2014年12月5日(金)
おもしろいゲームが好きな電撃Appが注目するスマホアプリ。そのアプリがどのようにして生まれたのか、開発者に直接お話を聞きに行くインタビュー連載が始まりました。
第1回となる今回は、コロプラから配信されている話題のアクションRPG『白猫プロジェクト』の開発者お2人に、本作が生まれた経緯、ゲーム制作にかける思いなどをお聞きしてきました。
スタミナ制を撤廃した理由の他、新職業や協力プレイの今後に関する話なども掲載していますので、すでに『白猫プロジェクト』を遊んでいる方もぜひ最後までインタビューをチェックしてみてください。
▲左から、プロデューサーの浅井大樹氏とプロジェクトマネージャーの角田亮二氏。両氏とも『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』から引き続いて本作の開発に携わっているとのこと。 |
片手で手軽に遊べる次世代インターフェース“ぷにコン”を搭載した、ワンフィンガーRPGとして話題沸騰中のスマホアプリ。難しい操作がないアクションと、基本無料でありながらスタミナ制を撤廃した斬新なスタイルで、多くのユーザーを魅了しています。
ストーリーはまさに“王道!”といえる内容で、辺境の海域に浮かぶアストラ島で暮らしていた主人公の少年(声:梶裕貴)が、遺跡の調査にやってきたカイル(声:緑川光)と出会うところから物語が始まります。
彼とともに島の遺跡を訪れた主人公は、しゃべる白猫のキャトラ(声:堀江由衣)と神秘的な少女アイリス(声:堀江由衣)と知り合うことに。そして、とある出来事から主人公が広大な世界へと旅立つことになり、大冒険が幕を開けるのです!
▲ストーリー中は豪華声優陣によるボイス演出も! |
キャラ育成や拠点となる街づくりなど、1人でじっくりと遊べる本格RPGでありながら、最大4人での協力プレイにも対応しています。
▲スマホで手軽に遊べるアクションRPGの要素だけでなく、街づくりなど、じっくりとやり込める要素も盛り込まれています。 |
――まずはじめに『白猫プロジェクト』は、どのような経緯で生まれたのでしょうか?
角田:『魔法使いと黒猫のウィズ』がリリースされて3カ月近くが経過したころ、そろそろ新作を作ろうということでプロジェクトを発足しました。
そのころは、漠然と本格アクションRPGを作りたいとは考えていましたが、どんなゲーム内容にするのか定まっておらず、カードゲームとかリアルタイムストラテジーとか、いろいろなアイデアが出ていました。その中で『ディアブロ』のようなゲーム、つまりハック&スラッシュ要素を入れたものを作りたいという話になり、それなら自分でキャラクターを自由に動かして戦える王道のRPGがマッチしているんじゃないかと、現在の形に収まっていきました。
――『黒猫のウィズ』のわずか3カ月後と聞くと、かなりのスピードだと思いますが、大変ではありませんでしたか?
浅井:僕はかつてカジュアル系の手軽に遊べるアプリを制作していたのですが、そのころは2カ月に1本のペースで作っていたので、その時の感覚が残っていたのかもしれませんね。それに、次の新しいものを作りたい気持ちも強くって。
角田:あくまで『黒猫のウィズ』が配信された3カ月後であって、『黒猫のウィズ』の開発自体はもっと前から進めていましたからね。『黒猫のウィズ』でやりたいと思っていた要素が形になってきた段階なので、自分としても新しいことを始めたい気持ちがありました。ちょうど会社的にも柱となるタイトルを増やしたい時期だったので、タイミング的にいろいろとマッチしたのだと思います。
――そもそもの疑問なのですが、『黒猫のウィズ』『白猫プロジェクト』、構想段階のものとして“子猫(?)”もあるということで、続けて猫がタイトルに使われていますが、何か理由があるのでしょうか?
