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2017年5月20日(土)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第4章“聖戦(裏側2)”~親友同士の戦いを守るために戦うヒスイ

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第四章“聖戦”の裏では、竜界の争いやロキたちによるディバインゲート解放、グリモア教団やクロウリーの暗躍など、さまざまな出来事が展開していました。

 “聖戦(裏側2)”では、聖暦の画伯と聖暦の天才の戦いや、ヒスイとロキの戦いなどを解説していきます。

[9]聖戦の裏側の竜界~ヴェルンの帰還と、聖戦への参戦

 キャリバンと出会ったミドリは、ドロシーとともに、オズ復活のカギとなる“最古の竜の血”を求めて竜王家の力が眠る祠を目指していた。

『ディバインゲート』

 「もう、戦うことは出来ないかもしれない。だけど、まだ彼にこの命の恩返しが出来てないんだ」。長い眠りから目覚めたドロシーの体はまだ回復していなかったが、オズを助けるために竜王家に伝わる伝承を調べていたのだった。

●“#01 聖戦:裏側・竜界”より

 足手まといなら言ってね。懐かしい声。一緒にいてくれるだけで、嬉しいよ。ミドリは満面の笑みで返す。もう、戦うことは出来ないかもしれない。だけど、まだ彼にこの命の恩返しが出来てないんだ。ふたりは竜王家の力が眠る祠を目指していた。

●“#02 聖戦:裏側・竜界”より

 ドロシーは長い眠りから目を覚まし、竜王家に伝わる伝承を追い続けていた。竜界のどこかにあると伝わる祠に滴る最古の竜の血。その血が決める未来。もし伝承が真実なら。踊る胸。だが、ふたりの長い旅路の果てに、俯いた少女がいたのだった。

 そうして祠を目指していたミドリとドロシーは、立ち尽くしているカナンと出会う。そしてそこには、さらなる招かれざる客である紅煉帝ヴェルンや裏古竜衆の姿があった。

『ディバインゲート』

●“#03 聖戦:裏側・竜界”より

 ねぇ、どうしてそんな顔をしているの。ミドリが声をかけたのは、ただ立ち尽くしていたカナン。そして、カナンはただ首を横に振る。途切れた希望。オマエら、ずいぶん懐かしい御伽噺を知ってんだな。そこには、更なる招かれざる客がいたのだった。

 ミドリは棍を構えるが、そこにファブラの刃が突きつけられる。ヴェルンは「安心しろ、危害は加えねぇよ」と語り、ミドリとカナンに道案内をさせる。

 ドロシーは1人で奥へ、ミドリとカナンはヴェルンたちとともに奥を目指す。そしてミドリたちが到着したのは、王(ノア)も竜神(ヒスイ)も不在の古神殿だった。

●“#04 聖戦:裏側・竜界”より

 探したぜ、久しぶりだな、お姫様。現れたヴェルンはカナンを見つめる。安心しろ、危害は加えねぇよ。俺達は連れて行って欲しい場所があるだけだ。だから、少し道案内をしてくれねぇかな。

●“#05 聖戦:裏側・竜界”より

 私は、それでも諦めない。だから、行ってくるね。ドロシーはひとり奥へと。ミドリとカナンはヴェルン達と共に。そして五人が辿り着いた場所。鳴り響いた避難警報。さっさと道を開けろ、俺様の帰還だ。そこは王も、竜神も不在の古神殿だった。

 「さっさと道を開けろ、俺様の帰還だ」。鳴り響く避難警報を気にせずに進んでいく暴君ヴェルン。先の戦いで負傷した流水竜リヴィアが行く手を阻もうとするが、ヴェルンは「怪我人は寝とけって。俺に勝てると思う愚か者がいるなら今すぐ出て来い」と一蹴し、玉座に腰をかける。

『ディバインゲート』

●“#06 聖戦:裏側・竜界”より

 かつての暴君、ヴェルンの登場に震える古神殿。な、なにをしに来た。立ち塞がるのは、立ち上がることすらままならないリヴィア。怪我人は寝とけって。俺に勝てると思う愚か者がいるなら今すぐ出て来い。古神殿は物音一つ立てず静まり返っていた。

 口を閉ざして聞くことしかできない古神殿の竜たちを前に、ヴェルンは最初の命令をくだす。「いまこの時をもって宣戦布告をさせてもらう。さぁ、戦争だ」。こうして聖戦に加わる意志表示をしたヴェルンたちは、聖戦でのオベロンとヴラドの最終決戦の際に合流することになる。

●“#07 聖戦:裏側・竜界”より

 満場一致、ってことでいいんだな。そしてヴェルンが腰をかけた玉座。それじゃあ、俺様からの最初の命令だ。いいか、よく聞けよ。ただ、口を閉ざして聞くことしか出来ない古神殿の竜達。いまこの時をもって宣戦布告をさせてもらう。さぁ、戦争だ。

[設定画紹介コーナー]紅煉帝ヴェルン編

『ディバインゲート』
▲紅煉帝ヴェルンの設定画。

聖戦に参加せず、竜道閣に向かったカナン

 ノアの娘である永久竜カナンは、聖戦には参加せず、真実を知るために竜道閣へ向かった。

 「やっぱり、ここに辿り着く資格を持っていたのは、あなただったんですね」。そこで聞こえた声が誰だったのかは、のちの物語で明かされることになる。その力を得た彼女は、紫陽将カナンとなった。

『ディバインゲート』

●“紫陽将カナン”のプロフィール

 戦争なんてどうでもいい。古神殿に残った竜界の姫。私は真実を知りたい。向かったのは竜道閣。幾重にも連なった綴られし間を越え、辿り着いたのは最後の頁。やっぱり、ここに辿り着く資格を持っていたのは、あなただったんですね。聞こえた声。だから私は、成すべきことを。そして、紫陽将カナンは生まれた。

