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2015年7月16日(木)

“自分の葬式を見てみたい”が叶う『勇者死す。』がPS Vitaで登場。魔王討伐から始まる物語

文:喜一

 日本一ソフトウェアは、2007年にケータイアプリとして発売された『勇者死す。』をPS Vita用ソフトして移植し、2016年2月25日に発売する。価格はパッケージ版が6,458円(税込)、ダウンロード版が5,143円(税込)。

『勇者死す。』

 本作は、独自のゲーム性を持ったタイトルを世に送り出し続けているゲームデザイナー・桝田省治氏が描く“ありそうでなかった”を体験できるタイトルだ。音楽に伊藤賢治氏、キャラクターデザインにはクロサワテツ氏といったクリエイターが参加する。

 本稿では、『勇者死す。』の持つ特異なコンセプト、そこから生み出されるストーリーやキャラクター、独自のシステムなどを紹介する。

『勇者死す。』とは

 『勇者死す。』とは、2007年~2012年にケータイアプリとして配信されたマルチシナリオ型RPG。“限られた時間で物語を進める”といった基本ルールのもと、多岐にわたる独創的なシステムでロングヒットを記録した。

 桝田氏による“濃いシナリオとシステム”は、8年の時間がたった今でも類似のタイトルが存在しないほど、強烈なオリジナリティを放つ。

『勇者死す。』

●“自分の葬式が見てみたい”という興味を疑似体験させる

~桝田省治『勇者死す。』企画書より~

 “自分の葬式が見てみたい。”

 今死んだら、誰が泣くか、葬式には何人集まるか、友人は何と言って自分を送るか、知りたい。

 怖い気もするが、自分の葬式をこの目で見て確かめたい。

 誰もが少なからず持つ興味である。

 が、現実的には生前葬でもしない限りは、絶対に充足することはできない。

 これをゲームを通して、プレイヤーに疑似体験させたい。

 本作ではタイトルの通り、プレイヤーの分身である勇者が5日を過ごすと死んでしまう。勇者の死後、執り行われる“自分”の葬式を体験できるタイトルになっている。

『勇者死す。』
『勇者死す。』
『勇者死す。』

●魔王という存在を倒した後はどうなるのか?

~桝田省治『勇者死す。』企画書より~

 “魔王を倒して、本当に平和が来るのか?”

 いわゆるファンタジーの冒険談は、勇者が魔王を倒した後が、描かれることは希有である。

 本当に世界に平和は訪れたのか!? 全国百万人の勇者経験者は、知りたいはず。

 そのひとつの答えをRPGファンに提示したい。

 魔王の部下である魔物たちは何処へいったのか? 魔王討伐のために手を取り合った人間とそれ以外の種族は、その後も共存できるのか?

 魔王の軍勢によって滅ぼされてしまった町は誰が復興するのか? 誰がお金を払うのか?

 『勇者死す。』は、こうしたRPGをクリアした時にふと思う疑問に向き合い、1つの答えを提示するタイトルだ。

【ストーリー】

 『勇者死す。』は、主人公である勇者が魔王を倒すところから物語が始まる。

 勇者と魔王の戦いは、勇者が魔王と刺し違えることで決着した。

 一度は命を落としてしまった勇者だが、神様のはからいで5日間だけ命をもらい復活を遂げ、自分が救った世界を見て周ることになる。

 しかし、魔王を倒したことで平穏が訪れると思われていた世界は、善と悪では割り切れないさまざまな問題に直面し、いまだ混乱の渦中にあるのだった。

 さらに、魔王を倒した時を頂点に勇者の力は余命が減っていくにつれ、どんどん弱くなっていき、最終的には仲間の手助けなしには雑魚モンスターにも苦戦するようになる。

 そんな勇者が、限られた5日間という時間の中で何を見て、何を成すのか。世界はどのように勇者を迎え入れるのか。約束の5日間が過ぎ、避けられぬ“死”が訪れた時、どのような葬式が行われ、人々は勇者にどのような言葉をささげるのだろうか……。

『勇者死す。』

登場キャラクターにはボイスが追加

 PS Vitaへの移植につき、キャラクターたちにはボイスが追加された。

●勇者(声優:代永翼)

『勇者死す。』

 「いざとなったら刺し違えてでも、魔王ギールは俺が倒す。」

 自らの命と引き換えに魔王ギールを倒した勇者。その後、神様のはからいで5日間の命を与えられ、自分が救った世界の各地を巡る。魔王を倒すより前の記憶に欠落があり、“とある女性を愛していた”という強い思いはあるが、その人が誰なのか思い出すことができない。

●天使ユリア(声優:今井麻美)

『勇者死す。』

 「では、悔いなき5日間を」

 一度、命を落とした勇者を、再び現世へと蘇らせた神様の使いである天使。記憶をなくし、蘇った勇者のサポートを行い、5日後に死す勇者を迎えに来る。勇者に世界を見てまわったり、忘れてしまった最愛の人を探すことをすすめる。

