News

2017年5月25日(木)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第6章“世界の決定1”~円卓の騎士たちの離脱

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第六章“世界の決定(2017年2月~)”では、聖神アーサーの奪還と処刑のために神界を目指すアカネたち、そしてアーサーのために世界を敵に回す円卓の騎士などに関する物語が展開します。

[1]アーサーに詰め寄るダンテ

 六聖人の炎聖人ダンテ炎奏徒フォルテをともない、天神獣グライフが開いた神界への道を進んで聖神アーサーと接触をしている。

『ディバインゲート』

 かつてダンテは、グライフに3つの役割を与えていた。それは王の象徴であること(王であるアーサーにつくこと)、神の翼になること(神になるアーサーにつくこと)、黄金を守ること(いずれ王となる、聖常王クロウリーにつくこと)。

 王であるアーサーにつくことと神になるアーサーにつくことは同じことを意味しているので、グライフはそれを“二択”と称していたが、クロウリーにつくことを含めて、「二択の三択かと思っていたが、まさか一択だったなんてな」という表現を使っている。

 つまりグライフは、アーサーにつくことがクロウリーにつくことにもなること=両者がなんらかの形で通じていることを示唆していたのだった。

●“#01 聖神の行方”より

 無事に、任務を果たしてくれたようだな。ダンテが賞賛を送ったのはグライフ。二択の三択かと思っていたが、まさか一択だったなんてな。そして、グライフが開いた神界への道を歩むダンテ。なんか物騒な場所だな。その少し後ろにはフォルテがいた。

●“#02 聖神の行方”より

 だけど、なんでわざわざこんな場所を進むんだよ。その開かれた道は、他者からは観測出来ない特別な道だった。神であるアンタが、どうして隠れる必要があるんだい。そんなフォルテの疑問を解決したのは、無数の見えざる人影による襲撃だった。

●“#03 聖神の行方”より

 悪いが相手をしてやってくれ。ダンテは立ち止まることなく、ただひたすら歩き続ける。そんなダンテを守るように、無数の人影へ大きな炎の拳を打ち込むフォルテ。いいね、準備運動かい。いいや、争いは終わりだ。そして、扉へ辿り着いたのだった。

 ダンテはアーサーの首元へ刃を突きつけ、その見解を問うが、アーサーは余裕の笑みを浮かべて「俺を殺したところで、なにも変わらないさ。すべては世界の決定なんだ」と答えるのみであった。

●“#04 聖神の行方”より

 開き始めた扉からこぼれだす光。その奥には玉座があった。高みの見物とは、いい身分になったものだな。歩み寄るダンテ。だが、こうしてようやく落ち着いて話をすることが出来るな。引き抜かれた刃に映る鋭い眼光。俺が問おう、貴様の見解を。

●“#05 聖神の行方”より

 そして、刃を首元へ突きつけられようと、その玉座の主は動じることなく、ただ余裕の笑みを浮かべるのだった。俺を殺したところで、なにも変わらないさ。すべては世界の決定なんだ。そして、玉座の主、アーサーは立ち上がる。さぁ、時代は変わる。

ロキによるダンテへの牽制

 アーサーとの接触を終えたダンテの前に現れた悪戯神ロキは、「そう、キミは聖人という生き物なんだ。そこに個が存在してはいけない」と、自分を介さずにアーサーと直接コンタクトをとったダンテを牽制する。

『ディバインゲート』

 「ボクは知ってる、キミは規律を遵守する神様だってことを」と言うロキに対して、ダンテは「ならば、俺も知っている」「貴様はすでに、世界の決定に背いていることを」と返すのだった。

●“#01 世界の決定:六聖人”より

 ねぇ、どこへ行っていたんだい。ダンテへと詰め寄る男の表情は、半分が仮面に包まれていた。その質問に答える義理はない。まさか、キミがボクを飛び越えちゃうなんて、そんな無粋なことはしないよね。そうだよ、キミはただ従えばいいんだから。

●“#02 世界の決定:六聖人”より

 そう、キミは聖人という生き物なんだ。そこに個が存在してはいけない。ダンテは沈黙を続ける。ボクは知ってる、キミは規律を遵守する神様だってことを。ならば、俺も知っている。口を開いたダンテ。貴様はすでに、世界の決定に背いていることを。

[2]クロウリーの思惑とアカネたちの見解

 聖常王クロウリーが告げた、聖神アーサーの奪還と処刑に関する宣言。その言葉を聞いて王の間を出たアカネは、ギンジに感謝の言葉を述べるとともに「全部知ってたんなら、なんで先に話さなかった」と行き場のない想いをぶつける。

『ディバインゲート』

 新生世界評議会の幹部となったギンジは、その犬として我慢をしつつも、クロウリーが聖常王となるための後ろ盾になっていたのだった。

●“#01 それぞれの想い”より

 王の間を出た六人。そして、アカネがギンジへと述べた感謝。色々、ありがとな。だが、次の瞬間、アカネは眉間に皺を寄せ、ギンジを見つめた。全部知ってたんなら、なんで先に話さなかった。行き場のない想い。どうして、話してくれなかったんだ。

●“#02 それぞれの想い”より

 ギンジはその視線を交わそうとはしなかった。俺には俺の、俺にしか出来ないことをしたまでだ。それは正論だった。ただ我慢を続け、評議会の犬であり続けたギンジの後ろ盾なく、聖常王の誕生はありえなかった。だけど処刑するって言ったアイツは。

●“#03 それぞれの想い”より

 ありがとう、アカネくん。優しく声をかけたヒカリ。そして、そんなヒカリを見つめる五人。どうしてだろう、やっぱりこうなるって、わかってた。溢すひとり言。だけど、やっぱりちょっと複雑だよね。それは女王としてでなく、妹としての言葉だった。

●“#04 それぞれの想い”より

 だけど、ヒカリはわかっててここへ来た。そういうことなのよね。にこりと笑い返したヒカリ。ユカリの言葉は真実だった。きっと悲しみの結末をみんなが望んでる。そこには幸せな世界が待っている。だから、私はこのまま進み続けることに決めたよ。

●“#05 それぞれの想い”より

 僕にも、少しだけわかる気がするよ。口を開いたアオト。きっと、兄弟ってそういうものだと思う。例えその道が間違っているとわかっていても肯定をする。そして、いつか真正面から否定する。だから、僕たちは迷わずに進み、そして、彼を否定する。

●“#06 それぞれの想い”より

 アカネも、それで文句ないね。ミドリは問う。文句もなにも、俺は初めからそのつもりだ。そして解かれた不穏。ギンジ、悪かったな。俺のほうこそ悪かった、もっとオマエたちを信じるべきだったな。再び集いし六人。それじゃあ、場所を移そうか。

 ギンジは評議会に不信を抱きつつ、評議会を失えば民衆が混乱することを理解していた。だからこそ、あえて世界評議会、ひいては六聖人たちの形式にのる形でクロウリーを即位させる必要があった。