角田:『黒猫のウィズ』については、魔法使いと黒猫という組み合わせが一般的なイメージとしてあったことが理由なのですが、その『黒猫のウィズ』がありがたいことに多くの方に遊んでいただけました。なので、ゲンをかついで『白猫プロジェクト』というプロジェクト名で開発を進めていたら、それがそのままタイトルになりました(笑)。
浅井:深い意味はなかったのですが、今はこのタイトルでよかったと思います。他にもいろいろなタイトル案があり、かなり試行錯誤したのですが、『白猫プロジェクト』というインパクトの強さやわかりやすさを上回るものはなかなか見つかりませんでした。
――なるほど。話を戻しますが、ハック&スラッシュといえば、ダンジョンRPGなどの形もあるとは思いますが、なぜアクションRPGを選んだのでしょうか。
角田:当時、スマホアプリの主流といえばカードゲームでした。カードゲームには数字遊びの楽しさはあるものの、プレイヤースキルが上達するという要素が乏しいところが少し気になっていました。
個人的に、ゲームのおもしろさの1つって、自分がうまくなって先に進めることや強敵を倒せるようになることだと思うんです。
――確かにプレイヤー自身が成長する楽しさは、ゲームならではのものですよね。6種類の職業ごとの特徴もあり、アクションゲームとしても楽しく遊べています。
◆6種類の職業とは?
『白猫プロジェクト』には6種類の職業が存在し、それぞれ使える武器が違います。特定の敵に対する有利不利もあるので、最大4人のパーティ編成をどんなバランスにするかが重要となります。パーティ編成はコスト制となり、レア度が高いキャラ=強いキャラほどコストが高いので、その計算も大事です。
物理攻撃がほとんど効かない敵がいたり、近接攻撃では届かない場所に宝箱があったりと、職業や武器のバランスを考えて遊ぶことも大切です。敵やステージにあわせて、いろいろと編成を変えることがセオリーですね。
ちなみにスキルは職業ではなく、キャラごとに異なるものが用意されています。スキルの使用中は基本的に無敵になるので、敵の猛攻を回避するために役立つところもポイント。操作性はシンプルですが、実はかなりちゃんとした“アクションゲーム”に仕上がっているんです!
・剣士:近接攻撃がメインですが、攻撃範囲が広めで扱いやすい職業です。主人公が属する職業で、いわゆるバランス型ですね。
・ランサー:HPと防御力が高めの近接攻撃タイプ。武器は槍で、ちょっと攻撃速度が遅めなので、コンボがつながりにくいのですが、ハチ種などに有効です。
・武闘家:グローブを装備し、パンチやキックでの近接攻撃で戦います。攻撃範囲は狭いものの、とにかく攻撃速度が早くてコンボを決めやすい職業です。スキルを使うためのSPがたまりやすいので猛攻をかけられます。かなり強いのですが、その反面、防御力は……。ちなみにグローブは打撃系の武器で、ガイコツ種との相性がよいです。
・ウォリアー:斧で戦う近接攻撃が得意な職業です。攻撃の隙は大きいかわりに一撃の破壊力はバツグンというタイプで、うまくはまれば一気に敵を倒せます。斧はグローブと同じく打撃系なので、ガイコツ種に強いです。
・アーチャー:弓を扱う遠距離攻撃タイプ。このゲーム、動きが素早くて状態異常攻撃をしてくるハチ種がかなり難敵なのですが、アーチャーがいればわりあい簡単に倒せます。
・魔道士:遠距離への魔法攻撃がメインです。やや攻撃速度が遅い短所はありますが、魔法攻撃以外が効きにくい敵もいるので、パーティに1人いると安心です。あと、キャラによっては回復魔法を使えるところもポイント。本作での回復魔法は非常に重要なので、仲間にできたらぜひ育てましょう(自分はまだ、必ず仲間になるアイリス頼みですけど)。
角田:だからこそ、そこを体感できるゲームを作りたいと思ったんです。そう考えると、アクション要素が入ったゲームがいいのかなと。
アクション要素の比重については、今よりも軽くする案もありました。でも、難易度は少し高めくらいのほうが達成感を味わえる部分もあるので、今のレベルに落ち着きました。
――そのアクション要素に“ぷにコン”は欠かせないかと思います。これはどのような経緯で搭載されたのでしょうか。
●ぷにコンとは?
