2014年10月2日(木)

NVIDIAの『SHIELDタブレット』に『ポータブル』版ユーザーが触れてみた。1年を経て進化したポイントは?

文:皐月誠

 本日10月2日、NVIDIAによる『SHIELDタブレット』と『SHIELDワイヤレスコントローラ』の日本国内展開に関する発表会が行われた。

 『SHILED』シリーズは、NVIDIAが開発したゲーミング特化のAndroid端末だ。発表会の会場では実機に触れられたので、2013年に発売された『SHIELDポータブル』(筆者私物)と比較しながら『SHIELDタブレット』と『SHIELDワイヤレスコントローラ』の特徴を紹介する。

【動画】SHIELD Tablet: Built For Gamers

『SHIELDタブレット』
▲『SHIELDポータブル』(左)と『SHIELDタブレット』+『SHIELDコントローラ』(右)を並べてみたところ。

 『SHIELDワイヤレスコントローラ』は、『SHIELDポータブル』のパッド部分よりも若干小さめだ。ただし『SHIELDワイヤレスコントローラ』の下部にはタッチパッドが据え付けられており、その分だけ標準的なパッドよりも大きくなっている。振動機構を搭載していないため、家庭用ゲームハードのパッドを普段触っていると、見た目よりも軽いという印象を受ける。

 個人的に注目したいのが十字キーだ。『SHIELDポータブル』の十字キーは正直褒められた設計ではなかった(簡素すぎる!)が、『SHIELDワイヤレスコントローラ』は十分使用に堪えるものが採用されていた。

 『SHIELDワイヤレスコントローラ』は一般的な無線パッドに採用されているBluetoothではなくWi-Fiを採用しており、遅延を大幅に改善している。ただし公式サイトのFAQによると、通信に必要なソフトウェアは『SHIELDポータブル』および『SHIELDタブレット』にのみ搭載されるという。なお、有線で接続する場合はWindows 7およびWindows 8にて使用可能(『GeForce Experience』のインストールが必要)とのこと。

『SHIELDタブレット』
▲『SHIELDコントローラ』背面には、ヘッドフォン端子とUSBポートがある。

 ディスプレイは『SHIELDポータブル』では5インチ(1280×720)だったところ、タブレットPCということもあり8インチ(1920×1200)に大きく拡張されている。本体ディスプレイおよび外部ディスプレイへの映像出力(HDMI)時はフルHDに対応しているが、本体と外部ディスプレイの両方に表示(ミラーリング)する場合はフルHD非対応になる。

『SHIELDタブレット』
▲『SHIELDタブレット』は8インチサイズ。タブレットPCとしては一般的なスケールだ。

 『SHIELDポータブル』ではCPUにTegra 4が採用されていたが、『SHIELDタブレット』ではTegra K1となり、相応に処理速度が向上している。内蔵メモリは16GBと同等だ。

 『SHIELDタブレット』はほぼ全てのAndroidアプリを楽しめる他、『SHIELDポータブル』と同様にNVIDIA GameStreamを利用したWindows用ゲームのプレイが可能だ。発表会では言及されなかったが、プレスリリースによるとクラウドゲーミングサービス“GRIDクラウド・ゲーム(ベータ版)”へのアクセスも可能なようだ。

『SHIELDタブレット』
▲HD画質でPCゲームのリモートプレイが可能だが、ストリーミングの仕様として遅延は否めない。あまりグラフィックが重くないゲームやターン制RPGなら快適にプレイできるかも?
『SHIELDタブレット』
▲“GRIDクラウド・ゲーム”のベータ版(『SHIELDポータブル』のスクリーンショット)。遅延や画質の低下は少なからずあるものの、ハイクオリティなゲームを無料で遊べる。ちなみにサーバサイドで実行されているので、『スパIV AE』でベンチマークを試すと……少しおもしろい結果に。

 性能が高いので、ユーザエージェント設定が可能なブラウザからPC用ブラウザゲームをプレイすることも可能だろう。『SHIELDタブレット』は、Twitchを利用してゲームプレイをストリーミング配信できる“ShadowPlay”機能に対応しているので、“あのブラウザゲームのプレイを生配信”ということも……? とは言え、標準でNVIDIAから提供される機能以上の運用は、各ユーザの自己責任に委ねられるところだ。

