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2017年5月27日(土)

【ディバゲ:ストーリー追想録】第6章“世界の決定2”~世界の決定者たちの出現

文:そみん

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。

 第六章“世界の決定(2017年2月~)”では、聖神アーサーの奪還と処刑のために神界を目指すアカネたち、そしてアーサーのために世界を敵に回す円卓の騎士などに関する物語が展開します。

[8]アサナ≒マーリン対ライル≒ランスロット

 「僕はただ、彼に幸せになってほしいだけです」と語るアサナ≒マーリンと、「だったら、俺は俺の幸せのために、アイツを殺すだけだ」と返すライル≒ランスロット。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:0人目”より

 君の相手は僕がするよ。ライルが大剣を構えると同時に目にも止まらぬ速さで薙いでみせたアサナ。一度アンタとは、戦ってみたかったんだ。体勢を崩しながらも、その攻撃を弾いたライル。アンタの話は聞いてたよ、随分と古い付き合いなんだってな。

●“#02 世界の決定:0人目”より

 僕はただ、彼に幸せになってほしいだけです。それはアーサーの幼き日を知っているからこその想い。杖に集積された風は荒れ狂う。だったら、俺は俺の幸せのために、アイツを殺すだけだ。ライルを縛り続ける鎖、それがいまも彼のすべてだった。

 アサナの風はライルの大剣をいなすが、「悪いな、武器はこれだけじゃないんだ」と、ライルは手にした銃輪(円卓の騎士時代に使っていたアロンダイト)でアサナの身体を貫くのだった。

 アロンダイトはライルが円卓の騎士だった頃の象徴であり、その武器で円卓の騎士であるマーリンを倒すことによるライルの覚悟が感じられる場面となっている。

●“#03 世界の決定:0人目”より

 続く攻防。力任せに振られる大剣をいなした風。そして、風が解いた大剣を握るライルの右手。僕の勝ちです。振るわれる杖。次の瞬間、流れ出す赤い血。悪いな、武器はこれだけじゃないんだ。アサナの体を貫いたのは、ライルが手にした銃輪だった。

●“#04 世界の決定:0人目”より

 僕は彼の力になれたのでしょうか。膝をついたアサナは問う。あぁ、アンタは立派だったよ。ライルが投げた労いの言葉。アンタがいたから、みんながここにいる。それはきっと俺も同じだ。こうして、始まりの0人目は9人目によって敗れたのだった。

アーサーとマーリンの出会い

 アーサーがアサナ(マーリン)と出会ったのは、日差しの温かな聖導院。当時、アーサーはアルトリウス(アーサーの本名)という名前を名乗っていた。

●“#01 世界の決定:0人目・回想”より

 ここは日差しの温かな聖導院。僕の名前はアサナ。少年は少年へ手を伸ばした。君の名前は。見た目とは裏腹に、少し緊張した面持ちの少年。俺の名前はアルトリウス。そして握り返した手。もしわからないことがあったら、僕に何でも聞いて下さいね。

 アサナにとって年下の少年であるアーサーは、少し危なっかしく、ついつい目が離せなくなる存在だった。怪我をしたら手当てをし、わからないことがあれば勉強を教える。そんな関係は、アーサーが常界へ向かってからも、変わることはなかった。

●“#02 世界の決定:0人目・回想”より

 アサナは聖導院の職員から、アーサーの事情を聞かされていた。僕が力になってあげないと。それは心からの善意。少し年上のアサナなりの距離感、それは少し遠くから見守ることだった。また、その距離はアーサーにとっても心地の良いものだった。

●“#03 世界の決定:0人目・回想”より

 少し危なっかしく、ついつい目が離せなくなる。アーサーはそんな子供だった。そして、アサナはいつも優しく見守っていた。怪我をしたら手当てをした。わからなければ勉強を教えた。それはアーサーが常界へ向かってからも、変わることはなかった。

●“#04 世界の決定:0人目・回想”より

 評議会入りしたアーサーの活躍は天界のアサナの耳にも届いていた。そして、いつしかアーサーはアサナにとっての憧れにも近い存在となっていた。だが、そんなアサナにアーサーは言った。俺にとって君は君だけだ。いまも昔も、きっと、これからも。

 「僕は君に、生きる強さを教えてもらった」「だから、僕は君の力になりたい」。アサナは同じ天涯孤独の身でありながら、それでも強く生きるアーサーの姿を見ていた。

 それに対してアーサーは、アサナにマーリンというコードネームを与えるとともに、「君は俺の部下じゃない。だけど、俺たちは仲間だ」と返したのだった。

●“#05 世界の決定:0人目・回想”より

 僕は君に、生きる強さを教えてもらった。同じ天涯孤独の身でありながら、それでも強く生きるアーサーの姿。だから、僕は君の力になりたい。そして、アーサーが与えたマーリンというコードネーム。君は俺の部下じゃない。だけど、俺たちは仲間だ。

アーサーとライルの出会い

 孤児であるライルは妖精のヴィヴィアンに引き取られた。第4章“聖戦”で語られたように、ヴィヴィアンがライルを育て、戦い方を教えたのは、すべては“誰かの子どもを守るため”、オベロンの子どもであるアーサーを守るためだった。

 その時点でライルは、アーサーという鎖に縛られていたのだった。

●“#14 聖戦:過去と今”より

 オレさ、全部知ってたよ。アイツとの出会いも。歳が近いオレを育てたのも、オレに戦い方を教えたのも、すべてはアイツを、誰かの子供を守る為だったんだろ。ごめんね、私の汚れた手で育てちゃって。それこそが、ヴィヴィアンの罪の意識だった。

●“#01 世界の決定:9人目・回想”より

 ライルという名の孤児がいた。ヴィヴィアンにとって、その孤児は都合の良い存在だった。そして、ライルはヴィヴィアンに引き取られたとき、幼くして運命が決定づけられていた。そう、このときから、ライルはアーサーという鎖に縛られていた。

●“#02 世界の決定:9人目・回想”より

 それでも、ヴィヴィアンは愛を込めて育てた。だが思春期のライルにとって、本当の両親がいないというのは道を逸れるのに十分な理由だった。そして時は流れ、喧嘩、酒、女に明け暮れる毎日。そんな荒くれ者の噂がアーサーへと届けられたのだった。

 やがて、荒くれ者として知られるライルの噂がアーサーの耳へ届き、2人は常界の路地裏で出会いを果たす。

『ディバインゲート』

 「いつか俺がオマエを殺す」「あぁ、それまで俺は、誰にも殺されやしない」。こうして2人の間での約束が交わされ、ランスロットというコードネームが与えられることに。

●“#03 世界の決定:9人目・回想”より

 常界の路地裏、出会ってしまったふたり。そして交された約束。いつか俺がオマエを殺す。あぁ、それまで俺は、誰にも殺されやしない。与えられたランスロットというコードネーム。こうして、危険をはらんだ9人目の円卓の騎士が生まれたのだった。

●“#04 世界の決定:9人目・回想”より

 ランスロットは信じていた。アーサーの大それた言葉に嘘偽りはないと。だからこそランスロットはアーサーに従った。そして知ることになる自分の存在理由。幼き日から自分を縛り続けていた鎖。運命。コイツを殺すのは、俺じゃなきゃダメなんだ。

●“#05 世界の決定:9人目・回想”より

 ヴィヴィアンとふたりで生きてきたランスロットにも居場所が生まれた。馴れ馴れしく接してくる同世代の同僚。無駄につっかかってくる生意気な弟分。その他大勢の仲間。アーサーを殺すと想いながらも、かけがえのない仲間たちが生まれたのだった。

[9]ミレン=トリスタン対リオ≠モルドレッド

 リオの前に立ち塞がったのは、元円卓の騎士であるミレン。リオは小刀を投げて亜空間フィールドを展開し、自分の姿を模した人影で戦うが、ミレンは「私を誰だと思ってるの。あなたの戦い方は、すべて把握してるわ」と返す。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:1人目”より

 リオの前、立ち塞がったミレン。やっぱり私とあなたは、同じ道を歩むことは出来ないみたいね。無言で太ももの小刀に手を伸ばすリオ。さぁ、最後の戦いを始めましょう。この戦いは彼の為であり、彼の為じゃない。そうよ、彼を想う私たちの為に。

●“#02 世界の決定:1人目”より

 リオが周囲へと投げた小刀、そして展開された亜空間フィールド。そして生まれたいくつもの人影。そのすべてがリオの姿へと変わる。そして複数のリオは一斉にミレンへと襲い掛かる。私を誰だと思ってるの。あなたの戦い方は、すべて把握してるわ。

 2人は互いに、あえて相手からの一撃を受けて本物を見抜く。そんな戦いを制したリオは、「だけど、私たちは同じなのよ。道は違えど、あの人の為に精一杯戦ったんだから」と、喜ぶことのできない勝利の言葉を残すのだった。

●“#03 世界の決定:1人目”より

 でも、腕をあげたわね。そこに存在していた無数のリオ。削られるミレンの体力。次で最後にしましょう。あえて受けた一撃。見つけたわ、本当のあなたを。一撃を受けていたのはリオも同じだった。どうして、わかったの。副官として、当然じゃない。

●“#04 世界の決定:1人目”より

 息をあげながらも倒れたミレンを見つめるリオ。最後までリオが袖を通すことのなかった新しい隊服。だけど、私たちは同じなのよ。道は違えど、あの人の為に精一杯戦ったんだから。1人目は倒れ、11人目は喜ぶことの出来ない勝利の中にいた。

アーサーとミレンの出会い

 ミレンがアーサーと出会ったのは、机がふたつだけ置かれた小さな執務室。そこで2人は、右手で握手を交わした。2人だけの部署にあて宛がわれる仕事は小さなものばかりだったが、アーサーはいつも真剣で、ミレンはそんなアーサーを支え続けた。こうして、小さな右手は、やがて王の右腕へとなっていく。

●“#01 世界の決定:1人目・回想”より

 ミレンの右手が扉を4回鳴らした。失礼します。開かれた扉の先、そこは机がふたつだけ置かれた小さな執務室だった。本日からお世話になります、ミレンと申します。近づく人影。伸ばされた右手。そして、その手を握った右手。始まりは右手だった。

