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2014年8月15日(金)

『BloodBorne(ブラッドボーン)』の死闘感を演出するシステム“リゲイン”とは? 試遊機レビューとともに紹介【gamescom 2014】

文:電撃オンライン

 SCEのジャパンスタジオとフロム・ソフトウェアが贈るPS4の注目アクションRPG『BloodBorne(ブラッドボーン)』。全世界から注目を集めるこのタイトルについて、開発者によるセッションが“gamescom 2014”にて開催された。ここではそのレポートと、会場で少しだけ触れることができた、本作の試遊の模様をお伝えしていこう。

『bloodborne』

 このセッションには、本作のプロデューサーである、SCEジャパンスタジオの山際眞晃(SCEJ)氏が登壇。6月のE3 2014の際に明らかになった“未知の探索”、“死闘感”、“新たなオンライン体験”という本作の3つのテーマのなかから、今回のセッションではとくに死闘感について新たな情報が発表された。

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▲セッション中は撮影禁止だったため、セッション前の様子。

 死闘感には、演出面、そしてゲームシステム面の2つの意味あいがある。まず、演出面については死闘の先に、安堵感や達成感をより得られるものにするためのもので、グロい演出を目的としているものではないとのこと。

 この死闘感の演出の考え方として、フロム・ソフトウェアの宮崎英高ディレクターは『デモンズソウル』などにおいて難易度を上げることでその達成感を目指していた。本作でもこれまで以上の達成感が得られるようなゲームを目指しているが、難易度をさらに上げるのは非常に厳しく、ほかの柱として検討されて生まれたのが、この死闘感を軸にした達成感だという。

 これをゲームシステムとして表現しているのが、今回新たに発表された“リゲイン”システムだ。このシステムにより、ユーザーは死闘へといざなわれることになる。

 リゲインとは敵の攻撃を受けたときに、一定時間内であれば、いくばくかのHPを取り返すことができるというもの。これは、防御の概念をより戦略的に転換し、いうなれば“能動的なガード”というものになるとのことだ。

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 これまでの作品での盾による防御は、敵から攻撃された1点のみのタイミングだったが、リゲインは一定の時間内という幅があるなかで、どのタイミングでHPを取り戻すか、あるいは取り戻さないかということを戦略的に判断することができる。もちろん、闇雲な反撃をしてしまうと、さらなるダメージを受ける可能性もあるので、そのあたりは注意が必要となるようだ。

 山際氏自ら、コントローラを握り、どのように“リゲイン”が行われるかのデモプレイをしつつ解説が行われた。

 敵からダメージを受けた場合、そのダメージぶん、自分のHPゲージが黄色く表示されるのだが、この表示中がリゲインのチャンスとなる。このタイミングで相手に攻撃を加えるほど、HPを取り返し回復するということができるのだ。まさに“能動的なガード”と言える攻めの自衛手段となる。この際、連続で攻撃を受けてしまうと、リゲインのチャンスを失うことになる。

 そもそも、なぜ一定時間であれば体力を取り戻せることができて、一定時間経ってしまうと取り戻すことができないかという部分について、宮崎氏は次のように考えているそうだ。

 本作のHPを“意志の力”とイメージしていて、HPが減ることは“心が折れる”こと、HPがゼロになることは“心が完全に折れきってしまった”ことを意味するとのこと。ダメージを受けた直後は、まだ心が折れきっていないため、うまくやり返すことで心を奮起させることができ、それが一定時間たってしまうと、あきらめモードになってしまい、取り戻すことができないという。

 心を折られても折られても、どれだけ奮起して再び立ち向かうことができるかが、プレイヤーには問われることになりそうだ。

 『Bloodborne』では、この“リゲイン”と変形する武器と、銃、そして軽快なアクション・立ち回りによって、能動的なアクションの実現を目指しているが、セッションでは、ここから新たな武器の情報も公開された。

 本作の武器は、変形機構を持っており、変形しながら同時に攻撃を行うこともできる。すでに公開されている“ノコギリ鉈”は、変形攻撃のリーチの違いを生かして、シールドを持った敵にうまく立ち回ることができるようだ。

 新たに公開された武器は2つ。しなるような柄を持つ武器で、状況に応じて対応力を高められる“獣狩りの斧”は、片手斧から両手斧に変形し、一撃必殺の攻撃力を秘めスキが大きいものの、リゲインで取り戻せるHPが多いという特徴を持っている。

 また、“クイ打ち機”と呼ばれる武器は、変形することで腕に装着することができ、チャージして攻撃することで相手に射出(しかしリーチは非常に短い!)することができるという、いかにもフロム・ソフトウェアらしいロマンあふれるギミックを確認することができた。

