにその先のパッチ2.4にて新クラス双剣士と新ジョブ忍者が実装されることも明らかになっている。

 これらの新要素やこれまでの『新生FFXIV』の状況、そしてプレイヤーの状況について約1時間半にわたって濃厚な合同インタビューを行った。新ジョブの忍者、新コンテンツの“フロントライン”および“クリスタルタワー:シルクスの塔”について、できる限り踏み込んで聞いてみた。

■新ジョブ“忍者”は純粋なDPSロール!

――E3 2014ではパッチ2.3の配信日や新クラス・新ジョブの発表がありましたが、今後の運営方針について教えてください。

 拡張パックに向かって、メジャーアップデートだけではなく、今後も皆さんに驚いてもらえるくらいの情報を出していこうと思っています。それと同時に、次の目標としてコミュニティのさらなる最大化を掲げています。今年の夏には世界最大のオンラインゲームマーケットである中国でサービスを開始できるよう進めており、その他にも進めている展開があります。1人でも多くの方に遊んでいただくために、今後もさらなる挑戦を続けていきたいです。

――それでは、新クラスである双剣士と新ジョブの忍者のコンセプトを教えてください。

 双剣士と忍者については、拡張パックから前倒しで実装を決めたわけではありません。『新生FFXIV』の始まりとなるパッチ2.0ではサプライズとして学者を実装できたものの、旧『ファイナルファンタジーXIV(旧FFXIV)』から遊んでいる方は相当長い間レベルが50のままでした。育成のニーズがあることはわかっていましたので、開発チームとは以前から拡張パックの前に新クラスと新ジョブを1つは入れたいと話していたんです。

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▲新クラス・双剣士▲新ジョブ・忍者

 MMORPGとしてローグタイプのクラスがいないのはバランス的に物足りないと考えていたことも理由の1つです。ただし、メインのクラスとして最初から揃えておくタイプではないので、今回のようなタイミングになっています。

 パッチ2.3で導入される大規模PvPの“フロントライン”では、かなり広いフィールドの中で24人対24人対24人の三つ巴戦闘が行われるため、索敵をする、つまり情報戦も重要です。

 例えば、“グリダニアの3パーティが拠点3へ向って北から南下中”というような情報があったとします。その場合、迎撃するのか、回り込んでサイドからアタックするのか、情報戦があったほうがもっと盛り上がると思うので、姿を隠して索敵できるスカウトクラスを入れたかことも大きな理由です。

 まずはパッチ2.3で大規模PvPの基礎を知り、なじんでいただいたところでパッチ2.4でこのクラスが入ることによって、さらに違った局面を体験できます。そんな思いもあってパッチ2.2のメインクエストの中に「もしかしたら早めに新クラスや新ジョブが実装されるかも」と思えるヒントを加えてあります。ストーリーの中に組み込むことで、新クラス/新ジョブの追加に必然性が出ますし、ライブ感としておもしろいと考えています。双剣士と忍者は、そんなこだわりを持って作ってきたクラスとジョブです。

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――シーフというわけではなくて、あくまで双剣士ということなのですね?

 中身はシーフを目指して作っていますし、開発チームもシーフと呼びたいところではあります。しかし仮にシーフとした場合、メインストーリー上の設定をどうするのかという問題がありまして……。ですので、かつて彼らはリムサ・ロミンサの裏社会に生き、義賊的に活躍して民衆から支持を得ていた、そしてその当時はシーフと呼ばれていた、という設定にしています。

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 それがやがて武術として体系化することによってある程度国にも認められ、ギルドを持つようになります。そこで彼らを盗賊と呼び続けるのではなく、敬意を込めて双剣士となった、というイメージです。また、新規で入ってきた人にとっては、周りが“●●士”という名称の中で「なんでコイツだけシーフなの?」という状況を避け、エオルゼアの世界設定に合わせた面も大きいです。

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▲小ぶりな双剣を持ち、身軽に戦う双剣士。デザインとしてはシーフをイメージしたものとなる。

 忍者については、グローバルに運営していることもあって、皆さんがいろいろな想像を掻き立てやすいジョブだと思います。『FFVI』のシャドウが好きだったからという理由もあり、シャドウを現代風にしていったらどうなるんだろう? と。ユウギリとともに東方から流れてきて、サンクレッドが属していた元シーフたちと混ざり合い、エオルゼアの地で新しい忍者が誕生していくというようなイメージです。

■忍者は“印“を駆使して敵と戦っていく

――シーフと忍者は違うものというイメージがあります。あくまで『新生FFXIV』のクラスとジョブのような関係で、双剣士の特化した形が忍者であって、シーフと忍者のハイブリットのような形ではないのでしょうか?

 これまではクラスの延長線上で特殊アビリティを覚えてジョブがありました。しかし今回は少し特殊でクラスとジョブでメリハリがついています。シーフは毒の使い分けが主で、忍者では印をどう使っていくのかがポイントになります。

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▲忍者の特徴である“印”を使った戦闘。

――毒がありつつも印があるということでしょうか。

 これ以上はパッチ2.4がまだ先なので、明言は避けさせてください。

――印はデバフとして機能するのでしょうか、それともバフとして機能するのでしょうか? 仮にデバフだとしたら、例えば同じパーティに忍者が2人いたとして、お互いで印をつけあって完成させるようなイメージですか。

 複数のプレイヤーで印を最大化させることは考えていません。それがもし強いとすると、“忍者を2人入れることが必須”というような状況を作ってしまいます。また、印はいくつかの法則性があるので、必ずしも1つの効果だけを発揮するわけではありません。印を結ぶ順番によって効果が変わるので、どの局面でどんな印を結んでいくのが有効なのかを探していくことが楽しみだと思っています。

――印に触媒(消費アイテム)は使いますか?

