2015年10月6日(火)

【電撃PS】『三國志』シリーズ30周年記念企画! 主要武将の能力の変遷を追う【なぜなに三国志6合目】

文:電撃PlayStation

 今年30周年を迎えるコーエーテクモゲームスの『三國志』シリーズ。三国志ならゲーム、漫画、小説、史実なんでもござれな2人が、過去シリーズをダシに三国志をアレコレ語っちゃう企画第6回です!

うどん先生 KYS
『電撃プレイステーション』 『電撃プレイステーション』
▲『信長の野望』から歴史に入った、ゲーム脳歴史ライター。好きな『三國志』は『三國志IX with パワーアップキット』『三國志 11 with パワーアップキット』『三國志V(3DS版)』。あと『三國志戦記』『三國志Internet』も名作だったと思う! ▲小学校低学年時に父親が持ってた横山光輝“三国志”を読んでこの世界に入る。その後、“蒼天航路”“龍狼伝”“天地を喰らう”などマンガは読み漁る。好きな『三國志』は『V』と『12対戦版』。

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■ここからシリーズの歴史ははじまった……元祖『三國志』!

うどん:そういえばさ、初めて『三國志』シリーズをさわったときのこと覚えてる?

KYS:うん。小学生のとき横山光輝の“三国志”読んですんごいおもしろくてさ。そのゲームがあるってんでプレイしようと思ったら、ファミコン本体と同じ値段とか! ブルジョワな友だちに貸していただきました。

うどん:あたいも横山から入った口なんだけど、当時の子どもに戦略シミュレーションって相当難しそうで手が出しにくかったはずなんだよね。最近記事用に過去作プレイしてるけど、古い作品であればあるほど難しいもん。

KYS:大人の世界への憧れってわけじゃないんだろうけど、アクションとかRPGとまったく違うジャンルへの驚きもあったなあ。コーラと牛乳しか飲んだことなのに、ブラックのコーヒー飲むみたいな。

うどん:あと、“武将を使える”って、今となっては当たり前だけど当時すんごい興奮した記憶があるにゃあ。それ以前に出てた『信長の野望』シリーズはまだ『全国版』の時代で、武将が存在しなかったんだよね。

KYS:そうそう。趙雲が武力99すげええ! ってなった。横山“三国志”を横に置いて、「この武将はどんな能力なんだろ~」ってチェックしてた。

うどん:そんなわけで今回は記念すべきシリーズ第1作『三國志』のお話だよん。

KYS:あれ、ところで前回やった一騎討ち全記録のつづきは?

うどん:初代『三國志』やってたら武将の能力の変遷のほうが気になってきちゃってさ! というか、初代『三國志』には一騎討ちないし。と、いうわけで続きは次回にでもでも。

KYS:ほんと適当だな!

『三國志』
▲昔懐かし初代『三國志』。発売はなんと1985年。めでたく今年で30周年を迎えるわけです。ところで今年は『蒼き狼と白き牝鹿』の30周年でもあります。次回は『チンギスハーン・蒼き狼と白き牝鹿IV』か『蒼き狼と白き牝鹿・元朝秘史』を解説したいんですが、編集KYSが許してくれません。

うどん:まず『三國志』は、大陸に割拠する君主の1人となって、中国全土の統一を目指すゲームです。

KYS:もうそれ聞き飽きたよ!

うどん:イヤハーン。まあ『三國志』シリーズは君主となって中国全土の統一を目指す“君主プレイ”か、好きな武将を選んで思い思いに生きる“全武将プレイ”の二択。第1作は当然ながら、君主プレイですな。

KYS:ところで前々からの疑問なんだけど、なんで“三国志”じゃなくて“三國志”なの?

うどん:いい質問ですね。

KYS:毎回変換がたいへんだから、辞書登録しちゃったよ。

うどん:初代のタイトル文字“三國志”は中国の有名な書家・徐伯清氏の筆によるものなのだ。初期のころは『三国志』と記述する活字媒体も多かったんだけど、“三国志”を表題にする類似商品が多いため、活字媒体上でも“三国志”と書かずに、誇りを持って“三國志”と書く習慣ができたのだ。

KYS:へえええ。

うどん:今でこそ歴史SLG『三國志』として定着してたけど、昔はそうでもなかったしね。“光栄ゲーム用語事典”に、“一般マスコミに浸透させるのはじつに困難で、『三○志 ~中原の覇者(光栄)』などの混乱した記述もしょっちゅうである”と、なかなか尖がったことが記されておる。

KYS:そもそも“光栄ゲーム用語事典”ってなによ……。

うどん:そこから? そこから説明しないといけないの? 1989年に刊行されたヤツだよ! 『信長の野望』『三國志』『蒼き狼と白き牝鹿』の歴史三部作シリーズに加えて、『維新の嵐』やら『水滸伝』やら、まあそんなこんなのシリーズの各種データや用語が満載のバイブルやで。

KYS:ほむほむ。

うどん:ほら、コーテクさんの応接室に最近のタイトルと一緒に飾ってるじゃん。“カブトムシ部屋”じゃないほうの部屋。

KYS:あーわかった。わかったけど、「ほら」って言われても、コーテクさんに取材や打ち合わせなんかでお邪魔した人にしかわからないよ! あと、カブトムシの置物を飾ってるでかい応接室は確かにあるけど、そんな子どもが虫籠につけたみたいな部屋名じゃないと思うよ!?

