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2014年10月20日(月)

アポロン、はにわ、七支刀。GBの神ゲー『Sa・Ga2 秘宝伝説』座談会【サガ25周年記念連載】

文:MAC佐藤

 電撃オンラインでは2014年12月で25周年を迎えるスクウェア(※現スクウェア・エニックス)の名作RPG『サガ』シリーズを盛り上げるべく、シリーズ全作品を振り返っていく“サガ25周年記念連載”を展開中だ。

 連載第7回となる今回は、1990年12月14日に発売されたゲームボーイ用RPG『Sa・Ga2 秘宝伝説(サ・ガ2)』、およびリメイク作のDS版『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY(サガ2GOD)』の編集部座談会をお届けしよう。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』

【座談会参加者】

きっしー:『サガ』シリーズはGB3作とSFC3作をプレイ。地元・種子島で『魔界塔士 サ・ガ』を広めたのはオレだ! と勝手に思い込んでいる。『サガ』のおかげで友だちが増えた。最大の敵は玩具屋の孫。

そみん:初代『魔界塔士 サ・ガ』以来、シリーズを遊び続けてきた電撃オンラインのスタッフ。5年前の『サガ』20周年記念の際は、雑誌『電撃ゲームス』で連載コーナーを担当していた。

Mac佐藤:『電撃Nintendo』で執筆している『サガ』好きライター。初代『サガ』から『ロマンシング サ・ガ3』、そして『サガフロ2』の知識が豊富で、シリーズの中では『ロマサガ1』がもっとも好き。

【『Sa・Ga2 秘宝伝説』が発売された1990年はどんな年?】
<主な出来事>
・第1回大学入試センター試験実施
・ゴルバチョフがソ連で最初で最後となる大統領に就任
・F1日本グランプリで鈴木亜久里が日本人初の3位入賞
・スーパーファミコンが発売

<主なゲームソフト>
・『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』
・『デジタルデビル物語 女神転生II』
・『ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣』
・『ファイナルファンタジーIII』
・『メタルギア2 ソリッドスネーク』(MSX2版)
・『ドクターマリオ』
・『スーパーマリオワールド』
・『F-ZERO』

<主なTVアニメ>
・『ちびまる子ちゃん』
・『キャッ党忍伝てやんでえ』
・『魔神英雄伝ワタル2』
・『銀河英雄伝説』
・『NG騎士ラムネ&40』
・『ふしぎの海のナディア』

【サガ最新作の情報も掲載中】

■『サガ2』発売当時の思い出。ひと回り大きいパッケージの話題も

きっしー:『サ・ガ2 秘宝伝説』が発売されたのは、前作からちょうど1年後の1990年12月14日ですね。

そみん『魔界塔士 サ・ガ』の座談会と同じメンバーなので、皆さんの当時の年齢はわかっていると思いますが、一応確認しておくと、僕が中学2年生、Mac佐藤さんが中学3年生、きっしーさんが高校2年生ですね。

Mac佐藤:きっしーさんは、そろそろ種子島から脱出したころですか?

きっしー:いや、まだまだ(笑)。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』

そみん:ちなみに、いつ種子島から上京したんですか?

きっしー:高校を卒業した後ですね。だいたいみんな鹿児島へ行くんですけど、僕は東京へ。

そみん:エリート組だ(笑)。そういえば、前作はソフトを入手するのに苦労したそうですけど、『サガ2』はどうでしたか?

きっしー:ゲームショップが1つ増えたので、すぐ手に入ったんですよ。そこはもともと洋服屋だったんですけど、何を思ったのか突然ゲームを取り扱い始めて(笑)。そこの店主のおっちゃんが話のわかる人で、「『サガ2』は絶対売れるから!」と説き伏せて入荷してもらって、予約して手に入れました。

Mac佐藤:洋服とゲームって、すごくカオスな組み合わせですね。

きっしー:その後、『餓狼伝説』とかのアーケードのゲーム筐体も設置し始めて、さらにカオスな状況に(笑)。そして最終的には、店が火事にあって焼け落ちてしまったという……。

そみん:波乱万丈ですな。Mac佐藤さんの『サガ2』との出会いは?

