2014年10月8日(水)
バンダイナムコゲームスから10月23日に発売予定のPS3/PS Vita用ソフト『スーパーヒーロージェネレーション』。『Gジェネレーション(Gジェネ)』シリーズや特撮のファンであるライター・まさんが、本作のレビューをお届けします。
『Gジェネ』シリーズと言えば、ガンダム好きなら絶対に1度はその名を耳にしたことがあるであろう超人気シミュレーションRPGシリーズ。有名どころはもちろん、マイナー作品まできっちりカバーしている懐の深さと、機体ごとの“わかっている”戦闘演出が楽しみで、毎回新作の発表を心待ちにしていたものです。
ここ最近はコンシューマで新作の話を聞かなかったのですが、それもそのはず。『Gジェネ』スタッフが手掛けていたのが本作だったわけです。まずは、何も言わず下の参戦作品一覧と動画をご覧ください。
『ウルトラマンギンガ』
『ウルトラマンゼロ』
『ウルトラマンメビウス』
『ウルトラマンティガ』
『ウルトラセブン』
『ウルトラマン』
『仮面ライダーウィザード』
『仮面ライダーフォーゼ』
『仮面ライダーオーズ』
『仮面ライダーW』
『仮面ライダー電王』
『仮面ライダーBLACK RX』
『機動戦士ガンダムUC』
『機動戦士ガンダムAGE MEMORY OF EDEN』
『機動戦士ガンダムSEED』
『機動戦士ガンダムF91』
『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』
※ステージイベントに関連する主な作品
そう、本作に登場するヒーローはなんとガンダムだけじゃないんです。「ガンダム&ウルトラマン&仮面ライダーなんて、お前の妄想ゲーか!?」とツッコミが飛んできそうですが、多くの少年少女をアツくした作品群がクロスオーバーしたゲームということで、これまでガンダムだけだった『Gジェネ』シリーズのファン(もちろん自分含む)は驚きました。『コンパチヒーロー』シリーズというよき前例があるとはいえ、いきなりガンダム&ウルトラマン&仮面ライダーの共演作品になっていますからね。
正直なところ、自分もゲームを遊んでみるまでちょっぴり、いやかなり不安でした。そんなわけで、わりと警戒しながら遊んでみたら……その不安はまったくの的外れでした。断言します。これはまごうことなく『Gジェネ』の血を引いた作品です! むしろ、いつもよりも遊びやすいくらいに感じました。
そんなわけで、この記事ではこの作品のどこが『Gジェネ』的なのか? 仮面ライダーやウルトラマンが好きな人にもオススメできるのか? 自分がプレイした本作の感覚をお伝えしていこうと思います。
シミュレーションRPGとしての本作の特徴的なシステムを説明していきましょう。まずは“チャンスステップ”。これは敵にトドメを刺すと再行動できるというもの。続いて“テンションシステム”。こちらは敵を倒すことで上昇する“テンション”をMAXにすると、次の攻撃が必ずクリティカルになるシステムです。これらは基本的に味方側が有利になるもので、ガチガチの難しさよりもバリバリ倒していく気持ちよさを重視したシミュレーションRPGになっています。
これらに加えて、本作には味方側がさらに有利になるシステムがあるのです! その代表とも言えるものが“ヒーローアシスト”。これは、相性のいいヒーロー同士を隣接させておくと、毎ターンHPとENが回復するシステムです。アシストの回復量は高く、みんなで固まって行動すれば、敵の攻撃に耐えながら必殺技をバンバン撃っていけます。チョー、イイネ。サイコー!
