2015年4月26日(日)
4月29日~5月10日に東京・俳優座劇場にて公演される、舞台『逆転裁判2 ~さらば、逆転~』。本作の出演キャスト、関係者へのインタビュー連載を掲載する。
舞台『逆転裁判2 ~さらば、逆転~』は、カプコンの人気AVG『逆転裁判』シリーズの舞台化第3弾。公演は、舞台1作目と同じくADKアーツの主催にて行われ、カプコンは監修を担当している。
キャストインタビュー第1弾として、成歩堂龍一を演じる渡辺大輔さんと御剣怜侍を演じる和田琢磨さんへのインタビューを掲載。稽古中に2人が感じていることや演技に対するこだわり、キャラクターのとらえ方など、さまざまなことを聞いている。なお、インタビュー中は敬称略。
⇒カプコンの江城元秀さんと山崎剛さん(※)、演出の大関真さんへインタビュー!
⇒綾里真宵役の荻野可鈴さんと椎名ひかりさんへインタビュー!
⇒狩魔冥役の楠世蓮さんと藤嵜亜莉沙さんへインタビュー!
※山崎さんの“崎”は正しくは異体字。
▲渡辺大輔さん |
神奈川県出身でビーエムアイ所属。2006年『ウルトラマンメビウス』のイカルガ・ジョージ役で俳優デビュー。現在、2012年4月よりNHK『うまいッ!』でレポーターを務めている。舞台を中心にさまざまなジャンルで活躍の場を広げている。
主な出演作は、映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』、『カバディーン!!!!!!!~激突・怒黒高校篇~』、ミュージカル『天翔ける風 に』、『ドラキュラ』、『ブラッドブラザース』など。7月より全国ツアーが始まる、ミュージカル『南太平洋』にジョー・ケーブル海兵隊中尉役にて出演予定。
▲和田琢磨さん |
山形県出身でHeazelz所属。特技にハンドボール、英会話、オリジナルポエムなどがあり、さまざまな才能を発揮している。
舞台『流れる雲よ~DJ から特攻隊へ愛を込めて~』、ミュージカル『テニスの王子様2nd シーズン』、『冒険者たち~The Gamba 9~』、『SEMPO~日本のシンドラー杉原千畝物語~』、『しっぽのなかまたち』、『眠れない羊』など、舞台や朗読劇を中心に活躍の場を広げている。
――まず最初にお名前と演じられるキャラについて簡単に教えてください。
渡辺:成歩堂龍一を今回初めて演じさせていただくことになりました渡辺大輔です。弁護士と聞いて、正義感あふれてしっかりしていると思っていたのですが、台本を読んでみたらまったく違いましたね。
――実際にはどんなキャラでしたか?
渡辺:けっこうアツく突っ走ってしまうキャラで、突っ込まれるとアタフタしてしまう。子どもからも突っ込まれるんですが、マジメに接する大人の面もあります。
自分とは正反対の人間で、稽古場で「友だちになるのは難しそうだな」と言ったら、皆に爆笑されました。ただ、真逆の人間になれるのは役者ならではのことなので、役を愛してテーマである“逆転”を見せたいと思います。
和田:御剣怜侍という検事を演じさせていただきます、和田琢磨です。主人公の成歩堂龍一の幼なじみにしてライバルで、非常な重要な役割です。
御剣と成歩堂は検事と弁護士なので、対立しているようなイメージですが、見えないところでつながっている友情のようなものがあります。また、一見すると冷徹に見えるのですが、人情深い一面が見られるのも彼の魅力だと思っています。
――渡辺さんは出演が決まった際に、どの思われましたか?
渡辺:初演、再演を含めて3回目にして自分に回ってきたので、プレッシャーもありましたね。
以前の舞台『逆転裁判』をご覧になられた方は、ステージの雰囲気やキャラのイメージができているはず。役者が変わった時にどのような評価をされるのか……よかったとしても悪かったとしても大変だと、悩みもしました。……琢磨がこの立場だったらどう?
和田:プレッシャーがすごそうで嫌かもなあ。探り探りになりそう。
(一同笑)
渡辺:でしょ!? 現状、自分が落ち着いていませんし、物語の中では成歩堂もずっとアタフタしています。真宵ちゃんが大変なことになってからはつねに気が気ではない。今回のお話は何が正解で、どれが不正解なのかわからない。物語がすごく練られているため、いっぱいいっぱいです。
――まだプレッシャーがあるということでしょうか?
