2016年12月6日(火)
『ペルソナ』シリーズの20周年を記念し、2016年11月27日に東京・新宿の東京オペラシティで“GAME SYMPHONY JAPAN(ゲームシンフォニージャパン。以下、GSJ) 19th CONCERT ATLUS Special ~ペルソナ20周年記念~”が開催されました。
本コンサートは、2016年8月に開催されたGSJ 18thコンサートの追加公演。追加公演とは言うものの、前回公演で演奏されなかった楽曲がプログラムに追加されたほか、目黒将司氏をはじめとしたアトラスサウンドチームのフリートークコーナーも前回と同様に用意されており、前回来場したファンも十分に楽しめる内容。今回も思い出に残る、素敵なコンサートとなりました。
ちなみに、『ペルソナ』シリーズの楽曲のみで構成されたオーケストラコンサートは、2016年8月に公演されたGSJ 18thコンサートに続き、2回目。ここでは第18回公演との違いを中心に、第19回公演の模様を、セットリストとともにレポートしていきます。なお、第18回公演のレポートはコチラ。
GAME SYMPHONY JAPAN 19th CONCERT ATLUS Special
~ペルソナ20周年記念~
セットリスト
※★は今回新たに演奏された楽曲
●女神異聞録ペルソナ
・全ての人の魂の詩
・オープニング
・神話覚醒
・戦闘~テッソ
・死線
★雪の女王
●ペルソナ2 罪/罰
・オープニング
・聖槍騎士団
・ジョーカー・テーマ
・君のとなり
・オープニング
・舞耶・テーマ
・ボス戦闘
・Change Your Way
●ペルソナ3
・Burn My Dread
・Heartful Cry
・私が守るから
・キミの記憶
●ペルソナ4
・Pursuing My True Self
★I'll Face Myself -Battle-
・霧
・Never More
●ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス
★changing me
●ペルソナ5
・Wake Up, Get Up, Get Out There
★Life Will Change
★Beneath the Mask
★Price
★Our Beginning
●アンコール
・サトミタダシ薬局店のうた
★時価ネットたなか
★ペルソナ音頭
・ジュネスのテーマ
・全ての人の魂の戦い
ゲームの面白さだけでなく、楽曲のクオリティの高さにも定評がある『ペルソナ』シリーズ。前回公演は発表と同時にファンの間で話題となり、チケットも即完売。その反響を受けて開催が決定となった今回の公演も、やはりファンの熱気は相当なものでした。
▲会場ではクマとモルガナが来場した方々をお出迎え。 |
前回は東京芸術劇場で行われた『ペルソナ』シリーズのオーケストラコンサート。今回のホールは前回と比べると一回り小さく、高さがあった印象。ホールが変われば音の響き方も変わるということで、今回は音の密度がとくに濃いように感じました。また、天井がピラミッドのような形をしているのも特徴で、『ペルソナ5』をプレイしているファンはピラミッドのパレスを思い出したのではないでしょうか。
パイプオルガンの形も異なっており、前回はタルタロスのエントランスのような存在感を放っていたのに対し、今回はまるでペルソナの“キンキ”の頭のような形。こういった“ホールごとの個性を味わう”という楽しみ方は、ライブと比較するとオーケストラならではなのかもしれませんね。
前回と今回の公演でとくに違いがあったこととしては、『ペルソナ4』のボーカルを務めた平田志穂子さんが『ペルソナ』シリーズのオーケストラに初参加されたこと。『ペルソナQ シャドウ オブ ザ ラビリンス』のエンディングテーマ曲“changing me”では川村ゆみさんとの共演で、感動の余韻冷めやらぬスタッフロールをファンの脳裏に呼び覚ましました。
