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2014年6月30日(月)

G-Tune×『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のアクリルパネルがさらに高品質になって完成! デザイナーの情熱とこだわりに感服!!

文:くろあん

『G-Tune』

 皆さん、こんにちは。超カワイイ“Tuneちゃん”の魅力にメロメロなくろあんです。Tuneちゃんの魅力と、真夏の熱気で溶け出しそうな日は、エアコンで快適設定にした部屋に引きこもってPCゲームを楽しむのがイチバンですよネ。

 さて、今回の記事でご紹介するのは、ゲーミングPC・G-Tuneシリーズとセガの2D対戦格闘ゲーム『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』による、夢のコラボレーション製品です。3月に行われたイベント“ゲームの電撃 感謝祭2014”でも展示されていたのですが、あれからさらなるブラッシュアップが図られ、驚くほどのクオリティーアップを成し遂げました!

 最初のサンプル(イベントで展示されていたもの)と最終版の写真を、それぞれ並べてご紹介しますので、じっくり見比べてみてくださいね。

『G-Tune』 『G-Tune』
▲こちらが、“ゲームの電撃 感謝祭2014”で展示された最初のサンプルです。白黒がハッキリ分かれていて、それぞれのキャラクターがちょっと認識しづらい感じではあります。
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▲そして、こちらが完成バージョン。なんというクオリティーの高さでしょうか! レーザー刻印によって各キャラクターの線がハッキリと出ていて、まるでイラストがパネルへ直に描き込まれているような出来栄えです。最初のサンプルから最終版に至るまでの間に、一体何が起こったのでしょうか?

 製品版のクオリティーの高さに驚きを隠せません。最初のサンプルだと、美琴やアスナ、智花ちゃんなどの女の子キャラクターは、顔の部分が透明になっていて、ちょっとヤンデレっぽい印象を受けました。でも、製品版ではごく自然な感じになっています。

 出来栄えがここまで変わってしまうとは、マウスコンピューターさんにいったい何があったのでしょうか? 今回はその謎を解明すべく、G-Tune×『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のコラボ製品を担当されたプロダクトマネージャーの杉澤竜也さんと、デザイナーの寺田大樹さんにイロイロお話を伺ってきましたヨ!

『G-Tune』
▲マウスコンピューター コンシューマ営業統括部 プロダクトマネージャーの杉澤竜也さん(左)と、制作室でデザイナーを務める寺田大樹さん(右)。

■最初のサンプルでは納得できない! デザイナーとしての意地!!

――まず最初に、『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のコラボ製品を製作することになったきっかけを教えてください。

杉澤竜也さん(以下、杉澤):3月のイベント“ゲームの電撃 感謝祭2014”でG-Tuneのコーナーを出展したのですが、「単純にゲーミングPCを置くだけだと、何のおもしろみもないのでは?」ということが、出展の際の課題になっていました。

 まず「何らかのゲームをプレイする環境があったほうがいいのでは?」ということで、セガさんとお話しさせていただいて『ファンタシースターオンライン2』や『セガNET麻雀 MJ』、『カオスヒーローズオンライン』を展示させていただきました。

 ただ、ゲーミングPCの展示としてはいいかもしれませんが、G-Tuneの展示としてはまだ疑問が残っていたんですよね。その頃、PCのサイドパネルにマスコットキャラクターのTuneちゃんをレーザーで刻印した製品を展開し始めていたのですが、これをまず展示の軸にしてみようと考えました。

――なるほど。Tuneちゃんは超カワイイですからね!

杉澤:ありがとうございます(笑)。しかし、電撃さんのイベントにいきなりTuneちゃんを出しても、イベントに来るお客さまにとってはあまりおもしろみがありません。それよりも、電撃さんにちなんだキャラクターを使わせていただいた製品を用意したら、お客さまに衝撃や感動を与えられるのではないかと思いました。

 そんな時、ちょうどセガさんが『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』を作っていたので、G-Tuneとのコラボをお願いしたのがきっかけです。

――イベントでは、こちらの最初のバージョンが展示されていましたが、正直どのように思いましたか?

