『プリステ』ライバル3校のキャストがEp3までを振り返る、特別座談会完全版!
舞台『プリンス・オブ・ストライド THE LIVE STAGE』(Ep1~Ep4の4部作)で華々しい活躍を魅せ、Ep3までを盛り上げ去っていったライバル3校のメンバー。そんな3校を代表して6名のキャスト陣に、稽古場での思い出や舞台本番にかけた想いなどを語ってもらいました。
座談会開催日は、Ep3(2017年6月17日~7月2日まで上演)本番直前となる6月某日。今回は、電撃Girl’sStyle8月号(7月10日発売)に掲載しきれなかった賑やかトークの完全版を、グラビア写真とともにお届けです!!
参加者は、三橋高校(Ep1、Ep3出演)から鴨田慶役・鐘ヶ江洸さん、鴨田侑役・影山達也さん、一条館高校(Ep2、Ep3出演)から姫宮悠李役・村田恒さん、堂園志貴役・谷佳樹さん、市場高校(Ep2出演)から戸丸寛助役・田口涼さん、碓氷光役・新井雄也さん。そして、座談会インタビュアーとして、プロデューサーの辻圭介 [トライフルエンターテインメント]さんにも参加していただきました。
ライバル3校のメンバーがお互いの印象をわちゃわちゃトーク!
辻圭介(以下、辻):まずは「稽古場でのお互いのチームの印象は?」っていう質問がきてるんだけど。どう?
鐘ヶ江洸(以下、鐘ヶ江):まず一条館はあれだよね。キャラと役者のギャップがすごい。
影山達也(以下、影山):そうだね、あるね。
鐘ヶ江:もう谷くんのことマジで嫌な人なのかなって思ってたら(笑)、最高に優しくて。本当にびっくりした。
影山:谷くんはリレーショナー同士でお芝居で絡むシーンもあるんだけど、堂園のときは本当に嫌な人。でも普段こうやって話してる時はとっても優しい。
谷佳樹(以下、谷):仲いいよね、なんやかんや。
影山:そうですね。お芝居に関する話もさせてもらって。いい関係を築けています。
鐘ヶ江:で、村ちゃんはかわいい。
村田恒(以下、村田):ふっ(笑)。
鐘ヶ江:前に蒼木陣(藤原尊役)と別のお仕事一緒にしてたんだよね? それで陣から、「村ちゃんおススメだから」って言われてて。
村田:そんなん言ってたんだ!
辻:「一条館」っていうチームに対してのイメージはどう? 三橋と比べると。
鐘ヶ江:三橋ってEp1では一条館的な立場だったじゃないですか、“敵”っていう要素が強かったというか。でも敵としてのカラーは一条館とはまったく違いますよね。三橋は勝ちたいというベクトルが狂って間違った方向に向いちゃってたけど、一条館としては別に狂ってるというよりは、それぞれが目指す目的がたまたま組み合わさって今の形になってるというだけだと思うし。“勝利主義”といった部分は僕的にも「なるほどな」と考えさせられる部分ではありましたしね。でも僕が、「一条館ってどんなチーム?」って聞かれたときに谷さんのことが一番に出てきた理由っていうのはやっぱり、堂園のイメージが強すぎたっていうのがあって(笑)。
村田:稽古中、どんどん堂園に近づいてますよ。「おい、駒ども」って普通にプライベートで言ってきますから。
谷:役作り、役作り(笑)。
鐘ヶ江:でも三橋も一条館もチームとしては本当に仲いいよね。すぐ固まるもんチームごとに。
谷:僕はキャラ的にどっちかっていうと一条館のみんなとも一緒に固まらなくてもいいと思ってたんだけどね。でもカンパニー全体で見てみると、チームの仲のよさってそれぞれ色が違う。三橋はムードメーカーみたいな人がたくさんいるんだけど、努力家の鴨田慶を中心にちゃんとまとまっていて、それが役ともリンクしてる。一条館は3バカが楽しそうにワイワイしてて、その中に恒がいる。で、花京院は花京院で、なんか黙々と作業してる職人気質で。
辻:本当にキャラクターまんまだよね。
谷:方南は一番、それぞれが好きな方向を向いてるチームかな? 西星はね「俺たちアイドルです!」みたいな感じ。気取ってやがる!!(笑)
鐘ヶ江:はい、いま谷さんの素が出ましたね。これが彼の素なんですよ! みなさん!!