●“#02 世界の決定:1人目・回想”より

 アーサーとミレン、ふたりだけの部署。宛がわれる仕事は小さなものばかりだった。だが、仕事に大小は関係ない。いつだってアーサーは真剣だった。そんなアーサーを支えるミレン。二人三脚の日々が育む信頼関係。そして小さな右手は、王の右腕へ。

 アーサーがなぜ特務機関という組織を発足し、各員にコードネームを与えていたのか。そこには職務上の都合もあったが、ミレンはアーサーが組織という家族を作り、名前を与えることに込めた本当の想いに気づいていた。

『ディバインゲート』

 そう、それはアーサーがサンタクローズから“アルトリウス”という名前を与えられ、そして家族同然に過ごしてきた大切な思い出があったからだった。

●“#03 世界の決定:1人目・回想”より

 アーサーが与えたコードネーム、トリスタン。アーサーがなぜ特務機関という組織を発足し、各員にコードネームを与えていたのか。そこには職務上の都合もあった。だが、ミレンは気づいていた。組織という家族を、名前を与える意味の本当の想いを。

●“#04 世界の決定:1人目・回想”より

 ボスであるアーサーが前線へと赴き、トリスタンが執務室で指揮を執ることも多々あった。そして、トリスタンが思うことはいつもひとつ。どうか、みんな無事で帰って来ますように。そう、アーサーと選ばれし12人の居場所を守りたいと思っていた。

●“#05 世界の決定:1人目・回想”より

 机がふたつだけ置かれていた執務室は気がつけば13人座れる円卓が収まるほどの広さへと。そして、その円卓に集いし王と12人の騎士。アーサーは告げる、ディバインゲートへ向かうと。行われた晩餐、それが13人全員が揃いし最後の晩餐だった。

アーサーとリオの出会い

 リオがアーサーと出会ったのは、すでに世界評議会の中でアーサーの存在が大きくなっていたころ。そんな時期、査察局に勤めていたリオに対して、アーサーの私設特務機関への異動辞令が出される。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:11人目・回想”より

 世界評議会の職員でアーサーを知らない者はいなくなっていた。査察局勤めのリオもアーサーをよく知る存在であり、アーサーをよく思わない存在だった。そんなリオに下されたのが私設特務機関への異動辞令。その裏側には大いなる力が働いていた。

●“#02 世界の決定:11人目・回想”より

 誰がどのような意図でリオを異動させたのか。その理由など、アーサーもリオも気にはしていなかった。アーサーはリオを受け入れ、そしてリオは自身をアーサーへ委ねた。与えられたコードネーム、モルドレッド。こうして、ふたりの関係は生まれた。

 アーサーと行動を共にするようになり、リオはアーサーの理想主義が虚像であることに気付く。アーサーは理想を掲げながらも現実を見つめ、その中で常に理想へ近づく選択をしていたのだった。

●“#03 世界の決定:11人目・回想”より

 アーサーと行動を共にするようになり、モルドレッドの考えに変化が生じていた。いままでアーサーという存在に抱いていた理想主義という虚像。そう、アーサーは理想を掲げながら現実を見つめる。その中で常に理想へ近づく選択をしていたのだった。

●“#04 世界の決定:11人目・回想”より

 機関の者だけが知っているアーサーの姿が存在していた。コードネームを与えながらも、ときとしてニックネームで呼ぶことがある。それは、アーサーなりの愛情表現なのだろう。そして、モルドレッドはそんなアーサーを微笑ましくも思うのだった。

 そんなリオは、アーサーが聖なる扉を目指す前に行われた最後の晩餐で、アーサーへの疑心を募らせていた。それがアーサーが死ぬつもりでいることと、死に場所を決めたのではないかという疑心。

 そして、聖なる扉を前にしたアーサーはわざと間違った鍵の使い方をして、自分の命を犠牲にして扉を閉ざすことを選んだのだった。

●“#05 世界の決定:11人目・回想”より

 最後の晩餐、誰かに参加を強制されたわけでもなく、自分の席についていたモルドレッド。だが、それでもモルドレッドはアーサーへ疑心を募らせていた。そう、彼は死ぬつもりでいるんじゃないかと、死に場所を決めたのではないかという疑心だった。

[10]ブラウン=ガレス対ギンジ

 ギンジが対峙したのは、かつて戦ったことがあるブラウン=ガレス。ブラウンは「あの頃の、力まかせの少年が嘘のようだ。随分と大きくなったのだな」と、少し嬉しそうに述べる。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:2人目”より

 じーさん、俺たちがアンタらと戦う意味はねぇ。だから引いてくれ。ギンジはブラウンと対峙していた。あの頃の、力まかせの少年が嘘のようだ。随分と大きくなったのだな。少し嬉しそうなブラウン。だがな、私たちには君たちと戦う理由があるんだ。

 戦いはギンジの劣勢で進む。焦るギンジに対して、ブラウンは「私には迷いがない。君には迷いがある。戦場に迷いを持ち込むな」と返すのだった。

●“#02 世界の決定:2人目”より

 剛と柔。ぶつかるふたつの力。己の力を過信するな。それはかつての教え。そして、劣勢なのはギンジだった。どうして、俺が押されるんだ。答えるブラウン。私には迷いがない。君には迷いがある。戦場に迷いを持ち込むな。それがいまの教えだった。

●“#03 世界の決定:2人目”より

 なにを迷っている。防戦一方のギンジ。わかってる、わかってるよ。やりきれない想い。君が正しいと思うのなら、私を倒し、そして進めばいい。武器を手にしたのならば、その覚悟をみせてみろ。戦場に迷いを持ち込むな、それは最後の教えとなった。

 やりきれない想いを抱えて戦うギンジに対し、ブラウンは「君が正しいと思うのなら、私を倒し、そして進めばいい。武器を手にしたのならば、その覚悟をみせてみろ。戦場に迷いを持ち込むな」とさとす。

 それはブラウンの最後の教えとなり、戦いはギンジの勝利で終わった。こうしてブラウンは、戦場で青年に未来を託したのだった。

●“#04 世界の決定:2人目”より

 ありがとうな、じーさん。ギンジは倒れたブラウンへ背を向けていた。そう、それでいいんだ。振り返らずに、真直ぐ進め。唇を噛み締めるギンジ。あぁ、俺には迷ってる暇なんてないんだ。こうして、2人目は戦場で青年に未来を託したのだった。

アーサーとブラウンの出会い

 昼時を過ぎて人がいなくなった世界評議会の食堂における窓際の席。そこはアーサーの特等席で、ただ注文された料理を作るブラウンと、ただ注文した料理を口にするアーサーの間に会話はなかった。

 そんな2人がかかわりあいを持ったきっかけは、食堂で起きた小競り合い。アーサーを妬む者の暴力を見て、ブラウンが間に割って入ったのだった。

●“#01 世界の決定:2人目・回想”より

 昼時を過ぎ、人のいなくなった世界評議会の食堂、窓際の席、そこはアーサーの特等席だった。ただ注文された料理を作るブラウンと、ただ注文した料理を口にするアーサー。ふたりのあいだに会話はない。そんな関係こそが、ふたりの始まりだった。

●“#02 世界の決定:2人目・回想”より

 何者かの推薦による評議会入りのアーサーが妬まれるのは当然のこと。彼を良く思わない者もいた。そしてある日、食堂で起きた小競り合い。アーサーに非はない。だが黙って殴られるアーサー。そんな小競り合いに割って入ったのはブラウンだった。

●“#03 世界の決定:2人目・回想”より

 老いぼれが出しゃばんな。矛先はブラウンへ。だが、元警備局のブラウンの腕は確かだった。一瞬にして静まる食堂。ブラウンはアーサーへ問う。なぜ抵抗しなかった。そこで初めてアーサーは口を開いた。小競り合いなど進む道の妨げにしかならない。

 抵抗をしなかったアーサーに対する疑問への答えは、「小競り合いなど進む道の妨げにしかならない」というもの。そしてアーサーはブラウンに、「俺の進む道に、じーさんが必要だ」と誘いの言葉をかけた。

『ディバインゲート』

 「だが、私は若者の未来の為に」と自分が引退したのは若者に未来を譲るためだと答えるブラウンだったが、アーサーは「だったら、その腕で未来を示せ」と返す。その一言がブラウンの人生を変えたのだった。

●“#04 世界の決定:2人目・回想”より

 そしてアーサーは少年のような笑顔を浮かべた。あと、もうひとつ。俺の進む道に、じーさんが必要だ。アーサーはブラウンの一撃を見逃さなかった。だが、私は若者の未来の為に。だったら、その腕で未来を示せ。その一言がブラウンの人生を変えた。

●“#05 世界の決定:2人目・回想”より

 与えられたコードネーム、ガレス。料理の腕は特務機関入りしたあとも健在だった。ディバインゲート遠征前の晩餐、用意した心温まる料理。いつかまた、このスープが飲みたいな。そんなアーサーの言葉から、ガレスは覚悟を感じ取っていたのだった。

[11]レオラ=ベディヴィア対アカネ

 レオラにとってアカネは、ライバルであり友だった。最初はアーサーの指示で力試しのために戦い、のちにナンバーズのアイン:W09と戦うために共闘。

 そして、ともにアーサーを奪還するために王都ティンタジェルへと旅をした2人だったが、最後は再び敵対することになったのだった。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:3人目”より

 いつかのように、ぶつかり合う炎と炎。あなたは私にとって、ライバルであり、友でした。アカネと対峙したレオラ。そして、最後は敵です。だけど、俺はいまでも。アカネの言葉を切り裂く銃剣。私は、私の想いを信じる。さぁ、全力で勝負です。

 「俺はいまでも」とレオラを説得しようとしたアカネだったが、覚悟の宿ったレオラの瞳を見て、説得をやめる。アカネは「これが本当の俺だ」と語るが、レオラはアカネの火力が依然と比べて格段に落ちていることに疑問を感じていた。