祠の奥でドロシーが出会った古詛竜ハム

 「いつまで探してるつもりなの」。祠の奥で“最古の竜の血”を探し続ける道化嬢ドロシーに声をかけたのは、古詛竜ハムだった。

『ディバインゲート』

 だが逆にドロシーの瞳は輝いていた。障害が出現したということは、“最古の竜の血”に近づいているという希望に結びつく。ドロシーはハムに、「私、あなたの話も調べたの。一族を裏切り神に加担した、元お姫様ね」と告げる。

 ハムもまた、メイザースと同じく、かつての神と竜の戦争の際に竜界を裏切った存在だった。

●“ハム”のプロフィール

 いつまで探してるつもりなの。ここは最古の竜の血が滴る伝承のほこら。あなたは、誰。道化嬢が振り向くと、そこにはハムがいた。だから、いつまで探してんのって聞いてんのよ。それはすなわち、諦めを促す言葉だった。だとしたら、私の答えはただひとつよ。両手に集められたのは、道化竜に教わった魔法だった。

●“古詛竜ハム”のプロフィール

 そう、私は見つかるまで探す。道化嬢が放った闇をいとも簡単に消し去った古詛竜ハム。アンタ、戦える体じゃないんだから止めときなって。だが、道化嬢の瞳は輝いていた。じゃあ、どうして私を止めに来たの。そう、障害の出現と結びついた希望。私、あなたの話も調べたの。一族を裏切り神に加担した、元お姫様ね。

 また、この一連のドロシーとカナンの動きから繋がるオズの復活は、第七章で詳しく描かれることとなる。

[10]聖戦の裏側の常界~聖暦の天才の命を狙う者たち

 聖戦が行われていたころ、聖光才カルネアデス助手兎コガネは、とある装置を設置するために常界を駆け回っていた。

 最後の装置を設置した際、魔界の軍勢である幾元嬢コスモと遭遇し、交戦することに。

『ディバインゲート』

●“#01 聖戦:裏側・常界”より

 よっし、ここにも設置完了だぴょん。慌しく常界を駆け回っていたのは助手兎を連れて天界を離れたカルネアデスだった。助手君、助手君、次はどこへ行ったらいいぴょん。子供の落書きのような地図を辿り、二羽はぴょんぴょん行脚を続けるのだった。

●“#02 聖戦:裏側・常界”より

 ここで最後ぴょん。二羽のウサギが地図に記されたバツ印に辿り着いたとき、もう一羽のウサギもその場所へ辿り着いていた。こそこそ隠れて、なにしてるのかしら。杵を振り上げたコスモ。常界でもまた、妖精と魔物が争いを始めたのだった。

●“#03 聖戦:裏側・常界”より

 黒い兎と白い兎、互いに生まれた世界とは異なる世界の為に戦う二羽。ウサギは幸せの象徴なんだぴょん。それなら私は、その裏側の不幸を届けてあげるわ。表裏一体の世界と戦い。だけど、いまこの戦いは僕に預からせてもらえないかな。

 「だけど、いまこの戦いは僕に預からせてもらえないかな」。黒い兎(コスモ)と白い兎(カルネアデス)を止めたのは、魔界の王の秘密機関に所属する密者デオンだった。

『ディバインゲート』

 さらに、元グリモア教団員で魔界の魔参謀長ファティマと通じていた水波神サフェスと、元聖暦の天才の1人である堕水才シュレディンガーもその場に現れる。

『ディバインゲート』

●“#04 聖戦:裏側・常界”より

 二羽のウサギの戦いを制止したのはデオンだった。王の秘密機関が、こんな場所でいったいなんの用かしら。取引をさせてもらいたい。それは王の為であり、王ではない男から与えられた任務。きっと、君たちは彼を必要としているんじゃないかな。

●“#05 聖戦:裏側・常界”より

 デオンの呼び声と共に現れたのは、口を布で覆った男だった。久しぶりだな。カルネアデスへ、懐かしい声をかけたサフェス。かつて互いに教団にいた者同士。そして、そんなサフェスが連れていたのはもう一人の懐かしい男、シュレディンガーだった。

 「ちゃんと説明してもらえるかしら」とコスモがにらんだ相手は、新生世界評議会の最高幹部の1人である屠竜者ベオウルフ。だが彼は、デオンが攻撃する前に、6人の聖暦の画伯(炎画伯レオナルド水画伯マルク風画伯フィンセント光画伯クロード闇画伯サルバドール無画伯パブロ)を残して姿を消した。

『ディバインゲート』

●“#06 聖戦:裏側・常界”より

 ちゃんと説明してもらえるかしら。コスモはそこにいなかったはずの登場人物を睨んでいた。その説明なら、もう必要ありません。デオンが咄嗟に構えた刃。だって、今から刈られるのですから。そして、ベオウルフは六人の画伯を残し消えたのだった。

 炎画伯レオナルドは筆の力で密者デオンの動きを封じるが、勝負を制したのはデオン。デオンの短刀は、レオナルドの首筋へと突きつけられた。

『ディバインゲート』

●“#07 聖戦:裏側・常界”より

 デオンの前に立ち塞がったレオナルド。この筆の前では、未来は意味をなさない。レオナルドが左へ払えば左を向く。右へ払えば右を向く。身動きのとれないデオン。だけど、あなたが縛っているのは過去の僕に過ぎません。神の力を過信し過ぎるな。

●“#08 聖戦:裏側・常界”より

 直後、レオナルドの首筋に突きつけられた対の短刀。我らが王の秘密機関をあなどらない方がいい。あなた達は神へと屈した。だが、僕らの王は、神へと反旗を翻した勇敢な王様なんだ。デオンが仕える王は、立場が変われど、ヴラドただ一人だった。

 「こんにちは、先輩」。堕水才シュレディンガーにお辞儀をしたのは、水画伯マルク

 自分がなぜここにいるのか、自分がなにをすべきなのか、そのすべてが抜け落ちていたシュレディンガーに戦意はなく、マルクの一方的な攻撃が続く。そこに割って入ったのは、風画伯フィンセントを相手にしていた水波神サフェスだった。

『ディバインゲート』

●“#09 聖戦:裏側・常界”より

 こんにちは、先輩。シュレディンガーへ向け、陽気にお辞儀をしてみせたマルク。僕が探した過去に先輩はいたよ。だけどね、僕の描く未来に、先輩は必要ないんだ。そう、もう先輩は過去の登場人物なんだよ。だから、早く退場してもらえないかな。