渡辺:もちろんです。たぶん、舞台が終わるまで続くと思います。ただ、琢磨を含め知り合いの役者と昨日話した時に、「緊張もありつつ、緩和もありつつやっていけば、おもしろい作品になることは間違いない」という話になったので、やるだけです。
――2013年に舞台公演『逆転裁判 ~逆転のスポットライト~』が、2014年に再演が行われましたが、反響はいかがでしたか?
▲舞台公演『逆転裁判 ~逆転のスポットライト~』の様子。 |
和田:多くの人がおもしろいと言ってくださいました。友だちから「ゲームをやっていないんだけど、楽しめる?」という質問があったんですが、見終わって「ゲームをやってみようかな」と言ってくれました。御剣をやれて、あの舞台に立ててよかったと思いましたね。あとは、ゲームファンが舞台を見て、より『逆転裁判』の世界を好きになってくれたという声も聞きました。
反響をたくさんいただいたので再演をやれて、今年もやれるんだと思っています。今回の脚本はゲームに沿ったもの。ゲームファンの方には、ゲーム中では見られないシーンを、我々が見せられればいいなと思っています。
渡辺:自分は逆に「ゲームをやっていて好きだから舞台を見に行きたい」という友だちが多いんです。今朝も前に共演した人から「ずっとシリーズをプレイしているから、チケットをとって」と連絡が来て「……ああ……そうなんだ……あなたも……ファンなのね!」って。
和田:アハハハハハハ。でも、認知度がすごいことは毎回感じますね。
渡辺:これまでに2回舞台をやり、映画もあり、そもそものゲームも大人気。演じる側の俳優やスタッフにもファンが多いので反響も大きいです。だからこそ、舞台を見てくれた人がゲームに興味を持ってくれたら、最高の気分だと思いますね!
――渡辺さんが今回の成歩堂龍一というキャラを演じるに際して、心がけていることはなんですか?
渡辺:演出の大関さんともいろいろと話し合いながらやってきましたが、あまり深く考えすぎないようにしています。決め付けてしまうと、ちょっと変えた時にすぐに切り替えができない。
今回は真宵ちゃんが誘拐され、殺し屋の虎狼死家左々右エ門が出てくる。無罪を勝ち取る必要が出てくると、弁護士の立場と真宵ちゃんを助ける立場で心が揺れるんですね。だからこそ、キャラの役柄を最初に変に決めつけるのではなく、稽古終盤まで演じながら模索していき、構築していくことにしました。もちろん、押さえるべき要点は最初に把握しています。
――和田さんとしては約1年ぶりに『逆転裁判』の舞台が行われることになりますが、再び衣装をまといいかがですか?
和田:実は3度目の衣装ではなくて、今回いろいろリニューアルしているんですね。装い新たな衣装で気分を一新しつつ、御剣を演じています。赤で目立つうえに、豪華な服なので、背筋がシュッとしますね。
――渡辺さんは青のスーツをまとっていかがでしたか?
渡辺:青ってすごいなと思いました。青いジャケットをオシャレに着ている方や、青いスーツを着られている方がいらっしゃるかもしれませんが、自分は着たことがなかったので新鮮でした。しっかりしたスーツを着ているのですが、今回はシュッとできないキャラを表現するのでおもしろいです。
――衣装を着ると、普段とは大幅に変わられる方はいますか?
渡辺:アニメやゲームのキャラは髪型や衣装が特徴的なので、知っている役者でも初めて見た時には「え? 誰!?」ってなりますね。パンフレット撮影の時に琢磨の御剣を見た時に「あら~~! そんな姿になっちゃって!」って思いました(笑)。
和田:特にこの『逆転裁判』は普通の見た目のキャラが少ないですからね。そういう意味では、衣装を着て、役に入っている役者陣の演技にも注目してほしいですね。
――脚本をご覧になって、いかがでしたか?
渡辺:正直、複雑で難しいと思いました。さらに、主人公がとにかく迷っているので、それが見ている人にどう映るのか……前回の公演の模様を見させていただいたのですが、周りのキャラとの関係性が前回とは違ってくる。そういう部分では新鮮で楽しいんですが、読めば読むほどに難しいですね。
和田:そうですね。物語は難しいと感じました。原作となっているゲーム版の物語にはない、天野由利恵と藤見野イサオの関係性などを、舞台では追加しています。ゲームがベースなんですが、舞台で生でお客様に芝居を見せることを考えると、「このシーンではどういう表情していたらいいのかな?」や「ここで御剣はどう動くのかな?」ということを考えるのは大変です。
渡辺:ゲームではシーンの一部分が表示されますが、舞台ではそれ以外のキャラも見れるのが醍醐味。それぞれのキャラをしっかり見られるので、原作ゲームを楽しんでいる人も楽しめるかと。
和田:見る側の楽しさでもあり、我々の大変さでもありますね(笑)
――現在、稽古の真っ最中ということですが、現場の雰囲気はいかがでしょうか?
