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2017年2月24日(金)

瀬戸麻沙美さんに『ポッピンQ』のリズムゲームアプリや映画についてインタビュー!

文:カワカミ雁々

 セガゲームスから配信中のスマートフォン用アプリ『ポッピンQ Dance for Quintet!』。本作の配信開始を記念して、声優の瀬戸麻沙美さんにインタビューを行いました。

『ポッピンQ』

 本作は、2016年12月に公開された東映アニメーション60周年記念の劇場アニメ作品『ポッピンQ』を題材にしたリズムゲームです。瀬戸さんは、映画およびゲームアプリで小湊伊純役を務めています。

『ポッピンQ』
『ポッピンQ』
▲小湊伊純。

 劇場版『ポッピンQ』は、住んでいるところも性格もまったく異なる5人の少女が、世界の崩壊を食い止めるため、全次元の時間をつかさどる場所“時の谷”で奮闘する物語です。5人の少女がそれぞれ抱える悩みや葛藤、そして彼女たちの成長が描かれます。黒星紅白さんの描くキュートなキャラクターや、3DCGを駆使したダイナミックなダンスシーンでも話題になりました。

 『ポッピンQ Dance for Quintet!』は、劇中で使われた3DCDを使ったダンスが楽しめるリズムゲームとなっており、ゲームをプレイすることでイラストや設定資料、ムービーなど『ポッピンQ』関連のアイテムをコレクションすることも可能です。

 瀬戸さんのインタビューでは、『ポッピンQ』と『ポッピンQ Dance for Quintet!』についてお話を伺った他、普段遊ぶゲームなどについても語っていただきました。『ポッピンQ』のファンはもちろん、瀬戸さんのファンも必見ですよ!

『ポッピンQ』
▲瀬戸麻沙美さん。

瀬戸さんから見た小湊伊純という女の子は?

――映画では、陸上部での苦い思い出を抱えたまま、高知から東京への引越しや、“時の谷”での旅といった出来事に向き合うこととなった伊純ですが、瀬戸さんの目に彼女はどのような人物に映りましたか?

 私から見た伊純は、年相応の悩みを抱えてはいるんですが、性格が明るくて前向きなので、悩んでいる姿さえもさわやかに見える子だなという印象でした。また、両親やおじいちゃん、後輩の美晴といった彼女の周りにいる人たちがしっかりと見えたので、そこから伊純が「こう育って、こういう子になったんだな」という彼女の背景が生き生きと感じられました。特にそう感ぜられたのは伊純のお母さんからですね。結構ズバズバものを言う人なので、このお母さんの影響が大きいんだろうなと(笑)。

――いろいろな人が周りにいて、その影響を受けて育ったのを感じられたわけですね。

 伊純本人は、自分の置かれた環境についてまだよくわかってないと思うんです。私も子どものころは、「お父さん、お母さん、いつもありがとう!」という気持ちにはなかなかなれませんでしたから。卒業式のシーンで両親に自分の気持ちを伝えているのを見て、周りの人への感謝の気持ちを持てるようになったんだなと、伊純の成長を感じることができてうれしかったですね。

――「本当は足の怪我なんてなかったんだ」と、正直に告白していましたね。

 自分がずっと頑張ってきた陸上だからこそ、悔しくてついてしまった小さな嘘――普通だったらごまかしてしまうようものでも、ずっと彼女のなかで捨てられずに残っていたんだと思います。こういった葛藤も、彼女のまっすぐさを表していますよね。

――葛藤と言えば、お城の裏口から入る時、朽ちた橋を渡るために自己ベストよりも早く走らなくてはならないシーンで「私には無理だよ」というシーンがありますよね。あそこからポコンの励ましを受けて「もう自分から逃げない!」と走る姿はとても印象的でした。

 明るくまっすぐな伊純ですが、やっぱりまだ中学生の女の子で、弱さも持っているんですよね。その弱さもまた、彼女の大事な部分だと考えています。あのシーン、もし伊純が1人だったらきっと走れなかったと思うんです。時の谷で他の女の子やポコンと出会って絆を育んだからこそ、みんなの声を受けて、自分の弱さに打ち勝って走れたんだろうなと。

『ポッピンQ』

 私は、実はあそこで伊純が見せた「走れない」という気持ちの方がよくわかってしまったんです。同時に、そこがすごく人間らしいところだなと感じました。よく「ポジティブな性格の人」って言いますが、ポジティブな人って、別に悩みや苦しみを感じていないわけではないんですよね。悩みを抱えたうえで、それを見せずに、いいことに転換できるのがポジティブな人だと思うんです。

 伊純も一見ポジティブに見えますが、まだまだ悩みや苦しみを変換する術をわかっていなかったんですよね。それがあの場面で、仲間に応援してもらって、そして心を理解する同位体であるポコンに自分のことをわかってもらえたという気持ちになれたことで、吹っ切れたんじゃないかなと思いました。