 そのため、聖戦の裏でクロウリーの従者たちが民衆を救うという実績をつませていたのだった。

●“#07 それぞれの想い”より

 ギンジが案内したのは常界のとある地下施設。ここなら評議会の連中に聞かれねぇ。そして語られた評議会への不信。だが、統合世界の平和は評議会の手により守られてきた。だから、評議会を失えば民は混乱する。そう、まだ犬である必要があるんだ。

●“#08 それぞれの想い”より

 だから、聖常王は。ミドリのついた相槌。そう、あえて世界評議会の形式にのる形で即位した。アイツだって、わかってる。やるべきことはひとつじゃねぇ。聖神のいる神界、六聖人のいる世界評議会、そのすべてが、いまの俺たちにとっての敵なんだ。

●“#09 それぞれの想い”より

 でも、それじゃあどうして聖神討伐なのかな。アオトの抱いた疑問。きっと、六聖人の出方を伺うためよ。代わりに答えたのはユカリ。聖神の処刑を助長するのか、阻止しようとするのか。それと、もうひとつの可能性。その両方の動きがあるとしたら。

●“#10 それぞれの想い”より

 私、ヒスイさんから聞いたことがあるの。世界評議会も、神様たちも、すべては「世界の決定」に従って動いている、って。いまその決定を下しているのが、アーサーさんだとしたら。深まるのは聖神への疑惑。だが、アオトはその疑惑を否定した。

●“#11 それぞれの想い”より

 だとしたら、真っ先に僕たちを、聖常王を止めているはずだよ。きっと、あの場所での会話はすべて聞こえていた。だから聖常王は、あえて、あの場で、あの話をしたんだ。思案による沈黙が流れる。そして、その沈黙を一番に壊したのはアカネだった。

 そしてアカネは、常界の始まりの地と呼ばれる場所で知った聖なる扉<ディバインゲート>について語り始める。「そこで触れたのは聖なる扉<ディバインゲート>のすべてのひとつ」「きっと、ひとつなんだ。そして、すべてなんだ。ひとつであり、すべてだったんだ」と。

『ディバインゲート』

●“#12 それぞれの想い”より

 俺は行ったんだ、常界の始まりの地と呼ばれる場所へ。それは聖戦の裏側の物語。そこで触れたのは聖なる扉<ディバインゲート>のすべてのひとつ。再び訪れた沈黙。きっと、ひとつなんだ。そして、すべてなんだ。ひとつであり、すべてだったんだ。

[3]世界評議会から姿を消した円卓の騎士

 クロウリーから告げられたアーサーの処刑は、円卓の騎士たちにも大きな影響を与えていた。「例え、この世界を敵に回したとしても」と言葉にするレオラのように、多くの騎士たちはアーサーを守るという選択を行う。

『ディバインゲート』

●“#01 騎士達の決断(レオラ=ベディヴィア)”より

 私は誓ったんです、本当のあの人をもう一度好きになる、って。それは乙女の祈り。だから、私は決めました。絶対にあの人を処刑させたりしない。本当のあの人を見つけるまで、あの人のことを守り抜きます。例え、この世界を敵に回したとしても。

●“#02 騎士達の決断(ヒルダ=ケイ)”より

 私は初めから決めていたわよ。ヒルダはいつも通り、口を尖らせていた。だって、処刑なんてされちゃったら、あいつのこと殴ることが出来なくなっちゃうじゃない。そう、だからこれが私の決めた道。破られた世界評議会の職員証は、そっと風へ。

●“#03 騎士達の決断(ロア=ユーウェイン)”より

 聞かないんだな。問いかけたロア。いまさら、お前に聞くこともないだろ。答えたラン。そこはいつもの古びたパブ。背中合わせのふたりは口を閉ざした。それじゃ、いまのうちに酔っ払っておくか。テキーラの注がれたショットグラスに手を伸ばす。

●“#04 騎士達の決断(ラン=パーシヴァル)”より

 ランが差し出した左手。親指の付け根には好物の塩が。酔っ払ってなきゃ、やってらんねーだろ。そして、ふたりは流し込む。空になったグラスで交わす約束。それじゃあ、行こうか。ふたりが袖を通したのは懐かしの白い隊服。これが俺らの生き方さ。

●“#05 騎士達の決断(ブラウン=ガレス)”より

 私は彼の可能性を信じた。そして、彼は私のことを信じてくれた。ブラウンは出会った日のことを思い出していた。だから、残り少ない未来を彼に捧げると決めたのだ。私はいまでも、彼の可能性を信じている。彼を殺させるわけにはいかないのだ。

●“#06 騎士達の決断(ローガン=パロミデス)”より

 俺は世界評議会に雇われたわけじゃねぇんだ、俺の雇い主はボスだけだ。ローガンは昇る煙に想いを馳せる。ボスを死なせるなんて、俺の信念に反するってもんよ。だから、悪いな。走らせる筆。退職届けは、自分の手で、自分の意志で書かせてもらう。

●“#07 騎士達の決断(フェリス=ガウェイン)”より

 パパが悪いことしてるのはわかってる。でもね、パパは私にとって、世界でひとりだけのパパなんだ。フェリスはぬいぐるみに語りかける。だからね、私は悪い子になるよ。みんな、いままでありがとう。私はやっぱり、パパのことが大好きだから。

●“#08 騎士達の決断(オリナ=ラモラック)”より

 どうしてなんだろ。オリナはずっと考えていた。ボスがいったいなにを考えているのか。きっとボスのことだし、色々と考えているんだろうな。だから、オリナの決断はひとつだった。やっぱり、ボスに教えてもらいたい。世界のこと、もっと知りたい。

 リオと2人で言葉を交わすミレンは、アーサーのためにアーサーの命を奪おうとするリオの考えに多少の同意を示しつつ、「でも、私はやっぱり彼には生きてほしいみたい。彼が愛した世界で、沢山の幸せに包まれてほしいのよ」と心の内を語る。

●“#09 騎士達の決断(ミレン=トリスタン)”より

 久しぶりね、こうやってゆっくりふたりで話すのは。ミレンの隣にはリオがいた。私はときどき思うの、やっぱりあなたの考えが正しいんじゃないか、って。それは、自分を犠牲にする以外の生き方を知らない、かつての王を敬っての言葉だった。

●“#10 騎士達の決断(リオ≠モルドレッド)”より

 でも、私はやっぱり彼には生きてほしいみたい。彼が愛した世界で、沢山の幸せに包まれてほしいのよ。無言のままのリオ。だから、あなたとはここでお別れね。そっと立ち上がるミレン、そしてそんな彼女の後姿を、リオはただ黙って見送るのだった。

 そして、世界とアーサーのどちらを選ぶべきか悩み、不安を覚えるアスルに対して、ライルは「チビが一丁前に悩んでんじゃねぇよ」と冷たい言葉で背中を押す。

 重なる拳と拳。「どっちが勝っても恨みっこなしだ」。アスルはアーサーを守ること、ライルはこれまで通りにアーサーを殺すことと、相反する選択を行い、2人は別れるのだった。

