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2017年6月16日(金)

リメイク版『ラジアントヒストリア』レビュー。時間を駆け抜ける名作RPGがさらに遊びやすくなった

文:まさん

 アトラスが、6月29日に発売予定の3DS用ソフト『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』。まもなく発売となる本作のプレイレポートを、アトラス作品ファンのライター・まさんがお届けします。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』

 本作は、主人公・ストックが時を越えて歴史を変えていく王道ファンタジーRPG『ラジアントヒストリア』のフルリメイク版です。キャラクターデザインのリファインや、新キャラクター、システムの追加などが行われ、初めての人はもちろん、DS版をプレイ済みの人でも楽しめる作品になっています。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』

 本記事では、極力ネタバレは避けて序盤の展開を中心にお届けしますが、伏線やシナリオの構成が大きな魅力になっている作品でもあるので、システムの説明や新要素などで、物語の一部にも触れていくのでご注意ください。

キレイになって遊びやすさも向上! 名作がさらなる進化を遂げる!?

 皆さん、こんにちは。3度の飯よりアトラスRPGが大好きな担当ライター・まさんです。今回紹介するのはDSの名作『ラジアントヒストリア』のフルリメイク版になります。

 『ラジアントヒストリア』と言えば、DS版のCMで流れていたキャッチコピー“死亡フラグをへし折るRPG”という言葉が印象的な作品です。

 7年前の作品ではありますが、今でも色あせない名作。そうか、もう7年も前なのか。その歴史をやり直すことができたなら、と一瞬感慨深くなりましたが、それは置いといて……。DS版をそのまま持ってきても通用するくらいの名作なのは、間違いありません。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲プレイするとシナリオに引き付けられ、思わず口からこういうセリフが出るかもしれません。

 というわけで今回のプレイインプレッションでは、DS版『ラジアントヒストリア』をプレイ済みの自分がDS版との違いに注目しつつ、ゲームの見どころをお届けしていこうと思います。

 初心者でまだプレイしたことがない人は、ぶっちゃけ、ここのプレイインプレッションを読むよりも実際にプレイしたほうがいいので今すぐ引き返してください。

 本当に初見のおもしろさを損なうともったいないから! 歴史はやり直せても記憶は消せないんですよ!! 後悔しませんね?

 では、はじめたいと思います。ちなみに、DS版をプレイ済みなのと新シナリオ“亜伝”の話をしたいので、モードは“パーフェクトモード”でプレイしていますので、あしからず。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』

 ゲームの舞台は、大陸全体が砂漠化して滅亡の危機に瀕している異世界“ヴァンクール大陸”。残された緑の土地を奪い合って戦争している“アリステル”と“グランオルグ”という2つの大国を中心に、壮大な歴史が紡がれていきます。

 物語は、プロローグの後にアリステルの情報部に勤める主人公・ストックが、上司のハイスから“白示録(びゃくしろく)”という謎の本をわたされ、任務に向かうところからスタートします。

 新たに部下として配属された女性・レイニーと、小柄な男性・マルコとともに、密偵としての任務に挑むことになります。

 最初は王道ファンタジー的な導入から始まりますが、ここから長い時を越えて歴史を変え、巧みに伏線が絡み合って物語が展開して……うん、これぞ『ラジアントヒストリア』です。

 画面が綺麗になっていますし、UIも操作しやすく改良されてますが、イメージはバッチリそのまま。キャラクターの絵がリファインされていて、初登場時にカットシーンが入るといった演出の違いはありますが“らしさ”はしっかり感じられます。

 エルーカは結構変わってますが、コレはコレで好き。ボイスも違和感がなく、表情がついたことでキャラクターの感情もわかりやすくなっていると感じました。戦闘中や戦闘後にひと言しゃべってくれるのも、賑やかでいいですね。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲ストーリーはDS版そのままですが、演出が大幅に強化されて印象が変化。歴史上の重要イベントに1枚絵が挿入されるので、「助けなくちゃ……!」と気分が盛り上がります。

