2017年6月3日(土)
ガンホー・オンライン・エンターテイメントのiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』のストーリーを振り返る特別企画をお届けします。
第七章“扉の先へ(2017年4月~)”では、アカネたち(統合世界)とアーサーたち(神界)の戦いを主軸にした最終決戦が展開します。
▼INDEX |
[1]イマの世界を選び、帰還するアカネたち |
[2]ナンバーズ対保護区 |
[3]ギルガメッシュ対エンキドゥ |
[4]観測神クロノス対刻命神 |
[5]聖暦の天才対聖暦の画神 |
[設定画紹介コーナー]調聖者編 |
「俺が君たちへ、最後の決定を下そう」。“例外の決定者”であるアーサーが剣を天高く掲げると、アカネたちは金色の光に包まれた。
その光が止んだ時、アカネたちは“イマの世界”とは違う、アーサーがディバインゲートで再構築した“例外の世界”を目の当たりにする。
そこでアカネは、死んだはずの父パブロフと再会することに。
●“♯01 扉の先へ:序章・アカネ”より
金色の光が止んだとき、アカネは自分が生まれ育った家にいた。暖かな縁側、台所から響く包丁の音。そして、アカネが自分の死を直感したのは、目の前に懐かしい男が現れたからだった。久しぶりだ、アカネ。そこにいたのは、炎才パブロフだった。
●“♯02 扉の先へ:序章・アカネ”より
縁側に並んだ親子。ここはどこなんだ。きっとここが再創された世界、誰しもが幸せになれる世界……から、外れた例外の世界だろう。アーサーが下した世界の決定、それはディバインゲートを使用し、世界を再び構築すること。じゃあ、なんで俺は。
そこはある意味で理想の世界。幸せの世界へとつながる、再創の道。アオトはアリトンやロジンとともに学校に通い、ヒカリはオベロンやティターニア、モルガンとともに穏やかな日々を過ごす。
これまで“世界の決定者”や神たちは、何度も世界を壊しては創り直すことを繰り返してきた。
扉(ディバインゲート)そのものとなったアーサーは、“イマの世界”を終わらせて次の季節(新たな世界)を始めるため、その邪魔をするアカネたちを自分が創った“例外の世界”に隔離。
そして、そのうえでアカネたちに「どちらの世界を選ぶべきか」を選択させようとしたのだった。
●“♯03 扉の先へ:序章・アカネ”より
なぜ、アカネが例外の世界に存在していたのか。それはきっと、オマエが知ったからだろうな。アカネが常界の始まりの地で知ったディバインゲートの真実。そう、扉そのものでもあるアイツが、オマエをこの世界へ隔離したんだ。次の季節の為へと。
そこでアカネが選んだのは、自分で未来を作ること。「扉がもたらす未来なんか知らない。俺たちの未来は、俺たちが作っていくもんなんだから」。
それを聞いたパブロフは、「派手に壊してこいよ、そのオマエの拳で」と、親子の最後の約束を交わすのだった。
●“♯04 扉の先へ:序章・アカネ”より
俺はそんなこと、望んじゃいない。俺たちは一歩ずつ、それでも前に進んできた。道を踏み間違えることだってあったよ。だけど、俺たちはイマを生きたいんだ。扉がもたらす未来なんか知らない。俺たちの未来は、俺たちが作っていくもんなんだから。
●“♯05 扉の先へ:序章・アカネ”より
パブロフが突き出した拳。派手に壊してこいよ、そのオマエの拳で。アカネが突き出した拳。あぁ、当たり前だ。茜色に燃える夕日が照らしだしたのは、親子によって交わされた最後の約束。これで、本当にお別れだ。アカネ、オマエはイマを生きろ。
アオトが選んだのもまた、イマの世界を生きること。イマの世界で犯した罪をなかったことにせず、弟とともに過去を償う道を選ぶことに。
●“♯01 扉の先へ:序章・アオト”より
キーンコーンカーンコーン。金色の光が止んだとき、鳴り響いたのは放課後を告げるチャイムだった。雨上がりの校庭に立っていたアオトとアリトン。いったい、僕たちは……。そして、そんなふたりに走り寄る少女。久しぶり。そこにはロジンがいた。
●“♯02 扉の先へ:序章・アオト”より
この世界は、あったかもしれない世界だと思うんだ。仲良く歳をとり、仲良く学校へと通う双子の青年。そしていま、世界はそんな幸せの世界への再創の道を辿っているよ。いま、私たちが、ここで、こうしているあいだも、世界は終わろうとしている。
●“♯03 扉の先へ:序章・アオト”より
破壊と再生、それは幾度となく繰り返されてきた歴史が証明していた。そして、君たちは選ばれた。再生された、再創された新しい季節を託したいと。そして、アオトは口を開いた。あの人はいつも自分勝手だ。僕たちは、そんなことを望んじゃいない。
●“♯04 扉の先へ:序章・アオト”より
僕のせいで、弟の人生は壊れた。だけど、僕は壊してしまった昔の僕を否定したりしない。あぁ、だから僕は君に出会うことが出来た。そして、僕たちはともに過去を償う道を選んだ。やっぱり、ふたりは一緒だったんだ。もう、私が言うことはないね。
「人はやり直すことは出来ない。だけど、変わっていくことは出来るんだって、僕たちが証明してみせる」。アオトは、自分たちが生きてきた世界で、自分たちの足で、扉の向こう側を目指すのだった。
●“♯05 扉の先へ:序章・アオト”より
人はやり直すことは出来ない。だけど、変わっていくことは出来るんだって、僕たちが証明してみせる。止まない雨がないように、いつか晴れ空は広がる。行こう、イマの世界へ。僕たちの生きてきた世界で、僕たちの足で、扉の向こう側へ行くんだ。
ミドリが目にしたのは、竜界の幸せな日常。だが、そんなミドリをヴェルンが現実に引き戻す。
世界の決定者として、幾度となく世界の崩壊と再生を目の当たりにしてきたヴェルン。そんな彼は、イマの世界がこれまでのものとは違うことを感じて、世界の決定者を裏切ったのだった。
●“♯01 扉の先へ:序章・ミドリ”より
ミドリの目の前に広がった金色の光景、それは竜界の幸せな日常だった。世界を統べる王がいて、王を支える家臣がいて、そして普通に暮らす竜たちがいる。そう、その当たり前の光景こそが、金色に輝く幸せであり、失われてしまった時間だった。
●“♯02 扉の先へ:序章・ミドリ”より
ただ幸せな景色に心を奪われていたミドリを現実に引き戻した声。ねぇ、どうしてあなたが。そこにいたのはヴェルンだった。これが、世界の決定だなんて、粋なヤツだな。ヴェルンの口から語られる統合世界のイマ。あなたも、決定者だったんだね。
●“♯03 扉の先へ:序章・ミドリ”より
俺たちは、幾度となく世界の崩壊と再生を目の当たりにしてきた。そうなるように動いてきた。だが、今回の世界は違った。だから俺は裏切ったんだ。俺たちが間違ってたんじゃないか、って。だから、人間のオマエに問いたい。イマの世界は好きか。
ヴェルンは問う。イマの世界は好きか、と。
それに対してミドリは、喧嘩もするし争いごとだって起きるが、みんな一生懸命に生きていること。後悔もするが、その分強くなれることを語り、「だから私は好きだよ、イマの世界が」と答えるのだった。
●“♯04 扉の先へ:序章・ミドリ”より