●“#02 世界の決定:3人目”より

 覚悟の宿ったレオラの瞳。そしてアカネは説得を止めた。レオラの剣圧が圧倒する。やっぱり、強くなったんだな。だが、返されたレオラの言葉。あなたの炎はそんなものじゃないはずです。そう、確かにアカネの火力はいつかと比べ格段に落ちていた。

 戦いはアカネの勝利に終わり、レオラは涙をこらえながら「大好きなあの人を、よろしくお願いします」と、アーサーのことをアカネに託したのだった。

●“#03 世界の決定:3人目”より

 だが、その理由を語ることなく応えるアカネ。これが本当の俺だ。だが、その言葉は嘆きではなかった。それでも俺はここへ来た。だから、ここで引くわけにはいかないんだ。生じた大きな爆発。煙が止むと、そこには地に膝を着いたレオラがいた。

●“#04 世界の決定:3人目”より

 レオラの想いは、きっと伝わってたよ。アカネがかけた優しさ。そしていつかのように抱きしめる肩。ありがとうございます。俯きながら溢した言葉。敗北を認めた3人目は、涙を必死に堪えていたのだった。大好きなあの人を、よろしくお願いします。

アーサーとレオラの出会い

 レオラがアーサーと出会ったのは、評議会採用試験の時だった。試験官でありアーサーと戦ったレオラは一途に想いをぶつけるが、場外へと足を踏み出して敗北してしまった。

 不合格であることを覚悟したレオラだったが、アーサーの独断により彼女は合格となり、評議会入りを果たしたのだった。

●“#01 世界の決定:3人目・回想”より

 そこまで。試験官の声が響いた。だが剣を止めることのないレオラ。そこまで。再び強い声が響いた。我に返るレオラ。また、やってしまいました。レオラは中等部にも関わらず、確かな剣技を持っていた。だが集中すると周りが見えなくなるのだった。

●“#02 世界の決定:3人目・回想”より

 何度目かの評議会採用試験。試験官としてレオラと対峙したアーサー。ただ、一途に想いをぶつけるレオラ。アーサーは一太刀一太刀を丁寧に受け止める。だが、アーサーが太刀を受けずにかわすと、レオラは場外へ足を踏み出してしまったのだった。

●“#03 世界の決定:3人目・回想”より

 張り出される合格者の番号。そこにレオラの数字はなかった。それは当然だった。やっぱり、私は向いてないのでしょうか。地面を見つめるレオラ。視界に入る革靴。見上げるとアーサーがいた。これから宜しく頼む。おいつかない思考。試験は合格だ。

 その後、ベディヴィアの名前を与えられたレオラは、あるときはアーサーの剣となり、あるときはアーサーの盾となった。ベディヴィアの胸は、アーサーでいっぱいだった。

『ディバインゲート』

●“#04 世界の決定:3人目・回想”より

 アーサーの独断により、レオラは評議会入りを果たし、ベディヴィアの名前を与えられた。そして、ベディヴィアの人生は変わった。あるときはアーサーの剣となり、あるときはアーサーの盾となる。ベディヴィアの胸は、アーサーでいっぱいだった。

●“#05 世界の決定:3人目・回想”より

 ベディヴィアはアーサーの側でアーサーを想い続けていた。自分の恩人だから。頼れる上司だから。だが、どれもしっくりこない。最後の晩餐のときも、その答えはわからなかった。だが、それでもベディヴィアはアーサーのことを想い続けていた。

[12]ローガン=パロミデス対アミラス

 アミラスとローガン=パロミデスの戦いは、アミラスの優位で進む。「いくら火力が高くても当たらなきゃ意味ないって」。ローガンの砲撃に対して、アミラスは半目のまま、その砲撃をかわしてみせた。

『ディバインゲート』

 そして、「仕事に私情を挟むなんて、ナンセンスだよ」というアミラスの挑発に対して、ローガンは「これは仕事じゃない、俺の意志で戦っているんだ」と返すのだった。

●“#01 世界の決定:4人目”より

 せっかくなら、可愛い子がよかったな。アミラスが溢したため息。安心しろ、たっぷり可愛がってやるからな。ローガンが放つ砲撃。始まった戦い。いくら火力が高くても当たらなきゃ意味ないって。アミラスは半目のまま、その砲撃をかわしてみせた。

●“#02 世界の決定:4人目”より

 止まることなく吐き出される砲撃。アミラスはローガンの間合いに踏み込むことは出来なかった。随分と必死だね。アミラスの挑発。仕事に私情を挟むなんて、ナンセンスだよ。ローガンはこう答えた。これは仕事じゃない、俺の意志で戦っているんだ。

●“#03 世界の決定:4人目”より

 意志の強さは強い。だが、それでも覆すことの出来ない純粋な力強さ。悪いね、こうみえても僕、君の何倍も生きているんだ。覆すことの出来ない実力差。でも、ここまでてこずると思わなかったよ。ちょっとだけ、見直した。だけど、もう終わりだよ。

 覆すことの出来ない実力差がありつつも、銃砲を支えに、膝をつこうとしないローガン。戦いはアミラスの勝利に終わったが、彼にローガンの行動は理解できなかった。

 それに対してローガンは、「ここで倒れでもしたら、ボスが帰ってきたときに顔向け出来ないからな」と、最後まで膝をつくことなく、瞳を閉じたのだった。

●“#04 世界の決定:4人目”より

 銃砲を支えに、膝をつこうとしないローガン。どこにそんな力が残ってるんだよ。アミラスには理解出来なかった。ここで倒れでもしたら、ボスが帰ってきたときに顔向け出来ないからな。4人目は最後まで膝をつくことなく、瞳を閉じたのだった。

アーサーとローガンの出会い

 評議会の提携先である民間軍事会社から、世界評議会の反対派の過激勢力による無差別テロの現場に派遣されたローガン。彼はそこで、「人質を気にせずに殲滅せよ」という無慈悲な命令を受けた。

 その命令を受け入れられないローガンに聞こえてきたのは、人質を傷つけないように立ち回ろうとするアーサーの声。アーサーは、人質を気にするなという命令に背いて行動していたのだった。

●“#01 世界の決定:4人目・回想”より

 飛び交う銃弾と悲鳴。世界評議会の反対派の過激勢力による無差別テロ。ローガンは評議会の提携先である民間軍事会社からその現場に派遣されていた。そして、ローガンに下された命令は、人質を気にせずに殲滅せよ、という無慈悲な命令だった。

●“#02 世界の決定:4人目・回想”より

 首を縦に振ることの出来ないローガンは気づいていた。人質の事実は隠蔽され、テロ鎮圧に成功とだけ報じられる未来を。慎重にテロリストだけを狙撃する。人質に傷ひとつつかないように。そんなローガンの背後から聞こえた声。命令と違うようだな。

 「俺が人質を解放する。だからオマエは俺を援護してくれ」。返事を待たずに先陣を切ったアーサーを、ローガンは夢中で援護したのだった。

●“#03 世界の決定:4人目・回想”より

 声の正体はアーサー。そして、アーサーは言う。俺が人質を解放する。だからオマエは俺を援護してくれ。返事を待たずに先陣を切ったアーサー。夢中で援護をするローガン。アイツは誰なんだ。彼は私たちのボスです。ベディヴィアはにこりと笑った。

 結果的に、テロは無数の犠牲を出して鎮圧された。民間軍事会社へ退職届けを叩きつけたローガンは、アーサー、ミレン、ブラウン、ベディヴィアに迎えられる。

『ディバインゲート』

 そしてアーサーは、そのテロで出会った“もうひとり(フェリス)”を迎えに行こうと、ローガンを誘うのだった。

●“#04 世界の決定:4人目・回想”より

 無数の犠牲を出しながらも、テロは鎮圧された。そして、当然のごとく民間軍事会社へ退職届けを叩きつけたローガン。すがすがしい気持ちでオフィスを出ると、そこに待っていた4人。俺たちがオマエを歓迎する。さぁ、もうひとりを迎えに行こう。

●“#05 世界の決定:4人目・回想”より

 最後の晩餐、パロミデスのコードネームを与えられたローガンは豪快に酒を飲んでいた。今日という日を楽しもう。明日のことは忘れて。パロミデスはすでに覚悟を決めていた。それは、新しい居場所を、新しい自分を与えてくれたボスへの忠誠だった。

[13]フェリス=ガウェイン対アスト

 アストは、自分に戦いを挑んできた少女のフェリスを見て「ここはお遊戯会じゃないんだ」とあきれるが、フェリスは「私は確かに子供だよ」「だけどね、私だって騎士のひとりなの」「だから、覚悟するのはあなたの方なんだよ」と、大きな銃斧を振り上げる。

『ディバインゲート』

 その一撃は油断していたアストの体勢を崩し、フェリスは小柄な体を活かしてアストを翻弄するのだった。

●“#01 世界の決定:5人目”より

 ここはお遊戯会じゃないんだ。フェリスを前に、アストは槌を構えようともしなかった。私は確かに子供だよ。そして変わるフェリスの表情。だけどね、私だって騎士のひとりなの。振り上げた大きな銃斧。だから、覚悟するのはあなたの方なんだよ。

●“#02 世界の決定:5人目”より

 フェリスの一撃は、油断していたアストの体勢を崩すには十分だった。前言撤回だ、全力でやらせてもらう。体勢を立て直したアストが構えた鎚。ぶつかるたびに響きわたる重厚な金属音。フェリスはその小柄な体を活かし、アストを翻弄するのだった。

 だが、長引く戦いの中で幼いフェリスの息は乱れ、足はもつれ始める。「オマエは十分に戦った」とアストは手を差し出すが、フェリスはその手を取ろうとしない。

 「それなら、ちょっと眠ってな」。アストは拳を放ち、フェリスを気絶させる。そんなフェリスは、夢の中で最愛のパパであるアーサーと出会っているのか、喜びにも似た表情を見せたのだった。

●“#03 世界の決定:5人目”より

 だが、それでもフェリスは幼い少女。乱れる息、流れる汗、もつれる足。もう止めておけ。アストが差し出す掌。オマエは十分に戦った。だが、その手を取ろうとはしないフェリス。まだ、戦える。それなら、ちょっと眠ってな。アストの拳は放たれた。