●“#10 聖戦:裏側・常界”より

 シュレディンガーの戦意は失われていた。自分がなぜここにいるのか、自分がなにをすべきなのか、そのすべてが抜け落ちていたのだった。ほらほら、先輩。もっともっと、いたぶってあげるからね。そんな二人の間に割って入ったのはサフェスだった。

 「私はあなた達を許しはしない」。フィンセントは自分を“都合の良い犠牲”として捨てた天界を憎み、今は魔界軍を率いている元天界の王オベロンも憎んでいた。

●“#11 聖戦:裏側・常界”より

 私たちふたりを、ひとりで相手するっていうの。シュレディンガーを守りながら戦うサフェスへと襲い掛かるフィンセント。私はあなた達を許しはしない。その言葉には魔界軍を率いるオベロンも含まれていた。私は、彼のせいで都合の良い犠牲に。

 「私たちふたりを、ひとりで相手するっていうの」。シュレディンガーを守りながら戦うサフェスは防戦一方に。苦戦が続く中、フィンセントの銃口をふさぎに偽りの翼(堕風才ラプラス)が舞い降りた。

●“#12 聖戦:裏側・常界”より

 防戦一方、ただ耐えることしか出来ないサフェス。そろそろ、あなたには犠牲になってもらいます。フィンセントが突きつける銃口。っていうか、都合の良い犠牲って、そんなに安いもんじゃないわよ。銃口を塞ぎに、偽りの翼は舞い降りたのだった。

 一方、光画伯クロードは、装置を設置していた聖光才カルネアデスを妨害する。

『ディバインゲート』

 「この混乱に乗じて、アレ(ディバインゲート)を解放するんでしょ」と言うカルネアデスに対して、クロードは「ええ、だから諦めなさい」と返す。

 そこに増援に現れた超越獣ビヨンドを見て、カルネアデスはビヨンドがヘンペルの足止めに成功したことを知り、「やーだぴょん」と、再び笑顔を見せるのだった。

『ディバインゲート』

●“#13 聖戦:裏側・常界”より

 あら、私の相手は裏切り者かしら。カルネアデスのとある装置の設置作業を静止したクロード。私達の彩りを、邪魔してくれたら困るのよね。それは聖暦の画伯が描く未来。あと少しなの。だから、あと少しの間だけ、大人しくしていてもらえるかしら。

●“#14 聖戦:裏側・常界”より

 もちろん知ってるよ、あなた達の狙いがなにか。笑顔の消えたカルネアデス。この混乱に乗じて、アレを解放するんでしょ。ええ、だから諦めなさい。やーだぴょん。笑顔に戻ったカルネアデス。それは遙か彼方のビヨンドの笑顔を見つけたからだった。

 「私が欲しいのは富だ」と断言する闇画伯サルバドールと対峙した幾元嬢コスモは、「私と賭け事なんて、いい趣味じゃない」とカードを開く。

『ディバインゲート』

 コスモの投げたサイは6を示し、彼女の武器である杵に最大の力が宿るが、「戦う相手が悪かったね」とサルバドールは未来を上書き、サイの目を1にしてしまう。それを見たコスモは、無数のサイをばらまいて対抗するのだった。

●“#15 聖戦:裏側・常界”より

 私が欲しいのは富だ。さぁ、互いのすべてを賭けた戦を興じようではないか。髭を撫でたサルバドール。私と賭け事なんて、いい趣味じゃない。カードを開いたコスモ。どうせ、未来は決まっている。互いにベットしたのは、自分が勝利する未来だった。

●“#16 聖戦:裏側・常界”より

 私は勝負に負けるのが嫌いなの。投げられたサイが示した数は6。グッドラック。コスモの杵に宿る最大の力。戦う相手が悪かったね。サルバドールが上書いた未来の数は1。だったら、これでどうかしら。コスモは無数のサイをばら撒いたのだった。

 「うーぅ、私は戦いとか苦手なんですよお」。迫り来る脅威(無画伯パブロ)に涙を流して逃げるしかない助手兎コガネ

『ディバインゲート』

 逃げながらも、最後の起動装置の設置を完了させたコガネだったが、ついにパブロに追い詰められてしまう。あきらめかけたコガネを救ったのは、堕風才ラプラスだった。

『ディバインゲート』

●“#17 聖戦:裏側・常界”より

 あなたは、私の相手をするです。パブロが構えた筆。だが、すでに泣き出しそうなコガネ。さぁ、行くです。逃げるコガネ。待つです。それでも逃げ続けるコガネ。うーぅ、私は戦いとか苦手なんですよお。迫り来る脅威に、涙を流すしかなかった。

●“#18 聖戦:裏側・常界”より

 さぁ、これで終わるです。パブロが描いた未来に、コガネの逃げる道はなかった。だが、それでもコガネは満足そうな笑顔を浮かべた。所長、私は最後まで頑張れましたよ。そう、コガネは逃げながらも、最後の起動装置の設置を完了させていた。

 「どっかの誰かさんが、誰かの為に頑張ってるみたいだからさ」。幼き日の友(美風精将ヨウキヒ)のために動いたラプラスは、かつて聖暦の天才と称えられた2人(カルネアデスとシュレディンガー)に手を差し伸べ、戦線を離脱しようとする。

 それを妨害する聖暦の画伯だったが、そこに自律の機体(カゲロウ:ホムラ)が現れる。第三章の王都ティンタジェルでのアカネとの戦いで、カゲロウはリブートしていたのだった。

『ディバインゲート』

●“#19 聖戦:裏側・常界”より

 都合のいい犠牲を、安売りしないでくれるかな。戦場に舞い降りたラプラス。どうして、君までここに。サフェスに生まれた疑問。どっかの誰かさんが、誰かの為に頑張ってるみたいだからさ。幼き日の友が動かしたのは聖戦の行く末だけではなかった。