コロプラ独自のインターフェースで、画面をスライドすることでその方向に移動し、タップすることで攻撃を行えます。特筆すべきは、画面上のどこをタップしても大丈夫というところで、直感的にキャラを操作しやすくなっています。
画面上に移動ボタンや攻撃ボタンが表示される、いわゆるバーチャルパッドとは違って、画面のどこを触っても操作ができるので、片手で遊べるところも大きな特徴です。
ちなみに長押しからフリック操作をすることで、各キャラが持つ必殺技を発動することができるのですが、その感度も良好。ポンポンポンとタップしてコンボを入れた後に、スイ~っとフリックしてスキルでフィニッシュを決めた時はもう爽快です!
角田:実は“ぷにコン”自体は、社内の別チームが開発したものなんです。弊社はチーム同士のつながりが強いので、いいものであればチームの垣根を越えて活用することは少なくありません。“ぷにコン”はアクションゲームとの親和性が高いということで、システムを採用することになりました。
浅井:角田は『白猫プロジェクト』の開発当初から片手で遊べるものを作りたいと言い続けていたので、そのコンセプトにも合っていたんですよ。
角田:デジタルなプレイ感を払拭したかったんです。“ぷにコン”を導入するまでは画面上にボタンを表示するバーチャルパッドの形で開発を進めていたのですが、どうしても両手を使わないと遊べませんし、なんとなくデジタルでカチっとした印象が強くって。
その点“ぷにコン”は、見た目的にもプレイ感覚的にも非常に柔らかい操作感で遊べるので、まさに求めていたツールでした。
――実際に遊んだユーザーさんからはどんな声が寄せられていますか?
角田:思った以上に受け入れていただけたようで安心しています。アクション系のアプリだと、どうしても敵自体をタップするものと勘違いしてしまう方が多いのではないかと心配でした。でも、ユーザーの皆様に直感的にご理解いただき、自然に楽しんでいただけている印象です。
▲コロプラでは、『白猫プロジェクト』以外にも“ぷにコン”を使ったタイトルを開発中とのこと。角田氏は、スポーツゲームとの相性がよさそうだと考えているようです。 |
――ここからは『白猫プロジェクト』を手がけたお2人がどんな方なのか、クリエイター個人に関する部分もお聞きしたいと思います。そもそも、なぜゲーム業界に入ったのでしょうか?
角田:僕は元々CGデザイナ-として活動していて、その時に同僚と作ったスマホアプリがプチヒットしたことで、アプリ制作にハマったのがきっかけですね。そんな時、大学時代からの知り合いだった浅井にゲーム制作をしてみないかと声をかけてもらって、今にいたります。
浅井:僕も元々ゲームが好きで、電撃オンラインさんや電撃Appさんだから言うわけではないのですが、『電撃PlayStation』の愛読者だったんですよ。将来はゲームクリエイターになるか、“床部”に入るかで本気で悩んでいました(笑)。
◆床部とは?
雑誌『電撃PlayStation』の読者投稿ページで使われていた言葉で、いわゆる会社の床で寝る人たちのことです(笑)。自分は『電撃PlayStation』で長年ライターをやっていますが、ひと昔前は自宅感覚で会社でえんえんとゲームを遊び続け、床で仮眠をとっては再びゲームを遊び続ける……なんてことをよくやったものです(苦笑)。
結局はコンシューマゲーム開発に携わることになったのですが、スマホの普及によって転機だなと感じまして。それまでのガラケーなどは、ゲーム専用機との性能差がはっきりとしていましたが、スマホになって携帯電話端末の性能が飛躍的に上昇しました。これならコンシューマレベルのゲームも作れると感じて、コロプラに入ったんです。
――お2人ともゲーム好きということですが、最近ハマったゲームや、昔からの趣味はどんなものがありますか?
