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2015年5月26日(火)

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』吉田Pインタビューでわかった、パッチ3.0からの冒険の方向性

文:おしょう

 5月18日~20日(現地時間)、フランス・ナント郊外のシャロン城にて開催された『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』ヨーロッパメディアツアー。そこではプレゼンテーションや実際の試遊に加え、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがうことができた。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲『ファイナルファンタジーXIV』プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。インタビューはヨーロッパメディアツアーが行われたChateau de Challainの城内の一室で行われた。

 すでに各種PVや新ジョブ・新アクションについては、日本時間5月22日に開催された第21回プロデューサーレターLIVEや、以前の記事で解説済みだが、ここではそのさらなる詳細やフィールド・コンテンツ全般についても語っていただいたので、6月19日のアーリーアクセスや6月23日のサービス開始前に、ぜひチェックしておいてほしい。

→メディアツアーで見えた各ジョブのインプレッションはこちら
→第21回プロデューサーレターLIVEの情報まとめはこちら

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■「『新生』スタート時の感覚がもう1回きた!」
 くらいの意気込みで挑んでもらいたい

――『蒼天のイシュガルド』は拡張パッケージのイメージを超えて、思った以上にとんでもないボリュームだと感じました。まさに『新生』のローンチに近い苦労があったのでは?

 そうですね。実は、トータルのプレイタイムで言うと『新生』のときよりもボリュームは多くなったと思います。正直な話、開発期間に対してボリュームの見積もりを見誤ったなと反省しています。パッチ2.5と2.51、2.55は2.Xシリーズのフィナーレだったということもあって、想像以上に要素が多く、メインシナリオの細かい後フォローも含めて、かなり細部まで作りこんだものが多かったのです。このときパッチ3.0側のコストを使っていたセクションもあり、結果としてすごく短い期間で尋常じゃない物量を仕上げることになってしまいました。要素は以前から開発していても、ゲームとしてまとめ上げる工程はまた別なので、結果的に苦しくなってしまった。

 でも、今回は『FFXIV』最初の拡張パッケージということで、開発陣にはちょっと無茶を言ってなんとか押し込んでもらいました。次からはメジャーアップデートの方法も含めて、ワークフローも含めて見直しをかけようと思っているぐらい反省してはいます……。ただ、プレイヤーのみなさん的には、遊べるものが多いほうがいいに決まっていますよね(笑)。

――もちろんですよ(笑)。おそらく『蒼天のイシュガルド』の初期実装分だけでも、相当な時間楽しめるのではないかと。

 レベル上げだけでも既存戦闘職10ジョブ+新たな3ジョブ、さらにクラフターやギャザラーもありますからね。なので、まずメインストーリーとともにレベリングを楽しんでいただきたいと思います。

――今回、体験させていただいた2エリア(クルザス西部高地、アバラシア雲海)を探索したり、いくつかF.A.T.E.に挑戦してみたのですが、やはり『新生』のときと比べるとエリアがすごく広いぶん“探検している感”を感じました。

 今回は、フライングマウントがある……つまり、移動スピードが今まで以上に速くなります。今までのフィールドのサイズでは、端から端まであっという間に行けてしまうんです。それだと冒険感が損なわれてしまうので、それを踏まえて広くなるようにレベルデザインされています。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲フィールドはフライングマウントで移動してもかなりの広さ。これまでの『新生FFXIV』とはまった違った冒険の感覚を感じることができる。

 また『新生』のときは、本当に短い時間でギュッと圧縮してレベルデザインを行った結果、『新生』のストーリーに必要なパーツをスタンドアローンのゲームのように作ったせいで、拠点と拠点の距離が近かったり、結果的にムダな要素が全然作れませんでした。

 だから、あとからパッチでフィールドに何らかの遊びを追加しようとしても、こっちにはF.A.T.E.があるし、こっちにはクエストNPCがいるし……で、すごく追加しづらかったのです。その点でも今回は、3.Xシリーズをイシュガルドのフィールドでアップデートしていくことを考えて、あらかじめ多少広めに作っておき、今現在何もない場所だとしてもアップデートするために必要なエリアとして用意しておきました。

