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2014年7月16日(水)

『シャリーのアトリエ』レビューでシリーズ最新作を評価! 日数の撤廃など新たな試みを盛り込んだ新時代の『アトリエ』

文:Deep

 ガストから、7月17日に発売されるPS3用RPG『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』のレビューをお届けします。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 さぁさぁさぁ! 今年もやって来ました『アトリエ』の季節。世界各地の『アトリエ』ファンの皆さん、不眠不休で錬金する用意はいいですか!? ガストさんより、7月17日にPS3用ソフト『シャリーのアトリエ~黄昏の海の錬金術士~』が発売されます。先日、前作にあたる『エスカ&ロジーのアトリエ』のアニメ放映は無事終了し、ラストシーンから本作に興味を持った人も多いかと思います。そんなわけで今回は、皆さまよりひと足先にガッツリとやり込ませていただいた担当ライターのDeepが、本作の魅力や手応えをレビューでお伝えしていきたいと思います。

■『アトリエ』シリーズとはなんぞや?

 『アトリエ』を知らない方々にもわかるように、このシリーズのざっくりとした説明をば。本作で16作品目となる『アトリエ』シリーズは、世界各地で集めた材料を組み合わせて調合し、異なるアイテムを生み出す“錬金術”をゲームの軸にすえたRPGです。サッと作ったアイテムを使って物語をどんどん楽しむのもよし、じっくりと作り込んだ強力なアイテムでダンジョン奥の強力なボスモンスターで力試しをするもよし。遊びの手軽さと奥深さを両立する作り込まれたシステムで、多くのファンをトリコにしてきました。さらに、どこか牧歌的と言いますか、にぎやかで温かみのある雰囲気もシリーズの特徴。さまざまな場所で数多く発生するイベントによって、魅力的なキャラクターたちが網の目状につながり合い、“人びとの生活感”や“奥深い世界観”を演出しています。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 他にも『アトリエ』シリーズが多くのファンを獲得した理由の1つとして、“遊んだ人の声をしっかりと聞いて次回作に反映する”という開発のスタンスがあります。支持された要素をブラッシュアップし、不満が多かった部分をしっかりと見直す。そうやってユーザーに近い視点を持つことで、次回作のクオリティを高めているのです!

 また、これまでに多くの作品を生み出してきた『アトリエ』シリーズは、世界観を同じくする数作品ごとのシリーズに分かれています。とはいえ、作品ごとに物語は完結しているので、途中から始めても問題ナシ。もちろん、同シリーズの過去作品を遊んでいるからこそ“ニヤリ”とできるファンサービス的な部分もありますが、大筋の物語には影響しない程度に抑えられています。システム的にも新しい作品ほど洗練されているので、興味を持ったらとりあえず最新作を遊べばOKですよ!

■“黄昏”シリーズの3作目……今回の舞台は海!

 本作は、2年前に発売された『アーシャのアトリエ』から続く“黄昏”シリーズの3作目、前作『エスカ&ロジーのアトリエ』から2年後が舞台です。この“黄昏”シリーズは、少しずつ自然が失われ、徐々に色あせていく黄昏の世界で生きる人々と錬金術士の物語が描かれています。そして、今回はサブタイトルにあるように“海”が関係してくる……のですが、舞台は水が枯れゆく黄昏の世界。その海には水ではなく、あらゆる生命が淘汰される砂が波打っています。そんな黄昏の世界で活躍する2人の錬金術士・シャリステラとシャルロッテ……本作は“2人のシャリー”が紡ぐ物語です。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲かつては多くの水で潤っていただろう大地は見る影もなく干上がり、黄昏の足音が迫っていることがわかります。

■主人公は2人……さて、どちらを選ぶ?

 ゲームを開始すると、シャリステラとシャルロッテのそれぞれのプロローグをプレイしていくことになります。ここでお互いの雰囲気や行動原理などを確認したうえで、2人の主人公からどちらかを選ぶことに。前作『エスロジ』では、主人公2人の行動目的が同じだったため物語に大きな変化はありませんでしたが、今作は2人の初期目的が大きく異るので、物語を見る視点もかなり違います。そもそもパーティとして合流するのも10数時間プレイしたあたりになるので、主人公選択はけっこう重要だったり。ちなみに、調合重視な俺のプレイでは20時間を超えていました。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 一部、ステラ、ロッテにしか作れないアイテムも存在しますが、調合できるものが大幅に異なったり、システム的に違ったりなどはないので、プロローグの雰囲気も含めた単純な好みで選んでいいかと! ということで、各主人公の特徴をちょろっと紹介します。