辻:(笑)。西星はアイドルだよね。みんなとはちょっと違う時間軸を生きているというか。パルクールの練習の時もさ、周りのことをのんびり見てるんで、「練習やらないの?」って言ったら、「僕らさっきまでダンス練習してたんで(キリッ)」みたいな感じで言われて。
影山:ギャラスタだし、しょうがない(笑)。
辻:そう。「そっか、西星さんだからいっか」ってこっちが納得してしまう(笑)。
新井雄也(以下、新井):確かに写真撮る時も、「あのー……いいですか?」。
村田:「すいません、一緒に写真撮ってもらっても大丈夫、で、すか……?」みたいな感じになる。
鐘ヶ江:わかるわー(笑)。
辻:輪から外れてるとは言わないけど、西星は西星の時間を生きてる感じはする。市場の2人は、ほかのチームのことどう見てたの? 一条館とは共演したけど。
新井:あ、僕ですね(笑)。あの、一条館ってすごいみんなバラバラなところがあるじゃないですか。でも姫宮っていうカリスマのために団結してるメンバーがいて。で、そんな奴らの尻を叩く堂園がいて……そういう意味で一条館ステキなチームだな、って思います。
一同:……。ん? 終わり!?(笑)
辻:稽古場でのキャストの雰囲気とかどうだったの? って話なんだけど。
田口涼(以下、田口):碓氷先輩、しっかりしてください(笑)。
新井:あーーー! すみません(笑)。僕、谷さんは……。
谷:(笑)。みんな俺の話ばっかりじゃねえかよ!
新井:僕、谷さん最初怖かった。芝居がダメだったら、殴られるんじゃないか、ぐらいに思ってて(笑)。
谷:俺、見た目怖いのかな……たぐっちゃん、どう思う?
田口:いや、怖いよ(笑)。
新井:でも稽古中は気さくに話しかけてくださって、すごいギャップがあった。
村田:谷さんは、本当に気さくだよー。
鐘ヶ江:包容力あるよね。
谷:やめて、やめて! 次の話題行こう!
鐘ヶ江:あれ、ここ「谷さんについて語るコーナー」じゃなかったっけ?
辻:田口くんは、一条館についてどう?
田口:一条館はキャストのみんなもそうだったんだけど、脚本とか演出のみなさんのこだわりもすごいなって思ってました。「このチームは普通に描いちゃダメだ」っていうこだわりっていうのかな。それがいい風に転んで、Ep2の評価に繋がった。Ep2って、正直なところEp3への前振りじゃないですか。でもその布石をちゃんと置いてくることができたのはきっと、キャストの意識と周りの意識が高かったから。
辻:どうしたってEp3で、あの一条館に勝ちたいってみんな思うよね。
田口:そうなんですよね。一条館を見たら、4部作という続きでやってる意味があるなって思うんですよ。
新井:一条館に対しては市場の中にもライバル意識がすごいありましたよね。
田口:そうだね。あとは、Ep2の俺らのテーマの1つとして、「市場がEp2にしか出ない意味を、どれだけ残せるか」というのもありましたね。いまはもう、公式のツイートをリツイートするぐらいしかできることはないですけど(笑)。
新井:そうですね(笑)。
村田:初通しのときかな? 市場が本当によくって、シンプルに寛助の泣きシーンのところで、俺普通に泣いてしまって。涼さんに言うか言うまいかめっちゃ迷ったんだけど、終わってから「あの、めっちゃよかったっす」って言いに行ったの覚えてる(笑)。
辻:方南とかのイメージはどう?
田口:方南は、龍次郎(八神陸役・伊崎龍次郎さん)とか陣と面識があって、すごいかわいい弟みたいな感じがあったんですね。でも彼らって、弟気質で“あるべき”じゃないですか。ある種バカで、熱血。彼らが、方南がいいからこそ、『プリステ』がよくなる。だから、あのキャスティングは本当に素晴らしいと思います、辻さん。
鐘ヶ江:プロデューサーを褒めるって、すげー!
辻:あの2人のキャスティングに関しては、最初から迷いはなかったね。
――堂園に関しても迷いはなかったですか?
田口:(笑)。みんな堂園に関して気になっちゃう!