 本作には、今回公開された仕掛けとして変形が非常にわかりやすい武器から、一見どうやって使っていいのかわからない武器まで数多く用意されているとのこと。

 デモの最後には、“ヘムウィックの墓地街”という新たなマップも公開された。

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▲新マップ“ヘムウィックの墓地街”。

 カラスが飛びかい、葉のない鋭い枝を持つ木が生い茂る不気味な墓地を進むと、武器を振り回す多数の“墓守女”というモンスターたちと遭遇。1対1だけでなく,1対多数の敵との戦いも乗り越えていく必要のある本作では、一見困難な状況でも、相手の弱点やスキをきちんと突くことで乗り越えられるようになっている。今回の“墓守女”は老婆のような見た目をしており、ローリングで体当たりすることで大きなスキを作ることに成功していた。

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 デモのレポートは以上となるが、ここからは、会場でプレイすることができた試遊版のレポートをお届けしていく。

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▲試遊はホール7のPlayStationブース内にあるクローズドスペースでプレイできた。

 試遊は、2つの装備セットから1つを選択することができた。1つノコギリ鉈と散弾銃のような銃の組み合わせ、もう1つはセッションでも公開された“獣狩りの斧”とピストルの組み合わせ。今回は、スタンダードなノコギリ鉈と射程は短いものの集団の敵に効果がありそうな散弾銃の組み合わせを選択した。

 今回プレイできたマップ“聖堂街”は、いたるところに装飾された椅子や棺桶などが無造作に置かれており、不気味な雰囲気。これまでの宮崎氏の作品のような縦構造もあり、探索しがいのありそうな印象だ。恐怖の予兆のようなものを重要視しているというとおり、街のあちこちからさまざまな音や鳴き声が聞こえてくるため、緊張感のある探索が体験できた。

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 ちなみに試遊版の基本操作方法は、左スティックで移動、右スティックでカメラ移動、×ボタンがアクション、○ボタンがローリング(※欧州での試遊のため、×が決定)、△ボタンが回復アイテムを使った体力の回復、□ボタンがアイテムの使用となっていた。攻撃は、R1ボタンで右手武器攻撃、R2ボタンで右手武器強攻撃、L1ボタンで武器の変形ならびに変形攻撃、L2ボタンで左手武器(ほとんどが銃?)となっていた。

 また、ゲーム画面のUIは左上に集約されており、赤で表示されたHPゲージ、その下に緑で表示されたスタミナゲージがあり、これらゲージの左には、回復アイテムの数量を示す数字が表示されていた。さらにその下にアイテムが2つ表示されており、これらは方向キーで切り替えることができた。

 2つのアイテムは、回復アイテムとそのほかの道具(銃の弾丸もここに分類されていた)という形でわけられていた。『ダークソウル』などではほとんどの場合、回復アイテムで道具の欄が占められていたため、今回はより道具のバリエーションを活用できるようにするための仕様とのこと。なお、敵にオイルを投げつけてから、火炎瓶をぶつけると敵が炎に包まれるといったこともあるようで、さまざまなアイテムの登場にも期待したいところ。

 新しい要素を体験してもらうために、試遊版の難易度は製品版のものよりかなり下げてあり、バトル自体はサクサク進められた。R1R2の右手武器攻撃の最中に、L1の武器変形攻撃を織り交ぜるような戦い方も新鮮で、相手の懐に入って攻撃を重ね最後は散弾銃で周囲の敵とともに一気に吹き飛ばすというような爽快感のあるバトルも楽しめた。

 そしてリゲインシステムのおかげで、これまでの作品のようなジリジリとしたにらみ合いという形ではなく、ダメージを受けてしまったら、迷わず攻撃してHPを取り戻す! という“能動的なガード”という言葉の意味を実感できる場面も多く、これまでと違う戦略的なバトルが展開されていきそうだ。

 セッションで山際氏が「自分のアクションに対しての敵や周囲の反応など、リアルタイムのイベントに非常に力を入れている」と語っていたとおり、何かのきっかけで敵に見つかると集団戦となってしまい、袋叩きに!という展開もあり、筆者も何度か散ってしまった……。

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▲何かがきっかけでこの写真のように敵がすっ飛んでくることになることも。試遊機では終盤に犬に吠えられると、この声に周りの敵が反応してあっという間に囲まれるという状況になった。

 まわり道して広場まで向かうか、まわり道せずに、段差を飛び下りていきなり広場に降り立つかなど、短いプレイ範囲ながら攻略ルートもさまざまに用意されている印象で、すべてはプレイヤーの判断で立ち向かっていく必要がありそうだ。

 14日から一般公開日となったgamescom 2014。『Bloodborne』の待機列の待ち時間は4時間を超えているそうだが、筆者も心をリゲインして、本日も試遊版をプレイしに向かうつもりだ(今度は獣狩りの斧を使ってみたい!)。

■『Bloodborne』スクリーンショット

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