Mac佐藤:僕はちょうど高校受験のシーズンだったので、一応勉強はしつつも、親に見つからないようにコソコソと遊んでいたような……。

そみん:前作と同じように、弟が買ったものを奪って?(笑)

Mac佐藤:いやいや、お金はちゃんと半分ずつ出しましたよ。それに奪い取って遊ぶと、「勉強しないでゲームしてる!」って親に告げ口されちゃうんで。

きっしー:立場が逆転した(笑)。そみんさんはどうでしたか?

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲主なシステムは前作を踏襲。肉を食べて変身するシステムも導入されていた。

そみん:僕の場合は、『魔界塔士 サ・ガ』の続編が出ると発表された時から、前作を一緒に遊んでいた友だちと熱く語り合ったのを覚えています。特に“秘宝”という言葉に心をわしづかみにされて、いったいどんな秘宝があるのかとか、みんなで秘宝談義に明け暮れてましたね。

Mac佐藤:いいなぁ。僕の場合は受験シーズンだったせいか、周りの友だちはほとんどプレイしていなくて、『サガ2』について語り合った記憶がないんですよね……トモダチガ イナカッタワケジャ ナイデスヨ?

そみん:なぜメカ口調に。『サガ』を種子島に広めたと自負するきっしーさんの周りではどうでした?

きっしー:『サガ』の楽しさはわかっていたと思うんですけど、みんなお金がなくて買えなかったみたいで。僕もあまりお金がなかったんですけど、散髪代として親からお金をもらっておきながら、コッソリ友だちに髪を切ってもらって自分の懐に入れて、なんとかソフト代をひねり出しました。最終的に親にばれて、大目玉を食らいましたけど。

そみん:ヒドイ話だ(笑)。

きっしー:それはともかく、『サガ2』といえば、パッケージが大きかったのが印象に残っていますね。

そみん:お店で他のゲームと一緒に並んでいると、かなり目立ちますよね。

きっしー:大きな箱の中に何が入っているんだろうと期待して開けてみたけど、普通にソフトと説明書だけという。

Mac佐藤:まあ、説明書の判型は他のゲームより大きかったけどね。

そみん:パッケージが大きいから説明書も大きくしたのか、説明書が大きくなったから箱も大きくしたのか……。

Mac佐藤:“鶏が先か、卵が先か”みたいな話になってますけど。

■前作と比べて大幅にスケールアップ! 音楽や秘宝、世界観などの魅力を語る

きっしー:『サガ2』を実際にプレイしてみて、前作と比べてどうでしたか?

そみん:いろいろと段違いだったという印象です。ストーリーがしっかりと作られていて、音楽もさらによくなっていて。フィールドの音楽“秘宝を求めて”を聞いた時はすごくワクワクしました。今聞いても思わず顔がニヤケます。

Mac佐藤:この『サガ2』から、イトケンこと伊藤賢治さんが作曲を担当されているんですよね。前作の座談会でも言いましたけど、GBの『サガ』シリーズで印象に残っている曲はほとんど『2』なんですよ。

きっしー:『サガ2』は名曲ぞろいですからね。20年以上たった今でも心に残っている曲が多いのは、すごいことだと思います。

そみん:バトル系の曲も熱かったですね。通常バトルの“必殺の一撃”、ボス戦の“死闘の果てに”、そして最終ボス戦の“Save the World”……ドキドキが止まりません!

Mac佐藤:“Save the World”は、『サガ2』の中で一番のお気に入りですね。あとは“勇者のテーマ”、そして“燃える血潮”も好きです。「オーリービーアーー!」。

そみん:あれは多くの人の心に残っている名シーンですね。このイベントの話はまた後ほど。

Mac佐藤:ちなみに、タイトル画面でコマンド(スタート+セレクト+Bボタン)を入力すると、サウンドテストで手軽に音楽を聴けます。この裏技を使って、好きな曲を延々と聴いてました。

