2014年12月7日(日)
セガのゲームハードを美少女に擬人化したプロジェクト“セガ・ハード・ガールズ”。かわいらしいヒロインがジェフリー(『バーチャファイター』の登場キャラ)のスプラッシュマウンテンを食らうなど、その衝撃の内容がセガファンを中心に話題を呼んでいる。
この記事では、カオスなアニメ『Hi☆sCoool! セハガール』を世に送り出した奇才クリエイターたちのインタビューの模様をお届けするーーーーーーーーーーー!(センター先生風に)
※インタビュー中は敬称略。
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▲インタビューに応じてくれた4名。左からCGディレクターの渡辺誠之氏(ジーニーズ)、監督の菅原そうた氏、脚本の岐部昌幸氏、MMDクリエイターのポンポコP(6次元アニメーション)。 |
――本日はよろしくお願いします。ポンポコさんが若干遅れてしまうそうですが、先に始めてしまいましょう! まず、皆さんが『Hi☆sCoool! セハガール』に参加することになった経緯からお聞かせください。
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菅原:『gdgd妖精s』の映画を制作している時に、トムス・エンタテイメントの高達さん(高達俊之プロデューサー)からメールでお声掛けいただいたことがきっかけですね。「今、セガさんと共同でアニメのプロジェクトを進行中で、ぜひその作品に菅原さんを監督として迎え入れたいのですが……」という内容だったのですが、そのメールを読んだ時には思わず「セガ~!!??」と大声を出してしまいましたよ!
自分は高校時代に『バーチャファイター』にハマッて以来のセガファンでしたからね。トムスさんも『アンパンマン』や『名探偵コナン』を作っているような老舗ですし……なんというか、最初はドッキリだと疑いました(笑)。
――(笑)。菅原さんは『gdgd妖精s』の作業がひと段落してから、『Hi☆sCoool! セハガール』の作業に入ったような形になるのでしょうか。
菅原:いえ。昨年の12月に映画の作業が始まり、今年の8月まで映画に取り掛かっておりましたので、ちょうど同時進行です。昨年の12月に作業している最中、高達さんから「とりあえずスタッフで集まりましょうか」とのお誘いがあったんです。
そうしたら、トムスの事務所で待っていた高達さんとディレクターの渡辺さんが会うなり「それじゃあ何から決めましょうか」と言うんですよ! 「まだ何も決まっていないんかい!」と焦った記憶があります。高達さんは、“3DCGの萌えアニメ”を僕にまかせ、ハイクオリティなCG映像はジーニーズの渡辺さんに、という今の原型のような内容を考えられていたと思います。
――決めることを決める会議から始まったんですね。岐部さんが参加されたのは、それら企画の骨組みが固まってからになるのでしょうか。
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岐部:そうですね。自分が参加したのは3月ごろからになります。
菅原:でも、ぶっちゃけその時もまだ中身をどうしていくか決まってなかったんですよね。大枠の流れだけはなんとなくあったと思いますが。
岐部:はい……(笑)。ジェフリーが大きいぷよを抱えているイラストだけが載っている企画書を渡されました。その時は、正直どうしようかと思いましたよ!
――監督がその企画書で岐部さんに何を伝えたかったのか謎ですね。
菅原:岐部さんがご覧になったものは、僕が相談用にラフで作った構成案だったのではと思います……(笑)。
岐部:「どうしよう……」と思いながらインターネットで情報を集めている時に見つけた、監督のWebサイトもインパクトが強かったです。プロフィール欄に初音ミクのコスプレをしている監督の写真があるのですが、その他のコンテンツは全部“工事中”なんです。今どき“工事中”って!(笑) その写真に写っていた監督がもし同じクラスだったら絶対に友だちにならないようなタイプに見えたので、早くもうまくやっていけるか不安になりました(笑)。
――岐部さんにお声がかかったきっかけはなんだったのでしょうか?