また、今回は『ペルソナ5』発売後、初の公演ということで『ペルソナ5』の楽曲が大幅に追加されていたこともポイント。パワフルさを増したLynさんのボーカルや、大胆なオーケストラアレンジを施された特徴的な『ペルソナ5』の楽曲の数々を聴くことで、プレイ中、あるいはクリアしたばかりのファンにとって、『ペルソナ5』がより思い出に残るゲームの1本になったことは間違いないでしょう。
このほかにも、ゲームプレイを想起させる仕掛けの1つとして前回も実施された照明効果は、新たなホールにあわせてすべて演出が変更されていたり、オーケストラの譜面も前回からブラッシュアップが施されていたりと、微に入り細に入りパワーアップ。演奏者から裏方のスタッフさんまで、オーケストラに携わる全ての人の“ペルソナ愛”を確かに感じることができました。
▲東中千佳さんが新たなベルベットルームの歌姫として歌い上げました。前公演で、“全ての人の魂の詩”を歌われた小宮知子さんは、今回は出産直後のためお休み。 |
前回公演では“サトミタダシ薬局店のうた”の壮大なオーケストラアレンジなどが話題となったアンコール。今回は和太鼓と三味線が“ペルソナ音頭”のためだけにオーケストラに加わり熱演! 東京混声合唱団の「ぺ~るぺ~るぺ~るっそな~」に心を奪われたファンもさぞ多かったことでしょう。このほか、川村さん、平田さん、Lynさん、の3名の歌姫が“ジュネスのテーマ”を歌うなど、通常のオーケストラではほぼ間違いなく聴けない楽曲を、今回も豪華キャストによる全力のパフォーマンスで楽しむことができました。
▲パンフレットのアーティスト欄を見てうすうす“ペルソナ音頭”の存在に気づいていた勘の鋭いファンもいらっしゃったようですが、まさかここまで本気だったとは想像できなかったのでは!? |
▲指揮者の志村さんも含めて「エヴリディ・ヤングライフ! ジュネス!」 |
さらに、キャストとアトラスサウンドチームが一堂に会したトークコーナーでは、川村さんが「みなさまとともに成長しております!」というコメントで会場の笑いを誘うと、それに続いて全員が「みなさまとともに成長しております!」と被せていくなど、ファンとの“絆”を感じる一幕も。アトラスサウンドチームの土屋氏は「既に3回目の公演が予定されていますが、4回、5回と続けていってほしい」と語るなど、『ペルソナ』を通じてクリエイター、ファン、オーケストラ公演に携わる全ての人との新たな“絆”の誕生も感じられる、温かなオーケストラでした。
最後に、コンサート終演後に出演者のみなさんから頂戴したコメントをご紹介します。
■アトラス・サウンドチーム
目黒将司氏
今回もプロ魂を拝見させていただきました。素晴らしかったです。個人的には『ペルソナ5』のボーカル入りの楽曲を、オーケストラサウンドで2曲も演奏していただいたのがうれしかったですね。12月の公演は“Our Beginning”の後に“星と僕らと”を演奏していただけるとのことなので、なお素晴らしいものになると思います。それと、『ペルソナ5』のオリジナル・サウンドトラックは2017年1月17日発売なので、そちらもよろしくお願いいたします(笑)。
土屋憲一氏
今回は『ペルソナ5』からの演目も増え、シリーズを通して順番に聴いていくと作曲コンセプトの変遷が良く分かるのが面白かったです。ホールによって音の響き方もずいぶん変わり、回を重ねるごとに味わいが変わっていくのもオーケストラの醍醐味かなと思いました。気が早いですが、ぜひ4回目、5回目もやった方がいいですよね!?(笑)。“ペルソナ音頭”はプロが本気になったらああなるのかと……ビックリしました(笑)。“雪の女王”も季節柄入れていただけてよかったです。
喜多條敦志氏
今回、私が制作した楽曲からは『ペルソナQ』の“changing me”を演奏していただいたのですが、オーケストラをバックに川村さん、平田さんの2人で歌っていただけるなんて、大変光栄でした。演奏はもちろん、アレンジも素晴らしく、クライマックス感もあって本当によかったです。パイプオルガンのパートでは思わず涙が出そうになりましたし、とてもありがたかったですね。
