2016年5月18日(水)
スクウェア・エニックスのiOS/Android用アプリ『グリムノーツ』のキャラクターイベント“チェシャ猫の記憶迷宮”のセリフ集をお届けします。
このキャラクターイベントの開催期間は終了しており、すでにゲーム内では見られませんが、この記事ではそのストーリーを読むことができます。
『グリムノーツ』は、世界中のさまざまな童話を題材にした“新解釈”RPGです。与えられた運命を演じることを定められた世界で、演じる役割を与えられなかった主人公たち。
彼らが“役割を演じる”ことと“役割を与えられない”ということに対して立ち向かう、RPGの意味を問いかけるゲームとなっています。
イベント“チェシャ猫の記憶迷宮”は4月18日15:00~5月16日14:59の期間に開催。童話『不思議の国のアリス』のキャラクターである、チェシャ猫、代用ウミガメ、ダイナ、眠りネズミが登場して、冒険をサポートしてくれました。
◆ストーリー
“不思議の国の想区”を訪れた一行はアリスとともにハートの女王の裁判所へ向かっていました。
見回りのトランプ兵たちをかいくぐる一行は、その途中で謎の少女チェシャ猫に出会います。チェシャ猫の案内で、トランプ兵をやり過ごせるルートを進むことになるのですが……。
◆◆◆トランプの森(昼)◆◆◆
主人公:―――カオステラーを追って、『不思議の国』の想区にたどり着いた僕たち。
奇妙な住民たちが暮らす『不思議の国』はカオステラーによって、すべての不思議を取り締まる世界に変わってしまったんだ。
ハートの女王の勅命で動く、『健全なる乙女のための風紀隊』。その隊長に据えられた『主役』のアリス…
レイナの説得でどうにか僕たちはアリスを仲間に引き込んだけど、帽子屋ハッタがトランプ兵たちに連れてかれてしまった。
そしていま、僕たちは帽子屋ハッタを助けるために、アリスの案内でハートの女王のもとへ向かっているのだけど…―――
三月ウサギ:ちなみにいったいどんな出来事があったのか、くわしいことが気になってる人はメインクエストの9想区目をレッツプレイ、だよ!
シェイン:三月ウサギさん、誰と話しているんですか?
レイナ:そこの二人、余計なおしゃべりは禁止よ! ハートの女王のお城までもうすぐなんだから…そうよね? アリス。
アリス:う、うん。もうすぐ着くはずよ。そろそろ裁判所も見えてきて―――
タオ:ちょっと待て。おい、地面を見ろよ。
主人公:足跡がいくつも…もしかしてトランプ兵かな?
シェイン:そのようですね。見回りに来ているんでしょうか?
レイナ:あまり鉢合わせになりたくないわね。どこか別のルートを迂回できればいいけど…
???(チェシャ猫):ニシシシ…前へ進めば、いつかどこかへたどり着く。無事で済むか、全滅か。すべては君次第…
(チェシャ猫が登場する)
じゃじゃ~ん。どうしたんだい、アリス。ボクの力が必要かな?
アリス:あなたは…!
主人公:え…この子、どこから現れたの?
レイナ:待って! そのニヤニヤした笑いと神出鬼没ぶり…もしかしてあなた、チェ―――
三月ウサギ:おっすー! チェシャ猫ちゃんじゃーん! 久しぶりー! 元気してたー!?
チェシャ猫:やぁ、三月ウサギ。もう四月だというのに、キミはいつもやかましいね。きょうもお茶会かい?
アリス:お茶会でも、裁判でもないわ! チェシャ猫…あなた、いままでどこに隠れていたの?
『健全なる乙女のための風紀隊』はずっとあなたを探していたわ…相変わらず腹の立つ顔ね!
チェシャ猫:ボクはどこにでもいて、どこにもいない。ハートの女王には捕まえられないさ。
道を探しているんだろ? ボクが君たちを案内してあげよう。アリスが望む場所にね。
シェイン:…信用して大丈夫なんですか? なんだかずいぶんと怪しい感じの人ですけど。
アリス:この世界に住んでる人たちは、みんなそうよ。みんなみんな、アタマがおかしい連中ばかり。
…けどいいわ、チェシャ猫。ほんとに向こうに見つからないように案内してくれるっていうなら…お願いするわ。
チェシャ猫:了解だ、アリス。キミのお願いなら、聞いてあげなくちゃね。ニシシシ…
◆◆◆バトル後:迷宮の霧◆◆◆
主人公:…ねぇ、なんだかおかしくない?
