2014年8月30日(土)
『マブラヴ』シリーズのアナザーストーリーをまとめたPS3用アドベンチャーゲーム『マブラヴ photonmelodies●(フォトンメロディーズ)』(●はナチュラル記号)がついに発売されました!
先日お届けした特集企画“今さら聞けない『マブラヴ』の基礎知識”に引き続き、本記事では『photonmelodies』の収録内容をご紹介したいと思います。
収録コンテンツの1つ『かがやく時空(とき)が消えぬ間に』にはPC版からの変更点もありますので、すでにプレイしたことがある人も、ぜひチェックしてみてくださいね!
2007年8月に発売された『マブラヴ オルタネイティヴ』のファンディスク『マブラヴ ALTERED FABLE(オルタードフェイブル)』。本作に収録された『オルタ』本編のエンディング後を描いたアフターエピソードが『かがやく時空が消えぬ間に』です。
恋愛原子核となってハーレム状態となった主人公・白銀武とヒロインたちが、球技大会やスキー&温泉、南の島への旅行を楽しみ、やがて“とある事件”に巻き込まれる……といった内容になっています。
●『かがやく時空が消えぬ間に』ストーリー
いつもと変わらぬ日常?を過ごす武たち。
ある日、教員交換留学制度によって、4人の教諭が赴任してきた。さらに賑やかになる日々だったが、そんな武たちの様子を伺う不審な男の影があった――。
【主要人物】
▲白銀 武(しろがね たける) | ▲鑑 純夏(かがみ すみか) |
▲御剣冥夜(みつるぎ めいや) | ▲榊 千鶴(さかき ちづる) |
▲彩峰 慧(あやみね けい) | ▲珠瀬 壬姫(たませ みき) |
▲鎧衣 美琴(よろい みこと) | ▲柏木 晴子(かしわぎ はるこ) |
▲御剣 悠陽(みつるぎ ゆうひ) | ▲社 霞(やしろ かすみ) |
▲イリーナ・ピアティフ | ▲イルマ・テスレフ |
▲アルフレッド・ウォーケン | ▲パウル・ラダビノッド学園長 |
▲チャック・ザウバー |
この作品の魅力はなんといっても登場キャラ! 『マブラヴ』エクストラ編には登場せず、『オルタ』で新たに登場した追加キャラたちとのドタバタ劇を楽しめます。『オルタ』をプレイして、そのサブキャラたちが登場する日常シナリオを見たくなった……という人にオススメできます。
そんな大人数の登場キャラが織りなす物語は、「細けぇこたぁいいんだよ!」と言えるほど、ハチャメチャでドタバタな日常となっております(笑)。
ヒロインのパンチを食らって宇宙まで吹っ飛ぶ、ヒロインの金の力で街が改造される、ちょっとおかしなオリジナルキャラが登場するなど、かなりギャグに振りきった内容で、エクストラ編とは少々趣が異なります。
もっと普通の日常が見たかった、という印象もあるにはありますが、これはこれでよいものです。『オルタ』をクリアした人ならば、これが主人公たちが命をかけて戦った結果、望み、得たものなんだと感慨深いものがあると思いますよ。
上記以外にも、アージュの総合演出システム“AGES(エイジェス)”の進化も大きな魅力です。『マブラヴ』や『オルタ』でも素晴らしかった演出が、『かがやく時空が消えぬ間に』でもっともっと進化しています。というか、よくこれを作ったなと思うレベル……(作業的に)。
まず、キャラが動かないシーンのほうが少ないと肌で感じるほど、本当にキャラがよく動く。1クリックするごとに絶えず各キャラが思い思いに動くので、前作までで感じた“ADVとアニメの中間を狙った作品”という印象がさらに強くなりました。ADVというよりも、もはやアニメ寄りの作品です。それぐらい動きます。
あとは細かい演出がグッド。カメラを天井に向けて立ち絵を配置することで、寝ている主人公をヒロインたちが覗き込むというシーンをイベントCGを使わずに表現していたり、ヒロインの立ち絵のひざ下ごしに複数人の立ち絵を表示して、それぞれの心の位置と心情を表現したり、画面を分割し、それぞれに立ち絵を配置することで『24 -TWENTY FOUR-』をパロったりと枚挙に暇がないです。