▲基本的には“ヒーローアシスト”が発生するように固まって行動すれば、敵の攻撃にも耐えてガンガン反撃していけます。ただし、範囲攻撃してくるボスに一網打尽にされないように要注意。 |
こんな感じで、システム面は基本的に『Gジェネ』を踏襲しつつ、『スーパーヒーロージェネレーション』ならではの新しい要素が入って遊びやすくなっています。一方で『Gジェネ』と大きく違うのが育成要素。これは、むしろ『スーパーロボット大戦』シリーズに近いかもしれません。
なぜなら、本作はレベルアップでヒーローが新たな必殺技やスキル(SPを使ってHPを回復させるなど特殊な効果を発揮させる技)を覚えていくのですが、これらをインターミッション画面で強化できるのです。必殺技は、強化することによって攻撃力だけでなく、射程やマルチロックの数も強化されます。スキルであれば、範囲や効果(○○%の数字の部分)そのものも増加します。育成によって、だいぶ戦闘の難易度が変わりますので、インターミッションでの強化はお忘れなく。
そして必殺技には敵・味方ともに“必殺技効果(防御ダウンなど)”があり、さらに敵はユニットアビリティ(エネルギー射撃無効など)を持っている場合があります。そのため、単純に射程と攻撃力だけで技を選ぶのではなく、状況に応じて技を使い分ける必要があります。うまく技を使いこなせば敵を楽に倒せますが、何も考えないと苦戦は必至。こうした部分にぜひ頭を悩ませてください。他にも、敵と味方の相性などもありますので、いろいろな場面で「ヒーローは助け合いでしょ?」の精神を発揮して戦っていきましょう。
ちなみに、ヒーローたちが習得できる必殺技の種類はかなり多いです(序盤でも4種類以上覚えます)。どれも戦闘演出が本当に素晴らしいので、どの技を使うか、戦略的な面以外でも悩まされました(笑)。必殺技の戦闘演出は、この記事の最後に掲載している23分オーバーの超ロングPVで一部を確認できるので、記事を読んだ後にじっくり堪能してください。
▲強化後の能力もひと目でわかり、要素が全体的にシンプルにまとまっていて、わかりやすい育成となっています。シミュレーションRPGにあまり触ったことがない人でも非常にとっつきやすくなっていると感じました。 |
もう1つ、大きな特徴として“出撃ユニットをステージ内で入れ替えできる”ようになっています! 出撃しているユニットを戦艦に戻すことで、ステージ開始前に選んでいなかったユニットと交代できるのです。
『Gジェネ』シリーズもそうでしたが、“ステージ開始前に選んだユニットは固定されてしまう”システムの作品が多くありました。そのため「本当はコイツを出したいんだけど、コイツのほうが全体攻撃を持っててザコと戦うのは楽そうだし……」なんてジレンマに悩んだ人も多いことでしょう。しかし、本作ではそれが解消されています。単純な好みで入れ替えてもいいですし、前半と後半でメンバーを切り替える、なんて戦略的なユニット運用も可能となっています。ここは『Gジェネ』と大きく違う部分ですので、先入観にとらわれずにプレイしてもらいたいところです。
ガンダム&ウルトラマン&仮面ライダーのクロスオーバーであるため、物語や世界観が気になる人も多いでしょう。あまり具体的に言ってしまうとネタバレになるので避けますが、本作では作品全体を通して1つの話が展開していきます。その中で、各参戦作品を想わせるエピソードが挿入される形です。ヒーローを次々と集めて和気あいあいとしていくのは、なんとなくウキウキしますよ。
▲ガンダムが人扱いな感じの世界観なので、中の人はいません。コーディネーターのフリーダムガンダムと言われたり、お互いにシナンジュさんとユニコーンガンダム君という呼び合いは、コンパチシリーズっぽくてニヤリ。 |
ゲームの構成としては、プロローグステージのクリア後にウルトラマンルート、仮面ライダールート、ガンダムルートの3つからどれかを選択。すべてのルートをクリアするとEXステージが解禁。それをクリアすると再びルート選択という、一見すると『Gジェネ』っぽい感じではあります。
ただ、話に連続性があるので、ちゃんと、どのルートから遊んでもひと繋がりの物語になっているんですよね。もちろん、一度クリアしたステージも再挑戦可能です。
▲ルートは選択制ですが、そのルートに突入する前までに仲間にしたヒーローがちゃんと会話に参加してくれます。遊ぶルートの順番を変えてみても楽しめそうです。 |
また、『Gジェネ』で特徴的だった“ブレイク”システムも健在です。これは、特定の条件を満たすと新たなボスや勢力が現れるシステム。ブレイクした後で“ボストリガー”の条件を満たすと、さらに強い“ボス”が出現します。