シェイン:そうですね。この霧、どこから現れたのでしょうか?
タオ:おい、チェシャ公、こっちで合ってるのかー! あれ? チェシャ公はどこへいった?
アリス:ちょっと、チェシャ猫! 約束がちがうわよ! 隠れてないで出てきなさーい!
チェシャ猫:呼んだ?
アリス:なんなのよ、ここは。あなた、わたしたちをどこに連れてきたの!
チェシャ猫:キミがいるのは『不思議の国』。ボクたちはただ歩いてきただけ。キミが望むものは、この霧の奥にある。
アリス:わたしの望むもの?
チェシャ猫:アリス、キミは自分がまともだと思っている…おかしいのはこの国にいる者たちで、自分は正しいのだと思い込んでいる。
でもそれは間違い。キミは混沌の渦に飲み込まれ、大事なことを忘れているんだ。
アリス:わたしが忘れているって、いったいなんの話なの…!
チェシャ猫:―――川を下りし三姉妹―――いまこそ川を上るとき―――話の泉が枯れ果てる前に
この先に待ち受ける、まともじゃない三人のまともじゃない話を聞くといい。きっとキミの失くしものは彼らの話の中にある。
幸運を祈るよ、アリス。歩き続ければいつかはきっとたどり着けるからさ。ニシシシシ…
主人公:また消えた…僕たち、罠にはめられたのかな?
レイナ:それにしてはずいぶんと回りくどい気もするけれども…
アリス:川を下った三姉妹…話の泉…
レイナ:アリス、なにか心当たりがあるの?
アリス:…ううん、なんのことだかさっぱり。なんでわたしがこんなとこにいないといけないの…
わたしはまともよ…この世界のおかしな連中とはちがう…地に足のついたレディなんだから…
レイナ:…ひとまず先へ進みましょう。これが罠かどうか、そこではっきりするはず…
三月ウサギ:そうそう、前進あるのみ! みんな、はりきってゴーー!!
三月ウサギ以外全員:(あ、こいつがいたの忘れてた…!)
(全員がフェードアウトした後チェシャ猫が登場する)
チェシャ猫:さて、アリスたちは行ったようだね。あとはよろしく頼んだよ。
画面の向こうにいるそこのキミ。ちゃんとあの子たちを導いてあげてよ? すべてはキミにかかってるんだから。
ボクはボクで、やることがあるんでね…ニシシシ…
◆◆◆迷宮の霧◆◆◆
誰かの寝息:Zzzz…Zzzz…
主人公:…なんだろ、寝息かな?
レイナ:向こうに誰かがいるのね! 急ぎましょう!
◆◆◆暗闇◆◆◆
????(眠りネズミ):う~ん、むにゃむにゃ…マッド・ティー・クラブもいまは休業…
せっかくさわがしいのもいないし…アリスたちが来るまでおやすみ、おやすみ…むにゃむにゃ…はぁ…二度寝サイコー…
三月ウサギの声:それじゃあ、カウントダウンいってみよー!
さーん…にー…いーちっ…どーーーーん!!
(眠りネズミが登場する)
眠りネズミ:―――っ!?
◆◆◆ふしぎの草原(昼)◆◆◆
(主人公、シェイン、三月ウサギ、眠りネズミが登場する)
三月ウサギ:グッドモーニン、眠りネズミちゃーん! あんまりティーポッドの中にばっか引きこもってると、お肌に悪いよー!
眠りネズミ:……………
主人公:…大丈夫なの? めちゃくちゃ怒ってるみたいだけど。
シェイン:そりゃ、寝てるときに頭からお茶をぶっかけられたら、誰だって怒るのでは?
三月ウサギ:はっはっは、これくらいノープロブレム! この眠りネズミちゃんはマッド・ティー・クラブ、第三のメンバー。
うちと眠りネズミちゃんは大親友なんだから! これくらい笑って許してくるよ! ね、眠りネズミちゃん!
