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2016年6月2日(木)

『FF14』吉田P/Dロングインタビュー。パッチ3.3とパッチ3.35“ディープダンジョン”の詳細を聞く!

文:電撃PlayStation

 6月7日に最新アップデート“パッチ3.3”が行われるPS4/PS3/PC用MMORPG『ファイナルファンタジーXIV:蒼天のイシュガルド』。そのパッチ3.3の見どころや今後の展開について、プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にお話をうかがった。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

 拡張ディスク『蒼天のイシュガルド』にてスタートした“竜詩戦争”の物語は、パッチ3.3“最期の咆哮”でニーズヘッグとの戦いに終止符が打たれる。

 本記事ではパッチ3.3で実装される物語や新コンテンツ、そしてパッチ3.3以降に実装されるコンテンツなどについても、根掘り葉掘りぶつけてみた。なお、パッチ3.35で実装される新コンテンツ“ディープダンジョン”については、6月9日に発売される『電撃PlayStation Vol.616』に詳しく掲載されるのでお楽しみに。

ニーズヘッグとの決着。ついに“竜詩戦争”はクライマックスへ!!

――パッチ3.3で『蒼天のイシュガルド』のメインクエストは1つのクライマックスを迎えるとのことですが、パッチタイトル“最期の咆哮”はどういう意図で命名されたのでしょうか?

 “最期の”という単語を使いたいという話を僕から提案していて、日本語のパッチタイトルはすんなりと決まりました。読んだ時の印象として「誰の雄叫びなのかはわからないけど、これがイシュガルドの空に響く、最期(最後)の咆哮である」という形になっています。“その咆哮は誰のものか”というのを気にかけてもらえればとうれしいです。

 開発裏話というほどのものでもないですが、ロゴを発注したときにプロジェクトマネージャーたちがメールをやりとりするうちに“最期”が“最後”になってしまい、ロゴを修正したこともありました(笑)。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲プロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏。

――パッチ3.2からの流れから見るに、やはりニーズヘッグとの決戦が待ち受けているのかなと予想されますが……。

 そうですね。今回は蛮神戦がない代わりに“ニーズヘッグ征竜戦”“極ニーズヘッグ征竜戦”が追加されます。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲パッチ3.3ではニーズヘッグとの決戦が行われる。

――あとはパッチ3.3のトレーラーで気になったのは、やはり『蒼天のイシュガルド』のオープニングにあったドラゴン族の皇都襲撃シーンらしきカットです。こちらはそのシーンになるのでしょうか?

 そうですね。オープニングトレーラーの映像を作っている際に、ここまで想定していたわけではないのですが、シナリオ班と映像のカット班が、うまくオープニングに繋げてくれました。

●『FINAL FANTASY XIV』パッチ3.3トレーラー“最期の咆哮”

――ではドラゴン族とかかわりのある新ダンジョン“天竜神殿 ソール・カイ”と“ニーズヘッグ征竜戦”は、メインクエスト上で挑むことになると?

 そうなります。また今回はカットシーンのボリュームがすごく多いのですが、それと比べてクエスト数としては少なめになっています。ですが、メインクエストのあとには“後日談クエスト”と呼ばれるものが、5連作として用意されています。

 これらに関しては遊んでも遊ばなくても問題ありませんが、『蒼天のイシュガルド』全体を振り返るような内容になっていますので、ぜひ楽しんでもらえればうれしいです。

――そういう意味でも『蒼天のイシュガルド』のクライマックスですね。そうなるとパッチ3.4の片鱗が、今回の物語で見え隠れするのでしょうか?

 ほんのちょっとだけですが……。多少の伏線は張ってはありますが、たぶん気づく方は少ないと思います。

――ユーザーさんのなかでは、アラミゴ方面での話が動くんじゃないかなと予想されている方も多いですね。

 まあ、イダとパパリモが明らかにアラミゴ解放軍と接触していますしね。さて、どうなるやら(笑)。いろいろ企んではいますので、こちらもお楽しみにしていただければと。

――先ほど、振り返る後日談的なクエストが実装されるとお話されていましたが、4月のニコニコ超会議のプロデューサーレターLIVEで、「サプライズがあるかもしれません」と話されていましたが、ここの部分とも関係有るのでしょうか?

 いろいろと憶測が飛び交っていますが、僕は「クライマックスなのでサプライズがあるかもしれません」と言っただけです(苦笑)。

――ぜひパッチ公開後に確認したいと思います! あとはメインストーリー以外のシナリオとして、“三闘神”シリーズに続編があるとのことですが?

