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2016年4月2日(土)

空の戦いを制するものは海を制す!? 艦載機のより詳しい使い方に迫る【WoWS特集】

文:田中尚道

 早いもので、もう3月も終わりに。だんだんと暖かくなってきていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか? 春は、新しいことを始めるのにいい季節です。まだ『World of Warships』を遊んだことがないって人も、この記事を開いたよしみ(?)でゲームをプレイしてみてはいかがでしょうか?

 さて今回は、空母の特集記事の続きにあたります。

 太平洋戦争を含む第二次世界大戦は、機動艦隊における空母の意味を大きく上げることになったと前回の記事で書きましたが、さらに突き詰めれば、艦載航空機こそが海戦の主役と言えます。

 そこで今回は、同Tierでの空母艦載機の戦力比較をしてみます。艦載機の強さは単純な打撃力ばかりではありません。速度や抗堪性(“こうたんせい”と読みます。詳しくは後ほど)といった要素も、継戦能力を考えれば非常に重要な要素なのです。

 艦載機には戦闘機(FT)、急降下爆撃機(DB)、雷撃機(TB)の3種類があるのは、前回の記事でも紹介した通り。今回は、各戦闘機をスペックも含めてより細かく見ていきたいと思います。まずは艦載機にまつわるステータスの意味から。

『World of Warships』
▲巡航速度、抗堪性、弾薬、秒間平均ダメージとあるのがわかるでしょうか? これが艦載機のステータスです。

【巡航速度】航空機の速度。すべての航空機に設定されています。速度が速ければ速いほど目的地に到達する時間が短くなり、さらに敵に追いつきやすく、敵から逃げやすいことを意味します。非常に重要な数値です。

 爆撃機、雷撃機は爆弾や魚雷を発射すると機体が軽くなり速度が上がります。艦載機を含む海軍機の速度は慣習的に艦と同じくノットで表します。1ノットは1時間で1海里進む速度のことで、1海里は1852m。つまり時速1.852kmです。

【抗堪性】簡単に言うと機体の防御力です。この数値が高いほど攻撃を受けた際に生存する確率が上がります。中隊の数が減ると攻撃力が下がるので、戦闘機に襲われた時や艦の対空砲火を受けてなおどれだけ攻撃力を維持できるかを表した数値になります。

 続いて、戦闘機(FT)、急降下爆撃機(DB)、雷撃機(TB)それぞれのスペックについてより詳しく見ていきましょう。

・戦闘機(FT)固有の数値

【弾薬】戦闘機には弾薬数が設定されており、これが0になるまで航空機に攻撃を続けることができます。逆に爆撃機、雷撃機は1度の攻撃ですべてを使い切ってしまうのでこの数値がありません。また、爆撃機、雷撃機は防御兵装を持っていますが、こちらには弾薬数が設定されておらず、戦闘機に攻撃されれば弾切れすることなく自動で反撃します。

【秒間平均ダメージ】戦闘機が持つ機銃、機関砲によって1秒間にどれだけ敵航空機にダメージを与えられるかを表しています。戦闘機の攻撃力の根拠になります。

・雷撃機(TB)固有の数値

『World of Warships』

【魚雷最大ダメージ】雷撃機の持つ魚雷が命中した時に、艦艇にどれだけの最大ダメージを与えられるかを示しています。本作には不発弾という概念がないため命中すれば艦にダメージを与えられますが、艦の防御力などで数値が減衰することがあります。

【雷速】航空魚雷の速さ。雷速が速ければそれだけ回避行動の影響が減り、命中率が上がります。

【魚雷射程】航空魚雷の射程。雷撃機は無論、目標艦に対して射程内で雷撃を行いますが、これが回避された場合、魚雷は攻撃力を保持したまま直進します。この状態で蝕雷すると敵味方の別なく艦にダメージを与えます。

・急降下爆撃機(DB)固有の数値

『World of Warships』

【爆弾着弾範囲】小隊が目標に対して急降下爆撃を行った際の爆弾の散布域。実際であれば、航空機の性能と搭乗員の技量が影響する数値ですが、本作では爆弾にその数値が固定されています。爆弾が大型になるほど散布域は広くなります。

【爆弾最大ダメージ】爆弾が目標に命中した場合の最大ダメージ量。魚雷に比べれば数値は低いものの、駆逐艦程度なら撃沈に持ちこめるだけの威力を持っています。また航空爆弾は火災を引き起こしやすく、火災による追加ダメージも見込めます。