 アイテムを消費することはありません。毒に関しても同様です。コンテンツ中に「毒が足りなくなったのでダメージ出ません」、となるのは避けたいのです。今回の新クラスと新ジョブに携わるバトルのチームは、最近の忍者のポイントをイメージするために『NARUTO』を全巻読み直していました(笑)。

――『FF』でしかもオンラインで忍者といえば、空蝉の術で敵の攻撃を回避し続けるタンクロールの忍者を思い浮かべる人も多いと思うのですが、基本的にはDPSとして扱うのでしょうか?

 僕はどうしても忍者が盾になっているイメージがわかなくて……。忍者はもともと世を忍ぶもので、戦闘の最前線に立つというのはちょっとイメージと違うかなと。純粋なDPSであって、シナリオ的にもそういう扱いをしています。

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▲忍者はあくまで攻撃をするロールとして設計されている。

 『NARUTO』のヒットもあって、海外で新しい忍者像ができてきていると思いますし、そんな中で、日本のスクウェア・エニックスが『FF』最新作で忍者を出していく、その時にどう見られるか、というのは少なからず意識しています。『FFXI』はあまり念頭に置いていません。『FFXI』のイメージがある方からは「回避するタンクなんじゃないか?」という予想も見受けられましたが、とにかく忍ぶほうに寄せました。

――空蝉の術はないと。

 ……どうでしょう(笑)。技名は忍者らしいものを用意するかもしれません。そこは『FF』なので、いろいろ考えていきたいと思います。

――動画を見るとかなり動き回ってダメージを与えている印象ですが、モンクや竜騎士と似たような使い方になりますか?

 モンクとは全然違います。どういったタイミングでどう印を結んでいくかを適宜考えながら戦うので、例えるなら“召喚士や学者でエーテルフローをいつ回して何を使うのか”という考え方に似ています。

●動画:『新生FFXIV』New Class & Job Revealed

■『新生FFXIV』で足りなかったスカウト的要素を補うのが忍者

――そもそもいろいろなロールがある中で、なぜ近接DPSを選んだのですか。

 DPSのカテゴリの中にスカウトが足りなかったからです。近接DPSには2つのジョブありますが、ステルスを使ってバックスタブ(不意打ち)を使うロールはありませんでした。これまではロールバランスを見てというわけではなくて、『旧FFXIV』に役割として足りていないものをきちんとそろえていくという方向性でした。今後はバランスを見ながら増やしていく方向になるかと思います。

――吉田さんが考えるひと通りの役割はそろったと。

 はい。バッファー兼アタッカーの詩人がいて、近接でコンボに超特化していて突き詰めるとDPSが一番高いモンクがいて、汎用的に使える竜騎士がいて、純粋なキャスターとして黒魔道士がいて、DoTを中心に戦う召喚士がいて……という形でこれでひと通りそろったかなと。

――双剣士をDPSとして追加した結果、DPSの人口がさらに過密化する恐れがありますが、それについての工夫はされているのでしょうか?

 数週間は、なかなかコンテンツファインダーでのマッチングがしにくくなるとは予測しています。そうなると経験値稼ぎの手段としてはF.A.T.Eに流れるはずですが、8人が忍者のF.A.T.Eという状況もある意味、新クラス/新ジョブ追加パッチということもあり、お祭り感にもなるのかなと……。また、コンテンツファインダーでのバランスを取るためには、タンクやヒーラーの不足ロールボーナスをさらに調整する可能性はあります。今ままでタンクを育てていなかった人が「美味しいうちにレベルをあげよう!」となる場合もありますし、デイリーのコンテンツルーレットはみなさんメインクラスで行くと思いますので、数週間で落ち着き始めるのではないかと考えています。

 せっかくですから、忍者だらけのエオルゼアもいいんじゃないかなと(笑)。

――PVではモンスターに忍者がつかみかかっていましたね。

 それについては続報をお楽しみに(笑)。首にクリティカルヒットは忍者っぽいですよね。あれはレディバグなどにもやれますので、ぜひいろいろなモンスターに試してみてください。

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▲そのつかみかかっているシーン。

――オートアタックなどの攻撃感覚はモンクに近いですか?

 オートアタックの仕組みは同じです。

――では主要ステータスは?

 まだ明かせません(笑)。

――現在、クラスから複数のジョブへの分岐は巴術士関連しかありませんが、今後は他のクラスでも分岐のパターンを増やしたりする構想はあるのでしょうか。

 仕組みは既にあり、もともとはその方針だったのですが、今は慎重に考えています。例えばジョブを作る際には元となるクラスのアクションの縛りを受けるので、ジョブに特化したアクションが作りにくく、フィジカルボーナスでアップさせたステータスはそのクラス共通で切り替えられないという現在の仕様もあるので、この点も踏まえて検討しています。

 もちろん、例えば複数のクラスを踏まえたハイブリットな派生なども考えられますが、そういった部分はその時々の状況を見ながら考えていくことになります。3.0の開発の中で、システムまで含めた調整もありえますから、今後を楽しみにしていただければと思います。

■ラムウの実装、シヴァのお目見えにより主要な召喚獣は登場

――2.3でラムウが、その後にシヴァが実装されるということで、今後もコンスタントに蛮神を出していくということでしょうか。

 やはり『FFXIV』の世界では蛮神と呼ばれる召喚獣は『FF』の華だと思っています。『FF』シリーズにはまだまだ数えきれないくらいの召喚獣がいるので、いろいろな形で彼らの活躍の場を作っていきたいです。

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▲E3 2014での『新生FFXIV』のメインビジュアル。