●“#20 聖戦:裏側・常界”より

 早く私に掴まって。ラプラスが手を差し伸べたのは、かつて聖暦の天才と称えられたふたり。だが、そんな簡単に戦線離脱が許されるはずはない。画伯が描く未来、前へ進めば後ろへ進む。なによ、これ。そんな三人の真上に、自律の機体が現れる。

●“#21 聖戦:裏側・常界”より

 カゲロウの色の無い瞳は、ただカルネアデスを見つめていた。絶体絶命ってやつじゃない。ラプラスの額に滲む汗。ううん、きっと違うぴょん。そして、カゲロウが差し出したデータディスク。そのディスクに書き記されていた言葉。炎才の息子より。

 不完全なリブートながら、任務を遂行したカゲロウ。デオンやコガネ、コスモたちが聖暦の画伯との戦いを続ける中、サフェスはある人物の動きを待っていた。

●“#22 聖戦:裏側・常界”より

 不完全なリブートながら、任務を遂行したカゲロウ。マスターハ、先ニ未来ヘ進ミマシタ。ダカラ、ソノ道作リオ願イシマス。カゲロウの炎は偽りの未来を燃やし、デオンは王への忠誠を燃やす。コガネは所長の為に最後まで立ち続けたのだった。

●“#23 聖戦:裏側・常界”より

 そろそろ教えてもらえるかしら。画伯の攻撃をかわしながら、サフェスへと詰め寄るコスモ。じきにわかるさ、その時が訪れれば。やっぱり、あんたはくえないわね。だが、そんなコスモも、いまの自分達がここで戦う意味に喜びを感じていたのだった。

 待っていたのは、幸せの白兎研究所の常界支部にいた聖無才メビウスの動き。

『ディバインゲート』

 聖戦に乗じたディバインゲートの解放の任をまかされていたのは、堕闇卿ヘンペルだった。だが彼は、かつての友であるクレオパトラに目を奪われてしまい、その時間のロスがヘンペルと超越獣ビヨンドとの出会いと戦いにつながった。

 その時間の遅れにより、カルネアデスとコガネは装置の設置に成功し、ディバインゲートの解放よりも先に、メビウスがレプリカ:キュリケイオンを発動させることに成功。ディバインゲートの干渉を防いだのだった。

 この一連の流れ、数刻の遅れもまた、聖戦がもたらした因果だった。

●“#24 聖戦:裏側・常界”より

 みんな、待っていたよ。そこは幸せの白兎研究所の常界支部。そこにはメビウスがいた。偶然か必然か、集いしは聖暦の天才。そして、そこにいない天才(ヘンペル)が解放したディバインゲート。だが、その解放が予定より数刻遅れたのもまた、聖戦の因果だった。

 そしてメビウスは、対ディバインゲート用守護防壁キュリケイオンを発動する。カルネアデスが各地へ設置していたのはこのための起動装置で、キュリケイオンを発動させたのは、シンクロ率が240%を突破したレプリカの力によるものだった。

 なお、これはあくまでのレプリカの機能であり、王都ティンタジェルで見せた第7形態とは別のものとなる。

●“#25 聖戦:裏側・常界”より

 早く席について。それ以上の説明は必要なかった。モニターに映し出されるのは各地へ設置された起動装置。中央には無数のコードに繋がれたレプリカが。シンクロ率、240%を突破。お願い。対ディバインゲート用守護防壁キュリケイオン発動。

ビヨンドを拾ったのはカルネアデス

 ビヨンドを作ったのは水聖人ヨハン。ヨハンは後天的な次種族<セカンド>の完成形である天神獣グライフをどのように作ったのか思い出せず、ビヨンドを失敗作として処分した。

 だが、失敗作だったはずのビヨンドは狂気を抑え込むことに成功する。彼はそれを自慢げに語るが、道端で出会った飴をくわえた子どもからの「お兄ちゃんは、それで幸せなの」という素朴な疑問に、答えをつまらせる。

 聖光才カルネアデスはそんなビヨンドに「だったら、いまから幸せになればいいだけだぴょん」と居場所を与えたのだった。

『ディバインゲート』

●“ビヨンド”のプロフィール

 うーん、失敗しちゃったかな。ビヨンドから発せられる狂気。水聖人は世界の行く末を気にすることもなく、ただ自分の好奇心と向かい合っていた。どうして、彼は完成したんだろう。思い出すのは、神界へと赴いた天神の獣。とりあえず、適当に処理しといてよ。こうして、ビヨンドは失敗作として廃棄されたのだった。

●“超越獣ビヨンド”のプロフィール

 で、そっからがオレのスゲェところよ。超越獣ビヨンドは、飴を咥えた子供へ自慢話を続ける。そう、オレは狂気を押さえ込んだんだ。後天的なセカンドの完成形。お兄ちゃんは、それで幸せなの。それはだな、えっと。素朴な疑問に、回答を持ち合わせていない彼。だったら、いまから幸せになればいいだけだぴょん。

 ちなみに天狂獣グリュプスもセカンドであり、彼は狂気を抑え込むことができずに苦しんでいる。

 そして、天神獣グライフは、そんなグリュプスを“出来損ない”と呼び、嫌悪している。

『ディバインゲート』

●“天狂獣グリュプス”のプロフィール

 失われゆく自我。オレはいったい、誰を恨めばいいっていうんだよ。わかりきった自問自答。オレが失敗作なら、最高の失敗作になってやろうじゃねぇか。最後まで、失敗作らしくあがいてやるよ。そして、片翼で始める悪あがき。その日、刻の狭間から天狂獣グリュプスは姿を消した。このオレが、後悔させてやるよ。

[設定画紹介コーナー]超越獣ビヨンド編

『ディバインゲート』
▲超越獣ビヨンドの設定画。

[11]聖戦の裏側~ディバインゲートの解放を阻止するヒスイ

 常界でカルネアデスたちが聖暦の画伯と戦っているころ、ヒスイは天界で悪戯神ロキたちを待ち受けていた。ヒスイは過去の聖戦で、誰か(ベオウルフ)がオベロンとヴラドの戦いに横槍を入れたことを覚えており、今回も誰かの邪魔が入ることを警戒していた。

