2015年10月17日(土)
アナログゲームの制作者と、その人が作ったゲームを一緒に遊んで戦略やテクニックを勉強させていただく企画“アナログゲームでガチバトル”。
今回取り上げるのは『フラムルルイエ』。これは、ループ系惨劇体感ボードゲーム『惨劇RoopeR』が海外でも好評のBakaFireさんによるリメイクプロジェクト“BakaFire Party ExDevelopment”の第1弾タイトルです。
ドイツのエッセンで開催された世界的なアナログゲームイベント“SPIEL(シュピール)'15”でも完売したほど好評だった本作を、BakaFireさんと、れらしうさん(本作のゲームデザインを担当。もとになった『見滝原は狭すぎて』の制作も手がける)と一緒にプレイ!
さらにBakaFireさんと共にゲームを制作したことがあるポーンさん、恋パラ支部長さんにも参加していただきました。また、近日中に4人へのインタビューを掲載予定ですので、そちらもお楽しみに!
▲『フラムルルイエ』のパッケージ。 |
【リプレイ参加者(以下、敬称略)】
れらしう:個人サークル“ゾック神社”名義でアナログゲームや同人誌を制作。代表作は『見滝原は狭すぎて』、『見滝原を覆う影』、『ダイスター・ウォーズ』など。『フラムルルイエ』ではゲームデザインを担当。
BakaFire(以下、BF):アナログゲーム制作団体“BakaFire Party”の代表。代表作の『惨劇RoopeR』は“Dice Tower Award 2014”にて“Most Innovative Game(もっとも革新的なゲーム賞)”を受賞。『フラムルルイエ』ではデベロップを担当。
ポーン:2000年ごろより自身のサイト“ステッパーズ・ストップ”でフリーゲームや小説などを多数公開。近年では1人用アナログゲームも発表しており、代表作は『シェフィ-Shephy-』『ゴリティア』など。
恋パラ支部長(以下、支部長):すべてのファミコンソフトを所有しているゲームライター兼、アナログゲームデザイナー。代表作は『パニハイ!』『ライデマイスター』など。最新作は『俺のケツをなめろ!』のリニューアル版。
梅津爆発(以下、爆発):アナログゲームをこよなく愛するフリーランスの編集者。最近よく遊ぶのは『Eight Epics』、『The Game』など。このリプレイは梅津爆発の視点で書かれています。
『フラムルルイエ』は、親から順番に全員がカードを出し、最大の数値を出したプレイヤーが宝物を獲得できる入札カードゲーム。ただし宝物の価値(勝利点)を知っているのは基本的に親のみ。
また宝物獲得時に使用したカードの数値はそのままマイナスの勝利点に。12ラウンド終了時、もっとも勝利点の高いプレイヤーが勝利となります。
親の出したカードから宝物の価値を予想し、価値に見合った数値のカードで宝物の獲得を目指すのが本作の基本戦術。
ですが、“ゲーム終了時に全員がマイナス点の場合、もっともマイナス点の大きいプレイヤーが勝利”という特殊ルールにより、緊迫の騙し合いが繰り広げられるのです……。
BF:太平洋で発見された海底遺跡を探査し、古代の宝を手に入れようとする学者や好事家たち。しかし彼らはまだ気付いていない。その海底遺跡の近くに、かの邪悪なる都“ルルイエ”が眠っていることを……。
というワケで皆さんには、狂気を宿した海底遺跡で宝物を集めていただきます。
まず皆さんそれぞれに4~15の数値が書かれた同色のパワーカード12枚を配ります。このカードを毎ラウンド1枚出して、もっとも高い数値だった人が宝物を獲得できるワケですが、宝物の裏面は3種類あります。
▲左から浅層、中層、深層。それぞれ5枚存在し、裏面には勝利点の分布が記載されています。深くなるほど勝利点はハイリスクハイリターンに。 |
BF:最初にそれぞれの深さから1枚ずつ、ランダムかつ裏向きのままカードを取り除きます。あとで説明しますが、取り除いた3枚は1人以外見ることができません。
残った12枚をよく切って山札とし、山札の一番上が浅層になるまで一番上のカードを山札の底に送ります。そして、一番上のカードとその次のカードを裏向きのまま山札の右側に並べ、さらに山札の一番底のカードを表向きにして山札の左側に置きます。
▲宝物カードの初期配置はこのようになります。一番最後の宝物カードのみ表で、残りは登場が近い順に3枚分だけの裏面が見えるように。 |
爆発:一番最後の宝物カードだけが表なんですね。
BF:はい。とても重要な情報になります。そして1ラウンド目は一番右の宝物カードを賭けて勝負することになるのですが、最初に親だけが宝物カードの表を見ることができます。
そして親はパワーカードを表向きで1枚提出します。他のプレイヤーは親の出した数値を参考に宝物カードの数値を予想し、パワーカードを裏向きで1枚提出。
爆発:パワーカードは親だけが表向きで出すんですね。
BF:はい。他の人が何を出したのかはわかりません。全員がパワーカードを出したら一斉にオープンして、一番大きな数値だった人が勝者となります。
爆発:一番大きな数値を出した人が複数いたらどうなるのでしょう?