 リヴァイアサンまでは蛮族による“人間を滅ぼしてほしい”という願いに引きずられて出てきている形ですが、ここからはもう一段深い話をお見せできると思います。その兆候はラムウあたりから見えてきますが、蛮神には蛮神自身の考えもあるので、そこと召喚する側の思想との微妙なズレなんかにも注目してもらえればと思います。

 ただ、メジャーな召喚獣はシヴァでひと通りそろったので、ここからは何が出てくるかという予想が難しくなるんじゃないでしょうか。

 今の召喚獣の話もそうですが、パッチ2.3は2.0シリーズの中でも分岐点と言うか、いろいろな思惑が出てくる状況です。みんながエオルゼアを守ろうとするものの、それぞれのエゴのようなものがからみあって、だんだんと不穏な雰囲気が出てきます。そこに蛮神がどうからんでくるのか。暁がどう対応していくのか。その一方で新しい勢力がどう動いていくのかは、蛮神の問題と切り離せないものになるので、その動向に注目してほしいですね。2.3と2.4あたりの物語は、かなり複雑に絡み合っていきます。

――シヴァは海外向けの発表として求められたという話がありましたが、それ以外に今シヴァを発表した思惑はあるのでしょうか。

 そこはぜひパッチ2.3のストーリーを見てほしいところになります。現状は3つの勢力それぞれが蛮神の問題を抱えています。そんな中、『旧FFXIV』からまだ行くことができない地域があり、シヴァと言えば氷だという予測もできる。そういったところでこれからどう物語が北へと進んでいくのかが徐々に見えてくると思います。そのあたりまで遊んでいただくと、なぜ今のタイミングでシヴァを見せたのかも、理解していただけるような気がします。

 いろいろとメインクエストに注目してほしいです。パッチ2.2のラストから新ジョブのヒントがきたように、シナリオの中にいろいろな要素のヒントがあります。その話題性にマッチしたシナリオが進んでいくように意識しています。

――シヴァが実装される時はイシュガルドが実装されるのでしょうか?

 そうとは限らないです。まだ2.0の中でも語っていない部分もありますので。今は伏線を徐々に回収しているところですね。

――海外のPRチームからはラムウでは華がないと思われたそうですが、吉田さん的にはいかがでしたか?

 自分としてもどうにもラムウがかわいそうで、実際にラムウを配置したバナーを見たのですが……残念ながら今回はラムウをメインにするのはきついかなと感じました(苦笑)。個人的にはおじいさんキャラは大好きですし、ラムウの設定もすごくよくできてるんですけど、E3というアメリカで行われるショーで出すには、絵的に華がないのは事実なので。

 逆にシヴァが北米的にヒロインに見えるようなデザインになっていたということもあって、今回のような形となりました。

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 ただ、配置に意図がないわけではないので、いろいろと想像してみてください。それから、ゲーム内の設定としてはラムウはとてもおもしろいので、実際にゲームを遊んでラムウのよさを知ってもらえればと思います。

■極蛮神の中でのラムウの難易度は?

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▲パッチ2.3“エオルゼアの守護者”のイメージビジュアル。蛮神ラムウが戦う相手として登場する。

―――これでリヴァイアサン、ラムウ、シヴァの3体が登場するわけですが、この3体の極バージョンを倒すと、ガルーダ、タイタン、イフリートと同様に週に1回、武器をもらえたりするんですか?

 そういう要素は入れていません。また別の機会で考えます。バランス的にアイテムレベルの上昇ルートができているので、同じレベル帯の武器を増やしても意味がないかなと。

――では、極ラムウについて聞かせてください。極蛮神は毎回絶妙なバランスで出していると思いますが、ユーザーはどのレベルで調整すればいいのでしょうか? 大迷宮バハムート侵攻編を実際にプレイしている人が、より強化するような難易度なのか、それとももっと気楽に遊べる難易度なのか教えてください。

 極ラムウ討滅戦は、パッチ2.2の極王モグル・モグXII討滅戦と同じように、最初はコンテンツファインダーを使えない状態になります。ですが、大迷宮バハムート:侵攻編の2、3層をクリアしていないと太刀打ちできないレベルなのかというと、そんなことはありません。「極リヴァイアサン討滅戦、極王モグル・モグXII世討滅戦が終わって武器も取れたし、リボンも取れたんで、そろそろ侵攻編に……」というくらいの人がちょうどいいレベルだと思います。

 すでに4層を突破しているような人は、“大迷宮バハムート零式”に挑戦していただければと思います。

――まさかその名前になるとは思いませんでした(笑)。

 E3直前に「零式でいくけどいいですよね?」と各所に確認しました。ギリギリでしたが、この名前で確定です。

――開発の皆さんも阿鼻叫喚とのことですが?

 侵攻編の開発中、一旦組み上がったものを確認していて、「これはないわ!」と言いながら難易度調整をしていったのですが、今回リリースするのはその初期バージョンに近いです。皆さんも「これはないわ!」と言いながら遊んでください(笑)。ただ、これに挑戦する人は、少なくとも大迷宮バハムート侵攻編4層までの戦術はご存知なわけですし、当然ながら技がすべて変わってしまうわけではありません。そのうえで、皆さんがどうやって解決の糸口を見つけていくのか、僕らも楽しみにしています。

 そのフィードバックによって、今後の方針を決めたいと思います。そのままで進行するのか、多くの方が挑戦するのであれば、例えばきちんとリワードを作っていくとか……。それらは、皆さんのフィードバックを見せていただいて考えていこうと思います。

 ですので、ぜひクリスタルタワーというみんなで楽しくワイワイ遊べるコンテンツとともに、そういうのもあるという認識でいてくれればうれしいです。大迷宮バハムート零式は、言い方は悪いですが、かなり極悪な状態で世に出ると思いますので、お手柔らかにお願いします。

――またOrder of the Blue Garter(海外の攻略集団。本作の高難易度コンテンツを世界最速でクリアし続けている)が挑戦すると思いますが、日本のチームに対してのコメントをいただけますか?

