2017年7月27日(木)
あの名作の発売から、5年、10年、20年……。そんな名作への感謝を込めた電撃オンライン独自のお祝い企画として、“周年連載”を展開中です。
第60回でお祝いするのは、2007年7月27日にスクウェア・エニックスから発売されたDS用ソフト『すばらしきこのせかい』。海外のプレイヤーを含めて、今なおファンから根強い人気を誇るアクションRPGです。
今年で発売10周年となる本作。その魅力を振り返っていこうと思います。
『すばらしきこのせかい』の大きな特徴は、実在する東京・渋谷をゲームフィールドとして再現していること。建物の名前などは一部変えられているものの、街の風景や地理関係はしっかり再現されています。渋谷に詳しい人なら、探索すればするほどニヤリとするはずです。
残念ながら僕は本作をプレイした当時(も今も)“渋谷系男子”ではなかったので、渋谷の街並みに関する知識はほとんどありませんでした。でも、そんな僕でもスクランブル交差点とハチ公前広場は知っており、ゲーム内で同じ場所を見た時は再現度に感動したものです。
ちなみに後日、渋谷によく行く家族に本作の画面を見せてみたところ、「あ、ここ渋谷の○○じゃん! なになに、このゲーム何なの!?」と興味を示していたことが印象に残っています。
『すばらしきこのせかい』の物語は、主人公の桜庭音操(サクラバ ネク)という少年を中心に進んでいきます。ある日、渋谷の雑踏で目覚めたネクは、“ミッションをクリアしないと存在を消される”という不条理なゲームに参加させられることに。ワケも分からぬまま行動するネクは、自分と同じようなゲーム参加者たちと出会い、“死神”が課す過酷なミッションに挑んでいきます。
▲主人公のネク。 |
ネクは、あまり他人と関わりを持とうとしない少年。身につけているヘッドフォンは、自分と周りの世界を切り離すためという、思春期の男の子らしさがよく表れたキャラです(笑)。プレイ当時、僕は学生だったということもあって、ネクに感情移入していきました。
そんなネクの他人を避ける心が、“死神”のゲームの中で少しずつ変わっていく様子は見どころです。ゲームをエンディングまで見届けた時、本作のキャッチコピーである“世界を変えたければ、自ら境界を越えろ”の意味をしかと感じると思います。
▲イベントシーンがコミック調で描かれる点にも注目! |
キャラの魅力は主人公サイドだけでなく、敵サイドにもあります。特に“死神”たちのなかでも幹部級の南師猩(ミナミモト ショウ)は、その個性的な言動で多くのプレイヤーの心をワシ掴みにしました。
▲幹部死神のミナミモト。 |
本作の最大の特徴は、“ストライドクロスバトル”と呼ばれる戦闘システムにあります。これは、下画面で戦うネクと、上画面で戦うパートナーキャラで攻撃・操作方法が異なるというシステム。下画面ではタッチペンを使い、上画面では十字ボタン、またはA、B、X、Yボタンを使って2画面同時に攻撃を行っていきます。
▲下画面のネクはサイキックバッジ、上画面のパートナーキャラはカードを使って攻撃します。 |
2画面同時に動かすとあって、アクションの難易度は正直なところ高め。しかし、操作に慣れた時に味わえる爽快感は、このゲームでしか体験できないものです。なお、上画面のバトルはオートとマニュアルを切り替えられるので、アクションが苦手な人は下画面のバトルのみに専念することもできます。それでクリアも十分できます。
ネクを操る下画面のバトルでは、タッチペンによるタッチ・スライド操作の他、マイクに向かって息を吹きかけたり声を出したりといった操作も使います。ストライドクロスバトルはまさにDSの機能をフル活用したシステムであり、『すばらしきこのせかい』でもっとも評価されるべきポイントだと個人的に感じています。
DSの作品は数あれど、ここまでハードの性能を生かしたゲームは少ないのではないでしょうか。
『すばらしきこのせかい』の魅力を語るうえで、BGMも欠かせません。OPテーマであり、バトルBGMでもある『Twister』をはじめ、聴く者のテンションを上げる曲がたくさんあります。本作のコンポーザーは、のちに『ディシディアFF』や『FF零式』で作曲を手掛ける石元丈晴さんが担当しており、『すばらしきこのせかい』は石元さんの代表作と言えるかと。
また、EDテーマソングの『Lullaby For You』(歌:JYONGRI)も素晴らしい曲です。エンディングの雰囲気とあわさり、当時は聴いているうちに目から涙が……。
10年もの月日が経ちましたが、『すばらしきこのせかい』は今遊んでも楽しめる作品だと断言できます。iOS/Android版となる『すばらしきこのせかい -Solo Remix-』も配信されているので、まだプレイしたことがない人は、ぜひ渋谷の世界に飛び込んでみてください!
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