渡辺:おもしろいですよ。いい意味でそれぞれにまとまりがない。春美役の2人が走り回っていて「ここは小学校か!?」って楽しい雰囲気がありつつ、アッキー(矢張政志役の林明寛さん)や龍虎(糸鋸圭介役の磯貝龍虎さん)はムードメーカー的な存在。良ちん(藤見野イサオ役の加藤良輔さん)ともっくん(王都楼真悟役の太田基裕さん)は、普段よりも大人しめですね。
和田:そうなんだ。初めて一緒に稽古して大人しいからそういう人なのかと。あと、ハミちゃんはマスコット的な感じで、すごくいいですね。
▲矢張政志を演じた林明寛さん。 | ▲糸鋸圭介を演じた磯貝龍虎さん。 |
▲藤見野イサオ役の加藤良輔さん。 | ▲王都楼真悟を演じた太田基裕さん。 |
――今回はWキャストが3組いますが、普段の舞台とはやはり勝手が異なるのでしょうか?
和田:それは違いますね。同じところを何度もやるので、どうしても稽古時間が長くなるんですよ。シングルキャストは集中を切らさないようにしつつ、Wキャストも別パターンを見て勉強しているので、マジメな子が多いですね。
渡辺:もう一方の組の演技を見られるので、Wキャストの人はうらやましいです。客観視して見ることってすごく大事なので。だからこそ自分が演じているのを俯瞰(ふかん)して見られた時は、自分が冷静なのがわかるんですよね。
和田:集中を保つ必要こそあるんですが、いろいろとチャレンジできるという意味ではシングルキャストにもメリットはありますね。
渡辺:演じる人によって、同じキャラでも言いまわしが違ったり、間が異なったりするんです。だから、からむ側からすると難しさもあるんですが、場合分けして演じたいと思います。
――現在、稽古されている中で、印象的なキャストはどなたでしょうか?
渡辺:皆、キャラが強い人ばかりだよねえ。からみは少ないんですが、真宵ちゃん役の椎名ひかりさんはすごいね。
和田:パワーがすごい! 最近、あるアニメにハマったらしくて、(マネしつつ)「わたしぃ~、自転車買ったんです!」って。その自転車って、本格的なロードバイクだよ?
渡辺:マジで!? こないだ、スカートの下に文字が書き込まれているタイツをはいていたけど、そんな格好でペダルを回しているの? (マネしつつ)「じゃあ、おつかれさまでした~~」って出てってからロードバイク!? ……ビックリですね。
和田:あったね、あったね。あと、メイちゃんを演じる楠世蓮さんも特徴的でした。休憩時の椅子が横のことが多いんですが、よくお菓子を食べています。
――別のインタビューでもお菓子の話は出てきましたね。その時は、椎名さんがよく食べているということでしたが……。
和田:椎名さんと同じくらい食べていますね。そして、そのお菓子をすっとくれます。彼女にとってはお菓子をあげるのは普通のことなのかもしれませんが、最初は驚きましたね。もしかすると食べていない人への気配りなのかもしれません。
渡辺:自分もお菓子をもらいました。休憩中は黙って台本を読んでいることが多いんですね。その時に突然「ポッキーあげる」って。でも、台本を読んでおきたかったので横に置いておいたら「食べないの?」って聞かれました。
和田:押しが強い!(笑) でも全体的には元気なメンバーが多いという印象です。
渡辺:あと、以前から交流がある“とみしょー”こと富田翔くんかな。別の仕事があったので、彼は先日合流したんですが、すぐにセリフを頭に入れるし、メンバーになごむのも早い。今回はセリフが難しいし、設定的にも余裕がないこともあって、俺自身が余裕がないので、個人的に彼に助けられていますね。
――例えばご飯を食べに行くような機会はないのですか?
和田:ある時もありますが、大輔はすぐに帰るよね。休憩中には台本と向かいあっていて、終わったらすぐに帰る。
渡辺:今回は本当に余裕がないんですよ。
和田:でも、まだ稽古の日程も全然あるし、余裕は徐々にできるでしょ。
渡辺:余裕ぶっちゃって!