岐部:今回のプロデュースチームが『ゲームセンターCX』を視聴してくださっていて、その縁です。番組がはじまって10年、セガが好きだと公言し続けたかいがありました……。
――長い道のりでしたね(笑)。
岐部:そうですね。もう少し早くてもよかったのかなぁ……なんて(笑)。
――続いて、渡辺さんはいかがでしょうか?
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渡辺:もともと高達さんがいらっしゃるトムスさんとは映画の『アンパンマン』などでご一緒していたので、その縁で今回も参加することになった形ですね。
菅原:『アンパンマン』……渡辺さんもすごい人だったんですね!!!!
渡辺:まだ自己紹介のくだりなんですから、監督はもう少し落ち着いてください(笑)。
――高達さんや渡辺さんは企画の根幹から携われているようですが、菅原監督を起用した狙いはなんだったのでしょうか?
渡辺:『gdgd妖精s』のMMD(MikuMikuDance。フリーの3DCGムービー制作ツール)を使った作品の作り方が『Hi☆sCoool! セハガール』にも合うと思ったからですね。
菅原:そういえば、最初は『Hi☆sCoool! セハガール』にも『gdgd妖精s』のように声優陣のアドリブパートを入れる予定でしたね。
渡辺:そうです。ジーニーズにはモーションキャプチャーの機材があるので、声優さんたちに実機のゲームをプレイしていただいて、そのモーションをとろうというアイデアもありました。ただ、どうしても動きが地味になってしまうので没になってしまいましたが……。
菅原:それにモーションキャプチャーは結構ピチピチのキワドい服に着替えないといけないんですよ。それもNGになってしまった理由かなと自分は睨んでいます。
渡辺:また、言わなくてもいいことを(笑)。
菅原:いや、だから俺が初音ミクのコスプレをして「こっちのほうが恥ずかしいからいいでしょ!」と声優さんたちを説得するつもりだったんですよ!
渡辺:(無視して)MMDのアニメーションがかわいい雰囲気で進んでいましたので、モーションキャプチャーの生っぽいデータを使用すると、キャラクターのイメージに違和感ができてしまうと思ったんですよね。
――『Hi☆sCoool! セハガール』はメガドライブなどの懐かしい作品を題材にした回も多いですが、これは監督や岐部さんの趣味が混じったものなのでしょうか?
菅原:セガさんの意向もあるのですが、基本的には自分たちが好きな作品を取り扱っています。僕は特にサターンやドリキャスで遊んでいましたので、『バーチャファイター』、『スペースチャンネル5』、『ジェットセットラジオ』などが好きで。作品内に登場する細かいネタなどは岐部さんによるものが多いですね。
アニメで扱えるゲームを相談して、セガさんがゲーム開発チームに話を通してくださり、3Dデータやモーションデータなどをお借りしてアニメ制作に取り掛かりました。奇跡的な協力プレイのたまものです。夢が叶うような興奮がありました。いくら好きでも勝手にアニメに使うことはできないので(笑)、相談の積み重ねです。
岐部:最初のほうでジェフリーやギリウスといったマニアックなネタを入れすぎて……「ちょっとやり過ぎかな?」とも思いましたが(笑)。
菅原:しかも、悪ノリの天丼(同じことを繰り返すギャグ)でジェフリーやギリウスをその後も何回も使ってしまったんです……。でもセガさんを含めて誰も止めなかったんですよ。
渡辺:まぁ、ギリウスは3Dモデルまで新規で作ってしまいましたからね(笑)。
――どこまでもギリウス推しですね。
渡辺:いや、マンパワーや予算のことを考えると、3Dモデルを量産するのが難しいんですよ。そうなると、どうしても一度作ったギリウスを大事に使っていくことになってしまうんです。
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▲第1話に登場したギリウスは、その後の話でもちょくちょく登場する。 |
――(笑)。『Hi☆sCoool! セハガール』は細かいネタも多いですよね。2bitでフリッキーが次々と自滅していくシーンなどもおもしろかったですが、あのシーンなどは岐部さんのアイデアによるものでしょうか?
