2017年3月9日(木)

『バイオハザード7』中西Dにネタバレありでインタビュー。マーガレット戦や老婆の秘密、物語の謎に迫る

文:kbj

 カプコンから発売中のPS4/XboxOne/PC用ソフト『バイオハザード7 レジデント イービル』。本作の開発者インタビューを掲載する。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 中西晃史ディレクターには、発売後の反響やゲームシステム、DLCなどさまざまな内容について語っていただいた。

 なお、インタビューの最後には物語の謎に迫る質問をぶつけている。こちらには物語のネタバレが含まれるので注意してほしい。

『バイオハザード7 レジデント イービル』
▲中西ディレクター。なお、写真はすべて昨年に行ったインタビュー時のもの。

国内外から評価された『バイオハザード7』

――発売されて、ユーザーの反響や手ごたえはいかがでしょうか?

 はい。多くの人が楽しんでもらえてるようで、なによりです。「体験版とはいい意味で違うから、遊ばないのはもったいない」という声も多いようです。実際に製品版を遊んでみて、体験版の印象よりはるかに『バイオハザード』らしいサバイバルホラーのゲームだと感じてくれているようです。

 それと、“指の謎”が難しくて「自分には本編クリアできる気がしない」と思った方もいたようです。あれは体験版のクリア自体には関係ないものですし、発売までになるべく楽しんでもらえればと、あえて理不尽な難易度にしてたのですが、“難しい”と誤解を与えてしまったようです。

 それ以外に予想以上だったのは、「10年ぶりに『バイオハザード』を遊ぶ」とか、「シリーズをやったことがないけど、動画を見ておもしろそう」と買ってくれている方も多いようで、これもシリーズを知らない人でも入りやすくしたのがよかったのかと思います。

 あと、開発者としては、こちらが勝手にライバル設定しているような、海外の著名クリエイターの方々が、すごく褒めてくれているのが、素直にうれしいですね。

――ユーザーの意見として、「怖い怖い」と言いながらも楽しんで遊んでいるような意見が多い気がしますが、狙っていた手ごたえは得られましたか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 はい。とにかく「『バイオ7』怖い! でもおもしろい!」と言ってもらえているので、狙い通りです。

――PS VRでプレイしているユーザーも多いようですが、VRについての感想や反響はいかがですか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 PS VRでのプレイはかなり好評です。プレイしている姿を見てるだけでおもしろいですよね。家の中で、ああいった反応をさせられるコンテンツってなかなかないですよね。自分が学生のころなら、買って、友だちを呼んで遊んだでしょうね。

 VRじゃなくても、1人じゃ怖いからって、みんなで遊んでる方も多いようで、楽しそうでうらやましいです。

――開発の中でターニングポイントになったのはどこでしょうか?

 自分としては、試作開発の途中の“序盤の一連のシーン”ができた時。それがRE ENGINEで動いた時に「これはいけるんじゃない!?」と実感できました。

――新たなゲームシステムが評価された理由は、どこにあると思っていますか?

 システムというか、結局のところ「怖い!」「おもしろい!」と感じてもらえたことです。ドア開けるの怖いとか、弾がないので死んじゃうかもしれないといった、かつて『バイオハザード』が大ヒットした理由が経験できたことではないでしょうか。

最適解のないことを目指した開発。さらに体験版“4つ目の謎”の秘密が明らかに

――暗く視界が限られた中で探索するという、あえてストレスを与えた状態でのゲームプレイは最初から想定されていたのでしょうか?

 恐怖につながる要素の多くは、ストレス要素にもなり得ます。適度にそれらを入れるバランスは意識しました。

――Electronic Entertainment Expo 2016(E3)でプレイした人の意見や体験版の感想で、開発に影響したこと、意識したことはありますか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 E3の時期だと、本編の仕様はすでに決まっていたので中身について変更したことはありません。ただ、発表時の興奮や世界的な熱狂は、開発のモチベーションになりました。

 僕は現地で体験させていただいたのですが、多くのメンバーは国内で配信にて発表を見ていました。チームも疲労が貯まっていた時期でしたが、あれで勢いが出ましたね。やはり、ファンの期待が一番モチベーションをあげてくれます。

 一方で、PS VRについてはまだまだ調整が必要だと認識して、そこから実装した仕様やオプションも多いです。結果として製品版では評価されたので頑張った甲斐があったと思います。

――以前に話された際に、遊ぶ人のテンションカーブを意識して作っていると話されていました。特にこだわった部分は?