れらしう:親と別の人が同じ数値だった場合、もっとも優先順位の高い親が勝利します。親以外の人が同じ数値を出していた場合は、時計回りで親に近いプレイヤーの勝利です。これはリメイクもとの『見滝原は狭すぎて』から変わった部分ですね。
▲親だけがパワーカードを表向きで出し、他の人は裏向きで提出。 |
▲全員そろったら一斉にオープンして、最高値の人が勝利。写真の場合、2人が15を出していますが、時計回りで親に近かった緑のプレイヤーが勝者に。 |
BF:そして勝者は宝物カードを受け取るのですが、この宝物カードの表面を見ていいのは勝者だけです。勝者と親だった人以外はこの宝物の勝利点がいくつだったのかわかりません。
さらに勝者は、自分が今使用したパワーカードを表にして手元に置きます。パワーカードの数値はそのままマイナスの勝利点になってしまうので、入手した宝物カードの勝利点が低ければ差し引きでマイナスになってしまい、「勝たないほうがよかった……」なんてことになります。
爆発:宝物カードの勝利点が低いと思ったら、わざと負けたほうがいいんですね。すべてのラウンドで負けたら0点ですか?
BF:勝者以外は全員、パワーカードを裏にして横向きで手元に置きます。これは狂気カードになり、1枚につきマイナス1点となるので、12ラウンドすべてに負けたらそれだけでマイナス12点になってしまうのです。
れらしう:宝物カードを入手した際、それまでに置かれていた自分の狂気カードが祓(はら)われることになり、狂気カードによるマイナス点すべてを0点にすることができます。
宝物カードを入手した後、その後のラウンドで置かれた狂気カードは、また宝物カードを入手しないと0点にすることができません。
▲自分の手元にはカードがこのように配置されます。写真の場合、宝物カード3枚の合計が32点。それらの獲得に使用したパワーカード3枚の合計がマイナス27点。“祓われ”ずに最後まで残った狂気カードが2枚でマイナス2点となり、得点はプラス3点に。 |
爆発:狂気カードがたくさん溜まっていたら、宝物カードの勝利点が低くても、狂気カードを祓うために勝つのはアリってことですね。
BF:そのとおりです。さらに勝者は次の親になれるメリットもあります。つまり勝利すれば、勝利時に獲得した宝物カードの正体がわかり、次のラウンドは親として最初に宝物カードの表を見ることができるため、宝物カード2枚分の情報を得ることにつながるのです。
れらしう:例えば裏面が深層の宝物カードなら、勝利点は“0点、0点、15点、22点、22点”のいずれかです。
2枚ある0点がすでに登場していることがわかれば、その後に登場する深層の宝物カードを高いパワーカードで取りにいっても、最低でも15点はもらえますから勝利点はほぼプラスになるワケです。
BF:そして12ラウンド終了時、勝利点の合計がもっとも大きかった全員が最終的な勝者となります。ただしこのゲームは最終得点がマイナスで終わることもかなり多く、マイナスで終わってしまった人は邪神の狂信者となってしまいます。
もし全員が邪神の狂信者となった場合、邪神が復活して価値観が反転。もっとも狂っていた人、つまりもっとも勝利点のマイナスが大きかった人が最終的な勝者となるのです。
だから序盤で勝利点が大きくマイナスになってしまっても、他の全員を騙してマイナスに引き込めれば逆転勝利できます。
