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2015年10月14日(水)

『SAO ホロウ・リアリゼーション』のキーマン4人を直撃! 新作は、キリトがレベル1からスタートする【SAO特集】

文:さくたろう

 10月4日に開催されたイベント“電撃文庫 秋の祭典2015”で、ついに詳細が発表されたPS4/PS Vita用ソフト『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』そのキーマン4人へのインタビューをお届けしていく。

●動画:『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』PV第1弾

 インタビューに答えてくれたのは、小説『ソードアート・オンライン』シリーズの作者・川原礫先生、ゲーム『ソードアート・オンライン』シリーズのプロデューサーを務める二見鷹介氏、プランナーである平八重諭氏、三木一馬電撃文庫編集長の4人。

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』
▲左から三木編集長、川原先生、二見プロデューサー、平八重プランナー。

 また、同じく“電撃文庫 秋の祭典2015”で発表された劇場アニメ『ソードアート・オンライン』についても川原先生にお話を聞かせていただいたので、最後までご覧いただきたい。

新作は、キリトがレベル1からスタートする《SAO》

――いよいよ発表された『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』。そのコンセプトについて教えてください。

二見P『インフィニティ・モーメント』から続いて3作品のゲームを作らせていただましたが、キリトがレベル1から始めていくような『SAO』のゲームを作りたいと思ったのが、今回の企画のきっかけです。

 『インフィニティ・モーメント』では《アインクラッド》の途中からでしたし、『ロスト・ソング』ではキリトたちがすでに、《ALO》をプレイしている状態でのスタートでしたけど、今回のコンセプトは“レベル1から始められる《SAO》”になっています。

平八重氏:今回は《SAO》の初期の状態をプレイしていただきつつ、進めていくうちに「なにか違うぞ?」と感じられるようにしていく予定です。

――川原先生が執筆する『SAO プログレッシブ』のように、《アインクラッド》の1層からプレイしていく感じなんでしょうか?

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』
▲現在刊行中の『SAO プログレッシブ』シリーズ。キリトとアスナの関係などをはじめ、《アインクラッド》での死闘をリブートしていく作品だ。

二見P:これは川原先生と三木さんからいただいたアイデアなんですけど、舞台は《アインクラッド》のようで別の世界なんです。《アインクラッド》の元となった世界の話で、僕らは《アイングラウンド》と呼んでいます。ここは階層ごとに分かれている世界ではなくて、すべて地続きでつながっている世界です。ただし《はじまりの街》があったり、草原などのフィールドがあったりと、《アインクラッド》のような部分も存在しています。

――本作では、川原先生はどのような形で携わっているのでしょうか?

川原先生:階層式ではなく『ホロウ・フラグメント』や『ロスト・ソング』のようなフィールドでゲームを作りたいとお話を聞いたのは、ちょうど『プログレッシブ』で《アインクラッド》ができる設定を書いていた時でした。

 だから《アインクラッド》の階層が地面から繰り抜かれる前の、1つのフィールドとして存在していた世界はどうでしょうと、提案させていただきました。

二見P:今回の舞台は《ソードアート・オリジン》という名称になっていますね。

川原先生:今回は世界設定部分でかかわらせていただいた形ですね。『プログレッシブ』の第2巻に、今回のゲームの元となった設定が載っているので、原作を知っている読者さんなら、なじみのある設定じゃないかなと。

二見P:ゲームの雰囲気は《アインクラッド》を踏襲したものですね。

平八重氏:最初の街も、《はじまりの街》をベースに作っているところです。

二見P:ゲームの最初も、この街にある《黒鉄宮》のようなところからスタートします。

――ではゲーム版『SAO』の新作が、いよいよPS4で出ると聞いた時の感想は?

川原先生:「ついにPS4か……」と(笑)。ハードのスペックが上がるほど、ゲームの開発も大変になりますよね。最初はPSPから始まった『SAO』のゲームが、いよいよPS4になるんだなって。

二見P:新作を出すたびにハードが変わってきたゲームですからね(笑)。

川原先生:ハードが変わると開発環境も変わると思うんですけど、どうなんですか?

