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2015年10月14日(水)

最新作『ぐるぐる!ちびロボ!』でも小さな幸せ探しは健在。横スクロールアクションとしても良作

文:そみん

 2005年6月23日に発売されたニンテンドー ゲームキューブ用ソフト『ちびロボ!』から10年の月日がたちました。

 初代作品から独特の空気感をかもしだしていたゲームですが、つい先日発売された最新作『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』も味わい深い作品となっていました。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲パッケージ版、ダウンロード版ともに4,700円+税。なお、ダウンロードに必要なSDカードの空き容量は最大1GB(8,200ブロック)です。

 ニンテンドー3DS用『ぐるぐる!ちびロボ!』は、ゲームキューブ時代から続く『ちびロボ!』シリーズの最新作。宇宙人から地球を守るため、身長10cmのちびロボがなげなわアクションで立ち向かいます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲なお、ちびロボのamiiboが付いたセットも発売されています。

 それにしても、これまではアドベンチャーゲームの色合いも強かったのに、なぜ本格的な横スクロールアクションになったのか。公園に花を咲かせたり(『咲かせて!ちびロボ!』)、家の掃除をしたり(『おかえり!ちびロボ! ハッピーリッチー大そうじ!』)と、どちらかといえば小さな幸せ探しの印象があったのに、なぜ世界を救うという壮大なテーマになっているのか。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 シリーズファンとして、いくつか疑問に感じる部分もありましたが、実際に遊んでみたところ、「やっぱりコレって『ちびロボ!』最新作だ!」と感じる部分も多々ありました。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 大前提として“よくできた横スクロールアクションゲーム”として高評価できる本作ですが、そんなシリーズファン視点の感想も交えてレビューをしていこうと思います!

あ、あと2cmで届くのに!! 良質なワイヤーアクションに“長さ”のジレンマをプラス

 タイトルからも推測できるように、本作の基本は“なげなわアクション”です。ちびロボのおしりについたヒップラグを回したり投げたりすることで、コースのギミックを解きながら進んでいきます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲おしりについたヒップラグ。これを回して投げるわけです。

 基本的にはブロックに攻撃して壊す、アイテムを回収する、オレンジ色のパネルに刺して離れた場所にジャンプする、といった使い方です。このへんは、いわゆるワイヤーアクションの基本がおさえられている感じですね。

 ヒップラグの投げ方は2種類で、Xボタンでクイックスロー、Yボタンを長押しすることでパワースローを繰り出せます。クイックスローは素早く繰り出せる近距離攻撃のイメージで、小回りが利くところがメリットです。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 一方のパワースローは本作のキモともいえる重要アクションで、クイックスローよりも遠い場所へと届きます。ヒップラグは壁で跳ね返るので、その角度を計算して遠くのギミックを動かす&アイテムを回収する際に使います。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲大きなブロックも粉砕!
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲パワースローを使えば、こんな奥まで届きます。ちなみに反射角度はある程度ガイドラインが表示されるので、計算しやすいです。

 ワイヤーアクションのお約束ともいえる、壁や天井にヒップラグを刺してぶら下がるアクションが必要となる場面もあり、操作に慣れるとすいすいとコースを進んでいけるようになります。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲オレンジのパネルにヒップラグを刺すことで、そこに移動できます。
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲ジャンプ中にXボタンを長押しすると、ヒップラグをぶんぶん振り回して、少しの間ホバリングすることが可能。その他、Rボタンで素早く転がる特殊アクションもあります。

 全般的に高水準にまとまっているのですが、中でも注目したいのは“長さ”の概念です。コース中にアイテムを取ることで、クイックスローとパワースローのそれぞれの飛距離が伸びていきます。

 飛距離を伸ばさないと行けないエリアがあったり、取れないアイテムがあったりと、ちゃんとアイテムを回収することで遊びの幅が広がっていく感覚は本能的に楽しいです。

 不思議なもので、普通に届いた時よりも、「あと2~3cmあれば届くのに!」と絶妙にヒップラグが届かなかった時の悔しさのほうが強く心に残っちゃうんですよね(苦笑)。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲巨大なタコが出現!? 思わぬ大仕掛けが用意されていることも!