 日本のプレイヤーも今回は惜しかったんです。いい勝負をされていると思います。BGの人たちは、ヨーロッパのプレイヤーも入っている、まさにグローバルなチームなんです。ですので、日本の皆さんには、日本人ならではの指先の器用さだったり、チームワークというのを見せつけていただけたらと思います。

■クリスタルタワー:シルクスの塔はアイテムレベル80~90でワイワイと楽しめる難易度

――プロデューサーレターLIVEで公開された、クリスタルタワーの続編であるクリスタルタワー:シルクスの塔に行くには、従来のようにクエストをこなしていけばよいのでしょうか?

 そうです。ただ、現在実装されているクリスタルタワー:古代の民の迷宮をクリアしている必要はありますので、その点だけはご注意ください。

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――ボリュームや難易度はいかがでしょうか。

 ボリュームや難易度については、前回と同じくらいです。皆さんのアイテムレベルが上がっているので、その分の上積みはありますけど、みんなでわいわいと遊べるくらいの難易度ですね。

 もちろんギミックについては総変わりしているので、パーティ内でああだこうだと話し合ったり、時にはいきなり全滅しちゃったりと、そういう部分も前回と同じ感覚で楽しめると思います。

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――プレイヤーの平均アイテムレベルは100ぐらいを想定している形ですか?

 平均アイテムレベル80から90くらいですかね。古代の神の迷宮でドロップする装備がレベル80なので、それをそろえて遊べばちょうどいいくらいの感じで調整しようかなとスタッフ内で話しています。

――前回の報酬は『FF』シリーズにちなんだおしゃれな防具でしたが、今回はどんなものになりますか?

 そこは、お楽しみにということで(笑)。詳細は秘密ですが、クリスタルタワーのボスにちなんだ防具で、今までとはちょっと毛色が違う感じで、けっこう派手ですよ。全身をそろえてもいいと思いますし、パーツで使っても見栄えがすると思います。装備の種類は前回と同じような感じです。

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▲妖艶のスキュラ▲異才のアモン▲始皇帝ザンデ

――こういったコンテンツでパーティメンバーが途中退室をしてしまうことについて、ユーザーが気にしている部分もあると思いますが、対策などは考えているのでしょうか。

 極端には気にしておらず、例えば自分の欲しいアイテムが手に入ったからといっていきなり離脱するようなプレイヤーがいた場合は、どちらかと言えばハラスメント行為として報告する類の問題だと思っています。

 回線落ちと判断が付きにくいですし、こういった小さい不正というか、モラルハザードをふさぐ処理は、かなり細かい処理と実装コストがかかります。何に関しても対応しない、というわけではなく、このレベルのものはケースバイケースで判断をしています。本当に世界を壊すもの、不正ツールに対しての対策や排除はかなりやっていますが、同じ労力をかけるなら、はやくPTを組んだ状態でクリスタルタワーに挑戦できる仕組みを急ぎたいです。

■PvPコンテンツのメインとして据えている“フロントライン”

――フロントラインの実装意図を教えていただけますか?

 そもそもは、フロントラインが『新生FFXIV』のPvP(Player vs Player:対人戦)におけるメインになるつもりでした。これは我々の調整ミスでもあるのですが、本来は先行実装したウルヴズジェイルでPvPに慣れてもらって、その流れでフロントラインに行っていただきたかったのです。

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▲多人数による大規模戦闘が行われる新PvP“フロントライン”

 ……だったのですが、モラルの値やPvPアクションの効果によって、格闘ゲームのようなストイックな部分が強くなってしまいました。まさに“ウルヴズジェイル(狼たちがいる檻)”になってしまい、初めての方が行っても、ウサギのようにすごい勢いで食べられてしまう状況になりました。……ただ、イベント会場などで『新生FFXIV』で本格的にPvPを体験して、おもしろさに目覚めたと言っていただける方にもたくさん出会いました。「だからこそ、フロントラインでたくさんの人と対戦したい」とまで言っていただけたので、間口はとても広く調整したつもりです。

 フロントラインに関しては、とにかくたくさんの人が入れるようにしているので、クリスタルタワーと同じで1人に対する責任の比重が非常に軽くなっています。プロデューサーレターLIVEでお話ししたように、全員を倒したらゲームエンドではなく、あくまでポイントを削り合うものです。倒されてしまってもリスタートして戦線に復帰できるという、カジュアルな設計にして作ったつもりです。

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▲陣地取りがメインになるのでやられてしまっても大きな負担にはならない。

 今回はシージウエポン、いわゆる攻城兵器はないのですが、今後は“城を攻め落とす”などのルールを追加して、より大規模なマップや外壁がある建物を奪いあったりという形で発展させていきたいと思っています。

――最終的には、『DAOC(ダークエイジオブキャメロット)』のようにしたいという考えなのでしょうか?

