News

2016年9月9日(金)

PS4 Proの登場によりゲーム開発の幅が広がる? PlayStation Meeting 2016で開発のキーマンにインタビュー

文:電撃オンライン

 アメリカ・ニューヨークにて、現地時間9月7日より開催された“PlayStation Meeting 2016”。同会場で発表された、映像処理能力が向上した“PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)”と小型・軽量化された新型“PlayStation 4(PS4)”についてお話を伺うことができたので、その内容をお届けします。

『PlayStation』
▲インタビューに答えてくださったSIE副社長・伊藤雅康氏。

――小型・軽量化された新型“PlayStation 4”と映像処理能力が向上した“PlayStation 4 Pro”の2モデルが同時に発表されましたね。2モデルが出るというのはこれまでなかったかと思いますが、2モデルにした意図はあるのでしょうか?

 もともとPS4 Proのほうは2014年から開発をスタートしていました。PS4が発売してから1年後くらいですね。その頃から4Kテレビが普及し始めていました。今までにはない試みだったのですが、ハイエンドモデルを出したいというのはその時点で考えていました。

 一方、今までのPlayStationの歴史でも、値段を安くし小型化したモデルは出していますので、それも別路線で開発を進めていました。それが今回たまたま同じ時期に出せた、というのが理由としては大きいですね。

『PlayStation』
▲PlayStation 4 Pro(PS4 Pro)。

――将来的な4Kの普及というところで、ソニー全体としてそちらにシフトしていくということなのでしょうか? 戦略的な意味も?

 正直なところ、ソニー側と一緒にそうした戦略を作った、という訳ではないのですが、ソニーだけでなく世の中の他のメーカー様も含めて4Kテレビがどんどん普及していましたので、そういったモデルはやりたい、やらなければいけないとは感じていました。

――いずれは、PS4 Proが主流になるのでしょうか?

 それはどうでしょう。正直なところ、まず市場に出してみて、ユーザー様の反応をお伺いしたいなと考えています。

 我々としてはユーザー層を増やしたい、つまり、ハイエンドのPS4 Proはコアなユーザー様に手に取ってもらう。一方で安価の新型PS4はエントリーモデルといいますか、ライトユーザーの方々に手に取ってもらいたいと考えています。そういった意味ではどちらかが主流といったことは、あまり考えていません。

――開発について、4K対応のゲームは、今後当たり前になっていくと思いますか?

 このたび、PS4 Proの構想をいろいろなデベロッパー様に伝えに行った時に、やはり皆さん、非常に注目していただけたんですね。というのも、クリエイターの皆さんは自分の表現に対し、より繊細かつ詳細な絵を描きたいと思われていたのです。

 4KとHDRに対応する、と伝えた時には皆さん「おー!」といった雰囲気でして。そういう意味では、それを使って、どんどん表現を豊かにされていくのかなと思っています。

――少し懸念したのは、今でもAAAタイトルとインディーとで、二極化しつつありますよね。4Kが主流になってくるとなると、その格差も広がるのかなと思ったのですが。

 今回、PS4 Proは映像表現もそうなのですが、フレームレートを上げたりといったところのパワーもあります。これについてはそれぞれのデベロッパー様の考え方もあるかと思うのですが、映像表現はそこそこに抑えて、しかしフレームレートはすごく上げて、といった作り方も考えられます。

 もちろん逆のパターンもありますし、いろいろな選び方や作り方ができると思います。そういった意味では、作り方の幅が広がったと考えています。AAAとインディーで格差が広がるとは考えておらず、それぞれのデベロッパー様の取り組み方次第かなと捉えています。

――現行のPS4に合わせたゲームの他、PS4 Proに特化したゲームが登場することもあるのでしょうか?

 昨日のカンファレンスでアンドリュー・ハウスからも発表させていただきましたが、ワンコミュニティという形を考えています。つまり、PS4 Proで遊んでいただく方も通常のPS4で遊んでいただく方も、同じタイトルで、同じ環境でネットワーク対戦などを遊べるようにということです。

 そのような意味で、現在ライセンシー様には「両方を作ってください」とお願いしていますので、PS4 Proだけになるようなことはないと考えています。

――PS4 Proと現行モデルでオンラインゲームを遊んだ場合、プレイの違いは出てきてしまうのでしょうか?