寺田大樹さん(以下、寺田):『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のキャラクターを描いたパネルということはわかるのですが、「納得できるものにはなっていないな……」というのが正直な感想でした。社内でも賛否両論ありまして、「元データから作れば、この程度なんじゃないの?」という意見もありましたし、逆に「クオリティー的にはもっといけるよね」という意見もありましたね。そこでいろいろ検討をした結果、「これより高いクオリティーを目指そう!」という結論になりました。

――G-Tuneちゃんのアクリルパネルを見た時は、そのクオリティーの高さにグッと引き込まれたのですが、『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』の最初のパネルと比べて何が違うのでしょうか。

寺田:Tuneちゃんのイラストデータは、アクリルパネルにレーザー刻印を行うことを目的に、2階調で“削る部分”と“削らない部分”を意識して描き起こしたものでした。また、イラストのタッチなども大きなサイズで出力することが前提になっていたので、細かな部分がしっかりと再現されていたんです。

 それに対して『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のイラストは、各キャラクターを担当された個々のイラストレーターさんで“塗り”の違いや、キャラ数が多いせいで1人ずつのサイズが小さくなるといった、難しい点がありました。また、いただいたデータを加工するのは今回が初めてだったということもあって、試行錯誤しながら製作した結果、最初のサンプルになってしまったというのが正直なところです。

『G-Tune』
▲こちらが確認のためにプリントされた最初のデータ。この時点で、「これならイケる!」と思ってしまうのも仕方がないと思います。ここから、寺田さんを筆頭とするデザイナー陣の奮闘が始まりました。

――元になったイラストはカラーだったのですか?

寺田:そうです。イラストレーターの方々がそれぞれ独特のタッチで描かれていますし、ファンにはたまらない絵なんですけど、それゆえに難しさがあると言いますか……。

 最初のサンプルでは初めての試みだったので、キャラクターごとの濃淡の違いなどを機械的に自動で処理してみようというのがスタートだったんですね。その結果、2階調にはなったんですけど、どうしてもキャラクターの表情などがわかりづらい。そこで、「どうやったら細かい表情を再現できるのか?」とか、「ドットをいれて3階調に見えるようにしてみたら?」などと検討してみながら、少しずつクオリティーを上げていった感じです。

――ところが、予想通りには仕上がらなかったと?

寺田:レーザー刻印用に作成したデータを、紙にプリントしてみたのですが、その段階だとすごくきれいに出力されていたので、「これなら大丈夫だ」と思ったんです。でも、実際にアクリルパネルになって出てきたら、こうなってしまったと。

杉澤:実は最初のサンプルもデータ通りに出ているんですよ。角度を変えて、光を当てて、白い背景にして、光の当たり具合が絶妙な瞬間には、目の錯覚で用意したデータ通りの絵になるんです。ただ、それだと難易度が高すぎるので(笑)。

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――そこから仕切り直しとなり、第2弾のサンプルと第3弾のサンプルが順番に作成されたのですね。この段階でかなりクオリティーが上がってるように見えますが、どの点を変えたのでしょうか?

寺田:最初のサンプルは、デザインソフトを使って自動で起こしたデータですが、この段階では基本的に、マウスコンピューターのデザインチームが一丸となって、「全キャラクターの線を起こそう!」となりまして……。

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▲左が第2段階、右が第3段階のサンプルパネル。試行錯誤を繰り返しながら、格段に進化を遂げているのがハッキリとわかります。

――最初のサンプルと比較すると、肌の色が反転しているとか、大きく変化していますよね。

寺田:他のサンプルを見た時に、「やはり肌が白いほうがイメージが近いんじゃないだろうか」となりまして、特にキリトは服が黒いので、白いほうが肌が映えるように思えました。そこで実際に白くしてみたら、狙い通りにきれいに表現できましたので、白に決まりました。

――この第2段階、第3段階でも十分なクオリティーに見えるのですが、これでもまだ満足な仕上がりではなかったんですか?

寺田:満足できなかったですね。特に第2段階では視認性を重視するために淡い色の部分や細かい線をあえてばっさりと切り落としている関係で、『ロウきゅーぶ!』の智花ちゃんとか一見誰だかわからないですし、持っているものもバスケットボールに見えないんですよね。

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▲第2段階のサンプルでは肌の色を反転させ、印刷部分を限定することでだいぶキャラクターとして見やすくなりました。

――人の手による作業でデータを作って行くのは大変でしたね?

