2016年2月17日(水)
『グリムノーツ』“プリンスキッス・エフェクト”シナリオ集。白雪姫たちが活躍!
スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ』のキャラクターイベント“プリンスキッス・エフェクト”のシナリオ集を掲載します。
『グリムノーツ』は、世界中のさまざまな童話を題材にした“新解釈”RPGです。与えられた運命を演じることを定められた世界で、演じる役割を与えられなかった主人公たち。
彼らが“役割を演じる”ことと“役割を与えられない”ということに対して立ち向かう、RPGの意味を問いかけるゲームとなっています。
“プリンスキッス・エフェクト”は1月31日から2月15日まで開催されたキャラクターイベントで、白雪姫、毒林檎の王妃、美女ラ・ベル、野獣ラ・ベットが登場して、冒険をサポートしてくれました。
◆ストーリー
『白雪姫』『美女と野獣』の2つの物語をモチーフにした想区に現れた主人公たち。
本来王子のキスで目覚めるはずの白雪姫に主人公が人工呼吸を施してしまったために……。
間違えられた王子様
主人公:―――カオステラー『調律』の旅を続ける僕たちは道の途中、とある想区に入り込む。
レイナによると、カオステラーとはなんの関係もない平和な想区とのことで、僕たちものんびり先を進みながら、この想区を通り抜けようとしていた。
一人の女の子が倒れているのを、見つけるまでは―――。
◆◆◆小人の森◆◆◆
主人公:……どうしよう、この子、息をしていない!
レイナ:お、落ち着いて、《主人公》。こういうときは医者よ、医者を呼ばなくちゃ…
いま、私が町まで行って誰か連れてくる!
タオ:落ち着け、お嬢。そっちのほうがよっぽど危険だぞ(迷子的な意味で)。
まだ手を打てば、息を吹き返すかもしれんが…
主人公:よ、よし、わかった。
…だったらこれで…!
レイナ:え? 《主人公》、どうして顔を近付けて…って、口づけ!?
寝ている女の子になにしてるの!
シェイン:違います、姉御。あれは人工呼吸ですよ。
手際いいですね、新入りさん。素人の手つきとは思えないくらいです
主人公:昔っ、近所にっ、住んでたっ、お姉さんからっ、教えてっ、もらってっ、
こうしてっ、胸を押してっ、息をっ、吹き込めばっ、目覚めるっ、はずっ、
????(白雪姫):…………ん、んん?
主人公:あ、気がついた! よかった、大丈夫か―――
????(白雪姫):王子さま……おまちしておりました、王子さま――――!!
全員:えっ?
????(白雪姫):はじめまして、わたし、白雪姫といいます!
ようやく迎えに来てくれたのですね、王子さま。ああ、なんて優しいお顔立ち!
ケッコン式の段取りはどうしますか?
日程は? ご招待する方は? お料理は? 会場は?
この日のためにいろいろプランを考えていて―――
主人公:ま、待ってよ! 白雪姫、でいんだよね? 僕は王子さまじゃないって!
みんなも黙ってないで止めてよ!
タオ:坊主。止めたいのはやまやまなんだが、どうやらそれどころじゃないみたいだぞ。
シェイン:…どういうことですか、姉御。この想区にカオステラーはいないはずじゃなかったのですか?
レイナ:…どうやらマズいことに巻き込まれたみたいね。
とにかくここは退却しましょう! ほら、白雪姫も一緒に!
◆◆◆バトル終了:小人の森◆◆◆
主人公:―――白雪姫とともにヴィランを追い払った僕たちはひとまず安全なところまで逃げる。
そこで僕たちは白雪姫から詳しい事情を聞かされた。白雪姫がたどる、運命の結末についても―――
レイナ:つまり、あなたは毒リンゴを食べて、眠りについた。
けど、王子様のキスによってあなたは目覚め、やがて結婚を果たす…それがあなたの運命なのね?