辻:谷くんは、門脇(歩)か、堂園でっていう形でオーディションを受けに来てもらってたんですよ。
一同:(爆笑)。
村田:谷さんの門脇!? 見たい! 見たい!
鐘ヶ江:それはぜひ見たい!!
辻:メガネキャラ2択っていうね。
谷:じつは(笑)。
辻:僕は谷くんのお芝居とか、本人のキャラクター性を見て、ぜひカンパニーに入ってもらいたいって思ってたんだけど、谷くんが門脇に合う合わないとかじゃなくて、門脇と穂積を若い子にしたかったんですよ。そこは、カンパニーの伸びしろにしたいと思ってて。経験がなくて若くても、Ep1から出て、伸びていく。その成長が僕は見たいなと思ってて。だから谷くんには堂園役をお願いしました。やっぱり堂園ってちょっと難しいキャラクターなんだよね。だからそこはある程度キャリアのある人にお願いするべきだと。
村田:よかった、谷さん堂園でー!
谷:やっぱり堂園って、作品の中でもキーになってくるっていうか……唯一のヒールだしね。
辻:堂園に関しては、悪いやつを徹底してもらわないといけない。「あれ? もしかしてちょっといいやつかも?」って思われたらいけないんだよね。死ぬほど嫌なやつであってほしい、堂園は。
村田:一切いいとこないですもんね。
田口:それがすごいっすよ。
鐘ヶ江:一切回収しない(笑)。Ep3の最後の終わり方もすごいもんね。あれ、俺すごい好き。
谷:なかなかにパンチ効いてるよね。「これで終わりなんだ堂園!?」っていう。多分笑えるよ。
田口:楽しみすぎる(笑)。
村田:一条館エンディングですら、まー更生しない。
一同:(爆笑)。
谷:もうね、ちっちゃい。彼はちっちゃい本当にね。
鐘ヶ江:でもなんか惹かれる、ああいうキャラって。
辻:あれだけ圧倒的に違う輝きを放つキャラって、印象には抜群に残るんだよね。
鐘ヶ江:堂園ってキャストの中でも「やってみたいランキング」上位だったような。
辻:陸と歩と並んで、1位だったね。
村田:役者はこういう役やりたいんだよ。
新井:僕はオーディションの時、堂園と碓氷役を受けてたんです。
田口:(笑)。ふふふ、碓氷でよかったよ! 碓氷で!
新井:今となってはもう、僕だったら堂園の重圧を受け止めきれていなかっただろうなって。
谷:いや、新井くんは碓氷でよかったんだよ。
村田:本当! いや、よかったよ碓氷!
田口:大人気。
村田:お客さんは「あれ、碓氷ってめっちゃおもしろくない?」って思ったよね。
辻:碓氷は原作のイメージ、だいぶ変わったと思う。
鐘ヶ江:真似したくなるキャラナンバー1だと思う。
新井:(笑)。確かに、そういう感じですよね。
谷:なんかやってくれるっていう期待感がすごかったもん。
辻:三橋メンバーは市場についてどう見てた?
鐘ヶ江:僕はただのファンになりましたね。
影山:うんそうだね。Ep2本当によかったよね。
鐘ヶ江:市場のみなさんとは芝居で共演することはなかったですけれど、パルクール練習では何度かお会いしてて。その時に新井さんの身体能力の高さとかは知ってました。1人能力がズバ抜けてた。で、田口さんは「めっちゃイケメンがいる」みたいな。
田口:いや、ありがとうございます(笑)。
鐘ヶ江:でも田口さんの、本番で試合に負けた瞬間のあのシーンは、ちょっと悔しいですけどうるっときましたね。客席で観ると「敵情視察」みたいになるものなんだけど、それでも泣けるってすごい。もうファンです(笑)。
村田:俺らも本番中何回も北千住の客席から市場vs方南戦を観て、メイクしてんのに泣きそうになっちゃって……。
辻:田邊謙(獅子原馨役)はボロッボロ泣いてたけどね(笑)。
村田:そして案の定怒られるっていう。
新井:あと、本番が終わったら谷さんが毎日市場のことを、「今日もめっちゃいいよ!」って褒めてくれてた。
田口:そう(笑)。谷さんが異常に褒めてくれるんだよね。
村田:本当に一条館は市場のことが大っ好きで、「みんなで見ようよ」って約束したわけじゃないのに、絶対にモニター前に集まってみんなで観てた。
谷:なんか悔しいんすよね、いい芝居をしてるから。やっぱり役者だから、ほかの人の芝居観て、簡単に「いい芝居してる」って認めたくないじゃないですか。でも、それをも凌駕する芝居を見せつけられたら、もう単純に「いい」って言うしかなくなっちゃうんですよね。あと褒めたくなる。嬉しくなってきちゃう。
村田:Ep2のラストの試合が市場vs方南で、俺ら本当にあの試合何度も観てたんですよ。本番の客席でもモニターでも。それがEp3では、作品の良し悪しを決める最後の試合俺らじゃないですか(一条館vs方南)。あのすごい市場vs方南戦を超えなくちゃいけないっていうプレッシャーはすごいですよね。だから、今実際にはEp3の稽古期間中ですけど、いろんな試行錯誤をしている最中です。ねー、谷さん?