 さて、ここまでが航空機の戦力を理解するうえで重要なパラメータの説明になります。それでは、各Tier帯の艦載機戦力を比較してみましょう。

TierIVの空母艦載機を比較する

●日本 鳳翔

戦闘機

『World of Warships』

(初期)
TierIII Nakajima A4N 九五式艦上戦闘機
速度……
139ノット 抗堪性……640 弾薬……148秒間平均ダメージ23

『World of Warships』

(後期)
TierV Mistubishi A5M4 九六式艦上戦闘機
速度……
154ノット 抗堪性……990 弾薬……78秒間平均ダメージ39

雷撃機

『World of Warships』

(初期)
TierIII Mistubishi B1M 一三式艦上攻撃機
速度……
101ノット 抗堪性……610 搭載魚雷……Type91 mod.1A 魚雷最大ダメージ……8567 雷速……35ノット 魚雷射程……3.4km

『World of Warships』

(後期)
TierIV Yokosuka B4Y 九六式艦上攻撃機
速度……
115ノット 抗堪性……840 搭載魚雷……Type91 mod.1A 魚雷最大ダメージ……8567 雷速……35ノット 魚雷射程……3.4km

●アメリカ LANGLEY

『World of Warships』

戦闘機

(初期)
TierIII Boeing F4B
速度……
132ノット 抗堪性……600 弾薬……170秒間平均ダメージ23

『World of Warships』

(後期)
TierIV Grumman F3F フライング・バレル
速度……
142ノット 抗堪性……820 弾薬……118秒間平均ダメージ32

雷撃機

『World of Warships』

(初期)
TierIII Martin T3M
速度……
94ノット 抗堪性……630 搭載魚雷……Bliss Leavitt Mk7 mod.5A 魚雷最大ダメージ……8500 雷速……35ノット 魚雷射程……3.2km

『World of Warships』

(後期)
TierIV Martin T4M
速度……
97ノット 抗堪性……800 搭載魚雷……Bliss Leavitt Mk7 mod.5A 魚雷最大ダメージ……8500 雷速……35ノット 魚雷射程……3.2km

急降下爆撃機

『World of Warships』

(初期)
TierIII Martin BM2
速度……
110ノット 抗堪性……640 爆弾着弾範囲……97-243m 搭載爆弾……250lb ANM57 爆弾最大ダメージ……5400

『World of Warships』

(後期)
TierIII Vought SBU
速度……
122ノット 抗堪性……640 爆弾着弾範囲……97-243m 搭載爆弾……250lb ANM57 爆弾最大ダメージ……5400

 艦船と同様に、艦載機にもTierが振られています。Tierは同じような性能のものをカテゴライズするため、同Tierなら性能はそう変わりません。比較すると初期状態であれば九五艦戦とF4Bはほぼ互角。

 ただし、米艦載機は6機で一個中隊を編成するため、日本艦載機の4機一個中隊に比べれば単純計算で1.5倍の戦闘力を持つことになります。速度は日本艦戦に分があり、九五艦戦であってもラングレーの後期艦戦であるF3Fとの速度差は3ノットと近接しています。足の速さで生存性を確保しましょう。逆に米艦戦は特に苦手なく攻撃することができます。

 一方、雷撃機は日米ともに低速で、捕捉されると逃げるのが難しくなっています。特に米雷撃機は後期艦上攻撃機のT4Mでも速度が100ノットもありません……。前線に到達するのも一苦労ですが、逃げるのも苦手。「ここぞ!」という局面まで前線から下げておきましょう。

 急降下爆撃機については、鳳翔は積んでいません。米爆撃機は初期艦爆も後期艦爆も同じくTierIIIですが、後期のSBUは速度が122ノットで爆弾投下後はさらに速度が上がります。この速度は敵艦戦の誘い込みや偵察に能力を発揮します。

『World of Warships』
▲味方巡洋艦を狙う雷撃機(一三式)を艦戦で挟み撃ち。戦闘機に追われると雷撃位置を確保できず、艦上攻撃機は攻撃できません。
『World of Warships』
▲逆に敵戦闘機に追われる艦上攻撃機。魚雷を投棄して機体を軽くし、近場の大型艦(巡洋艦以上)の防空圏に逃げましょう。

