News

2014年8月16日(土)

スクウェア・エニックスとDONTNODがタッグを組んだ意欲作『Life Is Strange』は“時間を操る”少女の物語【gamescom 2014】

文:電撃オンライン

 ドイツ・ケルンで開催中“gamescom 2014”のスクウェア・エニックスのビジネスエリアにて、DONTNOD Entertainmentが開発を進めているPS4/PS3/Xbox One/Xbox 360/PC用アドベンチャー『Life Is Strange』(日本での発売は未定)のデモセッションが開催された。ここでは、その模様をお届けしていこう。

『Life Is Strange』

 『Life Is Strange』は、エピソードに特化したモダンアドベンチャーゲームで、オレゴン州の架空の町”Arcadia Bay”という美しい町が舞台となり、時代は現在。本作は、水彩画のタッチと手描き風の文字を織り交ぜた独特のビジュアルが特徴。主人公は、MAXという高校生の女の子。

『Life Is Strange』

 マックスは5年ぶりに故郷のこの町に戻ってきて、当時の友だちだったクロエのもとを訪ねる。クロエは父親をなくしたことにより、心に深い傷を負っており、髪の毛を水色に染めるなど当時の面影はまったくなくなっていた。そしてさらに、クロエの高校の友だちであるレイチェルという女の子が謎の失踪をとげており、物語はこれらの事象が絡み合いながら進んでいくことになるようだ。

『Life Is Strange』
▲5年ぶりに故郷の町に戻ってきたマックス。
『Life Is Strange』 『Life Is Strange』
▲幼なじみのクロエはすっかりとグレてしまっていた。
『Life Is Strange』
▲物語はこの2人を中心に進んでいくようだ。

 このシークエンスの直前にマックスはある不思議な能力を手に入れていた。それがゲームを進めるうえでも非常に重要なファクターとなる“時間を巻き戻す能力”。彼女はこの力を駆使しながら、レイチェル失踪の謎を解いていくことになり、これがゲームの大きな目的となる。

『Life Is Strange』 『Life Is Strange』
▲時間を巻き戻してやり直すことができる能力を持つマックス。しかしその区間には限界があり、限界を超えるとエフェクトが表示される。

 この能力についてプレイデモにて、詳しく解説を行ってくれた。デモは、クロエの部屋を中心に展開。基本的にマックスを動かしながら、部屋などにあるオブジェクトを調べていくといった通常のアドベンチャーゲームと同様に進めていくことになる。ただ、自分の起こしたアクションに対しての結果が気に入らない場合などに、”時間を巻き戻す能力”を使えば、何度もやり直すことができ、先の展開が変化していくことになる。

 ささいなものからストーリーの分岐にかかわるものまで、その変化は多岐にわたる印象。前者としては、クロエの私物を床に落としてしまいクロエに怒られるといったシーンを、巻き戻して私物を落とさないように行動するようなシーンが見られた。そのほか、クロエとの会話の選択を行う場面も多く見られ、この会話さえも展開をやり直したければ、いつでも巻き戻すことができるようだ。

 そして、ストーリーの分岐にかかわるものとして、このデモでは、次のようなシーンが披露された。

 部屋で2人で過ごしていると、クロエの現在の育ての父親が、怒鳴り声をあげて階段を上がってくる様子。部屋に鍵をかけて抵抗しようとするクロエは、マックスに隠れるよう指示をする。ちなみに、この育ての父親が怒っているのは、少し前のシーンでマックスが階下の部屋で父親のファイルをあやまって汚してしまったため。じつはこのシーンも巻き戻すことで、父親は怒らないのだという。

『Life Is Strange』
▲物語はクロエの部屋で展開していく。
『Life Is Strange』
▲気分よく音楽を聞いて踊っていると、怒鳴り声とともにデイビッドが部屋にやって来ようとする。

 結局隠れることに失敗したマックスとクロエは、部屋に入ってきた父親に怒鳴り散らされることに…。そして、ここで父親がある件に関して、クロエを問い詰めるシーンが描かれる。困ったクロエは、とっさにマックスにその罪をなすりつけようとするのだが、ここで会話の選択肢が発生する。クロエのウソを指摘し「それはクロエによるものだ」と答えるか、ウソを受け入れ「自分がやった」と回答するか…というもの。

『Life Is Strange』 『Life Is Strange』
▲部屋で隠れるようにクロエに言われて押入れに入ろうとするマックスだったが、立てかけてあったものが倒れてしまい、押入れに入れなくなった。そして2人そろって叱責をうける。ここであるものが見つかったクロエをかばうか、正直に言うかで物語が分岐する。

 このデモでは、まずクロエがウソをついたことを指摘する選択肢を選択。すると、父親はクロエをさらに怒鳴りつけ部屋を出ていく。クロエはマックスに失望の言葉を投げかけ、2人の関係は悪化してしまう結果に。

 ここで時間を巻き戻し、今度は“自分がやった”と受け入れると、先ほどの選択肢とはうって変わり、クロエがマックスに感謝し、2人の関係は良好なまま物語が進行していくことになる。

 ちなみに、“時間を巻き戻す能力”はある程度幅のあるチェックポイントとチェックポイントの間であれば、任意のタイミングで何度も巻き戻すことでできるそうだ。

『Life Is Strange』 『Life Is Strange』
▲デイビッドが部屋にやってくるようになった理由は、マックスがキッチンで失敗をして、写真を汚してしまったから。
『Life Is Strange』
▲ドライバーを取ろうとして失敗してしまったマックスは、時間を戻してやり直す。

 今回のデモはここまでとなったが、選択の結果がその時点ではよかったと思えたとしても、その先のエピソードではそのことが原因で物語が悪い方向に進んだりすることもあり、その逆もまたあるという。ウソを指摘したほうがよかったのか、受け入れたほうがよかったのか、どちらにしても選択の結果によって物語は大きく変化していくことになる。

 現代のアメリカの架空の町が舞台で、ファンタジーでもなくリアルな世界が描かれている。“時間を巻き戻す能力”はゲームをベースに若者のリアルな葛藤が青春映画のように丁寧に描かれている印象だ。目を引くグラフィックとともに、バックで流れるさまざまなオルタナロック調の曲も非常に印象的な要素になっていた。

 本作は、全5章のエピソードからなる配信タイトルとなり、各エピソード2~3時間のストーリーが楽しめる(もちろん分岐や巻き戻しなどを考えるとそれ以上)とのことで、各エピソードの物語の変化はのちのエピソードにそのまま影響を与えていくことになる。定期的なスパンで配信を検討しているが、現在のところ価格などと含めて未定とのこと。

 DONTNOD Entertainmentとスクウェア・エニックスが共同で開発を進めており、「AAAとインディーズの中間の立ち位置を目指しており、AAAインディーズと呼んでいる」とのことで、完成が楽しみな作品となることは間違いないだろう。

『Life Is Strange』
▲本作のデモは、DONTNOD Entertainmentのゲームディレクター兼アートディレクターのMICHEL KOCH氏、プロデューサーのLUC BAGHADOUST氏、ゲームディレクターのRAOUL BARBET氏と、スクウェア・エニックスのPRマネージャーのアダム・フィリップス氏によって行われた。
『Life Is Strange』 『Life Is Strange』
▲デモは、クロエのイメージをモチーフにした部屋で行われており、壁には、雑誌の切り抜きや落書きが再現されていた。
『Life Is Strange』
▲開発者からいただいた、架空の町“Arcadia Bay”のボールペンと、作中に登場する印象的なポラロイド写真!

関連サイト