2014年9月2日(火)
8月30日、東京・お台場で『電撃文庫 FIGHTING CLIMAX(電撃文庫FC)』初の公式全国大会“夏の電撃文庫FIGHTING祭”の決勝戦が開催された。当日の模様を大会以外のイベントも含めてレポートしていく。
本大会は全国で行われた予選を勝ち抜いた猛者30名に、当日予選を勝ち抜いた2名が加わった総勢32名で行われるもの。解説役として、セガの寺田貴治ディレクターと開発を手掛けたフランスパンから芹沢鴨音氏も登場し、場内は開戦前からヒートアップしていた。なお、本大会にて『電撃文庫FC』に登場したボスキャラのアキラが、PS3/PS Vita版にプレイアブルキャラクターとして参戦することが発表されている(関連記事)。
大会の口火を切ったのは『電撃文庫FC』に登場するキャラクターに扮したプレイヤーが激戦を繰り広げるコスプレ部門予選。コスプレをしたプレイヤーというと、対戦で勝つことよりもキャラクターを動かすことを楽しむという印象を持つ人もいるだろう。しかし、本大会は公式全国大会。しかも、このコスプレ部門の優勝者はそのまま決勝大会へ進むことができるとあって、全員コスプレだけでなく『電撃文庫FC』の腕前もハイレベルに仕上がっていた。
▲各部門の開催時には、スクリーンをぜいたくに使った演出も! |
この予選で特徴的だったのは、コスプレをしているキャラクターと使用キャラクターが一致している人が多かったこと。これは各キャラクターへの愛があってこそのものだろう。そんななかコスプレ部門予選に優勝したのはシャナを使い、自身もシャナに扮したあさみ氏。クライマックスゲージを惜しまず“紅蓮の双翼”を決めていくスタイルで見事、決勝大会へのキップを獲得した。
▲こちらがコスプレ部門予選優勝者のあさみ氏。気合いの入ったシャナコスでも会場を大いにわかせた。 |
コスプレ予選大会に続いて行われたのは当日予選。こちらも優勝者は決勝大会にコマを進める点はコスプレ部門と同様だ。しかし、コスプレ部門の参加者は11人だったのに対して当日予選の参加者は32人。決勝への門はより狭きものとなっていた。
▲本大会は基本的に4試合が同時に進行していく。開発スタッフの意見やギャラリーの声などによって、いずれかの試合が一回り大きなサイズで画面に映し出された。 |
この予選では参加者の使用キャラクターがばらついており、7月に参戦した姫柊雪菜と里見蓮太郎も含めて、本作に登場しているほぼすべてのキャラクターを目にすることができた。さらに『ストライク・ザ・ブラッド』の姫柊雪菜と暁 古城など、プレイヤーキャラクターとサポートキャラクターを同じ作品で統一していたプレイヤーも多くいた。
その試合内容は寺田ディレクターが「これ、決勝じゃないんだよね?」と口にするほどハイレベル。どのプレイヤーもスキのない立ち回りを見せながら、ほんのわずかに相手を上回った側が勝利するといった形になった。
試合の決め手となったのは、どの試合でもクライマックスアーツとパワーアップブラスト。いち早くコンボにパワーアップブラストを組み込むことでクライマックスゲージを確保し、次のコンボにクライマックスアーツを決めるというのが勝者の黄金パターンだった。
『電撃文庫FC』はコンボにクライマックスアーツを組み込んでも、クライマックスアーツのダメージ量にかかる補正が少ないのでこの「クライマックスゲージの確保」と「クライマックスアーツを組み込んだコンボ」というのが非常に重要となる。
▲『電撃文庫FC』のシステムはシンプルながら多彩。すべてを使いこなすプレイヤーがより高みへと昇り詰めていった。 |
予選の準々決勝では途中で機械トラブルにより試合が中断するシーンもあったが、ゲージ状況などをプレイヤー同士で話し合ったうえで確認して改めてプレイが再開した。そんな中、どちらが勝利してもおかしくはないバトルが続いたが、大会には魔物が棲むという対戦格闘黎明期から言われている言葉のとおり本大会でもまさかの逆転劇が多数見られた。