うどん:そかな? まあ、この本は光栄信者ご用達やで? お値段高めだから、小学生のときクリスマスプレゼントにねだって買ってもらった。

KYS:光栄信者の小学生とか、ちょっとこじらせてるにもほどがあるだろ……。しかもクリスマスプレゼントとか……。

『三國志』
▲と、いうわけで初代のタイトル画面。どぅんでぃーん、どぅでぃでぃでぃーでぃーんでぃーん、でぃでぃでぃんでぃでぃでぃでぃでぃーん。
『三國志』
▲コレ。26年愛読してます。

KYS:えーと初代『三國志』に話を戻すよ?

うどん:しょうがないにゃあ。

KYS:初代『三國志』って、最近の『11』や『12』と全然違うように見えて、共通する部分も多いよね。

うどん:三国時代を舞台に、開発で国力と軍事力を蓄えて、敵国を攻めるっていう基本部分は同じだにゃ。当時ものすごく新鮮だったのが、武将に命令を与えること、軍師の助言を受けること。ちゃんと部下たちが自分の国にいるんだよってのが、ものすごく実感できたのだ。

KYS:そうそう、軍師の助言! 知力100の諸葛亮は100%正しい助言を言うんだよね。諸葛亮、嘘つかない。

うどん:武将集めの楽しさをおしえてくれたのも、この作品だったね。

KYS:集めたねえ。このときって、引き抜き簡単だったよね? 根気よく引き抜きコマンド繰り返して、軍師のGOサインを待って人材ゲットしてたな。

うどん:忠誠100以外の武将なら、根気さえあれば誰でも引き抜けた記憶。開幕で甘寧、張コウ、賈ク、孟獲あたりの引き抜きはマストだった。

KYS:“名馬を贈る”コマンド! 

『三國志』
▲君主はひたすら引き抜きにいそしむのがジャスティス。『三國志II』で義理や相性が実装されてからは、作品を追うごとに引き抜きが難しくなっていった。

KYS:初代『三國志』って変なコマンド多くなかった?

うどん:おういえー。外交コマンドの“姫ごと皆殺し”。

KYS:“探索”コマンドの“玉璽”!

うどん:“施し”コマンドの“女”!

KYS:“外交”コマンドの“土地の交換”!

うどん:“商人”コマンドの“借金”“借金返済”!

KYS:“戦争”コマンドの“罵ってから移動”!

うどん:“戦争”コマンドの“降参”!

KYS:“放浪”コマンド……は、昔の作品にちらほらあったな。

うどん:“臨時徴収”と“略奪”コマンドがあるんだけど、“略奪”で美女を集められるんだよね。

KYS:まさに董卓。

うどん:軍師が「アカン!」言うんだけど、強行したら民忠と軍師の忠誠度が激減するのだ。でも、そんな軍師に美女を与えて忠誠回復。

KYS:酷過ぎる……。

うどん:ちなみに“略奪”コマンドはファミコン版にはなかったのだ。あたい『三國志』はファミコン版デビューだったから、初めてPC版さわったとき見たことないコマンドがあって驚いたわ。ちなみにX68000版の『三國志』で“略奪”すると、老婆がむせび泣く声を聴けるんだよ?

KYS:誰得の要素だよそれ!

『三國志』
▲噂の“略奪”コマンド。美女を集めちゃうのが、じつに“三国志”的。さすがに近年の作品では美女要素がなくなっちゃったんだけど。
『三國志』
▲そして伝説の“姫ごと皆殺し”。婚姻外交に訪れた使者&姫をジェノサイドである。酷いにも程がある。
『三國志』
▲なんだか勉強になる“州別地図”というコマンドも。

KYS:初代『三國志』は戦争=火計のイメージがあるなあ。

うどん:そうそう。火計がとにかく強力だった。火のなかで待機すると、武将が全滅しちゃうんだよね。

KYS:“散開”とか“罵ってから移動”とかもあったなあ……。“散開”すると動けなくなっちゃうから、そこに火計使われて即退却確定とか苦い思い出。

うどん:このころって、部隊の武装度の影響が大きくて、貧弱な部隊だと関羽張飛クラスでも凡庸な武将に惨敗するのだ。

KYS:リアルっちゃリアルだけど、ちょっと切ないね。

『三國志』
▲火計が強力極まりないため、“風向き”が非常に重要。同時代の『信長の野望・全国版』よりも、一発逆転要素の強い戦争システムである。

KYS:さていよいよ本題なんだけど、初代『三國志』って今とだいぶイメージの違う能力の武将も多かったよね。

うどん:1作目だからね~。手探りな部分も多かったと思う。例えるなら、今から“隋唐演義”や“楊家将演義”を読んで、登場武将全員の能力評価しろって言われるようなもんだわ。過大評価、過小評価、勘違いあっても当然だよね。