 そんな感じでプレイしていると、最初の歴史改変イベントが発生。レイニーとマルコが殺され、その運命を変えるべく、ストックは“白示録”を使って歴史を変えることになります。この白示録を使って時を越えていくシステムこそ、本作の魅力の1つ。

 時を超えるだけではなく“正伝”と呼ばれる歴史と“異伝”と呼ばれるもう1つの歴史の2つの時間軸を移動して、お互いの歴史で取った行動がお互いに影響し合う。本作ならではの歴史改変が楽しめます。

 なお、本作ではイベントで選択肢を間違えると“パラレルエンド”が発生。いわゆるバッドエンドなのですが、カワイイ双子が失敗した原因をダメ出ししてくれるのでイヤな気持ちにはなりません。

 時間移動は、セーブポイントから“ヒストリア”と呼ばれる特別な場所に行くことでいつでも可能ですし、世界の情勢を理解するためにも、あえてダメな選択肢を選んでパラレルエンドを見るのも楽しいですよ。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲白示録に載った歴史の転換点となるポイントに戻り、サブイベントをこなしたり、歴史を変えるための行動を起こしたりと、時を越えて行動を起こすことで物語が変わる。これが『ラジアントヒストリア』の魅力です。
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲どちらの選択肢を選んでも歴史が進まない……。そんな時は、もう片方の歴史で原因を取り除くための手がかりを得ることになります。正伝で詰まったら異伝へ、異伝で詰まったら正伝へ、過去と未来、2つの世界を行ったり来たりして……混乱するけど楽しい!

 ちなみに、歴史を変えるというシステム上、遊んだことがない人は「何度も同じイベントを見ることになるのでは……?」と思ってしまうかもしれません。そこはご安心を。

 一度見たイベントはスキップできますし、早送りもついています。一度見たイベントはどんどんスキップして、快適に時間を飛びまわりましょう。

 また、本作では“パラレルエンドを見た後に戻る分岐点”がDS版より近くなりました。本当に細かい改良点なのですが、ありがたい変更点です。

 DS版の時は、わりと前の分岐に戻されたので、パラレルエンドを見るのが少しめんどくさかったんですよ。これくらい戻りやすいなら、全然気にせずにアレな選択肢でアリステルを滅ぼせます。うん、その歴史はやり直せる。

 それはともかく、他にも本作には“時を越えて解決するサブクエスト”が大量に用意されています。すぐに解決できることは少ないのですが、見つけたらとりあえず受けておくといいでしょう。

 正伝では手に入らない情報を異伝で聞いたり、未来で手に入れたアイテムを過去に持って行ったりと、時をかける作品ならではの解決方法を見つけてニヤっとできますよ。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲クエストを受けられる人物は、頭にマークがついているのでひと目でわかります。これもDS版にはなかった改良点ですね。さりげない部分ですが、遊びやすさが向上しています。

 ちなみに、本作では正伝と異伝に加え、新たに“亜伝”シナリオも追加されました。これは、“ストックが体験してきた歴史から分岐”する正伝&異伝とは異なり、まったく違う可能性世界でクエストを受けるというシナリオ。詳しくは後述します。

初心者からDS版経験者まで楽しめるグリッドバトル

 シナリオ面で高評価を得ている本作ですが、アトラスのRPGらしくバトルも戦略的でアツいです。

 本作はシンボルエンカウント方式になっているのですが、フィールドにいる敵を“スマッシュ”でバシっと斬ると、気絶して先制攻撃が発生することがあります。

 1回で気絶するので何回も殴る必要はなく、難易度最低の“FRIENDLY”なら接触するだけで敵が気絶!