●“#04 世界の決定:5人目”より

 瞳を閉じていたフェリスの顔は喜びにも似ていた。きっと、夢を見ていたんだろう。最愛のパパとの出会いの日を。そして、5人目の幼い少女が夢に見続けていた日。最愛のパパとの再会の日を。パパ、私は最後までパパの立派な騎士だったんだよ。

アーサーとフェリスの出会い

 フェリスがアーサーと出会ったのは、ローガンと同じくテロ事件の現場だった。フェリスはそこで、人質の1人となっていた。

●“#01 世界の決定:5人目・回想”より

 世界評議会の反対派が引き起こしたテロ事件の現場。なにが起きているのか理解が追いつかず、ただ目の前の非現実を見つめていたフェリス。自分が人質のひとりであることすら、理解出来ずにいた。そして、フェリスが捕らわれた建物で爆発が起きた。

 「どうか、この子だけは助けて下さい」。フェリスの両親はアーサーに娘を託す。崩れる建物から抜け出せたのはアーサーとフェリスだけだった。

●“#02 世界の決定:5人目・回想”より

 爆発は自爆を企てたテロリストによるものだった。間一髪、建物へ飛び込んだアーサー。だが、次々と起こる爆発。どうか、この子だけは助けて下さい。アーサーにフェリスを託した両親。崩れる建物から抜け出せたのはアーサーとフェリスだけだった。

●“#03 世界の決定:5人目・回想”より

 揺れる炎の中、その建物は原型を留めてはいなかった。そして、ただその炎を見つめ泣きじゃくるフェリス。そんなフェリスを優しく抱きしめたアーサー。俺があと少し早ければ。そして、そんなふたりのやりとりを、ローガンも見つめていたのだった。

 フェリスを保護したアーサーは、幼い彼女を戦わせるつもりはなかった。だが、フェリスはみんなと一緒に戦いたいと思うようになり、そんな彼女の初めてのワガママをアーサーは受け入れたのだった。

『ディバインゲート』

●“#04 世界の決定:5人目・回想”より

 フェリスを保護し引き取ることに決めたアーサー。もちろん幼い彼女を戦わせるつもりなどなかった。だが、彼女には沢山の家族ができ、みんなと一緒に戦いたいと思うのは自然なことであり、彼女の初めてのワガママをアーサーは受け入れたのだった。

●“#05 世界の決定:5人目・回想”より

 おいで、ガウィ。アーサーはフェリスにもコードネームを与えていた。それは騎士のひとりでありたいという彼女の気持ちを尊重したからこそ。そして、ガウェインは大好きなパパの膝へ。最後の晩餐のときも、そこはガウェイン専用の特等席だった。

[14]ロア=ユーウェイン対ユカリ

 ロア=ユーウェインとユカリが戦うのも、二度目のことだった。王でありながら前線で戦うユカリを立派だとほめるロアに対して、ユカリは「あなたたちの王さま(アーサー)だって、前線に立っていたでしょう」と返す。

『ディバインゲート』

 そしてユカリはアーサーを尊敬しているとともに、「だから、いまの彼を許すことは出来ない」とも口にする。どんな思惑があるにせよ、神へ加担するようなやり方を、ユカリは容認できなかった。

●“#01 世界の決定:6人目”より

 女王さまが、前線に立つだなんて立派なもんだな。ロアは鎌を構えながら口にした。あなたたちの王さまだって、前線に立っていたでしょう。対するユカリも鎌を構えていた。あぁ、そうさ。俺たちの王さまは、いつだってその体で戦っていたんだ。

●“#02 世界の決定:6人目”より

 対峙した常闇の死神と目覚めた獅子。ここで会ったからには、俺たちは敵同士だ。互いの鎌が狩りとろうとするのは、互いの想い。これでもね、私は彼を尊敬していたのよ。女王が述べた、かつての王の在り方。だから、いまの彼を許すことは出来ない。

 「私はそんなに大人じゃないの」。神である創闇神ヘグニは、ユカリの親友であるヴァルプルギスの命を奪った。その復讐心をもって、ユカリはロアを打ち倒したのだった。

●“#03 世界の決定:6人目”より

 あいつのことがわかるなら、あいつがなにも考えずにあんなことすると思うのかよ。問うロア。思わないわ。否定したユカリ。だけど、彼は神へ加担した。それは揺るがない事実。私はそんなに大人じゃないの。その復讐心は、獅子の咆哮を切り裂いた。

●“#04 世界の決定:6人目”より

 こんなことになるなら、もっとまともに鍛練しとくんだったぜ。ユカリの前、すでに力を入れることすらままならないロア。あんたに殴られちゃ、あいつも目を覚ますかもな。こうして、6人目もまた少女に未来を託したのだった。ありがとな、ボス。

アーサーとロアの出会い

 警備局員だったロアは麻薬の取引現場に乗り込んだ際、誤って同僚である友を殺してしまった。それは友人が犯人に盾にされてしまったがゆえの事故であった。

 だが、ロアをその後悔から退職届を出して、警備局から姿を消した。そんなロアを呼び出したのがアーサーだった。

●“#01 世界の決定:6人目・回想”より

 常界に蔓延る麻薬の取引現場に乗り込み、犯人を追い詰めたのは警備局員のロア。そして、怒りに任せて突き出した槍。だが、ロアの槍を伝い流れた血は犯人の血ではなく、犯人に盾にされた友であり同僚の血だった。それは事故だった。命は散った。

●“#02 世界の決定:6人目・回想”より

 提出された退職届けが受理されるのを待たずロアは警備局から姿を消した。ただ自らの手で友の命を奪ってしまったという後悔だけを胸に、死んだように生きていた。そんなロアに退職の話を正式にしたいと、世界評議会から呼び出しがあったのだった。

 「これは過去じゃない、未来だ」。アーサーはロアの友の形見である鎌型ドライバを渡そうとするが、想い出が汚されたと感じたロアは激怒する。

『ディバインゲート』

 2人の戦いはアーサーの勝利に終わり、アーサーは「友を想うのであれば、もう一度立ち上がれ」と、ロアにコードネームを与えたのだった。

●“#03 世界の決定:6人目・回想”より

 そんなロアを待っていたのは警備局長ではなくアーサーだった。不機嫌なロアと、上機嫌なアーサー。これを修理しておいた。アーサーが渡したのは、友の形見である鎌型ドライバ。このドライバの新しい名はロディーヌ。これは過去じゃない、未来だ。

●“#04 世界の決定:6人目・回想”より

 想い出が汚された。ロアはそう思い、アーサーへの怒りをあらわにした。あぁ、その顔が見たかった。そして、戦いの果ての勝者はアーサー。友を想うのであれば、もう一度立ち上がれ。そして、アーサーはロアにユーウェインのコードネームを与えた。

●“#05 世界の決定:6人目・回想”より

 最後の晩餐、ユーウェインはいつも通り機関に馴染むきっかけとなった新しい悪友であり同僚である男の隣に腰をかけていた。そして、もう一度立ち上がるきっかけをくれたアーサーと飲み交わす酒を楽しんでいた。あぁ、俺はもう眠ったりしねぇよ。

[15]ラン=パーシヴァル対ヒカリ

 ラン=パーシヴァルは、アーサーの異母妹であるヒカリと戦い、アーサーが処刑されることに対して「お前はなんとも思わないのかよ」と責める。だが、ヒカリの答えは「だからこそ、私は止めたいの」というものだった。

『ディバインゲート』

 アーサーには何か事情があるに違いないと信じるヒカリは、だからこそ実際に話を聞いて、アーサーを説得したいと思っていた。

●“#01 世界の決定:7人目”より

 久しぶりの勝負だな。人差し指を支点に回された二丁の銃。対するは光輝く大剣。対峙したランとヒカリ。お前はなんとも思わないのかよ。ランの挨拶代わりの銃弾。アイツは、お前の兄貴なんだろ。銃弾を弾いたヒカリ。だからこそ、私は止めたいの。

●“#02 世界の決定:7人目”より

 なにか、事情があってあんなことしたと思う。だから、きっとみんな理解してくれると思うの。ヒカリはアーサー処刑組にいながらも、アーサーを信じていた。世の中、そんなに甘くねぇよ。ごめんなさいで済む話なら、いま俺が立ち塞がってねぇって。

 ヒカリのこめかみへと突きつけられたランの銃口。2人の戦いは、ランの勝利に終わったかに見えた。

 だが、ランは「だけどさ、どこの世界にボスの妹を殺す馬鹿がいるんだよ」と銃を離す。「私の兄のことを、想ってくれたことだよ」と感謝を述べるヒカリに対して、ランはニヤリと笑い、「やっぱり、アンタらには勝てねぇわ。降参」と負けを認めたのだった。

●“#03 世界の決定:7人目”より

 ヒカリを追い詰めるラン。俺は無駄に生死の境を彷徨っちゃいないんだ。距離が離れれば銃弾を撃ち込み、近づけば銃の刃で切りつける。そして、ヒカリのこめかみへと突きつけられた銃口。だけどさ、どこの世界にボスの妹を殺す馬鹿がいるんだよ。

●“#04 世界の決定:7人目”より

 ランの油断が生んだ隙、そして両手は銃を離していた。ありがとう、ランさん。ヒカリが述べた感謝。どういう意味か、聞かせてもらおうか。私の兄のことを、想ってくれたことだよ。7人目はニヤリと笑う。やっぱり、アンタらには勝てねぇわ。降参。

アーサーとランの出会い

 査察局に所属していたランは、勤務態度の悪さからアーサーへと押し付けられた。ランはそこでも真面目に働かず、同期であるユーウェイン(ロア)とともに仕事をサボっていた。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:7人目・回想”より

 アーサーの執務室へ、トリスタンが案内してきたのはラン。ちっす、今日から異動になりました。元査察局のランです、宜しくおなしゃーす。目を合わせることもなく、適当にうわべを述べる。査察局長は勤務態度の悪いランを押し付けたいだけだった。

●“#02 世界の決定:7人目・回想”より

 だが、アーサーはランを歓迎し、パーシヴァルのコードネームを与えた。パーシヴァルはそんなアーサーを不気味がり、異動に異を唱えていた。案の定、真面目に仕事に向き合わないパーシヴァル。同期のユーウェインと共に仕事をサボる日々が始まる。