●“#11 騎士達の決断(アスル=ブルーノ)”より

 オレが間違ってんのかな。アスルは少しだけ不安になっていた。チビが一丁前に悩んでんじゃねぇよ。ライルの冷たい言葉が押した背中。そうだよな、悩むなんて、オレらしくないよな。あぁ、オレはオレの思うように、オレの道を進ませてもらうよ。

●“#12 騎士達の決断(ライル≒ランスロット)”より

 それじゃ、楽しみにしててやるよ。アスルは右手を突き出した。俺は面倒くさいだけだけどな。だが、ライルも右手を突き出した。重なる拳と拳。どっちが勝っても恨みっこなしだ。その拳が意味していたのは反する想い。次に会うときは、きっと。

 「彼が世界の敵になるのなら、僕たちも世界の敵になる」。マーリンは、自分を含めた11名の退職届を聖常王クロウリーへと提出し、それを受理された。こうして、神界への侵攻を前にして、世界評議会から11人の円卓の騎士が姿を消したのだった。

『ディバインゲート』

●“#13 騎士達の決断(アサナ≒マーリン)”より

 聖常王への謁見を許されたアサナ。これが僕たちの決断です。11通の退職届け。わかった、受理しよう。それがなにを意味しているのか。彼が世界の敵になるのなら、僕たちも世界の敵になる。そして、世界評議会から11人が姿を消したのだった。

神界との戦いに加勢する三魔獣士

 神界との戦いを目前とする中、円卓の騎士の離脱によって常界の戦力は大きく低下した。だが、時を同じくして魔界の三魔獣士(炎魔獣士アスト水魔獣士ポストル風魔獣士アミラス)がクロウリーに力を貸すことになった。

『ディバインゲート』

 炎魔獣士アストは魔界の賭博場で幾元嬢コスモに負けていたところを、南従者パイモンによって招集された。

 そしてそれは、魔界を治める聖魔王ヴラドの許可を得てのことだった。

●“アスト”のプロフィール

 で、あなたはいくら賭けるの。幾元嬢は問う。ここは魔界の賭博場。俺はいつだって、でかいもんを掴みたいんだよ。預けられたのは大量のチップ。そんなあなたに、これをサービスよ。差し出されたブルームーン。ふざけやがって。そのカクテルが意味したアストの敗北。そして、うな垂れた男の許を訪ねる女がいた。

●“炎魔獣士アスト”のプロフィール

 やったじゃない、でかいのが来たわよ。炎魔獣士アストが顔をあげると、そこには大きな胸が揺れていた。赤ら顔のまま、さらに顔をあげる。オマエに召集命令だ。男の許を訪ねてきたのは南従者だった。もちろん、聖魔王の許可を得ている。そして、召集されたのは男だけではなかった。俺たち三魔獣士全員が召集だと。

 水魔獣士ポストルを召集したのは、魔参謀長ファティマの部下であり、かつてはグリモア教団を潜入捜査していたこともあった水波卿サフェス

 ポストルはターミナルに用意されていた特別列車に乗り、クロウリーがいる常界へと向かった。

●“ポストル”のプロフィール

 集まっていた視線。テラス席でひとり、ゆっくりとページをめくっていたのは才色兼備なポストル。ようやく、休息が訪れたと思っていたんだけどな。その言葉とともに閉じられた本。いいよ、わざわざキミが来たってことは、それなりの用事なんだろう。視線を交わすことなく一方的に進む会話。それじゃあ、行こうか。

●“水魔獣士ポストル”のプロフィール

 ボクを迎えに来たってことは、きっとあのふたりにも召集がかけられているんだよね。その質問は質問ではなく、間を埋めるためだけのものだった。で、どこへ行くかも察してくれ、ってことかな。ターミナルに用意されていた特別列車。行き先に表示された「常界」の文字。少し長旅だね、仲良くやろうよ、水波卿くん。

●“水波卿サフェス”のプロフィール

 聖魔王の指示の下、水魔獣士を常界へと案内した水波卿。それにしても長年の潜入任務お疲れさま。で、巡り巡って、また彼女の下に派遣されるわけだね。かつての教祖であり、現聖常王である者の下に就いていたのは聖魔王直々の命令。まぁ、キミが一番の適任だね。そんなこと、言われなくても誰よりわかってるさ。

 「眠いなら、私の膝を使っていいよ」「ずるーい、私の胸を使ってくれてもいいんだよ」。美女たちに囲まれて楽しんでいた風魔獣士アミラスのもとへ招集命令の手紙を届けたのは、豊満な肉体を持つ翠風魔将イバラ。彼女は寝ころんだまま、アミラスに手紙を渡したのだった。

●“アミラス”のプロフィール

 大きな欠伸をしていたアミラス。眠いなら、私の膝を使っていいよ。左の女がそう言った。ずるーい、私の胸を使ってくれてもいいんだよ。右の女はそう言った。眠るなら、私と一緒にベッドへ行きましょう。後ろの女はそう言った。男を取り囲む無数の美女たち。どうせなら、みんなで一緒に楽しくベッドへ行こうよ。

●“風魔獣士アミラス”のプロフィール

 移動した先はベッドルーム。だが、すでにそこには先客がいた。天蓋に映し出された豊満な体のシルエット。あれ、新しい僕の彼女かな。油断した一瞬、風魔獣士アミラスを襲う無数の蔦。間一髪、構えた【バンザ:セカンド】。だが、蔦に殺意はなかった。そして翠風魔将は寝たまま、召集命令の手紙を渡したのだった。

[4]神界への遠征の準備を行うアカネたち

 神界への遠征日まで、残り1週間。アーサーの手に落ちたディバインゲートは常界への干渉を続けており、それはレプリカによる対ディバインゲート用守護防壁キュリケイオンによって守られていた。

 レプリカは、常界全土を覆うシールドを展開し続けており、残されている時間は少なかった。

●“#01 世界の決定:序章”より

 聖常王から通達された神界への遠征日まで残り1週間。アカネはとある研究所を訪れていた。無数のモニターに映し出されていたのは、いまも常界全土を覆うシールドを展開し続けるレプリカの稼働状況だった。もう、時間は残されてないってことか。

●“#02 世界の決定:序章”より

 いまも、ディバインゲートは常界へ干渉し続けている。メビウスの解説。そして、そのディバインゲートはおそらく彼の手に。それじゃあ、やることはひとつってことだな。常界は私たちに任せて。だから、行ってらっしゃい。炎才の自慢の息子さん。

 アオトは、かつて自分たち兄弟が生まれ育った常界の家でアリトンと再会する。

 そもそもアオトという名前は、本来はアリトンのものだった。2人の両親は出来のよい弟アオト(のちのアリトン)を優遇し、出来の悪い振りを演じていた兄アオイ(のちのアオト)を虐待していたが、兄を救うためにアオト(のちのアリトン)は両親を殺して、姿を消した。こうして、弟が犯した親殺しの罪を背負おうとアオイは弟の名前“アオト”を名乗り始めたのだった。