●シャリステラ 声:小岩井ことり

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 船の一族と呼ばれる部族の長の娘で、錬金術士としてもそこそこの腕前を持っています。黄昏の影響で資源不足に陥った故郷を救う術を求めて、ステラードの街を訪れました。マジメで健気な性格なのですが、少し融通が利かないガンコなところも。彼女を主人公にすると、黄昏の世界の謎に迫る重厚なストーリーが展開します。

●シャルロッテ 声:上坂すみれ

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 ステラードでアトリエを営む駆け出し錬金術士ですが、腕前はヘッポコ。アルバイトで生活費を稼ぐ日々をすごしているのですが、いつかビッグになるというふんわりとした夢を抱いています。明るく元気なムードメーカーで、機嫌がいい時は自作の歌を口ずさみます。彼女が主人公の場合、コメディタッチな日常と冒険、そして少女の成長物語を楽しめるのです。

■イラストと見まごうばかりの洗練された3Dモデリング!

 本作をプッシュするうえで欠かせないのが、人気イラストレーター・左氏が手がけたキャラクター。さらに、それを忠実にモデリングしたFlightUnitによる3Dモデルの存在。左氏によるキュート&カッコいいキャラクターたちが、イラストそのままの姿でゲーム中を動き回る様は感動すら覚えます。正直、ゲーム背景がなければイラストと3Dモデルの判別がつかないレベルです。FlightUnitの底力……恐るべし!

 また、ただ動かすだけではなく、イベントに合わせてキャラクターの心情をしっかりと反映した自然な動きにも注目です。リップシンクにまで徹底している、その演出にはガストのこだわりを垣間見ますね。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 もちろん、そんなキャラクターたちを生かす声優さんたちの演技もすばらしい! 主人公役のお二方だけでなく、コルテス役の松岡禎丞さんやユリエ役の伊藤かな恵さん、ミルカ役の日高里菜さんなどなど、今をときめく声優陣が勢ぞろい! 正直、遊んでいて「なんか耳が幸せだなぁ」なんて思ったことも少なくありません(笑)。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲個人的には、ホムンクルスのホムラを演じている照井春佳さんのふんわりとした声色にメロメロ。ホムラのキャラクター性とも非常にマッチしていて、彼が登場するたびにニヤニヤしてしまいます♪▲『エスロジ』に登場したエスカやウィルベルといった、おなじみのキャラクターも登場。彼女らからは、過去作に登場したキャラクターのその後が聞けることも。

■期限がなくなってマイペースに遊べるようになった!

 これまで発売された作品の多くには“日数”の概念があり、調合や採取、戦闘など、何をするにせよ日数がついて回っていました。しかし本作では、その日数をなくすという英断が下されています! これによって、残り日数に追われることなくアトリエライフが送れるようになったので、シリーズを初めてプレイする人でも気軽に入り込めるようになったのではないでしょうか。

 逆に期限がなくなったことで、「ゲームがダレるのでは……?」と心配になるユーザーがいるかもしれませんが、それを解消するのがゲームの中核となる“ライフタスク”の存在です。これは、シャリーのやりたいことが目標としてメモされるというもの。このライフタスクにはメインとフリーの2つが存在しますが、メインに記された目標をこなしていけば物語がサクサクと進むので、ダレるということは一切ありませんでした。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』

 もう1つのフリーには、物語とは関係がない目標という名の欲求が表示されます。“ダイエットしたい”という突拍子もないものから“ドコドコを探索しよう”など、その種類は多種多様なうえに、一度に数十個表示されるため、やることがなくなるということもありません。

 もちろん、フリーはクリアしてもしなくてもいいものなので、適当に遊んでいたら勝手に埋まったという感じで楽しむといいかと思います。ぶっちゃけちゃえば、目標の数が膨大すぎて全部を把握することは困難ですし(笑)。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲ライフタスクの中には、クリアすることで戦闘や調合の経験値を得られるものもあります。その量は目標によってマチマチですが、一気に大量の経験値がもらえることも!?

■さらに進化した調合システムをチェック!

 最初に述べたように、『アトリエ』シリーズにおいて調合システムは切っても切れない重要な要素。そのため、この調合システムはチョチョイと片手間で調合していても、物語が進まなくなるなどの問題がないように作られています。しかし、そこからさらに一歩踏み込んで材料の投入順や調合スキルを楽しめるようになると、本作のおもしろさが一気にハネ上がるのです。本作はチュートリアルもしっかりと作られていますし、やり込み派の俺としては調合をじっくりと遊んでもらって、調合の楽しさを見出してほしいですね!