――心が通じている、通じてしまっている同位体のポコンがいてくれたことが、彼女の心が前に進むための最後の一押しをしてくれたわけですね。

 そうですね。2人の関係性の変化も『ポッピンQ』の見どころの1つだと思います。最初はポコンも思ったこと、伊純の心からわかったことを、何でも口に出していました。でも、少しずつ彼女の心を知ったうえで言うのをやめたり、あるいは「どう伝えるか」を悩んだりするようになってきます。そこの歩み寄りというか、距離感の縮まり方がすごく素敵だと感じました。

 特に印象的だったのが、レノと会ったことを言わなかった場面です。伊純は自身がレノの甘い言葉に揺れてしまったことが後ろめたくて、そのことを黙っていて、同位体であるポコンもそれを知りつつも黙っていました。後に覚悟して伊純はレノと会ったことをみんなに告白したら、「どうして言わなかったの」と責められてしまうのですが、ポコンは「黙っていた自分も悪いんだ」と、伊純の側に立ってくれたんです。

――それだからこそ、ポコンたちとの別れのシーンは感動的でした。

 伊純にハグされて、真っ赤になってしまいましたからね(笑)。やっぱり、男の子なんだなって。感動的で、微笑ましくて暖かいシーンでしたね。

『ポッピンQ』は想像して楽しめる作品!

――劇中では伊純は土佐弁をしゃべっていますが、方言の話し方などで苦労されたことはありますか?

 伊純が高知にいる時はもちろんですが、時の谷に行っても土佐弁でしゃべるのかということは、監督さんたちがかなり考えられたと聞いています。最終的には時の谷に行ったあとは標準語でしゃべるのですが、感情が高まった時だけはポロっと土佐弁が出てしまう、という感じになりました。

 収録の前に、メインキャストで読み合わせを行ったんですが、その時はまだ土佐弁の調子をつかめていなくて。でもその後、土佐弁が吹き込まれたCDをいただいて聞き込んだり、実際に土佐弁の指導を受けたりしたので、かなり土佐弁を体になじませて本番の収録に臨めました。高知の、そしてそこに住んでいる人たちの空気感のようなものが伝わっていればうれしいです。

――方言の持つ温かさをすごく感じられました。美晴に「卒業式に行かない」というシーンも、標準語だとちょっとキツくなるところが、少しふんわりしていると言いますか。

 そうですね。まさに二人の場面は土佐弁で会話が繰り広げられていました。伊純と美晴って、2人のシーンがそれほど多く描かれているわけではないんですが、その中でも関係性がよくわかって、すごく想像力をかきたてられます。伊純を追って美晴も東京行くのかな、とか(笑)。

 『ポッピンQ』って、そういう想像を楽しめる側面があると思います。卒業式の日、美晴はずっと校門のところで伊純が来ると信じて待っていたんですが、この間どんなことを思っていたんだろう、どういう気持ちであのメールを送ったんだろう、とか。

『ポッピンQ』

さまざまな人の手によってキャラクターがより生き生きと立体的に

――『ポッピンQ』を構成する大きな要素として3DCGによるダンスシーンがありますが、ダンスを初めて観た時の感想を教えていただけますか?

 私は、アニメーションって“絵”が動いて芝居していて、“平面”のものに“声”の芝居を入れることで、その人物がより立体的になったらいいなと思ってアフレコに臨んでいるのですが、

 でも、あのダンスシーンを見て「3Dだから」という意味ではなく、本当に立体的だな、まるで彼女たちが生きているみたいだなと驚きました。絵とCGと声――いろいろなもの、たくさんの人が『ポッピンQ』と、その登場人物を生き生きと見せるために力を合わせているんだなと、奮い立つ気持ちになりました。

――生き生きと描かれている『ポッピンQ』のキャラクターですが、伊純、蒼、小夏、あさひ、沙紀のなかで瀬戸さんが一番友だちになってみたいと思うのは誰でしょうか?

 悩ましいですが、誰か1人というなら蒼ですね。とても意地っ張りだったり、照れ屋だったりする彼女ですが、あの5人のなかでも一番リーダーシップがあって温かい、心のキレイな子だと思います。私はぜんぜん人見知りをしないタイプなので、蒼のようなシャイなキャラクターに惹かれるのかもしれません。近づいてみたくなるというか。

――ちょっととっつきにくい部分があるけど、仲よくなったらすごくいい友だちになれそうですよね。

 私、友だちが少ない子が好きです!(笑) いや、もちろんたくさん友だちがいるのもいいことなんですが、狭く深い友だち関係も素敵だなって。お互いに自由に言い合う関係が好きで、片方がズバッと言ったら、もう片方もズバっと返せるような関係っていいですよね。

――じっくりと距離を詰めていって、何でも言い合える関係になるのが理想なんですね。

 蒼の周りにいる子も、そのあたりのことをよくわかっていたんじゃないかなって思います。時の谷に行く前に、蒼に積極的に声をかけてくれている子たちがいて、でも蒼はそれを疎ましがっている様子なのですが、卒業式の後でまた声をかけてもらっているんですよね。それに蒼も応えていて。周りの子も、蒼のことを本当は強がっているだけって感じていて、粘り強くアプローチしていたのかもしれません。

――あのシーンは……「本当によかったね!」と思いました(笑)。

 なんか、蒼に関しては親のような目線で見てしまいますよね(笑)。

ゲーム好きな瀬戸さんが語る『ポッピンQ Dance for Quintet!』

――瀬戸さんはすでに『ポッピンQ Dance for Quintet!』をプレイされたとのことですが、プレイをした印象はいかがでしたか?