爆発:そういう人が親になったら、勝利点の少ない宝物カードなのに、数値の大きいパワーカードを出して騙してくる場合があるってことですね。疑心暗鬼になるゲームだ(笑)。
れらしう:1位を狙うためなら、勝利点がプラスの状態でも他の人を騙したほうがいい場合もあります。邪神の狂信者だけじゃなくて人間も怖いということで(笑)。
BF:邪神復活エンドになる確率は通常20%くらいなのですが、れらしうさんが入ると33%くらいまで上がるので皆さん気をつけてください(笑)。
れらしう:ふふふっ。
BF:最後に切札カードの説明です。切札カードはプレイヤー全員に、最初に1枚ずつランダムで配られます。5枚すべてが異なる効果で、うまく使えばゲームを有利に進められるでしょう。
▲“ルルイエ異本”が配られたプレイヤーはこのカードをすぐに公開。最初に取り除かれるカード3枚の内容を確認でき、さらに最初の親になります。 |
▲“輝くトラペゾヘドロン”は最強の数値17を持つパワーカードとして使用可能。ただし通常のパワーカードと同じく、勝利時には数値分のマイナス点に。 |
▲“旧き印”は数値15のパワーカードとして使用可能。もしくは勝利時に宝物の表を見たあとに捨てることで、その宝物と使用したパワーカードの受け取りを拒否できます。 |
▲“黄金の蜂蜜酒”は数値0のパワーカードとして使用することで、勝負に関係なく次ラウンドの親になれます。さらにこのカードの効果で親になって宝物カードの表を見る際、現ラウンドだけでなく、次ラウンドの宝物も見れます。 |
▲“時間遡行薬”は全員のパワーカードが公開された時に使用することで、自分の出したパワーカードを手札に戻し、代わりに別のパワーカードを出し直せます。ただしこのカードを使用した場合、ゲーム終了時にマイナス2点のカードとして扱われます。 |
れらしう:“旧き印”の効果を補足すると、2種類の効果のうちどちらかしか使用できません。また、宝物の受け取りを拒否した場合は狂気カードは祓われません。次のラウンドの親になることはできます。
●『フラムルルイエ』のルール要約(5人プレイ時)
【1】各プレイヤーは同色のパワーカード12枚と、切札カード1枚を受け取る。宝物カードを各深さから1枚ずつ取り除き、残りの12枚を山札に。
【2】切札カードが“ルルイエ異本”だった人が最初の親になる。
【3】親は宝物カードの表を確認し、手札からパワーカードか使用可能な切札カードを1枚表向きで提出。
【4】親以外のプレイヤーは、手札からパワーカードか使用可能な切札カードを1枚裏向きで提出。
【5】提出された全員のカードを公開し、もっとも数値の大きかった人が勝者。勝者は現ラウンドの宝物カードと自分が使用したパワーカードを受け取り、勝者以外は使用したパワーカードが狂気カードに。
【6】勝者が親になって次のラウンドに進み、【3】~【6】を繰り返す。
【7】12ラウンド終了時、もっとも勝利点の大きい人が勝者。全員がマイナス点の時のみ、マイナスがもっとも大きい人が勝者に。
ルール説明後、練習を2回行っていよいよ本番! プレイ順とカードの色は“れらしう(青)→ポーン(緑)→爆発(黄)→BF(ピンク)→支部長(赤)”となりました。
爆発:では本番を始めたいと思います。
BF:練習ではれらしうさんの邪神復活エンド狙いを、ポーンさんが0点ピッタリで防いで勝つという劇的な展開になったので、本番でもそんな展開になってほしいですね!