 そんなある日、トリスタンはランとロアを呼びつけ、真実を告げる。2人がサボっても処罰がされないのは、アーサーが2人の仕事をすべて片付けていたからだった。そしてトリスタンは、「ボスは言っていた。それでも信じる、って」と続ける。

●“#03 世界の決定:7人目・回想”より

 しびれを切らしたトリスタンはふたりを呼び出した。どうしてあなたたちがサボっていても、処罰が下されないか考えたことあるの。そう、ふたりが放棄した仕事は、すべてアーサーが片付けていたのだった。ボスは言っていた。それでも信じる、って。

 2人はアーサーへ謝罪をしに向かったが、アーサーは知らないふりをして返すだけ。そして、執務室をあとにしようとした2人の背中越しに「俺はオマエたちを信じる」と声をかけたのだった。

●“#04 世界の決定:7人目・回想”より

 なんつーか、悪かった。謝罪の言葉を述べたふたり。なんの話だか。知らないフリをしたアーサー。執務室をあとにしようとしたふたりへ背中越しの言葉。俺はオマエたちを信じる。そして、ふたりは振り向くことなく手を掲げ、親指を立てるのだった。

●“#05 世界の決定:7人目・回想”より

 最後の晩餐の席でも、アーサーは光り輝いていた。そうさ、眩しいくらいに輝いてくれよ。それはパーシヴァルの冷やかしであり、心からの言葉だった。俺みたいなクズを受け入れてくれるボスなんて、アンタしかいない。ここが、俺の居場所なんだ。

[16]ヒルダ=ケイ対ポストル

 「キミみたいな綺麗な女性の相手が出来て嬉しいよ」と蛇腹剣をしならせるポストルに対して、ヒルダ=ケイは「私は嬉しくないわ、いまどきロン毛の男なんて気持ち悪いわよ」と弓を引く。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:8人目”より

 キミみたいな綺麗な女性の相手が出来て嬉しいよ。ポストルがしならせた蛇腹剣。私は嬉しくないわ、いまどきロン毛の男なんて気持ち悪いわよ。ヒルダが引いた弓。ご忠告、ありがとう。一瞬にして詰められた距離。素直なキミのことが気に入ったよ。

●“#02 世界の決定:8人目”より

 誰かみたいなこと言わないで。慌てて身を翻したヒルダは距離をとる。ポストルの蛇腹剣が届かない場所へと。だが、それでも伸び続ける刃。ヒルダの放つ矢はことごとく避けられ、傷を与えることは出来なかった。まだ、逃げる力が残っているのかな。

 一瞬にして距離を詰められて劣勢となったヒルダは、天へ矢を放った後に、「許して、私の負けよ」とポストルに抱きついた。

 続く言葉は、「なんて、私は可愛い女じゃないの」。そして、天へと放った矢は涙のようにヒルダとポストルへと降り注いだ。

●“#03 世界の決定:8人目”より

 立ち止まったヒルダ。この声が届きますように。天へ放つ想いを乗せた矢。王への遺言かな。歩み寄るポストル。許して、私の負けよ。ポストルへと抱きつくヒルダ。なんて、私は可愛い女じゃないの。そして天へと放った矢は涙のように降り注いだ。

 「ボクはキミが羨ましい。誰かの為に命をかけられるなんて」と、倒れたヒルダに覆いかぶさりながら声をかけるポストル。だが、ヒルダは「私はね、そんなに可愛くないの」と否定する。そして、それはヒルダの最後の言葉となった。

●“#04 世界の決定:8人目”より

 地上へと降り注ぐ無数の矢。それは、倒れたヒルダに覆いかぶさったポストルの背中へも。ボクはキミが羨ましい。誰かの為に命をかけられるなんて。だが、ヒルダはそれを否定した。私はね、そんなに可愛くないの。それが8人目の最後の言葉だった。

アーサーとヒルダの出会い

 ヒルダの働きを目にすることが多かったアーサーは、誰よりも文句を並べながら、誰よりも働く彼女を見て、ヒルダが1人で戦っているように感じていた。

●“#01 世界の決定:8人目・回想”より

 アーサーたちは警備局と現場が重なることが多々あった。そんな重なった現場にいた警備局員の中にヒルダがいた。誰よりも文句を並べながら、誰よりも働いていたヒルダ。アーサーの瞳には、どこかヒルダがひとりで戦っているように映ったのだった。

 「あんたの部署の男ども、がさつ過ぎんの」「あぁ、うちの自慢のクズ共だ」。警備局に所属するヒルダは、臆することなくアーサーに不満を口にする。その正直さは、地位が上がるにつれてイエスしか言わない存在が増えたアーサーにとって心地よかった。

●“#02 世界の決定:8人目・回想”より

 アーサーへ臆することなく不満を口にしたヒルダ。あんたの部署の男ども、がさつ過ぎんの。あぁ、うちの自慢のクズ共だ。地位が上がるにつれ、イエスしか言わない存在が増えたアーサーにとっては心地よかった。オマエに、相応しい居場所がある。

 「オマエに、相応しい居場所がある」とアーサーにスカウトされたヒルダは、「もう、あんたにはなにを言っても無駄なのね」と異動を行い、ケイというコードネームが与えられた。

『ディバインゲート』

●“#03 世界の決定:8人目・回想”より

 もう、あんたにはなにを言っても無駄なのね。そして、異動と共にケイのコードネームが与えられたヒルダ。口の悪さは相変わらずだが誰よりも丁寧に仕事をこなしていた。口の悪さによる喧嘩は一部ではあるものの、それすらも微笑ましい日常だった。

●“#04 世界の決定:8人目・回想”より

 また、ケイの悪口はいつも的を得ていた。鋭い洞察力と少しの思いやり、そして多くの自己主張が心の真ん中へと突き刺さる。君を選んだことに、間違いはなかった。そう、アーサーが求めていたのは、ただの上司と部下の関係ではなかったのだから。

●“#05 世界の決定:8人目・回想”より

 口を開けば食事の文句やマナーの文句ばかり。だが、そんないつものケイの悪口も、最後の晩餐へ色を添えていた。もう、あんたたちといると、本当に疲れるわ。まぁ、飽きないけどね。ケイは肯定した。この円卓こそが自分の居場所だったんだ、と。

[17]オリナ=ラモラック対ミドリ

 オリナ=ラモラックと戦うことになったミドリは、アーサーが世界の敵であることと、それでも救いたいという気持ちで葛藤をしていた。「私だって、アーサーさんを処刑したいわけじゃない。だけど、私たちが止めなきゃ、他に誰がアーサーさんを止められるの」と。

『ディバインゲート』

 それを聞いたオリナは、ミドリがアーサーのことを思ってくれることに安心をしていた。その一方で、だからこそオリナはアーサーの処刑に意味があることを知っており、だからこそアーサーを処刑させるわけにはいかなかった。

●“#01 世界の決定:10人目”より

 まだまだ、こんなもんじゃないよ。オリナが振り回す二対の棍。私だって負けないんだから。ミドリが振り回す大きな棍。ふたりは戦いの中にいた。楽しそうにも見え、辛そうにも見える。ふたりとも、互いの感情を戦うことで上書きしていたのだった。

●“#02 世界の決定:10人目”より

 ミドリは葛藤していた。アーサーが世界の敵であること。そして、アーサーがミドリの大切な人たちの大切を壊している事実。私だって、アーサーさんを処刑したいわけじゃない。だけど、私たちが止めなきゃ、他に誰がアーサーさんを止められるの。

●“#03 世界の決定:10人目”より

 その言葉が聞けて安心したよ。だが、オリナは知っていた。アーサーのすぐ側で活動してきたからこそ、アーサーの処刑に意味があるということを。だからこそ、アーサーを渡したくはなかった。最後の力を振り絞ってでも、決して渡したくはなかった。

 戦いの果てにオリナが持つ二対の棍は砕けたが、オリナとミドリの友情は砕けなかった。ミドリはオリナに手を差し伸べたが、オリナは自分を貫き、「最後まで、格好つけさせて欲しいと思って。アタシはボスと一緒に、世界の敵でいたいんだ」と返し、差し出された手を拒んだのだった。

●“#04 世界の決定:10人目”より

 砕けた二対の棍。そして、砕けなかったのは友情。オリナへ手を差し出すミドリ。だが、オリナはその手を拒んだ。最後まで、格好つけさせて欲しいと思って。アタシはボスと一緒に、世界の敵でいたいんだ。10人目はそれでも自分を貫いたのだった。

アーサーとオリナの出会い

 極東国の南の離島に査察に来たアーサーは、そこで武術の稽古をしていたオリナを見かけて、手合わせを挑む。そして、オリナをスカウトしたのだった。

●“#01 世界の決定:10人目・回想”より

 潮風が気持ちのいい極東国の南の離島。オリナは二対の棍を手に、真っ白な砂浜で汗を流していた。いい動きをしている。オリナに話かけたのは査察に来ていたアーサーだった。お兄さん、本島の人かな。これはこの島に伝わる伝統の武器と武術なんだ。

●“#02 世界の決定:10人目・回想”より

 手合わせを頼めるか。アーサーの好奇心。別にいいけどさ、怪我しても知らないからね。純真無垢で迷いのないオリナの拳。そして、その拳を楽しそうに受けとめるアーサー。勝敗が決めたオリナの未来。外の世界には、こんなに強い人がいるんだね。

●“#03 世界の決定:10人目・回想”より

 与えられたラモラックのコードネームと、新しい世界。ラモラックにとってはすべてが新鮮だった。自分よりも強い仲間たちと共に鍛練し、切磋琢磨する日々はラモラックに充実を与えた。そう、ラモラックにとって世界が広がり始めたのだった。

 「だけど、アタシはボスを信じてるよ」。島から出て、広い世界に出会ったオリナだったが、彼女の世界の中心に存在していたのはいつもアーサーだった。そして、いつしか円卓騎士はラモラックの第二の故郷となっていたのだった。

