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2015年7月27日(月)

『アルスラーン戦記×無双』声優陣が気になったのはヤシャスィーン!? プレイアブルキャラやアクションに迫る

文:kbj

 コーエーテクモゲームスから、10月1日に発売されるPS4/PS3用ソフト『アルスラーン戦記×無双』。本作を手がける開発スタッフへのインタビューを掲載する。

『アルスラーン戦記×無双』

 『アルスラーン戦記×無双』は、TVアニメ『アルスラーン戦記』と、人気アクションゲーム『無双』シリーズのコラボレーション作品。アニメ『アルスラーン戦記』の世界観を忠実に表現するだけでなく、『無双』シリーズのアクションに新たなゲーム性を加えた内容になるという。

 インタビューでは、中臺(なかだい)重人プロデューサーに、開発に至った経緯から始まり、アクションゲームとしてのこだわりやゲームにする際に苦労したところなどをお聞きした。『アルスラーン戦記』のファンだけでなく、『無双』シリーズのファンもチェックしてほしい。

『アルスラーン戦記×無双』
▲中臺プロデューサー。

――まず最初に、中臺さんが最近手がけられた作品と、本作での役割について教えていただけますか?

 最近ですと、『無双OROCHI2』でディレクターを担当しまして、そのあとにスマートフォンアプリの『真・三國無双ブラスト』でもディレクターを担当しました。

 本作ではプロデューサーをつとめています。現場はディレクターにまかせつつ、私はゲームの方向性の確認やプロモーション周りを進めていますね。

――今回『アルスラーン戦記』と『無双』シリーズがコラボすることになったきっかけはなんだったのでしょうか?

 私やチームの開発が一段落して、落ち着いたタイミングがあったんです。その時に、コラボをよく手がけている鯉沼(※)の方から紹介されたのが、『アルスラーン戦記』とのコラボでした。

 当時そこにいたスタッフのほとんどが『アルスラーン戦記』を知っており、千載一遇のチャンスということで、皆が乗り気になりました。その後、鯉沼を通して話を進めて、開発させていただけることになりました。

コーエーテクモゲームス取締役社長・鯉沼久史さん。『戦国無双』シリーズを始め、『ガンダム無双』シリーズや『ワンピース 海賊無双』シリーズなどでプロデューサーをつとめている。

――これまで『無双』シリーズのコラボレーションは、鯉沼さんが率いる『戦国無双』チームが手がけていましたが、本作については異なるのでしょうか?

『アルスラーン戦記×無双』

 おっしゃられる通り、以前は鯉沼が担当していた部署がコラボタイトルを精力的に進めていたのですが、会社の方針として、もっとコラボを進めていこうということになりました。それにあわせて、他の部署でもコラボを行っていくような流れになったのです。それもあって、『アルスラーン戦記』の話がうちにきました。

――中臺さんもこのコラボはおもしろいと感じられたのですね。

 そうですね。私も『アルスラーン戦記』は、昔、単行本で読みました。なので、話がきた時、すぐにゲームのイメージが浮かんだんですね。アクションとしてどんな形にするか、普通は悩むところなんですが、「『アルスラーン戦記』なら、こういう風になるよね」とビックリするくらい周りのメンバーとのイメージが一致していました。

 本作のマルダーンラッシュがまさにそれです。このシステムを打ち出していったら、一騎当千の爽快感にプラスして、集団として昂揚感のあるアクションが実現でき、より爽快感のあるゲームを作れるのではないかと思いました。

――マルダーンラッシュについては、後ほどお聞きしたいと思います。本作のコンセプトについて教えていただけますか?

『アルスラーン戦記×無双』

 コンセプトは“戦場に轟かせよ、戦士(マルダーン)の武勇”です。『アルスラーン戦記』に出てくるキャラクターの中には、マルダーンと呼ばれる戦士が多数登場します。『真・三國無双』で言えば武将ということになります。

 彼らを操作することで、一騎当千の爽快感を味わえるのは前提としてあります。さらに『アルスラーン戦記』と言えば、パルスの騎兵が敵を蹂躙していくような大迫力の戦闘シーンがあるのですが、そういったところをゲームでもしっかり表現していこうと考えました。

 そこを合わせて今までにないような爽快感のあるアクションを目指しているのが、今回のコンセプトになります。

――これまでの『無双』シリーズと比べて、アニメ寄りのグラフィックにされていると思うのですが、どのようなことを意識しましたか?