眠りネズミ:……………コロス。
タオ:おい、その大親友、殺す気満々の目になってるぞ。コロスって呟いてるぞ。
アリス:もう! あなたたちのアホなやりとりに付き合ってる場合じゃないのよ! これだから、マッド・ティー・クラブの連中は!
レイナ:まぁ、まぁ、落ち着いて。私たち、チェシャ猫からあなたの話を聞くように言われてきたんだけど。
眠りネズミ:…あー、そうだったわ。じゃあ早速だけど…『糖蜜の井戸の三姉妹』の話を始めるわね…
主人公:糖蜜の井戸の三姉妹?
眠りネズミ:むかーし、むかし。糖蜜の井戸の底に三人の小さい姉妹が住んでたの。
姉妹の名前は上から順番に、エルシー、レイシー、ティリー。とても小さい、リトルな三姉妹…
三人は井戸の底から糖蜜をくみだして、糖蜜でたくさんの絵を描いて…えーと、それから…それから……
シェイン:…ネズミさん、起きてます? 寝てませんよね?
アリス:リトル…三姉妹…リトル…リトル…
レイナ:アリス? ちょっと、どうしたのアリス!
アリス:エルシー…レイシー…ティリー…ちがう…そうじゃない…ダメ…思い出せないよぉ…!
(ヴィランが登場する)
ヴィラン:クルルルゥ…
タオ:くそ、ここでもヴィランが現れるのかよ!
眠りネズミ:あー、やっぱり来ちゃうか…あっちもいろいろ頑張ってるはずだけど…
主人公:あっち?
眠りネズミ:うーん、こっちの話ぃ…とりあえず働きますか。
三月ウサギ、アリスを守って。私を起こしたんだから、それくらいあんたも働きなさい。
三月ウサギ:あいさー!
アリス:はぁ…はぁ…ごめん、みんな…もうちょっと待ってて…!
レイナ:頑張って、アリス。私たちがあなたの時間を稼ぐわ!
◆◆◆バトル後:ふしぎの草原(昼)◆◆◆
アリス:…リトル…小さな三姉妹…ちがう…小さくない…リトルじゃないわ…
三姉妹はリトルじゃない…―――『リデル』。
◆◆◆迷宮の霧◆◆◆
主人公:またこの霧…ヴィランもいなくなった…アリス、なにかわかったの?
アリス:…ううん、まだよくわからないわ。けれども頭にはっきり名前が浮かんだの。
わたし、本当になにか忘れてるの…? わたし、おかしくなっちゃってるの…?
レイナ:心配しないで。それをこれから一緒に探すんだから。いい?
アリス:う、うん…
眠りネズミ:どうやら私の役目は終わりみたいね。ふぁあ~、運動したから眠くなってきちゃった…
…ハッタのこと、チェシャ猫から聞いてるわ。私にできるのはこれくらいだけど…どうか彼を助けて。
主人公:…わかった、眠りネズミ。君の仲間は必ず助け出すからね。
眠りネズミ:行っちゃった…はぁ、騒がしいのもいなくなったし…これでやっと、ゆっくりおやすみできる…
三月ウサギ:むふふ、そうは問屋がおろさないよー、眠りネズミちゃーん?
眠りネズミ:…三月ウサギ、なんであなたがここにいるの。
三月ウサギ:うーん、ハッタを連れ戻そうと思って、みんなについてきちゃったけど、なーんか調子が出ないというかー。
やっぱりうちはみんなと楽しく騒ぐのが性に合ってると思うのねー。
だから眠りネズミちゃんとパーティしながら、ハッタが帰ってくるのを待とうかと思って!
眠りネズミ:いや、あの、三月ウサギ…パーティよりも寝てたいんだけど…
三月ウサギ:いいから、いいから! マッド・ティー・クラブはいつだってクライマックスハイテンションだよーー!!
眠りネズミ:…はぁ。しょうがないわね、このウサギは…
◆◆◆ふしぎの海岸(昼)◆◆◆
代用ウミガメ:ハァ~…僕はダメだ…ほんとにダメな奴なんだぁ…
主人公:…どうしたんだろ、あの人。さっきからため息ばかりついてるけど。
アリス:ああ、あれは代用ウミガメよ。いつもあんな感じで哀しそうにしているの。
シェイン:ウミガメなんですか、あの人。どのあたりにウミガメの要素があるんですか。
アリス:あくまで『本物』じゃなくて、『代用』ってことでしょ。とにかく今度は彼から話を聞きましょう。
ねぇ、代用ウミガメ。ちょっといいかしら?