鐘ヶ江:なんかいま、三橋が前菜みたいな言い方しなかった?
谷:いや、正直そう思ってるよね! これガチな話、それぞれのチームがそれぞれのことを“喰ってやる”って思ってるじゃん? 自分たちが出ている試合が一番いいって思ってやってるから。作品を崩すわけでもなく、悪目立ちするわけでもなく、その試合の中で、そのシーンの中で、一番輝いてやろうって思ってるんだよね。Ep3でも「俺らがメインでしょ」って気持ちでやってる。
鐘ヶ江:それはね、Ep1からあった。みんな仲よかったけど、どこかしらにそういう「俺たちが一番だ」みたいな気持ちは持ってた。
辻:それはないとダメだよね。これだけ同世代のキャストが集まってやってるんだから。
鐘ヶ江:Ep3は、俺ら1幕で終わらせるつもりだもんね。
影山:うん、そうね。「気持ちよく終わったよね! お疲れ様でした!」っていう感じでね。
村田:でもそう思うことって絶対いい。Ep2で俺たちはクズであればクズであるほど、最後の市場vs方南戦がよく見えると思ってやってたし。
谷:「あのレースシーンがよかったのは、俺たちがよかったからだよね~」っていう(笑)。
村田:尖ってるヤツら同士が、それぞれを磨き合ってすげーいい作品になってる。
谷:でも「プリステ」の脚本って、“そう”なるように作られてるんだよね。Ep3で言ったら、三橋vs方南戦がいいほど、2幕のスタートのエッジが効いてくる。
辻:そうなんだよ。三橋戦が終わって「よかった~」ってみんなほっこりしてる時に、急に。
谷:堂園、すっごいひとこと目で入ってくるから(笑)。
田口:それは楽しみ。
谷:「昼ドラ始まるの!?」みたいな。もうさ、慶のファンとかは最悪かもね。あそこまで言われてね。
村田:堂園さん、ファンに刺されるんじゃないかな。
田口:ふふふ(笑)。Ep2の時から、そういうのは言われてたよね。
Ep1からEp3を通して印象的だったシーンは?
辻:では次の質問。「自分が演じていて、印象的だったシーンはどこですか?」。
鐘ヶ江:とにかくEp1での慶が尖りまくってたので、「あの慶がEp3でこうなるか!?」っていうところが、僕的には一番の勝負どころだといまは思っています。できればEp3でも尖ったところを出したかったんですけど、結構いい人路線がすごい。
一同:(笑)。
鐘ヶ江:もともと悪い子じゃないんでね、慶ちゃんは。真っ直ぐすぎてひねくれ曲がっただけで。
影山:うん、すれ違いがね、起きちゃった。
――Ep1では慶の舌打ちが大好きでした。
影山:舌打ち好き!?(笑)
鐘ヶ江:結構ね、僕その票をいただくことが多いんです。
谷:へー! そうなんだ。
鐘ヶ江:もうずーっと侑が何か言うたびに「チッ」って舌打ちしてたんですけど、僕あれマイクに入れるためにちょっと横向きながら「チッ」ってやってたんです、がんばって。Ep3ではね、いい人路線なんで今のところなさそう(笑)。
村田:あれ? 堂園の舌打ちは?
