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2016年2月16日(火)

【電撃PS】SCE・山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』を全文掲載。テーマは“もっともっと前へ”

文:電撃PlayStation

 電撃PSで連載している山本正美氏のコラム『ナナメ上の雲』。ゲームプロデューサーならではの視点で綴られる日常を毎号掲載しています。

『ナナメ上の雲』

 ここでは、電撃PS Vol.606(2016年1月14日発売号)のコラムを全文掲載! 

第75回:もっともっと前へ

 皆さん、明けましておめでとうございます! 今年もどうぞよろしくお願いします。果たして2016年はどんな年になるかな~。僕たちの部としては、現在鋭意制作中の『The Tomorrow Children』と『New みんなのGOLF』で勝負をかけていく年になります。今後どんどん皆さんにも情報発信をしていくつもりですので、ぜひご期待ください。

 さて、ゲームの情報発信には色々と手法がありますが、ひとつのパターンとしてすっかり定番になってきたのが、ニコニコ動画に代表される“生放送”です。僕たちも数年前、プロモーション部隊と協力し、“SCE JAPAN Studio公式チャンネル”という番組を立ち上げました。

 タイトルリリース前や直後などに担当者が登場し、その魅力を視聴者の皆さんに伝えるということをやってきたわけですが、『ソウル・サクリファイス』や『Bloodborne』などでは、プロモ担当の北尾君と女優の結さんとのMCコンビのパワーによって、数々の伝説的番組も生まれてきました。きっとご覧いただいた方々も多いのではないかと思います。

 ゲーム業界には、有名なプロデューサーがたくさんいます。ご存じ『龍が如く』シリーズの名越さんや、『ストリートファイター』シリーズの小野さん。『鉄拳』シリーズの原田さんや『ダンガンロンパ』シリーズの寺澤さんなどなど。当然ゲームはプロデューサーだけでは作れないわけですが、クリエイターの方を統括してタイトルを世に押し出していくためには、プロデュースという仕事は不可欠。僕たちはプロデュースを生業とする部署として、そういった一流の方々と肩を並べるためにもっともっと頑張らねばならないと思っています。

 シビアな話で言えば、今現在JAPAN Studioのプロデューサーって誰がいる? となった場合に、ピンとくる知名度の人はいません。頑張りがちょっとずつ身を結びつつある人もいますが、まだまだ名前立ちしている人はいないのです。そう思った時に何が必要か。当たり前ですが、コンテンツそのものを面白くするのは大前提。その上で、“自分自身もコンテンツとして面白くなる”必要があるのです。

 僕は部のプロデューサーに、TwitterやFacebookなど、積極的にSNSを使えと言っています。なぜなら、自分の時間さえ投じれば、タダで情報発信ができるからです。プロモーションが宣伝にお金をかけてくれないと嘆く前に、今や自分自身でやれることはたくさんあります。

 それでも理由をつけてやらない人もいますが、ゲーム制作はかつてと違い、完成までにものすごい時間とお金が掛かります。少なくとも人生の何分の一かを投じたタイトルを、最初から最後まで愛してあげようよ! と思うわけですね。プロジェクトの始まりから終わりまで関わることができるのは、プロデューサーとディレクター、数名だけなんですから。

 自ら発信するということは、自分自身もコンテンツとして鍛えられることにもなる。タイトルに対する愛情が枯れないヤツが、結果的にいいプロデューサーになれるのです。

 そんな思いもあり、昨年末に、ニコ生にて『プロデューサー生放送!! SCE JAPAN Studio 2015大忘年会』という番組を配信しました。これまでの“SCE JAPAN Studio公式チャンネル”とは趣向を変えて、コンテンツの魅力もさることながら、プロデューサー自身のタレント性も伝えようというのがコンセプトで計画したのです。

 要は“お膳立て”された場に出ていくのではなく、自分達自身で“前に出る意識”を持とうぜ、と。言いだしっぺは、『The Tomorrow Children』と『New みんなのGOLF』のシニアプロデューサー長井伸樹で、自ら番組構成とMCを買って出るという前のめりぶり。僕も出演させてもらったのですが、これがまあ面白かった。

 先ほども書きましたが、ゲーム制作は完成するまでに時間がかかります。一方、生放送の番組は、準備期間もありますが、始まってしまえば2~3時間で一通りの成果が出ます。面白かったという感想やつまらなかったというコメントが、その場で帰ってくる。このリアクションまでの瞬発力から得た体験は、必ずやゲーム制作という本業にも活きてくる。そう感じました。

 始まりと終わりに素敵なムービーを用意してくれたビデオチーム、ノリのいいロゴを作ってくれたデザインチーム、その経験値から数々の知見を授けてくれたマーケチームに、この場を借りて御礼申し上げます。感謝感激です。ゲーム制作同様、我々だけではできないことだらけでしたが、一方で自分達にもこれくらいはできるという自信を培うことができました。

 ん……ふむふむ。何やら、長井伸樹が第2回目の放送を画策しているようです。この原稿を書いている時点ではまだ“予定”ですが、1月15日という噂もありますのでお時間ある方はぜひご覧ください~!

『ナナメ上の雲』

※このコラムは電撃PS Vol.606(2016年1月14日売り号)に掲載されたものです。

ソニー・コンピュータエンタテインメント JAPANスタジオ
エグゼクティブプロデューサー

山本正美
『ナナメ上の雲』

ソニー・コンピュータエンタテインメントJAPANスタジオエグゼクティブ・プロデュ ーサー。PS CAMP! にて『勇なま。』シリーズ、『TOKYO JUNGLE』などを手掛ける。現在『トゥモローチルドレン』『NewみんなのGOLF』を絶賛開発中。最新作、『Bloodborne The Old Hunters』好調発売中!

 Twitterアカウント:山本正美(@camp_masami)

 山本氏のコラムが読める電撃PlayStationは、毎月第2・第4木曜日に発売です。Kindleをはじめとする電子書籍ストアでも配信中ですので、興味を持った方はぜひお試しください!

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.608』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2016年2月10日
■定価:657円+税
 
■『電撃PlayStation Vol.608』の購入はこちら
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