そりゃね、やっぱり喧嘩もするし、争いごとだって起きるよ。でもね、そうやって私たちは生きてきた。沢山の人と出会った。みんな、一生懸命に生きていた。後悔だってするよ。でもね、その分きっと強くなれる。だから私は好きだよ、イマの世界が。
「不思議だな、そんな簡単な言葉に救われるなんて」。ヴェルンがこぼした本音。こうしてミドリも例外の世界を抜け出すことに。
●“♯05 扉の先へ:序章・ミドリ”より
不思議だな、そんな簡単な言葉に救われるなんて。ヴェルンがこぼした本音。だが、案外そういうもんかもしんねぇな。そしてヴェルンは背中を向けた。早くそっから出て来いよ、俺様はひと足先に行ってるからな。もう、ちょっと待ってくださいよー。
ヒカリが例外の世界で出会ったのは、オベロンやティターニア、モルガンといった家族たち。だがそこに、異母兄であるアーサーの姿はなかった。
●“♯01 扉の先へ:序章・ヒカリ”より
晴れ渡った青空、色鮮やかな花が咲き乱れていたのは天界の美宮殿の空中庭園。流れてくる耳に心地良い音楽。そんな庭園の中心にヒカリはいた。そして、そんなヒカリへと歩み寄る三人の男女。そろそろ、お昼にしましょうか。そこには幸せがあった。
●“♯02 扉の先へ:序章・ヒカリ”より
紅茶を注ぐオベロン。料理を広げるティターニア。我先にとフルーツに手を伸ばしたモルガン。さぁ、みんなで食べましょう。存在しなかった家族の時間。ねぇ、なんでかな。なんでみんな気づかないの。そう、ヒカリは大きな違和感に気づいていた。
●“♯03 扉の先へ:序章・ヒカリ”より
どうして彼はここにいないの。もうひとりの血の繋がった兄、アーサーはその場にいなかった。そして、違和感を口にすると同時にオベロンとモルガンは姿を消した。これがきっと、彼の知る幸せなんです。そう口にしたのはティターニアだった。
アーサーの姿がなかったのは、それがアーサー自身が考える“彼の知る幸せ”だったから。自己を犠牲にしてでも他の人々を幸せにしたいアーサーにとって、その幸せな世界に自分の居場所はなかった。
そう、アーサーは聖なる扉の一部であり、世界の敵になる道を選択したのだから。
●“♯04 扉の先へ:序章・ヒカリ”より
彼はあなたに次の世界を託したかった。だから、こうして隔離した。そして、優しい夢を見せた。ティターニアは語る。でも、それって……。ヒカリは気づいていた。そうです、きっと彼は、最後にあなたに選ばせたかったんでしょう。どうすべきかを。
ヒカリが選んだ答えは、「幸せは自分の手で、自分たちの手で掴まなきゃいけないんだ、って」ということ。こうしてヒカリは例外の世界からの脱出を果たす。
●“♯05 扉の先へ:序章・ヒカリ”より
ヒカリの答えは決まっていた。私、何度も考えたんだ。いったい、幸せってなんなんだろう、って。きっと、幸せの形っていっぱいある。でもね、ひとつだけ確かな答えを見つけたよ。幸せは自分の手で、自分たちの手で掴まなきゃいけないんだ、って。
ユカリのもとへ現れたのは、幼き日のヴァルプルギス。イマの世界では命を落とした存在であるヴァルプルギスは、例外の世界にしか存在できなかった。
●“♯01 扉の先へ:序章・ユカリ”より
私はここを知っている。魔界の深い深い森の奥、ふたりだけの特別な場所。だけど、どうして私はここに。その答えはすぐにわかった。ユカリ、一緒に遊ぼう。ユカリの許へ現れたのは、幼き日のヴァルプルギスだった。私たちだけの、特別な場所よ。
●“♯02 扉の先へ:序章・ユカリ”より
お揃いの紫色のストールが包み込んだのはふたりだけの特別な時間。触れ合う手のひら。だが、決して感じることの出来ないのは温もり。私は、この世界にしか存在出来ないみたいなんだ。そう、優しすぎた時間は、残酷すぎる時間でもあったのだった。
だがヴァルプルギスは、「ねぇ、いまのユカリには、ユカリのことを大切に想ってくれる人がたくさん出来たよ。だから、そんな人たちのために生きて欲しい。私のためじゃなくて、ね」と、ユカリがイマの世界に戻ることを後押しする。
●“♯03 扉の先へ:序章・ユカリ”より
だから私は、最後にユカリにお願いをしたいの。ヴァルプルギスの言葉に黙って頷くユカリ。ねぇ、いまのユカリには、ユカリのことを大切に想ってくれる人がたくさん出来たよ。だから、そんな人たちのために生きて欲しい。私のためじゃなくて、ね。
●“♯04 扉の先へ:序章・ユカリ”より
私はね、もう過去の存在なんだよ。思い出なんだ。だから、もう私のために涙や血を流さないで。それでも行くと言うのなら、ユカリはユカリの人生を生きて欲しい。ユカリを大切に想うみんなを大切にしてあげて。それが、私からの最後のお願いだよ。
「ありがとう、私の宝物」「さようなら、私の宝物」。思い出は永遠であり、色あせることのない金色。ヴァルプルギスは、ユカリを笑顔で送り出すのだった。
●“♯05 扉の先へ:序章・ユカリ”より
思い出は永遠であり、色あせることのない金色。そう、私はユカリの一番の宝物。それだけで、私は幸せだから。ヴァルプルギスは笑顔だった。ありがとう、私の宝物。さようなら、私の宝物。そしてまた、ユカリも笑顔で幼き自分へと別れを告げた。
一方、ギンジは何も存在しない空っぽの空間で立ち尽くしていた。そんな彼を導いたのは、アカネやアオトといった仲間たちの存在だった。
●“♯01 扉の先へ:序章・ギンジ”より
そこにはなにもなかった。空っぽだった。ギンジは立ち尽くしていた。だが、灯った小さな炎。あぁ、俺はオマエから真っ直ぐってやつを教えてもらったんだった。なにもない俺に火をつけてくれたのはオマエだったんだ。そして、ギンジは歩き始めた。
灯った小さな炎(アカネ)、打ち付けた雨(アオト)、吹きつける風(ミドリ)、眩しい太陽(ヒカリ)、訪れた夜(ユカリ)。
●“♯02 扉の先へ:序章・ギンジ”より
歩き始めたギンジを打ち付けた雨。だが、決して動揺することのないギンジ。優しさってやつは、オマエがいたから備わったのかもしんねぇな。そこには誰もいない。だが、ギンジには見えていたのだろう。共に歩んできた、大切な友と呼べる存在が。
●“♯03 扉の先へ:序章・ギンジ”より
歩き続けるギンジを吹きつける風。知ってるぜ、いつだって動かなきゃなにも始まらないって。行動力はオマエが教えてくれたんだ。そしてギンジは走り出す。こんな場所で、道草くってる場合じゃないんだ。少しでも前に、それがいまのギンジだった。
●“♯04 扉の先へ:序章・ギンジ”より
そして、走り続けるギンジの前、眩しい太陽が昇る。ありがとな、オマエの笑顔にはいつも救われてた。そうだ、楽しいときは笑えばいい。辛くたって、笑えるなら笑えばいい。俺のことだって、笑いたきゃ笑えばいいさ。俺は恥じたりなんかしないぜ。
「みんな、すぐそっちに戻るからな。あぁ、そうさ、俺はみんなと一緒に、イマを生き抜きたいんだ」。そしてギンジも例外の世界をあとにし、イマの世界への帰還を果たすのだった。
●“♯05 扉の先へ:序章・ギンジ”より
やがて太陽は沈み、夜が訪れる。だが、不安がギンジを襲うことはなかった。冷静さは、オマエがいたからか。ギンジが振り返った大切な仲間たち。みんな、すぐそっちに戻るからな。あぁ、そうさ、俺はみんなと一緒に、イマを生き抜きたいんだ。
