全ての人の魂に響いた！ 『ペルソナ』シリーズの楽曲のみで構成されたGSJ 18thコンサートをレポート

文：電撃PlayStation

　『ペルソナ』シリーズの20周年を記念して、2016年8月13日に東京・池袋の東京芸術劇場で“GAME SYMPHONY JAPAN（GSJ） 18th CONCERT ATLUS Special ～ペルソナ20周年記念～”が開催されました。

　本公演は『女神異聞録ペルソナ』から最新作『ペルソナ5』まで、『ペルソナ』シリーズの全ナンバリングタイトルから楽曲をチョイスして演奏するスペシャルコンサート。さらにアンコールでは、目黒将司氏をはじめとした『ペルソナ』シリーズの楽曲を手がけた作曲者のみなさんのトークコーナーまで設けられました。ここでは全ての『ペルソナ』シリーズファンのために公演された本コンサートの模様を、セットリストとともに振り返ります。

初めて尽くしの『ペルソナ』シリーズオーケストラ。ファンの熱気は開演前から最高潮！

　過去『ペルソナ』シリーズのライブは数多く行われ、オーケストラのプログラムにも取り上げられたことはありましたが、1公演まるまる『ペルソナ』シリーズというのは今回が初めてのこと。さらに『女神異聞録ペルソナ』『ペルソナ2 罪／罰』の楽曲が取り上げられるのも初。

　また『ペルソナ5』のオープニング曲“Wake Up, Get Up, Get Out There”はボーカルを手がけるLynさんの登壇も含めて世界初演と、初めて尽くしとなった今回のコンサート。会場は開演前から期待に胸を膨らませたファンの熱気であふれていました。

▲クマも応援に駆けつけました！

“ゲーム体験”を呼び起こす仕掛けが満載。コンサートの新たな形はここにある！

　“ゲームのプレイ体験を想起させるコンサート”がコンセプトの“GSJコンサート”。すべてが見どころであり聴きどころだった今回の公演、あえてポイントを挙げるとするならば、“演出”“パイプオルガン”“コーラス”でしょうか。

　過去のGSJコンサートにはなかった新しい試みとして、今回は照明による演出が全楽曲にわたりコンサートを盛り上げました。開演後すぐに会場は暗転。続いて青の照明が舞台一面を彩るなか、『ペルソナ3』の“全ての人の魂の詩”の歌唱を担当していたご本人である、小宮知子さんが登壇。“ベルベットルームの歌姫、ベラドンナ”さながらに“全ての人の魂の詩”を鮮やかに歌い上げました。まさに会場はベルベットルーム、客席に座るファンの皆さんはペルソナ使い。ゲームの一場面が抜き取られ現実に出現したかのようでした。

▲各タイトルのシンボルカラーを軸に、場面場面で象徴的だった色使いを再現。写真は『ペルソナ4』“Heaven”が演奏された会場の様子。ゲーム中でこの楽曲が流れるダンジョン、“天上楽土”をイメージしています。

　また、パイプオルガンから鳴り響く荘厳なメロディはオーケストラならでは。特に『女神異聞録ペルソナ』“オープニング”や“死線”、『ペルソナ2 罪』“オープニング”など、『女神転生』シリーズの香りが残る楽曲で、重厚な音色を強烈に感じることができました。

　『ペルソナ3』“The Voice Someone Calls”では東京芸術劇場独特の、3Fまでそびえ立つ巨大なパイプオルガンを“タルタロス”に見立てた緑の照明でライトアップ。“奏でる音”だけでなく“そこにあるモノ”としてもその存在感を存分に味わうことができました。

▲かなり引きのアングルから撮ってやっと全景が収まるほどの巨大なパイプオルガン。

　そしてコーラスを担当した東京混声合唱団は、『女神異聞録ペルソナ』“戦闘～テッソ”では招き猫のようなしぐさとセットで、あの「ニャ～」をコーラスで再現。『ペルソナ3』“キミの記憶”では、川村ゆみさんと合唱団とで交互に歌い上げました。寄せては返す波のように交互に耳に響くボーカルとコーラスに、『ペルソナ3』の“キミとの記憶”を呼び覚まされたファンも多かったのではないでしょうか。