――フライングマウントのお話がありましたが、フライングマウントの開放条件自体も、単にマップを踏破するだけではなく特定のポイント(風脈の泉)を探していくという仕組みで、エリアの探索要素と密接に結びついている感じでした。

 いわゆる“探索する”という行動について、2.X、シリーズでは「エオルゼアには危機感が足りない」みたいなフィードバックをいただきました。今回は、すみずみまで探索して、そこそこ危険な場所も冒険してもらうような仕組みにしています。この手間があまり好きではない人もいらっしゃるとは思いますが、「フィードバックを生かしてみたけど、どうですか?」と感触をうかがう意味もあります。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲新フィールドの1つ“アバラシア雲海”では基本的にフライングマウントで移動することになる。この場合の“風脈の泉”はどのように設置されているのか?

――ちなみにレベル50になりたてでも、エリアチェンジでつながっているエリアに関しては、どんどん先に進もうと思えば移動できる感じですか?

 進めはしますね。ただ、イベントなどは何も発生しないので、順番どおり進んでいったほうがいいと思います(笑)。さらに、イシュガルドの各エリアのフィールドにいるモンスターは、これまでの同レベル帯の敵と比べてかなり強くしています。基本的に、自分のレベルと同レベルの敵であっても、2体同時に襲われたらバフをすべて使って全力で戦わないと勝てないと思います。なので、こういう状態になったら、逃げる準備をするか覚悟を決めて戦うかの2択になるイメージです。

――体験プレイのときは、レベル60かつアイテムレベル(IL)170のキャラクターでも、モンスター3体を相手にするのは無理そうな感じでしたね。

 敵の感知範囲もかなり細かく設定してあって、蛮族拠点とかは厳し目に作ってあります。今までのプレイヤーのイメージとしては、「敵に襲われてもマウントで突っ走っちゃえばいいや」という風潮があったかと思いますが、その調子で蛮族拠点に行くと大惨事になるかと(笑)。なので、慎重に1体ずつ処理していくか、周りのプレイヤーと協力することをオススメします。

――今までと比べてイシュガルドでは、プレイヤーキャラとモンスターの強さの感覚が変わりそうですね。強くなるという点で言えば、ヒーラージョブのプレイヤーでもHPが10,000ぐらいまで増えていたりしますが。

 それでも、特にレベル60になる前のレベリング中は、『新生』開始時の駆け出し冒険者に戻ったくらいの気持ちの方が良いかもしれません。光の加護もないわけですし(笑)。「『新生』スタート時の感覚が、もう一回きた!」くらいの意気込みで挑んでいただければいいと思います。

――そういう意味では冒険感だけでなく、細かいシステムもかなりテコ入れされていますよね。『蒼天のイシュガルド』では“前にあった要素を含めて新しいものに変わる”という印象を受けました。

 これまでにいただいた多くのフィードバックに関して、「長い開発期間をかけないと改修できないもの」とか、「それに手を付けるとメジャーアップデートが遅れる」……といったものはこの機会にテコ入れしているものも多くあります。

 それ以外にも「ドラマのセカンドシーズンがスタートしました!」というときに、やっぱり作り手としてはファーストシーズンもちゃんと見てもらいたい。そういうときに、「ファーストシーズンはとにかくサクサク見られるようにしておいて、あっという間にセカンドシーズンを楽しめる」という状態にして、取っ付きやすさを上げるなどの作業もしています。

 これにより『新生』のメインクエストの報酬は全面的に見直してあり、経験値もすごい勢いでたまりますし、装備もクエストでバンバン配っていきます。『新生』からパッチ2.55までメインクエストを進めていくだけで、そのままイシュガルドに入れるほど、ILは成長します。

■『新生』メインクエストクリアまでの流れでイシュガルドに行けるくらいに強くなる

――アルテマウェポンを倒したぐらいで休止していたプレイヤーの方や、これから『FFXIV』を始めようという方にとっては、イシュガルドまでの道のりはかなりスムーズになっていると?

 はい。メインクエストを追っているだけでざくざくとアイテムが手に入りますので、他は飛ばしてしまっても大丈夫です。イシュガルドについたあとに、ゆっくり極蛮神なども遊んでもらえればいいかな、と。

――メインクエストで挑むダンジョンや討伐・討滅戦の、人の集まりやすさという部分のフォローはどうなっていくのでしょうか?