谷:いっぱいしてるよ。もう、してるどころの騒ぎじゃないよ(笑)。
辻:じゃあ侑はどう? 印象的なシーン。
影山:Ep1では慶とわだかまりがあって、チームでも孤立してて、っていうのが強いんですけど、3ではそんなチームがぎゅっと1つにまとまって方南と対峙する時とか、「あ、これがチームなんだ」っていうことをすごい感じることができました。初めて「チームっていいな」って思えることができたところが印象的かな。
辻:やっぱ「3、2、1、GO!!」とか指示を出す時の気持ちってEp1の時とは違うもの?
影山:いや、全然違いますね。「あ、俺ちゃんとやってるわ!」みたいな(笑)。Ep1の時は、ほとんどがブラフだったので、相手を引っかけることしか考えてなかった。だからEp3の時は、気持ちの乗り方が全然違う。やっぱり「GO!!」が気持ちいいですよ。
鐘ヶ江:奈々ちゃん騙すときは悪い顔してたもんねー!
影山:そうね、本当にね(笑)。
辻:でもリレーショナーって、本当にランナーのタイミング見て指示を出してるじゃない。あれさ、難しいよね?
田口:そうですね。
影山:みんなの調子、コンディションをちゃんと把握して、「今日はちょっと足重そうだな」って思ったらその人に合わせてあげるとかしてますね。
鐘ヶ江:三橋ってタッチの時に止まらないことが多いんですよ。「パァン!(タッチ)、間、セリフ」とかじゃなくて、タッチもらいながらそのまま走り抜けていくことが多いから。
影山:だからタイミングがすごいシビアなので、その辺もよく見つつリレーションするようにしてますね。
田口:これは本当に、みんな違うんですよ。「あれ? いつもより速いぞ」っていうことが多々あるんで。
谷:Ep2の市場と一条館戦とかもすごいシビアだったよね。セリフを入れる間とかも、その日のコンディションによってタイミングも変わってくるし。そこはもう、リレーショナーである俺たちが合わせるしかない。
辻:そうか。ランナーたちの速かったり遅かったりっていうその日その日の帳尻を、君らが合わせるしかないんだ。
田口:そうです。あいつらは気持ちよく走ってるだけなんで(笑)。
影山:僕らは背中を押してあげるっていう感じですかね。
新井:Ep2の獅子原と鷲見のリレーションのところとかもすごくなかったですか?
谷:ルールとしてさ自分でも言ってるけど、テイクオーバーゾーンでの急停止は失格だから。それをいかに、そう見えないように見せてあげるか、嘘にならないようにするか、っていうところはすごく意識していました。
辻:じゃあ次、姫。印象的なところ。
村田:姫は、2であそこまで勝ちにこだわっている人間が、3で負けた後どういう風になっちゃうのか、っていうところ。あんなに「勝たなきゃ意味ねえ」って言ってた人間が、負けをしっかり認められるっていう、あの男らしさ。慶ちゃんって、奈々ちゃんと出会って180度変わったというギャップがカッコいい人間じゃないですか。姫の場合って、元々こういう男らしい部分を持っていた人間だけど、それをいままで見せなかった。でも負けたことで、相手を認めるという懐の深さを見せてくれた、そのギャップでカッコいい人。
一方で、堂園は負けても決してそれを認められない人。僕は、そういう1つ1つの人間の違いっていうものがきちんと演じられたら、そこがきちんと伝えられたらいいなと思っています。なので、負けたあとの姫と堂園の違い、あのシーンが一番印象的ですね。
辻:泣き崩れるわけでもなく、怒り狂うわけでもなかったよね姫は。じゃあ次は、谷くん。
谷:本当にありがたいことに、一条館っていうヒール的な立場にいるチームの中でも特にゲスなキャラクターである堂園という役をやらせていただきました。堂園ってしゃべればしゃべるほどシーンが締まるし、空気を一番かき混ぜられるキャラなんですよね。僕がいかにお客さんに「嫌なやつ」だと思ってもらえるかが、作品の良し悪しに関わってくると思っていて。だから、印象に残っているシーンって正直全部なんです。
Ep3で一条館は大トリとなる方南戦をやらせていただいたわけですけれども、あそこは正直リレーショナー対決だなと思っていて。奈々と堂園がいかに違う考えを持っている人間であるか、それを色濃く見せることができれば方南の強さっていうものが明確に分かる。やっぱり実力だけでは、ストライドは勝てない。それが際立ってこそ、Ep3は成功するんじゃないかな、と思っています。