 逃げる際に注意するといいのが、巡洋艦・戦艦より駆逐艦、日本艦よりアメリカ艦のほうへ逃げること。理由は2つ。大型艦ほど防空火力が強力だから。そして日本艦は防空能力が貧弱なため支援を受けづらいからです。

TierV空母の艦載機を比較する

●日本 瑞鳳

戦闘機

(初期)
TierV Mistubishi A5M4 九六式艦上戦闘機
速度……
154ノット 抗堪性……990 弾薬……78秒間平均ダメージ39

『World of Warships』

(後期)
TierVI Mistubishi A6M2 零式艦上戦闘機二一型
速度……
162ノット 抗堪性……1452 弾薬……60秒間平均ダメージ48

雷撃機

(初期)
TierIV Yokosuka B4Y 九六式艦上攻撃機
速度……
115ノット 抗堪性……840 搭載魚雷……Type91 mod.1A 魚雷最大ダメージ……8567 雷速……35ノット 魚雷射程……3.4km

『World of Warships』

(後期)
TierVI Nakajima B5N2 九七式艦上攻撃機
速度……
129ノット 抗堪性……1210 搭載魚雷……Type91 mod.1A 魚雷最大ダメージ……8567 雷速……35ノット 魚雷射程……3.4km

急降下爆撃機

『World of Warships』

TierV Aichi D1A2 九四式艦上爆撃機
速度……
120ノット 抗堪性……990 爆弾着弾範囲……134m-335m 搭載爆弾……Type99 N25 mod.1 爆弾最大ダメージ……4600

●アメリカ BOGUE

戦闘機

『World of Warships』

(初期)
TierIV Grumman F4F-3 ワイルドキャット
速度……
157ノット 抗堪性……900 弾薬……114 秒間最大ダメージ……33

『World of Warships』

(中期)
TierV GM FM-2
速度……
153ノット 抗堪性……1070 弾薬……85 秒間最大ダメージ……40

『World of Warships』

(後期)
TierV Grumman F4F-4 ワイルドキャット
速度……
156ノット 抗堪性……1090 弾薬……83 秒間最大ダメージ……43

雷撃機

『World of Warships』

TierVI Douglas TBD デヴァステイター
速度……
121ノット 抗堪性……1210 搭載魚雷……Mk13 mod.0A 魚雷最大ダメージ……9867 雷速……34ノット 魚雷射程……3.7km

急降下爆撃機

『World of Warships』

TierV Douglas SBD2 ドーントレス
速度……
133ノット 抗堪性……1070 爆弾着弾範囲……142-355m 搭載爆弾……500lb ANM64 爆弾最大ダメージ……7500

 TierVになるとグっと艦載機性能が上がります。特に艦上攻撃機、艦爆の速度が大幅に上がるのは複葉機から単葉機に変わるからです。

 滑走距離が短い軽空母の場合、航空機が揚力を稼ぐために複数枚の翼を持つことが一番手っ取り早い方法だったのですが、エンジン出力が上がることで離陸速度を高め必要な揚力を得ることができるようになりました。低速で揚力を稼げるということは逆に言えば翼が受ける空気抵抗が大きいということであり、複葉機は単葉機に比べると運動性能に劣りました。

 ここら辺の差は抗堪性に数値化されています。抗堪性とは単純な防御力だけはなく、敵の攻撃をかわす運動性であったり、被弾後の安定した航空能力であったりというものを総合した数値なのです。

 さて、TierVから太平洋戦争の序盤を戦った名艦載機が登場してきます。瑞鳳の後期艦戦である零戦21型や九七艦上攻撃機、ボーグはF4Fワイルドキャットやデヴァステイター、ドーントレスです。戦闘機の性能では日本にやや分がありますが、何度も言うように米艦載機は日本の1.5倍の機数を中隊に配備しています。同格相手には攻撃を仕掛けない方が無難です。

 また、戦闘機は両軍ともに搭載火器の大型化により搭載弾数がかなり少なくなっています。無駄な戦闘をしてしまうと弾切れの危険性もあり、その意味でも戦闘機同士の戦闘はなるべく避けた方がいいでしょう。

『World of Warships』
▲戦闘機隊の性能向上にはいくつか方法があります。ひとつがアップグレードを利用する方法。各空母のアップグレードの最初は航空機銃の性能アップ。これにより、10%のボーナスが得られます。
『World of Warships』
『World of Warships』
▲もうひとつは艦長スキルを利用する方法。空母の艦長は艦載機の性能向上スキルを持っています。特に“制空権”は中隊の機数を1機増やせます。取得は大変ですが、強力なスキルです。