 そのあたりは、やはりギルやアラガントームストーンなどの報酬だったりするわけですが、今回から初見クリアボーナスもかなりパワーアップさせました。未クリアの人を最優先してマッチングする仕組みも導入しているので、初心者がいればどんどん得をするようになっています。新ジョブのレベル上げだけではなく、新ジョブ用の蛮神武器もすべて用意していますし、しばらくは大丈夫だと思います。今後も新規プレイヤーのヘルプに関することは、常に気をかけていくつもりです。

――ちなみに『新生』でエキスパートやハイレベルダンジョンに区分されているID(現時点では経験値は入手できない)でも、レベル上げを行うことは可能なのですか?

  かなり悩んだのですが、『蒼天のイシュガルド』スタート時点では、経験値を得られないままにしておきました。開発チームとしては、やはりレベル50以上のレベリングはイシュガルド側で行っていただきたく考えています。というのも、今の『新生』側のIDではクリアスピードに差があり、結果的に今までのIDを周回した方が経験値効率的によくなってしまうことを危惧したためです。

 『蒼天のイシュガルド』リリース後、状況が落ち着いたら少し経験値を割り付けるか、やはり今のままで行くか、結論を出したいと思います。

――でもレベル50シンクに加えて、ILもレベルシンクされるそうですが、それでもでしょうか?

 コンテンツファインダーでのマッチングの場合は、レベルシンクがかかります。ただ今回から、パーティを事前に組んで“少人数でIDに挑む”ということが可能なのですが、実は4人パーティ時にも適用されるようになっています。レベル15とレベル60の2人がサスタシャに挑んで、レベル60の人が敵をなぎ倒していくことも可能になっています。この機能が使えるコンテンツと使えないコンテンツがありますが、経験値のバランスブレイクにならないよう、慎重に考えているということなのです。

――少人数で挑む仕組みについては、あくまでトライアル的な位置づけだけかと思っていました。

 もちろん“ソロでIDをクリアする”などのトライアル的にも使えます。ILの下限で挑戦するというタイプのトライアルもあります。“大迷宮バハムート”で“邂逅編1”をIL75で挑戦するということも……。当初のツラさがよみがえる……と(笑)。

――FCのイベント的に挑戦してみようという感じですね。

 久しぶりの攻略やタイムアタックなどに使ってもらえればと思います。

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■新ジョブ・新アクションだけでなくロール間のジョブバランスもかなり細かく調整

――次に、新ジョブも含めた各ジョブについてお聞きしたいと思います。まず暗黒騎士についてですが、事前にMPの管理が重要とは聞いていたものの、何も考えないでアクションを使っていくと、MPが枯渇する場面もありました。

 暗黒騎士はMPを回復できるアクションを多数持っているので、まずは何よりも慣れることと、MPを枯渇させないローテーションを考えることが必要です。フルパワーで攻撃してガス欠になった場合は“それは最適ではない”ということになります。そのバランスを見極めるのが、暗黒騎士のおもしろさの1つだと思います。

――敵視コンボだけやっていればいい……というジョブではないですね。

 とくに“暗黒”を使っている状態だと、少量ですがMPを消費し続けますしね。しかも、これは暗黒騎士が暗黒を使用している状態だと、吟遊詩人などのMP回復の影響を受けません。

――えっ!? 受けないんですか?

 受けないんです。孤高の存在なので(笑)。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲MPを消費して敵視の維持などを行う暗黒騎士。暗黒を使えば攻撃力は上がるが、その分MPの消費も激しくなる。

――周りの補助の受けても減っていっちゃうんですね。

 コンテンツファインダーなどでのランダムなマッチングを考えた際に、詩人などと組み、MPの補助がある場合が最強になる、では、結局ジョブ単体としてのバランスに欠けることになります。こうなってしまうと、タンクとして一歩ハンデを負うことになるのでそれは避けたいこともあり、「暗黒」の使用中に限り、自分でコントロールすることが求められる、というジョブ特性になっています。

――タンクとしての被ダメージ減少能力や、相手に大ダメージを与えるアクションの両方があって、動き的にはナイトと戦士の中間的なイメージを受けました。

 そうですね。『FFXIV』で新しいジョブを追加するときは、“そのジョブにしかない特徴を”という考え方で作っているので、ナイトでもなければ戦士でもないというポジションを目指しています。

――モーションも、ある意味“中二心”をくすぐられるカッコよさがありますよね。特に、ジャンプ斬りで敵に近づくアクションにはテンションが上がりました。

 モーションだけじゃなくて、エフェクトもこだわっていますし、ぜひ使っていただきたいです。

――モーションといえば、機工士もかなりこだわっていますよね?