 しかも、スマッシュが“ハイパースマッシュ”に変化し、敵を斬ると戦闘画面に行かずに一撃で倒せて経験値やお金が手に入ります。フレンドリーすぎる……製品版が出たら誘惑に負けそう。

 ただし、一度難易度を最低にしてしまうと固定されて途中で変更できなくなるため、手ごたえのある戦闘を求める人にはオススメしません。

 RPGのバトルが苦手という人や、物語だけを楽しみたい人向きですね。ちなみに、難易度としては“NORMAL”がDS版と同じくらいだと感じました。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲“ハイパースマッシュ”で斬ると、アクションゲームを遊んでいるような感覚でちょっと楽しいです。レベルもゴリゴリ上がっていくので気持ちイイ!

 さて、フィールドでの話はこれくらいにして、戦闘そのものについて話していきましょう。本作では、敵味方ともに素早い順に行動するターン制のコマンドバトルになっています。

 特徴的なのが3×3のグリッドに敵が配置されていること。敵を吹き飛ばすスキルを使うと、同じマスに複数の敵を移動させることができます。同じマスにいる敵はまとめてダメージを与えられるので、1カ所にまとめてせん滅するのがポイントです。

 “チェンジ”コマンドを使うと敵や味方と行動順を入れ替えられるので、これを利用して敵をひとまとめにし、連続で攻撃してトドメを刺すのが主な戦い方になります。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲スキルを使って敵を1マスにまとめ、仲間の連続コンボでトドメ。これが本作におけるバトルの流れ。とにかく、吹き飛ばしてまとめるのが基本です。

 もちろん、ゲームが進むと吹き飛ばせない敵がいたり、状態異常がやたらと強かったりと、カンタンには倒せなくなってくるのもアトラスらしさ。難易度“NORMAL”以上なら、ヌルすぎず難しすぎない良好なバトルが楽しめます。

 基本的な部分がしっかり作られているバトルですが、本作では、ここに“サポートスキル”という要素が追加されました。これは、戦闘に参加していない仲間たちがバトルに飛び入り参加して攻撃や補助スキルを使ってくれるという新システム。

 DS版では強いキャラばかり戦闘に参加させていることが多かったのですが、サポートスキルのおかげで控えのキャラが戦場に出てくるようになり、仲間全員と協力して戦っている感じが増しました。

 ただし、序盤はサポートアタックのダメージが低く、あまり恩恵を感じられないかもしれません。サポートスキルが本領を発揮するのは、後述するエクストラダンジョンで“秘伝書”を入手し、新たなスキルを覚えてからでしょう。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲戦闘に参加していないキャラクターも、序盤から“サポートアタック”でバンバン戦ってくれます。序盤はダメージが低いけど、参加してくれるとちょっとうれしくなるんですよ。

 バトルを遊んでみて思ったのですが、本当に遊んでいるイメージがDS版の時と、いい意味で変わらないのに驚きました。イメージは変わらないものの、DS版を取り出して両方遊び比べてみると、ちゃんと快適に改良されています。

 下画面に地図が表示されてフィールドのつながりがわかりやすくなっていたり、スキルで吹き飛ばす矢印方向がわかりやすくなっていたりと、UIの改良もバッチリ。

 本作ではフィールドでタルを運んで爆破したり、“サイレンス”で姿を消したりと、さまざまな“フィールドアクション”を使って進む場面があるのですが、これらも自然にやりやすくなっています。

 タルがヌルヌル動かせる! サイレンス(うるさい)の足音がドカドカ言わない! 本当にさりげない部分ですが、こうした改良点が積み重なっており、気がついてしまったが最後、もうDS版には戻れなくなりそう。職人技です。

新シナリオ“亜伝”とエクストラダンジョンが気になりまくり!

