2015年2月6日(金)

歴代『スペランカー』を手掛けたクリエイター陣が『みんなでスペランカーZ』の魅力や開発秘話を語る!

文:ライターM

 謎めいたティザーサイトには大きく“Z”の一文字。ふたを開けてみれば、まさかの『スペランカー』最新作!? やり込んだ人にとっては、このうえなく緻密に完成されたアクションとして、またネタ的には“ゲーム史上もっとも虚弱体質な主人公”として知られる『スペランカー』のシリーズ最新作が発表されました。

 インタビューでは、作品の生みの親であるTim Martin(ティム・マーティン)氏、ファミコン版を手掛けられたスコット津村氏、PS3版『みんなでスペランカー』を手掛けられた坂野拓也氏と、スクウェア・エニックスのプロデューサー・新井靖明氏にご同席いただいて、最新作の魅力や開発秘話をうかがいました。

『みんなでスペランカーZ』
▲左から坂野拓也氏、Tim Martin氏、スコット津村氏。

■歴代の『スペランカー』を手掛けた“スペランカーチーム”が集結!

──まずは『スペランカー』の生みの親ともいうべきお三方が集結された経緯からお聞かせください。

坂野拓也さん(以下、坂野):今回、シリーズ最新作『みんなでスペランカーZ』をスクウェア・エニックスさんから発売させていただくということに、皆さま驚かれたのではないでしょうか?

 津村個人はもちろん、我々Tozai Gamesは昔からスクエニさんとは親交があったんですよ。どうせ新作を出すなら、より多くの方々に遊んでいただきたいということで、我々単独ではなく、強力なパートナーさんと一緒にプロジェクトを進めたいと考えました。そこで、以前から『みんなでスペランカー』を評価していただいていたスクエニの新井プロデューサーに相談したところ、とんとん拍子で話が進んで制作にいたりました。

──今回のインタビュー企画も突然な話で、あの名作『スペランカー』の新作が発売されるとしか聞かされておらず、どこのどなたが作られるのかさえ分からない状態だったので、本当に驚かされました。

坂野:ありがとうございます。スクエニさんとTozai Gamesがタッグを組んで、歴代の『スペランカー』を手掛けた我々が開発を手掛けております。

スコット津村さん(以下、津村):最弱の主人公キャラクターだからこそ、最強のパブリッシャーで挑んだんですよ。

──言い得て妙な組み合わせですよね。

■最新作『みんなでスペランカーZ』は新要素が盛りだくさん!

──『スペランカー』といえば、アクション以外にも手さぐりでルートを確立していくトライ&エラーの部分も多いわけですが、最新作の難易度はどうなるのでしょうか?

坂野:さすがに30年以上前のオリジナル版とはハードウェア制約などの事情も違いますし、環境に起因するような難しさは取り除いて、遊びやすくしようと考えています。

 そのうえで、ゲームとしての難しさは皆さまが期待している部分でもあると思いますので、今どきのゲームとは一線を画したものとお考えください。ただ、今回はより多くの方に遊んでいただくことも大きな目標となっておりまして、ゲームバランスには非常に気を遣っています。

──新たにペットシステムなども登場するようですが、どのようなものなのでしょうか?

坂野:本作のセールスポイントの1つで、文字どおりペットをパートナーとして連れ歩くことができます。洞窟探検につきまとう孤独感や寂しさもペットと一緒なら少しは和らぐと思います。前作同様、今回も最大6人のマルチプレイが可能で、それぞれがお気に入りのペットを連れて探検できるので、絵的にも楽しいと思います。

──見た目だけでなく、機能的な役割も?

坂野:ペットは何種類か存在し、それぞれ能力が異なります。連れ歩くことで、より冒険が進みやすくなるようなことをしてくれます。どのようなペットが登場するのか、彼らが具体的に何をしてくれるのかは今後の発表にご期待ください。

──かなり楽しみな要素ですが、ペットはゲームを開始してすぐに手に入るようなものなのですか?