 “三闘神”に関してはストーリーが動くのですが、蛮神戦ではなくてガレマール帝国の将軍と戦うとになります。こちらはパーティコンテンツではなく、暁のメンバーとプレイヤーが一緒に帝国と戦う形ですね。今回はクルルも戦いますよ。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲ガレマール帝国の将軍であるレグラ・ヴァン・ヒュドルスが登場。

――難易度的にはどのぐらいを想定していますか?

 難しくはないのでご安心ください(笑)。

――ヒルディブランド関連のクエストも続きが予定されていますが、今回は前回登場したギギがストーリーの中心になっていくのでしょうか?

 はい、そうなります。ただ、2.Xシリーズのクエストがちょっとやりすぎだったので、ボリュームは多少抑えめです。

――ヒルディブランドと聖アンダリム神学院のクエストは、パッチごとに交互に実装されていくのかと思っていましたが、ヒルディブランドが連続する形で驚きました。

 実は聖アンダリム神学院のクエストは苦戦していまして……。キャラクターが1話から登場しすぎたので、1回きっちり整理をかけています。このままアドリブ的に進めて行くのが怖かったので、完結まで筋道を徹底しているところです。

 こちらとヒルディブランドを両立するのは物量的にも無理だろうということで、今は実装時期を練り直しています。

――ちなみに、トレーラーにあったグナース族のなりきり装備などは、後日談クエストで手に入るのでしょうか?

 いえ。こちらは後日談クエストとはまったく関係ありません。いわゆるオシャレ装備ですので、蛮族通貨との交換や、製作装備ですね。

――グナース族の衣装は超目立ちますね。フィールドを歩いていたら、思わず敵と間違えてしまいそうなぐらいです(笑)。そして蛮族といえば、モーグリ族とドラゴン族の蛮族クエストが登場しますが、こちらはどのようなものになるのでしょうか?

 今回は、イクサル族に続くクラフター専用の蛮族クエストになっています。イクサル族では飛空艇を製作しましたが、今回はみんなでドラゴン族と人が交流できる場所を作っていくことが目的です。

 これは開発の裏話になりますが、もともとは白亜の宮殿を修復するクエストにする予定でした。ですが、塔の周辺にはあまりにもオブジェクトが密集していて、メモリの表示限界に達してしまっていたんです。そこに手を加えると、フレームレート落ちがひどくなってしまうことが予想できました。

 モーグリ族たちは白亜の宮殿の修復をドラゴン族に誓っているので、まずはその練習も兼ねて拠点を作って交流の場を作る、という設定でクエストを用意しています。いずれはその技術をもって白亜の宮殿を……という流れのお話しです。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲モーグリ族との蛮族クエストがスタート。

――イクサル族の蛮族クエストがレベル50までのレベル上げに利用できたのと同じように、レベル50以降のレベル上げに活用できるイメージでしょうか?

 そうですね。レベル50から挑戦できる形です。イクサル族の蛮族クエストでレベル50で止まっている方も多いと思いますので、今度はモーグリ族の蛮族クエストで、レベル上げをしていただければと。

――物語のテーマ的にもいいことをしているので、だいぶモーグリ族たちに優しくなれそうです(笑)。

 今回モーグリ族に対してヘイトを持つNPCを作ったりもしましたし、モーグリたちもだいぶ反省していると思いますよ。メインクエストで高まったヘイトは、このパッチ3.3でなくしていただけるといいなぁ……と。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

――今回、蛮族クエストも1つの区切りとなるのでしょうか? 例えば『新生エオルゼア』での蛮族クエストのエクストラクエストのような、すべての信頼度をMAXにすると発生するものは考えられていたりしますか?

 それをやるとしたらパッチ3.4か3.5のどちらかです。現場はやる気があるみたいですので、そこはぜひ楽しみにお待ちください。

――『蒼天のイシュガルド』の蛮族たちが集うと、かなり迫力がありそうですね。

 濃いなあ(笑)。

――ちなみにイディルシャイアでゴブリン族が拠点を作っているようですが、いずれは彼らの蛮族クエストも登場するのでしょうか?

 いえ。どちらかといえば“機工城アレキサンダー”のストーリー自体がゴブリン族の蛮族クエストのようなものなので、今のところパッチ3.Xシリーズで蛮族クエストを増やすつもりはありません。パッチ3.4や3.5の内容は殆ど決まっており、新しい企画や蛮族は既に4.0の作業に入っています。

新24人レイドダンジョンや“宝物庫”など新たな遊びが多数実装!!