 『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』としての最大の目玉。それは、なんといっても新シナリオの“亜伝”でしょう。

 これは、新キャラクターのネメシアと一緒に“デュナミス号”で可能世界の歴史を飛び回り、“大陸の砂漠化を止めるための手掛かり”を探すというシナリオです。おおう、そうきたか……そりゃ、追加シナリオするなら、そこにいくわ。

 という感じでDS版プレイヤーとしては、気になって仕方ないシナリオなのです。亜伝はストックが経験してきた歴史から分岐する“正伝”や“異伝”と性質が異なり、まったく違うパラレルワールドが舞台となるため、既存のプレイヤーでも予測がつきません。

 っていうか、まだ全然わからない! 正伝の3章分に当たるところまでプレイしたのですが、まだまだ導入といったところ。本当に予想外のイベントが次々と出てくるので、先が気になって仕方ありません!

 ちなみに、亜伝やネメシアの登場自体は、本編の話を壊さない形で挿入されています。

 本作から初めて遊ぶ人でも気にせず楽しめますが、同タイミングの正伝に比べて少し難しめでボスが強かったり、砂漠化を止めるというシナリオに踏み込んでいる性質上、先に1周したほうが楽しめそうです。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲本編のイベントに変更が加えられているのではなく、イベントとイベントの合間に違和感なくネメシアと出会うイベントが追加されています。こういう追加の仕方は、さすがアトラス。

 なお、亜伝は他のシナリオとは異なり、進行方法が少々特殊。デュナミス号でネメシアからクエストを受ける形で進行していきます。

 目的を達成するとデュナミス号に戻されるので、その世界の町などを探索することはできません。というよりも、クエストごとに異なるパラレルワールドに飛ぶ形ですね。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲うわー、ノア様だ! まさか、ノア様に会えるなんて、ノアだけはガチ……じゃなくて、序盤からDS版プレイヤーほど驚けるクエストが用意されています。

 そして、もうひとつ。本作にはエクストラダンジョンとして“時の牢獄”が追加されています。時の牢獄!? と驚いた人は、中々の『ラジアントヒストリア』マニアでしょう。

 自分も、すぐに最深部まで突っ張りしたい気持ちになってますが、エクストラダンジョンだけあってひと筋縄ではいかなそうです。

 なにせ、アイテムが使えません。傷薬をがぶ飲みできない! 普通のダンジョンとは戦略が変わってくるのは間違いないですし、入口にセーブポイントがないのもイヤらしい……。

 気合を入れて攻略しないと大変そうです。なお、ここで敵を倒すと専用の通貨“モメント”を落とします。

 モメントがあると、入口にいる男が特別なアイテムを販売してくれますが、ここに先ほどあげたサポートスキルの“秘伝書”が売っているのです。コレは早めに手に入れたいところ。

 モメントは時の牢獄から出ると0になってしまうので、購入するならずっとダンジョンに潜らないといけないわけですが……これは、モメント稼ぎで物語がなかなか先に進まなくなる人もいそう。

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲時の牢獄では、便利な武具や秘伝書が手に入ります。“サポートスキル”で仲間を活躍させたいなら、モメントを稼いで秘伝書をそろえておくといいかも。 
『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』
▲うおおおおお、早くレベルを上げてこっちのほうにも行ってみたい! 最初に行けるほうは白の回廊と呼ばれるダンジョンですが、まずはこっちの攻略をしないと無理そうですね……。

 こんな感じで、現在3章まで遊んでいるところですが、やっぱり『ラジアントヒストリア』は最高ですね!

 2つ(今回は亜伝含めて3つ)の時間軸を行き来して、意外なところでフラグを立てて、次はどうなるのかワクワクするこの感覚。

 今回のレポートではあえてシナリオ的なことには触れませんでしたが、本当によくできたシナリオなので自分で体験してもらいたいです。

 時間移動をテーマにした作品の中でも整合性や伏線がしっかりしているので、同系統の作品が好きなら絶対楽しめると思います。

 DS版を遊んだ人はもちろんこの楽しさがわかっていると思いますし、これから遊ぶ人たちにはDS版よりも確実に遊びやすくなっていて、素直にオススメできるタイトルになっていると思いました。ぜひ、遊んでみてください!

『ラジアントヒストリア パーフェクトクロノロジー』

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