 レベルデザインの仕様として作るものはいくつかあるのですが、テンションカーブはその1つで、縦軸の緩急を示した設計図です。

 『バイオハザード』は緊張と弛緩のリズムがキモなので、どれぐらいの時間、ストレスをかけて、どこで抜くかというのは重要になります。緊張があるからこそ得られる達成感が高い……そこは『バイオハザード』が持っているよさ、楽しさだと思っています。

――序盤にリペアキットが登場し、ハンドガンとショットガンのどちらを直すか、迷わせる作りにされていると感じました。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 リペアキットは見つけにくいアイテムなので、初見では見つけられない人も多いのではないかと思います。迷わせる作りという意味では、ハーブを作るか、弾を作るかみたいな単純なところでも、プレイヤーが考える要素として入れています。

――中西さんとしては序盤にどちらの武器を直すのがオススメですか?

 あえて一長一短をつけているので、プレイスタイルや好みで選んでもらえればいいと思います。

 自分の好みとしては、2連ショットガンが好きなのでショットガンを直します。通常のショットガンより集弾性が高いので、距離があっても使いやすいです。逆に、複数の敵に囲まれてリロードが間に合わないというのが、あるあるなのですが(苦笑)。

――ハンドガンといえば強装弾はかなり強力で頼りになりました。

 あれは強いですよ。そのため、強装弾で乗り切っていくのか、それともハンドガンを直すのか……。そこも最適解はないようにしているので、好みや腕によって選んでもらえればと思います。

 ヘッドショットが得意な人ならば1発が強い方がいいですし、狙いをつけるのが苦手な人ならば弾数が多く入るほうがいいです。

――体験版ではプレイによって、フラグが立たなくなる仕組みやランダム要素が入っていましたが、こちらは体験版のみの仕様だったのでしょうか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 実は、体験版の“指の謎”の正確な攻略手順は、いまだに出ていないようです。特に、5人目のヒントを出す条件は、ビデオを見なくても特定条件で電話を取ればよかったりするのですが……まあ、いまさらですよね。

――本作ではシステムとして“防御”が加わりました。この“防御”をすると、どれくらいダメージが下がるのでしょうか?

 大幅に軽減されます。また、クリア後に入る“防御の極意”と“防御の真髄”を2つとも持っていれば、100%軽減できます。

 難易度“マッドハウス”は受けるダメージがかなり高いので、難しいと感じた方は、極意と真髄を持っていければ、かなり安定しますよ。

――攻撃をしゃがんでかわせることで、攻撃、ガード以外にも選択があると感じました。

 しゃがみについては、一部の攻撃を避けられるようにしています。

 ただ、テクニックのあるプレイヤーが状況にあわせて使う要素で、使いこなせないとクリアできないというものではありません。あと、四つ足のモールデッドの頭を狙う時は、しゃがむと狙いやすかったりします。

ベイカー家の家電がアナログな理由とは!? ビデオテープの謎に迫る

――主人公を既存のキャラやヒーロー的な人物にしなかった理由を教えてください。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 『7』では、より怖いゲームにするために、できるだけ没入感を高くしようという狙いがあります。キャラクターを操作している感覚ではなく、自分自身がゲームの世界にいる感覚に近づけようとしているんです。