だから今から、砂のお城が徐々に崩れていくような、堂園の脆さが徐々に露呈していくような細かい芝居を盛り込んで行こうと思っていますので、いまこれを読んでいる人はEp3のDVDなどが出たら、ぜひそのあたりを見ていただけたらなと思います。
辻:では次、新井くん。
新井:僕が一番好きなシーンはやっぱり、Ep2の市場戦のラスト。寛助がその想いのあまり泣き崩れていて、それを3年生たちが囲むっていうシーンですね。伊泉部長(伊泉忍)が寛助をぐっと抱きしめて「好きなだけ泣けばいい」っていうところがすごい好きで。で、碓氷としては、そこで殴られたりとかしてお笑い要素を入れるんですけど、最初僕、田口さんの演技がよすぎて呑まれちゃって、殴られにくいというか笑わせづらいというか、そういう雰囲気にしてしまっていて……。間瀬役の大島(崚)さんに「お前、殴りづらい」って言われたりしていました。
村田:そうか、しんみりしちゃうとそうなっちゃうのか。
新井:そうですね。だからいい意味でベクトルを変えて。でも碓氷って空気読めないキャラだけど、直感的にどうしたらいいのか、っていうのはわかるヤツだと思っています。
辻:あのシーンは、碓氷があえて、わざとそう振る舞ってるっていうのがわかる芝居にちゃんとなってたから、よかったよ。
――客席は泣き笑いになりましたよね。
辻:そう、あそこで笑いに変えることができるってすごいことだと思うよ。
田口:寛助的には本当に碓氷先輩には救われていて。泣いてるだけでは終われない、っていう雰囲気にしてくれたのは碓氷先輩なんですよね。
新井:そこで間瀬がツッコんで、相良がまとめてくれて、ゴリ先輩で落とす。それが市場の……。
田口:常勝パターンね。
新井:(笑)。あれがよかったですよね。
田口:僕が一番印象に残っているのは、Ep2の市場エンディングですね。もう僕、泣きすぎて記憶がないぐらいなんですけど……。あんなに役と通じ合えて、まったく雑念なく芝居ができたっていうのが、人生で初めての経験で。たぶん市場って2しか出ないから、得してる部分の方が多かったな、って思うんですよ。みんなが盛り上げてくれるし、敵校全部が、三橋も花京院も、全員が味方なんじゃないかと思うぐらい、『プリステ』関係者全員が市場が輝ける場所を作ってくれた。本当に貴重な経験をさせてもらえてるんだな、っていうのを市場エンディングですごく感じました。
新井:あれは、二度とできないですよね。
田口:できない。市場エンディングのセリフ1個も覚えてないもん。
一同:(爆笑)。
田口:置いてきちゃった!
谷:でもおもしろいのが、みんながみんな輝きたいって、俺が俺がって目立とうとすると、普通芝居って崩れるんだよね。でも『プリステ』では、みんなが輝けば輝くほど成功するというか、ゴールに近付く。それが『プリステ』のすごいところ。あとランナーと役者が本当にリンクして走ってる。で、お客さんの想いを舞台上で役者が表現してる。「がんばれー!」とか「行けー!」って応援するところとか、みんな本気で言ってるじゃん? 喉潰しそうになる程。
辻:アンカーに対するみんなの本気度すごいもんね。
鐘ヶ江:あの声援って走ってると本当にデカくて。僕ら舞台裏とかも本気で走ってるから、あれで支えられてる部分っていうのはある。僕特にアンカーしかやらないので。その応援とか、お客さんのペンライトとか、劇場がリアルなレース会場になるのって、たぶんこの作品だけなんじゃないかな。
辻:やっぱでも、各校が本当に仲よくなれてるのが、すごくいいなと思っていて。本当にみんなで1個のレースを作り上げようとか、次に繋げようと、100%純粋に思えて走れてるっていうのが、稽古見てても本番見てても、スッゲー気持ちいいし、「なんて爽やかで、いいやつらの集まりなんだろう」って思う。
村田:こんなに人数いるのに、「アイツ嫌いなんだよね」とかっていうのがまったくないよね。
辻:まったく揉めごともないしさ、裏で悪口言ったりとかもないしさ。めちゃくちゃ仲いいじゃん?