強い敵を倒せばさらに強い敵が登場する……。実にヒーロー的と言いますか、プレイしてみればわかってもらえると思いますが、ついついブレイクを続けて最後まで見たくなってしまうんですよね。もちろん、条件を満たさないでサクッとクリアすることも可能なので「まずはゲーム全体のストーリーを見てから後でじっくりと……」なんて遊び方もアリだと思います。
▲条件を満たすとボスがパワーアップしたり、増援が増える“ブレイク”。ブレイクを成功させて“ボストリガー”まで成功させると、かなりのボリュームになります。 |
さらに、本作ならではの新要素として、敵が最後の1体になると強化されてしまう“ラストショック”があります。『Gジェネ』における“ブレイク”は、発動させるまでの条件を満たすことを考えつつ戦わなければならないものの、2回目の発動後は基本的に全力で敵と戦うだけでした。しかし、“ラストショック”によって、戦略を考える楽しさがプラスされています。
例えば、自軍が疲弊していてクリアを優先したい場合は、ボスを先に片付けてしまってもいいでしょう。しかし、“ラストショック”によって強化された敵から入手する経験値は3倍になります。ですので、ボスを最後に倒せば一気に5レベルくらいアップすることも。これはかなり爽快ですし、キャラクター育成の上ではとても有利に働きます。自軍の状況を見極めつつ、クリアを優先するのか、撃破ボーナスを優先するのか、そうした戦略的な楽しみが非常に強くなっています。
▲上がラストショック前のボス。下がラストショック後のボス。HPも強化されて、倒すのがやっかいに! しかし、落とせばそれだけの見返りがあります。 |
プロローグステージをクリアすると、3つのルートの中から1つを選択することに。この選択によって、ガンダム、ウルトラマン、仮面ライダーのいずれかのルートに進んでいきます。ウルトラマンルートの場合は『ウルトラマンギンガ』をベースにした物語が展開。各シリーズの中で中心となる原作の話を3話分クリアすれば、別のルートが選べるようになります。
▲ルート選択画面。3話分をクリアするまで別の作品は選べないので、どれから遊ぶのか悩みそう。登場する作品のヒントは選択時のイラストを見て判断しましょう。 |
もちろん、最初にどのルートから遊んでも問題なくプレイできますが、初めて『Gジェネ』を遊ぶ人は、この“ウルトラマンルート”がいいかもしれません。なぜなら、ウルトラマンといえば、基本は怪獣とのタイマンバトル。というわけで、このルートは戦闘員がいっさい存在しません! 怪獣や宇宙人が単体で攻めてくるので、すごくクリアしやすいんですよ。その分、1体1体はかなり強いですが。ウルトラマンタロウのフィギュア姿がちゃんとマップのユニットアイコンでも再現されていたり、バルキー星人がウザ~イ動きをしたり、マップ上の演出が楽しいルートでもあります。
▲フィギュアになってしまったウルトラマンタロウが、ことあるごとに「早く大きくなりたい……」とつぶやくシーンに笑いが。コミカルな演出が多いルートですが、ラストは熱い展開が……。 |
ウルトラマンたちは、全体的に攻撃力が高い必殺光線を使えるのが特徴。最初はみんな攻撃力が低く射程も短い肉弾戦ばかりですが、光線を使えるようになるととたんに頼もしくなります。攻撃力を上げるスキルも修得している場合が多いので、耐えて耐えてピンチになってHPがピコンピコンと言い出してもジュワッと戦況を覆せるのです!
▲ウルトラマンと言えば光線技。どのウルトラマンも強力かつ連発が可能な光線技を持っているので、ボス戦で頼りになります。 |
ウルトラマンルートと打って変わって、戦闘員や幹部が大集合の仮面ライダールート。とにかく物量で攻めてくる敵に対し、物量に強い仮面ライダーが味方となって活躍してくれます。“仮面ライダーフォーゼ”の原作エピソードを中心に、アレやアレの劇場版も登場して総力戦になるので、非常に熱いルートです。
自分は最初に選んで敵戦闘員の多さに泣きましたが、ウヴァがチラっとでてくるので個人的には一番好きなルートです。仮面ライダーオーズが好きなので。
▲グリード幹部大集合! フォーゼ序盤のホロスコープスとの決戦から始まり、次々と敵幹部と対決していく熱い展開がこのルートの見どころです。 |
このルートは敵の数が多くて、ヒーローアシストなどをキチンと考えながら戦わないとたいへんですが、一気にライダーが補充されるのでライダー好きなら最初に選ぶのがオススメですね。
なお、ユニットの性能としては、ライダーにはコストパフォーマンスがいい必殺技や複数ロックの技などがそろっており、戦闘員や弱い敵をガンガン倒していくのに向いていると感じました。もちろん、火力のある必殺技も使えるのでボス戦でも引けをとりません。
▲フォームチェンジのおかげか、必殺技を低レベルで多数習得できて頼りになる電王。他にもガタキリバキックで複数の敵をマルチロックできるオーズなど、ライダーごとに個性が際立っているのも特徴。 |
