2017年7月22日(土)

【ディバインゲート零:前日譚】カズシ編・第一章“転機”~謎の訪問者

文:電撃ゲームアプリ

 ガンホー・オンライン・エンターテイメントから配信中のiOS/Android用アプリ『ディバインゲート』。2017年夏開始予定として期待が高まる新章、『ディバインゲート零』のキャラクターストーリーを追っていく連載企画をお届けします。

 今回お届けするのは、カズシ編・第一章“転機”。大切な仲間を失って打ちひしがれていたところ、カズシの元に謎のメイドと銀髪の少女が現れて……。

カズシ編・第一章“転機”

テキスト:team yoree
イラスト:noraico

 カズシが大消失を経験した日、魔影蝕は世界中で起きていた。人口の3割もの人々が魔影蝕に飲み込まれて消失し、理力界にとって大打撃であった。

 カズシが巻き込まれたシブヤで発生した魔影蝕は、国内でも最大級の被害を出したものだった。


 あれから一年近くが経とうとしていた。

 仲間を失ったカズシは、途方にくれた日々を送っていた。学校にも行かず、何をするわけでもなく、ただただ過ぎていく時間に身をゆだね、ギターを弾くことはおろか、音楽に関わるものには一切触れなくなっていた。

 そんなある日――。

 カズシはふと、部屋の隅に置いていたギターを手に取った。そのまま何かに導かれるように歩いて行く。気が付くと、イデアのメンバーがいつも通っていた練習スタジオに着いていた。

 誰もいないスタジオでギターを弾きはじめるカズシ。音が静かに壁に吸い込まれていく。それはどこまでも冷たく、孤独な音色だった。

 しばらくするとカズシは手を止めた。

「何も感じない……。やっぱり、あいつらと一緒じゃなきゃダメだ……」

 メンバーのことを思い出すカズシ。涙は出てこない。

「セリ……。みんな……。すまない。俺に力がなかったせいで……助けることができなくて……」

 ピックを強く握りしめるカズシ。涙は枯れても、悲しみや悔しさはなくなっていない。今でもカズシの心にはあの日のことが心の傷となって強く刻み込まれている。

「こいつも……あいつらがいないとこで弾いても意味がない……」

 ぐっと息を一つ吸うと、カズシは立ちあがった。決意の目でギターを見る。

「じゃあな……」

 そう言ってカズシはギターを壁に打ち付けようとネックを掴んで振り上げた。

『ディバインゲート零』

 しかし――。

「待って!!」

「……っ!?」

 突然スタジオの扉が開き、カズシが驚いて振り返ると、メイドの格好をしたきれいな女性が立っていた。

「そのギター、まだ手放す時ではありません」

「そうなの! いつか絶対後悔する!」

「えっ? もう一人いる……? どこから……?」

「失礼なの! ここにいるよ!」

「……!?」

 カズシが女性の後ろを見ると、小さな女の子も立っていた。きれいな銀髪を二つに結っている。

「子ども……?」

 不思議そうに女の子を見るカズシ。

「子どもじゃないの!」

 そう言って女の子はむうっと口をとがらせながら女性より前に歩み出、カズシと対峙した。

「なんなんだ? 俺に何か用なのか……?」

 ギターを下ろして、怪訝に二人を見るカズシ。女の子は両腕を腰にあてると、カズシの目を真っすぐ見て笑いかけた。

「その通り! あたしの名前はルーニ。あなたに仲間になってもらいたいの!」

「は……? 仲間……?」

→カズシ編・第一章“それぞれの想い”を読む

カズシ編・第一章

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