 そこに近づけるために、プレイヤーにとって等身大に近い主人公を設定しました。また、主観視点やフォトリアル表現、UIを極力シンプルにしたなどもそのためです。

――主人公の素性については、いろいろな憶測が出ていますね。

 主人公のキャラクター性も、なるべく“プレイヤーより前に出ない”ように薄くしています。つまり、必要以上に描いてません。なので憶測が出るのもあるんでしょうね。

 『バイオハザード』は最初は不利なのですが、状況を把握して、戦う術を身に着けていくことで、キャラだけでなく、プレイヤーも成長して強くなることで喜びを感じられるタイトルだと思います。結果として、クリアするころにはキャラに頼もしさを感じるようにもなります。

――確かに成長したからこそ、2周目をやると自分の成長を感じられますね。

 実は初代『バイオハザード』のクリスなどもそうだったんですよね。洋館を生き抜くことでヒーローになり、シリーズを重ねて、さらにヒロイックになって、いまのキャラクターイメージができています。

――テープレコーダーでデータをセーブしたり、ビデオテープを再生するという、わりとアナログな設定ですが、そうした理由はありますか?

 単純に、古いものが持っている怖いイメージを使いたかったんです。想像してみてもらえばわかると思うのですが、ゲームに出てくるフッテージのテープが、ブルーレイディスクやUSBメモリだとあまり怖そうじゃなくないですか?

――確かにそうですね(笑)。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 始まりはフッテージのビデオテープで、他の家電も年代をあわせて、電話機やらテープレコーダーと決めていきました。

一家の生まれた経緯に迫る

――ベイカー家の家族にスポットが当てられていました。参考にしたり、モデルになったりした人物などはいますか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 お話したように、主人公をあまり立てない方針だったので、敵側を立てようというのは、最初から考えていました。また、『7』では、あまりゲーム世界を広げるのではなく、狭く深く作ろうという方針もあって、結果、濃いキャラが作れてたと思っています。

 ジャックは、開発当初は、『テキサス・チェーンソー』のレザーフェイスのような、ブッチャー(肉屋)系のイメージでした。ホラーゲームではステレオタイプなのですが、それゆえにおもしろみに欠けるということで、途中から『シャイニング』のジャック……奇しくも名前が一緒なんですが、そっちに方向転換しました。

 ただ、映画だといいのですが、今度はゲームとしては地味だったりして、いまのガレージのシーンをはじめとした、エンタメに振ったクレイジーさを入れていきました。

――いろいろと教えてくれますし、あの一家の中では優しさを感じました。もとの性格がよかったのかもしれませんね。

 最終的には、試行錯誤した経緯も残って、深みのあるクレイジーな人物になったのではと思います。

――マーガレットは?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 マーガレットは最初から、虫をモチーフにしようと考えました。企画書に書いたセリフは「残ざず食べるのよ?」と文字だけ見ればサザエさんみたいでしたが、当初コンセプト通りに作りきったキャラですね。

 ベイカー一家は、ビリーバビリティ、つまり、現実にいるかもしれない、というテーマがありまして、マーガレットのヒステリー具合は、現実のそういう方を誇張する形で使っています。

――リアルさと言えば、序盤であるキャラが豹変するやりとりでは背筋が寒くなりました。

 空想上のものに見えるより、実際にいそうと感じられるほうが怖いんですよね。序盤のシーンも、チームで実体験を出し合ったりしました。

――開発メンバーに、あのシーンのような体験をした方がいると?

 あんまり言うとあれなのですが、彼女に包丁を向けられた時の経験は、あの演出にいかされています。

――中西さんも体験されたことがあるのでしょうか?

 さいわい、水ぐらいですね(笑)。ただ、激怒するスイッチがどこにあるのかわからない人を前にしたドキドキ感ってありますよね? プレイヤーにもそれを体験してもらえればと。

――なるほど(笑)。ルーカスも振り切ったキャラですね。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 ルーカスは当初はもうちょっとストイックにイメージしていました。関係担当者のノリで、ああいったキャラになっていきました。ルーカスにかかわる関係者の力があわさって、いまのキャラが育ったんですね。

 『7』では、フォトスキャンで実在の方を取り込んでモデルにしているのですが、ルーカスのオーディションで、こちらの想像を超える尖ったモデルさんが見つかって、さらにモーションキャプチャーのアクターさんも素で“あのテンション”で、さらにレベルデザイナーの悪ノリも入って……と、いった具合です。

――モールデッドを作られるに際して意識したことはなんでしょうか?