『ディバインゲート』

 それに対してロキは、過去の聖戦での横槍は自分ではなく、もっと大きな意志が働いたこと、すなわち創醒の聖者の意思だったことをほのめかす。

『ディバインゲート』

●“#01 聖戦:竜神”より

 俺に出来ることなんて、初めから決まってたんだ。ヒスイはただ天界でひとり、そのときを待っていた。そして、そのときは訪れる。やっぱり、君が邪魔をしに来たんだね。いいや、違う。オマエらが邪魔をしに来たんだ。今も、そして、あのときもな。

●“#02 聖戦:竜神”より

 勘違いしないで、あれはボクの仕業じゃないよ。ロキが否定した在りし日の聖戦を左右した神の悪戯。もっと大きな意志が働いたのさ。竜でありながら、神の血を引く君ならわかるだろう。すべてはそう、ボクたちの創醒の聖者の気の向くままに。

 ロキの側に控えるのは、水凛徒シャルラ特別調停役マダナイ特別監視役スフィア愚者ロプトの4人。

 「俺はただ、あのふたりの邪魔をさせたくない」。不本意な形でついてしまった、かつての聖戦での2人の親友の決着に対して、ヒスイはずっと後悔をしていた。

 世界の行く末なんか、そんなのどうでもいい。それがヒスイのたったひとつの願いだった。

●“#03 聖戦:竜神”より

 ねぇねぇ、私達を敵に回したいのかな。ロキのすぐ側には、シャルラ、マダナイ、スフィア、ロプトの4人がいた。誰からでもかかって来いよ。棍を構えたヒスイ。どうして、そんなにムキになるのかな。俺はただ、あのふたりの邪魔をさせたくない。

●“#04 聖戦:竜神”より

 それはヒスイが抱いていた後悔。不本意な形でついてしまったかつての聖戦の決着。だから俺は、思う存分、あいつらに好き勝手戦わせてやりたいんだ。世界の行く末なんか、そんなのどうでもいい。それがヒスイのたったひとつの願いだった。

 「誰からでもかかって来いよ」と棍を構えるヒスイだが、1対4と状況は悪い。マダナイの爪はヒスイの首を狙い、スフィアはヒスイの手足の自由を奪う。

『ディバインゲート』

 「さすがの竜神も、これだけの数が相手じゃ惨めなものだね」というロキの言葉に、ヒスイは「だから、誰も邪魔するんじゃねぇって」と立ち上がる。

 それに対してロキは“世界の決定”という言葉を持ち出し、その邪魔をしているのはヒスイのほうだと告げるのだった。

●“#05 聖戦:竜神”より

 その大口、いつまで叩けるかな。マダナイの研がれた爪が狙う首。余計な仕事を増やさないでくれ。スフィアが奪った手足の自由。食べちゃっていいよ。手綱を離したシャルラ。さぁ、我々は進みましょう。ロプトはロキの進むべき道を示すのだった。

●“#06 聖戦:竜神”より

 さすがの竜神も、これだけの数が相手じゃ惨めなものだね。だが、それでも立ち上がるヒスイ。だから、誰も邪魔するんじゃねぇって。なに言ってるんだい、邪魔をしているのは君じゃないか。そうだよ、これも世界の決定のひとつなんだから。

●“#07 聖戦:竜神”より

 誰が世界を決めるのか、それは個の意志であり、また全の意志である。どうせ掌の上なんだから。明日を創るのは、いつだって神様なの。ロキが踏みにじるヒスイの心。だから、君は退場してよ。それじゃ、オヤスミ。だったら、ワシも眠らせてくれよ。

 「明日を創るのは、いつだって神様なの」「だから、君は退場してよ。それじゃ、オヤスミ」。そんなロキに「だったら、ワシも眠らせてくれよ」と言葉を返したのは、隣の寝室で寝ていた炎杖刀イッテツだった。

『ディバインゲート』

●“#08 聖戦:竜神”より

 ったく、ワシの寝室の隣でドンパチせんでくれ。そこに現れたのはイッテツだった。いいんだよ、わざわざ起きてこなくて。こんな状況で誰が寝れんだよ、ボケが。イッテツが引き抜いた刀。目を見りゃわかる、ワシが斬るべき敵は、おぬしらの方だな。

 「ったく、ワシの寝室の隣でドンパチせんでくれ」。イッテツは刀を引き抜き、ロキたちに向ける。「目を見りゃわかる、ワシが斬るべき敵は、おぬしらの方だな」と。

 「悪い、助かるよ」「ワシはただ、ワシの休暇の為に戦うだけじゃ、勘違いすな」。かつて鬼精将と呼ばれて魔界の軍におそれられたイッテツの参戦で、風向きが変わる……かに見えた。

 「で、ワシに斬られたい奴から頭を差し出せ」と告げたイッテツだったが、次の瞬間、彼はマダナイの爪に裂かれて、悲鳴を上げるのだった……。

●“#09 聖戦:竜神”より

 悪い、助かるよ。ワシはただ、ワシの休暇の為に戦うだけじゃ、勘違いすな。変わる風向き。で、ワシに斬られたい奴から頭を差し出せ。だが、次の瞬間。ぐぬっ。なんだ、大したことないね。悲鳴を上げたのは研がれた爪に裂かれたイッテツだった。

 「おい、大丈夫か」と、慌てて駆け寄るヒスイ。「油断しただけじゃ」と答えるイッテツは、明らかに運動不足だった。

 またも窮地に陥ったヒスイとイッテツ。彼らを救ったのは、死刑執行学園学園長リイナであった。

『ディバインゲート』

 リイナにとってヒスイはかつての上司(ヴラド)の友、そしてイッテツはかつての好敵手だった。リイナは無数の魔物魂で敵を牽制しつつ、薬学部特性回復薬でヒスイたちを回復する。

●“#10 聖戦:竜神”より

 おい、大丈夫か。慌てて駆け寄るヒスイ。油断しただけじゃ。明らかに運動不足だった。何人集まろうと、私たちに勝てないんだよ。おどけてみせるシャルラ。それならさ、この数を相手に出来るのか。直後、無数の魔物魂が辺りを埋め尽くしていた。