角田:僕はゲームはなんでも好きでして、最近はPS4の『トゥームレイダー ディフィニティブエディション』や『inFAMOUS Second Son』、『Destiny』にハマっています。それらをプレイしながら、スマホでは『Clash of Clans』を同時進行しています。
元々CGデザイナーだったこともあって、グラフィックのクオリティが高いゲームはワクワクしますね。いつかこのクオリティをスマホでも再現できればと思いながらプレイしています。
浅井:僕は昔から将棋が好きで、そのせいかシミュレーションゲームが好きですね。他にもボードゲームなど、さまざまな分野からスマホアプリに生かせないかアンテナを張りながら楽しんでいます。やはり、ジャンルを問わずにゲーム性があるものに触れるのは楽しいですね。
――その点も含めて、お2人が考えるゲームのおもしろさとは、どんな部分だと思われますか?
浅井:運営的な視点でいえば、お客様とスタッフがコミュニケーションをとれているかどうかは重要な要素だと思います。
コロプラに入ってスマホアプリを開発し始めた時に、上司から「タイトル画面にいらっしゃいませという気持ちを込めているか」と言われたことがあるんです。コンシューマのゲームを作っていたころは、タイトル画面はかっこよくというのが常識だったので、ある意味衝撃でしたね。
そういう意味では、ユーザーインターフェースをいかに遊びやすく作れるかは、開発側として重要なポイントだと思います。お客様と運営で確かなコミュニケーションが成立した時、本当におもしろいゲームが生まれるのかもしれませんね。
角田:ゲームとしての魅力でいえば、やはり目標をクリアした時の達成感はゲームならではの魅力だと感じます。難しいステージや強敵に何度もトライして、ついにクリアした時には、もう脳汁がドバーって出るじゃないですか!
そこにデジタルやアートといった要素がからむことでさらに魅力的なコンテンツになる可能性を秘めている。そんなゲームは最高のエンターテインメントだと思っています。
▲もともとゲームが好きで、昔からゲーム開発にも携わってきた2人。その熱い思いは、『白猫プロジェクト』にもたっぷりと盛り込まれています。 |
――本作ではスタミナ制を撤廃していますが、正直なところ、このビジネスモデルで運営はやっていけるのでしょうか?
◆スタミナ制とは?
基本無料のゲームではおなじみのスタミナ制は、時間経過で回復する行動ポイントのようなもの。その回復アイテムを有料で販売するビジネスモデルは、ある意味で基本無料ゲームの常識でもあります。
ところが『白猫プロジェクト』では、こういったスタミナ制を撤廃して、いつでも自由に好きなだけゲームを遊べるようになっています。今後は基本無料でもスタミナがないゲームが増えていくのかもしれません。
角田:実はリリース直前までスタミナ制の仕組みを実装していました。でも開発を進めるうちに、コンシューマ機と同等のクオリティになってきている中で、行動ポイントや時間に縛られず、もっと遊びたい時に遊べるようにしたいと思うようになりました。
スタミナ制の廃止にあたって、とにかく大変だったのがバランス調整をやり直さないといけないことでした。時間の制限なく遊べる仕様に変更すると、キャラの育成システムから敵の強さのまで、すべてを見直さないといけなかったので苦労しましたね(苦笑)。ルーンやソウルといった育成システムに関する要素も、いろいろと見直しました。
◆ルーン&ソウルボードとは?
ルーンとは敵を倒すとドロップしたり宝箱から入手できたりするアイテムで、主に赤、橙、黄、緑、青、紫の6種類があります。このルーンはキャラクターの育成、武器の進化、施設のレベルアップなど、さまざまな育成要素に使う消費アイテムとなっています。
キャラクターの育成システムは、ソウルボードと呼ばれるシステムとなっており、1つの要素(攻撃力アップなど)を開放すると、次の要素を開放できるようになる仕組みです。ちなみに、キャラ育成の際にはルーンだけでなく“ソウル”が必要となり、これもルーン同様、敵を倒したり宝箱から入手できたりします。
まとめると、お金、ルーン、ソウルという3つの要素がうまく分担され、ゲーム内での育成要素にからんでくる形です。
▲ソウルボードによる育成システム。好みの順番でキャラを強化していくことができます。 |
――あのう、下世話な話、収益的なところで会社から何か相談などはなかったのですか?