 我々としては一家を押したいという狙いがありました。その際に汎用的に出てくる敵をどうするか、アートディレクターの高野たちとかなり最初に考えました。そこでたどりついたのが、“表”に立つ一家に対しての“影”の存在です。

アートディレクターとして開発にたずさわった高野友憲さん。シリーズでは『5』、『6』に続いてかかわっている

――“影”ですか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 『バイオハザード』では、建物自体も、立ちはだかる障害で、倒すべき対象です。だから、一家と建物を一緒にデザインしていっています。

 そんな館にいる影の存在を何にするか……と考えてカビにたどりつきました。本作のモチーフとしているような地域では、水害もあって実際にカビが多いそうです。館の床下や壁の裏に古くからこびりつき、どこからまた発生してくるかわからない、というイメージがモールデッドの出発点になりました。

難易度“マッドハウス”のアドバイスを語る。見つかっていない謎も存在?

――難易度“マッドハウス”だと、セーブ回数が限られるのですが、ノーマルで採用していない理由は?

 制限があるから不安が生まれます。また、セーブを節約して進めた後、ピンチになって、「絶対に死ねない!」と必死になったりします。それはおもしろいところでもあるのですが、現代のゲームとしては、厳しすぎると判断して、高難易度のみに採用しました。

――カプコン社内での“マッドハウス”クリアタイムの最短は、どれくらいですか?

 しっかり測ったわけではないのですが、最短タイムはプレイヤーのほうが早いと思います。開発終盤はひたすら周回プレイをするのですが、目的は“チェック”なので純粋なタイムアタックをしていないんです。チェックしながら2時間ちょっととかだったと思うので、いまのユーザーの記録、1時間20分はすごいですね。

 本編だけでなく“イーサン マスト ダイ”にしても、開発よりも断然早いです。正直、担当も驚いてます。

――時間短縮を遊びとしてやれるのもシリーズの特徴ですよね。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 ナイフクリアにしてもそうなのですが、チーム内には『バイオハザード』が大好きな人も多くて、「ぜひナイフクリアできるようにしたい」とやってくれました。シチュエーション上、ナイフが持てて戦えるところは倒せるようにしています。

――マーガレットに穴に落とされた状況でナイフだけでやりあうのは、かなり大変そうですが……。

 実はあそこは弾切れ対策もあって、ひたすら耐えることでマーガレットが落ちてくるので、なんとかなるんです。

――え!? 勝手に落ちてくるんですか?

 はい! あまり気付かれていないようですが、バランスを崩して落ちてきます(笑)。

――驚きました! 難易度“マッドハウス”に挑戦しているユーザーにアドバイスをお願いします。

 “マッドハウス”はアイテムの配置が違いますし、敵の攻撃力が高いのがきついですね。心を折られないように、休み休みやってほしいですね。

――敵とは戦わないほうがいいのでしょうか?

 倒すべき敵を選ぶのは重要です。先ほども話に出た“防御の極意”と“防御の真髄”や、“歩きやすい靴”も役に立ちます。敵との立ち回りで歩きが早いのはかなり有利です。

 持ち越せるリワードを集めるのがポイントなので、もしも難しすぎると感じるなら、集めてから挑戦すると楽になります。

――“マッドハウス”ではジャックの足がかなり早いと感じました。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 ジャックも本気出してきますよね(笑)。“開発難易度”などと呼ぶのですが、開発中は担当者が何度もプレイして慣れてしまうので、難しめにしてしまうんですよね。最終的に適度になるように調整するのですが、マッドハウスのジャックの速度はその開発難易度そのまんまのやつです。探索させてくれないですよね(笑)。

――まだ発見されていない謎や隠されたメッセージなどはありますか?