 「僕(アオイ)はアオトとして生きる」「僕(アオト)はアリトンとして生きる」。2人が選んだ名前は未来への肯定であり、そして普通に生きることを拒絶した証でもあった。

●“#03 世界の決定:序章”より

 アオトが訪れたのは常界の自分が生まれ育った家。あの日から誰も住むことのないその家だけが、時代から置き去りにされていた。だけど、僕たちは時を経て、いまこうしている。そして、僕たちは罪を背負い続ける道を選んだ。隣にはアリトンがいた。

●“#04 世界の決定:序章”より

 僕はアオトとして生きる。僕はアリトンとして生きる。ふたりが選んだ名前は、未来への肯定であり、そして普通に生きることを拒絶した証。兄さん、僕たちの足を引っ張らないでね。こぼれた冗談。その日、ふたりの心と体を濡らす雨は降らなかった。

竜界でドロシーを捜すミドリ

 竜界へ戻ったミドリは、竜道閣へと消えたカナンと、オズを救うために古の竜の血を探し続けるドロシーを捜していた。

『ディバインゲート』

 命を綴ることは神にだけ許されていることで、オズは例外的に竜王家に生まれた存在しないはずの命だった。そんなオズが迫害されるのは当然のことであり、その結果オズは神へ縋り(北欧神を召喚)、神へ抗った(改変により北欧神を弱体化)のだった。

●“#05 世界の決定:序章”より

 常界での出来事を報告しに竜界へと向かっていたミドリ。すでに竜界はミドリの第二の故郷となっていた。そして、ミドリが竜界へと向かったもうひとつの理由。竜道閣へと消えたカナン。古の竜の血を探し続けるドロシー。そう、オズの行方だった。

●“#06 世界の決定:序章”より

 私、ちゃんと知りたい。ミドリが問うたオズの過去。命を綴ることが神にだけ許されていたら。竜王家に生まれた存在しないはずの命。神と竜の確執。オズが迫害されるのは当然だった。彼は神へ縋り、神へ抗った。それじゃあ、ふたりがしてることは。

カルネアデスから渡された6つのドライバ

 ヒカリは神界に向かう前に、聖光才カルネアデスから6つのドライバを渡されている。

『ディバインゲート』

 「ちょっとだけ窮屈だけど、我慢してもらうぴょん」。そのドライバに込められていたのは、アカネたちと同化(リンク)していた精霊王そのもの。のちにアカネがレオラと戦った際に“確かにアカネの火力はいつかと比べ格段に落ちていた”のは、精霊王とのリンクが解除されていたからだった。

●“#07 世界の決定:序章”より

 ヒカリはカルネアデスからとある6つのドライバを渡されていた。ちょっとだけ窮屈だけど、我慢してもらうぴょん。そして、5人から託された想いと共に天界へ。だけど、ちょっとだけ嫌な予感がするな。それは、同じ血を引くからこその予感だった。

●“#08 世界の決定:序章”より

 おかえり。ヒカリを出迎えたオベロン。みんなを連れてきたよ。様子を伺いながら差し出されたドライバ。そして、そんなヒカリを察し、優しい眼差しを返すオベロン。どうもありがとう。だが、オベロンはヒカリの嫌な予感を否定することはなかった。

ヴァルプルギスの墓参りと、ヴラドに残された時間

 戦いを前にしたユカリは、夜汽車に乗って魔界へ向かう。その目的は、闇神ヘグニによって命を奪われた幼なじみのヴァルプルギスの墓参りだった。

『ディバインゲート』

 そこで出会ったのは、ヴァルプルギスよりも先代の王であり、血縁者でもあり、現在の魔界の王である聖魔王ヴラド

 「コイツのこと、ちっとも可愛がってやれなかったな」。ヴラドの言葉には、後悔と慈愛が込められていた。それを聞いたユカリは、「それよりも、あなたは自分の体だけを可愛がりなさい」と返す。

 かりそめの命を与えられ、オベロンとの戦いでも全力を尽くしたヴラドに残された時間は、あとわずかとなっていた。

●“#09 世界の決定:序章”より

 ユカリが乗り込んだ夜汽車が向かった先は魔界。窓に映った少女は少し疲れ顔。そして落ちた眠り。まどろみの向こう側で微笑む少女。無理しないでいいんだよ。幸せになっていいんだよ。だが、ユカリは否定をする。この生き方こそ、私の幸せだから。

●“#10 世界の決定:序章”より

 まもなくして着いた魔界。向かったのは大好きな少女の眠る墓。そこにいたのはヴラド。コイツのこと、ちっとも可愛がってやれなかったな。後悔に込められた慈愛。それよりも、あなたは自分の体だけを可愛がりなさい。やっぱり気づいていたんだな。

ギルガメッシュ対エンキドゥ

 ともに世界評議会の最高幹部をつとめる征服神ギルガメッシュとともに、ギンジは神界への進攻手段を捜していた。そんな2人が目指したのは“神に抗う塔”。かつてアーサーが聖なる扉を閉じた時に生まれた、統合世界と上位なる世界(竜界と神界)をつなぐ天高くそびえる塔だった。

『ディバインゲート』

 「やっぱり、来てくれたんだね」。そこで出会ったエンキドゥに対して、ギルガメッシュは「お前にだけは、会いたくなかったんだがな」と返す。

●“#11 世界の決定:序章”より

 ギンジが探し続けていたのは神界への進攻手段。だが、もはやギンジはひとりではなかった。近くに神がいるのを忘れるんじゃない。手を差し伸べたギルガメッシュ。そして、ふたりが目指した場所。共に行こうじゃないか、神へと抗ったかつての塔へ。

●“#12 世界の決定:序章”より

 評議会により、立ち入り禁止区域に指定されていた塔の跡地へと足を踏み入れたふたり。やっぱり、来てくれたんだね。その言葉はふたりのものではなかった。お前にだけは、会いたくなかったんだがな。そう答えたのは、ギルガメッシュだった。

 神へと抗う塔は、立ち入り禁止区域に指定され、常界から神界への通行は禁止されていた。だがエンキドゥは、神界から常界へとやってきた存在だった。

 「お前は逃げろ」というギルガメッシュのただならぬ覚悟を察して、ギンジはその場を離れた。「お前は人形なんかじゃない、だからどうか、目を覚ましてくれ」というギルガメッシュの言葉を聞きながら。

 この言葉は、エンキドゥが北欧神たちの使いであると察したギルガメッシュが、エンキドゥにやつらの人形になるな、という意味で使ったものだった。

 なお、エンキドゥがやってきた理由は7章で語られるが、神界を裏切って完全に常界の味方となったギルガメッシュを守るためというものだった。

●“エンキドゥ”のプロフィール

 立ち入り禁止区域に指定されていたはずの神へと抗う塔。エンキドゥはその禁を破ったわけではなかった。その塔が神界と常界を繋ぐ存在であれば、常界から神界への通行は確かに禁止されていた。最初からこいつは、そっち側の存在だってことさ。そう、彼にとって、常界へ来るのに、禁などは存在していなかったのだ。