小塚良太氏
『ペルソナ5』の楽曲もたくさん演奏していただいのを聴いて、いよいよ“ペルソナサウンド”の系譜として組み込まれたんだなぁ、と感じました。個人的には、前回に続き、“ジュネスのテーマ”を演奏して頂いた上に、今回は歌唱のお三方がリレーで歌ってくださり感無量でしたね。この曲が作れてよかった!(笑)また、前回と同じ曲目も今回は更に洗練されていて、次の公演も凄く楽しみになりました。
小西利樹氏
2度目の公演ということで、ある程度予想していたところはあったのですが、ホールの違いや生演奏ということもあって、前回とはまた違った感じで聴けて凄く新鮮でした。いい意味で裏切られましたね。今回の公演のみ『ペルソナQ』から“changing me”を演奏していただいたのですが、聴きながら作っていた当時を思い出してグッと来ました。“ペルソナ音頭”もあそこまでこだわってカッコよく演奏してもらえるとは…。次回の公演がますます楽しみになりました。
■歌手
川村ゆみ氏
前回を経験したこともあって、より気持ちを込めて歌うことが出来ました。“changing me”は「今回は平田ちゃんも来るのでぜひ!」と言って私がリクエストさせていただいたのですが、本当にやらせていただいて、すごくよかったですね。赤坂BLITZから東京オペラシティまで来て、次はサントリーホールなんですよね。本当にみなさんといっしょに成長させていただいております!
平田志穂子氏
コーラスの方もたくさんいらっしゃったので、ウキウキでノリノリで、歌わせていただきました。とっても気持ちよかったですね。バンドとは違ったやわらかい音だったので、楽しかったです。12月の公演も、それだけを頼りに頑張って生きていこうかなっていうぐらいすごく楽しみです!
Lyn氏
今回もめちゃくちゃ緊張しちゃいました。みなさんオーケストラということでフォーマルなクラシックな聴き方をずっとされるだろうな、と思ったので、私の部分は少し違った形で聴いていただきたいなと思って、クラップも混ぜさせていただきました。みなさんが楽しんでいただけていたらいいなと思います。12月はエンディング曲も歌わせていただけますので、また頑張らせていただきます!
指揮
志村健一氏
今回は8月とはコンサートホールを変えての公演となりましたが、すべての公演はホールの特性に合わせ、オーケストラが順応して演奏していきます。東京オペラシティはアコースティックに優れたホールの1つで、響きが豊かなんです。今回のプログラムの特性上、オーケストラと一緒にバンドやゲスト歌手が演奏するので、ホールの特性を活かしつつ、全体の響きの調整にすごく時間をかけました。“時価ネットたなか”、“ペルソナ音頭”は人気曲のアンケートの上位に来る楽曲だったので、何とかして『ペルソナ』シリーズ楽曲ファンの皆様にお届けしたいと思っていました。私はまだ『ペルソナ5』は8月までしか進めていないんですよ。ですが、今まさにプレイしている瞬間に選曲をしたので、より臨場感が沸いてきましたね。こういう感覚は今回が初めてです。12月の公演はエンディングテーマ曲を演奏させていただきますが、それまでに頑張ってクリアします! 8月の公演から楽譜を調整をしましたが、もちろん次回に向けても調整します。サントリーホールは日本のコンサートホールの中でも最高峰のホールですので、みなさんに集大成をお見せできるようにしたいと思っています。ぜひ楽しんでいただければ幸いです。
第18回公演、第19回公演の集大成となる“GAME SYMPHONY JAPAN 21st CONCERT ATLUS Special ~ペルソナ20周年記念~”は12月25日、サントリーホールにて開催予定。クリスマスの夜、ベルベットルームから響く魅惑の楽曲の数々に目と耳が離せない!
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