 隠し要素は結構見つけられていると思います。……ありました! 僕が見ていないだけかもしれませんが“老婆”です。特定条件で特定の場所に出るレアなパターンがありますね。

――例えるならば?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 担当に「誰にも見つからなくていいから」とお願いしました。それぐらいレアです。タイミングだけお話すると、マーガレットと戦って本館に戻ってきた以降になります。

――戻って探してみます。

追加DLCの見どころとは!?

――“発禁フッテージ(BANNED FOOTAGE)”の“Vol.1”、“Vol.2”が配信されました。それぞれの見どころとポイントを教えてください。まずは“Vol.1”の“ベッドルーム”から。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 “ベッドルーム”は、謎を解く脱出ゲームを楽しめるうえに、マーガレットと深い仲(?)になれるものです。開発としては、「マーガレットのあんな姿や、こんな姿も描きたい!」というアイデアを詰め込みました。

 ゲーム内容としては、マーガレットの隙を見計らって脱出するものなのですが、マーガレットは大きな音を立てた時などは見に来ます。その時、部屋の変異に気づくとお仕置きされるので、急いでもとに戻して、ベッドに戻ることになります。マーガレットが部屋をチェックしている時は、「全部ちゃんと直したよね!? 大丈夫だよね!?」と緊張感があります。

――謎が練り込まれていると感じました。

 DLCは本編が終わってから作るので、ノウハウが蓄積された分、こなれたものが作れるという面もありますね。本編中に収録されていた“バースデーパズル”は社内でも人気で、担当は同じ人間なのですが、より練りあげることができました。DLCでは本編のシステムをいろいろ発展させて使っています。影絵パズルもさらにひねっていて、盛りだくさんです。

 “ベッドルーム”は評価が高いんですね。海外のレビューでも「シリーズ最高峰のパズル」まで言われています。本編が好き人なら間違いなく楽しめるゲームです。

――フッテージ“ナイトメア”は?

 “ナイトメア”は、わかりやすくガンガン敵を倒すモードです。1つひねりとして、スクラップを使って武器作ったり、能力を上げたりできるシステムを追加しています。

――このモード内にのみスキルが入っていて、それがゲームのカギになりますね。

 そうですね。いかにスクラップを手に入れて、何に使うが重要です。スクラップはウェーブで余らせておくと増えるので、最低限の消費でクリアするとより多く入手できます。あとは、敵を倒すとボーナスが増えるのでいろんな戦略をとることができ、やりごたえを感じてもらえると思います。

――トラップが強いと感じたのですが、武器やスキルを含めて中西さんのオススメは?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 トラップ類は使うとなくなるのですがかなり強いです。ボスに苦戦している方は、そこで使うと有効ですね。タレットは3段階使えて、強化されていきます。開発では頼りになるため“タレットパイセン(先輩)”と呼んでいます(笑)。

――確かに応援したくなるほど強力でした。

 『7』には味方がいないので、プレイヤーにとって初めての“お友だち”なんですよ。そういう気分も味わえるかと。さらにクリアした後には歯ごたえのある難易度“ナイトテラー”が遊べるようになり、中毒性も高く長く遊べるゲームになってますのでぜひ楽しんでください。

――あとは、エクストラゲーム“イーサン マスト ダイ”ですね。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 こちらは本編のストーリーや世界観と切り離した、いわゆるミニゲームです。この“イーサン マスト ダイ”は“死にゲー”。言葉を選ばずに言うと「公式クソゲー」というコンセプトで作っています。すぐ死ぬし、理不尽です。

 理不尽ではあるのですが、サクサクやり直せるし、やっていくと上達できて、ついつい「あともう1回だけ」とやっちゃう、こちらも中毒性が高いゲームになっています。人を選ぶかもしれせんが好きな人にはたまらないタイプで、『バイオハザード』シリーズとしても新しいミニゲームにしあがっています。

――こちらについてのアドバイスは?