浅井:アクション要素が強い『白猫プロジェクト』のゲーム性とスタミナ制の相性が必ずしもマッチしないこともありましたが、ちょうど我々もゲームの課金要素についていろいろと考えている時期だったんです。
従来のセオリーでは、ユーザー様の課金率を高めるためにはうんぬんといった、ゲーム性とは関係がないところでのテクニックばかりが取り沙汰されることが多かった気がします。でも、『黒猫のウィズ』などを含めて我々自身が何作か基本無料のゲームをリリースしてきた経験からすると、やっぱりゲームそのものの魅力が一番大事だと思ったんです。
ちなみに、『黒猫のウィズ』や『白猫プロジェクト』のように自分が作ったものを含めて、自腹で課金して遊んでいます。これは趣味ゲーとして遊んでいるからという部分もありますが、ユーザー様と同じ目線をつねに持とうと意識しているからです。
そんな自分の体験を通して、楽しく遊べるゲームの中に魅力的な要素があった時に課金したくなるんだと気付いたんです。『白猫プロジェクト』は開発段階で楽しいゲームだと確信していたので、スタミナ制でなくともビジネスモデルとして成立する、と心配はしていませんでした。
角田:僕も同じで、ゲームにハマって深くまで遊んでいただければ、お金を払ってでも遊びたいという気持ちにつながると思ったんです。その魅力を伝えるには、やはりいっぱい遊んでいただくということが一番ですよね。そういう意味でも、スタミナ制をなくすという決断にいたったんです。
――もう1つ、課金に関して不思議なことがあるのですが、あんなにジュエルをばらまいても運営的に大丈夫なのでしょうか?
◆ジュエルとは?
ジュエルとは、キャラクターや武器のガチャの他、コンティニューなどにも使われるアイテムのこと。『白猫プロジェクト』におけるゲーム内通貨で、課金アイテムの要となるものです。
そんな貴重なジュエルですが、ゲームを遊んでいるとガンガン入手できます。ログインボーナスや記念イベントのボーナスでも頻繁にもらえるのですが、何よりすごいのは、1ステージをクリアするだけで最大5つのジュエルをもらえること。章によっては何十ステージもあるので、無課金でも先に進んでいけば100個や200個のジュエルがたまっていくわけです!
ちなみにステージクリア時のジュエルは初回クリア時に1つもらえる他、“敵を全滅させる”、“宝箱をすべて開ける”など、ステージごとに用意された3つの条件をクリアすることでも1つずつもらえます。そして、3つの条件をすべて満たすとおまけでもう1個もらえる=合計5つもらえるというわけですね(ジュエル以外が報酬となるステージもあります)。
この仕組みもかなり秀逸で、「ガチャをするためにあと2つほどジュエルが欲しい!」なんて時に、ジュエルを取りそびれていた過去のステージを遊び直すという流れになり、ついつい楽しく遊び続けちゃうんですよね。
角田:個人的には、とにかくユーザー様に楽しくゲームを遊んでもらうことが一番だと思っています。そういう意味で『白猫プロジェクト』は、課金をしなくても楽しんでもらえるように意識しています。
先ほどのスタミナ制の話にも通じるのですが、作り手としては普通に遊んで楽しんでいただけるアクションRPGを作っています。スタミナ制や時間制限がストレスにならないよう、課金要素がストレスにならないよう、普通に遊んで普通に楽しんでいただけることを意識しているので、できるだけたくさんの方に遊んでいただけるとうれしいですね。
――本作は協力プレイも魅力の1つだと思いますが、これは開発当初から予定していた要素だったのでしょうか?