二見P:単純に物量が多くなるので、プロデューサー視点で話すと開発費が倍々ゲームになっていますね(笑)。

平八重氏:ハードのスペックが上がると、それだけできることも増えていきますし、なにより『SAO』はユーザーさんの期待も高い作品ですから。新しくできることを増やしていくとなると、それだけ開発しなければいけないところも、増えていきます。

川原先生:PS4は発売からもうすぐ2年ですけど、開発スタッフもまずは新しいハードでどう作っていくのかを勉強するところからスタートするんですか?

平八重氏:キャラクターなどのモデルを表示させるところから始めて、それができてからゲーム部分の開発を行っていきます。

川原先生:今回は『ホロウ・フラグメント』の流れを組んでいるとはいえ、戦闘はオートアタックじゃなく、アクションなんですね。

平八重氏:はい。MMORPGの世界を再現してはいますが、アクションとしても楽しめるものになっていると思います。以前は“ジャンプ”ができなかったので、今回はそういう要素も入れていますし、アクションの幅は広がっているのかなと。

 PSPではソードスキルを発動させるたびに読み込みが発生してしまったんですが、ハードがPS Vitaで早くなって、PS4ではサクサクと使えるようになっています。

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』
▲本作の戦闘シーン。巨大なボスにキリトとアスナが立ち向かっている。

川原先生:画面にはスキルパレットも表示されていて、かなりMMORPGっぽいですね。

平八重氏:パレットは自由にボタンをアサインすることもできるますし、ボタン操作とスキルパレットを使って戦うことができます。だからアクションをしながら、スキルパレットでバフを選んでかけたりといったことも可能なんです。アクションだけじゃなくMMORPG的な部分でも遊んでもらいたいですね。

川原先生:これだけスキルパレットがあると、マウスとキーボードで遊びたくなっちゃいますね(笑)。

――PS Vita版ではタッチ操作に対応する予定ですか?

二見P:はい。PS Vita版ではタッチ操作でスキルパレットが使えるようにしたいと思っています。

アクションと管理要素の両立

――3作目となる『ロスト・ソング』はアクションRPGにでしたが、同じアクション要素の強い作品として、こちらと比べるとどうなんでしょうか?

平八重氏:スキルパレットを使った戦いであったり、レイド戦要素やパーティメンバーへの指示など、『HR』には管理的要素が多く存在しています。そうした管理要素とアクションの両立が『HR』の特徴になるでしょう。

二見P:『ホロウ・フラグメント』と『ロスト・ソング』は遊び方がまったく違う作品で、前者がRPGより、後者がアクションよりです。『HR』は前者にアクション要素を濃くして進化させたもの目指しています。アクションとして攻撃したり動かしたりして気持ちいいものにしています。それだけでなく、スキルをどう使うのか、パーティメンバーにどう指示を出していくのかも大事になってくるイメージですね。『ロスト・ソング』はパーティが1人でも戦えましたが、今回は1人だと厳しくなると思います。

平八重氏:これまでもパーティメンバーとのやり取りはありましたが、本作では「さらにその要素を増やした戦闘にしましょう」と。『ホロウ・フラグメント』では仲間は1人でしたけど、今回は仲間が3人に増えています。1人目がトスを上げて、2人目がそれを受けてソードスキルを使い、3人目がそこから敵を拘束させて、最後にプレイヤーがトドメを決める……。そんなプレイもできるんです。

川原先生:ラストアタックを決めて、美味しいところをキリトが持っていくんですね(笑)。

平八重氏:もちろん、自分がアシストして仲間を活躍させるといったこともできます。それと『ホロウ・フラグメント』は2人パーティだったので、ラブラブなこともできたんですが、今回は4人パーティなので、パーティ中はそういうことが意外とできないんですね(笑)。4人パーティではコミュニティの関係性が描かれて、2人だけのパーティにした時は少し会話の内容が変わっていくように……。