岐部:はい。監督がセガサターンやドリームキャストの作品をテーマに選ぶことが多かったので、小ネタにはメガドライブ以前のレトロなものも意識的に入れていきました。濃すぎちゃったところもありますが(笑)。
渡辺:最初から、会話で進行するAパートとゲームの中に入るBパートに分かれることは決まっていたのですが、Aパートは萌えを重視にした作りにする予定でしたよね。それがなぜかああいう展開に……。
――やりたい放題でおもしろいと思いますけどね。おじさんキャラクターだらけで。
菅原:どこまでセガ作品を取り上げるのかという部分は難しいんですよね。ヒロイン3人だけの活躍にしてしまうとそれはそれで普通のアニメになってしまいますし。
岐部:確かにバランスは難しいですね。昔のゲームばかりを取り上げても若い人がついていけなくなってしまいますから……。
菅原:おっさんホイホイって言われちゃう!(笑)
岐部:脚本を書く時は、元ネタがわからなくても笑えるように意識しました。で、元ネタを知っているとさらにニヤニヤできる、みたいな。
――なるほど。ビジュアルや単語のおもしろさだけで笑えるように。
渡辺:そういう意味では2bitが小学生男子に受けているみたいですね。基本的にドリームキャストの頭突きで笑いを取っていますからね(笑)。ということは、精神年齢が小学生の監督もあの話が好きなんじゃないですか?
菅原:うるさいよ!
――ヒロインの3人もそれぞれ個性的ですね。最初はギリウスとの絡みでセガサターンのキャラクターが一番立っていましたが、話が進むにつれてドリームキャストの腹黒さやメガドライブの運動音痴などもフィーチャーされていきましたね。
岐部:なんかドリームキャストが腹黒いという声が多いとか……(笑)。
菅原:ネットの情報を鵜呑みにするだけの純粋な女の子なんですけどね。でもちょっと「わかっててやっているんじゃないか」と思うシーンも多い気がしますけど。
岐部:『ボーダーブレイク』の回で「間違えて撃っちゃいました」と言った後に、もう一度撃っていますからね。脚本には書いていないので驚きましたよ(笑)。
渡辺:ボケ役が2人いるので岐部さんはまとめるのが大変だったのではないでしょうか?
岐部:方向性が被らないようには気を付けました。
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▲3人のセハガールによる漫才のようなやりとりも大きな見どころ。 |
菅原:左右のドリームキャストとメガドライブがどんどんボケて真ん中のセガサターンが「なんなのよー!」とキレる構図はいいですよね。そういえば初期のころに「メガドライブのキャラクターが弱いのでフィーチャーしてほしい」と高達さんから直談判されました。そのせいかどうかわからないですが、最初は頭がよく見えたメガドライブがだんだん残念キャラになっていってしまったんです。
渡辺:そうでしたね(笑)。自分は、最初はギクシャクしていた3人がだんだん仲よくなっていく様子がわかるのが好きですね。
岐部:そういう意味では、10bitの“壊れかけのジェットセットラジオ”のエピソードもすごく好きですね。
菅原:この話は自分が普段やらないアプローチになっていますね。
渡辺:キャラクターがちゃんと生きているということを表現できた回になったかなと思います。
菅原:10bitの展開があるから、最終回が余計に泣けるんですよ。
岐部:テレビ番組の台本は、視聴者の反応を見たうえで人気コーナーの尺を広げたりもできるのですが、『Hi☆sCoool! セハガール』はプレスコでの制作だったので途中で路線変更もできず……。脚本は夏にオールアップしたんですが、書いている時は不安な気持ちがかなりありました。
――視聴者の反応を見て意外だったことはありますか?