 そこまでやるつもりはないです。なぜならば“『新生FFXIV』はPvE(Player vs Enemy)のゲーム”なので、あくまで好きな人が、1週間プレイする中の何時間かをここで過ごしてもらえればいいという考えです。もちろん、籠もる方はガシガシ行って欲しいとは思います。

 フロントラインの中に参加賞として戦記や神話が入っているのは、「神話や戦記を稼ぐためにIDに行っている時間をフロントラインにも使いませんか?」というメッセージでもあります。

 パッチ2.3で導入されるコンテンツにはクリスタルタワー:シルクスの塔もありますし、そこに行くこと自体も大きな目的になると思います。そこに加えて、フロントラインで気軽にワーワー楽しく遊んでいたら、それなりに神話や戦記が溜まっていた。そういう状態を作ることで、積極的に参加してもらおうと。それでも参加者が少なければ、もっと参加したくなる要素を置いていくことになるのかなと思います。

■フロントラインではみんなが対等に戦えるように調整している

――ということは、ウルヴズジェイルと違って、基本的に全員が参加してほしいと。

 そうです! PvPに関連するアクションはウルヴズジェイルで稼いだポイントをそのまま使えるので、その分は若干有利ですが、フロントラインの実装に際して、ほぼすべてのPvPアクションには調整をかけます。

 パッチ2.28で全ジョブがレベル1の状態でPvPアクションをすべて修得するという調整をかけているので、アクションを持っていないことはない状態になりました。これにより、かなり対等に戦えるようになっています。

 今回のフロントラインのコンセプトは“対等”です。「公平なバトルで楽しみたい」や「モラルを消してくれ」という意見をいただいたので、ウルヴズジェイルにも調整を入れています。PvPコンテンツは今後も特にユーザーの声を聞きながら細かく調整していこうと思っています。

――戦場の広さは今の1エリアくらいを考えられていますか?

 1ゾーンは、グリダニアの中央森林よりは若干狭いような感じです。3つのアウトポストは相当離れているので、スタート時に相手は全然見えないです。ですので相手の大軍団に巻き込まれたら、ビックリすると思います。

――72人という人数の構想は初期からあったのですか?

 そうですね。24人対24人対24人は最低限という話をしていました。なんとか実装できた感じです。

――そのうえで、8人対8人対8人や16人対16人対16人などフレキシブルなシステムを入れられたのはなぜですか?

 お仕事されている方の中には、夜勤の方もいらっしゃいます。ワールドをまたいてマッチングするコンテンツファインダーがあるけれども、朝とか昼間しか遊べないという人たちがプレイする時に、24対24対24しか選択肢にないと、マッチングすることが難しくなってしまいます。

 待ち時間が長いと、毎日短い時間しかプレイできない人はコンテンツにさわれない。そうなると、結局コンテンツとしては存在しないに等しくなってしまうので、マッチングにかかる時間が長くなったり、コンテンツファインダーに登録している人の数を見て、自動的に少ない数でマッチングさせるようにしました。システム側がある程度の時間で自動的に足切り……という形になります。

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▲コンセプトは対等に。とにかく参加してみてほしいと吉田プロデューサー。

――コンテンツファインダーを使えば、ワールド対抗戦ができますよね? そういうアイデアは開発サイドにありますか?

 今後、PvPのイベントはぜひやっていきたいと思っています。

――それは、ワールド対抗で、ということでしょうか。

 ワールド対抗でというよりは、例えば、他社のゲームでCPUメーカーのインテルさんがスポンサードする形でツアーをやっていたりします。できればもっともっとアップデートをして、プレイヤーの皆さんからのフィードバックを反映していき、いずれはそういうイベントも目指したいです。

 まだまだ夢の話かもしれませんが、個人的にPvPは好きですし、日本は対戦格闘ゲームも盛んです。きっと強いFCとかもでてくると思います。ぜひ、eスポーツの世界でもいろいろと楽しめるように考えられればと思っています。

 そういう意味でも、まずは気軽に参加して「どうしようかな? もう1ゲームいっちゃおうかな?」などと思っていただきながら楽しんでいただけるものを目指します。ロールも縛りもありませんので、「メンドくさいから全員白魔導士にして、全員突っ込んで、全員で迅速ホーリーしてみる?」なんていうのもアリだと思うんです(笑)。もちろん、24人が白魔道士を全員できるんであれば、の話ですが。

――黒魔道士で24人なんて最強かもしれませんね。

 それで本当に戦えるのかはわかりませんけどが(笑)。特攻Bomb戦術というのも、他のPvPゲームでありますしね。

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■今後追加されるコンテンツ以外にもいろいろと聞いてみた

 ここからはインタビュー中にやり取りのあった、新コンテンツ以外の話題についてお届けする。現役プレイヤーでもあるインタビュアーたちが感じる『新生FFXIV』の疑問点、周りのプレイヤーの声などを吉田ディレクター兼プロデューサーにぶつけてみた。

■特定のジョブ調整を行うために、あわせて他のジョブを調整することはない

――パッチ2.3で黒魔道士に調整が入るという発表を受けて、他のジョブにも大きな調整が入ると考えているプレイヤーもいるようです。実際はいかがでしょうか。

 あくまで黒魔道士への調整なので、黒魔道士の調整が、他のジョブへ影響を与えることはありません。

 もう一度おさらいをすると、黒魔道士はウォールやマバリアもあり、防御面にも秀でています。例えば、ツインタニアのダイブボムの2回目であれば「はいはい、ウォールで無効ね」というくらい、ある局面で有効に作用します。かつ、現状では“ブレフロ士”とも呼ばれてしまっているように、範囲攻撃も強い。

 ただ、動くことが多いシチュエーションでは、キャストタイムがあるために黒魔道士は単体でのDPSが上げにくい状況です。もともと黒魔道士は単体DPSが高くて、ある程度範囲も使えるという感じで作っているものの、コンボの位置取りや近づかなければ攻撃できないという制限をもつ近接攻撃クラスの方が、常に攻撃できる状況であれば単体DPSは当然高いです。単純にこのDPSに追いつく調整をしてしまうと、すべてのシチュエーションにおいて、他のジョブの立つ瀬がなくなってしまうわけです。