白雪姫:そうだよ! わたしの『運命の書』にはそう書いてあったもの。
主人公:で、その白雪姫を起こすキスを王子さまの代わりに僕が人工呼吸でしちゃったから、運命の筋書きが変わってしまった、と…
シェイン:そういうことです。そして狂った筋書きを修正するためにストーリーテラーは強引な手段に打って出た、というのが現在の状況といったところですかね。
レイナ:つまりあのヴィランたちはカオステラーではなく、通常のストーリーテラーが繰り出した尖兵ってこと。
だから『調律』で止めることもできないわ。
もともとカオステラーとストーリーテラーはおなじ存在だから、ヴィランを発生させても不思議ではないけれど。まさかこんなことになるとはね…
タオ:今回ばかりは坊主のお人好しが仇になったな。
こりゃ、とっととこの想区を出るのが得策、なんだろうけど…
白雪姫:やだっ。《主人公》さまと離れるなんて、絶対にいやっ!! キスだってしたもん!
わたしのハジメテあげたんだから、責任とって!
シェイン:すごい。台詞だけ聞くと新入りさん、完全にクソ王子ですね。よ、クソ王子サマ。
主人公:やめてくれないかな! 変な呼称、定着させようとするの!
タオ:ま、どっちにしろ助けちまったからには、最後まで責任取るしかあるまい。どうするお嬢?
レイナ:…この子の運命がどうなっているか知らないけど、こんな場所に小さい子を置いていくなんて、できないでしょ。
本物の王子を見つけられれば、上出来だけど…せめて近くの町までこの子を連れて行くわよ。
白雪姫:わーい! みなさん、《主人公》さま、ふつつかものですがよろしくおねがいします!
主人公:ははは…
◆◆◆王妃の間◆◆◆
毒林檎の王妃:白雪姫は予定どおりに毒林檎を食べて、永遠の眠りについた。
これで、鏡の告げた世界で一番美しい女性の『ひとり』は消えた。
あともうひとり…ラ・ベルを消せば、妾がふたたび、世界で一番美しい女性…そうだろ、鏡よ…ふふふ…
ひとりぼっちの野獣
◆◆◆獣の森◆◆◆
主人公:白雪姫ちゃん、大丈夫? ずいぶん眠そうだけど。
白雪姫:大丈夫です、《主人公》さま…これくらい…ぜんぜん、へっちゃら…
シェイン:もう良い子は寝る時間ですからね。そろそろ休める場所を見つけた方がよさそうですけど…
ところで、タオ兄。気づいてます?
タオ:ああ。さっきから誰かにつけられてる。
主人公:…まさかヴィラン?
レイナ:違うと思うわ。ヴィランだったら、尾行なんてせず、すぐに襲いかかってくると思うけど…
タオ:おーい、オレたちに用があんだろ?
隠れてないで、さっさと出てきたらどうなんだ?
????(野獣ラ・ベット):ふん。ずいぶん大きな口を叩くじゃないか、人間。
白雪姫:おおきな人…オオカミさん、ではないですよね…
主人公:たぶん…ヴィランでもなさそうだけど…
野獣ラ・ベット:オオカミでも、ヴィランとやらでもない。私にはラ・ベットという名前がある。
もっとも『野獣』と呼ばれることのほうが多いがな。
私の姿を見て、恐れないとは珍しい旅人だな。
それで? 我が領地にやってきて、いったい、何の用だ?
レイナ:私たち、休めるところを探しているの。せめて一晩だけ、宿を貸していただくことはできないかしら。
野獣ラ・ベット:…昔おなじことを言った旅人を泊めてやったら、ひどい裏切りにあった。
人間は信用できぬ。さっさと立ち去れ。
シェイン:じゃあ、せめてこの近くに町とかないですかね。王子サマのいるようなお城もセットだと、最高なんですけど…
野獣ラ・ベット:…城? …王子?
お前たち、城に行きたいのか…
いいだろう、旅人よ。我が頼みを聞き入れるなら、屋敷に案内してやらんでもない。
主人公:本当ですか!? ありがとうございます、ベットさん!
ほら、白雪姫。もう少しだから頑張って。
白雪姫:うう…わかりましたぁ…ふぁ…
野獣ラ・ベット:こっちだ、ついてこい。道中はなにが出るかわからんから、用心しておけ。
◆◆◆バトル後:薔薇の屋敷◆◆◆
主人公:―――僕たちはラ・ベットの屋敷に案内された。そこは美しい薔薇が咲き誇る屋敷だった。
僕たちを屋敷に招待したラ・ベットの頼みごと。
それは、隣国に向かったまま、屋敷に帰ってこないという、ひとりの女性の様子を確認して欲しいというものだった―――
レイナ:ラ・ベル…ええと、ベルさんと呼べばいいのかしら。あなたはその人を探しているのね?