　また、『ペルソナ4』“Reach Out To The Truth -First Battle-”ではラップにも挑戦、電車が走り出すあのシーンから始まった“Never More”の間奏では手拍子を挟んでステージ上と客席がコミュニケーションを取り合う多彩な演出で、常に会場のファンを盛り上げていました。

世界初演！　『ペルソナ5』オープニング楽曲フルバージョンをLynさんが熱唱！

　プログラムのトリを飾る『ペルソナ5』のオープニング曲“Wake Up, Get Up, Get Out There”はフルバージョンで全世界に先駆け初登場し、これをLynさんが圧倒的な熱量で絶唱！　ソウルフルでエネルギッシュなLynさんの歌声は、生で聴くとその力強さが何倍にもアップ。オーケストラも客席も、すべてを引き込むかのようなLynさんの歌声に、ファンの『ペルソナ5』への期待もいっそう高まったに違いないでしょう。

▲テンションMAXのLynさん。アドリブも飛び出しました。

アンコールも超充実。驚きの楽曲も飛び出した！

　プログラムだけでも超充実の本コンサート、当然アンコールの密度も相当なもの！　イントロが演奏された瞬間「マジで!?」と言わんばかりに会場がざわついた“サトミタダシ薬局店のうた”は、合唱団が爽やかに1ループ目を歌い上げると、2ループ目はフルオーケストラの力を存分に発揮した大胆なアレンジを披露。これまでに聴いたことのない壮大な薬局店のテーマに、会場からは喝采が絶えませんでした。

▲意外な選曲に会場からはどよめきがおこりました。

　続く“ジュネスのテーマ”で川村さんとLynさんが初共演したあとトークコーナーを挟み、再び小宮さんがアンコール最後の楽曲となる大トリ“全ての人の魂の戦い”を熱唱。夢中で見て聴いて、気がつけば2時間半があっという間に過ぎ去っていた公演でした。

『ペルソナ』シリーズの楽曲を手がけた作曲家のみなさんも登壇。トークコーナーも充実！

　GSJのコンサートはゲームプレイを想起させる演奏だけでなく、作曲家の生の声が聞けるのも大きな魅力のひとつ。今回は“ジュネスのテーマ”と“全ての人の魂の戦い”の間にトークコーナーが設けられ、出演者の小宮さん、川村さん、Lynさんに加え、アトラス・サウンドチームの目黒将司氏、土屋憲一氏、喜多條敦志氏、小塚良太氏、小西利樹氏が登壇。当初は観客席で聴いていたみなさんが座席から立った瞬間、会場はファンの歓声で埋めつくされました。

　興奮を抑えきれない様子で登壇した目黒氏は、オーケストラを褒め称えつつも「クラップのタイミングなどすべて理解していただいている、ウチのファンはどうですか！　素晴らしいでしょう！」と語った姿がとくに印象的でした。また「昔の楽曲を聴くと恥ずかしくなってしまう」と語る土屋氏からは「まさに“暗黒ヤング伝説”です」という『ペルソナ2』に登場するボスキャラ・ハンニャ校長の必殺技に乗っかったコメントも飛び出し、会場がファンの暖かい笑い声に包まれる一面もありました。

作曲家、編曲家、出演者、会場、そしてファンによる“スター・スプレッド”が、 未だかつて体感したことのないコンサートを作り出す！

　今回の公演で感じたのは“ファンの『ペルソナ』愛の深さ”。目黒さんがファンのみなさんを褒め称えた一幕のほかにも、指揮者・志村健一氏の「1曲ごとに拍手をいただけるのは大変ありがたいのですが、本当はシリーズ単位で楽曲に没頭してほしくて……」というコメントも飛び出すほど、ファンの皆さんは『ペルソナ』シリーズと、アーティストに対して深いリスペクトを持っているのだなと、改めて実感するコンサートでした。