菅原:2bitの反応は予想以上でしたね。まぁ、そのせいで3bit以降のハードルが一気に上がってしまったのですが……(笑)。
――2bitは『サクラ大戦』の真宮寺さくらの登場に驚きました。まさか新規収録のボイスが聞けるとは思いませんでしたし。
菅原:『Hi☆sCoool! セハガール』と『サクラ大戦』のセガ担当者が同じだったので実現できたんですよ。
岐部:あの回は本気の悪ふざけという感じがしていいですよね。それにしてもセガさんは本当に懐が深い! 自分が大好きな『獣王記』なんて、本編に出てこない変身シーンのカットがOPに出てきますからね(笑)。
菅原:確かに。自分で勝手に3Dモデルを作って「このキャラクターを使いたいのですが……」とお願いすると、わざわざオフィシャルのデータを送ってくれたりしますからね。これが版権に厳しいメーカーだったら……(記事にはできない危険な話を喜々として語り出す監督)。
ポンポコP:すみません、遅くなりました。
――た、助かりました。今、監督が暴走してしまっていたところなんです。
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ポンポコP:なるほど、いつもどおりですね。監督は打ち合わせでも毎回セガさんに「いい加減にしろよ」と怒られていましたからね。
菅原:いや、いつでもギリギリのラインを攻めていたいんですよ(笑)。
岐部:初期はセガさんに怒られそうな危険なネタも多かったですね。自分もギリウスが愛する孫のために妖●メダルをチキンレッグに乗って隣の村まで買いにいくというストーリーを……もちろん没になりましたが(笑)。
ポンポコP:でもセガさんもセガさんで尖った会社ですので、基本的にわれわれと向いている方向は同じだと思いますけどね。
菅原:だからつい暴走しすぎちゃう。
渡辺:どこまでがセーフかずっと手探りでやってきたので、脚本の岐部さんには迷惑をおかけしてしまいました……。
菅原:「僕の原稿は何回ボツになるんですか!」と怒っていましたよね(笑)。
岐部:そうですね。やたら多いセガの忍者キャラが大集合して井戸端会議をするシーンとか、尺が足りなくてまるまるカットに(涙)。
――そんな幻のシーンが。
渡辺:5bitで忍者の説明をするシーンがありましたが、本当はそこに忍者が集合する展開があったんです。
岐部:「おたく、どんな手裏剣使ってるの?」とか「忍者学校時代、好きな“くノ一”のすいとんの術に使う竹筒を内緒で使ったあるある」とか……どうでもいいムダ話が延々と続くシーンでした(笑)。
渡辺:1話の尺が9分ぐらいしかないので、どうしても小ネタが入りきらないんですよね。
菅原:最初に作った1bitは音声だけで17分ぐらいの尺がありましたからね。「こんなの絶対に入らないよ!」と慌てていたのですが、1bitと2bitの2つに分割したらスッポリ入りました(笑)。
――あ、もともと『バーチャファイター』の話は1話に収まる予定だったんですね。
渡辺:ものすごい見切り発車ですよね。まぁ、進行的にはかなり助けられましたね。1話のつもりが2話できてた、みたいな。
菅原:1話に無理やり収めていたら「ゲーム内での時間が1分しかない!」とか内容が薄くなってしまったと思うので、結果的にはよかったと思っています。
渡辺:そういえば、8頭身パートも最初はできるかどうかわからなかったんですよね。ポンポコPに相談したところ「作れる」と言ってくれたので実現に至りました。
ポンポコP:そうでしたね。8頭身パートでは、毎回ドリームキャストたちにセガキャラクターのコスプレをさせるというアイデアもありました。
渡辺:イメージボードを作るところまでは進んでいたのですが、予算の兼ね合いなどで残念ながらお蔵入りに……。
ポンポコP:ネタ自体は山のようにあって、その中からどこを切っていくかの作業でしたね。
岐部:この作品に限らず、自分は脚本を長く書いてしまうクセがあるんです。