 調合は作品を重ねるごとに調整が行われ、進化しています。本作の調合システムは、新しいユーザーが入り込みやすいようにシンプルでわかりやすいものを目指して作られており、“材料を選んで材料固有のスキル枠に調合スキルをセットするだけ”というわかりやすさ! だからと言って、『アトリエ』らしさがなくなったかと言えばそうではなく“調合順変更”や“チェイン”、“調合スキルの使い方”など、しっかりとこだわりポイントが用意されています。とくにチェインを考えだすと、あっという間に時間が奪われちゃいます(笑)。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲上部の4つのアイテムが投入材料で、その下にある枠が、それぞれが持つスキル枠。スキル枠の数や属性などの制約はありますが、そのあたりを突き詰めていけるようになると立派な錬金術士ですよ♪

 また、前作と同じく本作も“探索装備”システムを採用しています。このシステムは、戦闘や探索で使えるアイテムが探索装備として所持しているものに限定される代わりに、使ったアイテムが街に戻ることで復活するというもの。材料から調合手順まで、ひたすらにこだわりぬいたアイテムを何度も使えるのは、とてもありがたいですよね。

 なお、アイテムにはそれぞれに固有の装備枠が設定されていて、シャリーが持っている探索装備枠にパズルの要領で当てはめていくことになります。初期状態で3×3マスあるこの装備枠は、調合内容を工夫することで小さくすることも大きくすることもできるので、調合の腕の見せどころです。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲ゲームを進めていくと探索装備枠はどんどん増えていくので、いろいろなアイテムを採取地に持ち込めるように。強力なアイテムほど装備枠を多く消費するので、埋めるマスの形を工夫していきたいですね。

■よりド派手かつスピーディにパワーアップしたバトル!

 本作の戦闘は、各キャラの素早さや直前の行動によって行動順が変化するコストターン制を採用。戦闘参加人数は前衛3人・後衛3人の6人で、その前後を入れ替えながら戦っていくことになります。人数こそ前作と違いがありませんが戦闘のシステムは大きく変化しており、その最たるものが“バースト”の存在でしょう。

 戦闘でダメージを与えていくと、画面上のバーストゲージが上昇。それが100%を超えるとバーストモードが発動して敵に与えるダメージが増える他、後衛が前衛をサポートするアシストも、1度に複数人が行えるように。また、“ヴァリアブル・ストライク”や“フィールドバースト”などの味方に有利な要素がたんまり発動するので、このバーストをいかにうまく発動させるかが、強敵との戦闘のポイントになります。

『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』 『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲戦闘モーションも、キャラの個性がたっぷり詰まっています♪ シャルロッテの場合は、アイテムを使用すると自前の歌を歌い出すことも。「レヘレヘるんるん、レヘルンだ~♪」▲バースト中にアシストアタックを連続で行う“拡張アシスト”。3人連続で発動すれば、より強力な“ヴァリアブル・ストライク”が発動して、敵に強力なダメージを与えられます。
『シャリーのアトリエ ~黄昏の海の錬金術士~』
▲バースト中はバーストゲージ横の必殺技ゲージも上昇し、これが最大までたまると必殺技を使用可能に。必殺技でトドメを刺すと専用演出になるところはお約束♪

■“らしさ”と“新しさ”を両立させるデキに感動!!

 『シャリーのアトリエ』は、“日数の撤廃”というこれまでの『アトリエ』シリーズの常識を覆す試みにチャレンジしています。ある意味“変革”とも言える舵切りに『アトリエ』らしさが失われてしまうのでは……と、戸惑うファンも多いかもしれません。しかし、実際にプレイしたらわかります。その“らしさ”は健在であると。さらに言えば、“らしさ”とチャレンジによって生み出された“新しさ”は互いに互いを引き立て、『アトリエ』を新しい次元にまでブラッシュアップさせています。この奇跡のバランスで生み出された、“らしさが残る”新しい『アトリエ』は、これまでのファンと新たに始めるユーザーの両方が楽しめる、すばらしいゲームに仕上がっていると断言します!!

 前述の通り、過去作品を遊んだことがない人でも十分楽しめる内容になっています。アニメの『エスロジ』で『アトリエ』に興味が出てきた人も、ぜひ手に取って遊んでみてください。絶対に後悔させませんから!

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※画面写真は開発中のものも含まれています。

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