坂野:それも今後の情報ということで。ちなみに、ペットの構想は前作の時点であったんですよ。もともと『スペランカー』は1950年代の映画『地底探検』に非常にインスパイアされておりまして、劇中で探検隊の1人がガチョウを連れていたのですが、そういったものからも影響を受けています。

『みんなでスペランカーZ』
▲ヘルメットの上に止まったオウムや、画面下にいる白い犬が新要素となるペット。ペットは操作不要で、自動的にプレイヤーをサポートしてくれる模様。

──もしかして、原点となったオリジナル版『スペランカー』にも影響を与えた作品なのでしょうか?

ティム・マーティンさん(以下、ティム):映画もそうですが、私自身の体験も影響しています。1980年代、アメリカのニューメキシコには掘りつくされて使われなくなった鉱山が数多く残されていて、そういった廃坑に友人たちと出かけては冒険をしていました。それから数年後にゲームの開発に入るわけですが、この実体験と、映画『地底探検』で描かれた冒険に、主なインスピレーションを受けました。

『みんなでスペランカーZ』
▲1980年代当時のティム氏。

■ペットに並ぶ新要素“石版の実”とは?

──ペットの他にも、“石版の実”集めというものがあるようですが、これはいったい?

坂野:本作にはキャラクターの着せ替え要素がありまして、“石版の実”を集めることで新たな装備品が手に入るようになっています。見た目の変化が楽しいのはもちろん、能力にもちょっぴりだけ影響を与えることがあります。

──まさか、高い所から落ちても平気で立ち上がるといった、スペランカーの弱さを打ち消してしまうような効果も!?

坂野:相変わらず高いところには弱いです(笑)。

──そこはぬぐえないのですね、安心しました(笑)。“石版の実”も誰か1人が手に入れればみんな入手できるという仕様のようですね。

坂野:難易度の高いゲームですし、戦ったり競い合ったりというよりは、仲間と力を合わせることで先に進めるというのが本作ならではのおもしろさになっていると思います。

──力尽きても仲間がタッチすることで復活できるようですが。

坂野:それは前作からの仕様でして、残機と体力が尽きてその場に倒れ込んでも、仲間にタッチされることによってゲームに復帰できます。このシステムが、大変好評だったんですよ。

──スマホアプリの『MSスペランカー』では、体力が減らないとかアイテム無限といったキャラも登場しましたよね。

坂野:あそこまで極端な能力差はありません。ただ、ステージに合わせて装備を変えることで、より戦略的な楽しみ方ができると思います。

■気になる本作の世界観は?

──『スペランカー』に関して、これまで明確な設定や物語が語られることはなかったと思いますが、今作でもそれは同じでしょうか?

坂野:実は、本作ではちょっとしたストーリー演出が用意されています。やはり皆さんも気になるところではあると思いますし、ストーリーがあったほうが先に進む楽しみも増えますよね。詳しい内容は明かせませんが、『スペランカー』ファンならきっと楽しんでいただけるコミカルな展開も用意してあります。

──そもそも、これまで『スペランカー』についてストーリーなど語られたことはありましたか?

ティム:オリジナル版について言えば、当時のアクションゲームにおいて、長いストーリーが語られるということはなかったですね。設定的にどのようなものだったかというと、探検家が大きな洞窟に入って、考古学的に価値のある遺跡や遺物を発掘するという、非常にシンプルなストーリーでした。

──ファミコン版では、クリア時に財宝を前に喜んでいる画面が表示されていましたよね。

津村:あれが到達点といいますか、昔のゲームは本当にシンプルでしたね。

──昔はボスを倒すか宝物を見つけるかくらいでしたね。

坂野:『みんなでスペランカー』が発売されたのが2009年とさすがに年月も経っていますので、もう少し踏み込んだストーリーがほしいなと思っていたのですが、ストーリーがあることと、事細かに語ることは違うじゃないですか? 設定としては細かなストーリーを持っていたのですが、表現としてはかなり控えめにしました。