●フローラ(声優:村川梨衣)

『勇者死す。』

 「せめて、あなたが救ったこの国の各地を巡り、ご自身の偉業をその目で確かめてくださいませ」

 やや世間知らずなところもあるが、心優しいこの国の王女。勇者に恋焦がれており、勇者が蘇った後もアイテムの支援をしてくれるのだが、交換条件として、勇者に結婚を持ちかける。

●魔王ギール(声優:最上嗣生)

『勇者死す。』

 「ならば、勇者よ、ともに地獄に堕ちようぞ!!」

 破壊の限りを尽くし、勇者の命と引き換えに倒された魔王。死してなおも、その影響力はすさまじく、破壊された町や人々の心に大きな爪痕を残している。中には魔王の復活を望む者さえも……。

除々に弱っていく勇者。物語は魔王を倒したところから始まる

 本作は、その特異なゲーム性を再現するために、普通のRPGにはないシステムが搭載されている。

・ゲームの流れ

 勇者は自らの命と引き換えに魔王を討伐する。ゲームはここから始まるのだ。

『勇者死す。』

 蘇った勇者だが、余命が減るにつれ、勇者は次第に弱っていく。

『勇者死す。』

 6日目に再び死がやってくる。勇者の葬式にはさまざまな人が訪れ、別れの言葉を送る。

『勇者死す。』

 このサイクルの中でやり残したことがあれば、何度でも最初の魔王討伐のシーンに戻ることができる。

・日に日に弱っていく勇者

 ゲームスタート時の勇者は“魔王を倒した直後”なので、最大レベルで始まる。

『勇者死す。』
▲ゲームスタート時の勇者のステータス。これが5日間をかけて弱くなっていく。
『勇者死す。』
▲休むことなく、無茶をしすぎると最大HPが1まで下がってしまうことも……。

 しかし、時間が経過していくと、勇者はどんどん弱くなっていき、戦闘をするのにも仲間の手助けが必要となる。

 通常のRPGと異なり、ゲームを進めるほど、勇者が弱っていく。さらに覚えていた魔法も忘れ、重い武具も装備できなくなってしまう。

・避けられない死

 6日目の死を避ける方法は、このゲームにはない。勇者には必ず死が訪れ、後に葬式が執り行われる。

 この葬式はゲームの評価でもあり、5日間でかかわった人々やシナリオの進捗具合などによって、勇者への待遇や送られる言葉が変化する。

 ある時は愛をささやかれることもあれば、かかわり方によっては正反対の態度をとられることもある。

『勇者死す。』
▲5日間で自分の世界をあらためて見つめてみる。まだ、世界には問題が山積している。

・そして、繰り返される“5日間”

 葬式が終わると、再び勇者が蘇った日に戻ることができる。そして、また最大レベルの状態から、似て非なる5日間がスタートする。

 “前の5日間”では出会えなかった人、クリアできなかった課題、訪れなかった場所など、試行錯誤を繰り返すことで、物語の全体像が見えてくる。

『勇者死す。』

PS Vita版ならではの新要素

 PS Vita版『勇者死す。』は、グラフィックのリファインが行われているという部分も大きな変化ではあるが、これに加えていくつかの新要素もある。

・全ヒロインの新シナリオの追加、そして新規ヒロインキャラを2人追加

 桝田省治氏書きおろしの追加シナリオにより、ボリュームはケータイアプリ版の約2倍になる。これにより、さらに複雑な分岐が発生し、新しい遊びの選択肢が増える。

・より美しくなった音楽と新規楽曲の追加

 移植により、美しい音による楽曲をPS Vitaの性能で実現。伊藤賢治氏の新規BGMも追加されている。

・メインキャラクターにはボイスが追加

 各キャラクターの個性をより際立たせるために、メインキャラクターがボイスつきに。勇者役に代永翼さん、天使ユリア役に今井麻美さん、フローラ役に村川梨衣さん、魔王役に最上嗣生さん。

 加えて、五十嵐裕美さんや加隈亜衣さん、松井恵理子さん、行成とあさん、福圓美里さん、藤田咲さん、金元寿子さん、高垣彩陽さん、後藤ヒロキさん、拝真之介さんの出演が決定している。

予約特典:『勇者死す。』サウンドセレクション

 『勇者死す。』の予約特典として、ゲーム内のBGMを厳選し、収録した『勇者死す。サウンドセレクション』が付属する。詳しい楽曲情報は続報を待とう。

『勇者死す。』

続報は10月22日に公開!

 第2報では、ケータイアプリ版にも登場したヒロイン5人のグラフィック、その素性や立場、キャラクターボイスが公開される。さらに、本作の各ゲームシステムの詳細が紹介されていく。

※画面は開発中のもの。
(C)2016 Nippon Ichi Software, Inc.
(C) G-MODE, Shoji Masuda/Pyramid
(C)2007 G-MODE Corporation
(C)2007 Shoji Masuda/Pyramid, Inc.

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