きっしー:僕はしばらくその裏技を知らなかったので、わざわざ酒場に行ってジュークボックスでお金を払って聴いていましたよ。

そみん:あとは、77個の“秘宝”に惹かれたところもあるので、これを集めていくのも楽しかったですね。

きっしー:77個集めると聞いて「そんなにあるの? スゲーな!」と驚きましたよ。

そみん:ドラゴンボールの11倍ですからね。いったいどれだけ長い冒険になるのかと。秘宝を全部集めると“女神の像”になるという伝説があるんですけど、これが物語にどうからんでくるのか、ワクワクしながらプレイしていました。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲物語は77個の秘宝をめぐる形で展開。その数の多さに、当時のプレイヤーはとてもワクワクしたものだった。

Mac佐藤:77個集めた後の展開にも驚きましたね。「えー、ウソー!」みたいな(笑)。

きっしー:ガーディアンの情報操作に、いろいろな人が踊らされていたという。

Mac佐藤:物語後半に女神がパーティメンバーになった時は驚きましたね。“マサムネ”や“イージスのたて”といった秘宝の能力を使えるし、能力値も全部最大の99だし。

きっしー:その代わり、自分たちは秘宝を装備できなくなりますけどね!

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲秘宝は、能力値をアップさせる“マギ”系がメインだが、この他にも“マサムネ”や“イージスのたて”、テレポートができる“天使の翼”、味方全員を回復させる“女神の心臓”などがある。

そみん:システム的には、新しい種族として“メカ”が追加されました。メカはバトルでは成長しない代わりに、武器や防具を装備することで能力値が上がって強くなるところが新鮮でした。武器の使用回数は装備すると半分になるけど、ゼロになってもなくならず、宿屋に泊まれば使用回数が回復して何度でも使える、といった感じですね。

Mac佐藤:ガラスのつるぎやかくばくだんといった1回しか使えない武器は、メカに装備させると使用回数が端数切捨てでゼロになって、まったく使えなくなるんですよね。能力値は上がりますけど。

そみん:どの武器や防具を組み合わせて、どの能力値を上げていくか、カスタマイズが楽しかったですね。

きっしー:あと、人間の成長方法が変わりましたよね。前作では“ちからのもと”などの成長用のアイテムを買って能力を上げるという、ドーピングみたいな感じでしたけど、『2』ではバトル中に使った武器や防具に応じて能力が上がるというシステムになりました。

Mac佐藤:エスパーの能力値もランダムじゃなくて、人間同様に使った武器や防具に応じて上がるようになりましたね。力はまったくといっていいほど上がりませんけど。

そみん:エスパーガールの力が上がった時は、思わず目を疑ったほどです。

Mac佐藤:あと、特殊能力は最大4つまで覚えられるのですが、新しい特殊能力を覚える時は必ず装備欄の一番下にセットしているものと入れ替わるので、好きな能力を残しておけるようになったのはうれしかったです。

きっしー:前作では特殊能力を覚えてもメッセージが表示されないうえ、入れ替わる能力もランダムだったので、何度泣きを見たことか。

そみん:相変わらず“×ほのお”などのマイナス能力を覚えるのは、納得いかない(笑)。まあ『2』では消しやすくなりましたけど。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲選べる種族は、前作の人間、エスパー、モンスターに加え、メカが追加された。モンスターは前作同様、バトルでは成長せず、敵が落とした肉を食べることで別のモンスターに変身、ステータスが変化する。

きっしー:世界観的にはどうですか? 世界の数はかなり増えましたけど。

そみん:前作では“大陸世界”、“海洋世界”、“空中世界”、“都市世界”の4つでしたが、今回は大きく分けて第1~第9世界まであって、この他に天界や小世界があります。

Mac佐藤:各世界には天界へ続く“天の柱”があって、天界を通じて各世界へ下りていくという形ですね。

そみん:世界観的には、前作よりもファンタジー色が強まった印象ですかね。江戸時代的なイメージの和風な世界もありますけど。

Mac佐藤:でも、和風の世界なのに店では“ビームライフル”、“かえんほうしゃき”、“44マグナム”、“レオパルト2”なんかが売っていて、相変わらずカオスな感じですよ(笑)。

きっしー:世界とはちょっと違うんですけど、人の身体の中まで冒険の舞台となっていたのは、かなり斬新でした。カイという神官がいるんですけど、秘宝を入手するために体内をめぐっていくという。