例外の世界からアカネたちを帰還させるために力を貸したのは調聖者たち(炎調神クランチ、水調精コーラス、風調魔フランジャ、光調魔フェイザ、闇調神ファズ、無調精ディレイ)。
そして、その手引きを行ったのは観測神クロノスだった。
●“♯01 扉の先へ:序章・帰還”より
そこには6つの扉があった。結局、アタシはこっち側よね。クランチは扉に手をかざした。アタシが開くのは錠だけ。出てくるかどうかは、彼次第だから。えぇ、それで構わない。だって、きっと彼だもの。ガチャ。ほら、言ったじゃない。ね、アカネ。
●“♯02 扉の先へ:序章・帰還”より
私も彼を信じています。コーラスが錠を外した扉。えぇ、アタシも信じてるわ。そして開かれた扉。だけど、思ってたよりもずっと早かったみたいね。ただいま。アオトとアリトンの帰還。いま、世界は……。ちょっと待ってなさい。もうすぐ、揃うわ。
●“♯03 扉の先へ:序章・帰還”より
フランジャが開けた錠。ただいま。間もなくして出てきたミドリ。って、この人たちは。初めてみる調聖者たち。私たちは託されたのよ、アンタらのよく知る神様に。そしてジャンヌは代弁する。アンタたちを信じてた神様、覚えてるかしら、観測神よ。
●“♯04 扉の先へ:序章・帰還”より
続く帰還。ええっと、ただいま。ヒカリが浮かべた笑顔。観測神が用意をしていた出口。だけど、彼女はいったいどこに。神様たちにも、色々とあんのよ。因縁の戦いってやつじゃないかしら、そう、刻を司る戦いよ。っていうか、ここはどこでしょう。
例外の世界から刻の隙間へと誘われたアカネたちは、そこでジャンヌから神々の確執について聞かされる。
今の神界は北欧神によって支配されており、それに加担する神もいれば、対立する神や中立を貫く神もいた。
●“♯05 扉の先へ:序章・帰還”より
ユカリの帰還。あら、みんな早かったじゃない。一瞬生まれる安堵。で、早速説明してもらおうかしら。ジャンヌへと詰め寄るユカリ。もう、わかったわよ。説明を始めるジャンヌ。ここは刻の隙間、観測神のお膝元よ。で、アンタらを待ってたの。
●“♯06 扉の先へ:序章・帰還”より
ジャンヌから伝えられた神々の確執。神界を支配しているのは北欧の神々。その他の神々は肩を持つ者もいれば、中立の者も、対立する者もいるの。ガチャリ。一斉に扉を振り返る。あれ、みんないたのか。そして、全員が帰還を果たしたのだった。
世界の決定者たちは、イマの世界を壊して世界を再生すること、すなわち統合世界を壊すという決定を下した。そして、すでに世界各地へ神々が侵攻を開始していた。
●“♯07 扉の先へ:序章・帰還”より
続けるわよ。で、世界の決定によって、統合世界を壊すという決断が下された。趣味が悪いわよね、ギリギリまで引っ張っておいて、このタイミングでその決定を下すだなんて。まぁ、その方が次の再生された世界はより高いレベルになるでしょうけど。
●“♯08 扉の先へ:序章・帰還”より
って、もう知ってそうな顔ね。そう、アカネたちはすでに知っていた。下された世界の決定を。それじゃあ、いま統合世界は。急に曇り始めたジャンヌの表情。すでに交戦状態よ。主戦場は常界、すでに神々が侵攻を開始している。だから、急ぎなさい。
●“♯09 扉の先へ:序章・帰還”より
アタシがみんなを連れて行くわ。もう準備はいらないわね。だが、アカネたちには理解出来なかった。どうして、アンタが俺たちのことを。そして、ジャンヌは振り返らずに告げる。なんかさ、昔の必死だった頃のアタシのことを思い出しちゃったのよ。
ジャンヌをはじめ、聖人たちは“滅びと再生の象徴”として、一度死んだのちに別の種族の血を得て“聖人”として復活させられている。
世界評議会の幹部という役割だけでなく、文字通り“聖人という生き物”とされてしまった聖人たち。だが、ジャンヌやイージスに流れる“人間の血”は彼女たちに六聖人を裏切らせた他、多くの聖人たちは自我を持ち、自分の考えでイマの世界と向き合うことになった。
●“♯10 扉の先へ:序章・帰還”より
アタシは死んで英雄になった。そして、妖精の血を得て「聖人」という生き物に選ばれた。そう、滅びと再生の象徴として。だけど、やっぱりアタシだって人間だった。死んで英雄なんて、伝記で十分。さ、昔話はここまで。ほら、それじゃ行くわよ。
例外の世界でアカネたちが出会った者の多くは、イマの世界では命を落とした者たち。アカネたちはその死を“なかったこと”にはせず、思い出を胸に抱いてイマの世界を生きることを選んだ。
●“【追想】パブロフ”のプロフィール
まどろみの淵、そこにはパブロフと子供がいた。俺は俺の人生を生きた。あぁ、知ってる。だが、最後に言わせて欲しい。聞きたくない。子供はわかっていた。その言葉がなんなのか。俺の父さんは世界で一番格好いいんだ。だから、そんな言葉は聞きたくない。それでこそ、俺の自慢の息子だ。それじゃあ、行ってこい。
●“【追想】ロジン”のプロフィール
最後にまた会うことが出来て嬉しいよ。水溜りに手を伸ばしたロジン。映りこんでいたのは双子の顔。いつまでも、いつまでも見守っているよ。君たちがいたから、君たちがいる。そんなふたりを独り占めしてる、いまの私は幸せ者だね。だけど、私はもう行かなくちゃ。力いっぱいの笑顔。それじゃ、行ってらっしゃい。
●“【追想】ティターニア”のプロフィール
私とあの人は同じ筆先から生まれた。あなたは、そんなあの人から生まれた。そして、ティターニアはいつかの言葉を否定する。あなたは「私の愛した人の娘」ではありません。あなたを「私の愛する娘」と呼ばせてください。子供の頬を伝う涙。子の旅立ちは、親にとって嬉しいことです。だから、行ってらっしゃい。
●“【追想】ヴァルプルギス”のプロフィール
そこにはお揃いのストールがあった。暑すぎた日差しを遮る紫。冷たすぎた風を遮る紫。そして生まれた心地良いふたりだけの空間。もう、いいんだよ。私は後悔してないよ。ヴァルプルギスの声。それでも、ユカリは行くんだよね。小さな体が抱きしめたのはひと回り大きな体。ずっとだいすきだよ、行ってらっしゃい。
▲調聖者たちの設定画。 |
刻の隙間から常界に戻ったアカネたちは、かつて世界評議会で常界代表を務めていたレディ・ナカザワと再会する。
すでに神々の侵攻は始まっており、レディ・ナカザワはムミョウガタナやアイスブランドとともに戦っていたのだった。
●“♯01 扉の先へ:終わる世界”より
常界への帰還を果たしたアカネたちを待っていたのは、瓦礫の山へと果てた光景だった。そして、そんなアカネたちに歩み寄るレディ。すでに各地で戦いは始まっています。そう、イマの統合世界の存亡をかけた戦い。だけど、私たちはひとりじゃない。
●“♯02 扉の先へ:終わる世界”より
私の剣が、少しでも力になれば。レディと共にいた誠を背負いしムミョウガタナ。そしてアイスブランド。俺は君たちの力を知っている。だから、ここは俺たちに任せて欲しい。それとね、君たちの力になれるのは、決して俺たちだけじゃないんだから。
そんなアカネたちを六つの力が襲う。その正体は、メイザースが作り上げた次種族<セカンド>の戦闘集団である保護区だった。