 銃を使うジョブは、プレイヤーの方からも長年熱望されていましたので気合いを入れました。アニメーションチームもスタイリッシュさを追求したみたいです。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲遠隔DPSとしてアタッチメントやタレットなどを駆使して戦う機工士。

――戦闘能力としては、ひと通りのデバフがそろっているかわりに、リキャストが共有のアクションが多い感じですね。

 どのアクションをいつ使うかというのを見極めるのが、機工士の工夫のしどころです。特にアタッチメントの使用時はすべてのWSにキャストタイムが発生するので、DPSが大きく伸びる代わりに移動しながら攻撃できなくなります。“アタッチメントを付けると重くて動けない”という設定ですね。

――その仕組みは、吟遊詩人にも追加されますよね。

 吟遊詩人や機工士といった、遠隔物理DPSの強みは移動しながら攻撃できるという点ですが、別に移動しなくてもいいタイミングもあります。そういうときに固定砲台化してDPSを上げ、移動が必要なときは切っておくという感じで切り替えが重要になります。また、固定砲台化している間はオートアタックもなくなるので、キャストバーを確認しながらきっちりアクションを使っていかないと、逆にダメージ効率が落ちてしまうので注意ですね。

――機工士の特徴としてタレットの設置がありますが、触ってみた印象としては置きどころに悩みそうな感じでした。

 どこに置くのかが腕の見せどころでもあります。常に攻撃を続けながら、戦況に合わせてタレットを置くというのが、機工士のおもしろさの1つです。

――“リロード”で装填される特殊弾がありますが、なるべくこれを活用していくことがDPSを上げるコツになるのでしょうか?

 そのあたりの調整は、かなり苦労しまして。最初の段階では“リロード”をかなり頻繁に行うイメージだったのですが、あまりにもそればかりになってつまらなかった。

 ですので“リロード“をまとめて5発装填にして、“クイックリロード”で1発だけ素早く追加できるという形になりました。最初の段階ではルーチンワーク的になってしまってストレスが多かったのですが、調整を経た結果、考えて遊べるようになったと思います。

――機工士と同じく、占星術師も適所でアクションを使っていくのが重要なジョブになりそうですね。

 そうですね。ただ、使い込んでいくと“ドロー”だけでなく“キープ”させて、次のカードとのコンビネーションを狙うというテクニックも重要になってきます。占星術師に限らず、どのジョブもそうカンタンに使いこなせるものではないので、いろいろ議論や研究をしていただけたらと。

――占星術師は、新3ジョブのなかでもとくに研究しがいがありそうですね。

 “星詠(ダイアーナルセクト)”と“月詠(ノクターナルセクト)”で、ピュアヒーラースタンスとバリアスタンスの両方を切り替えることができるので。どちらか片方を使いこなせるようになってから、もう片方のスタンスを練習する……くらいの意気込みでいいかもしれません。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲2つのスタンスに加えて、カードによるさまざまな効果を使いこなす占星術師。ヒーラーの中でも特にテクニカルなジョブとなりそうだ。

――カードにはデメリットがなく、使えば確実によい効果が得られるようになっていますが、効果の種類が多いので“この効果を誰にかけるか”というところが重要になってくる感じですか?