寺田:そうですね。“拾う線”、“捨てる線”はかなり、こだわりがありまして。キャラクターごとに異なる加工、例えば線が太いキャラクターなら最初に自動機能を使い、そこに補正を加えていくみたいな手順で作業を進めました。

 実は、この智花ちゃんは私が担当したのですが、線がすごく細くて、キャラクター的にも繊細な部分がありましたので、自動機能は使わずにすべて自分の手で描き起こしました。第2段階のサンプルの時点でかなり仕上がりがよく、「これでいいんじゃないか」という意見もあったんです。でも、パネルとしてはきれいなものの、ゲームユーザーの方はキャラクターへのこだわりが強いでしょうし……。

 G-Tuneのキャッチコピーとして“全てはゲーマーのために”というのがあるのですが、そのうちの1つに“ゲーマーのニーズに高いレベルでお応えする”というのがありまして、智花ちゃんが好きなユーザーさんが見たときに、やはりドットを入れて3階調に見えるように仕上げたり、バスケットボールに線が入っていたほうが納得いただけるのではないかと思い、三度、チャレンジしました。

――この段階でも、線がシャープで十分だと思うんですけれど(笑)。

寺田:どのイラストも影の付け方がきれいなんですけれど、それを表現しようとするとモノクロの2階調だと足りないんですよね。影の付け方一つで印象がだいぶ変わってくるんですが、例えばシャナですと完全に黒髪に見える状態だったのが、影のハイライトを付けることで立体感がある絵にガラッと変わります。

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▲最終段階にほど近い、第3段階のサンプルです。黒白にドットのトーン(階調)が加わり、3種類以上の色を表現。服のしわまで細かく再現しています。しかし、この段階でも寺田さんは満足できず、さらなるクオリティーアップを目指します。

――第3段階のサンプルでは、中間のトーンが入ってかなり印象が変りましたね。特にシャナの髪の色とか、如実にわかります。

寺田:ハイライトの付け方にもこだわりがありまして。キリトは黒、グレー、白の3階調に見えるようにしているのですが、あえて暗い場所をドットでグレーに見えるようにして、立体感を出しています。実際の色とは濃淡を逆にすることで、見えやすくしているんです。じつは、アクリルパネルで白く見える所は、イラストでは黒になっています。

――この段階だと、またちょっと線が消えてしまっているようにも思えますね。

寺田:通常の印刷では、かなり細かいドットまで出すことができるのですが、レーザー刻印ではデータの入稿方法の関係で、どうしてもドットを多様すると線が細くなってしまいます。そこで、再びデザイナー総出で線を太くする作業に入りました。そして、ついに第4段階めのサンプルができ上がったんです。

――最初の段階からこちらの完成形まで、どのくらいの期間がかかったのですか?

寺田:データ作成・チェック・印刷期間など含めて、製作チームが5人掛かりで期間的には3カ月ぐらいですね。

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▲こちらが完成形。第3段階からさらにキャラクターの線を調整し、より輪郭がハッキリしているのがわかります。

――刻印の作業スタッフから、アドバイスはありましたか?

寺田:実際に印刷をする際に、キレイにドットを描く方法や印刷するテクニックなど、いろいろとアドバイスをいただきながら完成しました。今となっては笑い話なのですが、ドットの点1つ1つがデータとして扱われているので、めちゃくちゃ容量が大きくなってしまって。そのせいで、印刷所に入稿したデータが重過ぎて開けないと言われました(笑)。

――印刷所でファイルを開けないのはよっぽどのことですね(笑)。

寺田:開けるようになるまで調整しました(笑)。容量としては、そこまで大きくはなかったのでしょうが、プレビューでPC上にすべてのドットを表示するとメモリが足りない状態になったようです。こちらでも入稿する際に、プレビューできるようにファイルを書き出そうとしたのですが、もうデザインソフトのほうが対応していなくて……。画像1枚で何十ギガのレベルでしたね。実際、製作チームでも、16GBのメモリを積んだ高スペックPCでないと開くことができませんでした。

――美琴の周囲に広がっている電撃のラインもシャープですし、小説の挿絵に見えるくらいのクオリティーですね。

寺田:完成が見えてきた頃になっても、やはり「キャラクター性があるから」、「このイラストレーターさんはもっとこの線を出したいはずだ」などとなって、極限まで突き詰めていきました。私も、アニメのキャラクターなどが好きでこのような仕事をやってますので、同じような気持ちのユーザーさんが満足できるレベルにようやく落し込めたなと、最終的に感じました。

『G-Tune』 『G-Tune』
▲左が入稿用のデータ、右がレーザー刻印後のイメージです。透明なアクリルパネルに刻印を施すと、その部分が白く変化するため、白と黒が逆転しているように見えます。

■今回のノウハウを生かしてさらなるチャレンジを!

――じつは、もっとこだわりたかった点などはありますか?

寺田:最終段階の時点では、われわれのこだわりがかなり詰まった状態です。「口の線の太さを少し変えたいから」とか、もう何度も修正しましたので。

――デザインチームでは、どのキャラクターが一番人気ですか?