 ちなみに飛距離はコースごとにリセットされるので、毎回“飛距離を伸ばしていく意味”を実感できます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

100種類のお菓子集めをはじめ、やり込み要素が満載

 アクションゲームのセオリーとも言えるやり込み要素。本作では1つのコースに対して3種類+αのやり込み要素が用意されています。

 1つ目は大きなコインの形をした“でかマネ”。これは主に、普通に遊ぶと取りにくい場所や隠し小部屋などに隠されているものです。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 2つ目は、ちびロボよりもさらに小さい“ちびちび”。ちびちびは素早く動くので、うまくジャンプ中にぶつかって動きを止めた隙に捕まえるなど、ちょっと工夫が必要なことが多いです。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 ちなみにヒップラグを当てるとちびちびは壊れてしまうので、その点にも注意が必要です。ブロックの上にいるちびちびに近づこうとヒップラグを投げたら、反射角度を間違ってちびちびを壊してしまう……。これ、間違いなく『ぐるぐる!ちびロボ!』のあるあるネタです。

 そして3つ目は、宝箱に隠されたお菓子探し。これがもう、とにかく熱い!

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』 『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』 『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 日本・海外で知られる100種類の実名のお菓子が登場するので、子どもの時に好きだったお菓子を入手できるとテンションが上がります! パッケージだけでなく、中身までCGでしっかり再現されている芸の細かさにもシビレますね。

 それに加えて、そのお菓子をコース内に登場するおもちゃたちに渡すと、そのお菓子のマメ知識も教えてもらえます。

 お菓子の名前の由来や誕生秘話など、思わず誰かに話したくなりようなネタが多く、ついついお菓子の“ずかん”をコンプリートしたくなっちゃいます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 ちなみにお菓子をわたせるおもちゃには、踊るおサルさんや結婚を夢見る少女の人形がいるのですが、なんだかもうテンションがおかしいぐらい高いキャラばかり(笑)かなりインパクトがあるので、新たなおもちゃに出会うのが楽しみになっちゃいます。

 いずれの要素も初見プレイでコンプリートするのはなかなか難しいレベル。その分、何度もコースを遊び直してスミズミまで探索する楽しみがあるわけですね。

 前述したように、ヒップラグの長さによって新たな場所に行けることも多いので、そういう意味でも遊ぶたびに新たな発見に出会えるゲームだと思います。

 あと、コースの最初にあえて進行方向と反対側に行くと宝箱が隠されていることもあります。そんなわけで、コースに降り立つとまず逆走するクセがついちゃいました(笑)。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 なお、上記の他にも迷子の宇宙人を助けてあげることで“きぐるみ”をもらえるというお楽しみ要素もあります。これはクリア済のコースを遊びなおす際のおまけ要素ですが、動物タイプやマリオタイプなど、さまざまな衣装がある模様。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 きぐるみの中にはちびロボが女の子っぽくなっちゃうものもあり、なかなか新鮮な気持ちで遊べます。性能的な変化はありませんが、ちびロボの見た目を変えて遊ぶのも楽しいと思いますよ。

なぜ「やっぱりコレって『ちびロボ!』最新作だ!」と感じたのか

 ここから先はほとんど主観による感想ですが、僕は『ちびロボ!』らしさって“思い出を刺激されるレトロ感”と“小さな幸せ探し”だと思っています。

 ハイスペックで最先端のシステムががんがん盛り込まれた超大作というよりも、安心して遊べるほっこりしたゲームと言いますか。ベタな料理のたとえでいうと、『ちびロボ!』は茶碗にもられたご飯と味噌汁がついてくる大衆定食系だと感じています。ナイフやフォークじゃなくて、ハシで食べたくなるような。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 今回は“地球の資源を奪う宇宙人と戦って地球を救う”という、ちびロボさんの歴史的にもかなり大きなストーリーが展開します。