『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』

 今回のIP自体、アニメ『アルスラーン戦記』のものですので、アニメファンの皆さんがこのゲームを手に取った時に違和感がないものにしようと思いました。アニメーションとゲームの境界をなくすようなスタイルで、すべてのものを作っていこうと考えています。

 例えばイベントシーンは、最初はアニメーションですが、そのままスッとシームレスで戦闘に移行します。イベントシーンとバトルシーンが途切れず、戦闘に入るので没入感も途切れずに遊んでいただけると思います。

――3Dポリゴンモデルのキャラに、アクションさせつつアニメらしさを両立させることは簡単ではないと思うのですが……。

 ゲームだと、アニメに比べて動きが滑らかになりすぎてしまうケースが出てくるのですが、そのあたりはモーションひとつひとつの調整が必要でした。

 あとはキャラクター性です。アニメだと、そこまで激しいアクションはしないのですが、そこはゲームとして、さらに言えば『無双』シリーズらしさを重視して、派手なものにしました。このキャラだったら、きっとこういうアクションをするだろうということは相当考えて作っています。中には、アニメーションシーンとは多少違う部分があるかもしれませんが、そこに違和感がないように気をつけました。

――現在6キャラが公開されていますが、プレイアブルキャラクターは他に誰がいるのでしょうか?

 アルスラーン、ダリューン、ナルサス、エラムに続いて、ファランギースとギーヴが先日公開されました。今の段階で言えるのはこの6人になるのですが、まだ続々と登場するのでそこはぜひお楽しみに!

『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』
▲アルスラーン▲ダリューン
『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』
▲ナルサス▲エラム
『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』
▲ファランギース▲ギーヴ

――戦闘中に武器を切り替えられるシステムを搭載された理由を教えてください。

 アニメーションから入っていただくお客さんも大事ですが、それと同じように大事なのは『無双』ファンだと思っています。単純に□と△のアクションとマルダーンラッシュだけですと、やり込みの部分が少ない。テクニカルさが要求されるような要素を少しでも入れていこうと思い、キャラクターの武器をいろいろと用意しました。

 また、ストーリーの中ではダリューンであれば槍を使うのが基本ですが、剣も弓も使えます。そういったところをゲームの中にも取り入れていきたいなというところで、武器の切り替えをできるようにしました。

――ナルサスの武器が画筆なのはなぜでしょうか。

『アルスラーン戦記×無双』

 原作の名シーンとして、「画聖マニの再来であると人は呼ぶ」というシーンがあります。そこからのインスピレーションです。ここはアニメ寄りの考え方ではなく、『無双』シリーズというゲームとして考えました。『真・三國無双6』で登場した馬岱が筆を使っているので、『無双』ファンにはそこまで違和感はないだろうと。

 一方で、アニメファンに違和感を与えてしまうかもしれないという不安があったのですが、キャラクター性をしっかり出さないとおもしろさも半減してしまうだろうと思い、決断しました。

――エンターテインメントとしてのおもしろさを重視したわけですね。馬岱の話が出ましたが、ナルサスの動きを作成する際にはどんな苦労がありましたか?

 彼が装備する画筆はリーチが短いため、当り判定が小さいことや、見栄えのいい動きがなかなかとれないという問題がありました。そこで発想を転換し、筆なので絵具を飛び道具にしようということになりました。さらに、絵具の色から属性が発生して攻撃できるようにと、発想が広がっていきました。

『アルスラーン戦記×無双』

 念のために説明しておきますが、画筆だけでなく剣も使えるのでご安心を!

――同じ武器を異なるキャラクターが使うことがあると思いますが、キャラによってモーションが変わるのでしょうか?