 その点を踏まえながらも、「黒魔道士と他のジョブのバランスをみて、他のジョブに比べて下がりすぎな点などはキチンと見極めて調整します」ということになります。

 それともう1つ、他のジョブで使われにくくなっているアビリティやアクションがあるのは事実なので、それは少しずつ見直しをかけていくとは言いました。もしかするとその2つがくっついてしまったのかもしれません。

 つまり、まず他のジョブとのバランスを見た上で、黒魔道士の調整をします。他のジョブは、そのジョブの中で使われにくくなったアクションやアビリティに対して個別調整をかけていくという話です。この2つの調整は、それぞれ個別のものです。

――現状ではレベルのカンスト(カウンターストップ)が50で、基礎ステータスの上昇が止まっている状態です。『ファイナルファンタジーXI』でいうメリットポイントのようなものは導入されないのでしょうか?

 現時点では予定をしてないです。まずやることはレベルキャップの開放で、それが限界に達した時に他の成長要素を考えるものだと思っています。『FFXI』はゲーム設計が10年以上前ですので、レベル上限をむやみに上げられないという内部的な仕様の問題がありました。そこで生み出されたのがメリットポイントです。

 『新生FFXIV』はまだまだレベルキャップを上げられる余地があるので、普通にレベルを上げていきます。でも新しい成長システムとして、本作オリジナルの要素が入らないという話をするつもりはなく、それは時期が来たらお話しさせていただきたいと思います。


■神話装備はダンジョンドロップ品にはならないかもしれない?

――アイテムレベル70のダークライト装備の取得場所について、現在ではそのIDに行くような平均アイテムレベルとの乖離があるような気がしますが、いかがでしょうか? 新規の方はなかなかダークライト装備を取りに行けないような気がするんですが……。

 パッチ2.2をリリースする際に哲学を廃するのは早いのではないかという議論をしました。

 レベル50になった後に、アラガントームストーン:哲学という目標は、ありなのではないかと。ただ、最終的には、パッチ2.2で導入された3つのエキスパートダンジョンにあわせて、その下であるワンダラーパレスもアムダプールも、シリウスもすべて調整をかけて難易度を下げました。これらのIDについては我々もAF装備で行ってみて、DPS的にも守り的にもキチンとクリアできることを何度も確認しています。

 流れとしてはAF装備をとったら、まずハイレベルのIDに行ってレベル60のアイテムを取り、それらが揃ったらダークライト装備がドロップするエキスパートのIDを目指してもらうことになるというところで落ち着きました。

 エキスパートのIDやバトルに急に行こうとすると、もちろんキツく感じるとは思いますが、まずはアイテムレベル55~60の装備がドロップするダンジョンに行ってもらえれば、順序よく進めると思います。確かに平均アイテムレベル90の人たちと一緒に行くと自分が弱く感じてしまうかもしれませんが、すごい装備の人たちと一緒に行った時にその差が感じられないのもおかしな話ですし、その差はしかるべきかなと思います。

――パッチ2.2ではダークライト装備がアラガントームストーンの交換品からダンジョンドロップ品へと変更されましたが、今後のパッチが進んで神話がなくなると、今度は神話装備がドロップするようになるのでしょうか?

 今回のパッチ2.3でNPCが追加されていて、神話装備のデザインがなぜAFのレプリカのようなのかが、なんとなくわかるようになっています。神話装備をダンジョンでボロボロ落とすようになるかは、現在ではまだわかりません。少なくとも、パッチ2.3のモブハントの中のポイントで交換する装備に神話装備が入っているので、そちらで手に入れることは可能です。

 溜めた神話をゾディアックウェポン関連に回したいという人や、素材に回したいという人もいると思うので、出し口はまた変わっていくと思います。

――そのゾディアックウェポンシステムについてお聞かせください。今は3段階目のノウスに入っていますが、例えばアートマが出ない、神話集めが大変など、なぜかユーザーの中でこれらが必須だと思っている方も多くいるようです。こういう状況というのは、開発から見て想定内のことなのでしょうか?

 これは一概には言えません。リージョンによっても、個人によっても、まったく違うと思います。あせっていないところはまったくあせっていませんし……。やはり、プレイヤーの性格によるのかと思います。

――比較的、日本人のプレイヤーはしっかりとやりたがる傾向にあると思います。そのために何時間もプレイする人もいますし。

 そうですね、6時間プレイしても出なかった、というコメントも拝見しますが、ひたすらF.A.T.E.をやり続けての6時間か、ファインダーの合間も含めての6時間かで、F.A.T.E.の試行回数がかなりかわります。でも印象としては6時間。実はアートマのドロップ確率は、皆さんが思っているほど低くはありません。ですが、何かの合間にやっていると、トータルの試行回数は少なめになるので、短期間に集めたいと思っている方だと、「出ない」という印象が強くなるかもしれません。合間にやるのなら、ある程度の期間で得られる、という気持ちの方が楽になるかなと思います。また、ネットの声は日本の場合、特にネガティブな物が目立ちやすいので、その点はプレイヤーの皆さんのデータを拝見しつつ、慎重に判断するようにさせていただいています。

 ですので、「今日はTVでも見ながらひたすらF.A.T.E.を回していこう」という形でプレイしたりと、基本はマイペースに進めていただければと思います。僕もまだ4冊目ですし。

 ただ、ノウスを楽しみにしている人がこんなにたくさんいるとは思っていなかったので、パッチ2.28をリリースした時に驚きました。僕らの緊急メンテナンスもあり、ログインラッシュではご迷惑をおかけしました。今後も気合いを入れてアップデートしていくコンテンツにしようと思います。

――アニムス制作の緩和は現状ではないでしょうか?