――トレーラーにもありましたが、新エキスパートダンジョン“天竜神殿 ソール・カイ”のボスはフレースヴェルグですが、これには驚かされました。

 「なぜ戦うことになるか」はメインクエストにかかわる部分ですね。天竜神殿はラタトスクという、ニーズヘッグにとってもフレースヴェルグにとっても妹のような存在が棲んでいた居城です。

 人間たちに騙し討ちされ、竜詩戦争の発端ともなった竜です。いまだに数多くあるドラゴン族との楔をどう取り除いていくかという話の中で、“天竜神殿 ソール・カイ”に挑むことになります。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲天竜神殿 ソール・カイ。

――今回のパッチではアイテムレベル(IL)が更新されませんが、ダンジョンの難易度はいかがでしょうか?

 位置づけ的には新エキスパートダンジョンのため、これまでのものと同じくらいの難易度だと思っていただければ。あとは、途中にモーグリ族が出てきますので、これまでの恨みをそこで晴らせるんじゃないかなと。あと、景色はかなり綺麗なので、そこにも注目してほしいです。

――もう1つの新エキスパートダンジョン“黒渦伝説 ハルブレーカー・アイル(Hard)”は、紹介文を見る限りイメージ的には“ハラタリ修練場”の設定に近いですよね。やはり黒渦団が訓練所として使っている感じでしょうか?

 黒渦団と合同演習を行いつつ、黒渦団の新兵たちを鍛えているんです。ただ、リムサ・ロミンサの黒渦団だけではなく、ガラディオン協定の海賊らも参戦しています。どちらかと言えば、リムサ・ロミンサの主要人物が登場するダンジョンですね。

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▲黒渦伝説 ハルブレーカー・アイル(Hard)。

――トレーラーを見る限り、けっこうコミカルな印象を受けます。

 そうですね、クエスト的にはけっこうコミカルですね。しかも、最後に待ち受けるのはエインザル(メルウィブ提督の側近のルガディン)なので、エインザルがあのままで済むかどうかは……。

――あの霧髭ですからね(笑)。ちなみに、海賊の頭領の中にはこれまで名前が出ていないキャラも多く存在しますが、彼らが登場することはありますか?

 いえ、さすがにそこまでは登場しません。基本的にこれまで名前が出てきたキャラになります。あとは、NPCたちとバトルをしていくので、フキダシセリフのNPCも多々出てきますよ。設定好きの方々は、セリフにも注目してみてください。

――トレーラーでは中ボスとしてサザエ的なボスがいましたが、あいつは『FFVI』に登場したユミール(※1)でしょうか?

 はい。それをちょっとアレンジしていています。ちなみにこの敵は、殻を途中で着替える仕掛けを持ちます(笑)。

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▲中ボスで登場するユミール。

※1:『FFVI』の最初のボスで、ティナ、ビックス、ウェッジが魔導アーマーに乗って倒す。殻と本体に分かれており、殻を攻撃すると強力な反撃を行ってきた。

――ちなみに、新エキスパートダンジョンの宝箱から得られる装備は、新規の物になりますか?

 はい、新規の装備品が手に入ります。

――次は新たな24人レイドダンジョン“禁忌都市 マハ”についてお聞きします。前回の“魔航船 ヴォイドアーク”とはかなり雰囲気が違いますね。

 “クリスタルタワー”シリーズのよかった部分でもある、フィールド全体を使ったギミックが多いです。今回、“シャドウ・オブ・マハ”シリーズを担当しているモンスター班も“魔航船ヴォイドアーク”の時は、その場であまり変化なく対処する仕掛けが多くて少し眠くなると話していたので、今回は大きな仕掛けが多いです。

 例えば、最初のボス戦はマップが2重構造になっており、ボスが巣を作ると上へ引き上げられて、巣を壊すと下に落ちるみたいなギミックになっています。あとは、パーティによって役割が変わる場面もありますね。

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▲新たな24人レイドダンジョンとなる“禁忌都市マハ”の様子。

――離れて戦うわけではなくて、同じ場所での役割違いですか?

 そうですね。同じバトルフィールド内ですが、Aアライアンスの役割だけがちょっと違う……などですね。ギミックといえば、3番目のボスのオズマ(※2)を初めて見たときは「よくMMOであそこまで変形させられたな」という印象を受けました。

※2:『FFIX』の隠しボスで、メテオやジハードといった強力な魔法を放つうえにケアルガで回復まで行う強敵。また、空を飛んでいるためか、通常攻撃が届かなかった。

――マハの全体的なデザインを発注するときに、吉田さんが心がけてほしいと伝えた要素などはありましたか?