 気になる価格は、オープン設定のため定価はないものの『SHIELDタブレット(16GB+Wi-Fiモデル)』が40,000~45,000円、『SHIELDコントローラ』が8,000~9,000円、専用の純正カバーが4,500~5,000円になる見込みだという。Androidタブレットとして考えると高いと思えるかも知れないが、スペックの高さと機能の豊富さはそれを補ってあまりあるレベルだろう。タブレットPCという性質上、日常での汎用性も高い。

 予約は本日10月2日から開始されており、10月10日より出荷される。なお、日本国内における『SHIELDタブレット(32GB+LTEモデル)』の展開については“検討中”とのこと。

■『SHIELDタブレット』&『SHIELDコントローラ』の製品特徴

●デスクトップPCに匹敵するTegra K1プロセッサ

『SHIELDタブレット』
▲エピックゲームズにより、Unreal Engine 4を使用したデモプログラムの実演が行われた。よく見ればモデルのポリゴン数はモバイルサイズだと知れるが、テクスチャの細かさやライティング効果などはモバイルと思えないほど美しい。
『SHIELDタブレット』
▲NVIDIAのPhysXライブラリを使用したゲーム『Trine 2』がプリインストールされる。繊細なグラフィックスや物理演算エンジンを搭載したゲームだが、ハンズオンしたところ処理落ちは感じられなかった。

●フルHDに対応した8インチ1920×1200のIPS液晶

 高精細なグラフィックスをあますことなく表現。

●Wi-Fiを使用したコントローラの接続

 データ通信量の大きいWi-Fiの採用で、操作遅延はBluetoothの約1/2に。なお、1つの『SHIELDタブレット』に対して4つまでの『SHIELDコントローラ』を接続可能。

●Google Nowとの連携

 『SHIELDコントローラ』にあるホームボタンの長押しから、Google Nowにアクセスできる。本体内蔵マイクによる音声入力で、Google Nowをコントロール可能だ。

●NVIDIA GameStreamテクノロジによるストリーミングプレイ

 NVIDIA GeForce GTXのGPUを搭載しているPCにリモートアクセスして、1080p画質によるストリーミングでのゲームプレイを楽しめる。

●“ShadowPlay”によるゲームプレイの配信

 PC向けに提供されている“ShadowPlay”を搭載。Twitchと連動して、プレイの模様を1080p画質で配信できる。また、配信画面には本体カメラで撮影したプレイヤーやコメント欄も表示できる。その他、本体ストレージに録画したプレイ動画をYoutube他の動画配信サイトへアップロードすることも可能だ。

『SHIELDタブレット』
『SHIELDタブレット』
▲動画の配信やアップロードを行える。日本のAndroid市場を考えると、某パズルゲームや某プロデュースゲームの配信が捗る……?

●スタイラスペン

 専用のスタイラスペンを標準で搭載。“DirectStylus 2”テクノロジーによって提供されるイラスト作成アプリは、ペン/水彩画/油絵という3種のタッチに対応しており、画用紙への絵の具の滲みや重力による垂れの再現、イラスト作成後のライティングやカンバスの変更機能など、“2Dイラスト作成”というより“3Dイラストシミュレート”とでも呼ぶべき内容となっている。

【動画】SHIELD Tablet: DirectStylus 2

『SHIELDタブレット』
▲スタイラスペンを本体から引き抜くと、ペンを使用するアプリへのショートカットが自動で出現する。

 その他、スクウェア・エニックスからは、Androidアプリ版『FINAL FANTASY III』および『FINAL FANTASY IV』の『SHIELDワイヤレスコントローラ』対応が発表されている。

『SHIELDタブレット』
▲エレコムからは、専用の液晶保護フィルムも発売される。

データ

▼『SHIELD タブレット(16GB+Wi-Fiモデル)』
■メーカー:NVIDIA
■対応機種:Android
■発売日:2014年10月10日
■価格:オープン
 
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▼『SHIELD コントローラ』
■メーカー:NVIDIA
■対応機種:PC/Android
■発売日:2014年10月10日
■価格:オープン
 
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▼『SHIELD タブレット 純正カバー』
■メーカー:NVIDIA
■対応機種:Android
■発売日:2014年10月10日
■価格:オープン
 
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▼『SHIELD タブレット スタイラスペン』
■メーカー:NVIDIA
■対応機種:Android
■発売日:2014年10月10日
■価格:オープン
 
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