Mac佐藤:“ちいさくなーれ”というアイテムを使って、主人公たちが小さくなってカイの体内に入っていくんですよね。

きっしー:そうそう。それで体内はダンジョンになっていて、手や足、内臓なんかがちゃんとその形になっているんですよ。ホンコンB型とか白血球とか、変な敵もたくさん出てきて。

そみん:1本のソフトでいろいろな世界を楽しめるというのは、かなり豪華ですよね。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲冒険の舞台のバリエーションは、前作よりもさらに幅広くなった。ドラゴンに乗るレースが行われる世界や、まるで江戸時代のような世界も存在した。

■相変わらずのサガ節! 印象的なイベントや名セリフが盛りだくさん

きっしー:『サガ2』で印象に残っているイベントって何がありますか? 僕の場合は、ビーナスが統治する世界で、熱病で足が不自由になって街を追放されたアントニーという男がいるんですけど、彼がなぜか火山の奥まで主人公たちのあとをつけてきて、さらに秘宝を奪って逃げていくというイベントが印象的でした。「え、足大丈夫だったの?」みたいな(笑)。

そみん:アントニーはオリビアの婚約者だったけど、ビーナスに仲を引き裂かれて、オリビアはユリウスという男……というか悪魔系のモンスターなんですけど、彼との結婚を強いられてしまうんですよね。

Mac佐藤:その後の結婚式のシーンがまた熱いんですよ! 「オーリービーアーー!」のセリフとともにアントニーが乱入してきて、結婚式をやめさせるために無謀にも秘宝の力を借りてビーナスに立ち向かっていく。オリビアは、ナイフで自分の額に傷をつけて、自分を街から追放してくださいとビーナスに迫る。それで、自分に対する裏切りだと怒るビーナスに対して、「いまのあんたがいちばんみにくいぜ!」という名セリフへの流れが!

そみん:あのシーンは音楽の効果も大きいですよね。おそらく、『サガ2』をプレイしたほとんどの人の心に残っている名シーンだと思います。

きっしー:ユリウスも別に悪いヤツではないんですよね。ビーナスの命令に仕方なく従っていただけで。見た目は悪魔なんですけど。イベント後は、オリビアに「あなたのことをいつも見つめていた女の子がいた」とか言われていますし。

Mac佐藤:悪魔のくせにもてるらしいですからね。エンディングでは、ユリウスがその女の子と思われる人物に追い回されているシーンもあります。

そみん:自分は、最初のダンジョンのボスの「ひほうをよこせ! おれはかみになるんだ!」というセリフが好きですね。ゲーム序盤の何気ないひと言なんですけど、悪いヤツらが秘宝を狙っている、という世界背景が簡潔に示されていて、遊ぶたびに思わずニヤリとしてしまいます。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲最初のボスとして登場するラムフォリンクス。大きい口を叩くが、実力は……。

きっしー:オーディンのイベントも印象的でした。バトルでパーティが全滅すると突然目の前に現れて、いつか自分と戦ってくれることを条件にパーティを復活させてくれて、バトルを最初からやり直せるという。

Mac佐藤:全滅してもゲームオーバーにならないんですよね。

きっしー:その後、バルハラ宮殿でオーディンと出会って、約束どおり戦うことになるんだけど……オーディンを倒した後は、バトルで全滅すると復活できずにそのままゲームオーバーになって、「あれ?」みたいな。

Mac佐藤:今まで復活させてくれた張本人を倒しちゃったんだから、当然といえば当然ですけど。

そみん:ちなみに一度も全滅せずにオーディンのもとにたどり着くと、なんの会話もなくいきなりバトルが始まって、すごくさびしい感じに。

Mac佐藤:わけがわからないまま戦って、わけがわからないまま秘宝を入手するという(笑)。

そみん:いじわるなダンジョンも印象に残っています。入口のすぐ近くにある宝箱に秘宝が入っていて、それ以外にその世界に秘宝はないので、奥へ進む必要はないんですけど……。

Mac佐藤:普通は探索したくなりますよね。

きっしー:あれって、何がいじわるなんですかね?