本作のような演出に力を入れたADVをプレイしたことがない人が体験すれば、ADVに対する印象がガラっと変わると思います。
PS3版『かがやく時空が消えぬ間に』は、PC版と大きく違う点が3つ存在。どのような変更点があるのか、以下でまとめたいと思います。
・変更点1 ミニゲームの排除
ゲーム中に登場するビーチバレーやスキーゲームなどのミニゲームがなくなりました。原作のビーチバレーは本当に難しかったため、周回する際はサーブ時にわざと落とすようにしていた私にとって、非常にありがたい変更点です。何周もしているのに、一度もレシーブできなかったんですもの!(笑)
▲ビーチバレー大会自体がなくなったわけではなく、今作ではキャラクターを選択することで物語が展開していきます。操作する必要はありません。 |
・変更点2 マップ移動システムの変更
ゲームの中盤以降、主人公たちは南の島を訪れるのですが、そこから急にマップ移動システムが登場します。PC版では行先だけが表示されて、誰がどこにいるのかわかりませんでした。しかも、選択肢が多すぎて、どれを選んでいいのかまったくわからない。PS3版では、時間ごとに誰がどこにいるのかある程度わかるようになり、好みのキャラのエピソードが読みやすくなっています。
▲一部の移動先は、登場キャラが隠されていることも。 |
・変更点3 壁紙モードの追加
PS3のトロフィー機能のような形で、『かがやく時空が消えぬ間に』を読み進めると壁紙を入手します。手に入れられる壁紙は雑誌などに掲載された版権絵、カレンダー用のイラスト、公式サイトに掲載されたヒロインの誕生日イラストなどです。特に誕生日イラストはタイミングを逃すと見ることが難しいので、じっくり眺められるのはうれしいです。
『オルタ』本編の1年6カ月前が舞台の作品『DUTY -LOST ARCADIA-』。本作に登場するイルフリーデ・フォン・フォイルナーたち“ツェルベルス大隊”の面々のキャラ性や活躍を、日本帝国斯衛軍の士官候補生・真壁清十郎の視点で体験できるシナリオです。
●『憧憬』ストーリー
激戦極める欧州の最前線の要衝・ドーバー基地群(コンプレックス)。日本帝国斯衛軍の士官候補生・真壁清十郎は視察のために同地を訪れる。彼は高名な“ツェルベルス大隊”に配属されるが、自由奔放な部隊員達のふるまいに大きな衝撃と落胆を覚える。
真壁の家柄や斯衛という身分を背負い、その名を穢(けが)さぬよう努めてきた清十郎には、到底受け入れがたいものであったが、部隊員と接するうちに、己の生き様には本質が抜けていることに気づくのだった――。
【主要人物】
▲真壁 清十郎(まかべせいじゅうろう |
▲イルフリーデ・フォイルナー | ▲ヘルガローゼ・ファルケンマイヤー |
▲ルナテレジア・ヴィッツレーベン | ▲ヴィルフリート・アイヒベルガー |
▲ジークリンデ・ファーレンホルスト | ▲ゲルハルト・ララーシュタイン |
▲ブリギッテ・ベスターナッハ | ▲ウォルフガング・ブラウアー |
『マブラヴ』のサイドストーリーらしく、突き抜けたパロとコミカルな展開が魅力の1つ。しかし、もっとも大きな魅力は『マブラヴ』本編と同じく“少年から大人へと変わる成長物語”です。
▲そこかしこでどこかで見たことがあるような光景が……。主人公のビジュアルやポーズを初めてみた人は、必ずや衝撃を受けるでしょう(笑)。 |
これでもかというくらいパロとコメディの天丼で真壁清十郎の個性をプレイヤーに印象付ける一方、あるシーンをきっかけにカチリとスイッチを切り替え、後半でしっかり締める。あんなに笑えるシーンばかりだったのに、不思議と後半は感動して泣けるというアージュお得意の手法ですね。ギャップの使い方が非常にうまい。