渡辺:『スペースチャンネル5』は特に脚本が長かったですよね。ステージ内にいくつも部屋があって、それを開けるとモロ星人の日常を観ることができる仕掛けがあったりとか。
岐部:気づいたら、助けた人たちがズラッと行列になって。サターンが「なんかデモみたい」とツッコミを入れると、本当に「労働者の権利を守れー!」というデモになっちゃって(笑)。
菅原:あまりに長かったので「1ページ1分ぐらいの尺として10ページ内に脚本を収めてください!」とお願いしましたね。
岐部:今だから明かせる話ですが……その相談を受けてから、ボリュームはそのままにフォントのサイズなどを小さくして無理やり10ページに脚本を収めていました。
菅原:それは誰も得をしないパターンじゃないですか!(笑)
岐部:ネタを切りたくなかったんです。それに会議で皆さんに笑ってもらえればいいかなと(笑)。ま、結果的に入らないのでバッサリ切られちゃうんですが。
菅原:会議では「そこは絶対にいじっちゃだめだろう」という危険なネタもバンバン飛び出しましたね。自分もマイ●ル・ジャクソンのネタを何度も入れようとしましたし。
――まぁ『スペースチャンネル5』に登場していましたしね。
ポンポコP:監督はしつこいんですよ。「さすがにマ●ケルは出せないよね」という結論が出た後に、また懲りずにマイ●ルの話をするから(笑)。
菅原:最終的には「監督、次にマイケ●って言ったらクビですよ」って言われました! なんなんだよ!!
――ポンポコさんも加わったのでMMDやCGについてもお聞きしていきたいと思います。本アニメは2等身パートと8頭身パートが存在しますが、制作はどちらのほうが大変なのでしょうか?
渡辺:圧倒的に8頭身のほうが大変ですね。
ポンポコP:キャラクターに現実に近い動きをさせなければならないですからね。でも2等身のほうもこだわって作っているので、その部分にユーザーさんが気付いてくれるとうれしいです。
渡辺:『スペースチャンネル5』の回でメガドライブが段ボールを被っていじけている時に、ちゃんと指が動いているところとか芸が細かいですよね。
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▲MMDで制作されたセガキャラクターたちの再現度にも注目! |
ポンポコP:CGは自分1人で手掛けているわけではなく多数の人間が携わっているのですが、みんなゲームが好きなので気合いの入り方が違うんですよ。
菅原:確かに指定していないところまで細かく作ってくれますよね。
ポンポコP:MMDは他のソフトに比べて動作やサイズが軽いという特徴があるんです。そのため、アングルを変えるといった修正も簡単にできるんですよね。……まぁ、かといって無茶なスケジュールでたくさんお願いをされると困るんですが(笑)。
――3人の女の子の中で、誰のモデルを作るのが一番大変でしたか?
ポンポコP:ゴテゴテしている服は再現が難しいので、セガサターンの首回りは大変でした。首を動かすと顔に刺さってしまって、調整に苦労しました。
渡辺:ドリームキャストのケープも難しかったですよね。
ポンポコP:モーションの調整だけでなくモデル自体も何度も改造しました。
岐部:3Dといえば、ドリームキャストのパンチラがちょっと多すぎません?(笑)
ポンポコP:それは自分のせいじゃないですよ(笑)。
渡辺:『ジェットセットラジオ』の回はあまりにパンチラしすぎていたため、修正が入って作り直しましたよね。
菅原:まぁ、パンチラをしすぎてもありがたみがなくなってしまいますから!
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――『バーチャファイター』や『スペースチャンネル5』などのセガキャラクターもMMDで制作されているのでしょうか?
ポンポコP:はい。セガさんから3Dモデルをいただき、それをMMDの形で作り直しています。ちなみに自分もセガファンなので、オフィシャルの3Dデータを見た時は感動しました(笑)。
――MMDで当時のグラフィックを再現するのは難しかったのではないでしょうか?