 同じ武器といっても完全に同じモーションではなく、キャラクターごとに違うモーションが多数あります。同じ武器を振っていたとしても、それぞれのモーションからキャラクター性を感じられると思います。

『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』

――『真・三國無双』では支援獣として鷹がありますが、鷹の告死天使(アズライール)は武器として使えるのですか?

 ……するどいところをついてきますね(苦笑)。告死天使(アズライール)は……こうご期待ということで。

――わかりました。本作のメインモードは、アニメの物語を追体験していくタイプなのでしょうか? それとも、キャラごとに物語が用意されているのでしょうか?

『アルスラーン戦記×無双』

 物語を追体験していくものになります。アニメを見た人が、そのシーンを自分で操作できるものとなっています。例えば前半はアルスラーンを操作していて、中盤でダリューンに切り替わり、窮地に陥ったアルスラーンを助けるようなステージもあります。

 それ以外にもやりこめるモードもあり、こちらはやや濃いファンに向けたものになっているので、続報をお待ちください。

――オフラインとオンラインでの協力プレイはあるのでしょうか?

 ございます。オンラインモードに関して言いますと、『無双』シリーズで定番の協力プレイを搭載します。戦闘中に条件を満たすことで手に入る獲得要素もあるので、もし難しいと感じるようでしたら、オンライン協力プレイを試してみてはどうでしょうか?

――マルダーンラッシュについてお聞きします。こちらはどういうシステムになっているのですか?

『アルスラーン戦記×無双』

 今作の一番の特徴です。数百の味方を引き連れて敵を攻撃するシステムで、騎兵、歩兵、弓兵の3種類の兵科があります。

『アルスラーン戦記×無双』 『アルスラーン戦記×無双』

 騎兵だと、騎乗した兵士らと制限時間内に突撃を繰り返し、歩兵を引き連れている時は、ボタンを押すことで波動のようなもので攻撃するアクションが発生します。

『アルスラーン戦記×無双』

 弓兵は動けないのですが、ターゲットマーカーを動かして、そこに向けて弓を掃射していきます。ボタンを押すと火矢が出て広範囲にダメージを与えられたり、ギミックを起動できたりします。

――先ほど、封鎖されている場所を突撃で壊すシーンを見させていただきまいたが、それは騎兵にしかできないことなんですね。

 先ほど見ていただいたのは、騎兵のマルダーンラッシュを発動できる“ヒートエリア”が、障害物を破壊して突破していく“フィニッシュエリア”の手前に出現して、突破するという遊びでした。歩兵であれば歩兵で突破するようなケースもありますよ。

――マルダーンラッシュには時間制限がありました。フィニッシュエリアへの到達が間に合わなければ、もう一度ヒートエリアが出現して、再度マルダーンラッシュを発動できるのでしょうか?

 その通りです。そのため、タイミングがすごくシビアで、アクションが得意ではない人は突破できない、という設定にはしていません。失敗してしまっても何度か挑戦すれば、ミッションでの評価は下がりますが、ストーリー自体は進行できるバランスになっています。

 また、マルダーンラッシュは、チェイン数を増やして一定値を超えるとリワードが豪華になる仕組みになっています。1回のマルダーンラッシュで手堅く敵兵を攻撃していくのか、周囲の敵兵を蹴散らしながらチェイン数をとにかく稼いでからフィニッシュエリアに到達し、マルダーンラッシュを終了させるのか……それはユーザー次第です。

――他にも本作独自のシステムはあるのでしょうか?

 『無双』シリーズファンに向けた要素であれば、武器を切り替えて戦うというテクニカルな部分です。そういった、自分好みのアクションを構築していけるシステムを用意しています。アニメファン向けでいうと、成長要素としてアニメの名シーンを利用したものを用意しています。

 まだ情報を出すことができませんが、いくつかシステムが用意されていますので、今後も情報をお待ちいただければと思います。

――声優陣の演技で印象的だった人は?