角田:開発コンセプトには2つの軸があって、1つはしっかりと遊べるやり込み要素やストーリー性を大事にして、本格的な1人用RPGとして完成度が高いものを目指すことでした。それとあわせて、複数人でお互いがスキルを出し合って、ワイワイ戦えることが楽しいアクションゲームにもしたいと思ったんです。
そのため、オンラインで楽しめる協力プレイは、開発の初期から導入することを前提としてゲームをデザインしていきました。
▲最大4人での協力プレイも魅力の1つ。プレイ前にパスワードを入力することでクエストに参加できます。 |
――協力プレイでは貴重なルーンを入手しやすいので、ついつい知人と一緒に遊び続けちゃうんですよね(笑)。ちなみに、ゲーム内に他のプレイヤーとの自動マッチング機能が搭載されていないことには、何か理由があるのでしょうか。『白猫プロジェクト』は子どものファンも多いようなので、見知らぬ人との協力プレイに対する配慮もあるかと思いますが、いかがでしょうか。
角田:いろいろと理由はあるのですが、1つの狙いとして、リアルでの友人と一緒に遊んでほしいという思いがありました。自分たちの経験からしても、知っている人たちと顔を突き合わせて遊ぶことって、本当に盛り上がるし、楽しいんですよね。
特に『白猫プロジェクト』は、『黒猫のウィズ』よりもユーザー様の年齢層を低めに想定していたので、学校帰りなどに友だち同士で楽しく遊んでもらえるとうれしいなと。そういう気持ちもあって、まずは実際に近くにいる人と一緒に遊ぶことを前提とした協力プレイの仕組みにしました。
浅井:ただ、協力プレイに関しては、自動マッチングやチャットなど、ユーザー様からたくさんのご要望をいただいています。通勤や通学の電車内でも気軽に協力プレイを楽しみたいという声も大きいので、今後は協力プレイの仕様を調整していくことも視野に入れています。
――そうした要素もありつつ、やめ時が難しい絶妙なゲームデザイン、バランスも魅力かと思います。そのあたりは、どのように調整しているのでしょうか。
角田:開発チーム内でプレイを重ねるのはもちろん、β版を社内の人に遊んでもらって、幅広く意見を聞くことを重視しています。開発チーム内だけで結論を出すことがないようなシステムになっています。
ただ、とにかく多くの要素が詰まったゲームなので、完璧なバランスを取ることは難しいと思っています。そのあたりは、プレイして楽しいと思える部分を最大限にするという作り方を心がけています。遊んで、直して、また遊んで、また直して……という泥臭い調整なんです。
浅井:開発にかかわってしまうと、どうしても客観的に見ることが難しくなるところもあります。だから、社内のいろいろな人に遊んでもらった意見は重要なんです。例えば一部のクエストに登場するベルトコンベアのように、開発チーム以外の声で実装されたユニークなギミックも少なくありません。
――本作はプレイヤーへのモチベーションの持たせ方も秀逸かと思いますが、どのあたりを意識されて運営されていますか?
浅井:個人的には、まだモチベーションは足りていないのではないかと思っています。というのも、開発チームにはコアなゲーマーが多いので、「本当に自分が楽しめているか?」とつねに自問自答している状況です。現時点でたくさんのユーザー様に支持していただいて本当にうれしいのですが、まだエンドコンテンツも実装していない状況です。もっといろいろと、遊び方の幅を広げるような要素を追加していきたいですね。
――そんな風に開発スタッフがお客様の目線で考えていることが、モチベーションの維持につながっているのかもしれませんね。ちなみに、とても楽しく遊ばせていただいていますが、個人的に1つだけ気になる点がありまして……。仲間のAIって、もう少し賢くなりませんか?
浅井:それは重々承知していて、僕自身も強く感じています(苦笑)。難易度が高いステージで“助っ人が倒れずにクリア”という条件を見た時は、ちょっと困りますからね。今後改善していく予定ですので、もうしばらくお待ちください。
ちなみに、通常のストーリークエストを2人で遊べるようなシステムを実装予定です。これが実装されれば、“助っ人が倒れずにクリア”を達成するのもかなり楽になると思いますよ。
――本作は本格的なストーリーも大きな魅力ですが、すでにエンディングは決まっているのでしょうか。カイルとアイリスをめぐる物語の結末がとても気になるのですが、こういった連作系のストーリーはなかなか完結しない印象もあるので、ちょっとだけ心配です。
角田:それについてはご安心ください。現在展開している、主人公やアイリス、カイルを中心とした物語の結末は決まっていて、今はそれをどこに持っていくかの段階です。そこでいわゆる“第一部”は一区切りとなりますが、その先の“第二部”も考えているので、まだまだ楽しんでいただけると思います。
▲カイルをめぐるメインストーリーは、完結に向けて進んでいるとのこと。 |
――ちなみに、本作のタイトル案が『七国物語』だったこともあることから、ちまたでは7つ目の島で物語が終わってしまうような予想もありますが?