 でも、実際に遊んでいる感じでは世界各地でゴミ(資源)を拾っていくような感じで、そんなにスケールが大きな気はしませんでした(ボスとのバトルはダイナミックで熱いものが多いですけどね)。

 おもちゃにお菓子を渡した時のリアクションなどを含めて、小さな幸せを感じてほっこりできることが多かったです。

 また、ゲーム内の“ずかん”もネタが詰まった説明文が多くてニヤリとできます。ギャグの中にも“小さな幸せ”が感じられるものがちらほらあり、こういうセンスや空気感もまた『ちびロボ!』らしさと言えるのではないでしょうか。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲プロローグはなかなか壮大です。

 ちなみにゲーム中では、ゴミをリサイクルすることでちびロボのエネルギー(ワッツ)に変える仕組みもあります。こういう殺伐さがない身近な感覚も、『ちびロボ!』らしさが踏襲されている気がします。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 そして、横スクロールアクションというゲーム性と実在のお菓子が登場することは、“思い出を刺激されるレトロ感”そのものです。

 自分はファミコン発売当初からゲームを遊んできたおっさん世代で、小学校のころには友だちと一緒に交代でアクションゲームを遊んだ思い出があります。そんな記憶とあわせて、懐かしの“ハイエイトチョコ”とか“くじつき カット よっちゃん”を見せられるわけで……ある意味で反則ですね。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』 『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
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 余談ですが、本作の難易度は決して低いわけではありません。3コースに1つくらいの感覚でちょっと詰まるくらいの難易度が出てくる手触りです。自分としては、水上スキーやスケボーなど、乗り物系のコースに苦戦することが多々ありました……。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲潜水艦に乗り込むSTGのようなコースもあります。

 ただ、何度かコンティニューをしていると少しずつ指が慣れてきて、いつの間にかクリアできるようになっていくゲームバランスになっており、これまた良質なアクションゲームの証かと。

 最初は難しくてクリアできないコースをクリアできるようになっていく達成感も、個人的には小さな幸せを感じられる瞬間だったりします。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』

 ……まあ、ゲーム内で稼いだお金を使えば、穴に落ちても復帰できるおたすけアイテムを買えますし、何度もコンティニューしたコースを“クリアしたことにできる”システムもあるので、気楽に遊ぶこともできますけどね。

 ともあれ、2015年という現代において、ある意味で古臭くも感じる“横スクロールアクション”ですが、やはり職人芸レベルでゲームバランスがきっちりと考えられたアクションゲームはひと味違うと感じます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲ちなみに今作ではファイアーちびロボやアイスちびロボに変身して進むシーンもあります。鋼鉄を溶かしたり水を凍らせたりと、演出的にも楽しいです。

 そんなこんなで、『ちびロボ!』シリーズファンにはもちろん、昔からゲームを遊んできたベテラン世代にもオススメの『ぐるぐる!ちびロボ!』。もし本作で初めて『ちびロボ!』を遊んで心に何かを感じた人は、ぜひ昔のシリーズ作品も遊んでみてほしいと思います。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲いろいろなドキドキもありますが、最後はしっかりハッピーな気持ちになれるシリーズです。

 かなり尖ったシステムの作品もあるので最初は戸惑うかもしれませんが、どれもクリア後に小さな幸せを感じられる良作がそろっています。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲立体視演出も非常によくできていて、本当に目の前でちびロボたちがちょこちょこ動いている感覚を味わえます。特に水系のコースの演出が素敵です。

[CHECK]通常の体験版の他、おかしとコラボした特別版も登場!

 本作の体験版はニンテンドーeショップで配信されている他、コースにフエラムネや黄金糖が隠されている特別な体験版も用意されています。

 特別な体験版はフエラムネや黄金糖の『ちびロボ!』コラボバージョンと連動したもので、パッケージの裏面のQRコードから体験版をダウンロードできます。

『なげなわアクション!ぐるぐる!ちびロボ!』
▲特別な体験版は回数制限がなく、何度でも遊べます!(画像は公式サイトをキャプチャしたものです)

 コラボ版のフエラムネは10月19日発売、コラボ版の黄金糖は好評発売中です。

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