この先をもっと見たい! そう思わせてくれるキレイなラストシーンもあって、『マブラヴ』シリーズの未来に期待させてくれる作品です。プレイして損はありません。今後の作品でも清十郎が活躍してくれることを願っています。
▲ちなみに、本作は選んだ選択肢によって見られるイベントが変わります。何週しても、必ずヘルガさんのイベントを選んでしまう私……なんなんでしょうね? |
『再誕』は、PC用ソフト『マブラヴ オルタネイティヴ クロニクルズ 03』に収録された中編シナリオです。時系列は『オルタ』本編よりも少しだけ前で、元気な伊隅ヴァルキリーズの面々を見ることができます。主人公は、欧州連合情報軍中尉のシルヴィオ・オルランディです。
●『再誕』ストーリー
2001年晩夏。欧州連合情報部所属のシルヴィオ・オルランディは、傷痍軍人強化プログラムによって、身体の一部をサイボーグ化。並外れた身体能力で様々な極秘任務をクリアするエリートだった。
今回の任務は、国連横浜基地の副司令・香月夕呼(こうづき ゆうこ)の護衛。日本に降り立った彼は、夕呼お抱えの特殊部隊・ヴァルキリーズと顔を合わせるのだが、彼女達の態度はどう考えても奇妙そのもの。明らかにシルヴィオを誘惑しているのだった――。
【主要人物】
▲シルヴィオ・オルランディ | ▲レンツォ・フォンディ |
▲宗像 美冴(むなかた みさえ) |
このシナリオもパロとコメディの秀逸さ、ラストへ向けての畳み掛け方、スイッチの切り替え方が魅力なところは『憧憬』と変わりません。
▲まさかの『君が望む永遠』ネタに『君のぞ』ファンならニヤリとできるでしょう。その他、シルヴィオの目はカメラとなっていて、胸やお色気シーンを撮影しまくるのですが、RECと出るたびに笑ってしまいます。 |
個人的に最大の魅力だと思うのは……宗像 美冴(むなかた みさえ)が超カワイイということ!!!! 私は『オルタ』をプレイして宗像中尉に惚れ、リメイク版『君がいた季節』も大いに楽しんだ人間です(笑)。
そんな人間にとって、主人公・シルヴィオと“とある”パートナー関係を結んだ宗像中尉が見せる、可愛らしい顔、クールな顔、強さ、弱さなど、いろいろな部分を見られるところが本当に魅力的でした。これはもう『ミサエマニアックス』なんじゃないか? 宗像中尉のファンディスクなんじゃないか? と感じるほど、宗像中尉ファンにとっては最高のエピソードが満載です。
▲個人的にヴァルキリーズで一番好きなキャラが宗像中尉なんです。なので、彼女をフィーチャーしてくれたこの『再誕』は最高のゲームでした。私と同じ志を持つ方は、より楽しめると思います! |
しかも、後半の展開はめちゃくちゃアツイし、感動します! これまで描かれなかった新たな設定が登場するなど、『マブラヴ』ファンは見逃せないシナリオになっているので、オススメしかできません。“今さら聞けない『マブラヴ』の基礎知識”で「『再誕』超オススメ!」と書いたのは、これらが主な理由ですね(笑)。ゲーム化されているサイドストーリーの中で、もっともおもしろい作品だと思います。
▲夕呼先生にも認められる能力を持った後半のシルヴィオは非常にカッコいいです。笑えて泣けて、熱くなれる『再誕』は、中編シナリオとしてとてもよくできていると思います。 |
『photonmelodies』に収録されているのは上記3編のみなので、ボリュームが少ないと感じる人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。普通のADV1本分かそれ以上のボリュームがあります。
特にオススメなのは『再誕』ですが、他の2つもそれぞれ違った魅力がありますので、未プレイの人はぜひ体験してほしいです。これらを体験すれば、より深く、『マブラヴ』の世界にハマれるはずです。
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