 前作でも石版集めという要素がありまして、石版を集めると1枚の絵が完成して、その絵が何かを語っているという構成だったんですね。エンディングも2種類あって、声高には語らないけれどもしっかりとしたストーリーというものは裏で作ってありました。ちなみにそのストーリーというのは2008年当時、我々3人が集まって考えました。

──本作でストーリーを前面に出すというのは、より先を見たくなるような仕掛けという意味合いもあるのでしょうか?

坂野:すでに『スペランカー』を知っている人だけではなくて、新たに『スペランカー』を知らない方々にも幅広く遊んでいただきたいという思いがありましたので、そういう方に向けて『スペランカー』とは何者なのかという説明にもなっています。

──前作ではステージが100くらいまであるとうかがったのですが、今回はどの程度のボリュームになるのでしょうか?

坂野:今回はあらゆる面で前作を上回っています。具体的な仕様はいずれ公開していきますが、パッケージソフトではなく基本無料のダウンロードソフトであるというところで、拡張性を想像していただければと思います。『スペランカー』ならではのお約束を踏襲しつつ、新しいギミックなども盛り込んで、ステージごとにまったく異なるゲーム体験も楽しめると思うのでご期待ください。

■今明かされる、最新作&ファミコン版開発秘話

──本作を開発するうえで苦労した点などはありますか?

坂野:驚くほど開発は順調です。開発が順調な要因かどうかはわかりませんが、スクエニさんと我々開発チームで洞窟探検を行ったことがあります。

──!?

坂野:まあ合宿のようなものですね。山口県にムーバレーという廃坑を利用したテーマパークのような観光地がありまして、そこで実際に洞窟を見ながらゲームの方向性についてみっちりと議論を重ねたんですよ。昼は洞窟に入って岩の質感を調べたり、夜はお酒も入りつつゲームについて徹底的に話し合ったり、これがあったからこそスムーズに進んだのではないかなと。

──洞窟探検というので、てっきりガイドでも雇ってとんでもない場所に行ったのかと思いました。

坂野:それがですね、想像していたよりも怖いんですよ。夜中に電気を消して閉じ込められて、自力で脱出しなければいけないというコースがありまして、開発チーム全員が命の危険を感じながら必死に出口を見つけていました。

──本来そういうスリルを味わう場所なんですか?

坂野:ムーバレーの宣伝をしても仕方ないのですが(笑)、月曜日だったのでお客さんも少なくて、ナイトコースを申し込んだら我々8人だけ真っ暗な中に閉じ込められたんです。4桁のロックを解除しないと本当に外に出られないのですが、結構広くて誰とも会わないんですよ。

ティム:いやいや、私が1980年代に冒険した洞窟はそんなものじゃないですよ。腹ばいで進まないと通り抜けられないような場所もあって、大人でも迷子になってしまうような場所を、ヘルメットについているライトを頼りに進むんですよ。地図もないトンネルは何マイルも続いていて、底が見えないような縦穴がそこかしこにありました。

──ガチじゃないですか。

ティム:アップダウンが激しくて、すごく突起していたり窪んだりしている場所を抜けると、ライトやランタンで照らしても壁が見えないような、ものすごく巨大な広間がありました。これだけ複雑な地形の中で冒険しているわけですから、実際、ちょっとした段差が致命傷を招くこともあるわけですよ。

──そういった恐怖感がゲームに反映されているわけですね?

ティム:そのとおりです。よく『スペランカー』の主人公は弱いといわれますが、現実なら本当にたやすく命を落とすと思いますよ。もちろんゲームですので、実際の洞窟を再現するばかりではなく、より挑戦的に楽しめるようにフィクションを効かせた仕掛けもいれました。

──最新作の開発において、ティムさんは細かくアドバイスをしたのですか?