寺田:そうですね、アニメでも人気のある『ソードアート・オンライン』のキリトとアスナですね。それとデザイナーとしては、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の桐乃や、『デュラララ!!』の静雄は線が比較的太いので、データ加工のやりやすさから「私はこのキャラを担当したい!」という意見がありました(笑)。

――逆に、手間が掛かったのは……?

寺田:『ロウきゅーぶ!』の、智花ですね。一応、私が取りまとめをやっていましたので、責任もって私が智花を担当しました(笑)。

――今回、さまざまなノウハウを得られたと思うのですが、またやってみたいと思いますか?

寺田:本当にとても大変な作業でしたが、やはり私個人としてはデザイナーとしての意地もありましたし、完成した時の喜びもひとしおでした。そして、常に新しいものにチャレンジしたいという思いがありますので、次の企画がありましたらぜひやりたいと思っています。

杉澤:うーん(笑)。

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――さて、このアクリルパネルは透明なので、ユーザーさんが電飾などのカスタマイズを自分でいろいろと工夫して楽しめそうですよね。

杉澤:こちらの製品ですが、LEDライトを内蔵したモデルと、内蔵していないモデルの両方のバージョンを販売します。LEDライトがあると、暗闇でかなり見栄えがいいですよ。最初のサンプルと比べてみると、製品版の出来栄えがかなり映えると思います。

――最初のサンプルですが、それほど反応は悪くなかったですよね。

寺田:最初のサンプルができ上がった時に、私たちとしてはもう直す気満々だったのですが、「アクリルパネルって、こういうものじゃないんですか?」という意見もいただきました。

――仕上がりの基準となるものがなかったのですね。今回、高いクオリティーを実現したおかげで、いきなりハードルが上がってしまったと……。

寺田:このようなパネルを扱っている業界全体が、ざわつく可能性はあると思います(笑)。

――製品版を見たら、他のキャラクターでも作ってほしいという要望が出てきそうです。

寺田:このようなアクリルパネルの取り組みは今後も継続していきますので、キャラクターコンテンツ以外も扱ってみたいです。例えば、ゲームのロゴをデザインした公式PCなどですね。また今回の件で、アクリルパネルのデザインに関しては相当ノウハウを積むことができましたので、さまざまなことにチャンレンジできると思います。これからも、いろんなタイトルとのコラボレーションを広げていきたいと考えております。

――ちなみに、このアクリルパネルの価格はいくらぐらいになるのでしょうか?

杉澤:PC本体の代金プラス1万2,000円です。結構なお値段のように思えますが、実はレーザー刻印を施す面積が広がると、どんどん加工代が上がってしまうんです。マウスコンピューターとしては、ユーザーさんに対してどんどんおもしろいことを提案していきたいと考えていますので、ほぼ利益なしの価格です。

――今のところ、アクリルパネルはPCとのセット販売ですが、今後は付け替え用のパネル販売なども予定されていますか?

杉澤:実はPCのサイドにネジがありまして、これでアクリルパネルを固定しているんです。技術的な面では、不可能ではないですね。ご要望が多いようでしたら、パネルを付け替えられる仕組みを作っていくのもおもしろいと思います。“アクリルパネル即納! 今月はこんなコラボレーションパネルが登場!”とか(笑)。

――期待しています(笑)。本日はありがとうございました。

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▲今回のインタビューを行った部屋の壁には、まったりとくつろぐGちゃんとTuneちゃんの姿が。おかげで、和気あいあいとしたステキなインタビューになりました。

 マウスコンピューターのデザイナー・寺田さんが本製品にかけた情熱をお話しいただきましたが、いかがだったでしょうか。G-Tune×『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のコラボPCのクオリティーの高さは、担当デザイナーの製品に対するこだわりと、キャラクターへの愛情が深くこもっていました。これだけの情熱を傾けた製品ですので、その品質の高さは折り紙つきですネ!

 さて、今回ご紹介したG-Tune×『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX』のコラボPCですが、本日6月30日から受注がスタートしています。他にも、“AVAエディション”や“G-Tune ノーマルエディション”、そして超カワイイ“G-Tuneちゃんエディション”なども用意されていますので、興味がある方はマウスコンピューターの公式サイトをチェックしてみてください!

『G-Tune』

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イラスト/abec、いとうのいぢ、かんざきひろ、てぃんくる、
はいむらきよたか、HIMA、ヤスダスズヒト

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