野獣ラ・ベット:探しているわけではない。ただ、城から来た手紙に応じて、この屋敷を去ったまま帰らないのでな。
どうしているか、すこし気になっただけだ。
おおかた、怪物と一緒に過ごす日に耐えられなくなったのだろう。
去るなら去るで勝手にすればいいが、ま、念のためにな。
タオ:…なんだかこの想区、面倒くさそうな奴ばかり出てくるな。いったいどういう物語が原典なんだ?
レイナ:というよりも世界観が噛み合ってない感じかしら?
もしかするとここは、ストーリーテラーが複数の物語を合わせて生み出した想区なのかも…
白雪姫:ベルさま…ベルさま…
主人公:白雪姫、無理に起きてなくてもいいんだよ?
白雪姫:ううん、ご心配なさらずともへーきです。それよりもそのベルさまって、もしかして、
今度、隣国の第一王子と結婚するっていう、ベルさまのことじゃ―――
野獣ラ・ベット:け、けけけけけ、結婚だとおおおおおおお!?
白雪姫:きゃーー!! わ。わわたし、なにか、変なこと言いました!?
シェイン:よくわかりませんが、野獣さんのメンタルにクリティカルヒットしたのは間違いなさそうですね。
野獣ラ・ベット:ベル…おお、なぜだ、ベルよ…
私の求婚をあれだけ断り続けていたというのに…!
…こうしてはいられん。私も行くぞ、旅人たちよ!
レイナ:え。あなたも行くの?
野獣ラ・ベット:当然だっ! ベルは誰にも渡さーん!!
勝手に出て行くなんて許さん、許さんぞ!! さぁ、夜が明けたら出発だぁ!!
主人公:…僕たち、もしかしてどんどんこの想区の筋書きをおかしな方向に歪めちゃってる?
レイナ:まずいわねー。この状況、ひじょーにマズイ。
マリッジブルーの美女
◆◆◆隣国の城下町◆◆◆
主人公:―――翌朝、僕たちはベットも一緒になって隣国のお城へ到着した。
城下町は王子とベルの結婚話でもちきり。僕たちはなんとかベルに会えないか、探りを入れ始める―――
シェイン:どうやら、ベルさんは花嫁修業のために、草原の小屋に隔離されているそうですね。とても警備が厳重とのことですが…
野獣ラ・ベット:ふん! それくらい、我が剛力でねじ伏せてくれるっ…!
レイナ:お願いだから、ここで騒ぎを起こさないで。
さて、どうやって近づこうかしら。
白雪姫:あれ、あそこにいるの…
主人公:うん? 白雪姫、どうしたの?
白雪姫:…やっぱり、間違いない!
主人公:あ、待ってよ。白雪姫!
毒林檎の王妃:(ふっふっふっ、ラ・ベル、お前の手に毒のリンゴを渡してやったわ…すべては妾の『運命の書』の記述どおりに…)
(さぁ、ラ・ベル。はやく毒リンゴを口にし、永遠の眠りにつきなさい…。そうすれば。妾はふたたび世界でもっとも美しい女に―――)
白雪姫:お義母さん、おひさしぶり! お元気でしたか?
毒林檎の王妃:おや、白雪姫。ずいぶんとお元気そうで―――
し、しししし、白雪姫!? どうしてここに!?
白雪姫:はい、じつはベルさまにごあいさつに来たのですが…お義母さんこそ、どうしてここに?
毒林檎の王妃:え、いや、妾は…
(なぜ白雪姫がラ。ベルに会いに…? このままでは、ラ・ベルに渡したリンゴの正体を白雪姫に気づかれるかもしれぬ…こうなったら…)
…じつは妾もベル様に挨拶に参ったのです。良い機会です、白雪姫。あなたも国の代表として妾とともに来るといいでしょう。
白雪姫:ありがとうございます、お義母さん! そうですよね、国の代表ですからね。
じゃあ、みなさんもご一緒にお願いします!
毒林檎の王妃:みなさん?
白雪姫:はい、わたしがとてもお世話になった方々です!
《主人公》さまー! こちらです! お義母さんがベルさまに会わせてくれるって!
毒林檎の王妃:(ひぃ!? なんかいっぱい来た!? 人間じゃないのまで来た!? ええい、仕方ないっ!!)