 アドバイスは……ないですね(笑)。つらくなったら、他の人のプレイを見て笑ってください。そういう楽しみ方もやりやすいコンテンツです。“Banned footage”はこのように、バラエティに富んでいるお得なパッケージになっています。

――続いては“Vol.2”のフッテージ“21(トゥエンティーワン)”についてお願いします。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 “21”はルーカスのしかけたデスゲームに挑むというもの。ベイカー邸で過去に起きたものです。かなりショッキングな表現があり“banned(発禁)”の名に恥じない反面、ゲーム性は、トランプの“21”をベースに、TCGのようなギミックを入れています。

 こちらもクリア後に追加モードが遊べるのですが、最終的にはギャンブルではなく、パズル指向が強いものになっていきます。かなり尖っているうえに、ゲーム的にも挑戦的な内容で、いままでの『バイオハザード』にはないものです。でもゲームとしておもしろいものになったかと。

 本編のゲーム性とは、かなり異なるので戸惑う方もいるかもしれませんが、ハマる人は相当楽しいものになっています。

――フッテージ“ドウターズ”は、説明が難しそうですね……。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 “ドウターズ”は『バイオハザード7』の発端となった出来事を体験できるもので、主人公は女性です。こちらは本編に近いホラーと謎解きが入っています。

 事件の発端を描いているので、ゲームでは見られなかったキャラクターの一面が見られるのが見どころです。このフッテージそのものが大きなネタバレなので、本編クリア前にプレイするのは厳禁ですよ。

――最後はエクストラゲーム“ジャック 55th バースデー”です。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 おまけゲームで、こちらはとにかく緩くなっています。ジャックの誕生日をお祝いして、ジャックに食べ物をドンドン届けるというもの。モールデットも帽子をかぶって出てくるなど、シュールな雰囲気になっています(笑)。それでいてかなりボリュームがある。見た目はゆるいけどやりこめるモードです。

 全ステージをひと通り遊ぶだけなら、敵もやわらかいですし、雰囲気を楽しんで遊べます。ですが、タイムアタックを目指すと、いかに効率よく食べ物を届け、タイムを維持するか考え出すと、とたんにガチになっていきます。

 プレイヤーのスキルを追加しているのですが、これはインベントリに入れておかないと効果がありません。スキルで有利に進めることはできますが、食べ物を運べる数は減ってしまうので、スキルセットを考えるのも戦略になっています。

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 また、敵のちょっとしたバリエーションや、新武器には光線銃もあって、おまけながら豪華です。演出が派手なうえに、ファンタジー感を味わえます。あとは攻撃すると敵が燃えるバールとか……。世界観を無視して作っているので、本編にはないテイストが味わえます。

 発禁フッテージは、『バイオハザード7』の幅を広げつつ、いろいろな遊びがあるのでぜひ楽しんでほしいです!

――さらに『Not A Hero』という短編シナリオの無料配信も控えておりますが、こちらはどんな内容ですか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 こちらは本編とは味わいの違う短編シナリオを楽しめます。クリスが主人公ですね。クリスはイーサンよりもスペックが高いので、さらにやばいという状況を用意したいと考えています。ファンのみなさまの期待に応えられるよう、現在、頑張って作っている最中です。

ネタバレありの開発秘話を暴露

――最後に“あの人”が出てきた時は盛り上がったのですが、“ヘリコプターのマーク”に注目が集まっています。こちらについては、どのように解釈したらいいのでしょうか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 プロジェクト開始時から竹内が「ラストのラストで彼を出す」と言ってました。その通りにやりつつ、あのマークは「さらにこうしよう」と途中で追加されたアイデアです。サバイバルホラーには謎と驚きが重要です。『Not A Hero』で語られることもあると思いますので、もうしばらくお待ちください。

開発を統括する竹内潤さん。本作の開発総責任者。“狭く・深く”というコンセプトを掲げ、本作の開発を動かした立役者の1人。

――“あのキャラ”から連絡が入った際に、声で「もしや?」と思ったのですが、そちらは想定していましたか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 最初に企画した時点では想定していませんでしたが、やはりファンの人は気づくようですね。開発は英語で作って、最後に各国語の音声を入れますしね。

――シリーズのお約束的な懐かしいネタが盛り込まれていましたが、ロケットランチャーを登場させるアイデアはありましたか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 当初はロケットランチャーでした。その後“あのキャラ”の名前を冠した銃というアイデアが出てきて、それをあの人からもらったらおもしろいということで変更しましたが、ポジションとしてはロケットランチャーですよね。

――ベイカー家で、消息不明になっている人はどうなっているのでしょうか?