ポーン:狙ったワケじゃなくて偶然ですけどね。0点で勝てるとは思っていなかったので意外でした。
れらしう:このゲームはマイナスで終わることが多いので、0点で勝つことが割とあるんですよ。
ポーン:そうなんですか。おもしろいですね。
れらしう:個人的には0点での勝利が一番美しいと思ってます。
BF:みんなが狂っていくなか、1人だけギリギリで正気を保って生還……ってことですからね。
れらしう:しかし手元には宝物なんて1つも残らなかった……。
支部長:0点勝利はそういう意味になるんですね。確かにカッコいい。
爆発:練習2戦目では、れらしうさんが1人だけプラス8点で勝ちましたね。
BF:私はそんなにうまくないのですが、れらしうさんはかなり強いんですよ。
れらしう:『フラムルルイエ』になる前は弱かったんですけどね。
BF:邪神のパワーを吸い取りましたか(笑)。
▲宝物カードはこの順番でゲームスタート。最後に控える0点が禍々しい……。 |
支部長:最後0点ですか! 練習でも0点でしたよね。
ポーン:おもしろいですね。
れらしう:きっとプレイヤーのレベルを読み取って、場が荒れるようなラストカードになったんじゃないかと(笑)。
▲爆発の切札カードは“時間遡行薬”でした。それとカードの並べ方がバラバラなのは、キレイに並べると出す数字がバレる気がしたためです(疑心暗鬼)。 |
れらしう:では親の私からカードを出しますね。浅層だし、まずは9くらいでどうでしょうか。
BF:9スタートですか。
支部長:9か……。
爆発:(とりあえず情報を集めないことには今後の作戦が立てにくいし、れらしうさんに勝てる10を出そうかな。仮に浅層の最低点の7点でもマイナス3点で済むし)。
れらしう:全員そろいましたね。ではオープンしましょう。
一同:せーの!
▲写真右上、親のれらしうさんから9、10、10、7、9となり、10を出した写真右下のポーンさんが勝利。 |
BF:11で取れたなら出してよかったなぁ。これは悔しい。
ポーン:(宝物カードを見て)やったぁあ!!(大げさに)
一同:(爆笑)
支部長:この「やったー!」はどっちの意味なんだろう。まったくわからない(笑)。
BF:やっちまったって意味かもしれませんね(笑)。
ポーン:マイナスだったとしても情報は得られますからね。(次の宝物カードを見て)うーん、こいつは11が適切かな。
支部長:なるほど……。
爆発:(このゲームの次の宝物カードは深層だから、ここは多少ムリしてでも勝ちにいきたい。浅層の最高点は14点だから、14を出せばさすがに勝てるかな? 同値なら優先順位で自分が勝てるし)。
ポーン:4人いれば、1人くらいは高い数値を出してくれますからね。
支部長:それは低いのを出した方がいいよってことなのか(笑)!
れらしう:確かに、ここは勝負してくる人がいそうなので、潰しあいを避けるために低い数値で様子を見るのはアリですね。
ポーン:ではオープンします。
一同:せーの!
▲写真右下、親のポーンさんから11、14、13、10、7となり、14を出した写真下の爆発が勝利。 |
BF:うわー、14いたかー。
爆発:勝てたー。でも13で勝てたなら、13を出しておけばよかったなぁと欲張り発言。
れらしう:ギリギリを狙うのは難しいですからね。
爆発:では情報いただきます!
▲勝利で獲得した宝物カードは14点。そして次の宝物カードは最高点の22点でした! |
爆発:ヒャッハー! 何も考えずに素早く15を提出!!
BF:練習で同じように15を出した時は、結局0点の宝物カードでしたよねぇ。
爆発:そんなこともありましたねぇ(笑)。
ポーン:いや、今回は普通に取りにいったと見た!
支部長:そんな気がするなぁ。
爆発:(……あっ、よく考えたら“時間遡行薬”を使うために、最初は4を出して宝物カードを0点に見せかける手もあったなぁ)。
れらしう:同値だと親には勝てないので、勝つには17の強さを持つ“輝くトラペゾヘドロン”を出すしかないですね。
ポーン:同値で勝てるのも親の大きなメリットなんですね。
爆発:だからある意味、“輝くトラペゾヘドロン”を持っている人との勝負ですね。本気かブラフかという。
れらしう:練習では見事にマイナス17点を食らわせてましたよね。その惨劇を知っていても飛び込む人がいるのかどうか……。
爆発:ではオープン!
一同:せーの!