『ディバインゲート』

●“#04 世界の決定:10人目・回想”より

 世界が広がれば、視野は広がる。同じ世界評議会という組織に属しながらも、そこには様々な考えが存在していた。存在する足の引っ張りあい。だけど、アタシはボスを信じてるよ。アーサーはラモラックにとって、世界の中心に存在していたのだった。

●“#05 世界の決定:10人目・回想”より

 広がったラモラックの世界の中の小さな世界。それは円卓の席についた仲間たち。少しずつ歳をとる。だが、それでも変わることない関係。この広い世界に、信じ続けられる居場所が出来たよ。気がつけば、そこはラモラックの第二の故郷となっていた。

[18]アスル=ブルーノ対アオト

 アスル=ブルーノとアオトが戦うのは三度目のこと。最初はアスルがアオトのことを父の仇だと誤解して戦うことになり、ナンバーズとの戦いでは共闘を果たした。

『ディバインゲート』

 アオトはアーサーにドライバを与えられ、アスルはアーサーの円卓の騎士にスカウトされた。愛され方は違えど、2人はどちらもアーサーから新しい始まりをもらっていた。

●“#01 世界の決定:12人目”より

 きっと、これがオレたちだったんだ。銃鎚を構えながらアスルが漏らした言葉。誤解から生じた一度目の偶然を経て、共闘を果たした二度目の偶然。そして、互いの意志で対峙した三度目の必然。ふたりにとっては、簡単に悪戯とは呼べない運命だった。

●“#02 世界の決定:12人目”より

 少年だったふたりはもういない。水に愛されたアオトとアスル。互いの想いを乗せた軌跡を描く。本当は戦いたくない。本当は一緒に戦いたい。本当は友でいたい。本当は笑い合いたい。だが、それが許されないのもまた、悪戯とは呼べない運命だった。

 そんな2人の戦いが終わり、先に地に膝をついたのはアスルだった。「オレは、最後まで立派な騎士でいられたかな」という、アスルのかすれる涙声。アオトは「僕が必ず、最後にしないって約束する」と言葉を返すのだった。

●“#03 世界の決定:12人目”より

 愛され方は違えど、ふたりはアーサーから新しい始まりをもらっていた。そんな始まりの象徴であるワダツミとマラディザンドはぶつかり合う。道を違えたふたり。僕は彼の為にも、進まなきゃいけないんだ。先に地に膝をついたのはアスルの方だった。

●“#04 世界の決定:12人目”より

 アスルが右腕で隠した眼。アオトはそれがなにを意味していたか気づいていた。オレは、最後まで立派な騎士でいられたかな。かすれる涙声。アオトはそれを否定する。僕が必ず、最後にしないって約束する。12人目の3度目の運命は終わりを告げた。

アーサーとアスルの出会い

 蒼のクリスマスと呼ばれる惨劇において、父を失ったアスル。アーサーとの出会いも同じ日で、アスルはアーサーによって部下に加えられた。そして、父の仇を討つために鍛錬を欠かすことはなかった。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:12人目・回想”より

 その日、月は蒼かった。ショッピングモール。炎の海。父を失ったアスル。そして、差し出された大人の手。アーサーとの始まりの日は、奇しくも父とのお別れの日だった。涙を堪えたアスル。だからこそ、アーサーはアスルを部下に加えたのだった。

●“#02 世界の決定:12人目・回想”より

 悲劇がもたらした出会い。アスルに与えられたコードネーム、ブルーノ。そして、ブルーノの気持ちを汲んで与えられた銃鎚型ドライバ、マラディザンド。ブルーノはどんな日であれ、鍛練を欠かすことはなかった。いつの日か、父の仇を討つために。

●“#03 世界の決定:12人目・回想”より

 父の仇を討つ、それはブルーノにとって大切な目的。そして、それと同じくらい大切な存在へと変わった特務機関の仲間たち。そして、新しい始まりをくれたアーサー。気がつけば、戦場で誰よりも先に前線へと飛び出す貴重な人材へと育ったのだった。

 のちにアスルは、アーサーが蒼のクリスマスの真相を知りながら、自分には話してもらえなかったことを知る。だが、ブルーノは話してくれなかったアーサーを責めるのではなく、話してもらえなかった自分の未熟さを責めたのだった。

●“#04 世界の決定:12人目・回想”より

 蒼のクリスマスの真相、アーサーは気付いていながらもブルーノにすべてを話すことはなかった。後になって知ることとなったブルーノ。だが、ブルーノは話してくれなかったアーサーを責めるのではなく、話してもらえなかった自分を責めたのだった。

●“#05 世界の決定:12人目・回想”より

 最後の晩餐、近づいたと思えば遠ざかる背中。まだ幼いブルーノは、いまここにいられる意味を考える。ボスが認めてくれたからオレはここにいるんだ。覚悟を決めたブルーノ。円卓の騎士として恥じぬよう、アーサーが誇る騎士でいられるように、と。

円卓の騎士たちの最後の晩餐

 “【追想】円卓の騎士I~III”では、第一章“黄昏の審判”の際に行われた、円卓の騎士の最後の晩餐の様子が記されている。

 ディバインゲートを閉じるために独断で動くことを決めたアーサーは、その前夜に円卓騎士全員とともに晩餐を開いていた。その後、アーサーは聖なる扉の先に姿を消してエビルアーサーとなり、リオやライルは円卓の騎士を離脱した。

 この時の晩餐は、アーサーを含めた円卓の騎士全員が参加した、最後の晩餐となったのだった。

●“【追想】円卓の騎士I”のプロフィール

 少年に与えられた名前、アルトリウス。それはかつて存在したとされる偉大な王の名前。そして、少年にとっての新しい始まりの名前。少年はその名に恥じぬように、王になろうとした。その道は険しかっただろう。だが、それでも少年は王道を歩き続けた。それこそが、自分がこの世界に生まれた意味だと信じ続けて。

●“【追想】円卓の騎士II”のプロフィール

 やがて時は経ち、少年は青年へ。青年が歩む王の道、付き従う12人の騎士たち。青年はかつて、自分が新しい始まりを与えられたように、12人へ新しい始まりを与えた。あぁ、俺はお前たちがいたから、ここまで歩いて来れたんだ。そして、それは騎士たちも同様。俺たちも、アンタがいたから、ここまで来れたんだ。

●“【追想】円卓の騎士III”のプロフィール

 そこにはひとつの円卓があった。そこにはいくつもの想いがあった。そこにはいくつもの覚悟があった。そこにはひとつの誓いがあった。そこにはひとりの王様がいた。そこにはひとつの愛があった。そこには12人の騎士がいた。そこには沢山の笑顔があった。始めよう、俺たちの晩餐を。そこには最後の晩餐があった。

【キャラクターチェック】【追想】円卓の騎士編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 ずっとやりたい! と思っていたユニットでした。

 『ディバゲ』のイラストは、基本的にはカメラ目線で、あまりキャラが小さくならないようにカンバスに納めて書く、というルールがあるのですが、このイラストに関してはすべてのルールをガン無視したイラストになりました。

 夏嶋さんが好き勝手盛り盛りにしてくれたおかげで、だいぶ賑やかで楽しい、だからこそ悲しいイラストに仕上がったかなと思います。

●デザイナーコメント(夏嶋紺さん)

 一枚の絵になると言われて切れ端はどうなるんやと最初は驚きましたが、勝手にいろいろと小ネタを盛らせていただき、描いていて楽しかったです。

 堂々と混ざりこむサンタとか、いろいろ隠れて(?)います。

[19]ジャンヌとイージスの増援

 こうして、アーサーのために戦った元円卓の騎士たちは敗北したが、勝利したアカネたちも無傷ではなかった。増援として現れたクロウリーの従者であるアマイモンとアリトンを加えて、一行は先へと進む。

●“#01 世界の決定:応援”より

 アーサーを信じ、アーサーの為に戦った騎士たちは敗北した。そして、アカネたちも決して無傷ではいられなかった。この先に待つであろう障害。それでも、俺たちは進むって決めたんだ。そして、そんな彼らの動きは大きな動きへと繋がるのだった。

●“#02 世界の決定:応援”より

 俺も邪魔させてもらうぜ。後ろの扉からやってきたのはアマイモン。なんだ、オマエは無事だったのか。いつか対峙していたはずのライル。まぁ、そう簡単に負けられちゃ俺も困るからな。その言葉はアマイモンなりの皮肉交じりの喜びの言葉だった。

●“#03 世界の決定:応援”より

 そして、アマイモンに続きやってきたのはアリトンだった。僕も待っているのは苦手みたいでさ。目を合わせた兄弟。もう、引くことは出来ない。だから、僕たちだけでも戦わなきゃいけないんだ。その瞳には大きな意志が宿っていた。少しでも、前へ。

 そんな一行が次のフロアに進んだところで爆発音が響く。塔の外側からの爆撃によって破壊された壁から姿を現した4つの人影、それは光聖人ジャンヌと光剣徒エジィ、風聖人イージスと風衛徒ポタだった。

『ディバインゲート』

●“#04 世界の決定:応援”より

 少ないながらも揃った足並み。だが、次の瞬間フロアに響く爆発音。みんな伏せろ。それは塔の外側からの爆撃だった。開いた風穴。聞こえたアラート音。砂塵に浮かび上がるシルエット。そこには4つの人影が浮かんでいた。緊急事態発生みたいだよ。

 「エジィ、まずは傷ついた人たちを外へ連れてったげて。いい、絶対に誰も死なすんじゃないわよ」。そのジャンヌの言葉には、倒れた円卓の騎士たちのことも含まれていた。

●“#05 世界の決定:応援”より

 エジィを引き連れたジャンヌ。それが2つ分の人影だった。ったく、みんな派手に暴れたんだね。そのみんなには、倒れた円卓の騎士たちも含まれていた。エジィ、まずは傷ついた人たちを外へ連れてったげて。いい、絶対に誰も死なすんじゃないわよ。

 そして、派手な爆撃で壁に風穴を開けたのはイージスだった。彼女もまた、ポタへの負傷者の搬送を命令する。そして、「手荒な真似をしてすまなかった。緊急を要していたんだ」と、緊急事態であることを口にした。