新井:逆にダメだったら、ダメって言い合うのがいいのかもしれないですね。
村田:溜めずに言い合ってるのが、いいのか。
辻:でもさ、言えるにしても「余計なお世話だ」みたいなのもないよね。それは他校に対して、みんな口出さないっていうのが要因なのかも。それぞれ学校内でなんとかしようって、任せてる部分があるからさ。他校が余計な口出ししないから、トラブルにもならないのかもね。それでよくなって戻ってきた時に、「俺らも負けてられない!」ってちゃんとなる。そういうライバル心っていうのがうまく働いてるから、その相乗効果がすごいいい。
谷:あとは奇跡的なキャスティング。
辻:ほんとにねー。これだけキャストがいても、それぞれ仲よくなれる組み合わせになってるっていうのはすごいな、と。そして各校エースにフィジカルモンスターがいる。ちゃんとエースポジションに身体能力がやばいやつがいるのがまた、すごいよね。陣とかもそうだけどさ。
村田:洸くんもやばい。
辻:校條(拳太朗)とかもやばいよね。
谷:ターザンの子孫ですよね。自然見たらアイツ本能で勝手に山登りとかし始めるよ。
辻:だって蒼木陣と走ってて、あの蒼木陣がちょっと霞むからね。陣が引き立て役になっちゃうぐらい。まあ、もちろんそういう風に見えるように「お前は全力を出すな」って演出つけてるんだけどね。
鐘ヶ江:でも結局それも、陣がそのあとのレースで華開くための布石になってるっていうのが、すごいですよね。
谷:あそこのシーンいいよね。「俺の前を走るな!」ってところ。Ep3は俺、藤原尊回でもあると思ってて。
田口:お! それは熱い。
谷:感情を表に出さないやつが、無茶苦茶露わにするから。三橋と方南戦のそこは、ぐっとくる。
辻:そういう意味で、僕が印象的なシーンを言うのもアレですけど、Ep3では最後の一条館戦、原作ではアンカーが穂積なんですけど、舞台では尊にしたんですよ。そこは原作さんとも相談して、変えさせていただいた点。そこにはいろいろな理由があるんですけど、その理由の1つにこの身体能力の高い蒼木陣と恒を全開の状態で戦わせてクライマックスを迎えたかった、というのがあります。
もちろん原作ファンのみなさんには、最後穂積に走ってもらいたかったという想いがあると思いますが、でもきっと観てもらえたみなさんには、陣と恒の熱いバトルが「よかった」と言ってもらえるようなものに仕上がっていると思います。
村田:アンカーが尊でよかったと、きっと言ってもらえるようなものを作り上げてみせます。
辻:2人はさ、パルクール練習の時からずっとお互いをライバル視してたんだよね。
村田:そうですね。
辻:だから、絶対最後は2人で戦いたいと思っているだろうな、っていうのはわかってたし、僕らもそれを見たかった。恒はすっごい負けず嫌いなんですよ。陣が習得した技は、恒もすぐやろうとするしね。
村田:(笑)。でもそんな風に2人で戦える舞台を用意していただいて、本当にありがたいです。
新井:じゃあ、Ep2で2人が戦えなかったっていうのは、いいお預け状態だったんですね。
辻:そうだね、あの時戦えなかったぶんをもう1回やってもらうっていう。
村田:「また、あんたかよ」ってね。
『プリステ』という作品に出演してそれぞれがいま思うこと
辻:それでは最後に、みんなからひとことずつメッセージをもらおうかな。雑誌が発売されるのがEp3が終わったあとなので、メッセージ難しいと思うんだけど。
一同:これムッズ!!! 難しいっすよ! 終わった後のこと、まったく想像がつかない!!
辻:いや、正直に言っちゃっていいと思うよ。その想像がつかないっていう気持ちも。じゃあ、三橋高校から。
鐘ヶ江:三橋高校はEp1から積み上げてきたものをEp3で全部置いていくつもりです。Ep1で僕らは僕らの思いを方南に預けて、そんな方南もEp2では市場や平牧仁くん(初代:諏訪怜治役)の想いを背負ってEp3にやってきた。今僕らは、そんなたくさんの想いをもう一度引き継いで、Ep4に向かう奴らに「行って来い!」という想いをぶつけるべく戦っています。
僕、Ep3ですげー好きなセリフがあるんですけど、それはじつは戦ってるシーンじゃなくて、「お前らだから託したんだ」ってセリフなんですね。その言葉って別に舞台上でスポットに当たりながらいうセリフとかじゃなくて、客席から言ってる言葉なんですけど、そのセリフにすべてを持っていけるようにお芝居を作っていくつもりです。そこですべての想いを託して、気持ちよく去ろうかなと思います。これを読んでいるみなさんはEp3を観た後だと思うので、ぜひみなさんにはEp4にも来ていただいて、Ep5、6とこの作品が続いていけばいいな、と思います!