▲写真下、親の爆発から15、“黄金の蜂蜜酒”、5、8、9となり、15を出した親の爆発が連続勝利。 |
BF:爆発さんの勝ちですが、“黄金の蜂蜜酒”の効果で親番はいただきました。
爆発:“黄金の蜂蜜酒”来ちゃいましたか。宝物カードは取れたけど嬉しさ半分。
▲BFさんに親が移った直後の山札。深層の次はまた深層でした。 |
BF:おっとまた深層でしたか。それなら“黄金の蜂蜜酒”は1回遅らせるべきだったなぁ。そうすれば2枚の深層を覗けたし。でもまあ仕方ない。
支部長:なるほどなるほど。
れらしう:ここでBFさんが出すパワーカードは重要ですよ。ひょっとしたら“黄金の蜂蜜酒”の効果で覗いた、次の宝物カードの情報も踏まえた数値かもしれない。
BF:(中層の宝物カードと、次の深層の宝物カードを見て)どうしようかな……12で。
爆発:(中層はまだ1枚目で情報がないし、優先順位も一番低いから、今回は様子見で中途半端な9辺りを処理しておくかな)。
一同:(考え中)。
れらしう:このゲームは、参加者が熱中して真剣に考え始めると、誰も余計なことをしゃべらなくなるんですよ。
BF:カニ食ってる状態になるんですよね(笑)。そんな話をしている間にカードが出そろいました。ではオープン。
一同:せーの!
▲写真左下、親のBFさんから12、14、14、8、9となり、14を出した写真左上の支部長さんが勝利。 |
支部長:よーし、れらしうさんの14を潰せた!(獲得した宝物カードをチラリと見る)。
ポーン:いい勝負ですね。
支部長:では次の宝物カードを見ます。
爆発:BFさんが先に覗いた宝物カードですね。
支部長:(深層の宝物カードを見て)……ワーオ! BFさんもこれ見てるのかぁ。……よーしここは“輝くトラペゾヘドロン”で!
BF:それはどうしようもないですね。
爆発:宝物カードの正体は、最高点の22点とほぼ判明しましたね。
れらしう:一応、邪神復活勝利を狙って、0点に17を出してマイナス17点を取ろうとしている可能性もあります。でもまだ5ラウンド目ですからね。
爆発:というわけで、カード処理タイム!(現在プラス6点だから、あと1回勝って、それが大きなマイナスじゃなきゃ勝てそう。なら中途半端に大きめの12辺りを捨てておくか)。
支部長:カード揃いました。ではオープンしますか。
▲写真左上、親の支部長さんから“輝くトラペゾヘドロン”、5、7、12、8となり、支部長さんが連続勝利。 |
BF:しかしこれはマズイなぁ。次の宝物カードも深層だし。やっぱり“黄金の蜂蜜酒”を出すのが1ラウンド早かったかも。深層の次も深層が来るなんて、あの時点ではわからなかったから仕方ないのだけど。
支部長:(深層の宝物カードを見て)なるほど。……でもこれしかないのか。ちょっと困ったなぁ。
BF:困ってくれているならギリギリセーフだなぁ。困らずに15を出されたら、また最高点の22点ということになるから詰んでましたね。
爆発:2枚合計で差し引きプラス12点ですもんね。
支部長:う~ん、13を出します。
ポーン:13か……。
爆発:(1枚目の22点はさっき自分で取ったし、2枚目はきっと支部長さんが“輝くトラペゾヘドロン”で取ったやつでしょう。ならきっとこれは0点か15点。13を出したってことは、素直に考えれば15点か。
でも手札の最高数値は13だから絶対に勝てないし、また中途半端な8辺りを捨てますか)。
れらしう:……オープンされている最後の0点を除くと、これが最後の深層でしょ。……わからん。
爆発:“ルルイエ異本”で情報を得ている人がわからなかったら誰もわかりませんよ(笑)。
支部長:邪眼とか開けばわかるかも(笑)。ではそろったのでオープン!
一同:せーの!
▲写真左上、親の支部長さんから13、15、15、8、6となり、15を出した写真右上のれらしうさんが勝利。 |
支部長:取られた!