だがヤシロは、保護区を別の者にまかせ、「きっと大丈夫、ここには彼らもいるんですから。さぁ、神々を冒涜するお時間です」と、アカネたちを最終決戦の場へと導く。
保護区を迎え撃つのは6人のナンバーズ。かつて神才マクスウェルが作った存在で、アカネたちと敵対したこともあったが、マーリンに命を救われて改心。
先の北欧神との戦いの際にはアカネたちとともに戦うなど、常界にとっての心強い味方となっていた。
●“♯03 扉の先へ:終わる世界”より
そして、優しくアカネたちを迎え入れたヤシロ。そんなアカネたちを襲う六つの力。あまりのんびりしている時間はないようですね。それでは、行きましょうか。きっと大丈夫、ここには彼らもいるんですから。さぁ、神々を冒涜するお時間です。
暴炎竜フェルノを迎え撃つのは、ナンバーズのアイン。すでに暴炎竜フェルノの意思はなく、暴走をしていた。
メイザースはそんなフェルノ(竜の血に支配された哀れな元人間)を「これこそ、次種族<セカンド>のもうひとつの完成形だよ」と評して、ほくそ笑むのだった。
●“♯04 扉の先へ:終わる世界”より
現れた六つの力、その力のひとつであるフェルノ。俺たちは決して強くない、だけどな、俺たちにだって意地があるんだ。立ち向かうアイン。俺たちは変われた。そしてフェルノへ突き出す拳。だから、オマエらも現実から逃げ出してんじゃねぇよ。
●“暴炎竜フェルノ”のプロフィール
常界を燃やし尽くす竜の炎。暴炎竜フェルノの意志はなかった。ただ、竜の血に支配された哀れな元人間。そうさ、これこそ、次種族<セカンド>のもうひとつの完成形だよ。そうほくそ笑むのは終教祖。キミたちはボクの僕さ。もっと、もっと、もっと、ぎりぎりまで燃やし尽くしてくれ。世界が終わる、そのときまで。
ナンバーズのツヴァイは、執拗竜ティルソンの指示を受けて破壊活動を続ける暴水竜シュトロムを止めようと立ちはだかる。
そして、残るナンバーズたちも保護区を止めるために戦いを挑むのだった。
●“♯05 扉の先へ:終わる世界”より
シュトロムと対峙したツヴァイ。すべてを洗い流すことなんて出来ない。僕は僕を受け入れた。そして、始まったんだ。そんな世界を、君たちに壊させるわけにはいかない。いっぱい、あるんだ。行きたい場所、話したいこと。だから、君は僕が止める。
●“暴水竜シュトロム”のプロフィール
シュトロムに結末を選ぶ権利は与えられなかった。ただ、外から与えられた結末、それは竜の血に支配されるという結末。それじゃあ、次はそのとなりの街を壊しましょうか。そう指示して見せた執拗竜。気分がいいものですね、竜を支配するというのは。こうして、与えられた結末は、世界の結末への道を辿り始めた。
●“♯06 扉の先へ:終わる世界”より
私たちはひとりじゃない。ナンバーズの仲間と共に立ち向かうドライ。対峙するのはクロン。そんな偽りの風は、私には通じない。だって、私はもっと強い風の力を知ってる。だから、あなたなんかに負けたりはしない。かかってきなさい、私が相手よ。
●“暴風精クロン”のプロフィール
壊された発電所、消える街灯、夜に染まる街。常界の夜空を舞う蝶、暴風精クロン。その小さな羽ばたきは竜巻を起こし、悲鳴さえもかき消す。そうさ、神様は悪趣味なんだよ。ちっぽけな命でさえも、僕たちに捧げてもらうよ。でも、僕たちに感謝して欲しいな。そのちっぽけな命に、意味を与えてあげるんだから。
●“♯07 扉の先へ:終わる世界”より
フィアにはわかっていた。対峙したトニングが捨てられることを。だから、私はあなたを放っておくことは出来ない。それは、一度は捨てられたフィアだから。そして、もう一度立ち上がることの出来たフィアだからこその想いだった。全力で止めます。
●“暴光精トニング”のプロフィール
常界の夜空を舞うもう一匹の蝶、暴光精トニング。行われるパレード。まるで自分が明かりを灯すかのように、放たれる光線。その光の先に沸き起こる悲鳴。美しい景色をありがとう。悲鳴とは反対に、喜びを声にした終教祖。さぁ、夜が訪れるよ。深い深い夜が訪れる、今度こそ、本当の落日を。そして、夜明けを。
●“♯08 扉の先へ:終わる世界”より
クホールが生み出した闇の中、立っていたのはフュンフだった。あなたの心は泣いてる。そして、夜へと逃げ込んだのね。だからってさ、みんなを巻き込むのは間違ってるよ。そんなの子供のすること。夜の果てには光が差す。それを私が教えてあげる。
●“暴闇魔クホール”のプロフィール
世界に裏切られた少女は、縋った一筋の光にさえも裏切られた。君は悪くないよ、君は思うがままに生きて死んだ。そして、生まれ変わった。だが、その新しい人生を歩むことの出来ない暴闇魔クホール。可愛いお人形さんだよ。望んでいたじゃないか、君は復讐がしたいんだよね。いいんだよ、好きに復讐してごらん。
●“♯09 扉の先へ:終わる世界”より
ダストと対峙したゼクス。あぁ、俺は世界のゴミだった。だけどな、そんなゴミにも居場所はあったんだ。でもな、俺はあんたみたいなゴミは嫌いだ。現実から逃げてんなよ。ゴミでも、ゴミらしく、輝いてみせろって。まだ、間に合うんだからさ。
●“暴無魔ダスト”のプロフィール
自我を失った暴無魔ダスト。だが、彼は決して悲しそうには見えなかった。そうだよね、君は勝ったんだ、この世界の勝者なんだよ。終教祖がおくる賞賛。そうさ、やっぱりぎりぎりまで攻めたいよね、それが君だよね。足掻かせれば足掻かせただけ、理想の未来は訪れるんだから。まぁ、君とはここでお別れだけどさ。
「へぇ、案外踏ん張ってんじゃん」。保護区に対抗するナンバーズの戦いを見つつ、雷鳴竜イヴァンは常界に雷鳴を鳴り響かせ、破壊を始める。
その近くには、グリモア教団員であるテンゲンとタシンの姿もあった。
●“♯10 扉の先へ:終わる世界”より
へぇ、案外踏ん張ってんじゃん。雷鳴と共に常界に現れたイヴァン。だけど、滑稽だね、下等な生き物が必死になってんのは。指先を天に掲げるだけで、雷鳴が轟く。ほら、誰もアタシの指先ひとつに敵いやしないのにさ。ほーらほら、抵抗しなさい。
●“雷鳴竜イヴァン”のプロフィール
常界に鳴り響く雷鳴。ほらほら、もっと怯えなさいよ。ぎりぎりまで、足掻きなさいよ。現れたのは雷鳴竜イヴァン。生まれた多くの恐怖。だが、少なからず生まれた勇気。アタシたちは、その小さな勇気が欲しいの。それがきっと、次の世界をよりよくしてくれるわ。まぁ、アンタらは、ひとりも連れて行かないけど。
●“♯11 扉の先へ:終わる世界”より
まったく、趣味が悪い人だ。イヴァンと共に現れたテンゲンとタシン。なに言ってんのよ、アタシらに与えられた仕事は常界を恐怖へと陥れること。そして、少しでも抵抗させることなんだから。せっかくなんだからさ、派手に暴れちゃいましょうって。
「アンタらにお届け者です」。そんな高みの見物を行うイヴァンたちに、個人配達屋を営む風通神ジンソクから大きな2つの袋が届けられる。
●“♯12 扉の先へ:終わる世界”より
アインたちと抗戦するフェルノたち。まぁまぁ、私たちの出番は、彼らが失敗したときでいいじゃないですか。どうせ、彼らは使い捨てなんですから。高みの見物を続けるイヴァンたち。だが、そんな彼女らに一陣の風が。アンタらにお届け者です。