 ヴォイドアークがとにかく暗くなりすぎて、絵変わりに乏しかったと感じていました。これは意図的にそうしたのですが、コストの限界もあって、突き抜けられなかったかなと。

 ですので、マハでは屋内から外に出る環境の変化と、都市部から都市部奥での環境変化、そしてピラミッド外からピラミッド中へと、プレイヤーが見ている風景が変わっていくように、メリハリをつけてほしいとモックアップの時に話しました。 晴れた状態からスタートするのですが、途中で雨が降ったり、天候や環境にも変化をつけて、と。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲屋内だけでなく外に出る場面もあるとか。

 都市内に入ればマハは既に滅びているので、どんよりとした雰囲気ですし、最後のピラミッドはヴォイドアークのイメージを踏襲しつつも変化をつけている形になっています。さらに、マップのグラフィックだけでなく戦闘のギミックも演出的に変わって、もっと「わーわー」できるようにと指示しました。

 オズマ戦も暗いところで戦ってもおもしろくないと思うので、戦闘フィールドはひらけた場所になっています。最初は風景を見ている余裕などはないと思いますので、慣れてきたらゆっくり見ていただきたいです(笑)。

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▲オズマとの戦闘シーンの一部はトレーラーで確認してみよう。

――トレーラーにもありましたが、オズマ自身への背景の映り込みは本当にすごいですね。

 あれは、いろいろなテクニックを使って演出しています。PS3でも動かせるように、単純な鏡面反射ではないです。

――入手できる装備のデザインの方向性はどんな感じでしょうか?

 カッコイイですよ。系統で言えば、ハイアラガン系に近いイメージでしょうか。とくにタンクは人気が出ると思います。

――装備のILは230ぐらいかなと予想しているのですが……。

 それぐらいですね。

――サブジョブの装備として有効そうですね。ちなみに、報酬ではいわゆる伝承装備の強化アイテムが手に入ると思うのですが、今回は何がもらえるのでしょうか?

 今回は防具とアクセサリーの強化アイテムが手に入ります。武器はいつもどおりまだ据え置きです。

――となると、武器強化コンテンツであるアニマウェポンがますます重要になりますね!

 アニマウェポンの続きはパッチ3.3から入るとのことですが、今回からステータスの振り分けができるとの発表がありました。今回はその手段も豊富に用意されているそうですが、どのような手段で変更することになるのでしょうか?

 今回は人造精霊の成長を促すためのエネルギー源を渡すのですが、その際にどのパラメータを伸ばしなさいという形で摂取させると、そのパラメータが伸びる仕組みです。そのエネルギー源をNPCからもらうのですが、そのために必要な対象アイテムのバリエーションがたくさんあるという感じです。

 この対象アイテムに関しては、市場に大きく影響するのでまだ言えません。『新生エオルゼア』の頃からあるアイテムなどもあります。

――となると、あえて取りに行かないと持っていないであろうアイテムだったりするのでしょうか?

 「2年前から偶然カバンに入ってたよ」なんてアイテムもあるかもしれません(笑)。本当に種類が多くて、クラフターが製作で作るものもあったりと、時間効率もバラバラになると思います。

――対象アイテムをギルで購入などはできますか?

 幾つかはありますが、値上がりするとは思いますので、ギルですべてを解決するのはキツイと思いますし、ギルだけではどうにもならない部分も用意されています。ただ、パラメータ数が多いのでエネルギー源をもらうこと自体は非常に簡単にしています。

――マテリアを使うゾディアックウェポンと比べると、今回は失敗もないぶん気がラクです(笑)。

 ちなみに、対象アイテムをNPCに渡してエネルギー源を作ってもらうのですが、その際にボーナスが発生することがあります。普通は3ポイントぶんのエネルギー源がもらえるのですが、ボーナスが発生すると+2ポイント増えたりします。

――サブステータス1に対して、1ポイント消費という感じですか?

 そうですね。各サブステータスのマックスは120になります。

――完成した際のグラフィックはどうなりますか?

 今回は、完全新規のグラフィックです。次の強化段階ではエフェクトが付くことになりますね。その次はまた新規のグラフィックに……という流れで開発しています。

――既存コンテンツの拡張という部分では、フロントラインの新マップ“フィールド・オブ・グローリー(砕氷戦)”も注目度が高いかと思います。この戦いは、具体的にどういうバトルになるのでしょうか?