影山:僕Ep2を観た時に、「明日は我が身」っていうセリフがあったと思うんですけど、そのセリフがすごい響いたんですよね。僕ら三橋は3でそのパスをちゃんと引き継いで、3で出し切って、Ep4に出演するみなさんに想いを託して、そして4を見届けたいと思っています。で、その次に「エピソード三橋」があれば……。
辻:スピンオフ、三橋!?
鐘ヶ江:ええ、スケジュールは調整しますんで。
影山:ね(笑)。だからずっと続いていく作品になるように、まずはEp3をがんばりたいです。
村田:一条館高校は、堂園以外、クールに負けを認めて3を終え、そしてEp4で堂園が更生してくれればいいなと思っています(笑)。
鐘ヶ江:1人だけEp4まで持ち越しなんだ(笑)。
谷:はい(笑)! ということでね、俺は真面目な話をしようかな。プロデューサーの前でこう言うのも失礼な話なんですけど、正直、ここまで自分が惚れ込む作品になるとは思ってなかったです。むしろ不安から始まったんですね。Ep1を観た時は、「ここにどういったスパイスを加えることができるのだろうか?」と思っていました。きっと常に不安と戦う作品になるんだろうな、とEp2の稽古が始まる前はそう思っていたんですね。
でも気付いたら心から愛することができる作品になっていて。こんなに楽屋で本番を見る作品っていままで経験したことがなくって、本当にいい作品とめぐり合わせていただいたなっていう気持ちでいっぱいです。みんなが言っているように3だけではなく、出られるんだったら4も出たいと思うし、再演があるんだったらまた出させていただきたい。
作品の顔合わせの時に、「伝説の舞台を作りましょう」ってプロデューサーと演出家の方が言っていたことを、今は本当に現実にできるんじゃないかな、って思っています。Ep4が終わった時に、みなさんの「再演してほしい」という声で再演ができたらありがたいし、そう言ったたくさんの声で辻さんが困ってくれたら僕らは嬉しいな。役者が愛しているからこそ、みなさんに愛される作品に成長しているんじゃないかな、と思うので、今後とも『プリンス・オブ・ストライド』をどうぞよろしくお願いします。
新井:僕ら市場はEp2だけでしたけれども、たくさんのありがたい評価をいただくことができました。Ep3に出演するみなさんが、そんな2のプレッシャーを抱えるなかで3を作っているということを今日知ることもできました。Ep3&4を客席で観られることが、今はとにかく楽しみです。そして個人的には、Ep3のオープニングがどうなっているのかがすごい楽しみ! 4校でもかなり大変だったオープニングが5校になると一体どうなってしまうのか。今後はお客さんとして、僕もみなさんと楽しみたいと思います。
田口:最後のEp4は、卒業した学校のすべての想いが詰まったものになると思います。僕たち市場高校の面々は、今から情報を欠かさずリツイートしていくので、みなさんはその情報を逃さないで、一緒に楽しんでいきましょうね。ありがとうございました!
■鴨田慶役:鐘ヶ江洸
劇団ひまわり所属。超体感ステージ「キャプテン翼」(岬太郎役)などの出演が控える。
■鴨田侑役:影山達也
ドルチェスター所属。ハイパープロジェクション演劇「ハイキュー!!」“進化の夏”(影山飛雄役)などでも活躍が期待される。
■姫宮悠李役:村田恒
ルビーパレード所属。舞台「下天の華 夢灯り」(七介役)など数々の舞台で注目を集める若手俳優。
■堂園志貴役:谷佳樹
株式会社ウェーブマスター所属。2.5 次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ(長月夜役)など、舞台を中心に活躍中。
■戸丸寛助役:田口涼
B-PROJECT on STAGE「OVER the WAVE!」では、増長和南役として活躍中。
■碓氷光役:新井雄也
サンミュージックプロダクション所属。「テイルズ オブ ザ ステージ -最後の預言(ラストスコア)-」(アッシュ役)などの出演が控える。
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