和田:(腕をつきつけつつ)異議あり!
▲舞台公演『逆転裁判 ~逆転のスポットライト~』の様子。 |
渡辺:「異議あり!」じゃないよ。却下します!
(一同笑)
渡辺:でも、余裕ができたら皆でご飯に行きたいですね。今は休憩中もご飯を食べている時も、風呂の中でも台本が手放せなくて……。
和田:今は場面ごとに練習しているので、通しで稽古をしたらまた変わると思うよ。
渡辺:皆から、すごくエネルギーをもらっています。
――小道具にもかなりこだわられているとお聞きしていますが、いかがでしょう?
渡辺:遺留品、裁判の証拠品、さらにキャラの小道具、トランシーバーなどなどかなりたくさん出てきますね。とにかく多いので、忘れないか今から心配です。
和田:特に成歩堂は複数のアイテムを一度に持っている必要があるのが大変そうです。
渡辺:一番大変なのはトランシーバー。最初から最後まで、法廷でもそうでないところでも持っています。カードや伝票は軽いので、内ポケに入れるんですが、トランシーバーは大きくて重いので大変なんですよ。
忘れないように、このシーンはこのセットというまとめを作っておくか、全部を持っておく! そうしたらどこかに入っているので。もし違う小道具を出してしまったら「……あれ? 失礼」と言って別のを探すとか。
――それはそれで成歩堂っぽいですね。
和田:でも、本来の大ちゃんにはありえないシーンだよね(笑)。
渡辺:そうだね。前日に必要なものを用意しておくから! ただ、小道具やセットは綺麗に作っていただいたものばかりで、全体的にクオリティは高いです。驚いたのはぬいぐるみが大きいことと、木彫りの熊がかなり重いことですね。
和田:前回驚いたのは、裁判シーンの裁判台のセットです。裁判長の席が高くて、法廷の雰囲気が一気に出ます。僕は休憩中に裁判長の席に登って、そこから見える景色を味わいました。今回も楽しみです。
渡辺:まだ見てないから楽しみだな。座ったら高揚感を味わえそう。
▲舞台公演『逆転裁判 ~逆転のスポットライト~』の様子。 |
――最後に、今回の舞台の見どころをずばりお願いします。
渡辺:最初に話したんですが、琢磨とは普段からたわいもない話をしていますが、役者としてはよきライバルでもある。そういう部分と成歩堂と御剣の関係は重なって見えました。まあ、普段から彼らがカフェでしゃべっているかはわかりませんが(笑)、法廷で立った時は自分の役割をまっとうし、お互いを認めている。いろいろなところでその関係が見えると思うので、ぜひ楽しんでください。
和田:これまでの話とかぶるところもあるんですが……事件が解決するまでも当然おもしろいのですが、物語で描かれる数日の間に、人間的にすごく成長するキャラがたくさんいます。短い期間にそれ以上の時間をかけたくらい成長するので、それを役者陣が表現できて、見られている人が感じていただければうれしいです。
渡辺:物語としては、「どうなったらいい終わりなのか、どうやって事件が解決するのか」が見えにくいところもあるので、傍聴席で裁判を見ているような雰囲気で舞台を見ていただければと思います。
個人的には、人は1人では生きていけないと改めて認識しました。できたとしても1人では限度があるけど、支えてくれる仲間や認めてくれる人がいることで糧になり、1人の人間になる。それをお客様に感じていただければ、我々はしっかりキャラを演じ、物語を紡げられたのだと思います。
⇒カプコンの江城元秀さんと山崎剛さん(※)、演出の大関真さんへインタビュー!
⇒綾里真宵役の荻野可鈴さんと椎名ひかりさんへインタビュー!
⇒狩魔冥役の楠世蓮さんと藤嵜亜莉沙さんへインタビュー!
※山崎さんの“崎”は正しくは異体字。
■舞台『逆転裁判2 ~さらば、逆転~』概要
【公演期間】2015年4月29日~5月10日
【場所】俳優座劇場(六本木)
【原作・監修】カプコン
【主催・企画・制作】ADKアーツ
【価格】
●プレミアム傍聴席:9,800円(税込)
※客席前方ブロック
※プレミアムグッズ(非売品)付き
●指定席:6,800円(税込)
【チケット取扱サイト】
・ローソンチケット(Lコード:36526)
・カンフェティ
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