 そうですね。このカードは今使っても空振りなので“キープ”しておこう……といった、瞬間判断力が試されるポイントになります。戦況に合わせて考える余地がある感じですね。

――今回触った印象だと、DPS能力は低めな印象でしたが。

 そんなに高くはないですが、極端に低いというわけでもありません。もちろん、工夫しだいの部分ではあります。特定のシチュエーションでまったく役に立たない……といった状況にならないようにしたつもりです。もちろん、大きな差があれば調整をかけていきます。

 またヒーラーの調整という点では、これまで“プロテス“は白魔道士以外がアディショナルで使っても魔法防御力が上がらなかったところを、アディショナルでも白魔道士と同様の効果を得られるようにしました。

――ジョブ間の差はだいぶ緩和されそうですね。

 それだけでなく、今回はロール間のジョブバランスをかなり細かく調整しています。例えば、タンクは正面から攻撃しなければならない以上、命中補正がどうしてもキツイ状態にありましたが、“忠義の盾”や“ディフェンダー”の使用中は命中力に15%のボーナスを付くようにしました。このように、既存のジョブの既存アクションにも細かく調整を入れています。

■既存ジョブについてより深く斬り込む!

――既存のジョブということで、次はナイトと戦士についてお聞きします。『蒼天のイシュガルド』からはすべてのタンクが、敵視を稼がなくていいときにダメージを与えることに特化可能になった感じでしょうか。

 そうですね。とくに戦士に関しては、今回から新たにアタッカースタンスである“デストロイヤー”が追加されています。さらに、“ラース”のスタック数をそのまま“デストロイヤー”時のバフである“アバンドン”として引き継げるので、いつ切り替えていつ戻すか、というところが重要になってきます。

 ギリギリまで“デストロイヤー”で戦ってバフをためておいてから、スイッチ後にすぐ“原初の魂”を使う……なんてこともできるようになりますので、やりがいはかなりあると思います。もちろん、その逆もアリです。

――ナイトも“サベッジブレード”から大ダメージのコンボにつなげたり、“ライオットソード”から継続ダメージのコンボにつなげたりと、両タンクともに行動の幅がひろがりましたよね。

 メインタンクをやらなくていいというシチュエーションに合わせて、工夫をできる余地を作りました。

――ナイトの新アビリティ“シェルトロン”は1回確実にブロックしてMP回復というアクションですが、これは敵の攻撃に合わせて使うアクションですか? イメージ的には、戦士の“原初の魂”に近い感じで。

 確定ブロックですので、後続の技を考えられるようになるのも狙いのひとつです。

――次にモンクについて。実際にモンクで新ダンジョンを体験してみましたが、遊び方に幅ができてかなりおもしろくなっていますね。

 これまではどうしても“疾風迅雷”をつなぎきれないタイミングや、ボスが無敵になって何もできないタイミングがあったと思いますが、そこで“闘気”を積んでおくことで、ダメージに一気上げられるチャンスがくるという仕様になっています。

 いかに効率よく“闘気”を溜めていくかというところがキモですね。また、今回“演武”というアクションで自分の型を変えられるようになっているので、“疾風迅雷”は維持されないものの型は変更できるという仕組みを使って、これまで手が空いていた時間を有効活用できるようにしました。

――移動しながら避けるときに型を調節することで、“疾風迅雷”が切れにくくなっていますよね。何もない状態で使うと壱の型が付与されるのも便利でした。

 これまでは、疾風迅雷が切れたり戦闘不能になったりすると復帰が難しかったので、これらのアクションを活用してもらえればと。

――さらに忙しいジョブになりましたね(笑)。次に竜騎士に関しては、4段コンボができるようになったというイメージです。

 “蒼の竜血”という、自分の中にある蒼の竜騎士の力を開放するというバフを使用できるようになります。これがかかっている間のみ使用可能なアクションがあり、特定の条件で“蒼の竜血”の効果時間の延長も可能です。さらに、“蒼の竜血”の残り時間を消費して発動するアクションもあるので、竜騎士がレベル60になるとコンボの組み立てなどが全部変わることになります。

――ダメージと継続ダメージの維持をメインに考えていた今までとは、ガラリと考えを変える必要がありそうですね。

 従来のローテーションでも、結構なダメージが出るようにはしているので、ここも工夫の余地という部分でしょうか。また、各種ジャンプの硬直時間をさらに短く調整しましたので、もっと使いやすくなっています。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲『蒼天のイシュガルド』では物語としても特に目立ちそうな竜騎士。蒼の竜血で使うアクションはどのように変わっていく?