TierVI空母の艦載機を比較する

●日本 龍驤

戦闘機

(初期)
TierV Mistubishi A5M4 九六式艦上戦闘機
速度……
154ノット 抗堪性……990 弾薬……78秒間平均ダメージ39

(後期)
TierVI Mistubishi A6M2 零式艦上戦闘機二一型
速度……
162ノット 抗堪性……1452 弾薬……60秒間平均ダメージ48

雷撃機

TierVI Nakajima B5N2 九七式艦上攻撃機
速度……
129ノット 抗堪性……1210 搭載魚雷……Type91 mod.1A 魚雷最大ダメージ……8567 雷速……35ノット 魚雷射程……3.4km

急降下爆撃機

(初期)
TierV Aichi D1A2 九四式艦上爆撃機
速度……
120ノット 抗堪性……990 爆弾着弾範囲……134m-335m 搭載爆弾……Type99 N25 mod.1 爆弾最大ダメージ……4600

『World of Warships』

(後期)
TierVI Aichi D3A1   九九式艦上爆撃機
速度……
129ノット 抗堪性……1210 爆弾着弾範囲……134m-335m 搭載爆弾……Type99 N25 mod.1 爆弾最大ダメージ……4600

●アメリカ INDEPENDENCE

戦闘機

(初期)
TierV Grumman F4F-4 ワイルドキャット
速度……
156ノット 抗堪性……1090 弾薬……83 秒間最大ダメージ……43

『World of Warships』

(後期)
TierVI Grumman F6F-3 ヘルキャット
速度……
164ノット 抗堪性……1656 弾薬……65 秒間最大ダメージ……55

雷撃機

TierVI Douglas TBD デヴァステイター
速度……
121ノット 抗堪性……1210 搭載魚雷……Mk13 mod.0A 魚雷最大ダメージ……9867 雷速……34ノット 魚雷射程……3.7km

急降下爆撃機

『World of Warships』

TierVI Douglas SBD3 ドーントレス
速度……
134ノット 抗堪性……1240 爆弾着弾範囲……142-355m 搭載爆弾……500lb ANM64 爆弾最大ダメージ……7500

 日本艦戦にとっては魔のTierVI。これまでの零戦の優位がF6Fヘルキャットの登場で揺らぎます。すべての数値が零戦を凌駕しているのです。このあたりから、日本戦闘機は完全に敵戦闘機との戦闘を避けるべき状況になります。

 また、上位Tierとマッチメイクされた場合、雷撃機、爆撃機の速度が上がり追いつくのも前ほど楽ではなくなります。艦載機のアップデートはまずは艦戦、ついで艦上攻撃機、そして艦爆の順に行うのがいいでしょう。艦上攻撃機、艦爆は機体性能こそ変わりますが、日本機の場合搭載している魚雷や爆弾は最後まで変わりません。アメリカ機もそう頻繁(ひんぱん)にアップデートされないので、優先順位が低いのです。

『World of Warships』
▲TierVIから航空管制で中隊数を変えられます。とりあえず制空権を得るために戦闘機3個中隊を配備するシフトに変更。
『World of Warships』
▲マッチング画面で敵の空母の情報を確認。相手の空母も龍驤で、最大限改装されています。改装レベルで艦載機も変わります。ここでの情報も勝敗にかかわる重要な要素です。
『World of Warships』
▲取りあえず2対1以上で戦闘機に戦いを仕掛けます。序盤は上手くいきましたが……。
『World of Warships』
▲相手も同じ戦法を取り、最終的に戦闘機隊が壊滅。以降直掩ナシの艦船攻撃へ……。こうなるとなかなか艦載機で攻撃できずダメージを与えられなくなります。完全にじり貧。
『World of Warships』
▲艦載機を操作中にシフトキーで艦載機視点になります。とはいえ、そんなもの見ている余裕はなかなかないのですが(笑)。

(C)Wargaming.net

データ

▼『World of Warships(ワールド オブ ウォーシップス)』
■運営:ウォーゲーミングジャパン株式会社
■対応機種:Windows
■ジャンル:SLG
■サービス開始日:2015年9月17日
■料金:ゲーム内課金あり

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