 もともとリズムゲームが好きで、アプリやゲームセンターで遊んでいたこともあったんですが、『ポッピンQ Dance for Quintet!』は独特だなと感じました。

――ノーツが、Qの位置にバーが来た時にタップするというシステムですからね。

 でもそこが、『ポッピンQ』ならではだなと。慣れてくるとリズムに合わせて楽しく遊べました! 背景にムービーが入るので、ムービーを楽しみながらリズムゲームも楽しめるところがおもしろくていいですね。

――映画本編のシーンが挿入されるのが、映画を振り返っているような気分になれますね。

 3DCGのダンスも映画で使われていたので、ゲーム画面でも5人がすごく生き生きと踊っていて、やっぱりすごいなと思いました。ステージが暗くなっている状態から、ぱっと明かりがついて5人が現れるところで、ゲームにグッと引き込まれます。

 また、ゲームを遊ぶことで映画で使われたイラストやムービーがもらえるのも『ポッピンQ』ファンへの嬉しい仕様ではないかと思います! あと何枚イラストが残っているかわかるので、コレクションしてやるぞって気持ちになりますね。

――一番難易度の高いモードが“キセキ”というネーミングだったり、『ポッピンQ』ならではの仕様になっていますよね。

 一番難しいモード“キセキ”は、初見ではちょっとクリアできる気がしませんでした(笑)。でもリズムゲームは反復しておぼえるのが大事ですから、何度も頑張って挑戦してみてほしいですね。

『ポッピンQ』

――瀬戸さんは結構いろいろなゲームを遊ばれるのですか?

 そうですね。特にジャンルに拘りはないのですが、姉の影響で子どものころからゲームは身近にありました。やり始めると結構ハマッてしまう性格なので、友だちとテーマパークに行った際、アトラクションの待ち時間にずっと2人でゲームをしていたこともありました(笑)。

――アーケードのレースゲームもプレイされると伺ったのですが。

 車が好きなんです! そのゲームでは首都高速を走ることができるのですが、実際に160km/hで首都高を走るなんてできないじゃないですか。でもゲームの中ならそれができるわけです! ただ、私はオートマ仕様で遊んでいるので、マニュアルで遊んでいる人がガコッとギアチェンジをしているのを見ると、カッコいいなーと思います(笑)。

『ポッピンQ』のエンディングテーマ『さよなら。ありがとう。』の思い出

――メインキャスト5人で歌われた『さよなら。ありがとう。』も『ポッピンQ Dance for Quintet!』に収録されていますが、この曲について印象に残っていることなどはありますか?

 キャラクターソングを歌うときに毎回考えることなのですが、例えば作品が歌とは関係なかったりすると、小湊伊純という女の子が『さよなら。ありがとう。』を歌っているけれど、伊純は、はたして歌が上手いのか、日常的に歌を口ずさんだりする子なのかとか。劇中で描かれている部分が彼女のすべてではないけれど、だからこそしっかり想像します。

――今回は、どのようにされたのでしょうか。

 想像したプロセスを言葉にするのってとても難しいです(笑)いろいろと考えた結果、小湊伊純の『さよなら。ありがとう。』を歌いました。OKをいただいたので、ホッとしたのをおぼえています。

 まずは『ポッピンQ』という映画のテーマソングとして『さよなら。ありがとう。』を歌おうと決めてやってみました。

――それが『さよなら。ありがとう。』に求められていたものだったわけですね。

 そうだったとしたらうれしいですね。やはり伊純だけでなく、蒼、小夏、あさひ、沙紀の5人がいてこその『さよなら。ありがとう。』という曲だと思うので。

――それでは最後に、『ポッピンQ』のファンの方にメッセージをいただけますでしょうか。

 皆さん、映画はもうご覧いただけたかと思いますが、楽しんでいただけましたでしょうか。劇中に出てくる音楽や映像が楽しめるリズムゲーム『ポッピンQ Dance for Quintet!』が配信されました。ゲームを遊ぶことで、映画で使われたイラストなど、さまざまなアイテムがコレクションできる『ポッピンQ』ファンに向けたゲームアプリとなっていますので、ぜひ遊んでみてくださいね!

『ポッピンQ』

(C)SEGA (C)東映アニメーション/「ポッピン Q」 Partners 2016

データ

▼『ポッピンQ Dance for Quintet!』
■メーカー:セガゲームス
■対応端末:iOS/Android
■ジャンル:リズムゲーム
■配信日:2017年2月23日
■価格:1,200円(税込)

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