坂野:彼は「こうでなければダメ」ということは言わないので、基本的には自由にやらせていただきました。さすがに原作者ということで、いろいろなアイデアを持っており、ちょっと行き詰まっている時に意見を聞くと、ズバッと答えてくれるんですよね。そういった監修という形で参加してもらいました。

──それはやはり、前作『みんなでスペランカー』の完成を見て、これなら日本で自由にやってもらっても大丈夫だと判断されたのでしょうか?

ティム:任せられる人材が日本にいるということは感じていました。ゲーム開発という点では、長年現場から離れていたということも理由の1つです。あとは、やはり日本チームのほうが日本のマーケットのことを理解していると思っていましたし、私だとどうしてもアメリカ寄りになってしまうので、彼らに任せたほうが理に適っていますよね。

──ファミコン版を作られた時にはティムさんとやりとりはあったのですか?

津村:意識的にしなかったんですよ。理由は今ティムが言ったとおり、日本には日本のマーケットがあり、ユーザーの受け取り方も違うじゃないですか。ファミコン版はオリジナル版よりも少し難しくしたのですが、日本とアメリカでは反応が違ったんじゃないかな。

 日本のプレイヤーというのは、すごく我慢強いところがあると思います(笑)。ある程度敷居を高くしても、それが理不尽でない限り、自分が学習すればできるんだという気持ちを持っているし、達成できなければ自分が未熟なんだと受け取ってくれることも多いです。

──たしかに、ゲーマー気質のようなものはありますね。

津村:またそれとは別に、1985年といえば、9月にあの『スーパーマリオブラザーズ』が発売されたんですよ。当時はまさに、『スペランカー』の製作途中だったわけです。あれだけヒットしたゲームのあとに発売するなら、何か絶対的な特徴がなければいけない。ティムの言うとおり、洞窟探検は生半可なものではなく命がけだから、主人公が弱くても当然じゃないですか?

 それなら『スペランカー』はハードなアクションアドベンチャーにしようと。もちろん、社内でも「こんなに難しくしたら売れないですよ」とか「なぜ身長よりも低い高さで死んじゃうの?」といった意見は噴出したのですが、これをゲームに押し込めないと、ヒット作の陰に埋もれてしまうという理由がありました。結果的に“愛される弱さ”として好意的に受け入れられた面もあって、よかったなと思っています。

──シリーズを重ねても弱くあってほしいと思いますよね。強くなったら『スペランカー』じゃないですし。

津村:そうだよね(笑)。

『みんなでスペランカーZ』
『みんなでスペランカーZ』
『みんなでスペランカーZ』
▲懐かしのファミコン版。グラフィックに色使い、ステージの仕掛けなど、今でも遊び始めると止まらなくなる独特の魅力にあふれている。

■クリエイターの人生も変えた『スペランカー』

──ファミコン版の生みの親としては、PS4での進化をどう思われますか?

津村:時代とともにハードも進化する、ソフトも進化する、そして『スペランカー』も進化するというのは自然の流れですから、私の立場としても満足ですよ。強力なパブリッシャーに寄りかかって、なんだかキャラクターも強くなっているような、そんな気持ちがあります。でも“クソゲー”と言われないようになってしまうのは寂しいかな(笑)。

──何十年も前の作品がこうして新たに作られるというのはどういうお気持ちですか?

ティム:そうですね、このゲームを開発した当初は、30年も生き残るようなゲームになるとはまったく予想していませんでした。今から8年ほど前にTozai Gamesさんからお話をいただきまして、これだけ年月の経っているゲームに興味を持っていただけるということに非常に驚いたんですね。

 このゲームを復活させてこれからも続けていきたいというお話をいただいた時は、とてもハッピーな気持ちになりました。最新作も本当に美しくて、このような作品のリリースを実現してくれたスクエニさんと坂野さんに感謝するとともに、とても光栄に思っています。

──日本で『スペランカー』が非常に人気の高いタイトルだということはご存じですか?