 シールロック(争奪戦)に近いです。シールロックではアラガントームリスにアクセスすると自分の陣営のものにできましたが、今回はトームリス自体が凍っている状態のものがたくさんあります。その氷を破壊する際に与えたダメージ分、トームリスから情報が引きだせてポイントになります。

 また、それとは別にトームリスの近くのサークル内に入ることで、ポイントが得られるものも3カ所あるなど、過去の制圧戦などのルールも少しミックスされています。加えて、凍っているトームリスが順次アクティブになっていくのですが、今回は同一カ所のトームリスの再出現がありません。だんだんとアクティブになるトームリスが絞られていき、勢力同士のコンタクトが増えていきます。よって、逃げ切りみたいな展開は起こりにくいかもしれません。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲凍ったアラガントームリスの氷を破壊することでポイントが得られる新マップ“フィールド・オブ・グローリー(砕氷戦)”。※写真は5月22日に開催された第30回PLLより。

――最後は、全勢力が集結しての戦いになるんですね。

 基本は選択肢の幅が狭くなっていくので、よほど差がついていない限りはコンタクトするしかなくなっていきます。これまでとは違う感触の戦いになっていると思います。

――フロントラインの設定として、オメガの発掘権の奪い合いという話があったと思いますが、そろそろ動いたりは……?

 さぁ、どうでしょう……(笑)。とりあえず、オメガのアートは完成していますとだけ言っておきます。

――そして、これまでにない新しいコンテンツである“宝物庫 アクアポリス”ですが、これは具体的にどのようなコンテンツなのですか?

 本当に古い話ですが、もともとの『FFXIV』を新生する前に僕が書いたコンテンツリストの頃から、トレジャーハントは最終的にはダンジョンまでいく予定でした。そういう意味で、ようやくそのタイミングがきたという形です。

 仕組み的には、古ぼけた地図G8の敵をすべて倒したら、確率でダンジョンへのポータル(ワープゲート)が自動的に開くという仕様です。その場にいるメンバーや、シャウトなどで集まったメンバーとそこから入って攻略していきます。

 ただ、ダンジョンといっても探索をするわけではなく、1つずつフロアがつながっていて、そこにいるモンスターをすべて倒せばそのフロアの宝箱が開けられるという遊びです。

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▲G8地図の敵を倒した後にダンジョンへのポータルが開くことがある。※写真は5月22日に開催された第30回PLLより。

――その後の扉の選び方で次のフロアに行けるかどうかが決まるわけですね。この部分は、かなりランダム性が強いのでしょうか?

 何連続で次のフロアに進めるかは、一定確率のランダムです。運が悪いと、1フロアで終わります。逆に言えば、ポータルさえ出てしまえば1フロア目の宝箱は確定で取れるということですね。

 もちろん、敵を倒せればですが、難しくはないのであっさり殲滅できると思います。ただ、2フロア目に行けるかどうかは地図を持っていた人の運しだいです。扉が開放される演出は、かなりヤキモキされるようなものになると思います。

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』
▲次のフロアに行けるかどうかは運しだい? ※写真は5月22日に開催された第30回PLLより。

――昔のクイズ番組にあった“◯×クイズ”みたいですね(笑)。となると、ポータルが開いた地図の所有者が先導する形ですか?

 その人しか次のフロアへの扉を選べない仕組みになっています。そうしないと、扉を開ける開けないでもめる可能性もありますので。そこは、地図の持ち主が権限を持つ形にしています。「◯◯さん、次の扉を選んでもらえませんか?」といった交渉もできなくはありませんが。ここで危惧しているのは、不慮の事故などで他の人が開けてしまうことなので、それだけはできないようにしています。

――戦闘難易度はどれぐらいですか?

 レベル60で、アクアポリス内はIL180シンクがかかります。これはレベル60になってすぐのプレイヤーさんでも、サクッとパーティに入れるようにという意図でそうなっています。おおよそ4人でライトパーティを組めば、適当にやってもサクサク敵を倒せるぐらいです。ただし、同時に出てくる敵の数が多いので、タンクとヒーラーは絶対にいたほうがいいと思います。

――ちなみに、全滅したらどうなりますか?

 全滅をしたら、もう出るしかありません。

――全滅が心配の場合は、8人を集めたほうがいいかもしれないですね。

 安全ではありますが、結構な頻度でポータルが開くので、8人全員がG8の地図を持っていると、けっこう時間がかかるかもしれませんね。

――プレイヤーが気になる部分といえば報酬ですが、具体的にどのようなものになるのでしょうか?