●“#11 聖戦:竜神”より

 よぉ、覚えてるか。リイナの挨拶。それはかつての上司の友へ、そして、かつての好敵手へ、ふた通りの意味をはらんでいた。心強いよ。ヒスイが取り戻した活気。知らん。そっぽを向いたイッテツ。おい、それじゃかつての鬼精将の異名も泣いてるぜ。

●“#12 聖戦:竜神”より

 そんな名前、聞いたことない。さらにそっぽを向いたイッテツ。まぁ、いいさ。リイナが引き連れた魔物魂がふたりの体を包みこむ。不思議と癒える傷。薬学部特性回復薬、高くつくぜ。だけど、どうして。それは戦争最中のリイナに向けられていた。

●“#13 聖戦:竜神”より

 いまここで、アンタを助ける。それが俺なりの、王への忠誠さ。その王が、どちらの王を示しているのか。そんな質問は無粋だった。だったらワシも、王様に恩を売っとくか。そのとき、三人の目的は一致した。誰にもあのふたりの邪魔はさせない、と。

 勢い付くヒスイたちに対して、スフィアは「これは世界評議会の決定であり、世界の決定の一部なのだから」と告げる。ヒスイは「オマエらの本当の目的は、この混乱に乗じて―」と言いかけるが、屠竜者ベオウルフはその言葉をさえぎった。

『ディバインゲート』

 だが、ヒスイは言葉を続ける。「オマエらは、いまからディバインゲートを解放するつもりだろう」と。

●“#14 聖戦:竜神”より

 あまり、調子に乗らないほうがいい。スフィアの牽制。これは世界評議会の決定であり、世界の決定の一部なのだから。んなこと、初めから知ってたさ。オマエらの本当の目的は、この混乱に乗じて―。それ以上は、口に出さない方が身の為だ。

●“#15 聖戦:竜神”より

 ヒスイの言葉を遮ったのはベオウルフだった。順調に進んでるかな。ロキが求めた報告。ええ、予定通りにコトが進めば、恐らくは。内緒話すんなって。そして、ヒスイは答えを告げる。オマエらは、いまからディバインゲートを解放するつもりだろう。

 「ご名答」と拍手をするロキ。オベロンとヴラドがぶつかりあっている今、ディバインゲートの力で世界の半分が消し飛んだとしても、人々はオベロンたちのせいだと思うはずだと、ロキは語るのだった。

『ディバインゲート』

 だが、世界の半分を消し飛ばそうとするロキたちの思惑は、レプリカの対ディバインゲート用守護防壁キュリケイオンによってふせがれた。

 リイナに届く隠者(デオン)の報告。そして、同時にロプトへ届く堕闇卿ヘンペルからの報告。その事実を知ったヒスイは、ロキたちを撃退したのだった。

●“#16 聖戦:竜神”より

 ご名答。響き渡る渇いた拍手。争うふたつの世界、力を抑えきれなくなったふたりの王。そんな力がぶつかり合ったせいで、世界の半分が消し飛びました。誰も疑いはしない話さ。例えそれが、彼らの力ではなくディバインゲートの力だとしても、ね。

●“#17 聖戦:竜神”より

 だったら、その目論見は外れさ。リイナに届く隠者の報告。そして、同時にロプトへ届く堕闇卿からの報告。そんな、まさか。そして、リイナはヒスイへ告げる。そっちの方は任せとけ。だから、オマエは目の前の邪魔者を、こっから追い出してやれ。

 戦いを終えたヒスイは、「(オベロンとヴラドの)どっちが勝つかな」と両手を伸ばし、「どっちでもいいか」と両足を伸ばし、「だからオマエら、好き勝手暴れろ」と空を見上げていた。

『ディバインゲート』

 かつての聖戦では、神の横槍で不完全な決着に終わった親友たちの戦いだが、今回の聖戦では邪魔者を排除して思い切り戦わせることができた。

 「俺は、今度こそ守れたんだ」。ヒスイは誰もいなくなった戦場で、瞳を閉じたのだった。

●“#18 聖戦:竜神”より

 どっちが勝つかな。ヒスイは両手を伸ばしていた。どっちでもいいか。ヒスイは両足を伸ばしていた。だからオマエら、好き勝手暴れろ。ヒスイは空を見上げていた。俺は、今度こそ守れたんだ。ヒスイは誰もいなくなった戦場で、瞳を閉じたのだった。

[12]聖戦を終えて動き出すグリモア教団

 ヒスイがロキたちを妨害しているころ、魔界ではオベロンとヴラドの戦いに決着がついていた。途中、ヒカリやユカリ、ミドリやヴェルンの介在を受けつつ、戦いに勝利したのはオベロン。すなわち、聖戦は天界の勝利で幕を閉じた。

 その後、天界と魔界は、かつて選ぶことができなかったもうひとつの道である“共闘”を進めていくことに。こうして、神界との戦いの日は少しずつ近付いていた。

 その一方で、真教祖メイザースが率いるグリモア教団が再び動き始めていた。

『ディバインゲート』

 新たな四大魔王はすべて神と他種族の混血である次種族<セカンド>であり、メイザース自身が創りだした存在であった。

 北魔王マハザエルは神と獣、南魔王アザエルは神と魔物、東魔王サマエルは神と妖精、西魔王エギュンは神と人間の次種族<セカンド>となる。

 執事竜ティルソンの入れた紅茶を舐めながら、メイザースは新たな四大魔王にクロウリーたちの抹殺を命じるのだった。

『ディバインゲート』

●“マハザエル”のプロフィール

 マハザエルが目を覚ましたとき、それまでの記憶は存在していなかった。だが、それでも二重螺旋に刻まれていた存在理由。それは真教祖の為に生き、そして死ぬこと。そして、前北魔王の首を狩ること。なんだ、そんな簡単なことなのか。聖戦後の統合世界にて、再び、とある教団は動き出そうとしていたのだった。