 例えば本の神話必要数を緩和するのではなく、神話の取得量を増やす方向では調整します。パッチ2.28で少し調整しましたし、2.3でもさらに調整します。どんどん神話を取りやすくはなっていくかと思います。現在はノウスで第三段階で、今後もアップデートされますので、いずれ新規の後発プレイヤーがしんどくなる時期がきます。その際には全体を緩和して、押し上げていく努力はしていきたいと思っています。『新生FFXIV』はパッチを出していくことでコンテンツをクリアしやすくなっていくゲームですが、引き続きこれらのイメージ浸透を図っていきたいと思います。

 『新生FFXIV』は復帰しやすいゲームにすることも目指しています。ですので、あまりせっかちになりすぎず、ゆっくりと楽しんでいただきたいという思いもあります。『FFXI』の全盛期は、プレイ時間でレベルや進行状況が離されるとパーティを組めなくなり、結果的に復帰もしにくいという印象のゲームでしたから、そのイメージがまだプレイヤーの方に残っているという部分もあるかもしれません。


■極タイタンは超える力以外の緩和調整を検討中

――今、プレイヤーのステータスが上がる“超える力”が実装されて、大迷宮バハムートの邂逅編は楽になりましたが、極蛮神のほうは超える力がつくことで逆に難しくなる状況もあります。こうした状況に対して、プレイヤーを強くする以外の緩和を何か考えていますか?

 そういう意味で、極タイタンについての調整を考えています。タイタンはHPに応じて出す技が変わるので、DPSの変動によって、戦況が大きく変わってしまう状況があります。手加減することで状況をコントロールできますが、基本的に手加減できる余裕がある人は、“超える力”がなくてもクリアできますし、他のコンテンツと違った緩和が必要だ、という話はすでに始めています。

――超える力がつくと大地の怒りとボムボルダーが同時に落ちてきたりしますし、そもそもいくらHPが多くてもサブタンクが下に落ちてしまうと、グラナイト・ジェイラーから先が詰んでしまいますよね。

 その点は我々も問題として認識しています。さすがに崖下に落ちても、オートレビテトがかかって必ず帰ってくるとまでは言いませんが、調整は検討しています。現状では具体的にお話しできるレベルなものはありませんが、やると決めたらササッと調整してしまうと思います。


――パーティでのコンテンツルーレット参加は討伐・討滅戦ルーレットには対応しないのでしょうか?

 パーティを組んで討伐・討滅戦ルーレットに参加できてしまうと、レリッククエストで真蛮神に行きたい人たちがマッチングしにくくなってしまう、というのが現在対応していない理由です。本来ルーレットのボーナスは、そうしたフォローアップに対してのボーナスという位置づけなんです。あとはリットアティン強襲戦もそうですね。


■初心者の館は格闘ゲームのトレーニングモードのような要素に?

――以前にお話があった“初心者の館”的な要素は、どのような方向性になるのでしょうか。

 適切な事例ではないかもしれませんが、最近の格闘ゲームにはトレーニングモードやレッスンモードのようなものがあります。“まずは○○をしてみよう”みたいなお題があるイメージで、“モンクを使ってこうしてみよう”とか“コンボをつなげてみよう”とか、段階を踏んでゲームをしながら覚えていくようなイメージですね。ひと通り遊ぶとジョブについていろいろとわかって、最後は応用編として“1分間の間にコンボを何回以上つなげてみよう”みたいなものが出ると。

 モンクを例にすると単なるコンボ練習に感じてしまうかもしれませんが、例えばタンクなら、“フラッシュを使って3体の敵視ゲージを赤にしましょう”とか“近くの白魔道士についている敵視をはがして、こちらに誘導しましょう”といったタイプのお題も作るというイメージです。ちょっと格闘ゲームとは違うというニュアンスをわかってもらえるのかなと思います。

 そういった形でサポートを行うことで、初めてのジョブを使った人がジョブの特性を知りやすくなり、初めてMMORPGを遊んだ人が敵視やタンクといった専門用語を身に付けやすくなるといいなと考えています。

 ただ、今はすでに遊んでいるプレイヤーの方に対するコンテンツ提供に比重を置いているため、なかなか具体的な実装までは進んでいない状況ですね。

――“初心者の館”的な要素について、ユーザーからの要望は高いのでしょうか。

 僕が言いだしたことなのでなんとも。DPS(“Damage Per Second”=“1秒あたりのダメージ”。ダメージ効率やダメージ計算の意味でも使われる)を計測するための要素や施設が欲しいという声があり、それは“初心者の館”に用意するのはありですかね、というお話を過去のプロデューサーレターライブでした際に「それはいいね!」という反応はいただきました。

 新しく遊び始める人を増やすことは大事ですし、1人でも多くの人にMMORPGのおもしろさをわかってもらうことも重要ですので、初心者の館はいずれなんとかして実現したいと考えています。


■PS Vitaのリモートプレイで大迷宮バハムート侵攻編をこなしている猛者も!

――PS4版ではPS Vitaを使ったリモートプレイが可能ですが、評判はいかがですか?

