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2015年2月3日(火)

『MGSV:TPP』発売日発表の時は近い? TpGS壇上で小島秀夫監督が語る。中文版はPlayStation独占に

文:皐月誠

 1月28日~2月1日にかけて台湾にて開催されている“台北國際電玩展(台北ゲームショウ)”。その3日目、SCEブースにて『メタルギア ソリッド V ファントムペイン(MGSV:TPP)』(KONAMI)のステージが行われた。

 KONAMIの小島秀夫監督が台北ゲームショウに来場したのは実に4年ぶり。他のステージにも増して大入りとなった観覧コーナーに向けて、同氏は“台湾は子どものころ住んでいた土地の風景に似ているし、食べ物がおいしいから好きな国”であると語り、集まったファンを喜ばせていた。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』

 ゲーム内容をプレゼンするコーナーでは、旧作からのつながりをはじめ、時間や天候の変化やバディのシステムなどが紹介された。時間に関して語られたのは、昼間と夜間による潜入しやすさの違いだ。昼間の敵基地は敵兵がたくさんいるが、スネーク側からは遠くにいる敵でも視認しやすい。一方の夜間では、一部の敵兵が寝ているため歩哨の数は少ないものの、スネーク側からも敵機の視認は難しい。また、フィールドに出現する野生動物は昼行性/夜行性がそれぞれ存在し、特定の時間帯は危険な動物に注意する必要があるという。天候については、雨が降った際には雨宿りする敵兵がいるなど、行動パターンに影響が生じるようだ。

 スネークに同行することが可能なバディについては、今のところ女スナイパー・クワイエットと犬のDDが発表されている。彼らには行動をともにすることで上昇する“親密度”が存在し、それに応じて能力も向上していくとのこと。バディは単なるプレイヤー補助としての役割だけでなく、連れて行くことでゲームスタイルが変化するため、単独潜入が苦にならないベテランプレイヤーでもプレイする価値はあるという。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』

 『TPP』の大きな特徴の1つが、『メタルギア ソリッド ピースウォーカー』とは異なりウォークスルーが可能となったマザーベースだ。これは人員や資材を回収していくことでどんどん大きくなる上に、他プレイヤーとのPvP要素としても重要な役割を持つ。解説によると、マザーベースへの他プレイヤーによる潜入を防ぐPvPは、通常プレイからシームレスに発生する模様。マザーベース建設の方向性は、他プレイヤーの潜入を防ぐための監視カメラを敷設したり野生動物を集めて動物園を作ったりと、かなり広いようだ。

 発売については「もうしばらくかかる」が、「でも発売時期はそろそろ発表したい」とのこと。そしてステージの最後には、中文版の発売が発表された。『MGS』シリーズの中文版発売は今回が初であり、しかも今回のローカライズはSCETの支援を受けているためPlayStation独占となる。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』
『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』
『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』
▲中文版発売決定の報をお知らせしてくれたのは、羊ルックのお姉さんたち。思わずフルトン回収したくなってしまう?

■ステージ後 小島監督インタビュー

――中文版のリリースが決定した経緯を教えてください。また、セーブデータは他言語版と共有できますか?

小島:セーブデータについてはノーコメントですが、中文版に限らず世界中の人に本作を楽しんでもらいたいと思っています。今までのローカライズでは、日本語から直で行えないため一度英語にしたものを違う国の言葉に直す場合もありました。今までローカライズがうまくいってなかったのには、そのような理由があります。そういった悩みをSCETのローカライズの人たちに相談してディスカッションした結果、“愛を持って”翻訳してくれる上に、クオリティも確約できるということで、お願いしました。

――ローカライズに関して、ニュアンスが変わることへの不安はありますか?

小島:そこは大丈夫だと思っています。具体的には言いませんが、失敗したことが過去に1回ありました。なので、今回はローカライズしてくれるところを慎重に探していたところ、SCEさんから翻訳チームを紹介してもらいました。ここは“一緒にゲームを作る”という近い距離感でやってくれているので、今回に関しては心配していません。

――中文版の発表では、なぜ羊を使ったのですか?

小島:これは僕のアイディアではないのですが(苦笑)。小島プロダクションからユーザーへの年賀状のビジュアルを使いましたが、日本も台湾も干支がありますので、そのアイコンがわかる人たちであれば羊を使うといいかなと思いました。

――羊はどのようにゲームに関係しますか?

小島:羊が、と言うかヤギの一種として羊がいますが、今回は『MGS3』みたいな“現地にいるものをつかまえて捕食する”というシステムはありませんので、フルトン回収をすることでマザーベースに行って何かの役に立ってくれます。

――久しぶりに台北へ来た感想をお聞かせください。

小島:以前もすごく多くの人が集まってくれて、熱気にあふれていて驚きましたが、今年はもっとすごい「控室からステージまで辿りつけないんじゃないか?」という混み具合でビックリしました(笑)。来年や再来年は、もっとすごくなるのではないかと思っています。日本のクリエイターに伝えて、皆さんにも来ていただきたいと思います。

――他のタイトル以上のすごい人気でしたが、台湾でこれだけ支持されている理由はどこにあるのでしょうか?

小島:これは僕もよくわかりません(笑)。世界中を回ってもよく聞かれますが、「これかな?」というのはありますけれども、それをわかってしまうと作れなくなってしまうと思っています。「わからないうちが華」ということで、作り続けたいと思います(笑)。

――映画監督のタランティーノ氏やデル・トロ氏からはどのような影響を受けていますか?

小島:どちらも大好きですが、直接的に「このシーンへこの監督が影響した」ということはないと思います。ですが、彼らの作品を観てエネルギーをもらって、それでゲーム作りをしていますので、間接的には彼らのお陰で『MGS』ができていると言っても過言ではありません。

 デル・トロさんとは産まれた場所こそ違いますが、近しい部分があって意気投合しているので、『P.T.』で一緒に仕事をしています。

――マザーベースはゲームとどのように関係してくるのでしょうか?

小島:マザーベースはオフラインもオンラインも関係します。オンライン状態のままシナリオモードを遊んでいると、友達が襲ってくるということはあります。緊張感を持ってゲームを遊べるようなシステムになっています。

 『ピースウォーカー』の時にもマザーベースはありましたが、当時はPSPなのでウォークスルーできませんでした。『ピースウォーカー』は『V』までの実験作として作りましたが、評判がよかったのでその進化系を今回作っています。

――旧作をPS4でリメイクする構想はありますか?

小島:リメイクは自分で作ると新作が作れなくなるので(笑)。『MGSV』のオープンワールドのシステムで“自由潜入ができるシャドーモセス”をやりたいとは思いますので、『メタルギア ソリッド』を誰かに作ってもらいたいですが……なかなかウチのスタッフは立候補しませんね(笑)。皆さんが遊びたいと思うのも『メタルギア ソリッド』だと思うので、リメイクするとしたらそこからかもしれません。

『メタルギア ソリッド V ファントムペイン』

(C)Konami Digital Entertainment

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