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2017年7月15日(土)

【ディバインゲート零:前日譚】カズシ編・第一章“魔影蝕の中で”~笑みと消失

文:電撃オンライン

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントから配信中のiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』。2017年夏開始予定として期待が高まる新章、『ディバインゲート零』のキャラクターストーリーを追っていく連載企画をお届けします。

 今回お届けするのは、カズシ編・第一章“魔影蝕の中で”。“魔影蝕(まえいしょく)”に包まれたライブ会場でバンドメンバーを探していたカズシでしたが、そこで不気味な笑みを浮かべる“何か”が!?

カズシ編・第一章“魔影蝕の中で”

テキスト:team yoree
イラスト:noraico

 魔影蝕。それは、2つの世界を統合しようとする力である“蝕”を魔力界側が起こしたもの。魔影蝕に飲み込まれると、そのエリアからは人々が“消失”してしまう。

 魔力界は理力界を侵攻するために蝕を起こす力を得、今、理力界の人々を次々と消失させていた――。


 ライブ会場の区画が魔影蝕に飲み込まれていた。カズシの周辺に大量のノイズが溢れている。

「これは……?」

 何が起きているのかわからない中、ステージの設備が破壊されていく音が聞こえてくる。

 ふと気づくと先ほどまで傍にいたはずのバンドメンバーの姿が見えない。

「セリ……! みんな……!! 返事をしてくれ!!」

 視界がはっきりとしない。風景が歪んでいてノイズだらけだ。観客たちの様子も見えず、悲鳴をあげながら逃げ回っているのが音で聞こえてくるだけだった。

『ディバインゲート零』

 悲壮な声が響き渡る中、カズシは仲間を探しに駆けていく。

「いったい何が起きているんだ……」

 時折落下してくる照明やスピーカーを避けながらカズシは会場を走り回った。

「カズシ!」

 周りの状況が見えない中、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

「セリ!?」

 声がした方を振り返ると、近くにセリが怪我を負って倒れていた。

「大丈夫か、セリ!」

「ああ。足をやられたが……」

「すぐ病院に……!」

 と言ったものの、この状況から逃れる方法がわからない。相変わらず視界はノイズがかって歪んでいる。セリの姿もはっきりと見えない。

「セリ……これって何なんだ?」

「分からない……」

「他のメンバーは?」

 セリが力なく首を振る。

「それも……。気づいたら誰もいなかった……」

「くそっ……。とにかくここを離れよう」

 カズシはセリに肩を貸し、溢れる悲鳴の中を進んで行った。途中、何か金属音のようなものが暴れている音が聞こえてきた。不気味な笑い声もする。

 ふとカズシは音の方に目がいった。すると、見たことのない“何か”と目があった。

「えっ」

 カズシの目に“何か”がにやりと笑ったのが見えた。その瞬間、セリが前のめりになって倒れてくる。

「セリ……!?」

 瞬時の出来事にカズシの意識はついていけなかった。フラッシュライトのように見えた残像では、先ほど目があった何かがこちらに来たかと思うと、セリに向かって襲い掛かってきていた。

「セリ!!」

「無事……か……カズシ……」

 セリが安心したようにフッと笑う。カズシは咄嗟にセリに手を伸ばした。

 しかし、カズシの手が届くより前にセリが目の前から消え去った。

「!!」

 消えた――!?

 目を見開くと、次にカズシに見えてきたのは何者かが自分に向かってくる光景だった。


 気が付くと、荒れ果てた会場にカズシは一人倒れていた。残っているのは、大量の瓦礫だけだ。

 ぼーっとした意識でカズシは起き上がった。

「ここは……」

 身体に痛みが走るのを我慢して立ちあがる。ノイズはなくなっており、視界がはっきりしている。溢れる瓦礫の中、カズシは叫んだ。

「セリ……! みんな!」

 誰の姿もない。誰からの返事もない。どんなに探してもメンバーはおろか、観客も見つからなかった。

「なんだよこれ……。何が起きたって言うんだよ!!」

 カズシはたった一人、その場に立ち尽くした。

→カズシ編・第一章“転機”を読む

カズシ編・第一章

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