角田:あの名前は、過去に7つの大陸があって、それが地上に落ちてきたという裏設定があるだけで、エリア7以降も続いていきます。世界には無数の島があるという設定で、7つしか島がないわけではありませんので。
――安心しました! ここからは、お気に入りのキャラクターについてお聞きしたいと思います。
角田:性能はともかく、純粋なお気に入りは、トウモロコシの外見をしたコーン・ポップですね。あのキャラは、ネタキャラをどうしても入れたくてお願いして入れてもらったキャラなので愛着があります。親密度を高めて、友情覚醒のイベントを見るとわかりますが、実はタイキが彼を育てたという設定面のリンクもあります。
※コーン・ポップは、本記事掲載時点ではガチャからの登場期間が終了しています。その他のインタビュー中に登場しているキャラクターについても、ガチャからの登場期間が終了している場合があります。なお、一度登場期間が終了したキャラについても、特定のイベントなどで復刻することがあります。
◆親密度&友情覚醒とは?
仲間になったキャラクターには親密度が設定されており、一定値に達するとそのキャラのバックボーンなどが語られる固有のエピソード(ボイス演出付き!)が楽しめます。親密度は、基本的に一緒にクエストをクリアすると上がっていきます。
そうして親密度を高めていき、育成などに必要な貴重なルーンを渡すと、友情覚醒という特別なイベントが発生します。いわゆるキャラ別エンドのようなもので、ちょっとしたイベントグラフィックも用意されているのですが、単なる設定的なものだけでなく、キャラ性能に影響するところもポイント。限界突破のような形で、よりキャラを強くできるようになったり、特殊なスキルを習得したりと、ゲームプレイの面でもメリットがあります。
ちなみに、キャラ別エピソードを見るだけでも楽しいので、ついつい育てる気がないキャラも親密度を上げたくなっちゃうんですよね。ヒマがあればバルラ島のQuest12-2“城門を突破せよ”をさくさくクリアして、親密度稼ぎをしています。
▲親密度を高めると、そのキャラの魅力を掘り下げるエピソードをボイス付きで楽しめます。 |
性能面でいえば、広範囲に攻撃できるクライヴは使いやすいですね。見た目も整っていますし。あとは、とんがったスキルを持つアンナもお気に入りです。槍キャラじゃなくて、アンナキャラなんて呼ばれているほどクセがありますからね(笑)。
▲剣士である“若き騎士 クライヴ”(声:三浦勝之)。 |
▲ランサーである“高飛車お嬢様 アンナ”(声:青木瑠璃子)。 |
浅井:僕は、アーチャーが好きなので、ミィニャがお気に入りでした。安全なところからチクチクと攻撃できるのは、楽しいですからね(笑)。
ただ最近は剣士の強さに気付いて、そちらをメインで使っています。先日のイベントでレア度が高い剣士のダグラスが無料配信されたので、試しに使ってみたのですが、これが強くって! それまではウッホ(突進攻撃などを使う、ゴリラ系の敵)が苦手だったのですが、剣士を使うとすごく戦いやすいんですよね。今さらながら、職業と敵の相性の重要性を再認識しました。
▲アーチャーである“南の里の猫娘 ミィニャ”(声:下田屋有依)。 |
――ちなみに、自分の周りでは星たぬきやカムイなど、個性的なデザインのキャラが人気なのですが、どのような経緯で誕生したのでしょうか?