●“呪罰神エンキドゥ”のプロフィール

 ただ征服神を見つめる呪罰神エンキドゥ。私の言葉が届かないのか、それとも、言葉そのものを失ってしまったのか。ふたりに訪れた最悪の再会。呼び覚まされた無数の獣。お前は逃げろ。征服神のただならぬ覚悟を察し、その場を離れた無英斧士。お前は人形なんかじゃない、だからどうか、目を覚ましてくれ。

[5]六聖人の動き

 一方そのころ、戦いを前に六聖人もそれぞれの思惑を抱いていた。水聖人ヨハンは魔界のことを気にせずにファティマからの謁見を断り、“世界の決定”を“答えが出ている問い”としてくだらないと思いつつ、新しい解に対する好奇心をのぞかせていた。

『ディバインゲート』

●“#03 世界の決定:六聖人”より

 先生、ファティマ様から謁見の申し出が来ております。もう魔界とか必要ないんだ、だから適当にあしらっといてよ。ヨハンは過去を拒んだ。いまの僕はなにも得をしない、だから取引としては不成立だね。彼女も随分丸くなったみたいでつまんないよ。

●“#04 世界の決定:六聖人”より

 それにさ、世界の決定とか本当にくだらないよ。答えが出ている問いに、なにを求めればいいのかな。ヨハンが抱いていたのは疑心とは異なる感情。その先に、もしかしたら新しい解があるのかな。なぜだろう、これは探究心じゃなく、好奇心みたいだ。

 風聖人イージスは、自身に蓄積されたライブラリから、かつて神界で起きた各世界による争いを照合し、「いまの世界が、貴方様の望んだ世界なのでしょうか」と自問する。

『ディバインゲート』

 亡き君主によってプログラミングされていた守るべき存在は、時代とともに変わっていた。イージスの体の半分に流れる“人間の血”が示すように、彼女が守るべき存在は神が創る人間の為の“新しい世界”ではなく、イマを生きる人間たちが創る“イマの世界”となっていた。

 その考えのもと、イージスはのちに六聖人を裏切ることになる。

●“#05 世界の決定:六聖人”より

 イージスが自身に蓄積されたライブラリから照合したのは、かつての争いの記憶。神界で起きていた各世界による争い。いまの世界が、貴方様の望んだ世界なのでしょうか。答えは解りきっていた。私の体の半分に流れる人の血の意味が解りました。

●“#06 世界の決定:六聖人”より

 プログラミングされていた守るべき存在。そして、時代とともに変わるその存在。これをエラーと呼ぶべきか。だが、イージスにはわかっていた。人の心は機械仕掛けではない。亡き君主の願い。私が討つべき存在は、初めから決まっていたんですね。

 光聖人ジャンヌは、アーサーの処刑を宣言する聖常王クロウリーの姿をおさめた映像を見て、「アンタの旗の振り方は間違っちゃいない。だけど、まだ青さは抜け切らないわね。それじゃあ、死にに行くようなものよ。歴史は常に正しいわけじゃないの」と言葉を放つ。

『ディバインゲート』

●“#07 世界の決定:六聖人”より

 六聖人の元へ届けられた映像。そこには聖神の処刑を宣言する聖常王の姿が映し出されていた。アンタの旗の振り方は間違っちゃいない。だけど、まだ青さは抜け切らないわね。それじゃあ、死にに行くようなものよ。歴史は常に正しいわけじゃないの。

 「英雄になって、その後はどうするつもりかしら」。ジャンヌが問いかけたのはモニターではなく、彼女の後ろに立つ人影(クロウリー)に対してだった。

 「悪意を集めたあと、死んで平和へと導く。そんなドラマは見飽きたのよ。だから生きて、そして償い続ける。アタシは信じてあげるから」。世界の平和のため、自分に悪意を集めて犠牲になることをもくろむクロウリーに対して、ジャンヌは“生きて償うこと”を求めるのだった。

●“#08 世界の決定:六聖人”より

 英雄になって、その後はどうするつもりかしら。問いかけたのはモニターではなく、ジャンヌの後ろに立つ人影へ。悪意を集めたあと、死んで平和へと導く。そんなドラマは見飽きたのよ。だから生きて、そして償い続ける。アタシは信じてあげるから。

 そして、闇聖人シオンもまた、クロウリーの映像を見て苦悩していた。そんなシオンに対して、兄である創竜神ヒスイは「お前のことを、俺たちは信じている。だから、絶対に逃げ出すなよ。世界の決定に背くのは、俺だけで十分なんだ」と告げるのだった。

『ディバインゲート』

●“#09 世界の決定:六聖人”より

 六聖人へと届けられた聖常王の声明。シオンもまた、例外ではなかった。薄暗い部屋で、何度も見返す映像。込められていたメッセージの意図を理解出来ないほど、愚かではない。ただ、避けることの出来ない現実を、見つめるほかなかったのだった。

●“#10 世界の決定:六聖人”より

 そんなシオンの部屋の窓を叩いた風。それはふたりの間でだけ通じる合図。なに浮かない顔してんだよ。そう、現れたのはヒスイだった。お前のことを、俺たちは信じている。だから、絶対に逃げ出すなよ。世界の決定に背くのは、俺だけで十分なんだ。

息子であるサンタクローズを排除した無聖人ニコラス

 「あーぁ、つまんない大人になっちまったな」。無聖人ニコラスが報告書に記したのは、世界の決定に従い、自分の息子である聖叛者サンタクローズを排除したことだった。

『ディバインゲート』

●“#11 世界の決定:六聖人”より

 ニコラスはただ筆を進める。報告書に記されたのはサンタクローズの名前。これは世界の決定なんだ。自分の息子へと突きつけた銃口。一発の銃声が鳴り響いた夜。そこに下されていた排除という世界の決定。あーぁ、つまんない大人になっちまったな。

 「どうか、あの子に最高のクリスマスプレゼントを」。それはニコラスがまだサンタクローズと呼ばれていたころに、とある人間の女性が残した最後の言葉であり、最後の願いでもあった。

●“#12 世界の決定:六聖人”より

 ニコラスが思いを馳せるのはいまから20数年以上前、ニコラスがサンタクローズと呼ばれていた頃の話。そして、一日たりとも忘れたことのない、とある人間の女の最後の言葉であり、最後の願い。どうか、あの子に最高のクリスマスプレゼントを。

 ここまで、無雪徒ドロッセルのプロフィールで、サンタとアーサーの出会いは無聖人の掌で“仕組まれていた”と表され、“雪降る夜に出会わされてしまったふたり”と不穏な意味合いが感じられたが、ここでの人間の女(イグレイン)の言葉の登場により、“仕組まれていた”の意味が大きく変わることとなる。