渡辺:3DのモデルとモーションをそのままMMDに移しても違和感が出てしまうんです。そのため、わざと元のデータとは変更している部分もあります。
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ポンポコP:グラフィックを再現するというよりは、当時のユーザーの記憶や感覚を呼び戻せるように心がけて作りました。
菅原:『バーチャファイター』の画面のWINNERの文字がちゃんとジャギっているところもこだわりです。
――『サクラ大戦』の光武の動きはすさまじかったです。
菅原:ポンポコさんがキャラクターならキャラクターのプロフェッショナル、エフェクトならエフェクトのプロフェッショナルにきちんと仕事を割り振ってくれるんですよ。
ポンポコP:MMDを作る前からの古い知り合いばかりなので、どういうものが得意か知っているんです。
――ちなみに3Dの制作で一番大変だった回というと『ボーダーブレイク』などになるのでしょうか?
菅原:『ボーダーブレイク』はゲームの画面をそのまま使用しているので、それほど大変ではなかったですね。
ポンポコP:まだ慣れていなかったという点も含めて2bitと4bitが大変でした。
菅原:4bitは丸々ボツになるかもと話していました。どうしようもなくなったら3bitの最後にうららが登場しておしまいにしようと(笑)。
渡辺:「じゃあ代わりに何をやるんだ」という話になって、候補にあがったのが『コンゴボンゴ』でした(笑)。
ポンポコP:全員が追いつめられていて変な感じになっていたんです。
――それはそれで見てみたい気もします。ちなみに、もしも本作の2期があったら、皆さんは何をやってみたいですか?
菅原:今回は初代の『バーチャファイター』だったので、2期では『2』をやってみたいですね。そして5期まで続いたら最新作の『5』を題材に(笑)。
――毎回『バーチャファイター』回はあるんですね。岐部さんはいかがですか?
岐部:自分はずっと2期の妄想ばかりをしていて……。すでに1話を3パターンぐらい考えています(笑)。
渡辺:それはすごい!
岐部:永遠にやりたいなどとおこがましいことは言わないので、もう1期だけやらせてもらいたいです(笑)。構想中の1話の内容はヒミツですが……たとえば『コミックスゾーン』なども、いろんな世界が描けそうなのでやってみたい気もします。
ポンポコP:自分は『アドバンスド大戦略』が大好きだったので……3Dデータをもらいたいです(笑)。
菅原:もらうだけかい! まぁ、気持ちはわかりますけどね。自分もPCでうららの3Dデータを見た時は感動しました。
ポンポコP:あぁ、『アドバンスド大戦略』の武器が全部欲しいなぁ……。
岐部:心の声が漏れていますよ(笑)。
――渡辺さんはいかがでしょうか?
渡辺:第1期は3人しかいない田舎の学校みたいになってしまっていたので、他の生徒も登場させてみたいですね。
岐部:遠足みたいな回もほしいですよね。みんなでジョイポリスを見学するとか(笑)。
――妄想は尽きませんが、最後に現在発売中のBlu-ray第1巻の見どころを含め、作品のファンにひとことお願いします。
岐部:尺の短いアニメなので3人の印象がしっかり残るように、たとえばセガサターンのツッコミはわざと長セリフにしたりボケっぽくしたりとクセをつけています。最初はわずらわしく感じるかもしれませんが、噛めば噛むほど……じゃないですけれど、だんだんクセになってくれたらいいなぁ、と。
渡辺:自分はアイキャッチの文字やホワイトボードに書かれた内容など、一瞬では追いきれない小ネタをBDで楽しんでもらいたいですね。
ポンポコP:制作者の想いがたくさん詰まった作品なので、瞬きせずに見てもらいたいです。
菅原:90年代のおもしろいブームを詰め込んだめずらしいアニメになっているので、ぜひ観てもらいたいです。皆さんにBDを買っていただいて……なんとか2期を作らせてください! よろしくお願いします!!
(C)SEGA/セハガガ学園理事会
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