代用ウミガメ:…うん? ああ、アリスたちか…チェシャ猫に言われてきたんだね。
だけどごめんよ。僕はいま、話をする気分じゃないんだ…
レイナ:え、なに言ってるのよ。あなたが話をしてくれないと、私たち、ここから出られないんだけど…
代用ウミガメ:どうせ僕はニセモノだ…僕の話なんてみんな聞いてくれるわけがない…
いまの僕の価値なんて…せいぜいスープの材料に使われるくらいしか…
タオ:バカやろーーーー!!
(タオが代用ウミガメに突撃する)
代用ウミガメ:う、うわぁっ!?
タオ:なにを眠たいこと言ってんだ、てめーは! ニセモノだとか本物だとか、くだらねーことでぐだぐだ悩んでんじゃねー!
男なら自分の価値くらい、自分で決めろってもんだろう!
レイナ:ねぇ、あのおばかはなに言ってるの? なんでいきなり説教をし始めているの?
シェイン:タオ兄のスイッチが入ってしまったようですね。ああなると面倒くさいんですよね…
主人公:そんなこと言ってる場合じゃないよ! 早くタオを止めないと…
代用ウミガメ:自分の価値を自分で決める…そんなこと、してもいのかい?
レイナ:あれ? 代用ウミガメ、感激してない?
タオ:そうだぜ、もっと自信を持てよ。お前には本物の甲羅よりも、ずっと立派な盾があるじゃねーか。
代用ウミガメ:ああ、そうだ…僕はなにをクヨクヨしてたんだ…いますぐ踊りだしたいくらいだ。踊っていいのか、踊っちゃってもいいのか。
タオ:おう、踊れ踊れ! 心の赴くままに踊っちまえ!
代用ウミガメ:よろしい! ならばお見せしよう! 海の世界伝統、『ロブスターのカドリールおどり』!
(代用ウミガメが飛び跳ねながらあちこち移動する)
♪海の底で、踊るよロブスター
♪ロケット並みに、加速だブースター
♪キラキラ輝け、オレは大スター
主人公:あ、歌いながら踊るんだ。しかもそういう感じの歌なんだ…
タオ:イカすじゃねーか、あんた! どれ、オレも加わるか! 坊主も行こうぜ!
アリス:ちょ、ちょっと待って! 代用ウミガメの後ろ…あれ…!
レイナ:ちょっと! あなた、誰と踊っているのよ!
代用ウミガメ:誰と? 決まってるさ、バックダンサーだよ。さっき僕が外から呼んで―――
(代用ウミガメが後ろを振り返るとヴィランがいる)
うわああああああああああ! 間違えた! 間違えて、ちがうの呼んじゃった!
シェイン:なにをどう間違えたら、ヴィランを呼ぶんですか…
タオ:くよくよするのはあとだ。まずはこいつら全員ぶっとばすぞ!! ウミガメ! お前も手伝え!
代用ウミガメ:わ、わかった! 僕の実力が本物であること、見せてやる!
◆◆◆バトル後:ふしぎの海岸(昼)◆◆◆
タオ:どうにか片付けたな…ナイスファイトだったぜ、ウミガメ。
代用ウミガメ:君のほうこそ。良い時間を過ごせたよ、タオ。
シェイン:あの、友情を結ぶのはいいですけど、そろそろ話を聞かせてもらってもいいですか? 先、急いでるので。
代用ウミガメ:おおっと、そうだったそうだった。けど、僕の話なんて…
タオ:話してやれよ、ウミガメ。みんな聞いてるからよ、一発ドカンと来るのかましてやれよ?