良いでしょう、みなさま。ラ・ベル様と面会できるように取り計らいます。妾のあとについてきてください。
◆◆◆バトル終了後:城近くの草原◆◆◆
ラ・ベル:もうあの薔薇の屋敷から離れて、ひと月。きっとあの人も心配しているわ…結局、お父様を説得できずここまできてしまった…
さっきお婆さんから受け取ったこのリンゴ。あの人なら一口でぺろりと食べてしまいそうね…
…私ったら、なにを言ってるのかしら。もういまの私に、ベットと合わせる顔なんて、あるわけが…
野獣ラ・ベット:ベル!!
ラ・ベル:うそ…なんで…ベット、どうしてあなたがここに…!
野獣ラ・ベット:…ベル、どうしてなのだ。君は私ではなく、王子を選ぶというのか!
ラ・ベル:…お父様に頼まれたの。王子が私をとても気に入ってくださっているから結婚しろって。
そのほうが私の幸せにもつながるからって。
野獣ラ・ベット:あの男は、どこまで勝手なことを…! 私の薔薇だけでなく、ベルまでも奪うというのか!
ラ・ベル:それはあなたも一緒でしょ…薔薇の代償に私を無理やり屋敷に連れて来させて、妻にしようと、何度も何度も求婚して…
野獣ラ・ベット:それでも私は君を愛している! 君だって、おなじ気持ちのはずだ!
『運命の書』にも、そう記されているのだから!
ラ・ベル:……!
…帰ってください。
野獣ラ・ベット:ベル?
ラ・ベル:帰って! あなたは私を愛してなんていない。
ただ、『運命の書』に書いてあるから、それに従って行動しているだけなのよ!
野獣ラ・ベット:ち、違う! 私は…!
ラ・ベル:…このリンゴ、よろしければ、どうぞ。もう食べる気もなくしましたので。
それではさようなら。もう二度と、あなたと会うことはないでしょう。
野獣ラ・ベット:待ってくれ、ベル! ベル…ベル…
なにがリンゴだ…こんなモノ……!!
美女と野獣
◆◆◆城近くの草原◆◆◆
レイナ:あら? 白雪姫は一緒じゃないの? 『王子サマ』。
主人公:もう、からかわないでよ…白雪姫ならいま、王妃さまと一緒だよ。
…ねぇ、ここにはカオステラーはいないのに、なんでこんなにみんな、本来の運命から外れた行動をとっちゃってるのかな?
レイナ:良くも悪くも、『空白の書』の持ち主はそこにいるだけで、想区に強く影響を与える。その持ち主が外から来た者なら特にね。
想区の住民が『運命の書』を無視して行動するなんて普通は絶対にありえない。
そのありえないことがあなたのキスを引き金に引き起こされている。
はやくこの想区から撤退しないと、これから、なにが起きるか予想がつかない―――
ラ・ベル:誰かー! 誰か、来て!!
主人公:あなたは、もしかしてベルさん? どうしたんですか? あれ、ベットは一緒じゃ…
ラ・ベル:あなたたち、ベットの知り合いなの!?
ベットが…あの人が…急に獣のように暴れ始めて…!
レイナ:なんですって!? ベットはいまどこに!?
ラ・ベル:街に向かっていったわ…私の言葉なんて全然聞こえてないみたいで…このままじゃ、あの人が本物の怪物になっちゃう…!
主人公:大丈夫、僕たちがついているから! いこう、みんな!
ラ・ベル:私も一緒に行くわ! あの人を、止めなくちゃ…!
◆◆◆バトル終了後:隣国の城下町◆◆◆
野獣ラ・ベット:…う、ううっ。私は、なにを…
ラ・ベル:ベット! ああ、ベット…私のこと、わかる…?
野獣ラ・ベット:ベル…どうしたんだ…もう二度と会わないんじゃなかったのか…君には軽蔑されたものだとばかり…
ラ・ベル:私に軽蔑されたからどうだっていうの! 私を本当に愛しているなら、そんなことで離れたりしないで…!