『アルスラーン戦記×無双』

 演技ではないのですが……今回、キャストの皆さんからコメントをいただいておりまして。そのコメントで非常に多かったのが、「“ヤシャスィーン”という言葉を言えたのがうれしい」という内容です。

 アニメでは、限られたキャラクターしか「ヤシャスィーン」と言う機会がないのですが、本作ではマルダーンラッシュで一定の評価を獲得できた時だけ、ご褒美的に操作キャラクターが「ヤシャスィーン!」と叫びます。エラム役の花江夏樹さんをはじめ「自分が言うと思いませんでした」というコメントを寄せてくださったので、ゲームならではの仕様としてお楽しみいただけるかと思います。

――それは楽しみですね。TVアニメと同時進行で制作していくという、これまでの『無双』シリーズにない進行になっていると思うのですが、その中での苦労があれば教えてください。

 一番苦労するのは、アニメとゲームがタイムリーに平行して進んでいくので、クオリティのバランスですね。そこは苦労しています。また、まだ放映されていないところを作っている場合もあり、お互いのクオリティが近くなることを配慮しつつ作るのは大変です。

――例えば、いただいていた資料と放送されたアニメが違っていて、開発側がざわつくとかあるんですか?

『アルスラーン戦記×無双』

 序盤はお互いに情報共有の足並みがそろわず、苦慮したところも正直ありました。ただ、リソースを提供してくださっているアニメスタジオをはじめ、各社様がサポートしてくださり、素材の足並みが揃うように調整してくださいました。あとは、序盤はわからないところが多く、踏み出していいのか迷うところもありましたが、開発を進めるにつれてスムーズにできるようになってきました。

――PS3とPS4の違いは兵士数やキャラクターの描写など、グラフィックに依存する部分が異なるのですか?

 当然ですが、描写については差異があります。またPS4版は、専用の機能をつけております。シェアの機能を使ったソーシャルフィードバックコマンドです。『真・三國無双7 猛将伝』や『無双OROCHI2 Ultimate』で入れているものなのですが、そのあたりの仕様よりも、インタラクティブ性をより強化して、ユーザーさんが逐一入ってこられるような機能を入れていこうと思っております。

――このインタビューが行われる直前に発売延期がアナウンスされましたが、こちらについて事情をお話しいただけますか?

 ご迷惑をおかけして申し訳ございません。クオリティアップをしていきたいというところが要因です。アニメーションとゲームに差ができてしまうのは開発としてはなるべく避けていきたいというところです。

 また、アニメファンの方にしっかり遊んでもらいたい、『無双』シリーズファンの方にはよりブラッシュアップした爽快感を感じてもらいたいということも理由にございます。

 それらに加えて、先ほど伝えたオンライン機能やソーシャルフィードバックコマンドの実装などを進めて、オンラインという方向からもよりしっかり遊んでいただけるようなものを目指していきたいということもあり、発売時期を変更させていただいたという経緯です。

――発売を楽しみにするファンに、本作についてのアピールポイントをお願いします。

『アルスラーン戦記×無双』

 『アルスラーン戦記』のファンの皆様にとって、今までアクションゲームとしてIPを味わう機会はなかったと思います。そういった意味で自分の手でキャラクターを動かす部分を純粋に楽しんでもらいたいというのが一点。そして『無双』シリーズファンの皆様には、他の『無双』タイトルと比べても十分に楽しんでもらえるようなアクションシステムであったり、マルダーンラッシュというシステムだったりを盛り込んでいる、という点です。

 まだ公開できない要素もあるため、『無双』シリーズファンの方々はアクションに不安を持たれているかもしれませんが、テクニカルかつマニアックなこともできるシステムを用意しています。間口が広く、かつ奥が深いシステムになっているので、アクションゲーム初心者からベテラン『無双』シリーズのプレイヤーまで、楽しんでいただけるタイトルになっていると思いますのでぜひご期待ください。

(C)2015 荒川弘・田中芳樹・講談社/「アルスラーン戦記」製作委員会・MBS
(C)2015 コーエーテクモゲームス

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