代用ウミガメ:…くっ、友よ、わかった! ならば心ゆくまで聞いてくれ! 僕が本物のウミガメだった頃の話だ―――
…それでね、海の学校で最高の教育を受けたんだ。数学を専攻していてね、『かびかびぶっかけ算』の論文で博士号も取得し―――
タオ:ぐ~~~~。
主人公:親友、すぐに寝ちゃったんだけど…
シェイン:いや、でもこれはやばいです。どれくらいヤバいかというと、いますぐシェインも倒れるレベ、ぐ~~~~…
レイナ:寝るな、バカ兄妹。
アリス:…数学の先生。
レイナ:なにか思い出したの、アリス。
アリス:…わからない。けど、突然アタマにうかんできたの…
川を下って、みんなでピクニックをして…たしか先生の名前は…ルイス先生…
◆◆◆迷宮の霧◆◆◆
代用ウミガメ:…ふむ。君たちとはここでお別れのようだな。
タオ:ふぁあ~、あれ? なんだ、もう終わったのか?
代用ウミガメ:しっかりな、友よ。私の小粋な話が聞きたくなったら、またいつでも訪ねてきてくれ。
タオ:へっ? …あ、あ~~、もちろんだとも。お前も達者でやれよ、ウミガメ!
シェイン:よかったですね。寝ていたの、気づかれてないっぽいですよ。
主人公:いよいよ最後の一人…それでアリスが忘れていることがわかるらしいけど…
アリス:…わたし、どうしてここにいるんだろう。
レイナ:それはこの霧のこと? それとも『不思議の国』のこと?
アリス:…たぶん、その両方。
進みましょう、みんな。きっとこの先にチェシャ猫が見せたいものがあるはずだもの…
◆◆◆思い出の街(昼)◆◆◆
主人公:今度は街か…たしかチェシャ猫の言うことが正しければ、ここに最後のひとりがいるはずなんだよね…
レイナ:そのはずよ。そうしたら、アリスの失くした記憶も戻ってくると思うけど…
アリス:この街…わたし、知ってる…『不思議の国』に来る前に、わたしが住んでいた…
???(ダイナ):やっとここまで来てくれたにゃん、ご主人。
(ダイナが登場する)
主人公:君は…?
???(ダイナ):あたしはダイナ。見てのとーりの白猫だにゃん!
アリス:ダイナ…あなた、ダイナなの!? そんなはずないわ! ダイナが『不思議の国』にいるはずがない!
レイナ:ダイナって、たしかアリスがもといた世界で飼っていた猫の名前よね?
アリス:ええ、ダイナは白猫なの。こんなお姉さんじゃ…けど、なぜかしら…このお姉さんの姿、なーんか見覚えあるような…
ダイナ:それはそうにゃん。この姿はご主人があたしによく話していた、未来の妄想ご主人の姿を参考にして―――
アリス:ダメ~~~~! そのことはダイナにしか話してないはずなのに~~~!!
タオ:どうやら本人で間違いないよーだな。ん? この場合は本猫か?
シェイン:そんな言葉遊びをしているときではありませんよ。
ダイナ:ここは『不思議の国』。なにが起こっても不思議じゃないにゃん。
だってそういう世界になるよう、ご主人が望んだにゃん?
アリス:わたしが、望んだ…? あなたはなにか知ってるの? わたしになにを思い出させようとしているの?
ダイナ:それは答えられないにゃん。あたしから言えるのは、この謎かけだけにゃん。
―――カラスと書物机がどうして似ているのか。答えてほしいにゃん。
タオ:…ん? 机とカラスのどこが似てるんだ?
主人公:なぞなぞだから、頭を使って答えないと…レイナ、わかる?
(レイナがキメ顔で答える)
レイナ:任せて、完璧よ。書物机とカラス、そのこころはズバリ…―――どちらも『カ』で始まるわね!
シェイン:…姉御、真面目にやってください。
レイナ:えっ。
アリス:カラスと書物机…
◆◆◆回想◆◆◆
アリス:ねぇ、ルイスおじさま。あのおはなしの続きはまだなの? きょうしてくれるって約束よ!
え? 続きはまた今度? だったらその今度はいまよ! ロリーナ姉さまもイーディスもそう言ってるわ。
ルイスおじさんの声:…もう仕方がないな。だったらこのなぞなぞに答えられたら、続きを話してあげよう。
カラスと書物机がどうして似ているか。わかるかい? ―――アリス・リデル。
◆◆◆トランプの森(昼)◆◆◆
(ヴィランが登場する)
ヴィラン:クルルゥ…!