川原先生:それはいい仕様ですね(笑)。

二見P:そこまではまだできていないんですけど、開発者がこう言ってくれたので、そこはぜひ楽しみにしてほしいですね。本作でもMMORPGの雰囲気は出していきたいですし、“擬似MMORPG”というジャンルをもっと作っていきたいと思っています。1人でプレイしても、他のプレイヤーと一緒にプレイしている感じを出してきたいですね。

――『HR』の物語もうかがいたいのですが、まず本作はどのような時間軸の作品なのでしょう?

二見P:ゲームの『SAO』シリーズは、『インフィニティ・モーメント』から原作とは異なる時間軸で描かれていて、本作は『ロスト・ソング』のあとの物語になります。もちろん、シリーズ未経験者でも楽しめるように作っていますが、11月発売の『SAO ゲームディレクターズ・エディション』を買ってプレイすれば、さらに『HR』が楽しめます。こちらもよろしく!(笑)

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』
▲『SAO ゲームディレクターズ・エディション』で遊べる『Re:ホロウ・フラグメント』では、ストレアのエピソードが新たに語られるので、プレイ済みの人も遊んでみてもらいたい。

――ちなみに企画はいつごろからスタートしたのでしょう?

二見P:去年の7月くらいだったと思います。

三木編集長:そうですね。そのころに二見さんからお話を伺ったと思います。『インフィニティ・モーメント』の企画を最初に提案された時に、「2020年代のゲームを舞台にした小説をゲーム化するハードルの高さは問題ないんですか?」と話したんですよ。そのころから二見さんは“天狗”と呼ばれていて(編注:二見Pが『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のゲームを手がけた時に付けられたアダ名のこと)、一言こう言いました。「俺に任せてください」って(笑)。

二見P:そういう感じではなかった気がするんですけど(笑)。

三木編集長:(流しながら)「それならぜひ」とOKしたら、『インフィニット・モーメント』から大ヒットが続いて、あまつさえ世界でもシリーズが売れているじゃないですか。

 ここから先が重要なんですけど、『SAO』の原作を読んでいない方もゲームをプレイされていると聞いていてですね。いわゆる“キャラゲー”って、原作を好きな人が買うのがもっぱらだと思うんですが、『SAO』はゲームとしてもおもしろいと評価されて、遊んでいる方も多いようなんです。これは二見さんのおかげで、ゲームによって『SAO』の世界が大きく広がった。なので、PS4での企画が来た時もなんの心配もありませんでした。これはPS4で『SAO』がさらにブレイクするだろうなって(笑)。

二見P:すみません、読者の方に事実を言うとですね、「ぜひゲーム化をさせてください」と話しただけですからね!(笑)

三木編集長:(笑)。少しマジメに話しますね。『SAO』のゲームって、要求されるハードルがどんどん高くなっていると思うんですよ。「今度はこういう演出をやってほしい」とか、「原作のあのシーンを再現してほしい」とか。そういう要望をユーザーから出していただけるのも原作サイドとしてはうれしいことですし、開発側がそれに答えてくれるのも、ありがたいことだと思っています。

新作のヒロインは……“AI”!?

――1作目の『インフィニティ・モーメント』から、原作をなぞる形のゲームではなく、オリジナルの展開がゲームで描かれていきましたが、そういうオリジナル要素を提案された時、川原先生はいかがでしたか?