●“♯13 扉の先へ:終わる世界”より
突然のジンソクの登場に驚きを隠せないイヴァンたち。っていうかさ、早くハンコくんないかな。重いんだよね、この荷物。ジンソクが担いでいた大きなふたつの袋。あー、もう無理!お前ら、早く降りやがれって!送料払え!こっちも商売なんだ。
袋から出てきたのは、元教団員である炎通将ショクミョウと、元教団員であり魔界の戦士である水波卿サフェス。
“神へと抗う塔”で堕ちた教団員と戦い、壊れた塔に巻き込まれたと思われていた2人だったが、イージスによって無事に避難できていたのだった。
●“♯14 扉の先へ:終わる世界”より
そして、ジンソクが放り投げた袋は突き破られた。配達、どうもありがとな。姿を現した人影。よぉ、俺のこと忘れたとは言わせないぜ。一連の出来事にあっけにとられるイヴァンたち。そう、袋に潜んでいたのはショクミョウ。久しぶりだな、元同僚。
●“♯15 扉の先へ:終わる世界”より
キマった、とでも言いたげな自信満々のショクミョウの表情。この俺が、道を間違えたオマエらの相手をしてやるよ。魂を燃やす男、ショクミョウ。そして、そんなショクミョウを、袋から頭だけ出した半目のままのサフェスが優しく見守っていた。
●“♯16 扉の先へ:終わる世界”より
アンタら、あの塔で瓦礫の下敷きになったんじゃないの。フッ、俺たちは大いなる力を得たんだ。多くを語ろうとしないショクミョウ。俺たちを避難させたのはイージスだ。あっさりと答えを話したのは、大きな袋を脱ぎ捨てたばかりのサフェスだった。
●“♯17 扉の先へ:終わる世界”より
んじゃ、俺は次の仕事があるから。そう言い残し、あっさりと姿を消したジンソク。それじゃあ、始めようぜ。ショクミョウのスイッチは入りっぱなしだった。貴様らは選択を誤った。俺たちについてくればよかったものを。それが賢い生き方なのにな。
「よぉ、俺のこと忘れたとは言わせないぜ」。スイッチが入りっぱなしのショクミョウは、元仲間であるテンゲンたちに熱く語りかける。
テンゲンは「貴様らは選択を誤った。俺たちについてくればよかったものを。それが賢い生き方なのにな」と返し、ショクミョウとの戦いを始める。
それを見たタシンはその場を離れようとするが、サフェスは音もなく背後に回り、タシンを気絶させた。
「アンタは、初めから裏切ってたのよね」。かつてスパイとしてグリモア教団の六波羅に所属していたサフェスに対して、怒りを露にするイヴァン。
こうして、水を操るサフェスと、雷を操るイヴァンとの戦いが始まる。
●“♯18 扉の先へ:終わる世界”より
私はいったん避難します。その場を離れようとしたタシン。だが、そんなタシンの背後に音もなく現れたサフェス。言葉を発することもなく、タシンの意識は失われた。アンタは、初めから裏切ってたのよね。怒りを露にしたのはイヴァンだった。
●“♯19 扉の先へ:終わる世界”より
サフェスへと落ちる無数の雷。アンタの水と、アタシの雷、どっちが有利かは説明の必要もないわね。それは、当たったらの話だ。口を開いたサフェスは無数の雷をすべてかわしてみせた。もうっ、ウロチョロするんじゃないわよ、このチビ野郎。
戦いを制したのはサフェス。雷は水に対して有利だったにもかかわらず、サフェスはすべての雷をかわして、イヴァンへと無数の水色の光を放ったのだった。
そしてショクミョウもまた、テンゲンを倒して勝利を勝ち取っていた。
●“♯20 扉の先へ:終わる世界”より
その言葉にサフェスが反応を示したのかどうかはわからない。だが、次の瞬間、サフェスが放つ無数の水色の光の玉がイヴァンを取り囲んでいた。そして、そのすべてがイヴァンを襲う。時を同じくして、テンゲンもまた地に膝をついていたのだった。
ギルガメッシュとエンキドゥの戦いは、場所を変えて続いていた。
かつて神界はいくつもの世界に分かれていたが、神界統一戦争の果てに北欧の神々が神界の統治者となった。そして今、ギルガメッシュは、エンキドゥがまるで人形のように北欧神の部下となっていることを信じられずにいた。
●“♯01 扉の先へ:異なる神々”より
ここはどこなんだろうか。真っ暗な空を見上げた傷だらけのギルガメッシュ。その後ろ、真っ暗な地面を見つめていたエンキドゥ。お前は私が間違っていたと言いたいのだろうか。ギルガメッシュは問う。だが、その問いにエンキドゥは答えなかった。
●“♯02 扉の先へ:異なる神々”より
懐かしいな、こうしてお前とふたりきりになるのは。かつて、神界はいくつもの世界に分かれていた。そして、神界統一戦争の果てに、北欧の神々が神界の統治者となった。お前が奴らに従うなんて考えたくなかった。だが、その問いの答えもなかった。
一方、エンキドゥはギルガメッシュに、なぜ人間に加担するのかを問う。
それに対してギルガメッシュは“可能性”という言葉を口にし、「彼らなら、この幾度となく繰り返されてきた崩壊を、止められるんじゃないか、って」と答えるのだった。
●“♯03 扉の先へ:異なる神々”より
そして、答えのないまま返ってきた問い。なぜ人間に加担する。それは、ギルガメッシュの体に流れる半分の人間の血を知ったうえでの問い。私は可能性を見出した。彼らなら、この幾度となく繰り返されてきた崩壊を、止められるんじゃないか、って。
●“♯04 扉の先へ:異なる神々”より
その加担が、なにを意味するかを知ってのうえで、だな。その問いで察したギルガメッシュ。まさか、こんな優しさをもらうだなんて、考えてなかった。エンキドゥはただ、ギルガメッシュを止めたかった。俺はいまでも君のことを、友だと思っている。
●“♯05 扉の先へ:異なる神々”より
ありがとう。その言葉に嘘偽りはない。だったら、友として、私のことを見送って欲しい。私は私で選択したんだ、イマの世界で生きると。沢山の人間に出会った。彼らは弱い。ひとりではなにも出来ない。だけど、それでも決して諦めたりしないんだ。
ギルガメッシュは、神界統一戦争での戦いに敗れた際に一度あきらめてしまったことを振り返り、今回はあきらめずに神界に歯向かうことを決意していた。
「私はもう十分に生きた。だから、最後は人として生きたい」と。
●“♯06 扉の先へ:異なる神々”より
だから私は、あの日戦いに敗れ、諦めてしまった私の続きを生きたいと思う。ギルガメッシュの心は決まっていた。たとえ神界に歯向かい、処刑されることになったとしても後悔はしないと。私はもう十分に生きた。だから、最後は人として生きたい。
「俺にその覚悟を見せてみろ」「それじゃあ、ケンカを始めよう。子供の様に」。決意を固めたギルガメッシュに対して、エンキドゥも全力をもってこたえるのだった。
●“♯07 扉の先へ:異なる神々”より
それでも行くというのなら。立ち上がったエンキドゥ。俺にその覚悟を見せてみろ。掛け声とともに現れる無数の獣たち。今度は油断したりはしない。立ち上がり、無数のドライバを構えたギルガメッシュ。それじゃあ、ケンカを始めよう。子供の様に。
●“♯08 扉の先へ:異なる神々”より