Mac佐藤:ダンジョンがやたら長くて分かれ道が多くて迷いやすい。敵とのエンカウント率が高いうえに、逃げられないことが多い。強力な武器や防具などのレアアイテムが大量にある……。

きっしー:レアアイテムが多いのはうれしいじゃないですか。

Mac佐藤:でも、持ちきれなくなるんですよ。アイテム欄は最大16個ですが、宝箱の数は30個以上あって、ほとんどのアイテムをあきらめるしかないという。

そみん:そして極めつけは、出口の近くにいるいじわるな妖精ですね。話しかけると「ねっ いじわるだったでしょ?」と聞いてくるんですけど、ここで“いいえ”を選ぶと「ふーん だったら もっとくろうするがいいわ!」と言われてダンジョンの途中の階に戻されるという。これを初めてやられた時の絶望感といったら……。

Mac佐藤:あれは誰でも一度は引っかかりますよね(笑)。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲ストーリー自体は一本道だが、プレイヤーの行動によって展開が少し変わるイベントも用意されていた。

■個性豊かなキャラクターもたくさん登場!

きっしー:気になるキャラクターといえば、やっぱり主人公の父親かな。ガーディアンの幹部ということですけど、ただ者ではないですよね。ボスの自爆攻撃に巻き込まれても生きてるし。

Mac佐藤:その理由が「わたしはふじみだ!」とか意味がわからない(笑)。あと、家から出る時はなぜかいつも窓から出て行くとか、聖杯、聖櫃、4つのクリスタルを守ってきたとか、いろいろと謎が多いキャラクターですよね。

きっしー:聖杯や聖櫃は、某映画を連想させますよね。というか、イメージイラストの外見はもろにあの考古学者だし(笑)。

そみん:4つのクリスタルは前作に登場したアイテムなので、前作の主人公もしくはパーティの一員だったという説もありますけど。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲オープニングに登場する父親。のちに再会を果たすことに。

Mac佐藤:覆面という父親そっくりのキャラクターもいますよね。スパイとしてアシュラの塔に潜入していた人物で、グラフィックやイメージイラストは父親とほとんど同じなんですけど……。

きっしー:覆面って、主人公の父親じゃないの!?

そみん:別人ですよ(笑)。僕もずっと同一人物だと思っていたんですけど、覆面はリンの父親らしいです。

Mac佐藤:エンディングで、覆面がリンの家に帰ってくるというシーンがあるんですけど、セリフがまったくないので気付きにくいんですよね。

そみん:父親に似ている人といえば、最初の世界には後ろ姿が父親にそっくりな人がいました。いきなり見つかった! と思って話しかけたら、顔がぜんぜん違うという。あのイベントにしか出てこないのに、ちゃんとグラフィックが用意されているんですよね。少しでも容量を節約したいはずなのに(笑)。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲一発ネタのためだけに用意された父親の偽者。振り返った時の衝撃は忘れられない。

きっしー:主人公たちの先生も印象に残っていますね。おいおいスライムかよ、みたいな。

Mac佐藤:前作の“むら1ばんのびじん”に続いて(笑)。序盤で最初のダンジョンを抜けるまでしか仲間にならないですけど、かなり強いですよね。

そみん:前作で最強だったスーパースライムですからね。さすがにそこまで強くはないけど、“ファイア”や“とかす”といった強力な特殊能力が使えて、主人公たちの出る幕がない。最初のボスとして登場するラムフォリンクスも、“とかす”一撃であっさり倒せるし。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲最初の仲間である先生。姿はモンスターだが、とてもよくできた人格者の模様。

■やり込み要素も豊富な『サガ2』は約束された神ゲーだった!?

きっしー:そみんさんは、『サガ2』もかなりやり込んだんですよね。

そみん:そうですね。クリアした回数は、軽く100回以上は超えていると思います。タイムアタックもやっていましたし……。

Mac佐藤:『サガ2』でもやっていたんですか? 前作に比べるとボリュームがあって、結構時間がかかるような気がするんですけど。

そみん:確かに前作よりは長いですけど、それでも4~5時間くらいでクリアできるくらいだったと思います。パーティのメンバーは、肉を食べるだけで時間をかけずに成長できるモンスター4体ですね。前作と比べると、ビーナス、オーディン、アポロンあたりのボス戦が壁になる感じでした。アシュラとか山の神くらいまでなら、それほど苦労せずに進めるんですけど。

Mac佐藤:最終ボスも、前作みたいにチェーンソーで一撃というわけにはいきませんからね。しかも、強力な全体攻撃も使ってきますよね。

そみん:そこはHPを毎ターン自動回復する“さいせい”や、味方全員のHPを回復する“ヒール”といった特殊能力でしのいだ覚えが。魔法攻撃を温存して、最後に一気に攻めて押し切る感じです。モンスターの特殊能力は、相変わらず便利なものが多いですね。

きっしー:最終ボスは形態ごとに音楽が変わるんですよね。

Mac佐藤:“Save the World”最高!