主人公:またヴィランが現れてる…! さっきよりも数が多い…!
ダイナ:まさか…チェシャ猫が…
レイナ:どういうこと!? チェシャ猫が関係しているってこと!?
ダイナ:…お願い、みんな。ご主人が答えるまで、あたしと一緒に戦ってにゃん!
あたしよりも先にご主人は『あの子』に会わないといけない! 会わなくちゃいけないにゃん!
アリス:『あの子』…? どういうことなの、ダイナ!
レイナ:待って。アリス、あなたはまず、なぞなぞを解くことに集中して。時間は私たちが稼ぐわ。
主人公:そうだよ。そのために僕たちはここにいるんだから…! 行くよ、ダイナ。
ダイナ:ありがとうにゃん、みんな! ご主人も頑張って!
アリス:わかった…。必ず解くから…待ってて、みんな!
◆◆◆バトル後:回想◆◆◆
アリス:書物机とカラス…ええ、ちっともわからないわ…
ほんとうに答えはあるの? ねぇ、どうなの、ルイスおじさま。
ルイスおじさんの声:よーく考えてごらん、アリス。空想の翼を広げて、常識の地平から飛び立つんだ。
あてもなく思考の迷宮を放浪して(wander)たどり着いた先にある脅威(wonder)の光景…AからOまでの道筋が物語になるんだから…
◆◆◆思い出の街(昼)◆◆◆
アリス:空想の翼を広げて…常識の地平から飛び立つ…そうだわ…わかったわ…
カラスと書物机はなぜ似ているのか。
なぜならばカラスも書物机も、どちらも羽を持っている。
カラスは空へ飛び立つ翼が…書物机には、物語の世界へと飛び立つ羽ペンが…!
ダイナ:…それがご主人の答えなんだね。うん、合格だにゃん!
◆◆◆迷宮の霧◆◆◆
主人公:…いまのがなぞなぞの答えなの?
ダイナ:んーとね、種明かしすると、そもそもあのなぞなぞに答えはないんだにゃん。
レイナ:答えはない?
ダイナ:あのなぞなぞはご主人の心を開く鍵だにゃん。答えが大事なんじゃない。その答えにたどり着く過程が大事なんだにゃん。
タオ:…つまり、どういうことなんだ?
シェイン:つまり、いまのなぞなぞでアリスさんがなにを思い出すか。それが大事って話です。
主人公:それで、アリスは思い出すことはできたの?
アリス:…前にも、あのなぞなぞを出した人がいたわ。数学と言葉遊びと写真が大好きだった、やさしいルイスおじさま…
ルイスおじさまが語るおはなしはとても不思議で、おかしなものばかりだった…
あのときもそう…ほかの姉妹とおじさまとピクニックに出かけて…おはなしの続きをおねだりしたの…
たしかあとでご本になったものをいただいたのよ。本のタイトルは『地下室のアリス』…
…ダイナ。さっきあなたが言っていた『あの子』って誰のこと? わたしが知ってる人なの?
ダイナ:…ご主人、そしてみんなも。急いでこの霧を抜けて欲しいにゃ。
そこで『あの子』が待ってる。いま、みんなを守るために戦ってるから…!
アリス:まさか…『あの子』って…!
レイナ:どうやら、最後にもう一人、話を聞かなくちゃいけない人物がいるみたいね。
はやく行きましょう。『あの子』―――チェシャ猫のもとへ。
◆◆◆トランプの森(夜)◆◆◆
(チェシャ猫とヴィランが向かい合っている)
チェシャ猫:ニシシ…さっすがにこの数は笑えないかなー…もういいかげん降参してくれません?
ヴィラン:クルルルゥ…
チェシャ猫:聞く耳もたず、か。けど、こっから先は通させないよ。
だいぶ疲れちゃって…姿を消すのもしんどくなってきたけど…まだ倒れるわけにはいかないんだ。
あの子がちゃんと、失くしものを取り戻してくるまで―――
(後ろに忍び寄ったヴィランにチェシャ猫が驚き振り返る)
―――っ!?
(暗闇の背景の中アリスが登場する)
アリス:チェシャ猫!