●“#06 世界の決定:応援”より

 安心して、アタシはアンタたちの敵じゃない。ただね、もうちょっと器用にやりなさいよ。って、こいつの隣りでそんなこと言えないか。ジャンヌの横、そこにいたのは派手な爆撃の張本人だった。名前くらいは聞いたことあるわよね。そう、彼女が―。

●“#07 世界の決定:応援”より

 イージスだ。自ら名乗ったイージス。そして更に隣にいたポタ。突如現れた六聖人のふたりを前に、驚きを隠すことの出来ないアカネたち。手荒な真似をしてすまなかった。緊急を要していたんだ。そして、ポタへも負傷者の搬送を命令するのだった。

 「いまのアンタたちじゃ分が悪い。アンタたちじゃ役に立たないって言ってんのよ。バカ」と告げるジャンヌ。そこに姿を現したのは、世界評議会から姿を消していたベオウルフ。そして、ベオウルフがスカウトした6人の“聖暦の画伯”たちだった。

●“#08 世界の決定:応援”より

 説明してくれるんだろうな。ギンジの瞳は真剣だった。あぁ、すぐにわかるさ。イージスの一言。あぁ、もうちゃんと説明したげなさいって。頭を抱えるジャンヌ。いまのアンタたちじゃ分が悪い。アンタたちじゃ役に立たないって言ってんのよ。バカ。

[20]アカネたちを迎え撃つ画神たち

 「まさか、六聖人のおふたりが出てくるとは思いませんでした」。アカネたちの前に音もなく現れたのはベオウルフ。彼はジャンヌたちに「つまり、あなたたちは、世界の決定に背くということでいいんですね」と告げる。

 そして、ベオウルフとともにあらわれた画神たち(炎画神レオナルド水画神マルク風画神フィンセント光画神クロード闇画神サルバドール無画神パブロ)も、アカネたちへの襲いかかる。

『ディバインゲート』

●“#01 世界の決定:急襲”より

 まさか、六聖人のおふたりが出てくるとは思いませんでした。アカネたちの正面、音もなく現れたベオウルフ。つまり、あなたたちは、世界の決定に背くということでいいんですね。ベオウルフが掲げた右手。さぁ、未来を描き変えるとしましょう。

●“#02 世界の決定:急襲”より

 ベオウルフと共に現れた六人の画神。彼らは立派に戦った。そう、いい駒だったよ。そう言い放ったのはレオナルド。誰のことを言ってるんだ。怒りで顔を歪ませたアカネ。だが、事実として、アカネたちの体力は先の戦いで消耗されていたのだった。

●“炎画神レオナルド”のプロフィール

 屠竜者の掛け声と共に現れた画神たち。世界は俺たちに描かせてもらおう。それこそが神の意思であり、世界の決定なのだから。空に描かれた絵が色付き始める。もう、変わらない。なにも変わらない。ただ、描かれた絵に従えばいいんだ。そこにこそ、生きとし生ける者が進むべき本当の未来が存在するのだから。

●“#03 世界の決定:急襲”より

 フィンセントが地面へと放った弾丸。だが次の瞬間、弾丸はアオトのすぐ後ろから現れた。間一髪、かすかに血が滲む。下へ放たれたという現実が、次の瞬間、背後から放たれたという未来へと塗り替えられる。安心して、楽に死なせてあげるから。

●“風画神フィンセント”のプロフィール

 いまの世界に私の居場所はなかった。だけど、いまならわかる。フィンセントが受け入れていた都合の良い犠牲。私を追放した意味を。世界の決定が私を許した。だから私は世界の決定に従う。あなたたちは世界の決定からはじかれた。私たちが描く未来に存在しない存在なのだから。ここで消えてもらうことにします。

●“#04 世界の決定:急襲”より

 ドライバを握りなおすアカネたち。だが、次の瞬間、ドライバは地面へと突き刺さっていた。この程度のこと、私にはなんの造作もない。サルバドールが浮かべたいやらしい笑み。そしてまた、六聖人であるイージスも表情ひとつ変えてはいなかった。

●“闇画神サルバドール”のプロフィール

 私が欲しいのは富と名誉。サルバドールはひげを撫でていた。そのためにも、邪魔な存在にはここで消えてもらわなきゃいけないのでね。だが、少しやっかいな人がいるみたいだ。見つめていたのは風聖人。絶対の力を持った私たちと、力比べをさせてもらおうか。決定者たちも、遠くで私たちを見ているだろうからね。

●“#05 世界の決定:急襲”より

 絶対防盾アマルテイア、展開。イージスの言葉に呼応する大きな盾。その盾はすべてを守る盾であり、未来を描き変えることなど許さない絶対の盾。お前たちは逃げる準備をするんだ。だが、その言葉に素直に従うことの出来ないアカネたちがいた。

●“光画神クロード”のプロフィール

 なぜ、世界の決定に背くのかしら。クロードが問いかけたのは聖人のふたりへと。あなたたちなら、わかっているはずよ。世界の決定に背くのが、なにを意味しているのか。真剣な表情の風聖人と睨みつける光聖人。アタシたちは聖人よ。わかっているからこそ、ここに来たの。だから、旗くらい振らせてもらうつもりよ。

 「都合の悪い絵は塗り変えちゃえばいいんだ。そんな力を僕らは持ってるんだから」。未来を描き変える力を持つ画神たちを前に、アカネたちは苦戦を強いられることに。

●“#06 世界の決定:急襲”より

 マルクの筆から生まれる大量の化け物。切り裂くユカリ。だが、その化け物が消えることはない。消えたという現実、消えなかったという未来。いつまでも遊んでればいいよ、あはは。君たちじゃ、絶対に僕たちに勝てないんだから。それが未来だよ。

●“水画神マルク”のプロフィール

 知ってるかな、君たちは僕らの手のひらの上なんだよ。マルクが描く未来。決定者の意思に逆らうことは出来ないんだから。未来へ進んでいるようで、進まされている。歩いているつもりで、歩かされている。偶然のようで、必然である。都合の悪い絵は塗り変えちゃえばいいんだ。そんな力を僕らは持ってるんだから。

 「幻なんかに惑わされないで。未来はこの手で変えられる」。ヒカリを呼び戻したのはジャンヌの声だった。退路もたたれ、ヒカリたちをかばいながら3人を相手どるジャンヌだったが、豪華な扉から現れた人影に顔をくもらせることになる。その相手は、聖人会議長のラウフェイだった。

●“#07 世界の決定:急襲”より

 私の彩りをみせてあげるわ。突如、色の消えたヒカリの瞳に映る美しい花畑。綺麗でしょう、それがあなたの死ぬ未来よ。残酷ゆえに、綺麗な未来。幻なんかに惑わされないで。未来はこの手で変えられる。ヒカリを呼び戻したのはジャンヌの声だった。

●“#08 世界の決定:急襲”より

 だけど、残念です。退路という未来は消えましたです。そう、いつの間にか、この場所からの出口は消えていた。そして、ひとつだけ豪華な扉が存在している。この扉は違うです。あなたたちのような存在が、通っていいような扉じゃないのですから。

●“無画神パブロ”のプロフィール

 私は、ただ描くです。私に、意思はないです。ただ、決定に従うです。パブロが構えた筆。世界の決定に従い、邪魔な存在を排除しに現れた画神たち。どうか、綺麗な未来で会えるようにです。そして、一斉に描き出される未来。抵抗、無用です。大人しくしていて欲しいです。痛くしないです。でも、消えてもらうです。

●“#09 世界の決定:急襲”より

 さすがに庇いながらはしんどいわね。ヒカリたちを庇いながらも、3人を相手しているジャンヌ。アンタたち、どうにか上手く逃げなさいって。だが、出口のないこの場所に、もうひとりのよく知った顔が現れたとき、ジャンヌの表情は曇り始める。

[設定画紹介コーナー]画神たち編

『ディバインゲート』
▲画神たちの設定画。

[21]“世界の決定者”たち

 「イージス、ジャンヌ、あなたたちふたりは、世界の決定に背くことがなにを意味しているのかわかってのことよね」。パブロが描いた扉から現れたラウフェイの言葉に緊張が走る。

 さらに残る4人の聖人であるダンテ、ヨハン、シオン、ニコラスも扉から姿を見せる。

 ダンテは、ジャンヌとイージスに人間の血が流れていることから、その裏切りを予見していたのだった。

●“#01 世界の決定:決定者”より

 パブロが描いた扉から現れたのはラウフェイだった。イージス、ジャンヌ、あなたたちふたりは、世界の決定に背くことがなにを意味しているのかわかってのことよね。走る緊張。わかっているのなら、彼らのように従っていればいいだけのことよ。

●“#02 世界の決定:決定者”より

 ラウフェイに続き、その場に現れた4人。そのうちのひとりがダンテだった。あぁ、わかっていたさ、いつか貴様らが裏切るということを。イージスとジャンヌ、ふたりに共通していた「人間」の血。やはり、こういう選択になってしまったのだな。

●“#03 世界の決定:決定者”より

 少しだけ、面白くなってきたよ。ダンテの隣、そこにはヨハンがいた。世界の決定に背くのは、決定じゃない。例外行動を君たちは起した。いったい、彼らはそれをどう思うのかな。喜ぶのかな、笑うのかな、楽しむのかな、それとも、悲しむのかなぁ。

●“#04 世界の決定:決定者”より

 ヨハンの隣に立つシオン。そして、シオンは冷たい瞳をしているようで、悲しい瞳をしているようにも見えた。裏切りへの否定か悲しみか。言葉ひとつ発さない。ただ、自分の聖人としての責務を果たす為だけにここにいる、とでも言いたげな瞳だった。

●“#05 世界の決定:決定者”より

 深めにかぶられた帽子。シオンの隣のニコラスもまた、別の理由で感情を読み取ることは出来なかった。だが、帽子で隠し切ることの出来ない唇。少しだけ上がった口角がなにを意味しているのか。それはニコラスだけが知る、ニコラスだけの真実。