　ゲーム楽曲を作る作曲家、それをオーケストラにあわせてアレンジする編曲家、実際に音を生み出す演奏者と歌手、ゲームの1シーンを再現する演出家たちによって作られたオーケストラに、それを盛り上げるファンが加わって、他に類を見ないものとなった今回のコンサート。“ゲームプレイを想起させるコンサート作り”を掲げるGSJですが、今回の公演で“ゲームプレイ中にGSJのコンサートを想起する”ファンもきっと数多く生まれたのではないかなと思います。

出演者のみなさんのコメントをご紹介！

　最後に、コンサート終演後に出演者のみなさんから頂戴したコメントをご紹介します。

■アトラス・サウンドチーム
目黒将司氏
　アレンジについては完全にお任せしていたのですが、大胆にアレンジしてくださったものと、原曲に近づけてくださったもの、両方が聴けてよかったです。演出も凄かったですし、素晴らしいコンサートでした。とくに、小宮さんとは最後にお仕事をしたのは10年以上前ですし、今回“全ての人の魂の詩”が聴けて本当によかったです。

土屋憲一氏
　20周年という節目を迎えて『女神異聞録ペルソナ』や『ペルソナ2 罪／罰』の楽曲が改めて脚光を浴びる機会をいただき本当にありがたいと思っています。長くやっていたらいいこともあるんですね。アトラスに20年いてよかったなぁと思います（笑）。

喜多條敦志氏
　終始、音の重厚感に圧倒されっぱなしで、オーケストラって本当にすごいんだと思いました。大勢の人の手で演奏されていることで、暖かみが増し、音に命が吹き込まれたと言うか、イキイキとした感じがありました。

小塚良太氏
　完全にお客さんとして聴いてしまいました。トークコーナーでは僕から順番で壇上に上がることになっていたのですが、それも忘れて、しばらく感慨にふけっていました（笑）。本当に素晴らしかったです。

小西利樹氏
　20年前にゲームをやっていた当時を思い出しました。作品ごとにそれを思い出してしまって、ウルッと来るところもありましたね。本当に素晴らしい演奏でした。

■歌手
小宮知子氏
　今日はフルオーケストラで歌わせていただいて、気持ちよかったです。“全ての人の魂の詩”は10年ぶりに歌わせていただいて、照れくさい気もしましたけど、私自身も大好きな曲ですし、こういう場面で歌わせていただいたことを本当に幸せに思っています。

川村ゆみ氏
　今回初めてオーケストラに触れる機会を得たのですが、また違う世界が広がりましたね。オーケストラの音圧って、またバンドとも全く違うのですごくプレミアムな体験になったと思います。感情が爆発しすぎて体がついてこない感じでした。実現したのは本当に凄いことだと思います。次回も楽しみです！

Lyn氏
　本当に気持ちよかったですね。人生初のフルオーケストラですし、そもそも何かの主題歌を歌うということも初めてですし、初めて尽くしで、アトラスさんは私に一体何をさせたいんだろう、って思っちゃうくらいです（笑）。もし気に入っていただけたのなら、どんどんご意見をいただければ、皆さんの前で歌える機会もどんどん増えると思いますので、よろしくお願いします！

■指揮
志村健一氏
　GSJが念願だったアトラス作品のコンサートがついに実現しました。『ペルソナ』シリーズ20周年の折に開催できて大変光栄です。初めて『ペルソナ』シリーズ楽曲に取り組みましたが、演奏していてどんどん惹き込まれて行きました。今回のコンサートを経て皆様から多くのご意見・ご感想を頂戴致しました。譜面の改定やホールの音響環境とシステムを再考し、次回に向けて準備を進めていきます。スコアは演奏を重ねて成熟して行きます。次回の公演は更に良い演奏になる様にキャスト一同、全力で精進します！

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　『女神異聞録ペルソナ』から最新作『ペルソナ5』まで、20年の歴史を1夜で堪能できた“GAME SYMPHONY JAPAN 18th CONCERT ATLUS Special ～ペルソナ20周年記念～”。その反響から、すでに追加公演も決定しています。次回の“GAME SYMPHONY JAPAN 19th CONCERT ATLUS Special ～ペルソナ20周年記念～”は11月27日、東京オペラシティ コンサートホールにて開催予定。次回の公演も絶対注目！　です！

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