●“北魔王マハザエル”のプロフィール

 これで、四つ目の柱も揃いました。執事竜が迎えたのは北魔王マハザエル。完全になれなかった彼らと違い、彼らは完全なる存在となることでしょう。そうだね、彼らは不完全だったんだ、二度と顔も見たくないよ。紅茶を舐めながら、真教祖が下した命令。それじゃあ、手始めに抹殺してもらえるかな、ひとり残らずね。

反省するイッテツ

 不動間に引きこもり続けていた結果、明らかな運動不足で不覚をとった炎杖刀イッテツ

 稽古をつけてほしいという真晴精将サニィの誘いを「帰れ、ワシは寝る」と断ったイッテツだったが、こっそりと修行するため、隠していた鉄アレイを探し始めたのだった。

●“#14 聖戦:その後・天界”より

 なにをしに来た。不動間を訪れたのはサニィ。お稽古をつけてもらおうかと思いまして。帰れ、ワシは寝る。しばらく食い下がるも、大人しく部屋を出て行ったサニィ。そして、ひとりになったイッテツは隠していた鉄アレイを探し始めたのだった。

[13]竜界を去ったヒスイ

 聖戦を終えて、ヒスイは1人で古神殿の王の間を訪れていた。ヴェルンは「なんだ、お別れの挨拶でもしにきたのか」と、玉座から動かずにヒスイを見つめた。

●“#01 創竜神の行方”より

 古神殿の王の間をひとり訪れたヒスイ。なんだ、お別れの挨拶でもしにきたのか。玉座から動くことなく、ヴェルンはヒスイを見つめる。おい、そんな警戒すんなって。その言葉はヴェルンを守るように刃を構えた裏古竜衆へと向けられていた。

 「我らが紅煉帝へと反旗を翻すつもりかな」と挑発するファブラ。棍を構えるウロアス。そんな裏古竜衆を相手にせず、ヒスイはヴェルンへと近づいていく。

『ディバインゲート』

●“#02 創竜神の行方”より

 弟君を傷つけられた復讐かな。問いかけるファブラ。それはまたいつか、な。歩みを止めないヒスイ。それなら、我らが紅煉帝へと反旗を翻すつもりかな。挑発するファブラ。そんなことして、俺になんの得がある。そして、ヒスイはヴェルンの眼前へ。

●“#03 創竜神の行方”より

 早くそこどけよ。ヒスイが睨みつけたのは棍を構えたウロアス。止めとけ、この男は歴代の古竜衆とは訳が違う。制止したヴェルン。あぁ、俺も無駄に争いたくない。だから、聞かせてもらおうか。それは先の聖戦の結末に現れたヴェルンの意図だった。

 ヒスイは、先の聖戦の結末に現れたヴェルンの意図を訪ねる。

 それに対してヴェルンは、ニズルが持つ世界を見渡す鏡がディバインゲートの解放という災厄を映し出したことと、それが世界の決定のうえでの出来事だったことを告げ、「俺の目的(神界へとの戦争)の為、あいつら(天界と魔界)にはひとつになってもらわなきゃいけなかっただけさ」と答える。

『ディバインゲート』

 ヴェルンも神界への戦争を企てているため、オベロンとヴラド、天界と魔界を結び付けさせたかったために、聖戦に介入したのだった。

●“#04 創竜神の行方”より

 ニズル、説明してやれ。あのとき、世界を見渡す鏡が映し出したディバインゲートの解放という災厄。そして、それは世界の決定のうえでの出来事だったということ。だから、勘違いすんじゃねぇぞ。俺は、あいつらの為に出ていったわけじゃない。

●“#05 創竜神の行方”より

 俺の目的の為、あいつらにはひとつになってもらわなきゃいけなかっただけさ。余裕の表情を浮かべるヴェルン。その目的を言えと言ってるんだ。落ち着いたヒスイ。きっとオマエの思っている通りさ。だが、やり方が違う。そう、これが俺のやり方だ。

 一方その頃、六聖人の1人であり、ヒスイの妹である闇聖人シオンは、世界の決定と兄や家族、竜界という故郷を天秤にかけ、自室で苦悩していた。

『ディバインゲート』

●“#06 創竜神の行方”より

 自室でひとり、うかない顔をしていたシオン。私は選ぶことが出来るのでしょうか。シオンの脳裏をよぎる世界の決定。そして天秤にかけられたのは故郷であり、兄であり、家族。きっと、私は私を許すことが出来ないでしょう。だから、今回だけは。

 ヒスイはヴェルンが竜界の王となることは認めなかったが、「だけど、あいつらのことを頼ませてくれ」と膝をつき、頭を下げる。

 ヴェルンは「そんな姿、見てもつまんねぇーよ。だから、さっさと行ってこい」と返すのだった。

『ディバインゲート』

●“#07 創竜神の行方”より

 俺は認めることは出来ない。それはヴェルンが竜界の王であるということ。だけど、あいつらのことを頼ませてくれ。ヒスイがついた膝と下げた頭。そんな姿、見てもつまんねぇーよ。だから、さっさと行ってこい。こうして、ヒスイは竜界を後にした。

 その後、病室にて立ち寄った兄弟子である創竜神ヒスイに対して、リヴィアは「兄さんは、彼を受け入れるつもりじゃないよね」と心配するが、ヒスイは「言ったろ、俺は俺らしくやらせてもらうって」「だから、あとのことは上手くやってくれよ」と返して、竜界を去って行ったのだった。

『ディバインゲート』

●“創竜神ヒスイ”のプロフィール

 元気にしてるか。ヒスイが訪ねたのは弟弟子の病室。兄さんは、彼を受け入れるつもりじゃないよね。開口一番にそれかよ、可愛くねぇな。詰まる言葉。言ったろ、俺は俺らしくやらせてもらうって。張り詰めた空気。だから、あとのことは上手くやってくれよ。創竜神ヒスイの去りゆく背中は、いまも大きなままだった。

神と竜の因縁

 かつて、神と竜との戦いがあり、その戦いはメイザースの裏切りによって竜界の敗北に終わった。流水竜リヴィアはその敗北を重く受け止めており、「だからね、今度こそ、負けたくはない」と語っている。