 開発としては『7』は“イーサンがミアを探しにきて、悲惨なことにあう”という物語なので、エンディングではイーサンの悪夢からの生還を描ききっているつもりです。

 本作では過去のシリーズを知らない人でも楽しめることを意識しています。知らない人にとってのエンディングは「兵隊が来て助けてくれた」くらいの情報しかないんですね。ヘリのマークとか気にしないと思いますし。

 ただ、ファンからしてみると気になることだらけ、だと思います。消息不明の人を含めて、現段階では断片情報から推測していただければと。

――モールデッドの変異状況を見ると、有機生命体兵器(B.O.W.)やウロボロスを思い出しましたが、これらとの関係はありますか?

 これも本編で出している情報以上は「ご想像におまかせします」としか言えないのです。

 ただ、開発中に竹内が言ってたことなのですが、「映画『イービル・デッド』で出てきたものについて説明があった? 『13日の金曜日』でジェイソンの説明があった? ホラーの敵を丁寧に解説する必要あるの?」と。これには、そりゃそうだと思いました。

――後半の資料から、これまでのシリーズに登場した“H.C.F”という名前が出てきたのですが、これは以前の組織と何か関係はあるのでしょうか?

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 “H.C.F”自体がこれまでの作品を含めてあまり語られていないので、それと一緒かどうかもご想像に任せます……としかやっぱり言えません。『7』をプレイするうえで必要でない情報は、混乱させてしまうし、極力入れてないのですが、シリーズの世界観は継続しているので、描いてない部分も設定は存在します。

――作品を作る際には、描かれていないキャラについても設定するのでしょうか?

 全員ではないのですが、主要な人物は設定しています。開発用に、シリーズの全主要キャラがいつ、何をしたかをまとめた資料があります。それを見ると、実はシェバとシェリーが同い年だとか意外な発見もあったりします。

――世界中のファンに1人称視点でプレイする『バイオハザード』は認知されたと思います。一方ではシリーズのヒーローがバイオテロと戦うような作品を望んでいるファンもいると思います。このあたりを含め、今後の展開に注目しているファンに向けてメッセージをお願いします

『バイオハザード7 レジデント イービル』

 『バイオハザード』は20年の歴史の中で、いろんなタイプのゲームを出してきました。なので、ファンの中でも、キャラクターが好きな人、アクションが好きな人、怖いのが体験したい人、謎解きを楽しみたい人……それぞれいて、誰もが間違ってませんし、もちろん否定するつもりもありません。

 ただ、1本のタイトルですべての期待に応えるのは難しいです。“皆に嫌われないようにして、誰にも好きになってもらえないゲーム”はシリーズにとって、プラスにならない。

――なるほど。

 本作『7』は「『バイオ』は怖い!」というイメージを取り戻すために、選択と集中が必要でした。そこにいらないもの、入れにくいものは省いて作っています。逆に言うと、タイトルとして目指すものがまた変われば、選択するものが違ってきます。

 『7』ではフォーカスしなかった要素、これまでの作品のキャラクターや物語、アクションやシューティング的な部分にフォーカスした『バイオハザード』も十分アリだと考えています。

 『7』が多くの方に受け入れてもらえたことは、サバイバルホラーが中核にあるという前提ができたという意味で、今後のシリーズ展開がやりやすくなりました。なにより、シリーズに対する期待感をより高められたことは、素晴らしいことではないでしょうか。

――本日はありがとうございました。

『バイオハザード7』オススメ記事

データ

関連サイト