印象的だったのが、準決勝でのせがわ選手と空手健児選手の最終ラウンド。残り体力わずかとなったせがわ選手の雪菜に、空手健児選手のコンボが炸裂するがなぜかコンボブラストが暴発。しかも空手健児選手は勝利を確信してすでに席を立っているとなってはこのシチュエーションは「魔物」と呼ぶほかにないだろう。結果、せがわ選手が棒立ちの相手に好き放題コンボを決めて大逆転を果たした。
そんなドラマティックなシーンを制したせがわ選手と安定した立ち回りで猛者を退けてきたにえとのの選手により行われた、当日予選大会決勝戦が開始。雪菜を使うせがわ選手に対してにえとのの選手はシャナを選択、サポートキャラクターはお互いに暁 古城を選択した。
この古城のアクションの1つ、レグルス・アウルムを呼び出す攻撃は攻撃発生こそ遅いものの攻撃回数が多く、ヒットした相手を浮かせる性質を持っている。そのため、コンボを決められる→相手が古城を呼び出す→レグルス・アウルムの攻撃をガードしている最中にガードを崩されると追撃が確定という、一発勝負の大会に適したサポートキャラクターといえるだろう。
▲普段から古城を使っている2人だけに、レグルス・アウルムをリフレクションガードするといった対策も完璧だった。 |
そんな1回のミスがKOを招くようなシビアな試合を制したのはにえとのの選手。古城を使った立ち回りはほぼ五分だったが、クライマックスアーツをからめたコンボの安定性でシャナに軍配が上がったようだった。
さて、2つの当日予選を経てようやく『電撃文庫FC』最強を決める決勝大会がスタート! 決勝戦参加メンバーの使用キャラクターは、シャナ7名、アスナ8名、美琴2名、桐乃5名、静雄1名、黒雪姫3名、智花2名、キリト3名、蓮太郎1名。
ゲームセンターなどでも数多くのプレイヤーが使用している、シャナやアスナでの参加者がやや多いのは本作のプレイヤーなら予想どおりといったところだろう。
▲トーナメント表に並んだそうそうたる面々。キャラクター別GRADEランキングトップも当たりまえのように参戦している。 |
ここからの試合も序盤は4台同時進行。正直、複数の試合を同時に見ることができないのがもったいないと言える試合ばかりだった。なかでもイモ選手の静雄やOZ選手の蓮太郎といった、現状多くのプレイヤーが強さを見いだせていないキャラクターによる立ち回りは、会場やニコニコ生放送で本大会を視聴したユーザーに多くの感銘を残したことだろう。
また、シャナVSシャナやアスナVSアスナといった同キャラ戦も何度か見ることができ、どちらがシャナ(アスナ)最強プレイヤーかを決めるにふさわしい熱い戦いが繰り広げられた。そんな激戦を経て決勝に進んだのは智花とキノを使うはま~選手、そして桐乃とリーファを使うバター選手の2人。
バスケ部メンバーにキノを加えた変幻自在の起き攻めが魅力のはま~選手と、桐乃のアスリートダッシュ(C)にリーファのアクションを合わせてジャンプキャンセルから攻めるバター選手という攻め方こそ違えど、どちらも一度チャンスをつかんだら一気に試合を決める展開の多かったプレイヤーだ。
『電撃文庫FC』最強がこの試合で決まるとあって、会場の緊張感もクライマックス。しかし、第1ラウンドははま~選手がなにもできず、バター選手がパーフェクトで勝利を飾る。続く第2ラウンドも序盤はバター選手の優勢で進み、このままバター選手の優勝で決まるかと思われた。
しかし、ここでわずかなスキに弱攻撃をヒットさせたはま~選手が得意の起き攻めに移行。日舞演目・『対空』ヒット後にキノの→+Sの射撃で追撃し、氷の絶対女王政 -アイスエイジ-を繰り出すという立ち回りから流れをつかんでラウンドを奪い返した。
そして、運命の第3ラウンド。2人の攻防は一進一退というところだったが、クライマックスゲージを4本ためたはま~選手がゲージを惜しみなく使い、第2ラウンドでも見せた起き攻めを狙いにいった。智花といえば起き攻めが強力なキャラクターだが、はま~選手の見せたこの起き攻めは通常よりも早いタイミングで智花が動き出せるため対応が非常に困難。そのまま攻めてダウンさせて、さらに攻めてと流れるようにバター選手の桐乃の体力を減らして、ラストはRO-KYU-BU!で締めてKO!