 そんなニコラスが本当にサンタクローズを排除したのか? それはのちの物語で明かされることになる。

●“無雪徒ドロッセル”のプロフィール

 運命を必然と呼ぶのであれば、ふたりの出会いは運命であり、そして必然だった。どうして出会えたのか、どうして出会ってしまったのか、どうして出会わされてしまったのか。無雪徒ドロッセルはただ記録を続ける。雪降る夜に出会えたふたりを。雪降る夜に出会わされてしまったふたりを。すべては、無聖人の掌に。

【キャラクターチェック】光聖人ジャンヌ編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 六聖人の中で、五番目に登場した聖人ですね。実は『ディバゲ』には、この手のタイプの女キャラってあまりいない気がします。

 第六章から急にいろいろと登場し始めたのですが、兎に角勝手に動いてくれるし、とても動かしやすいキャラクターになりました。見た目も性格もお気に入りです。

 聖人会の中ではとても真面目な彼女ですが、真っ先に裏切ってくれたのが好感度・大ですね。クロウリーのことも、アーサーのことも、アカネたちのことも気にかけており、頼れる姉さんです。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 キャラの元ネタが有名なだけにどう『ディバゲ』らしくするかが難しかったキャラクターでした。

 聖人は全員帽子を被ってるのですが、どのキャラも個性的で帽子でキャラが特定できるようなインパクトが欲しかったので、マーチングバンドらしい帽子はとても個性的で、ジャンヌらしい旗とメジャーバトンと槍との親和性も高く、他にないジャンヌになったのではないかなと思います。

 キャラクターの気が強そうな感じと女性らしい感じもうまくバランスがとれて、とてもいい委員長キャラになったと思います。

[設定画紹介コーナー]光聖人ジャンヌ編

『ディバインゲート』
▲光聖人ジャンヌの設定画。

【キャラクターチェック】風聖人イージス編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 イージスは大分前から登場していたのですが、ジャンヌと一緒に聖人組を裏切ってくれました。

 とても真面目な彼女だからこそ、とっても天然なんだと思います。だからこそ、イージスひとりに話させてしまうと、まったく意味がわからなくなってしまうので、ジャンヌやポタがイージスの通訳をしてくれます。

 彼女の君主や子たちは、第七章で登場しますが、人々そのものをイージスは守りたいと思っており、世界の決定により再創される世界は、人々にとってよりより未来であるからこそ、いままで従ってきましたが、イマの世界を見て、決してそれがよりよいというわけではないと気がつきます。

 気づくのが遅かったのか、気づくきっかけがなかったのか、どちらにせよ、今回のイージスの思想の変化は大きな意味のある出来事でした。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 聖人の中では一番体育会系なイージスさん。あまり絵からは伝わりにくくしてありますが、機械化されている部分は戦いによって失った人間の部分を機械で埋め合わせているという設定です。

 目も機械化されており、武器の照準や周りを飛ぶ遠隔アイにも機械によってつながっているという裏設定があったりします。

 立ち絵の設定段階では機械側にも自律機能が搭載されていて、一つの身体で機械と共存しているという設定とかも考えたりしていて、何より設定を考えるのが楽しかったキャラでした。

 ここまで機械化されていながらも、性格が熱く真面目で人間らしさをとても感じられるところがまたよいですね。

[設定画紹介コーナー]風聖人イージス編

『ディバインゲート』
▲風聖人イージスの設定画。

[6]夜明けの旗が振られ、神界への侵攻が開始

 いよいよ訪れた、神界への侵攻を行う当日。円卓の騎士が離脱し、参加者は少なくなっていたが、その理由を問う者はいなかった。

●“#01 世界の決定:夜明けの旗”より

 一週間後、再び聖常王の下へと集まったアカネたち。だが、集まっていたのは一週間前より少ない数だった。その理由を問う者はいない。各々が持つ、各々の世界。そこへ口を挟むことは許されない。それでは、始めようか。偉大なる神様への反乱を。

 戦いの前にクロウリーが伝えたのは、最高幹部である屠竜者ベオウルフが失踪したことと、ギルガメッシュとエンキドゥが神に抗う塔の前で激しい戦いを繰り広げたこと。

 また、神界への侵攻について六聖人からも承認を得たという“事実”(=真意ではない)が簡潔に伝えられ、魔界からの援軍である三魔獣士についての紹介も行われた。

●“#02 世界の決定:夜明けの旗”より

 初めに聖常王の口から伝えられたのは、最高幹部のひとりであるベオウルフの失踪、そしてギルガメッシュの詳細だった。神へと抗う塔に現れた正体不明の新たな神。無数の刃が飛び交い続ける戦場。だが、聖常王はトーンを変えることなく話し続けた。

●“#03 世界の決定:夜明けの旗”より

 触れられたのは六聖人について。謁見の場で承認を得たという事実。そう、「事実」のみが簡潔に伝えられた。これで準備は整った。そして紹介されたのは、魔界からの援軍である三魔獣士。聖常王は静かにアカネたちへと最後の問いを始めたのだった。

 そしてアカネたちは、戦いを前にそれぞれの決意を語る。アカネは「ディバインゲートが生まれ、世界は生まれた。そう、この世界は箱庭なんだ」と語り、ディバインゲートが運んだ幸せもあるが、自分の家族のように翻弄される人たちも大勢いたと続ける。

 そして、「だからそう、悲しみを知ってる俺が、壊さなきゃいけないんだ」と、アーサーとの戦いに加えて、ディバインゲートを破壊することも強く決意するのだった。

●“#04 世界の決定:夜明けの旗(無英斧士ギンジ)”より

 俺にはなんもなかった。ずっと空っぽだった。そして俺は俺の力ではなく、みんなの力でここにいる。じゃあ、いまの俺にはなにが出来るんだろう。この世界が間違っているとは言わない、正しいとも言えない。だから俺は、世界の為に世界を見極める。

●“#05 世界の決定:夜明けの旗(闇魔女王ユカリ)”より

 この世に生きる者はみな、大切な想いを抱いているの。それが大きいか、小さいかは関係ない。私はただ、いまも大好きな想いを大切にしたい。そのために世界を正す。そう、私はちっぽけな女よ。だけどね、この想いは誰にも負けないくらい大きいの。

●“#06 世界の決定:夜明けの旗(光妖精王ヒカリ)”より

 幸せって、なんだろう。私にとっての幸せは、みんなにとっての幸せじゃないかもしれない。だけど、いまのまま多くの命が不幸になる。私はだまって見過ごすことは出来ない。これは女王としての責じゃない。私個人の想い。だから、行かなきゃ。

●“#07 世界の決定:夜明けの旗(風咎棍士ミドリ)”より

 私はさ、みんなと違って、時代に流されてここまで来たんだ。大切な友達とも再会出来た。でもね、私が出会った大切な人たちの「大切」を守りたい。それじゃあダメかな。いまはまだ、立ち止まりたくはない。だからね、まだ走り続けていたいんだ。