●“古竜衆:水式I”より

 神と竜が争っていたのは遥か昔、まさに神話の時代と呼ばれた時代だった。共に優れた知能、文明、そして力を持った異なる種族だからこそ、起きてしまった争い。どちらが優れているか、など、そんな答えを求めた者は、どこにも存在していなかった。

●“古竜衆:水式II”より

 共に認め合い、そして競い合う関係、そんな両者を引き裂いたのは、予期せぬ例外の存在だった。僕は彼を、正しいとは思わない。だけど、間違っているとも思わない。曖昧な存在だからこそ、答えを求め、そして争いは起きた。だから僕は、許せない。

●“古竜衆:水式III”より

 争いはいつも、予期せぬきっかけで起きるのが世界の理だった。勝つか、負けるか、その勝敗にこだわるのは、決まって敗者だったからだ。僕は、勝ちたいんじゃない、負けたくないんだ。求めたのは、ありきたりな平穏。誰も、血は流したくないよ。

●“古竜衆:水式IV”より

 一つの争いは幕を閉じた。だけどね、僕は許すことが出来ないんだよ。それは竜への侮辱。僕らは、彼らに負けた。勝つ必要はなかった、だけど、負けたんだ。敗者の烙印に笑顔を歪めた青年。だからね、今度こそ、負けたくはない。新たな幕は上がる。

 それに対するヒスイの答えは「俺は、楽しくやらせてもらう」。こうして、兄弟子と弟弟子は道を分かち、それぞれの道を歩き始めた。

●“古竜衆:水式V”より

 兄さんは、どうするつもりなの。問いかける流水竜。俺は、楽しくやらせてもらう。答えた竜神。彼らのことが、気になるんだね。問い詰める流水竜。嫉妬なら、女にしてろよ。はぐらかす竜神。そして二人は道を分かち、それぞれの道を歩き始めた。

仕える相手を変えた楽奏竜たち

 竜王ノアに仕え、グリモア教団の調査などを行っていた楽奏竜(演炎奏竜トロンボ演水奏竜フルト演風奏竜スネア演光奏竜トランペ演闇奏竜サクス演無奏竜グロック)。

『ディバインゲート』

 彼女たちは竜王ノアが行方不明になった後、紅煉帝ヴェルンのもとでさまざまな任務にあたっている。

 彼女たちがとっていた行動は、主に第五章“偽りの王”のエピソードと関連深いものとなっている。

●“演炎奏竜トロンボ”のプロフィール

 演炎奏竜トロンボが呼び出されたのは、かつての主君が鎮座していた王の間。だが、いまその場所に鎮座していたのは異なる男。俺をどう思おうと、知ったことじゃない。だが、いまここは俺のものだ。だから、俺の言うことを聞いてもらおう。乱暴でありながら、その言葉を口にした意味に、彼女は親しみを覚えていた。

●“演水奏竜フルト”のプロフィール

 真夜中に鳴り響いたのは空を斬る音。演水奏竜フルトは慌てて部屋を飛び出し、その音へと近づく。ダメですよ、まだ安静にしてないと。その音の主は、彼女の言葉に耳を傾けなかった。ただ、無心に振り下ろされる刀と、前だけを見つめる瞳。そう、流水竜はただ、前を見つめていた。遠ざかる兄へと近づけるように。

●“演風奏竜スネア”のプロフィール

 演風奏竜スネアに命じられた仕事は竜道閣の見張りだった。異常を観測次第、すぐに報告せよ。その異常がなにを指すのか、答えは伏せられたまま。だが、ごく僅かな竜王家の竜たちだけへは知らされていた。竜道閣に存在するとされる幾重にも連なった綴られし間。その間から、いまも竜界の姫が戻らないという事実を。

●“演光奏竜トランペ”のプロフィール

 演光奏竜トランペが訪れたのは、文明竜たちが眠る安息の地。次第に目を覚まし始めるも、行方不明のかつての竜王へと想いを馳せるばかり。だけど、私は思うんです。きっと、かつての竜王さまなら、後任に紅煉帝を指名したんじゃないか、って。求めたのは自分にない力。だから、私は少しだけ安心しているんです。

●“演闇奏竜サクス”のプロフィール

 演闇奏竜サクスが興味深く眺めていたのは、人工、次種族、混種族の異なる五匹の竜たちだった。聖常王の登場により、変わった世界評議会の体制。新しい王様は、いったい彼らをどうするつもりなんだろう。そして、その裏で糸を引く、竜を殺さんとする屠竜者を。うーん、やっぱり仕事は盛り沢山みたいですね。

●“演無奏竜グロック”のプロフィール

 演無奏竜グロックが同伴したのは秘密裏に行われた会合。よく来てくれた。それは世界評議会の本部からは遠く離れた小さな小屋だった。俺を持て成すには、随分と寂しい場所じゃないか。だがまぁ、たまには悪くはないな。向かい合った聖常王と紅煉帝。先に言っておく。俺に指図はするな。それが互いの為ってやつだ。

第四章(聖戦の裏側)を振り返る高野メモ

 聖戦の裏側での出来事では、竜界であったり、常界であったり、天界と魔界以外でもたくさんのドラマを描かせてもらいました。

 オベロンとヴラドを影から応援するヒスイであったり、ふたりの戦いを邪魔しようとする民たちを黙らせるヴェルンだったり、彼らの行いがなければ、聖戦は終結しなかったお話となっています。

 対する常界も、聖暦の天才たちが一同に介するシーンを描けたのが楽しかったです。シュレはまともに仕事したのかな(笑)。

 個人的にはコスモvsサルバドールの戦いがお気に入りで、コスモは投げたサイコロの目に応じた攻撃や能力を発動するのですが、すべてサルバドールに“1”にされてしまい、それに対して無数のサイコロをバラまく、という、もう数で勝負だ! みたいなところが好きです。

 こういった能力描写をたくさん描いたのも、聖戦編が始めてじゃないかな、と思いますし、ボリュームが増えてしまった要因でもありますが……(笑)。

【第五章“偽りの王”は5月23日(火)夕方ごろに公開予定です】

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