ポーン:ダメだったか。
れらしう:表情に出てしまうから、今獲得した宝物カードは敢えて見ません(笑)。あとでこっそり見ます。
支部長:その作戦いいですね(笑)。
【6ラウンド目終了時点での途中経過】
爆発:宝物カード2枚(浅層、深層)を、合計29点で獲得
支部長:宝物カード2枚(中層、深層)を、合計31点で獲得
ポーン:宝物カード1枚(浅層)を、合計10点で獲得
れらしう:宝物カード1枚(深層)を、合計15点で獲得
BF:ここまで宝物カードの獲得なし
れらしう:(浅層の宝物カードを見て、13をスッと提出)はい、どうぞ。
ポーン:……。
爆発:(浅層の14点はこっちが持ってるから、高くても13点で、れらしうさんが勝ってもほとんど得しない。もしかして前ラウンドで入手した深層は0点で、邪神復活勝利を目指して今回もマイナス点を増やそうとしてるんじゃ?
獲得した深層の宝物カードは見ていないと思うけど、“ルルイエ異本”を持ってるから予想できたんじゃないかなぁ?)。
支部長:……うーん、ここでこれはありえるのか?
BF:皆さん悩んでますね。
支部長:悩むフリというブラフの可能性も……。
れらしう:たまにそういうブラフをしてくる人もいますね。
支部長:いますよね(笑)。
れらしう:カードがそろいましたね。
一同:せーの!
▲写真右上、親のれらしうさんから13、6、6、9、12となり、れらしうさんが連続勝利。 |
れらしう:では宝物カードをいただきます。(次の浅層の宝物カードを見て、少し考えてから10を提出)……はい。
BF:今回を含めてあと5ラウンドですね。
爆発:手札を数えれば、残りラウンド数がわかるんですよね。
BF:はい。ラウンド数と同じ枚数のパワーカードが配られていますから。ただ、パワーカードの代わりに使用するタイプの切札カードがあると、必ず1枚は余ります。切札カードを最後まで使わなかった場合も余りますね。なお余ったカードは得点計算には含めません。
爆発:(そろそろ勝って狂気カードを祓いたい……。11で勝てれば、仮に最低点の7点だったとしても差し引きマイナス4点で、今回も含めて狂気カード5枚を祓えるから実質プラス1点。実際は10点以上かもしれないし、“時間遡行薬”を使って逆転勝ちできるなら使ってもいいな)。
BF:……こっちしかないな。
れらしう:ではオープンしましょう。
一同:せーの!
▲写真右上、親のれらしうさんから10、14、11、11、11となり、14を出した写真右下のポーンさんが勝利。 |
BF:ん~、14いたかぁ。
爆発:全員が勝ちたがる場面は珍しいですね。
ポーン:勝った(獲得した宝物カードを覗く)。
BF:そして、中層が3連続だったことが判明しました。
▲残り4ラウンドの宝物カードは、中層3連続のあとに0点という構成。そろそろ最終ラウンドに残すカードを決めないと……。 |
れらしう:まだ中層は1枚しか登場してなかったので、この3枚の情報はとても少ないですね。深層以外は軽視されがちなんですが、中層の18点と4点も影響が大きいので油断はできません。
支部長:中層の宝物カードを1枚持ってる私でも、この3枚がどうなっているかよくわかりません(笑)。
ポーン:(中層の宝物カードを見て)なるほど……12です。
爆発:(残った手札で最高値の13は、“時間遡行薬”用にギリギリまで残しておきたいから、余っている5を処分かな。ただ、ポーンさんの切札カードは消去法で“旧き印”と確定したから、絶対に欲しい宝物カードなら“旧き印”を使った気がする。
つまり宝物カードの中身は可もなく不可もない点数?)。
BF:……これで行くしかないか。
ポーン:ではオープン。
一同:せーの!
▲写真右下、親のポーンさんから12、5、14、8、4となり、14を出した写真左下のBFさんが、ようやく初勝利。 |
BF:よし、勝つための最低ラインはクリアできました。あとは一定の幸運に恵まれ……うぇっっ!!