きっしー:そして、最終ボスよりいろいろな意味でやっかいな敵が“はにわ”ですよ。

『Sa・Ga2 秘宝伝説』
▲とぼけた顔した難敵のはにわ。レアアイテムのしちしとう(七支刀)を落とすことでも有名。

そみん:まともに戦おうとすると、とてつもなく苦戦します。それ以前に、出現率がとても低いので、出会うのすら大変なんですけど。

きっしー:特定の場所でセーブ&ロードして特定の動きをすると、高確率ではにわに会えるという都市伝説めいたウラワザもありましたね。

Mac佐藤:ようやく遭遇して喜んでいたら、“フレア”、“じしん”、“七支刀(しちしとう)”……悪夢がよみがえる(笑)。

そみん:“しちしとう”なんて、下手したら7回ヒットで8,000超のダメージですからね。初めて見た時は唖然としましたよ。さらに“さいせい”で毎ターンHPが1,000近く回復するし。

きっしー:ちなみに“しちしとう”って、最強の武器でもあるんですよね。はにわを倒した時にごくまれにドロップするんですけど、これを入手するためにいったいどれだけの時間を費やしたことか……。

そみん:特殊能力の“じばく”や“クリティカル”、あるいは武器の“はどうほう”を使えば、楽に倒せるんですけどね。というか、“しちしとう”狙いならこれらを使ってさっさと倒さないとやってられないです。

Mac佐藤:“しちしとう”は相当なロマン武器ですよね。最強の攻撃力を誇り、最大7回ヒット、使用回数も7回だけという。

きっしー:でも、どれだけダメージを与えられるんだろうと期待して最終ボスを攻撃したら、1回ヒットで600ダメージくらいしか出なくて、あれ? みたいな(笑)。

そみん:ダメージ量は力が影響して、ヒット数は素早さが影響するので、両方高くないとだめなんですよね。ザコ敵が相手なら、10,000ダメージは軽く超えるんですけど。

Mac佐藤:思い出話をすればするほど、『サガ2』は本当に神ゲーだったと再認識できますね。

そみん:確かに。個人的には『サガ』シリーズ全作品の中でも、この『サガ2』と『ロマサガ2』は突出した出来だったと思います。それに『サガ2』といえば「ひほうをよこせ! おれはかみになるんだ!」という名ゼリフもありますし、オーディンにアポロン、ビーナスに女神に山の神と、たくさんの神が登場するという意味でも約束された“神ゲー”だったのでは?

きっしー:……後半のダジャレはさておき、ゲームボーイ時代の神ゲーであることは間違いないですね。だからこそ、DSでのリメイクの際には賛否両論が出たのだと思います。

■待望のリメイクがようやく実現! DS版『サガ2 秘宝伝説 GOD』

きっしー:2009年9月にDSでリメイクされた『サガ2 秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』について語りましょうか。

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』

そみん:『魔界塔士 サ・ガ』は比較的早い時期……といっても約12年後の2002年ですけど、ワンダースワンでリメイクされたので、『サガ2』もすぐにリメイクされるだろうと思ったら、結局されなくてがっかりした覚えがあります。それだけに、DSでリメイクされると聞いた時は歓喜しました。

Mac佐藤:DS版は、『電撃ゲームス』という雑誌で、僕とそみんさんで記事を作りましたよね。というか、もう5年も前のことなのか……。

そみん:時が流れるのは早いですねぇ(しみじみ)。

きっしー:なに哀愁に浸っているんですか、おっさんくさい(笑)。

Mac佐藤:いや、あなたが一番年上じゃないですか!