余談ですが、『オーズ』の幹部たちを倒すとセルメダルがバラバラと崩れる演出に感動しました。マップアイコンの細かい動きが本当に「素晴らしいッ!!」です。
『機動戦士ガンダムUC』の原作エピソードが中心となるガンダムルート。ここで仲間になるユニコーンガンダムはメチャクチャ高性能。原作通りの大活躍ができます。条件がシビアなブレイクが多いので、『Gジェネ』に慣れているガンダムファン向きのルートと言えるでしょう。
このルートではMSばかりのステージが続くので、なんとなく『Gジェネ』シリーズを遊んでいるような“なつかしい感覚”におそわれます(笑)。ただし、MS同士が話しているところが違いを感じさせてくれますね。原作とは同じようでどこか違う関係性や物語の流れが、新鮮で楽しいです。
▲やめてくださいシャンブロさんッ! ガンダム系は女性キャラクターがゴツいMSやMAに乗っていたことが多かったため、原作を知らないとビックリするかも。知っていると納得できますよね? |
ガンダム系は、序盤の攻撃力こそ仮面ライダーやウルトラマンに劣る傾向がありますが、射程やマルチロックによる複数攻撃が特徴。まとめて敵のHPを削れるので美味く使えばかなり便利なユニットです。
▲マルチロックで1度に2体攻撃できるフリーダムガンダムのルプスビームライフル、隣接した複数の敵に攻撃できるガンダムF91のビーム・サーベルなど、ガンダムは敵がまとまっているほど強さを発揮する傾向がありますね。 |
『Gジェネ』シリーズの戦闘演出は、毎回こちらの想定の上を行くカッコイイものばかりでしたが、PS3&PS Vitaになってさらに円熟の極みに! 原作の再現も全体的にバッチリですし、とにかくもうカッコイイんですよ!!
仮面ライダーオーズの“ガタキリバキック”や、仮面ライダー電王の“俺の必殺技 特別編”といった必殺技の完全再現はもちろん、戦闘員やMSがワラワラと登場して攻撃してくる戦闘演出など、どこから見ても原作ファンが文句ないデキになっています。
▲アンクとの掛け合いからガタキリバコンボになって分身。みんなで「セイヤ-!」なガタキリバコンボ。スイッチを切り替えて爆熱シュートを撃つフォーゼ。ニチアサの動きそのままです! |
ただ、あえて1つだけ欠点をあげるなら、戦闘演出が相手側に切り替わる時に読み込むところが少しだけ気になりました。プレイのテンポが気になる人は、カットすればいいだけの話ですが、演出がカッコいいんでついつい見たくなっちゃんですよね。
この戦闘演出も見どころなのですが、個人的に感心したのがマップ上のユニット。これがかなり細かく動くんですよ。戦闘によってヒザをついたり、登場シーンを再現したりと、実に心ニクい。こうしたユニットの動きにも注目してみると、より楽しめると思います。
ここまでいろいろ語ってきた本作ですが、最後に一番悩むであろう部分を言っておこうと思います。それは「“スペシャルサウンドエディション”と通常版はどちらがよいのか」。結論を言えば、通常版でも当然楽しめますが、できることならスペシャルサウンドエディションをオススメします。やっぱり、原曲が流れると臨場感が違いますし、“ウルトラマンタロウの歌”のようにスペシャルサウンドエディションにしか入っていない曲は、その曲が流れるシーンでの感動が段違いですから。
PS3とPS vitaのどちらで遊ぶかについては、ぶっちゃけ好みで選んでいいと思います。僕は家で楽しみたいからPS3で遊んでいます。クロスセーブに対応しているので、家ではPS3。出先ではPS Vitaというのもアリですね。じっくり時間をかけて“ブレイク”や“ボストリガー”などをていねいに楽しんでほしいです。
他にも、条件を満たすことでゲスト参戦した映画のサブライダーが仲間になる“ヒーローズクエスト”など、やり込み要素もバッチリ! まだまだ語りたいことはありますが、実際にプレイしてのお楽しみということで(笑)。ちなみにサウンドテストや図鑑などもしっかりあるので、そういう要素を最優先で探してしまう自分みたいな人も安心ですよ。
今回は序盤の10ステージほどをざっとプレイしましたが(仕事そっちのけでもっと先まで勝手に遊んでいますけど)、仮面ライダーやウルトラマン、ガンダムのファンにはアツいクロスオーバーが楽しめるシミュレーションRPGとして、『Gジェネ』ファンにとっては遊びやすく進化したタイトルとして、楽しめる作品に仕上がっていると思います。
最後に、10月3日に公開されたばかりの本作の第2弾PVをお届けします。こちらは23分14秒の超ロングPVとなっており、ド派手な必殺技をはじめとした数々の戦闘演出がたっぷりと楽しめます。こちらの動画が初出となっている戦闘シーンも数多くありますので、しっかりとチェックしておいてくださいね!
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