――吟遊詩人は“旅神のメヌエット”と“時神のピーアン”の2曲が追加されていますが、これがほかのアクションのキーになるといった感じですね。とくに“旅神のメヌエット”に関しては、さきほどの機工士と同じで足を止めて撃ちまくるイメージでしょうか?

 そうですね。あとは、“ベノムバイト”と“ウィンドバイト”を同時に更新する“アイアンジョー”で、継続ダメージを切らさないようにすることで有利に戦う感じです。

――忍者に関しては、敵視をコントロールするアクションが追加されていますよね。

 戦闘開始直後から高威力のアクションを繰り出せるのが忍者の特徴なので、ターゲットは取らないで大ダメージを出したい……というときに使う感じですね。味方の敵視を抑えつつフルパワーを出すというか。

――あとは、“風遁の術”を延長するコンボが追加されるのは忍者的にうれしいですよね。次の黒魔道士は、“ファイジャ”“ブリザジャ”という高威力アクションを、いかに上手に使いこなすかが重要という感じでしょうか。

 黒魔道士は面白い(笑)。でも、その2つの魔法は“アストラルファイア”や“アンブラルブリザード”を更新しないので、連発はできないのです。

 それらのキーとなるアクション“エノキアン”のタイマーを見ながら、2発“ファイジャ”を打ったらファイアに切り替えてアストラルファイアを延長。効果アップが発生した場合はさらにファイジャを2発撃ってから、効果アップ時間のギリギリのタイミングで維持して……ブリザガを撃ってアンブラルブリザードに変えつつ、ブリザジャでエノキアンを更新して、そこからまたファイガからファイジャで……みたいな。

――目が回りそうですね。

 また、エノキアンは更新すると最大効果時間が5秒ずつ減っていくので、そのあたりも考慮する必要があります。ただ、アクションのローテーションを完璧に回すと、エノキアンの効果が切れる頃に次のエノキアンが再使用可能になっているので……。まだこの辺りは最終的なダメージ総量をコンテンツ内で確認し、継続時間などはギリギリまで調整します。いずれにせよ、黒魔道士メインの方は腕の見せどころですね。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲既存ジョブでは一番忙しくなりそうな黒魔道士。自分のバフアイコンを見つめる時間が長くなるかも?

――Proc(効果アップ)をコントロールするアクション“激成魔”も、かなりうれしい反面で管理が大変そうですよね。

 例えば、アストラルファイアIIIが間違いなく切れるというタイミングではファイガを撃ちたいところですが、このとき激成魔があると詠唱時間が短いファイアがProcすることを考慮したうえでローテーションを組むことができます。

 そうすれば、即発動のファイガでアストラルファイアIIIに戻すことができるので、そこからファイジャを撃ってブリザガで戻すということを瞬間的行えるようになります。そういう意味では迅速魔の使い道もすごく増えたと思います。エノキアンの残り時間が3秒ぐらいでブリザジャを唱えないとエノキアンの効果が更新できない……なんていう場面もあったりするので、そういうときに迅速魔が生きてきます。

――かなりやりがいのあるジョブになりそうです。

 やりがいはあるんですが、自分でもまだローテーションに悩んでいます。

――召喚士はバハムート関係のアクションが追加されていますね。

 意図的には、今までは“エーテルフロー”がある間はいろいろやることがあるんですが、エーテルフローがなくなったあとはやることがあまりない状況が多かったと思います。その時間に“バハムートエーテル”を使っていくという考え方です。バハムートエーテルIIIを消費する技もありますので、最適ローテーションを考えるのが楽しみの1つでもあると思います。

――最後に、白魔道士と学者についてお聞きします。この2つのジョブの対比として、白魔道士はインスタントの回復手段と攻撃魔法のバリエーションが増えて、一方の学者は“鼓舞激励の策”の使い方に変化があったり、フェアリーを一時的に自分の力に転換する能力が印象的でした。

 学者は、エーテルフローの縛りがあるため、これまで緊急事態に対応しづらかったと考えました。そこを改善するために、フェアリーを転化させて……というイメージです。開発最終段階ではありますが、ちょっと効果が強すぎる状態だったので、もう少し調整を行うと思います。