(場面が戻り、主人公たちとアリスが登場する)
タオ:ったく、ふざけた奴だぜ。あの数、ひとりで相手してたのかよ。
シェイン:もしかしてシェインたちが霧の中にいるあいだ、ずっとヴィランたちを食い止めてくれたんですか? 顔のわりにずいぶん義理堅いんですね。
チェシャ猫:約束は守る。それだけだよ。忘れ物は取り戻せたのかい?
アリス:ねぇ、チェシャ猫。あなたはなにを企んでいるの。あなたはわたしになにをさせたいの?
チェシャ猫:なにも望んでなんかない。ただすっかりおかしくなったこの世界を、まっすぐ歩いて欲しいだけだよ。
だってボクはチェシャ猫。『不思議の国』に迷い込んだアリスを案内するのが、ボクに与えられた役目なんだから…
レイナ:あまり話している時間はなさそうね。まだ新手のヴィランたちが近づいてきてるわ…どうする?
チェシャ猫:心配ご無用、きっとそろそろ…
(三月ウサギ、眠りネズミ、代用ウミガメ、ダイナが登場する)
三月ウサギ:はっはっはっは、どけどけどけーーー! マッド・ティー・クラブ様のお通りだぁーーー!!
代用ウミガメ:僕はそっちのメンバーじゃないんだけど…
眠りネズミ:まぁ、諦めなよ。私たち、陽動組ってことになってるんだから…ふわぁ…
ダイナ:ご主人たちを絶対通させるにゃ! くらえ、特大猫パァァァンチッ!!
アリス:…みんなが、陽動を? あんなにまとまりのない人たちが…?
レイナ:みんな守りたいのよ、自分の世界を…それはあなただっておなじはずでしょ?
主人公:アリス、チェシャ猫、このまま進もう。走り続ければ、必ず向かう場所へ辿り着ける。そうでしょ?
チェシャ猫:ニシシ、そのとおりさ。アリスはどうするんだい?
アリス:進むわよ…一人前のレディとして、しっかりみんなを案内するわ!
◆◆◆バトル後:トランプの森(夜)◆◆◆
チェシャ猫:さて、ボクはここでおさらばするよ。さすがにハートの女王のもとには近づきたくないからね。
アリス:…あなたには結局、世話になったわね。トランプ兵に捕まらないように気をつけて。それじゃあ…
(アリスが去ろうとする)
チェシャ猫:そして、あの旅人たちを罠にはめるつもりだろ、『健全なる乙女のための風紀隊』の隊長さん?
アリス:…気づいてたの?
チェシャ猫:トランプ兵も、あのヴィランとかって化け物も、アリスには指一本触れなかった。それにキミの顔にも迷いが出ている。
そんなに空想するのはいやになった? そんなにはやく一人前のレディとやらになりたいのかい?
アリス:…ここはわたしにとって夢みたいな世界なの。ルイスおじさまのはなしを聞いて空想したものがここにはたくさんあふれてる。
だけど、いつまでも夢にいるわけにはいかないでしょ? 大人になるためには、ちゃんと夢から目覚めなくちゃ…
チェシャ猫:そっか。キミが心の底からそれを望んでいるのなら、ボクはなにも言わないよ。
もうキミの心はなにが大事か知っている。それさえあれば、こんな狂った世界でもちゃんとまっすぐ歩いていけるはずだ。
じゃあね、アリス…キミの前途に幸あらんことを…
(チェシャ猫がフェードアウトする)
アリス:…わたしはまっすぐ歩いてる。迷ってなんかいないわ。
レイナの声:アリス、お別れは済んだの?
アリス:ええ、いま行くわ…!
(アリスがフェードアウトする)
◆◆◆回想◆◆◆
アリス:ねぇ、ルイスおじさま、聞いたわ。今度、あのおはなし、『地下室のアリス』を絵本にして出版するんでしょ?
それでね、わたし、思ったんだけど、あの主役の女の子を案内する猫を出してあげたらどうかしら?
だっていまの話のままだと、女の子がすぐ迷子になってしまいそうだもの。
わたしのダイナみたいに可愛くて…でも、そうね、神出鬼没な不思議な猫…
そうね、ことわざから取って…『チェシャ猫』なんて、どうかしら?
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