川原先生:ゲーム化の話を最初に聞いた時は、確かそういうアプローチではなかったと思います。前提として、PSPではハード的に《アインクラッド》を1層から作っていくのは難しい。それならどういう形にしましょうか……という流れですね。

二見P:そうですね。今の技術でも、1層から100層までは作れたとしてもかなり時間がかかります。当時、原作のおもしろさをゲームで再現するにはどうしたらいいか考えた結果、75層以降を冒険できたらすごく楽しんじゃないだろうか? 小説を読んだ皆さんも気になっている部分ではないだろうか? との結論に至りました。

 原作の時間軸では、《アインクラッド》に戻って続きを攻略……とはできないでしょうし、僕個人としても75層の先を見てみたかったんです。もちろんハードとの兼ね合いもありましたが、その制約があったからこそ『インフィニット・モーメント』の物語が生まれて、川原先生と三木さんに企画を提案させていただいたんです。

川原先生:『ロスト・ソング』は《ALO》が舞台ですけど、原作の《ALO事件》が起きなかった並行世界で物語が進んでいます。ゲームオリジナルキャラのストレアやフィリアが魅力的で、どうにか原作にフィードバックしたいなと考えるんですが……並行世界で構築されてきたものですので、そのまま出すのが難しくて(笑)。

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』
▲ゲームオリジナルヒロインのフィリア。画像は、顔を合わせたばかりのキリトに切りかかってくるという、インパクトの強い出会いのシーン。

二見P:ストレアやフィリアはゲームファンからの人気も高いんですよね。実はヒロインは原作っぽく作ろうというテーマがあって、原作だとキリトがヒロインと出会って彼女たちを救っていく……という流れがあるじゃないですか。ゲームではユーザー=キリトになるので、自分がヒロインを救えるようにしたかったんです。そこが原作ファンからも喜んでいただけたようで、非常にうれしいところでした。

――PVにも登場している『HR』のヒロインについてお話をうかがいたいのですが。

『ソードアート・オンライン -ホロウ・リアリゼーション-』

二見P:今回のヒロインは14歳ぐらいの設定にしています。キリトが《SAO》をプレイしたのが14歳の時だったので、その当時のキリトたちと等身大のキャラにしました。キャラにかんしては、三木さんからかなりチェックが入りましたね(笑)。

三木編集長:はい。恋愛アドベンチャーなんじゃないかというくらい、チェックしましたね(笑)。

二見P:ゲームを始めるとすぐわかるのですが、ヒロインはAIのキャラなんです。無垢な性格で、キリトたちと冒険していくことでAIが成長していきます。その過程がとてもかわいくてですね……。三木さんさすがだなと感心させられました(笑)。

三木編集長:映画の『007』シリーズでボンドガールが登場すると、「どうやってこのヒロインを落とすんだろう」と考えるのが好きなので、ゲームでもキリトがこのキャラとどうイチャイチャしていくのかって、考えるのが好きなんですよね(笑)。

川原先生:イチャイチャっていうと、最近の海外ゲームだと、ロマンスと言いながら最後までするじゃないですか(笑)。そのところってどう思います?

二見P:時代が変わってきたなって思いますよね。

川原先生:日本のゲームだと、宿屋とかで暗転して終わりなのに、海外だと映画ばりに見せるんですよね(笑)。それが衝撃的で……。

三木編集長:それならこちらは日本らしく、2Dのイラストで行きましょう!

二見P:いやいやいや! それをやると『SAO』が18禁になっちゃうんで……。

川原先生:『ホロウ・フラグメント』とかはCERO Cでしたよね。ならあと少し頑張れば!

――話を戻します(笑)。ヒロインがAIということは、作中にはAIのキャラクターが他にも登場するのでしょうか?

平八重氏:はい。少し言い方が難しいのですが、他のプレイヤーが操作している設定のキャラクターもいますし、ショップの店員やモブキャラクターのような“システムキャラクター”もゲーム中に登場します。

川原先生:オンラインマルチを考えると、他のプレイヤーが操作するキャラクター、ゲーム内で他のプレイヤーが操作している設定のNPC、そして純粋なNPCがいて、わかりづらいところがありますね(笑)。

二見P:どこまでできるかわかりませんが、今後はそういうところが混じりあっててもいいのかなと考えています。どこまでがオンラインのキャラクターで、どこまでがゲーム中のキャラクターなのかがわからなくても、その世界が楽しいと思っていただけるなら、オンラインゲームとしての新しい価値になるのかなと思います。MMORPGと擬似MMORPGが合わさるように目指していきたいですね。

――少しオンラインマルチの話も出ましたが、本作はマルチプレイにも対応しているのでしょうか?