きっしー:まあそんなことはともかく、DS版の大きな追加要素としては“ミューズ”や“運命の糸”ですよね。GB版のファンからは、賛否両論あったと思うんですけど。

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲新キャラの“ミューズ”は主人公たちの戦いを評価してくれる女神で、全部で9人存在。バトル終了時に戦い方に応じてMP(ミューズポイント)を獲得できる他、仲よくなるとバトルに参加して協力してくれることも。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲運命の糸を使うと連携攻撃を繰り出せる。さらにパーティのキャラ同士の関係性も変化する。

Mac佐藤:「なぜ余計なシステムを追加したのか」みたいな声はありましたね。でも、自分からミューズに話しかけなければ、これらに関するイベントがまったく発生しなくなるので、GB版に近いシステムでプレイできますけど。

そみん:プロデューサーの三浦宏之さんも、なるべくGB版を忠実に再現するリメイクを意識していて、新要素も追加したけどそれを無視できるような形にしたと言っていました。

 個人的には、ミューズはキャラクター的にもそれぞれ個性があって好きです。あとは、運命の糸でパーティのキャラクター同士の関係が表示されるのもおもしろかったですね。それによってサブイベントの会話内容も変化したりして。

Mac佐藤:フィールドが3Dになったところも、大きな変更点ですね。プレイする前は2Dでやってほしかったという思いもありましたけど、実際に3D視点で歩き回ってみるとすごく新鮮な気分で楽しめました。

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』 『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲3Dで再現された『サガ2』の世界。地形自体は基本的にGB版と同じで、ほとんど手が加えられていないことに驚かされる。なお、フィールドにはモンスターがうろついており、これに接触することでバトルが発生する。

きっしー:バトルの発生は、シンボルエンカウント方式に変わりました。好きなタイミングでバトルしたり、敵を避けて進めたりできるので、かなり快適ですよね。

そみん:ゲーム終盤のエリア“非常階段”は、GB版だとエンカウント率が高いうえに絶対に逃げられなかったので先へ進むのが大変でしたけど、DS版だとサクサク進めて気持ちいいです(笑)。

Mac佐藤:フィールドで使える“アビリティ”がかなり増えていて、フィールドの探索がさらに楽しくなっていますよね。GB版だと、フィールドで使えるのは“精霊の鏡”と“天使の翼”くらいだったんですけど。

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲GB版では8種類×9個だったマギ系の秘宝の数が、DS版では8種類×7個となり、そのぶん16種類の新たな秘宝が追加された。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲トレジャーポイントで宝箱を入手できる“発掘”や、特定の場所の壁や障害物を壊せる”破壊”、10秒間姿を消せる“ステルス”、10秒間移動速度が上がる“高速移動”など、さまざまなアビリティが存在する。

そみん:あとは、キャラクターの外見が各種族4パターンから選べるようになっているところがいい感じでした。イベント時のキャラクターの口調も、男女別の他、メカやモンスターのパターンも用意されていた点もよかったです。

Mac佐藤:ミューズも含めて、小林元さんのイラストも大きな魅力だと思います。人間やエスパーは、男女ともに年齢の割には発育がよすぎる気がしますけど(笑)。

そみん:バトルでは、攻撃する時に主人公たちが装備している武器も表示されるんですけど、“レオパルト2”を使った時にちゃんとグラフィックが表示されるのがおもしろかったです。

きっしー:GB版の時はレオパルト2が戦車だということを知りませんでした。というか、どうやって持ち歩いてるの?(笑)

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲戦車であるレオパルト2は敵グループを攻撃すると同時に、盾の効果も発生する。『サガ2GOD』では、こだわりのグラフィックにも注目!

そみん:一番ビックリしたのは、最終ボス戦の追加要素ですね。GB版と同じ展開かと思いきや、バトル中に驚きの展開が起こるという。

Mac佐藤:ネタバレになるのでぼかしますが、女神がちょっとやらかしちゃうんですよね。そのせいで、“だめがみ”とか呼ばれてしまう原因に(笑)。

 ちなみにその追加イベントは、それまでに連携攻撃を一度も使ったことがなければ発生せず、GB版と同じ流れでバトルが展開します。

そみん:やり込み要素も追加されましたね。“魂の暗域”という、強敵と戦える場所があるんですけど、ここにいじわるな妖精が出現するんですよ。いじわるなダンジョンでの仕返しとばかりに、ボコボコにしてやりました! 長年の恨みをようやく晴らせてスッキリです(笑)。