野獣ラ・ベット:…すまない。私はただ、一緒にいたかっただけなんだ…薔薇の世話をしてくれる君の姿を、ずっとそばで見ていたかったんだ…
ラ・ベル:…ごめんなさい、謝るのは私のほう。いつも周りに流されてばかりで…こんなにもあなたを傷つけてしまった…
まずは身体を癒して…それから一緒に帰りましょう…薔薇の咲き誇る、あなたの素敵なお屋敷に。
野獣ラ・ベット:ああ、帰ろう…私たちの屋敷に…
◆◆◆場面転換:隣国の城下町◆◆◆
シェイン:ひとまず野獣さんはベルさんが事情を話して、施療院で治療を受けるそうです。幸い怪我人は出ずに済みましたが…
タオ:野獣のおっさんが暴れたのは、あのお嬢ちゃんからもらったリンゴを食ったのがきっかけ…それってつまり、あの姫さんが食べた毒リンゴと…
レイナ:たぶんおなじモノね。しかも、そのリンゴもベルは知らない老婆から貰ったと言ってたわ。
主人公:つまり、もともと毒リンゴはベルが食べるはずだったってこと? けど、僕たちがベットを連れてきたから、運命が大きく変わってしまった…
レイナ:そういうことよ。もはやこの想区の運命の歪みは決定的といってもいいわ。
…もしかしたら、もう私たちが去るだけで解決できる状況ではなくなってしまったのかも。
アップル・ファタール
◆◆◆隣国の城下町(夜)◆◆◆
白雪姫:ベットさまも、ベルさまも、無事でよかったぁ…はやくベットさまもよくなるといいですね。
ラ・ベル:ありがとうございます、白雪姫殿下…王妃殿下もわざわざお見舞いにお越し下さって…ほんとうに恐れ多いこと…
毒林檎の王妃:よいのですよ、ラ・ベル様。ラ・ベット殿には姫も大変世話になりましたから。早く良くなるといいですね…
(…なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなのっ!! なぜラ・ベルではなく、あの怪物がリンゴを口にしているのっ!!)
(先ほどから『運命の書』にないことばかり起きて…このまま妾は野望を達成できないまま、あの恥辱に満ちた結末を迎えるというの!?)
(いや…このまま、白雪姫の前で、鉄の靴を履いて踊り続けるなんて、絶対にいやぁ!!)
(こうなったら、いますぐにでも白雪姫とラ・ベルに毒リンゴを食べさせて、妾の運命の辻褄を合わせてしまえば…!)
白雪姫:――!? お義母さん! あれを見て!?
ヴィラン:クル! クル! クルルルルアアアアア!!
毒林檎の王妃:な…化け物たちが、あんなにたくさん…! いったいどこから現れて…!
主人公:白雪姫! ベル! 王妃様! みんな無事っ!?
白雪姫:《主人公》さま! な、なにが起こっているのでですか!?
レイナ:嫌な予感が当たったわ…! ストーリーテラーは私たちだけじゃなく、運命から外れた登場人物たちも消し去るつもりみたい!
主人公:ごめんね、白雪姫。僕が余計なことをしたばかりに、こんなことになってしまって。
責任はちゃんと取る。君たちは、僕らが必ず守る!
白雪姫:《主人公》さま…! だったら、わたしも戦う! 守られてばかりのお姫様なんかじゃないもん!
ラ・ベル:それは私もおなじ…あの人と薔薇の屋敷へ帰るためにも、こんなところで倒れてなんてられないわ!
毒林檎の王妃:(…いったい、なにが起きているのか、さっぱりわからないけれども、盛り上がっているようだし、ここはひとまず…!)
王家たるモノ、怪物に遅れを取るわけには参りません。妾も手を貸しますよ!
シェイン:いよいよ正念場って感じみたいですね。
タオ:よっしゃーー!! かかってこい、ヴィランども! オレたちでまとめてぶっ飛ばしてやるよ!
◆◆◆バトル終了後:隣国の城下町(夜)◆◆◆
白雪姫:お義母さん、すごい弓の腕前! そんなにお強かったんですね!
毒林檎の王妃:これくらい大したものではありません。白雪姫、あなたが持つ輝きに比べたら…
(そう、魔法の鏡は言ったわ。白雪姫はやがて世界で最も清らかで美しい女性になると…だから凡人である妾は嫉妬した)
(白雪姫とラ・ベル、運命に愛された彼女たちの光を汚し、地に堕としたかったの。そのためにどんな罰を受けることになろうとも、かまわなかった…)
(だって、妾は運命に愛されなかった暗闇。それがストーリーテラーから与えられた、妾の役割であり、生き方なのだから…)
白雪姫:そんなことないです! お義母さんはとても強くて、美しくて、そして、とってもおやさしい方です!