 マテリダからマテリジャまで、ドバっと手に入るレアモンスターとか、ギルを大量に持っているゴブリン族がいたりもします。これらは運しだいですが、レアモンスターたちは上から降ってきたりするので、それを倒せればさらに報酬が“ドン!”と上乗せされます(笑)。あとはオシャレ系の素材が入っていたり、クラフターの製作に有用なものもたくさん出ます。

 今までダンジョンのクリア報酬に設定されていたレアミニオンたちなど、わりとイロイロなコンテンツで取りにくいと感じられていたものが手に入ったりもしますよ。ですから戦闘ジョブオンリーで遊ばれている方も、それらを売却してギル稼ぎをしていただければ。

――宝物庫の名前から想像するとおり、ギルが儲かるダンジョンなんですね。

 正直、ギャザラーを主体としつつクラフターで遊ぶ人と、戦闘ジョブだけで遊ぶ人のギル格差が開きすぎていると危惧しています。戦闘オンリーの人にもギルをあげたいというのが目的の1つです。とはいえ、ギルを排出しすぎてもゲーム内の経済がインフレになるので調整が難しいですが、修理やコールマターの購入でギルの回収も増えているということもあり、気軽にそれらができるようにギルを排出していくつもりです。

――今後は古ぼけた地図自体の需要も高まりそうですね。

 とはいえ、18時間に1回は取れるので、無理して買い漁らなくても大丈夫じゃないでしょうか。むしろ、1週間ためこんでおいて週末に募集をかけてこなすスタンスでもいいと思いますよ。

――ちなみに、伝承装備の強化アイテムが出たりとかはしませんか?

 アクアポリスは何度でも自由に突入できるので、さすがに出ません(笑)。本当にギルを稼ぐことに特化したダンジョンだと思っていただければ。

パッチ3.35で実装されるディープダンジョンはどんな遊びができる!?

――少し先の話になりますが、パッチ3.35で実装予定のディープダンジョン“死者の宮殿”のお話を伺いたいと思います。まず、参加条件に関して、ロールは関係ナシに挑めるとのことですが、逆にDPSのほうがサクサク進めるといったことになったりはしないのですか?

 初めてダンジョン内に入ると全員レベル1からになるので、そんなに差はありません。むしろ、“クルセードスタンス”を修得する白魔道士は、序盤はかなり強いですよ。レベルはかなり上がりやすくなっているうえに、レベルが上がっていくとアディショナルアクションなども復活していきますのでガシガシ進んでいけると思います。

――普通のレベル上げと同じで、アディショナルアクションはセットした順番に開放されていくのですか?

 同じです。もちろん、あらかじめディープダンジョン用にアディショナルアクションのセット順は考えたほうが多少は効率がよいかもしれないですね。あまり意識するレベルではないと思いますが。ただ、ダンジョン内でアディショナルを変更するとリキャストが発生してしまうので、その点はご注意くださいね。

――パッチ3.35時点では、どれぐらいのレベルまで進めるものなのですか?

 パッチ3.35では、ラストフロアは50です。パッチ3.Xシリーズ中に1回アップデートをかけようと思っていて、そのときに200フロアまで増やす予定です。

――50フロアに到達するまでに、レベルはどれぐらいまで上がることを想定していますか?

 40フロア以降はレベル60になっているぐらいでバランスをとっています。残りの10フロアは、レベル60の状態で攻略する感じですね。

――踏破の記録はどれぐらいごとにされるものなのですか?

 10フロア毎にボスがいるので、ボスを倒せればセーブされます。

――最初は10フロアごとを目標にしていく感じなんですね。ちなみに、突入に関して制限はあるのでしょうか?

 回数に制限はなく、新規で始めてもレベル17以上から突入できます。ですので、お友だちとかも気軽に誘って一緒に遊んでください。ビギナーチャンネルにいる人たちを誘ってもらえたら、ちょっとうれしいですね。

――踏破の記録の具体的な仕組みを教えて下さい。

 そのダンジョンの中でしか効果の無い装備品を強化できる要素があります。その装備品のステータスと何フロアまで進んだかという情報があり、これらは2つのデータで保存されます。1つはマッチングを使う場合の個人フラグ。もう1つは、固定パーティでのフラグです。

 後者は“この4人パーティでのデータ”といった具合で記録されるので、その進行度で続きを始めたい場合は“同じ4人”を集める必要があります。もちろん固定パーティ用のセーブデータを使って、ソロで挑むとか、ふたりで挑むとかも可能です。

――別々のパーティで同じ進行度まで到達しているデータがある2人がパーティを組んだ場合は、どうなりますか?