二見P:はい。まだ詳しくは話せませんが、オンラインマルチプレイにも対応予定です。

――川原先生や三木さんにお聞きします。今回の作品や、次回以降の作品でぜひ採用してほしい要素などは?

川原先生:僕は採集要素が好きなので、草を拾えるようにしてほしいです。それで素材を集めて、道具や装備を生産できるようになると、それだけでも楽しめるので。

三木編集長:昔『源平討魔伝』というゲームがあったじゃないですか。そこで女の敵を倒した時に「あぁん♪」って声が出るんですけど、それをぜひ実装して欲しいですね。

川原先生:それは誰が言うんですか?

三木編集長:ラミアとか女の子の姿のモンスターを出してですね……。それで、その声を聞くとなぜかアスナからのヘイト値が上がってしまう(笑)。

二見P:それだと敵を倒せないじゃないですか!(笑)

――小説のあとがきで、「《アンダーワールド》のゲーム化を二見さんに提案したら目をそらされた」というくだりがありましたけど……。

三木編集長:いや、そんなことないですよ。フランスで開かれたジャパンエキスポのステージで、「俺に任せておけ」って(笑)。

川原先生三木編集長:「俺が世界の二見だ!!」って(笑)。

二見P:あの時のトラウマは忘れませんよ。川原先生から始まった負の連鎖で、フランスの人たちがコールする「セカイノフタミ」。フランスの皆さんは、ノリで言ってしまっているだけだと思うんですけど、プレッシャーが(笑)。

川原先生:ちなみに《アンダーワールド》のフィールドの直径ですが、大体1,500kmくらいになると思いますので(笑)。

二見P::『SAO』のゲームシリーズのポータルページにユーザーさんから質問を受け付けるコーナーがあるんですけど、そこでもユーザーさんにあとがきのことを突っ込まれまして(笑)。

三木編集長:すごい(笑)。実際に《アンダーワールド》で遊べたら、住人として生活したり、整合騎士としてダークテリトリーのモンスターと戦えるわけですよね。

川原先生:木こりとしてひたすら天命を削る仕事をしてみたりですね(笑)。

二見P:マジメな話をすると「できません」とは言っていませんから。検討します!

三木編集長:少しお聞きしたいのですけど、二見さんって、どんなタイプのプロデューサーなんですか?

川原先生:二見さんってアーティスト感を出さないところが素晴らしいなって。

二見P:僕はアーティストじゃないですから(笑)。クリエイターということでなら、僕よりも現場の平八重さんのほうが近いです。

川原先生:世のプロデューサーにはアーティスト感がある人たちもいらっしゃるじゃないですか。その点二見さんは、実務家という雰囲気があるんですよね。

二見P:地べたをはいずりまわって、泥水をすすりながら生きていますからね(笑)。

川原先生:すごく失礼に聞こえるかもしれませんが、ゲームについての「こうしてほしい、ああしてほしい」など、なにを言っても大丈夫そうな感じがあって、安心するんですよ。アーティスト感があふれる人だと、「怒らせたらどうしよう」って萎縮してしまうんですけど(笑)。

三木編集長:確かに。プロデューサーがクリエイターも兼ねていると、プロジェクトが大変な場合もありますね。

二見P:平八重さんが『インフィニティ・モーメント』から『SAO』を作っているので、ゲームクリエイターというと彼のほうなんですよ。読者の方にわかりやすいように言うと、僕と平八重さんは、三木さんと川原先生のような編集者と原作者の関係に近いんじゃないでしょうか。僕は三木さん側の立ち位置ですね。