●“#08 世界の決定:夜明けの旗(水咎刀士アオト)”より

 本当の僕は、もうこの世界に存在していない。アオイという本当の名は、どこにも存在していない。僕はアオトとして生き続ける道を選んだ。だから、僕の戦いはまだ終わってない。僕は僕を肯定する。罪の清算は、この世界の歪みを正すことなんだ。

●“#09 世界の決定:夜明けの旗(炎咎甲士アカネ)”より

 ディバインゲートが生まれ、世界は生まれた。そう、この世界は箱庭なんだ。ディバインゲートが運んだ幸せもある。だけど、翻弄される人たちも大勢いた。俺の家族だってそうだった。だからそう、悲しみを知ってる俺が、壊さなきゃいけないんだ。

 こうして、クロウリーによって夜明けの旗が振られ、常界の人間を中心とした神界への侵攻が始まったのであった。

●“#10 世界の決定:夜明けの旗”より

 各々が掲げた目的。その想いの規模が小さくとも大きさに関係はない。それぞれが苦悩の果てに辿り着き、抱いた大きな想い。聖神と、そして聖神が手にしたであろうディバインゲート。振られた夜明けの旗。いま、収束された道しるべを胸に歩き出す。

ロキに与えられていた役割

 物語の幕間には、ロキの口から“神の役割”について語られている。神は世界の誕生と共に生まれ、太陽を司る神、海を司る神など、さまざまな役割が与えられていた。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:悪戯神・回想”より

 人間たちが始めた神界への侵攻。当然、神界へもその話は伝わっていた。ただ、玉座で口を開くことなく待ち続ける聖神。その隣にいた悪戯神。ねぇ、神様になったキミは、どんな役割を持っているんだい。キミを知りたい。だから、ボクから話そうか。

●“#02 世界の決定:悪戯神・回想”より

 かつて、世界の誕生と共に生まれた神々。それは統合世界でも例外ではなかった。幾重にも連なった世界に存在した、幾千の神々。そんな神々にはそれぞれ役割が与えられていた。太陽を司る神、海を司る神、その他多くの役割。ボクはなんだったかな。

 「これは、ボクからみんなへのプレゼント。ボクみたいな存在がいたから、みんなひとつになることが出来たんだよ」と語るロキに与えられていた役割は、世界をかき乱すこと。世界に混乱があるからこそ、その混乱を乗り越えるために人々は団結できたのだった。

●“#03 世界の決定:悪戯神・回想”より

 世界に混乱が生まれる。そして、生きとし生ける者たちはみな、その混乱を乗り越える。そう、だからボクはいつもかき乱していたんだ。これは、ボクからみんなへのプレゼント。ボクみたいな存在がいたから、みんなひとつになることが出来たんだよ。

 その役割は統合世界に再び生まれた時も変わらなかったが、聖者という完璧な存在の血を引きながら人間という不完全な女の血を引いた存在であるアーサーを知ったロキは、強く興味をひかれることになる。

●“#04 世界の決定:悪戯神・回想”より

 ボクは混乱を好んだ。生まれたときから、その役割を持っていた。だから、統合世界に再び生まれたときも、その役割は変わらなかった。だって、それこそが世界の決定だったんだから。だけどね、ボクはあの日から、おかしくなっちゃったみたいでさ。

●“#05 世界の決定:悪戯神・回想”より

 聖者という完璧な存在の血を引きながら、人間という不完全な女の血を引いた存在。そう、まさにキミを知った時、体中の血が躍ったよ。こんなにも面白い生き物がいるんだ、って。だからボクはずっとキミを見ていた。それはボクの役割だったのさ。

 ロキが描いたのは、アーサーという絶対的な王様が生まれ、その王様が悪意に包まれることにより混乱が生まれることだった。ロキはそれを「楽しかった」と振り返り、「だって、混乱に乗じて、キミを手に入れることが出来たんだから。そう、ボクは世界の決定に背いてなんかいなかった」と語る。

●“#06 世界の決定:悪戯神・回想”より

 キミという絶対的な王様が生まれる。そして、その王様が悪意に包まれることにより混乱が生まれる。そう、ボクは楽しかったよ。だって、混乱に乗じて、キミを手に入れることが出来たんだから。そう、ボクは世界の決定に背いてなんかいなかった。

●“#07 世界の決定:悪戯神・回想”より

 ボクはもっとキミを見ていたかった。それはボクという存在の肯定よりも、強い想いになったんだ。だからもう、キミに縋られなくてもいい。あぁ、いつからか、ボクがキミに縋っていたみたいだ。そして、アーサーは聖神として生きる道を選択した。

 そしてロキは、「だけど、ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。これからキミがとる選択しだいで、ボクが世界の決定に背いたことになるみたいなんだ」と続ける。アーサーはすでに“世界の決定者”となっており、その意思こそが“世界の決定”となる状況となっていた。

●“#08 世界の決定:悪戯神・回想”より

 ねぇ、アーサー。キミはボクが思っていた以上に成長したね。だけど、ちょっとやり過ぎちゃったみたいだ。これからキミがとる選択しだいで、ボクが世界の決定に背いたことになるみたいなんだ。それがいったい、なにを意味しているかわかるかな。

●“#09 世界の決定:悪戯神・回想”より

 でも、ボクは後悔してないよ。それこそがボクの存在理由さ。きっと、世界は混乱する。それは常界だけじゃなく、神界も。アーサー、キミはいったいどんな役割を担うつもりなんだい。ボクはそれが知りたい。それさえ知ることが出来ればいいんだ。

●“#10 世界の決定:悪戯神・回想”より

 これでボクの話はお終いさ。だから、キミの話を聞かせてよ。ううん、違ったかな。そうさ、キミの物語を見せてよ。一番の特等席で。だから、安心してね。いつだってボクはキミのすぐ側にいるんだから。ずっと、いつまでも、きっと、終わる刻も―。

 ロキはすべてをアーサーにゆだねているので、仮にアーサーが決定者でありながら、世界の決定に背くようであれば、それはボク(ロキ)も世界の決定に背いてしまったことと同義だと述懐している。

 そしてダンテは、アーサーが決定に背くことを予期しているので、ロキへ「すでに決定へ背いている」という言葉を放ったのだった。

●“#02 世界の決定:六聖人”より

 そう、キミは聖人という生き物なんだ。そこに個が存在してはいけない。ダンテは沈黙を続ける。ボクは知ってる、キミは規律を遵守する神様だってことを。ならば、俺も知っている。口を開いたダンテ。貴様はすでに、世界の決定に背いていることを。

 なお、統合世界に生まれたロキは人間の肉体を持ち、聖人会議長ラウフェイによって神格を受け付けられた。そのため、ロキには上位の神の証である“目の周りの模様”がなく、そのことを仮面によって隠していた。

●“追想ロキ”のプロフィールより

 目覚めなさい。聖暦という時代に、統合世界に生まれたロキ。いや、選ばれたというほうが適切だった。あなたは今日から私の息子よ。人間という身体に植え付けられた神格。あなたは自由に生きていい。その神格がすべてを教えてくれるから。そして創られた神は、存在しない証拠を隠すために仮面をつけたのだった。