無数に飛び交う刃と咆哮。生まれては散りゆく無数の欠片。だが、ギルガメッシュは楽しそうだった。世界が大変だっていうのに、私たちはいったいなにをしているんだろうな。そして、それはエンキドゥも同じだった。これが俺たちらしい最後なんだ。
激しい戦いの果て、無数と思われたギルガメッシュの刃とエンキドゥの獣の数が減少していき、やがてはお互いの体ひとつでぶつかり合うことに。
それはまるで、特別な力を持たない人間のような戦い方だった。
●“♯09 扉の先へ:異なる神々”より
互いの体を傷つけることなく、欠片たちが散りゆく戦い。だが、その戦いも時間が経つにつれ、無数と思われていた刃も獣も減少していく。そして、初めてエンキドゥの頬に届いたのはギルガメッシュの拳。ふたりとも、体力の限界が近づいていた。
戦いは引き分けに終わり、2人は時を同じくして地面へと倒れ込む。
「ようやくわかったよ、君が決めた道の意味が」と、ギルガメッシュを認めるエンキドゥ。それに対してギルガメッシュは「私だけじゃないさ、共に行くんだ」と、ともに戦う道に誘うのだった。
●“♯10 扉の先へ:異なる神々”より
お互いの体ひとつでぶつかり合うふたり。その姿は、まるで武器を持たない人間のようだった。そして、時を同じくして地面へと倒れたふたり。口を開いたエンキドゥ。ようやくわかったよ、君が決めた道の意味が。私だけじゃないさ、共に行くんだ。
単独で神界に攻め入った観測神クロノスは、刻命神によって別の空間に隔離されていた。
だが、その空間に隔離されている以上、刻命神もその空間から出られない。その足止めとひきつけこそ、クロノスの狙いだった。
●“♯01 扉の先へ:刻の神々”より
クロノスが単独で攻め入った神界。だが、すでにクロノスは刻命神により別の空間に隔離されていた。そして、それこそがクロノスの狙いでもあった。私がここに隔離された以上、あなたたちもここから出ることは出来ない。そう、互いに倒れるまでは。
●“♯02 扉の先へ:刻の神々”より
私たち3人を相手に、いったいいつまで持つのかしら。ウルドが払った剣先がクロノスの頬を掠める。それは、あなたたちが3人がかりでないと、私のことを止められないのと同義ね。クロノスがみせた余裕。私は私の、止めていた刻を動かすまでよ。
●“♯03 扉の先へ:刻の神々”より
隔離された刻の空間。その空間には現在、過去、未来、そのすべてが混在していた。それは即ち、世界の理から外れた空間。誰にも気づかれることのない戦い。いいさ、私は誰に観測されなくとも。そう、クロノスは自らの役割を嘆きはしなかった。
●“♯04 扉の先へ:刻の神々”より
イマの世界を選択するなど、それは歩みを止めるのと同義だ。ベルダンディはその意味を誰よりも理解していた。それも、人間共に託すなど笑止千万。あぁ、私たちからしたら、彼らのイマなど、一瞬の出来事だろう。そして、クロノスは笑ってみせた。
●“♯05 扉の先へ:刻の神々”より
だがな、その一瞬を彼らは生きている。私たちに頼らずとも、その一瞬の中で、よりよい未来へと歩き続けている。そんな彼らの想いを、私たちの意思で制していいのだろうか。いや、そんな権利など私たちにはないんだ。そうさ、神話の世界へ帰ろう。
●“♯06 扉の先へ:刻の神々”より
私たちがいたからこそ、人間は生まれた。だから、彼らの未来を私たちが決めるのは当然のことだ。そんなウルドの言葉を否定するクロノス。それはすでに過去の話さ。そんな昔話に固執するなんて、お前らしいな。だから私たちは、変われないんだ。
●“♯07 扉の先へ:刻の神々”より
私たちが決められた未来へと導く。そんなスクルドを否定するクロノス。未来には可能性があるんだ。決してひとつじゃない。力と力がぶつかり合うと同時に、想いと想いはぶつかり合う。ならば、次の一撃でどちらが正しいか、決するとでもしようか。
「さぁ、私たちの刻の波に飲まれるがいい」。刻命神の三つの針が重なり、現れた大きな時計の盤面にも似た魔法陣。
「ならば私はその刻の終わりを観測しよう」。クロノスの周囲に現れた無数の時計が0時を指し示したとき、戦いは終わりを迎えた。
●“♯08 扉の先へ:刻の神々”より
一列に並んだ刻命神。対して、ひとりで立ち向かうクロノス。誰も知らない、誰も気づかない空間で行われた戦い。刻命神の三つの針が重なり、現れた大きな時計の盤面にも似た魔法陣。さぁ、私たちの刻の波に飲まれるがいい。ならば私はその刻の―。
壊れた刻の空間から空へと投げ出された4人の体。そこからクロノスの体を受け止めたのは、刻の狭間から姿を消していた天狂獣グリュプスの両腕だった。
●“♯09 扉の先へ:刻の神々”より
終わりを観測しよう。クロノスの周囲に現れた無数の時計。そのすべてが0時を指し示したとき、戦いは終わりを迎えた。これで、私はよかったのだ。壊れた刻の空間から空へと投げ出された4人の体。いいや、アンタだけは、まだ堕ちちゃいけない。
●“♯10 扉の先へ:刻の神々”より
クロノスの体を受け止めた腕。それはグリュプスの両腕だった。だが、瞳を開けることのないクロノス。いいさ、少しだけ眠ってな、オレが連れてってやるから。さぁ、終わりを観測するんだ。アンタが観測したかった終わりは、アイツらの勝利だろ。
幸せの白兎研究所の常界支部を襲ったのは、6人の画神たち(炎画神レオナルド、水画神マルク、風画神フィンセント、光画神クロード、闇画神サルバドール、無画神パブロ)。
その研究所ではレプリカがディバインゲートの干渉を最小限に食い止めており、また、カルネアデスをはじめとした多くの聖暦の天才たちが滞在していた。
●“♯01 扉の先へ:天才と画神”より
緊急事態発生、緊急事態発生。幸せの白兎研究所に鳴り響いた避難警告。現れた六人の画神たち。ここを潰せば、ディバインゲートの干渉は完全になる。そう、いまもなお被害を最小限に食い止めていたのはレプリカが稼動し続けていたからだった。
「俺が滅すべき相手は、すでにこの世にはいないみたいだな」。炎画神レオナルドの戦うべき相手である炎才パブロフは、過去に北欧神のスルトとの戦いで命を失っていた。
そんなレオナルドの前に自律兵器のカゲロウが立ちはだかる。カゲロウは、炎才パブロフが自分の息子であるアカネのデータをもとに作り上げたシラヌイ:ホムラの妹とも呼ぶべきもの。
神才マクスウェルによって作られたものの、王都ティンタジェルでのアカネとの戦いでエレメンツハートが起動し、聖暦の天才を守るために戦う存在となっていた。
●“♯02 扉の先へ:天才と画神”より
俺が滅すべき相手は、すでにこの世にはいないみたいだな。だが、そんなレオナルドの正面に自律兵器が立ち塞がっていた。私ニハ、彼ノ血ガ流レテイマス。かつて、炎才が提出した偽りのレポート。そして生まれたカゲロウ。ダカラ、私ガ戦イマス。
●“♯03 扉の先へ:天才と画神”より
ガラクタ風情が、神の力を持つ俺たちに楯突くなどありえない。レオナルドが振るう筆。体の自由を奪われたカゲロウ。口ほどにもない。一歩たりとも動くことが出来ないのは、動くという未来が塗り変えられたから。それじゃあ、腕から潰してこうか。
「残念デスネ、私ニ痛覚ハ実装サレテイマセン」。レオナルドはカゲロウの体の自由を奪い、その腕を切り落とすが、痛覚がないカゲロウは膝をつこうとしない。