三木編集長:えっ! 世界の二見さんと一緒なんてめっそうもない。僕は江戸川区の三木なので(笑)。

川原先生:なら僕はアーティスト感を出していっても大丈夫なんですか?(笑)

三木編集長:川原先生はもっとアーティスト感を出していってほしいところですね。「気に入らないので、このゲームはボツです」とか……。

二見P:アーティスト感って、そういうことじゃないですから!(笑)

――また話を戻します(笑)。PS4で新たな『SAO』が発表されましたが、他にも先日の“電撃文庫 秋の祭典2015”でもさまざまなことが発表されましたよね。

三木編集長:はい。『SAO』の劇場アニメ化ですね。川原先生がオリジナル原案を担当する、完全新作でお届けします! 原作の雰囲気そのままに、新しい『SAO』が劇場で楽しめると思います。

●動画:劇場版『ソードアート・オンライン』制作決定PV

三木編集長:時期などはまだお伝えできませんが、これから徐々に発表されていくと思います。この大きな波に乗り遅れないよう、ゲームから入ってくださったファンの皆さんもぜひ楽しみにしていただけたらと思います。

川原先生:12月に小説『SAO プログレッシブ』の第4巻が発売されます。こちらはひたすら《アインクラッド》を1層から攻略していく物語です。それと劇場版のほうですが、今まで《SAO》《ALO》《GGO》などのゲームを想像しながら物語を書いていましたが、こちらは新しい切り口のゲームを舞台にしていますので、楽しみに待っていてください。もちろん、こちらも二見さんがゲーム化してくれることを期待しています(笑)。

三木編集長:それと『SAO』のイラストを手掛けるabec先生の画集も発売が決定しました。ちょうど今(※2015年10月31日まで)開催中なんですが、『SAO』の人気投票ページも立ち上げていて、ここで1~5位のキャラクターが画集の表紙になります。ですので、皆さんぜひ奮って投票してください!

――劇場版アニメのお話も少し伺いたいのですが、劇場で新作アニメを作ると聞いた時の感想は?

川原先生:最初はプレッシャーを感じました。新作ということだったんですが、『SAO』は2022年の《SAO》編から2026年に終わる《アリシゼーション》編の物語まで、作中の年表がかなり埋まっているんです。なので、そのどこに新しい物語を入れていこうかと、かなり考えました。原案としてですが、今の私に書ける一番おもしろいものを書いたつもりですので、ご期待ください!

――それでは最後に、原作やゲームのファンに向けてメッセージをお願いします。

平八重氏:『ホロウ・フラグメント』から新しい要素が入り、アクション部分もかなり進化しました。本当のキリトの動きを目指して開発中ですし、MMORPG的なさまざまな戦略も楽しめる作品になっていると思います。パーティメンバーも増えて新しい遊び方もできますので、ぜひプレイしていただければと思います。

二見P:毎年恒例となりましたこのタイミングでの発表ですが(笑)、本作はPS4で開発できるということと、オリジナルの世界で『SAO』のゲームを作ると僕らにとってはじめての挑戦になっているゲームです。

 新しい形の『SAO』が見えてくるゲームだと思いますし、原作やアニメが好きな人でも楽しんでいただけるゲームにしていきたいと努力しています。今後もさまざまな情報を公開していきますので、期待してお待ちください! 

三木編集長:原作のほうも、アニメやゲームに負けないようおもしろいものを作っていきたいと思います。今後も電撃文庫の小説もよろしくお願い致します。それと、『SAO』の最終目標はハリウッドでの映画化です!

川原先生:私は『SAO』のゲーム世界は、究極的なスペックで描かれるゲームと設定しています。その世界の美しさや空気感が、いよいよPS4で描かれることになりました。キリトたちがゲームで感じた感動を、ぜひPS4で体験してもらえればと思います。

(C)2014 川原 礫/KADOKAWA アスキー・メディアワークス刊/SAOII Project
(C)BANDAI NAMCO Entertainment Inc.

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