ティム:坂野さんや津村さんに教えてもらうまでは全然知らなかったです(笑)。

津村:ファミコンで人気がありましたよね。難しすぎるとかネガティブな評価も多かったのですが、理不尽な弱さではなくて、学習すればクリアできるわけでしょ?

 例えば、初めて自転車に乗る人でも最初からはうまく漕げないじゃないですか。でも、それは自転車がダメなわけではなくて、乗ろうとしている人にコツや経験が足りていないだけなんですよね。そして繰り返しているうちに自転車に乗れるようになる。この“スイスイと乗れた”という感覚を味わってこそ、ゲームも価値があるのではと思うんですよ。

──当時の達成感は大きかったですね。

津村:達成できた人にとってはよい評価、挫折した人にとっては“クソゲー”と、本当に両極端な評価でした。アイレムを離れてからは縁がなくなっていたのですが、アメリカで仕事をしていても、ふと思い出すのは『スペランカー』なんですよ。そもそもこのゲームは私が渡米するきっかけになった作品で、1年間だけの滞在のつもりが気がつけば27年。『スペランカー』は私だけでなく家族の人生まで変えてしまったわけです。

──なんだかドラマチックですね。

津村:今となっては本当にすばらしい出会いだったと思っています。そんな中、たまたまティムに連絡を取る機会があって、もう一度何かやろうよと話をしている時に、坂野さんからEメールが届いたんです。

 「私は『スペランカー』が大好きで、ぜひとも一緒に作りたいから、日本に帰国される時はお会いしたい」と連絡をいただいたんです。その時はすでにアイレムがビデオゲーム業界から撤退していたので、Tozai Gamesを立ち上げて、いったんは倒れた『スペランカー』を生き返らせたというわけです。

──ゲームどころか、開発者も巻き込んだストーリーがあったわけですね。

津村:30年も生きているようなゲームですから、それなりの何かがなければ残ってないですよ。

ティム:単なる偶然ではないですよね。

津村:ティムも運命的なものを感じてくれているようで、我々としてもすごくうれしいですね。異なる世代で『スペランカー』を作った3人が一堂に会して、新たな『スペランカー』を作る。

 しかも、今回はスクエニさんという強力なパートナーを得て、よりパワーアップ……いや、スペランカーが強くなっては困りますが、また息を吹き返したという感じで、やっぱりしぶといキャラクターですよね(笑)。

『みんなでスペランカーZ』

■タイトルに込められた意味は?

──ティザーサイトでも話題を呼んだ『Z』というタイトルの意味を教えていただけますか?

坂野:そうですね、抽象的ですが何かこう、すごいぞという感じです。究極の『スペランカー』を目指して作っておりますので、その思いを込めました。

──本日インタビューにうかがう直前に“謎のティザーサイト出現”というニュースを見まして、今回のインタビューとは無関係などと思っていたら、まさかの……。

坂野:今現在までで、スクエニさんと『スペランカー』を結びつけるような要素はなに1つないですからね(笑)。エメラルドやダンジョンのイメージ画像、MSSPがゲストでニコニコのイベントで発表ということ、URLが“msz”になっているなど、スクエニさんが細かい手掛かりを仕込んでいるのですが、正解にたどり着く人はいないと思います。

──そこが何よりも驚きでした。

新井靖明さん(以下、新井):『2』と銘打って続編にしてしまうと、より多くの人に知っていただきたいという部分で抵抗感が出てしまうかなと。あとはシステムとかデザインもこれまでにないものをとりこんでいますので、スゴさとか新しさを表すための『Z』でもあります。

──今回はひと足先にニコニコ闘会議で公開されるトレーラーを見せていただいたわけですが、やはりあの方が?