一同:(爆笑)。
れらしう:悲鳴が聞こえた(笑)。
爆発:そんなわかりやすいブラフをかけないでくださいよ~(笑)。
支部長:迫真のブラフだね(笑)。
ポーン:宝物カードを見た親と、その宝物を取った人だけにコミュニケーションが生まれるのはおもしろいですね。
れらしう:親なら、宝物カードを取った人のリアクションが本当か嘘かわかりますからね(笑)。
BF:(次の中層の宝物カードを見て即座に)はい15です。
れらしう:即決で15か……。私も即決。
爆発:(15を出されちゃどうしようもないから7を出すか。……というか、もう次で勝てないとマイナス点確定か!?)。
ポーン:15だったら……こうかな。
BF:全員出ましたね。せーの。
▲写真左下、親のBFさんから15、4、6、5、7となり、BFさんが連続勝利。 |
BF:残り2ラウンドですからサクサク行きますか。(次の中層の宝物カードを見て)こっちかな。5です。
爆発:(ここは13を出して勝負するしかないっ……!)。
れらしう:ここまで来ると、出すカードはほぼ決まっていることが多いので、すぐに全員のカードがそろいましたね。
BF:ではオープンしましょう。
一同:せーの!
▲写真左下、親のBFさんから5、15、12、“旧き印”、13となり、15を出した写真左上の支部長さんが勝利。 |
一同:おおっ!
BF:“旧き印”は15のパワーカードと同じなので、優先順位の高い支部長さんの勝利です。
支部長:うぃっす!
ポーン:悔しいー。
支部長:問題は宝物カードがなんだったのか。(獲得した宝物カードを覗き)……あ~、そうですか~。
BF:では最終ラウンドのカードを出しましょう。もらった切札カードによっては、最後が2枚の場合もあるので、一応親の支部長さんからどうぞ。
支部長:はい7です。……全員のカードがそろいました。では0点の宝物カードを賭けた最後のオープン。
一同:せーの!
▲写真左上、親の支部長さんから7、11、13、4、10となり、13を出した写真右下のポーンさんが勝利。 |
れらしう:ここで13が出てきたか……。
ポーン:全員マイナスなことを祈って勝負しました。
爆発:というわけで結果発表~!
▲ポーンさんは宝物カード3枚(浅層2枚、深層)の勝利点が17点。パワーカードの合計が37で、差し引きマイナス20点。 |
▲れらしうさんは宝物カード2枚(浅層、深層)の勝利点が13点。パワーカードの合計が28。祓われなかった狂気カード5枚と合わせて差し引きマイナス20点。 |
▲BFさんは宝物カード2枚(中層2枚)の勝利点が22点。パワーカードの合計が29。祓われなかった狂気カード2枚と合わせて差し引きマイナス9点。 |
▲支部長さんは宝物カード3枚(中層2枚、深層)の勝利点が44点。パワーカードの合計が46。祓われなかった狂気カード1枚と合わせて差し引きマイナス3点。 |
▲爆発は宝物カード2枚(浅層、深層)の勝利点が36点。パワーカードの合計が29。祓われなかった狂気カード9枚と合わせて差し引きマイナス2点。 |
BF:見事に全員がマイナス点だったため邪神は復活! 最もマイナス点が多かったれらしうさんとポーンさんによって、邪神を崇める教団が設立され、我々は従属の日々を送ることになりました!
れらしう&ポーン:イェーイ!!
支部長:プラマイ0点を狙っていたのに、なんてこった!
れらしう:でも最後の0点が、11で勝てないとは思わなかったですね。
ポーン:練習と合わせて2回勝てたー。
支部長:やりますね。
爆発:同点の場合は2人とも勝者ということですね。
BF:はいそうです。
ポーン:2人勝利はいいですね。
爆発:では今回のゲームを簡単に振り返ってみますか。
れらしう:まず、私が引いた“ルルイエ異本”が悲しみの異本だったんですよ。
▲最初に取り除かれた3枚の宝物カードは、浅層が11点、中層が16点、深層が15点でした。 |
ポーン:中央に近い数値ばかりで、あまり参考にならなかったってことですか?
BF:そうです。そういう時の“ルルイエ異本”は、得られる情報が少し微妙です。
支部長:確かに0点とか22点を見れたほうが、作戦を立てやすそうですね。
れらしう:そして、22点だと思って15で飛び込んだ深層の宝物カードが0点だったので、ここから邪神復活狙いに切り替えました。マイナス15点は取り返しがつかないので(笑)。
以降は、この時に22点を取ったように見せかけて周りにプレッシャーをかけつつ、できるだけ宝物カードを取って自分のマイナス点を増やそうと思ったのですが、全然取れませんでしたね。
爆発:マイナス15点を取った次のラウンドで、13を出したのはどんな理由でしょうか?