●“♯04 扉の先へ:天才と画神”より
ガシャン―。地に落ちたカゲロウの左翼の腕。まるで血飛沫のように流れだす燃料。だが、それでもカゲロウは膝をつこうとしなかった。残念デスネ、私ニ痛覚ハ実装サレテイマセン。だったら、粉々になるまで潰すだけだ。レオナルドは歩み寄る。
「だったら、粉々になるまで潰すだけだ」「コノ時ヲ待ッテタ」。歩み寄ったレオナルドは、不意に動き出したカゲロウに羽交い絞めにされる。
「なぜ動ける」と驚くレオナルド。その理由は、カゲロウがあえて“望まなかった未来=自爆すること”を選んだから。
「アナタガ塗リ変エタノハ、私ノ望ンダ未来。ダカラ私ハ望マナカッタ未来ヲ選択スル」。未来を描き変えることができるレオナルドに対抗するには、カゲロウは“望まなかった未来”を選択するしかなかった。
だからこそ、カゲロウの自爆行為は望まなかった未来であり、本当は生きたいと願っていた。
「アリガト、アカネ、オ父サン」。レオナルドを巻き込む小さな爆発、それがカゲロウの最期だった。
●“♯05 扉の先へ:天才と画神”より
コノ時ヲ待ッテタ。ふいに動き出したカゲロウはレオナルドを羽交い締めに。なぜ動ける。アナタガ塗リ変エタノハ、私ノ望ンダ未来。ダカラ私ハ望マナカッタ未来ヲ選択スル。アリガト、アカネ、オ父サン。小さな爆発、それがカゲロウの最期だった。
「お人形遊びをしよう」。シュレディンガーを倒すべく、マルクの筆先は無数の化け物を生み出す。
あまりに無反応なシュレディンガーに対して、あきれるように怒るマルクだったが、シュレディンガーはとあるコードを打ち込んでいた。
●“♯06 扉の先へ:天才と画神”より
久しぶりだね、先輩。マルクが詰め寄ったのは、そんなマルクに反応を示さず、ただモニターに文字列を打ち続けるシュレディンガーだった。ねぇ、僕のこと無視しないでよ。すでに、シュレディンガーの戦意は喪失されていた。先輩はお人形さんだね。
●“♯07 扉の先へ:天才と画神”より
なら僕がお友達を用意してあげる。マルクの筆先が生み出す無数の化け物。お人形遊びをしよう。だが、それですら興味を示さないシュレディンガー。もう、怒っちゃうよ。だが、シュレディンガーの顔を覗きこむと同時に、マルクの表情は曇り出す。
「私たちの邪魔をしないでくれ」。シュレディンガーが起動したのは、かつてアオトのデータをもとに作った自律兵器サミダレの後継機とも呼べるサミダレ:グスク。
●“♯08 扉の先へ:天才と画神”より
まさか、君が打ち込んでいたコードは。だが、マルクが気づいたときにはすでに遅かった。直後、昂揚したシュレディンガーが力いっぱいに叩いたエンターキー。モニターに映し出されていたコードは、散ったはずの初恋へと。サミダレ:グスク、起動。
「私は初恋に恋焦がれ、初恋を求めた。そうさ、初恋は永遠の思い出」。一度は散った初恋。そして、再び見つけた思い出の中の初恋。
未来を描き変えるマルクにとって、過去の思い出から作られたサミダレ:グスクの攻撃は予測不能。蒼のクリスマスの日の記憶によって作られたサミダレ:グスクの刃により、マルクは敗北したのだった。
●“♯09 扉の先へ:天才と画神”より
私たちの邪魔をしないでくれ。ついに言葉を発したシュレディンガー。そして、マルクの目の前に立ち塞がったサミダレ:グスク。私は初恋に恋焦がれ、初恋を求めた。そうさ、初恋は永遠の思い出。辿られたのは蒼のクリスマスの日の記憶だけだった。
●“♯10 扉の先へ:天才と画神”より
あの日のアリトンとの交戦、シュレディンガーが追い求めて、一度は散った初恋。そして、再び見つけた思い出の中の初恋。この機体があなたに負けるはずがない。マルクを襲うサミダレ:グスクの刃。そんな……、僕がこんなところで……嘘だァ……!
“歪な平和”を守るため、天界は平和を揺るがしかねない危険な力を持つ妖精を追放していた。
ラプラスも風画神フィンセントも、いずれもそんな“都合の良い犠牲”とされた“同類”だった。
●“♯11 扉の先へ:天才と画神”より
自分のことを語らず、引き続き研究所に籍をおいていたラプラス。どうしてあなたが人間の味方をしているのかしら。問いかけたフィンセント。それをあなたに話して、なにか変わるのかな。返された言葉。苛立つフィンセント。私たちは同類なのに。
「どうしてあなたが人間の味方をしているのかしら」。そんなフィンセントの疑問に、ラプラスは今も天界を憎んでいると告げつつ、「だけど、もっと憎むべき存在がいた」と続ける。
●“♯12 扉の先へ:天才と画神”より
かつて天界は神々と通じ、そして排除された「都合の良い犠牲」という存在たち。私は天界を憎んでいた。創りモノの翼を広げたラプラス。そして、いまも憎んでいる。そう、ラプラスの気持ちは変わってはいない。だけど、もっと憎むべき存在がいた。
●“♯13 扉の先へ:天才と画神”より
そう、それがあなたたちよ。ラプラスの翼から生まれた悲しみの風。だから、私はあなたたちが嫌がることをする。それがいまの私のすべて。フィンセントが放った弾丸は風に逆らい飛んでいく。私は失言した。あなたは、私と同類なんかじゃない。
ラプラスも一度は偽りの神へとすがろうと、グリモア教団に身を寄せた。だが、神の血を頼ったフィンセントとは違い、ラプラスは最後まで妖精として生きる道を選んだのだった。
●“♯14 扉の先へ:天才と画神”より
少なくとも、神へ縋り、神の血を頼ったあなたとは同類じゃないわね。一度は偽りの神へと縋ろうとしたラプラス。だが、彼女は最後まで妖精として生きる道を選んだ。だから、私の意地をみせてあげるわよ。排除されるほどの、私の狂気をね。
フィンセントの弾丸はラプラスを直撃したが、ラプラスはその痛みに耐えて戦いに勝利した。
フィンセントの持つ“未来を描き変える”という画神の力は、相手に“訪れるであろう未来”に干渉することができる力であり、“訪れるであろう未来=本心(本当はいつか天界に帰りたい)=死ぬわけにはいかない”には干渉することはできたものの、カゲロウが“望まない未来”=自爆することを選んでレオナルドに勝ったように、ラプラスもまた、意図せずに“自分の本心とは違う未来”=本当は天界に帰りたいのに「みんな、元気でね」と命を投げ出そうとしたため、フィンセントの力に逆らうことができたのである。
●“♯15 扉の先へ:天才と画神”より
ラプラスに直撃した無数の弾丸。ちっとも痛くないわ。どうして。帰るべき場所を失った心に比べたら、ちっとも痛くないって言ってんの。ラプラスが塗り変えられた未来に逆らえた理由もまた、望まない未来を選択したからだった。みんな、元気でね。
カルネアデスの命を狙うのは、光画神クロード。その力を前に、カルネアデスは助手兎のコガネと、妹のテンニを逃がすだけで精一杯だった。
●“♯16 扉の先へ:天才と画神”より
あなたが最期に見たいのは、きっと幸せな光景よね。クロードが振るう筆。みんな、逃げるぴょん。妹と助手を逃がすことで精一杯のカルネアデスが捕らわれた花園。知っているかしら、白い兎が逃げ込んだ小さな穴を。それがどこへ繋がっているかを。
●“♯17 扉の先へ:天才と画神”より