 正直なところ、何も考慮せずに開発してしまうと差は出てしまいます。ですので、いろいろと工夫をしていただけるようにはお願いしています。ゲーム性では差がでないように、映像表現で違いを出したいと考えています。

――これまで発売されたPS4のゲームをPS4 Proで起動させると、それだけで何か違いは発生しますか?

 4Kにはできませんが、たとえば720pで作られたゲームを1080pにアップスケーリングして出すことはできます。

――グラフィックスの性能が各段に上がっていると思うのですが、PS VRをプロセッサーユニット無しで起動させるということもできるようになるのでしょうか?

 それはできません。プロセッサーユニットなしでPS VRを起動するのは無理です。

――PS4 Proという名称については、どういった意図で付けられたのでしょう?

 いろいろな名称を考えたのですが、今回はハイエンドということで「ハイエンドに値する名称って何だろう?」と考えた末、PS4 Proになりました。

 難しいラテン語なども候補には挙がっていたのですが、そういったものよりもPS4 Proとしたほうがストレートでわかりやすいかなと思いまして。

――PS4 Proの発売が11月10日と、登場時期が意外と早いなと思いました。11月という時期には何か意味が?

 今年の年末商戦には間に合わせたかったのです。特にアメリカはブラックフライデーが11月の終わりですので、それより前には出したいと考えました。

――日本のメーカーのタイトルのリリース状況などは?

 各ライセンシー様に積極的に作っていただいています。東京ゲームショウ近辺でいろいろと出していただけるのではないかと思います。

――PS4 Proですが、モデルチェンジという意味ではまだ3年。この短期間で大きなモデルチェンジが来たというのはこれまでなかったですよね。今後もPS4世代でのモデルチェンジは考えられているのでしょうか?

 正直なところ、この先どうなるかはまだ申し上げられません。今回、確かに新しい試みなのですが、たとえばスマホなどですとモデルチェンジがものすごく速いタイミングで行われています。

 そのような意味ではユーザーの皆さんもモデルチェンジに慣れてきていらっしゃるのかなと思っています。これまでのPlayStationですと、2の世代も3の世代も、同じスペックで6年から8年やってきました。ただ、その間にPCのスペックがどんどん上がって、差が開いてしまうのです。

 ですから、ハイエンドユーザーの皆さんからすると、物足りなくなっていくというところで、今回ハイエンドモデルを出したいなと思った次第です。

――その展開自体は、PS4が発売される前から想定されていたのでしょうか?

 PS4 Proは開発を始めたのが2014年ですので、PS4が出た次の年くらいからスタートしました。PS4の登場当初から、今の展開を考えていた訳ではありません。

――現行のPS4と小型・軽量化した新型PS4で比較した際、PS4のゲームを起動すると何か変化はありますか?

 それについては変わりないです。変えるとまずい部分ですので、そこは一緒にしています。

『PlayStation』
▲新型PlayStation 4。

――周辺機器についてですが、DUALSHOCK4やPlayStation Cameraのデザインが変わっていますね。性能面での変更点はあるのでしょうか?

 PlayStation Cameraのほうは性能的な変更点はないです。デザインを丸くして、角度調整をしやすくしています。DUALSHOCK4のほうは、USB接続、USB通信に対応しました。

 たとえばeスポーツで、いろいろとフィードバックをいただいていたんです。無線接続ですとレーテンシーが大きかったり通信妨害などで、eスポーツにはあまり向かないという声がありました。そこで、充電のみに使用していた有線接続を、通信にまで対応しました。

『PlayStation』

 ちなみにPlayStation Move モーションコントローラーについては、今までと同様です。

――どうもありがとうございました。

(C)2016 Sony Interactive Entertainment Inc. All Rights Reserved.