KYS:数百人ぶんだもんね……。

うどん:“三国志の武将を100点満点で能力評価する”っていう大事業を初めて行った作品なんだからのう。この作品以降、いろんなメーカーから“三国志”SLGは出たけど、数値基準にこの作品があったからラクできたと思う。

KYS:武将を100点満点評価するっていう企画は歴史ものだとよく見かけるけど、『三國志』や『信長の野望』シリーズの影響も少なからずあるんだろうね。

うどん:と、いうわけで主要武将の初代『三國志』と、現在の最新作『12』の能力評価の差を比べて見た!


曹操

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

94

93

100

三國志12

99

72

91

94

夏侯惇

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

82

64

79

三國志12

92

90

63

70

夏侯淵

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

92

60

74

三國志12

90

91

68

61

張遼

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

93

86

74

三國志12

95

92

78

58

荀彧

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

24

96

37

三國志12

62

14

95

98

司馬懿

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

83

98

91

三國志12

98

63

98

93

孫堅

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

96

85

98

三國志12

94

90

79

73

孫策

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

98

89

99

三國志12

96

92

74

70

孫権

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

93

94

99

三國志12

79

67

80

89

周瑜

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

56

97

94

三國志12

95

71

96

86

呂蒙

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

47

90

82

三國志12

91

81

89

78

陸遜

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

83

93

68

三國志12

94

69

95

87

劉備

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

63

95

99

三國志12

81

77

78

80

関羽

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

99

83

70

三國志12

97

97

79

62

張飛

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

99

32

33

三國志12

94

98

30

22

趙雲

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

99

90

86

三國志12

96

96

77

65

諸葛亮

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

72

100

97

三國志12

98

38

100

95

ホウ統

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

71

98

78

三國志12

85

34

97

85


KYS:あれ、言うほど大きな差はなくなくない? 武力が大幅に増えた呂蒙と、豪快に過大評価だった孫権以外、そんなに印象かわらないな。あとは軍師系の武力関連か。

うどん:『IV』で統率が追加されたあと、諸葛亮や司馬懿らは完全に低武力、高統率の武将になったね。ただ、主要武将は総じてそんなに大きな変化がない。ではここからが大きく評価の変わった武将たち!


曹洪

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

48

29

85

三國志12

79

81

44

35

于禁

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

72

20

25

三國志12

83

78

74

57

楽進

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

53

33

40

三國志12

80

84

56

51

李典

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

49

38

71

三國志12

78

77

79

74

満寵

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

51

55

45

三國志12

84

64

82

84

郭淮

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

50

48

45

三國志12

87

78

81

75

韓当

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

54

47

59

三國志12

76

85

61

51

程普

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

41

84

76

三國志12

84

79

79

74

李厳

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

40

38

21

三國志12

83

84

76

74

袁術

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

95

60

95

三國志12

44

65

65

16

高覧

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

49

31

40

三國志12

76

82

68

55

郭図

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

90

43

16

三國志12

52

50

82

68

審配

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

66

32

78

三國志12

80

60

83

73

徐栄

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

39

34

75

三國志12

80

76

62

43

ホウ徳

ソフト 統率 武力 知力 政治力 魅力

三國志

44

87

71

三國志12

89

94

75

44


KYS:これはずいぶん差があるなあ。

うどん:シリーズ初期のころほど“演義”の影響が強くて、のちの作品になるほど正史の影響が大きい印象。とくに曹操軍は“演義”でやられ役だったから、その差が顕著やね。

KYS:郭図とホウ徳は何があったんだろうな……。

うどん:『三國志』ファンの間でも議論になるね! “両者の能力が逆になってる説”“ホウ徳は襄陽の名士・ホウ徳公と勘違いしてる説”“人間誰だって間違えはあるんだよ説”。

KYS:お、おう。

うどん:評価が上がった順番は、魏>その他>呉>蜀。正史で政治的業績のあった韓浩、夏侯惇あたりなんか政治力が大きく伸びてるし、蜀はむしろ徐々に弱体化した印象。

KYS:まあ魏は天下獲った勢力だもんね。袁紹もその最大のライバルだったわけだし。両国が強いのは当然といえば当然か。

うどん:『三國志13』はさてどうなるかね。

KYS:毎回能力を確認するのは大きな楽しみだもんね。今回の張遼の武力は? みたいな。

うどん:ファンの反響も大きいとこだろうし。けんけんごーごーの論議を毎回呼ぶとこでもあるよね……! あたいも光栄ゲーム用語事典巻末の武将能力値読みながら、自分ならこうだなーって落書きしてた跡があるわ。

KYS:そんな小学生嫌だよ!!

データ

データ

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■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
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