角田:あのキャラクターたちは、メインでキャラクターデザインを手がけている女性のデザイナーが考えたものです。やはり萌えキャラばかりだとキャラの幅がなくなるので、笑えるキャラクターも入れたいということで考えてもらったのですが、彼女の渾身のキャラはあのリアルなクマだったみたいです(笑)。
星たぬきも彼女のアイデアなので、彼女によって『白猫プロジェクト』のキャラクター性の幅が広がっている感じです。
▲剣士である“クールインテリシティボーイベア カムイ”(声:岸尾だいすけ)。こう見えて、なかなかクレバーな口調で話すところも素敵です。 |
▲星たぬき。おなかにデザインされた星マークがプリティですね! |
――ゲームの性質上、今後も定期的にバージョンアップやアップデートが行われていくと思いますが、どのようなことを検討しているのでしょうか。
浅井:現状はアトラクションがまだ足りていないと感じているので、新たに遊べる要素を追加したいと思っています。クエストに行って敵を倒すというゲーム性だけでなく、別の部分で楽しめる要素を追加していきたいですね。
――これまでのインタビューでも、モンスターを仲間にすることや、街に他のプレイヤーを招待することなどもゲームの仕様的には実現可能ということで、どんな追加要素が登場するのか楽しみです!
角田:ゲームの仕様的には、いろいろと拡張できる仕組みになっています。
浅井:個人的にはキャラ育成が好きなので、その部分も掘り下げたいですね。現状での職業は6種類ありますが、新しい職業を追加するのもありかなと考えています。
――新職業! それは夢が広がりますね。
浅井:考え方はいろいろあります。例えば、職業を追加するのではなく、職業内で複数の武器やバトルスタイルを用意することでも、アクションゲームとしての幅が広がると思うんです。今の剣士は長剣的な武器を装備していますが、刀を装備したら攻撃アクションやスキルが変わるような仕組みにすると、新職業じゃなくても遊びの幅はグンと広がると思います。
角田:個人的には無限ダンジョンを作りたいなと思っています。ハック&スラッシュといえば、やっぱり無限ダンジョンですからね。
それから、『白猫プロジェクト』で豪華声優が登場することにも反響があったことを受けて、『黒猫のウィズ』のストーリーフルボイス化を決定しました。『黒猫のウィズ』もストーリー性を大事にしているゲームなので、ボイスとの親和性は高いと思うんです。来年の3月で2周年を迎えるので、そのタイミングでフルボイス化できればと考えています。
――最後に、すでに遊んでいるユーザー、そしてこれから遊ぶユーザーの皆さんにメッセージをお願いします。
角田:まずは、すでに遊んでくださっている皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございます。皆様のご意見も参考に、より楽しめるゲームをお届けしていきますので、引き続き遊んでいただけるとうれしいです。もちろん、長く遊んでいただけるよう、拡張も含めて準備を進めていますので楽しみにしていてください。
まだプレイされていない方は、まずは気軽に始めていただければと思います。他プレイヤーと競うような要素もほとんどないので、今から始めても問題なく楽しめます。まずは自分のペースで『白猫プロジェクト』の世界観を味わっていただければと思います。
浅井:すでに遊んでくださっている皆様は、ありがとうございます。僕自身も一ユーザーとしてゲームのクオリティアップを望んでいるので、皆様に満足していただける内容になるよう努力していきます。もちろん、今後もさまざまなバージョンアップやイベントを用意していますので、存分に楽しんでいただければと思います。
そして、まだ本作をプレイされていない方へのメッセージですが、その中には本作をなんとなく難しそうだと思っている方もいるのではないでしょうか。でも、本作はストーリーも操作方法も、スマホゲームの入門編として最適な内容になっていると自負しています。ぜひ気軽にダウンロードして遊んでいただけるとうれしいです。
先日配信された#1に続き、『白猫プロジェクト』の公式生放送#2が12月15日の21時から配信されます。前回はユーザープレゼントをかけた高難易度のクエストへのチャレンジや、浅井プロデューサーへの質問コーナーなど、内容盛りだくさんの番組でした。
#2では『白猫プロジェクト』と『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』の白黒コラボ企画“白猫×黒猫ねこまつりグランプリ2014”の中間発表が実施される予定です。今回もユーザープレゼントがあるようなので、お楽しみに!
(C)2014 COLOPL, Inc.
※画像に使用、もしくはインタビュー中に登場している一部キャラクターは、ガチャからの登場期間が終了している場合があります。
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