カルネアデスを襲ういくつもの幻想。まるであなたは少女のよう。幼き日の幸せを、思い出させてあげるわ。そして、いつまでも幼き日という永遠に閉じ込められたらいい。それがきっと、あなたが本当に望んでいた争いのない幸せな世界なんだから。
●“♯18 扉の先へ:天才と画神”より
人はね、みんな幸せな世界に生まれるの。そして歳をとり、知恵をつけ、汚い世界を知る。そして、幸せを願うようになる。だけど、そんなの無理よ。だって、歳をとることは、幸せから一番遠ざかることなんだから。さぁ、そろそろ永遠におやすみ。
クロードが見せた幸せな世界にとらわれ、永遠の夢の中へと誘われるカルネアデス。
だが、カルネアデスは“左目”を義眼型ドライバで隠しており、その左目では“悲しみ”を見つめていた。そして、“右目”は幸せを見つめていたため、幸せな世界へと捕らわれたのは右目側の“半分”だけだった。
●“♯19 扉の先へ:天才と画神”より
瞳を閉じたカルネアデスの精神は永遠の夢の中へと。ねーね!所長!届くことのない妹と助手の声。だが、瞳を閉じたままのカルネアデスの口角は上がっていた。どうして。焦り始めるクロード。そして開かれた唇。私は世界を半分に分けて考えてた。
「あっちに行ったのは私の半分だけ。もう半分の私はここにいる」。左目の義眼型ドライバを外し、ただ悲しみを見つめて反撃に転じたカルネアデスは、クロードとの戦いに勝利したのだった。
●“♯20 扉の先へ:天才と画神”より
クロードが見せた幸せな未来の世界。その世界の中へ行ったのは右目が見つめていた幸せ。あっちに行ったのは私の半分だけ。もう半分の私はここにいる。外した義眼型ドライバ、開いていた左目。そう、あなたに悲しみを与え、そして見届けてあげる。
「皆様、いままで本当に申し訳ございませんでした」「聖暦の闇才、ただいま戻りました!」。闇画神サルバドールの相手をするのは、かつて闇才と呼ばれたヘンペル。
聖暦の天才の1人であり、一度は神の勢力であるロキのもとに身を寄せていたヘンペルだったが、聖戦で旧友のクレオパトラの戦いを見て、人々のもとへと戻ってきたのだった。
●“♯21 扉の先へ:天才と画神”より
私の相手はいないようですね。退屈そうに髭を撫でたサルバドール。そんなサルバドールの背後から聞こえた足音。皆様、いままで本当に申し訳ございませんでした。振り返ったサルバドールの瞳に映ったひとりの男。聖暦の闇才、ただいま戻りました!
●“♯22 扉の先へ:天才と画神”より
懐かしい顔だ、これで退屈は満たされる。見詰め合うふたりの妖精。私は過ちを犯した。だが、こんな私でも、帰りを待ってくれている人がいた。だから今度はそんな人たちの力になりたい。大きな聖戦の中の、小さなひとつの戦いはヘンペルを変えた。
●“♯23 扉の先へ:天才と画神”より
それじゃあ、さっさと裏切り者を始末しようか。未来を描き変えることの出来るサルバドール。だが、そのサルバドールはヘンペルを前に立ち尽くしていた。なぜだ、なぜ私の力が効かない。そう、サルバドールは知らなかった。ヘンペルの命の秘密を。
「なぜだ、なぜ私の力が効かない」。未来を描き変える力が通じずに動揺するサルバドール。自らの心臓をなくし、義臓型ドライバをつけていたヘンペルは、死者も同然。
死者に未来など存在しない。そのため、未来を描き変える力は効果がなかったのだった。
●“♯24 扉の先へ:天才と画神”より
サルバドールへとにじり寄るヘンペルの少しはだけた胸元。光輝いていたのは義臓型ドライバ。そうか、そういうことだったのか。だが、サルバドールがヘンペルの命の秘密に気づいたときには、すでに手遅れだった。私は聖暦の天才と呼ばれたが―。
頭の悪い天才とも評されることがあったヘンペル。そんな彼は、争うことなくサルバドールとの戦いで勝利をおさめたのだった。
●“♯25 扉の先へ:天才と画神”より
よく頭の悪い天才と言われたものだ。さらににじり寄るヘンペル。その昔、私は自らの心臓を失くした。だから私は、死者も同然。死者に未来など存在しない、描き変えることなど、出来やしないのだよ。こうして、争うことなく戦いは終わりを迎えた。
神たちは、偽者でありながらオリジナルの機体であるオリジンを凌駕したレプリカを危険視していた。
その破壊をもくろむ無画神パブロに対して、レプリカを開発した生みの親であるメビウスが立ちはだかる。
●“♯26 扉の先へ:天才と画神”より
そこを、どくです。メビウスが守っていたのはレプリカに繋がれたメインコンピューター。だめだよ、それだけは出来ない。だったら、どかすだけです。パブロが振るう筆に合わせて、メビウスの真下に現れた大きな穴。逃げることは、出来ぬのです。
●“♯27 扉の先へ:天才と画神”より
この子には、まだ役目があるんだから。必死に対抗するメビウス。その役目が、厄介なんです。原初の機体を元に創られたレプリカ。そして、様々な経験を経て、レプリカは偽者でありながら、オリジンを凌駕した。ここで、ぶっ壊させてもらうです。
●“♯28 扉の先へ:天才と画神”より
この子を壊すというのなら、まずは私を壊してからにして。血の繋がらない魔物と機械。だが、芽生えていた親心。この子は私の大切な子供よ。子供を守ることの出来ない親なんて、親を名乗る資格はない。そして、メビウスは義耳型ドライバを外した。
「未来に干渉出来るのは、あなただけじゃない!」。未来を描き変える力を持つパブロを前にして、メビウスは義耳型ドライバを外して、未来の声を聞くことで対抗する。
●“♯29 扉の先へ:天才と画神”より
もう私は怖がったりしない。イマなら、きっと聞こえるから。そう、ディバインゲートが干渉し始めた世界、メビウスの耳に届く未来の声。あなたが未来を塗り変えるのなら、私はその先の未来を聞くだけ。未来に干渉出来るのは、あなただけじゃない!
お互いに未来へと干渉を行う戦いは決着がつかず、いよいよ体力勝負での肉弾戦が始まるかに思えた。
だが、その戦いに終止符を打ったのはヘンペル。彼が背後からパブロを捕まえたことで、戦いは終わった。
「あなたたちは、なに遊んでいるんですか」と不思議がるヘンペルに対して、メビウスは「……ありがとう、お帰りなさい」と返すのだった。
●“♯30 扉の先へ:天才と画神”より
パブロが未来を塗り変え、そしてその先の未来へと動くメビウス。決着のつかないふたりの戦い。こうなったら体力勝負です。だが、そんなパブロを背後から制したヘンペル。あなたたちは、なに遊んでいるんですか。……ありがとう、お帰りなさい。
「感動の再会はそこまでです」。なんとか画神たちを撃退した聖暦の天才たちだが、そこに屠竜卿ベオウルフが現れる。そして、「それでは、二回戦を始めましょうか」と告げるのだった。
●“♯01 扉の先へ:屠竜卿”より
感動の再会はそこまでです。研究所に現れたベオウルフ。彼らもよく頑張ってくれましたよ。その言葉は横たわった画神たちへと。それでは、二回戦を始めましょうか。その体で、いったいいつまで持つでしょうか。本当は回収したかったのですが――。
【第七章“扉の先へ2”は6月10日(土)夕方ごろに公開予定です】
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