この瞬間、『電撃文庫FC』の初代覇者がはま~選手に決定した! 寺田ディレクターから173センチ(!!)の高さを誇るトロフィーが授与され、大会はフィナーレへ。
▲ステージ上に登壇したときから自信タップリだったはま~選手(写真左)。むしろ優勝が決定したあとの方が肩の力が抜けている様子だった。 |
大盛り上がりのうちに終了した本大会だが、大会の合間にはいくつかのイベントも催された。まず1つ目は公式サイトなどで募集されていた『電撃文庫FC』の公認応援団・電撃FIGHTINGガールズのお披露目会。芦澤佳純さん、高田亜鈴さん、高橋百合子さん、十束祐梨子さんの4人がステージ上へ登場し、それぞれの意気込みを語るとともにその後の大会のサポートなどを行った。なお、電撃FIGHTINGガールズは今後、東京ゲームショウをはじめ『電撃文庫FC』に関するイベントやプロモーション活動に参加するとのことだ。
▲白をベースに青をあしらったコスチュームは、公式サイトなどで見られる『電撃文庫FC』のイメージとの対比が感じられる。 |
▲電撃FIGHTINGガールズの初仕事となったのは、完全攻略本やプライズなどのグッズ情報のお知らせ。寺田ディレクターいわく「今後も新情報を用意している」とのことだ。今後、数々のイベントに登場するであろう彼女たちの活躍も要注目。 |
さらに『電撃文庫FC』に登場するキャラクターに声を当てた声優陣を招いてのトークショーも実施。大亀あすかさん、佐藤利奈さん、種田梨沙さん、日高里菜さん、間島淳司さんの5人を招いてのトークショーでは、コンシューマ版発売にあたって新規にボイスを取り直したという話や、逢坂大河が高須竜児を呼び出すときに「行け、駄犬」という新ボイスが用意されているなどの話が飛び出した。
さらに開発中の苦労話として、種田さん演じる姫柊雪菜の「獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威をもちて我に悪神百鬼を討たせ給え」というセリフをクライマックスアーツの演出中に入れるため、なんどもリテイクがあったという話も聞くことができた。
▲トークショー中の企画“寺田ディレクターにあだ名をつける”というムチャブリにより、寺田Dは期間限定で“Tゾーン隊長”を名乗ることに(笑)。 |
そして大会の〆にはセガサウンドチームの光吉猛修氏、瀬上純氏、床井健一氏がステージ上に集結! 生演奏&生ボイスで本作のテーマ曲『FIGHTING CLIMAX』を聞けるという豪華なミニライブも催された。
▲イベントは最初から最後まで大盛況! ここまでの盛り上がりとともに聞ける『FIGHTING CLIMAX』は空前絶後!! |
今回の大会、開発スタッフだけでなくプレイヤーも一丸となって『電撃文庫FC』を盛り上げていこうという思いが強く感じられた。コンシューマ版の発売も控えていることもあって、今後も大会を含めた各種イベントが開催されるだろう。
本大会の会場に足を運んだ人はもちろん、今回は参加を控えた人もぜひ次回のイベントではこの「『電撃文庫FC』を盛り上げる側」にまわってほしい。きっとイベントを外から眺めるだけでは感じられない体験ができるはずだ。
(C)SEGA (C)2014 KADOKAWA アスキー・メディアワークス
イラストレーター/巖本英利
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