 保存されるデータには進行度がそれぞれにあり、装備の強化状況は共通です。そのため、そのご質問の例だとフロア進行度は別のデータとして扱われるのでスタートはフロア1から、装備の強化具合はそれぞれに異なる、という状態からのスタートになります。

――1回目は4人で突入して、2回目はその内3人で再突入した場合もレベル1からですか?

 その場合は続きからになります。ただし、予定が合わなかった残りの1人と突入した3人は別のデータになってしまうので、もう同時には進めなくなります。言葉で説明するとわかりにくいのですが、ディープダンジョンは古きよき“FFスタイル”へのオマージュでもあるので、セーブデータのインターフェースを見てもらえば、一目でわかっていただけると思います。

――例えば20フロアまで進んでいて、やり直したいと考えた場合は1から再スタートできるのでしょうか?

 それは可能です。逆に、同じ状況で10フロアからやり直すことはできません。

――このコンテンツで、外に持ち出せる報酬は具体的に何があるのでしょうか?

 何度も突入して装備を鍛えていき、その装備の強化値が一定以上になった場合、その鍛えた装備を外に持ち出せるというのが報酬になります。

――どれぐらいの強さになるものなのですか?

 パッチ3.35で追加されるコンテンツですので、ILも実用的な高さにはなっています。とはいえ、かなり気軽に何度も遊べるコンテンツですし、伝承装備の強化版やアニマウェポンほどは強くならないと思います。

――むしろ、サブジョブ用の装備に丁度いいかんじでしょうか。

 そうですね。あとはミラプリ用に持ち出すのもアリだと思います。ただし、得られる装備の種類は突入したジョブで固定されるので、注意してください。

――ちなみに、ダンジョン内で得た経験値は外に出ても反映されるのでしょうか?

 ダンジョン内で得た経験値は、外に出たときにちゃんと割り戻します。なので、レベリングの経験値リソースにも使えます。さすがに、ダンジョン内で上がったレベルをそのまま反映するわけにはいかないですが、稼いだ経験値は外に持ち出せる、という感じです。

――なるほど、いろいろな目的で利用できますね。ところで、コンテンツ名にある“死者”という単語からエッダとかかわりがあるのでは……という予想がありましたが、その辺りはどうでしょう?

 トレーラーでもゴスロリ系な女性が出てきましたが……あとはコンテンツの実装をお待ちください。

 今回のディープダンジョンを制覇したうえで、特定クエストをクリアしていると発生するサイドクエストがあり、そこであるキャラクターの物語は完結になります。ただし、それにまつわる最後の真相を知るためには、フロア追加をお待ちいただくことになります。ぜひ、フロア追加の暁には、その真相を追って再び挑んでいただきたいと思います。

――少人数でやりごたえのあるコンテンツに挑みたいという人もいるかと思いますが、フロアが追加された際に4人で200フロアはかなり難しそうですか?

 シナリオの区切りは恐らく100階で区切ると思います。その先の200階までは、まさにチャレンジですね。まだ開発途中なので、このくらいとさせてください。

――ストーリーを見たいという目的もあるし、チャレンジしたいという欲求も満たせますし、今のエンドコンテンツに足りないものを求めてる人にはたまらないコンテンツになりそうですね。

3周年を迎える『FFXIV』。吉田氏が語る“今とこれから”

『ファイナルファンタジーXIV: 蒼天のイシュガルド』

――ディープダンジョン“死者の宮殿”を含め、『蒼天のイシュガルド』ではいくつかの挑戦的な新コンテンツが実装されてきました。そういった意味で、これらの新コンテンツを実装することにした経緯と全体的なコンセプトを改めて教えて下さい。

 息の長いMMOの宿命なのですが、現世代のMMORPGではやはりレベルがカンストしてからが遊びの本質です。こうなってくると、基本全員がレベルカンストして遊んでいる。

 しかし一方で、リアルの友だちが新規でゲームを始めたときに、ダンジョンのレベルシンクだけでは「一緒に遊ぶ」という、最も重要な部分がフォローしきれません。その両者をつないで一緒に遊べるものが必要だと感じていました。

 さらに、コンテンツ攻略の予習なしで気軽に遊んでもらいたいという部分と、ロールに縛られてマッチングが遅いという部分。この3つに対し拡張パッケージのパッチシリーズを続ける上で、何かしら新しい試みをしたいと話していたんです。

 その解決案として幾つかに役割を分担し、考えていたのが、パッチ3.Xシリーズの中で“探索系コンテンツ”、“ディープダンジョン”、“宝物庫”の3つを入れていくという案です。

――となると、今回でそのすべてがひと通り揃った形ですね。

 “雲海探索 ディアデム諸島”のような“探索系コンテンツ”は実験的な部分が大きいので、ここから得られたものを先々に生かしていこうということを前提に開発しました。ここに関しては、第1世代MMOの価値観と現世代MMOの価値観、次の世代MMOの価値観をテストしていく必要がありました。

 ゲームのライフサイクルを少しでも伸ばすためにはこういう実験も続けてやっていかなくていけないと考えています。

――となると、パッチ3.Xシリーズの後半には雲海探索の新しいものが出てくる予定ですか?