れらしう:宝物カードが13点だったので、自分が獲得しても差し引き0点でマイナス点が減らず、もし他の人に取られてもマイナス点を与えられるので13を出しました。
爆発:BFさんはいかがですか?
BF:私が最初に獲得した中層の宝物カードは、自分の予想では13点だったんですよ。でも実際は4点で一気にマイナス10点になって思わず声が出ちゃいました(笑)。
爆発:練習でも中層の宝物カードが4点でマイナス点になってましたよね(笑)。
BF:今日はそういう日みたいです(笑)。“黄金の蜂蜜酒”で親になって中層の宝物カードを見たときに9点だったんですよ。それで次に中層が出たときに親のポーンさんが12を出したので、13点くらいかなと。
勝負した理由はもう一つあって、13点だったら14を引いてマイナス1点。そして次の中層が18点だったら15を出せば親なので必ず勝ててプラス3点で、残り2ラウンドの狂気カードを合わせると最終的にちょうど0点になる計算だったんですよ。
だから勝負したのですが……4点とは思わなかった(笑)。
れらしう:大体の場合においては、それが正しい判断だと思うな。
BF:マイナス10点になった時点で邪神復活を狙ってもよかったんですが、18点をヘタな数値で渡すとプラス点で逃げ切る人が出そうで。
支部長:なるほどね。
BF:そういう事情もあって15で18点を取りましたが、もしかしたら最後の0点を15で取りにいった方が、勝てる可能性があったかも。
爆発:こちらは、まさか4ラウンド以降で一度も勝てないとは思いませんでしたよ! 22点を取ったときに15を出すのではなく、低い数値を出してから“時間遡行薬”を使えば、15を温存して22点を取ることができたのかなぁ。
BF:“時間遡行薬”を警戒して、誰かが14辺りを出したかもしれませんし、難しいところですね。
爆発:ポーンさんはどの辺りから邪神復活を狙いました?
ポーン:最後の方ですね。15と“旧き印”の両方をほかの人に潰されちゃって、仕方ないから最後の0点を全力で取ろうと。
れらしう:最後の0点は、11もあれば取れると思ったんですが、甘かったです。
ポーン:ちょうど12以上のカードを終盤まで複数残していたんですよ。
爆発:最後の宝物カードが0点と公開された時には「最後は全員が4を出して、親が0点を引き取ることになるんじゃ?」と思っていたのですが、そんなことはなかったですね。
BF:そこまでの勝利点がプラスだったら4を出しますけど、中途半端にマイナスな状況なら、0点はむしろ取りに行った方が勝ちにつながることが多いです。
爆発:支部長さんは0点まであと3点足りませんでしたが、いかがでしたか?
支部長:22点を17で取って5点得られたので、プラス点で終わることを狙ったんですけどね。
BF:22点を取る前の私が親のラウンドで、9点を14で取ったのが辛かったですね。これを含めると支部長さんが生還できるかはギリギリだなと思ってました。
支部長:11ラウンド目の中層の宝物カードが16点ならちょうど0点で終われたんですよ。16点は最初に取り除かれていたわけですが(笑)。
爆発:22点を取れると生き残りやすいけど、とはいえ簡単ではないってことですね。22点を取った僕も支部長さんもギリギリでマイナス点でしたし。
BF:22点を序盤で取れても、そのあとに勝てないと爆発さんみたいに狂気カードだけで大幅マイナスになってしまいますからね。
支部長:いいバランスです。おもしろかった!
ポーン:心理的な死角が生じやすいのがおもしろいですね。
れらしう:ありがとうございます。
支部長:場をコントロールするゲームはもともと好きなんですが、今回のメンバーだと全然コントロールできませんでした(笑)。
ポーン:ただでさえ、全員に公開される情報が少なくて人の動きが読みにくいですからね。
BF:誰がプラスで誰がマイナスなのかも、完璧に予想するのはなかなか難しいと思います。
今回は“BakaFire Party”さんの『フラムルルイエ』の模様をお届けしました。15分程度の短時間で濃密な情報戦を楽しめる傑作です! 興味を持たれた方は『フラムルルイエ』の公式サイトより委託頒布情報を確認してみてください。
また、11月22日開催の“ゲームマーケット2015秋”でも再版分が頒布されるようなので、会場で入手するのもアリです!
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