 「やぁ、六聖人のみなさま。まさか全員が勢ぞろいするなんて、さぞかし大変なことが起きているのでしょう」。六聖人に加えて、ロキも姿を現した。

『ディバインゲート』

 「無様な存在が淘汰される瞬間を、この瞳に焼き付けておきたかったんだ。特に、そこのふたりのことをね」。ロキの隣には終教祖メイザースの姿。

 メイザースはアリトンとアマイモンを見つめ、「これもまた、世界の決定なんだね」と言い放つ。

●“#06 世界の決定:決定者”より

 やぁ、六聖人のみなさま。まさか全員が勢ぞろいするなんて、さぞかし大変なことが起きているのでしょう。その声は、更に別の方角から聞こえた。そんな大切な場面なら、是非ともボクにも立ち合わせておくれよ。そう、新たに現れたのはロキだった。

●“#07 世界の決定:決定者”より

 お友達も連れてきたんだ。ロキの隣、並んで近づくのはメイザース。無様な存在が淘汰される瞬間を、この瞳に焼き付けておきたかったんだ。特に、そこのふたりのことをね。見つめた先にいたアリトンとアマイモン。これもまた、世界の決定なんだね。

 さらに言葉を続けるロキは、“世界の決定者”を紹介することを告げる。1人だけは来てくれなかったという前置きに続いて姿を現したのは、4つの人影。

 なお、ここで姿を見せなかった世界の決定者とは、紅煉帝ヴェルンのことである。

『ディバインゲート』

 オリジン:ゼロをともなった神才マクスウェル、妖精と魔物の祖である始祖リリン、禁忌とも呼ばれる血を持つ創醒の聖者、そして金色の髪をなびかせた聖神アーサーの姿だった。

●“#08 世界の決定:決定者”より

 そして、ロキはその言葉を続けた。もちろん、彼らも招待しておいたよ。どうしてもさ、ひとりだけは来てくれないみたいなんだ。だけどもう時間だから、みんなに紹介させてもらおうかな。開かれた空、降りる光。そう、彼らが「世界の決定者」さ。

●“#01 世界の決定:終章”より

 わぁ、なんか知ってる顔がいるよ。決定者のひとりとして紹介されたのは神才マクスウェル。そして、彼女の翼として少し後ろで寄り添うように浮かんでいたオリジン。彼女がいるからこそ、この世界には科学が溢れ、そして発展していったんだよ。

●“#02 世界の決定:終章”より

 マクスウェルの隣りにいたのは始祖リリンだった。そう、彼女が妖精と魔物の祖であれば、それは最も神に等しい存在だと言えるよ。世界の決定者になるには、十分すぎる理由さ。リリンはただ一言も発することなく、ただ目の前の事象を見つめていた。

●“#03 世界の決定:終章”より

 そして、君たちは本当に運がいいね。ロキは紹介を続ける。そう、彼は創醒の聖者。近づけそうで近づけない、逃げられそうで逃げられない、その異様な佇まい。顔を曇らせたのはジャンヌとイージス。あぁ、君たちふたりのその顔が見たかったんだ。

 ロキはアーサーを“例外の決定者”と紹介した。そしてアーサーが剣を天高く掲げ、「俺が君たちへ、最後の決定を下そう」と剣を突き立てると、あたりは金色の光に包まれたのだった。

●“#04 世界の決定:終章”より

 最後にもうひとり紹介しよう。彼が例外の決定者さ。なびく金色の髪。みんなが会いたかったアーサーの登場だ。そしてアーサーは剣を天高く掲げた。俺が君たちへ、最後の決定を下そう。突き立てられた剣。あたりは金色の光に包まれたのだった。

【キャラクターチェック】始祖リリン編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 魔物と妖精の始祖であるリリンですね、年末に登場したのを覚えています。やっぱり超フェス限だけあって、ほかのキャラとは一線を画してます。

 以前に、何かのインタビューで「リリンはストーリーの終盤で出てきます」と言ったことがあり、この六章で登場したことで、「リリンが出てきたことで、ストーリー終わっちゃうの!?」と思われた方も多いかと思います。

 また、リリンはバックボーンが語られないのですが、“始祖”という冠、そしてこの“ビジュアル”の説得力、どう使っても便利な“パラメータ”のおかげで、バックボーンを語る必要がない圧倒的な強キャラになったんじゃないかと思います。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 魔物と妖精の母というテーマを主軸にしたリリン。対の種族をひとつにするということで、白を妖精、黒を魔物とし、2色で構成してみました。

 パリコレやハリウッド女優のドレスのような、セクシーだけどかっこいい美しいというようなテーマをうまく出せたのではないかなと思います。

 六魔将やウェザードリーズの周りを飛んでる魔物魂や妖精魂の最上位が、リリンの後ろにいるデカイ2人になるんですが、これが鳥かごに封印されてる時はかわいいんでしょうね。

【キャラクターチェック】創醒の聖者編

『ディバインゲート』

●高野メモ

 三周年で登場した聖者さんです。UCMMさんがうまく背景にディバインゲートをいれてくれました。

 実はアニメでディバインゲートのビジュアルが出てきたかと思うのですが、あれは自分とUCMMさんのほうで作ったラフを元に制作したものでした。

 で、最初に扉のイメージを作ったときに、歪な天秤のギミック、差し出す、受け入れる、といったキーワードで作っていきましたね。何かを得るには、なにかを失わなければならない、というような。

 そして、そのイメージを引き継ぎつつ、創醒の聖者のイラストを作成してくれました。何パターンかデザインを用意してくれたので、あれこれ相談しながら作っていきましたが、最初から大きくぶれることなく、まとまったキャラかなと思います。

●デザイナーコメント(UCMMさん)

 この物語の最後の敵になるであろうという仕様で作成した聖者さん。『ディバゲ』ならではの現代っぽさと、設定上の神々しさのバランスが難しいキャラでした。

 悪にも善にも見えないところや、中性的であったり無表情であったりと、うまく人から遠い異質なキャラというのがうまく出せたのではないかなと思います。

 服装の仕様で「統合世界に来るために現代に合わせて用意した感じがほしい、すこし勘違いがほしい」ということだったのであえて、合理性を無視したりやりすぎ感というものをねらってデザインしたところがあります。

 アクセサリーがめちゃくちゃ邪魔そうですが、これもこういうのが現代では流行っているんだなーとたくさんつけてみちゃったんだと思います。

[設定画紹介コーナー]創醒の聖者編

『ディバインゲート』
▲創醒の聖者の設定画。

[設定画紹介コーナー]創醒の巫女編

『ディバインゲート』
▲創醒の巫女の設定画。

刻命神と観測神

 時を司る刻命神である過刻神ウルド、未刻神スクルド、現刻神ベルダンディの三姉妹。彼女たちと敵対しているのは、過去の戦いで敗者となった観測神クロノス

 ウルドは今の世界が終ることが“世界の決定”だとして、もう一度歴史を作ると語る。それに対してクロノスは、「私はただ終わりを観測するだけ」と否定の言葉を返す。

 そしてクロノスは、「私が観測すべき終わりは、彼ら(アカネたち)の勝利だから」と、物語の終わりについて言葉を述べるのだった。

●“ウルド”のプロフィール

 過去を司る女神ウルド。そう、いつだって過去は美しいのだ。人はみな、過ぎ去りし日々へと思いを馳せる。長い時が経てば経つほど、過去は美しくなる。だからこそ、過去を司る女神は光輝いていた。過去は変わらない。過去は絶対。過去は美しい。だからこそ、私に縋ればいい。与えてみせよう、美しく素敵な過去を。

●“過刻神ウルド”のプロフィール

 過刻神ウルドが動き出したのには理由があった。刻を司るのは、私たちだけじゃなかったな。剣先が狙うのはただひとり。もうすぐ、いまの世界は終わるんだ。それは世界の決定。そして、もう一度歴史を作る。だから、邪魔をしないでくれ。そして、その言葉を否定する言葉。違うわ、私はただ終わりを観測するだけ。

●“スクルド”のプロフィール

 未来を司る女神スクルド。そう、未来には死が待っている。それは長き刻の終わり。それを始まりと呼ぶ者もいるだろう。だが、確実に終わりは訪れ、始まりは訪れないこともある。だから私は闇を纏った。そうさ、私は終わりという未来を与えることが出来る。それは神であるあなたも例外じゃない。わかっているよね。

●“未刻神スクルド”のプロフィール

 神界には様々な神々が暮らしている。そして、なぜその神界がラグナティアと呼ばれているのか。そう、神の中にも勝者と敗者が存在していたから。あなたの世界は、私たちに負けたのよ。未刻神スクルドが突きつけた現実。だから、私たちに従っていればいいの。刃向かうことは許されない。たとえ同じ刻神だとしても。

●“ベルダンディ”のプロフィール

 未来と過去の間に存在する現在という不確かな時間。存在した次の瞬間、そのイマは過去になる。だから、私は無を司る。現在を司る女神ベルダンディはそう述べた。だが、私という存在は必要とされた。刹那のために。そして、刻が歩みを止めないために。世界は終わる。終わらせる。そして、新たに始めましょう。

●“現刻神ベルダンディ”のプロフィール

 現刻神ベルダンディとふたりの姉妹、刻命神が一堂に会したそのとき、目の前にいたのは、かつての神々の争いの敗者であり、同じく刻を司る神だった。あなたは、また私たちの邪魔しようっていうのね。以前に現れた聖なる扉。封印された扉の君。その裏の立役者、観測神。私が観測すべき終わりは、彼らの勝利だから。

第六章を振り返る高野メモ

 アーサー処刑を目標に、神界への侵攻から始まり、ついに最後には物語の最重要人物である“決定者”に“六聖人”が勢ぞろいする第六章となりました。

 やっぱり六章は、円卓たちの話を描くことが出来たのが嬉しかったですね。みんなの過去の出会いの話からはじまり、なぜここまでアーサーを助けたいと思っているのかが描けました。

 本当はもっともっと、たくさん描きたいことはあったのですが、どうしても1日のエピソード量が増えてしまったり、収拾がつかなくなったりしてしまうので、今回のような形にしました。

 今回描いたこと以外にも、アーサーと彼らの間にはたくさんの出来事がありました。いったいどんなことがあったのか、ぜひともみなさんで想像しながら楽しんでもらえたらと思います。

【第七章“扉の先へ”は6月3日(土)夕方ごろに公開予定です】

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