新井:はい、タイトルコールは水木一郎さんにお願いしました。

坂野:Tozai Games単独でやっていたら絶対になかった発想なので、こういうところにもスクエニさんとご一緒する意味を感じます。

●『みんなでスペランカーZ』闘会議トレーラー動画

──タイトルに『Z』とつけたのはTozai Gamesさんなのですか?

坂野:それはスクエニさんなんですよ。タイトルをどうしようかと悩んでいたところにスクエニさんから提案がありまして、即決です。やはりZというのは“ももいろクローバーZ”とか、『ドラゴンボールZ』とかクールかつポピュラーなイメージとして定着しているじゃないですか。

新井:ここだけの話、水木さんありきのタイトルだったんですよ(笑)。水木さんにお仕事を引き受けていただけたら『Z』にしましょうと。水木さんの他にだれがZを言えるのかというのがありましたから。

津村:それにしても、Zというとなんだかものすごい強いイメージがあるから、余計におもしろいよね、『スペランカー』とZという組み合わせ。

──なんだか弱いのに強そうですね。

『みんなでスペランカーZ』

■シリーズ最新作は基本無料で遊びつくせる!?

──今回、基本無料にされた理由は?

坂野:より多くの人に遊んでいただくためにも、基本無料というのはすごくよくできたビジネスモデルだと思います。据え置き機向けのアクションゲームではあまり見かけませんが、そんな新しいチャレンジだからこそ、スクエニさんも興味をもって一緒にやっていただけたのかなと思っています。

新井:実は基本プレイ無料で、なおかつ無制限です。なので、『スペランカー』がすごく大事にしてきた死んで覚えるという部分はどなたでも楽しんでいただけます。最後までお金を払わず遊ぶことも可能ですね。

坂野:据え置き型ゲーム機のタイトルとして作っていますので、じっくり遊んでいただきたいですよね。

 せっかくPS4の電源を入れて、スマホアプリのようなスタミナ制ですぐに遊べなくなったらつまらないじゃないですか。マルチプレイでワイワイ盛り上がっているのに1人だけスタミナが尽きて続けられないというのもいただけません。スクエニさんのアドバイスもありまして、それならすべてのステージを遊び放題にしようということになりました。

──プレイヤー視点で見るとものすごくうれしい反面、どこでお金を稼げるのだろうと妙な心配をしてしまうところですが。

津村:PS4の横に箱を置いておいて、プレイするたびに小銭を放り込んでもらいましょうか(笑)。

──完全にお布施ですね。

坂野:そこがスクエニさんと一緒させていただいたもう1つの強みで、時間をかけてプレイヤー人口が拡大していけば長期的に回収を見込めます。我々だけだったらもう少し目先のものが気になったかもしれません。

新井:サービスが始まった暁には、ぜひプレイヤーの皆さんの要望もお寄せいただきたいですね。

『みんなでスペランカーZ』
『みんなでスペランカーZ』

■クリエイター陣からのメッセージ

──最後に、本作を楽しみにされているゲーマーの方々にメッセージをお願いします。

ティム:日本の方々が長年『スペランカー』というゲームを応援し続けてくださっていることを非常に光栄に思います。そして、今回のリリースが新しい世代の方々に『スペランカー』を知って、楽しんでいただけるような機会になればいいなと、非常に楽しみにしています。

津村:スクエニさんとのコラボレーションで、『スペランカー』を遊んでいただける人の幅が広がるのは間違いないですよね。新たな展開がまだまだ続くということで、今回のプロジェクトは本当に期待しています。

坂野:スクエニさんから発売されるということで驚かれたと思いますが、我々歴代の『スペランカー』クリエイターたちもガッツリとかかわって、最高に楽しいタイトルをお届けできるように頑張っているところです。皆さんぜひご期待ください。

データ

▼『みんなでスペランカーZ』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応端末:PS4
■ジャンル:アクション
■配信日:2015年3月19日
■価格:基本無料/アイテム課金

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