――白魔道士は、継続的なヒールエリアが設置できるようになったりと、リジェネ以外にも防御策を張れるようになった感じですね。

 ヒーラーのどちらも、エンドコンテンツに行くまでは手触りはほとんど変わらないかと思います。逆に、エンドコンテンツでは試行錯誤の余地が増えたと思います。

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■ダンジョンのプレイ感に関しては『蒼天のイシュガルド』でもあえて変えていません

――ダンジョンについては“禁書回収 グブラ幻想図書館”と“霊峰踏破 ソーム・アル”の2つを体験させていただいたのですが……戦闘自体は、ボス戦のギミックなどはあるものの、何回か戦えば自然と攻略法がつかめるような印象でした。

 開発としては、“初見4人が集まっても何度か全滅すればクリアできる”ということを前提にしていて、クリア平均時間も30分ぐらいを目安にしていています。僕たちが想定しているILの4人がそのIDに慣れていれば、クリアまでの時間が短縮されていき、だいたい16分でクリアできるというのを計算をして作っています。

 これは、移動距離やボスとの戦闘時間も考慮したうえでになります。多くのプレイヤーの方は1日にプレイできる時間が限られているので、そこで大量に時間を消費してしまうような難易度だったり、ルートが多すぎるのは違うかなと。一方で「ダンジョンを探索したい」という気持ちもよく理解できるのですが、『FFXIV』のIDのように、ある程度時間が読める遊びの場合、プレイヤーの方は最終的に最適解を求める形になってしまいます。

 例えば、右に行こうとする人に「いや、そっちじゃない。そっちは間違っています」なんて、パーティ間での問答になってしまうことが考えられます。迷ったり探索したりというものをもし作るのだったら、別のコンテンツでやろうと話しています。IDはIDとしての遊びを、探索したり出会いのあるものは、3.Xシリーズの中で新コンテンツとしてご用意していくつもりです。そのため、ダンジョンのプレイ感に関しては『蒼天のイシュガルド』でもあえて変えていません。

――なるほど。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲新IDとなる“禁書回収 グブラ幻想図書館”。

 少し突っ込んだ話もすると、今まで“大迷宮バハムート”を遊んでいる人とそうでない人で、“問題を解くための方程式”を見出す速度に差が出てしまっています。でも、『蒼天のイシュガルド』の“アレキサンダー”のノーマル版は、今までレイドを避けていた方を含めて、できるだけ多くの人に遊んでいただきたい……ということで、今回のダンジョンは“大迷宮バハムート”に出てきたようなギミックを少しずつ散りばめてあります。少しずつではありますが、『蒼天のイシュガルド』のダンジョンを攻略することで“問題を解くための方程式”を徐々に覚えていけるようにしています。

――そういえば、ボスにラフレシアっぽいのもいましたね。

 あれは半分ジョークみたいなものですけどね(苦笑)。

『FFXIV:蒼天のイシュガルド』
▲大迷宮バハムート:侵攻編1層に登場するラフレシアのようなボス。攻撃方法も似ている?

――つまり、探索要素はフィールドに散りばめられていて、ダンジョンに関しては周回を快適にできるというところを念頭に作っているという感じですね。

 そういうことです。

――映像では、大規模なダンジョンのようなものもありましたが、ストーリー上で訪れることになるダンジョンはどれぐらいになりますか?

 経験値を得る目的で訪れるダンジョンのうち半分ぐらいは、メインクエストを進めるうえで訪れることになると思います。ただ、サブクエストに紐付いているダンジョンも、レベリングの効率を求めるなら行ったほうがいいので、きっちり開放していってもらったほうがいいとは思います。

――ダンジョンで手に入る装備のILは、初期から120ぐらいのがポロっと出ていましたが。

 ダンジョンのドロップは、けっこうオススメですよ。

――レベル上げに関して、レベル50以降のダンジョンは経験値的にかなりオイシイ感じですか?

 そうですね。レベリングには使いやすいと思います。

――一方、討伐・討滅戦に関してはノーマルとハードの両方があるようですが、内容もこれまでのものの延長線にある感じですか?