毒林檎の王妃:えっ…?
白雪姫:お義母さんはわたしのあこがれです。血がつながってないわたしを、愛してくれたお義母さんのような人に、わたしはなりたいのです。
だから、わたしは、お義母さんのこと、とっても、とーっても、大好きなんですから!
毒林檎の王妃:…馬鹿なことを言っていないで、いまは戦いに集中なさい。まだ、怪物の襲撃は終わっていませんよ。
白雪姫:そうでした! ごめんなさい! あ、わたし、《主人公》さまのご様子を見てきますね!
毒林檎の王妃:…本当に馬鹿な子。あなたみたいな光が、妾のような暗闇に憧れてどうするのよ。
…いいわ。どうせ妾は鉄の靴で踊りながら、地獄に堕ちゆくさだめのこの身。
せめていまだけは、愛する娘と共に運命に抗わせてもらうわよ!
プリンスキッス・エンド
◆◆◆隣国の城◆◆◆
レイナ:街にいるのはあらかた倒したけど、まさか城にまで侵入しているなんて…本当に見境なしじゃないの!
シェイン:ひょっとしたらシェインたちの知らないところで、運命から外れた行動を取った人が、こっちにもいたのかもしれないですね。
タオ:ったく、オレも故郷ではだいぶ暴れたほうだが、こんなのは初めてだぞ!
よほどヨソもんが嫌いらしいなぁ、ここのストーリーテラーさんはぁ!
主人公:このままじゃキリがない…! くそ、いったいどうしたら…!
????(野獣ラ・ベット):諦めるなっ!
主人公:ベット! それにみんな! もう動いて平気なの!?
野獣ラ・ベット:お前たちには心配をかけたな。これはお前たちだけでなく、我々に課せられた運命の試練なのだ。共に立ち向かうぞ!
ベル、一緒に来てくれるな?
ラ・ベル:もちろん。あなたとみなさんが一緒なら、どんな試練だって乗り越えられる!
毒林檎の王妃:『運命の書』には書かれていなかった、このさだめも、なかなか楽しいものね。まだ怪物の襲撃は終わっていませんよ。
白雪姫:《主人公》さま。わたしもついています。最後まで戦いますから!
主人公:ありがとう、みんな…それじゃあ、いこう! この試練をみんなの手で乗り越えるんだ!
◆◆◆バトル終了後:城近くの草原(夜)◆◆◆
主人公:じゃあ、白雪姫、ベット、ベル、それに王妃も。僕はもう出発するね。
レイナ:ごめんなさい、私たちのせいで、この想区にも迷惑をかけてしまって…
野獣ラ・ベット:気にするな。なにが起こったか、じつはよく分かっていないが…ひとまず収まるべきところにどうやら収まりそうだ。
ラ・ベル:また、いつでも遊びに来てね。薔薇の屋敷でベットとお待ちしていますから。
白雪姫:《主人公》さま…
主人公:ごめん、白雪姫。今度こそお別れだよ。最後まで責任を取れなくてごめんね。
白雪姫:…わたし、ほんとうはわかってた。《主人公》さまが運命の王子さまじゃないって。
でも、《主人公》さまが、その、とてもステキな人だったから、わたし、まいあがってしまって…本当にごめんなさい!
主人公:白雪姫。きっと君には、僕よりももっと素敵な王子様が現れる。君に与えられた運命を信じて待つんだよ、いいね。
白雪姫:うん…わかりました…
毒林檎の王妃:そうですよ。白雪姫。あなたには輝ける未来が待っているのです。
妾もそのための協力は惜しまないつもりですから―――
白雪姫:そうですね。ケッコンしたら、お義母さんに鉄の靴ダンスを踊ってもらわないといけないですし。
毒林檎の王妃:えっ?
白雪姫:悪いことのおしおきは必要です。だって毒リンゴを渡したのは、お義母さんですよね? 『運命の書』にはそう書いてありましたよ?
毒林檎の王妃:……白雪姫。あなた、妾のことが好きなのでは?
白雪姫:お義母さん。それはそれ、これはこれ。
シェイン:新入りさん。またややこしいことが起こる前に、早く。
タオ:そうだな。まーたストーリーテラーの機嫌を損ねちまったら、面倒だからな。
主人公:…それじゃあ。みんな、お元気で。
白雪姫:さようなら、《主人公》さま。さようなら、わたしの王子さま…
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