 先日、海外の方ですが、『新生FFXIV』のヘビーユーザーである他社さんのゲームデザイナーと一緒にご飯を食べていたんです。会社ではPC版でプレイしているようなんですが、家の『新生FFXIV』をPCからPS4に切り替えたらモニターの奪い合いになり、奥さんとケンカになったと(笑)。「いい加減に寝ろ」と言われた時、「わかった、寝る」と言ってモニターを消した後に、リモートプレイを開始して遊んでいたそうです。「あれはたまらなくすばらしい」と言ってくれて、とにかく気にいっているようですね。

 アカウントの状態を見ていると、寝る前や外出時にリモートしている方は結構多いです。使いこなしている方は、便利に使っていただけているようですね。最近は、リモートプレイで侵攻編2層までクリアした人に出会いました。やれる人はやれるんだなと感心しています。


■『新生FFXIV』は復帰しやすいMMORPGを目指す

――かなりネガティブな話になってしまうのですが、先頭を走り続けていた友達が「もういいや、固定につかれた」といって現在休止してしまったのですが、走り疲れたプレイヤーや、コンテンツがクリアできなくて足踏みしてしまっているプレイヤーがいると思います。そういったプレイヤーに対して引っ張り続けるようなコンテンツなどは計画していたりするのでしょうか?

 難しいところではあるのですが、足踏みしてしまっているプレイヤーの方には、クリアできない部分や、どうしていいのかわからないポイントがあると思っています。先ほども言いましたが、極タイタンで詰まっている方が実際結構いて、極蛮神がキーになっているコンテンツがオープンしない状態が多いようです。そうした状況を鑑みて、フラグの調整や即死系コンテンツの緩和を徐々にすることで、先へ進んでもらう調整は行っていきます。

 ただ、先頭を突っ走り過ぎて疲れてしまった方に、これ以上走り続けるコンテンツを用意するのは、無茶なことかと思っています。もし、疲れてしまったのだとしたら、さみしくはありますが、一旦お休みしていただくのもありかと思っています。今回のE3でいろいろな海外のメディアの方ともディスカッションしたのですが、『新生FFXIV』は“復帰しやすいゲーム”を目指しているという話になりました。

 海外のメディアの方もいろいろなMMORPGをプレイされているので、例えば「クラフターが作った武器を最強にしては?」と言う方もいらっしゃいます。これは、そのほうがゲーム内経済が回りやすくなるんじゃないかという観点から出ているアイデアです。

 『新生FFXIV』のクラフターは、パッチの直後に大きな商機があって、パッチが少し進むと落ちていき、またパッチでアップデートされると新しいアイテムが出て商機が訪れる……といったようになっています。経済を回すというより、波がある感じですね。例えば、その中で仮にクラフターの作成したアイテムを最強にして、そのアイテムの価値を維持し、経済の中心に置いたとしましょう。

 3カ月休止しているプレイヤーと、ずーっとプレイしているプレイヤーがいたとして、その2人は持っているギルの量の差がどんどんと開いていきます。なぜなら、システムから排出されるギルの量は意図的に排出を止めない限り、プレイヤーが休まずにプレイすれば、ひたすら蓄積の方向にしか進まないためです。この場合、市場は緩やかにせよ、急激にせよ、インフレーションへ向かっていきます。

 そこで休止していたプレイヤーがゲームに戻ってきたとします。そのプレイヤーは3か月前の所持金しかなく、しかし市場の相場は高くなっている。クラフター主導の強いアイテムは全部市場にあって、しかも値上がりを続けている……。復帰して最前線に戻るには、ギルを稼ぐのが近道になるのですが、復帰前よりもプレイ時間を取らなければ、市場価格に追い付けなくなります。絶えずギルはシステムから排出されるので、その間、他のプレイヤーもギルを得ているからです。かつてRMT業者の主戦場はここだったと思います。

 でも、新生FFXIVの場合、経済をサイクルではなく波にすることと、アイテムレベルの上昇があることにより、アラガントームストーン関連の装備や、コンテンツ確実ドロップの装備により、3カ月期間が空いたとしても、3~4週間もあれば着実に戦線へ復帰できます。それが累積型のストーンという形式なので、より明確に復帰時期や目標が立てやすくなっています。

 実生活でとても忙しい現在のライフサイクルの中で、ひたすらに人を走らせ続ける形のコンテンツというのは、ただつらいだけになりがちだと考えています。MMORPGが少なかった時代はそれでもよかったと思うのですが、今は皆さん本当に忙しいですし、ゲーム以外のエンタメもたくさんあります。その中で1つのことだけをやり続けるというのは、すごくしんどいと思うのです。もしそれがコンテンツの最前線であればなおのことです。

 もちろん、我々からすれば、続けていただけることにこしたことはないですし、今後もできるだけ早くコンテンツをお届けして、できるだけ継続してプレイしていただく努力が前提です。パッチ導入の際に大々的にPRをさせていただいて、無料体験キャンペーンなどもやっています。そうして、お休みしている方に「そろそろ復帰してみませんか?」と提案させていただくことにも、力を入れていきたいと考えています。

 今お休みしている人でも、とりあえず復帰してみて、神話や戦記を集めて武器を整えたら、意外と簡単に最前線に戻れたりすると思います。プレイしていただくためにも、復帰していただくためにも、変わらず全力でアップデートしていきますので、今後ともよろしくお願いします。

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――最後に全世界で『新生FF14』を遊んでいる皆さんにメッセージをお願いします。

 『新生FFXIV』はいろいろな方向で楽しめるようにしたいと思っています。極蛮神や大迷宮バハムートのような、いわゆるエンドコンテンツに行って一発ドロップに期待を賭けるというのもそうですし、ゾディアックウェポンストーリーや、アイテムの強化ルートをいろいろと用意したりというのもそうです。

 今回のフロントラインのように、72人でお祭り騒ぎができるものから4人でのコンテンツ、ソロコンテンツまで、今後もありとあらゆる層のプレイヤーに、1つずつ着実に遊びを入れていこうと思います。冒頭でお話ししたように、世界中でいろいろなプレイヤーに楽しんでいただくためにひたすら走り続けようと思いますので、これからの動向も見守っていただきつつ、ご声援いただけたらと思います。

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