 ちょっと違うといえば違いますね。まずラーヴァナは……過去にもう「ラーヴァナは優しく落ちる」って言っちゃったんですよね。イフリートやタイタンに近いです。逆にビスマルクは、今までと全然違いますね。

――あの巨体とどう戦うのか、ということ自体が想像しにくいですね。

 今までの蛮神とは戦い方が違いますね。戦うことになるシチュエーションも、けっこう特徴的です。どっちの蛮神も新しい要素がたっぷりあるので、「こんなことをMMOでよくやるな~」というところを見てもらえれば嬉しいです。

――討伐・討滅戦は、ストーリーを進めてレベルを上げさえすれば、わりと初期の段階からチャレンジできますか?

 メインクエストにガッチリ組み込まれていて、竜詩戦争の真っ只中にあっても彼らを倒しに行かなくてはならない理由が出てきます。『新生』の蛮神と同じで順を追ってということになるので、初期に……というわけではないですが。

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■「この規模の拡張パッケージはもうやりたくない」というレベルの内容と密度です

――今回公開されるPVでは、植松さんの手がけられた新曲『Dragonsong』にあわせて、ストーリーの場面もいくつか公開されましたよね。やはりアルフィノやタタルとともにメインクエストを進めていく感じでしょうか?

 あの2人にプレイヤーを加えた3人は物語の中心ではあります。ただ、映像にもちらっと出ていましたが、エスティニアンだったりイゼルだったりといった人物も重要です。『新生』の物語は暁に頼まれてプレイヤーが単独行動をして光の戦士として問題を解決するというパターンでしたが、今回はともに旅をしているという雰囲気で話が進むので、ロードムービーっぽいところもありますね。

――あと意外だったのが、ガレマール帝国の新皇帝が登場したことですね。

 特に物語の中盤以降は二転三転の連続になるように作ったつもりなので、楽しみにしてください。今回そういった理由もあり、ネタバレ厳禁でシナリオ周りの情報出しなどもかなり慎重に気を使ってやっています。今回のメディアツアーで、クエスト関係が全部伏せられているのは、ちょっとしたことで先がバレてしまうことを防ぐためなんです。

――最後に、『蒼天のイシュガルド』直前ということで、今か今かと待っている現役プレイヤーだけでなく、これを機会に復帰したい、新しく始めたいと考えている人に向けて、6月23日からどういう世界が待ち受けているのかを一言お願いします。

 復帰を検討していただいている方は、パッチ2.Xシリーズでもたくさんの遊びを搭載してあるので、ストーリーを追いかけながら自然とパワーアップしていって、ぜひセカンドシーズンである『蒼天のイシュガルド』に向かってください。

 今回、初めて『FFXIV』をプレイされる方は、スタンドアローンのゲームかのようにまっすぐストーリーを追っていくと、あっという間にレベルが上がり、あっという間に装備がそろい、あっという間にイシュガルドの門をくぐっていると思います(笑)。「追いつくまでに時間がかかる」というイメージがあるかもしれませんが、「こんなにスキップしちゃっていいの?」と驚くぐらいサクサク進めるようにしたつもりです。

 興味があればフリートライアルからでも構わないので、気兼ねなくエオルゼアにきてください。また、ベテランの方がお友だちを誘ってきて、それをヘルプして引っ張り上げるという部分も、ものすごくラクにしてありますので、ぜひお友だちも誘ってみてください。

 この規模の拡張パッケージはもうやりたくないなというのが僕も含めた開発チームの総意ですが、楽しんでいただけたら大変だった開発の面々も報われるかなと思いますので、どうぞ思う存分プレイしていただけると嬉しいです。

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データ

▼『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド コレクターズエディション』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Windows
■ジャンル:MMORPG
■発売日:2015年6月23日
■価格:オープン
 
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▼『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Windows
■ジャンル:MMORPG
■発売日:2015年6月23日
■価格:オープン
 
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▼『ファイナルファンタジーXIV オンライン』
■メーカー:スクウェア・エニックス
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■発売日:2015年6月23日
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▼『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド コレクターズエディション(ダウンロード版)』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Windows
■ジャンル:MMORPG
■発売日:2015年6月23日
■価格:オープン
 
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■対応機種:Windows
■ジャンル:MMORPG
■発売日:2015年6月23日
■価格:オープン
 
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▼『ファイナルファンタジーXIV オンライン(ダウンロード版)』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:Mac
■ジャンル:MMORPG
■発売日:2015年6月23日
■価格:オープン

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