 雲海探索の新しいものというか、次の探索コンテンツは、世界中からいただいたフィードバックを元に、遊び方を全く変えたりしています。開発チームのなかにも、考え方が第1世代寄りなスタッフと第2世代寄りなスタッフがいて、意見を交えあって開発を進めています。

 『FFXIV』は第2世代型のMMOですが、そこにもある程度の第1世代寄りの要素を入れたいというスタッフも多く、まずは思う通りに作ってみたというものが“雲海探索ディアデム諸島”です。しかし、コンテンツやシステムがプレイヤーの皆さんを引っ張る部分や、コンテンツとして遊びを保証する部分は必要だということが、いただいたフィードバックからよりはっきりと見える結果となりました。

 次にそれを生かして作るのであれば、やはり第1世代と第2世代の要素のミックスは、しっかり行わなければいけないのだというのが今回の反省点です。

――第1世代的な楽しみを残しつつも、もうちょっとカジュアルな感じでしょうか?

 というより、会話がなくても報酬を確定できる要素や、極端な自由度ではなく、コンテンツが引っ張っていく部分ですね。昔みたいに、自分たちで調べて自分たちで延々と張り込むような要素や、ただ単にモンスターをファームするだけでは時代に合っていないので、必然性をもっと強くしてフィールドにいる全員を巻き込むぐらいのものを用意しようと話しました。

 それらを踏まえて、新しい探索系コンテンツでは雲海探索の要素を感じつつも、雰囲気はかなり違うものを作っています。なお、今回のディープダンジョンは“死者の宮殿”ですが、ディープダンジョンというシリーズは今後もコンテンツカテゴリとして、続けていきたいと考えています。

――次はパッチ4.0以降になる感じですか?

 そうですね。一応、次の場所も外観も決まっています。

――それらのコンテンツやパッチ3.2の初心者の館もそうですが、最近は初めたばかりの人でもチャレンジできるものに力を入れている印象を受けます。

 『FFXIV』の開発チームのよい部分は、2年先までのざっくりとした計画と、半年先までの細かい計画が立てられているところだと考えています。

 今はエキスパンション(拡張パッケージ)の端境期だと思っているので、このあたりで新規プレイヤーの盛り上げや、既存プレイヤーへの継続性を作っていかないと、新旧がちゃんと混ざれて拡張パッケージを待てないと思うので、意図的にそうしています。

 拡張パッケージのタイミングはPRも派手にやりますので、新規の方も入ってきやすいですし、復帰者も多いタイミングです。ですので、むしろ今のようなタイミングで、既存プレイヤーの皆さんへのコンテンツ提供と同じように、フリートライアルを通じて入ってきた方たちを、新たな世代として継続してプレイを続けてもらえるような努力も、同時に力を入れる必要があると感じています。

――むしろ新規の人にとっては、この6月から7月が始めるにはいいタイミングということですね。

 はい。この夏にはいろいろとキャンペーンも仕掛けたいと思っています。

――まだお答えにくい質問かと思いますが……。今年はPS4の動きがすごく活発で、年末までで考えれば相当数増えるのではないかと思いますが、そんな中でPS3との両立はいつぐらいまでを考えていますか?

 以前からお話ししている通り、3.Xシリーズ中はしっかりサポートさせていただきます。それ以上はまだ言える状態ではありません。

――6月にはE3があり、8月にはいよいよ3周年を迎えます。パッチ3.3からそれらに向けての抱負をひと言いただけますか?

 プレイを丸3年継続できるMMORPGが、最近は本当に少なくなってきているので、『FFXIV』が新生してから3年を迎えられるというのは、プレイヤーの皆さんがあってのことだと本当に感謝しています。

 今年の夏は、ゲーム内でもいろいろな盛り上げを実施しつつ、プレイヤーの皆さん、そして開発/運営チームを含めたみんなで3周年をお祝いできればなと思っています。8月を過ぎたら10月にはファンフェスが始まり、また『FFXIV』の今後のお話しをしっかりお伝えしつつ、その先の未来を皆さんと一緒に作っていけたらと思っています。どうぞこれからもよろしくお願いいたします!

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