【キャラクターチェック】【追想】ロキ編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 ついに人間だった過去が明らかになったロキです。プロフィールでは、最初期から“統合世界に生まれたロキだ”と描かれていたので、うすうすそう思っていた人もいたのでは、と思います。

 イラストも、いまのようなトリッキーな服装ではなく、人間として生きていたときの服装なので、とても落ち着いた感じになっています。

 左目は、神のしるしが消えていかないように抑えています。

 だけど、やっぱり大切なモノは掌から零れてしまいますね。ロキにとって、神様になり、神様マークが定着しなかったことは、喜ぶべきことだったのでしょうか、それとも悲しむべきことだったのでしょうか。

●デザイナーコメント(夏嶋紺さん)

 今までのロキは空中に浮いていたりどこかに余裕があるポーズばかりでしたが、追想では「狂気的な雰囲気に」との仕様をいただいて、いろいろと試行錯誤しました。

 何度かラフ作成を繰り返して最終的に膝をついているポーズに決まりました。

[7]姿を変えた“神へと抗う塔”

 神界へ向かうため、“神へと抗う塔”と向かったのはアカネ、アオト、ミドリ、ヒカリ、ユカリ、ギンジの6人に加えて、元円卓の騎士であるライルとリオ、魔界の三魔獣士(炎魔獣士アスト、水魔獣士ポストル、風魔獣士アミラス)、そしてクロウリーの味方である旧教団員(水波卿サフェス炎通将ショクミョウ)。

 アマイモンなどの四大従者は、聖常王クロウリーとともに常界に残っていた。

●“#01 世界の決定:侵攻”より

 聖常王と共に残った四大従者。対して、神界へと向かうアカネ、アオト、ミドリ、ヒカリ、ユカリ、ギンジ。ライル、リオ、三魔獣士、旧教団員。少ない戦力であり、大きな覚悟。そして彼らとは別に、また別の動きを始めた者たちも存在していた。

 その付近で戦っていたはずのギルガメッシュとエンキドゥの姿はない。かつて扉の君と戦った塔の姿は様変わりしており、開かれた塔の扉には無数の怨念が蠢いていた。

●“#02 世界の決定:侵攻”より

 辿り着いた神へと抗う塔。違う、ここはあのときの塔じゃない。そう、かつての塔とは様変わりしていた。そして、アイツもいないみたいだ。見当たらないギルガメッシュの姿。みんな油断するなよ。開かれた塔の扉、そこには無数の怨念が蠢いていた。

 注意をしながら踏み込んだ塔の内部は、かつてのグリモア教団の内部が模されたものだった。それは終教祖メイザースの関与を示すものであり、堕ちた教団員たちがアカネたちに襲い掛かってきた。

●“#03 世界の決定:侵攻”より

 踏み入れた塔。灯されていた明かり。僕はこの場所を知っている。アオトが口にした言葉。あぁ、よく似ているな。口を挟んだのはショクミョウだった。ただ静かに辺りを見回すサフェス。そう、かつての教団を模していた内部。気をつけろ、誰かいる。

●“#04 世界の決定:侵攻”より

 直後、明かりに照らされたのは横たわった人影だった。どうも先客がいるみたいだ。油断と警戒、切り替わる感情。そして、無数の人影は起き上がる。腕が折れようと、足が折れようと、ただ意志もなく起き上がる。どうやら教団員が地に堕ちたようだ。

 「コイツらの後始末は俺たちがする、だからオマエらは行けよ」。ショクミョウとサフェスは仲間を先に進ませるため、そして、かつての同胞たちへ終わりを与えるために、その場に残る選択をしたのだった。

『ディバインゲート』

●“#05 世界の決定:侵攻”より

 虚ろな目で襲い掛かる無数の教団員たち。すべては終教祖の為に。虚ろな瞳、そこに意志は存在しない。コイツらの後始末は俺たちがする、だからオマエらは行けよ。ショクミョウとサフェスは、かつての同胞たちへ終わりを与える選択をしたのだった。

 無数の教団員が蠢くフロアを抜けたアカネたちの前に姿を現したのは、アーサーへの忠誠を貫き通した十一人の騎士たちだった。

 「君たちが彼の敵になるのであれば、僕たちは君たちの敵になる。僕たちの王は、いまも、昔も、これからも、彼ひとりだけだ」。こうして、円卓の騎士たちは次々とドライバを起動する。

●“#06 世界の決定:侵攻”より

 無数の教団員が蠢くフロアを抜けたアカネたちは息をついていた。それはライルも同じだった。そして、ついた息の意味を誰よりも理解していたリオ。そんな瞳で、俺を見るんじゃねぇーって。あなたのいつもらしくない顔が、ただ珍しかっただけよ。

●“#07 世界の決定:侵攻”より

 でも、安心するのはまだ早いんじゃないかしら。その言葉が意味していたのは、塔へと侵入していた先客。近づく足音。一つ、五つ、九つ、十。そして最後の足音。計十一の影。やっぱり、先客はあなたたちだったのね。ふたりの嫌な予感は的中した。

●“#08 世界の決定:侵攻”より

 姿を表したのはアーサーへの忠誠を貫き通した十一人の騎士たちだった。これが僕たちの選択だ。次々に起動されるドライバ。君たちが彼の敵になるのであれば、僕たちは君たちの敵になる。僕たちの王は、いまも、昔も、これからも、彼ひとりだけだ。

 「各員に告ぐ。それぞれの想いをぶつけなさい」。ミレンが天高く掲げた槍が、戦いの始まりを告げるのだった。

『ディバインゲート』

●“#09 世界の決定:侵攻”より

 対峙する想い。話をするだけ無駄よね。ミレンが天高く掲げた槍。各員に告ぐ。それぞれの想いをぶつけなさい。訪れる緊張。大丈夫、私たちは強い。だって、あの人が選んだ私たちなんだから。王を守る騎士として、恥じない戦いをすればいいだけよ。

忘れられていたショクミョウ

 クロウリーのためにグリモア教団を抜けた元サイキックスのショクミョウだったが、四大従者の反応はやや寂しいものだった。「誰だっけ」という反応を見せる北従者アマイモンと、「どちら様かな」と首を傾げる東従者オリエンス。そして、西従者アリトンと南従者パイモンは無言だった。

 だが、聖常王クロウリーはショクミョウのことを覚えており、懐かしい眼差しとともに彼に手を差し伸べたのだった。

●“炎通将ショクミョウ”のプロフィール

 聖常王についてきたのは従者たちだけではなかった。これが償いと言うのなら、俺も共に歩もう。流れ着いたショクミョウ。そして、彼の耳に届いた意外な言葉。誰だっけ。北従者の言葉。どちら様かな。首を傾げる東従者。無言の西従者と南従者。だが、そんな彼へ、聖常王は懐かしい眼差しと共に手を差し伸べていた。

【第六章“世界の決定2”は5月27日(土)夕方ごろに公開予定です】

(C) GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

データ

関連サイト