Mac佐藤:僕は、“自爆”を使われてあっさり返り討ちにされましたけど(笑)。

きっしー:エンディング後は、一部のデータを引き継いで最初から遊べる、いわゆる周回プレイができるようになりました。普通は1つしか入手できないエクスカリバーも、周回プレイなら2本以上入手できたりします。

Mac佐藤:引き継げるアイテムは最大で8個までなので、何を引き継ぐかが悩みどころですね。最終的には、魂の勾玉(全能力値が10アップするうえ、ダメージや状態異常などさまざまな耐性がつく防具。これも1周につき1つだけ入手可能)も8個になるんでしょうけど。

そみん:いろいろと新要素は追加されていますが、基本的には原作を忠実に再現した良リメイクだと思います。

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』 『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲“運命の糸”は、運命を司る女神から、MPと交換することで入手できるアイテム。糸の種類は、愛情、友情、家族、協調、嫌悪、対立、個人、協調の8種類が存在する。

Mac佐藤:GB版のファンでプレイしたことがないという人には、ぜひオススメしたいですね。

きっしー:宣伝か(笑)!

■要望は尽きない!? 『サガ2』へのさらなる期待……そして連携発動!

Mac佐藤:『サガ2 秘宝伝説』に関して、今後何か期待することってありますか? リメイクもされたし、これ以上に何を望むのかという気もしますけど(笑)。

そみん:あえて望むなら、Newニンテンドー3DSでグラフィックを大幅にクオリティアップして、もう一度リメイクしてほしいですね。個人的には、DS版はグラフィックがちょっと見劣りするところがもったいないと思っていたので。

きっしー:エンディングでは“3しゅのじんぎ”の話題も出てくるので、その続きを見てみたいです。

そみん:一応、『サガ3』には『サガ2』の主人公らしきキャラが登場しますけど。

Mac佐藤:ゲーム以外の展開なら、『サガ2』は名曲が多いので、ぜひとも全曲コンサートをやってほしいです!

そみん:それは聴いてみたいですね。オーケストラの生演奏で!

Mac佐藤:ところで、シリーズ座談会のペースがむちゃくちゃ遅くないですか? 4月末のプレリュード以降、今回の『サガ2』を含めてまだ6作品しかやってないじゃないですか。あと2カ月で25周年なんですけど!

そみん:このペースだと間に合いませんね(笑)。まあ、皆さんもいろいろと仕事があって忙しいとは思うんですけど……。

きっしー:原稿を仕上げてくるのが遅いというウワサもありますよ。いったい誰のせいなんですかねぇ?

Mac佐藤:(ギク)デスヨネー。

そみん:「まつのはもうこりごり!」というわけで、このままGB版『時空の覇者 Sa・Ga3[完結編]』の座談会に突入したいと思います!

きっしーMac佐藤:ええー!?

『時空の覇者 Sa・Ga3[完結編]』

 まさかの連携発動により、この後に続けて行われた『時空の覇者 サ・ガ3 完結編』の座談会。その模様は、近日公開……できるのか!?

【おまけ】雑誌に掲載されたDS版『サガ2』の小林元氏ギャラリー

 どうも、編集のそみんです。DS版『サガ2GOD』は雑誌『電撃DS&Wii』や『電撃ゲームス』でもたくさんの記事を作った思い出深いタイトルです。その当時、小林元氏にNPCのイラストを描き下ろしていただく企画を連載していました。この機会に、そこで掲載したキャラクターイラストをお見せいたします!

『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲主人公の旅立ちを見送る先生のお姿です。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲人もモンスターも分け隔てせずに癒すという、カイの優しさが描かれています。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲モンスターに囲まれたリン。仲間になるのは一瞬だけですけどね。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲おたまとローニンのツーショット。時代劇風の“おえど”は印象深いです。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲父親VSアポロンのバトルシーン。父親はムチを使っています。
『サガ2秘宝伝説 GODDESS OF DESTINY』
▲マサムネとイージスの盾を装備した女神様。はにわも特別出演しています(笑)。

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