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2018年5月12日(土)

【BitSummit】ゲームをユーザーに知ってもらうには!? デベロッパー&パブリッシャートークセッション

文:電撃PlayStation

 日本最大級のインディーゲームの祭典“BitSummit Volume 6”。その会場で“ゲームの届け方”をテーマにしたトークセッションが行われた。

『BitSummit Volume 6』

 登壇したのは電撃PS編集長西岡美道、“架け橋ゲームズ”と“UNTIES”で活躍中の伊藤雅哉氏、ゲーム開発集団“プチデポット”代表の川勝徹氏、“トイディア”代表取締役の松田崇志氏、“Skelton Crew Studio”を設立した村上雅彦氏の5名。

『BitSummit Volume 6』

 西岡編集長以外の4人は、電撃PS誌上でコラム“Indie Star”でもおなじみの面々だ。そんな彼らから、ユーザーに自分のゲームを知ってもらうためになにをしてきたかや、なにをするべきかを聞くことができた。

『BitSummit Volume 6』

テーマ:ゲームの届け方

西岡編集長(以下、敬称略):みなさんパブリッシャーやデベロッパーとして活動しているなか、できあがったゲームをユーザーさんに認知させるのにどういった方法を取っていますか?

川勝徹氏(以下、敬称略):自分たちは『メゾン・ド・魔王』をまずPCでリリースしました。これは、ゲーム市場としての規模が当時コンシューマよりも小さかったからですね。ユーザーさんもタイトル数も多いコンシューマにいきなり出ていくのではなく、まずは競争相手の少ない場で実績を作ろうという考えでした。

 また『メゾン・ド・魔王』を作ったころは、まだインディーゲームが日本にそこまで入ってきていないころでした。そんなタイミングでコンシューマにタイトルをリリースすれば話題になると思い、コネクションや癒着をフルに使ってリリースまでの下準備を整えましたね(笑)。

松田崇志氏(以下、敬称略):自分たちを含めて、インディーゲームのデベロッパーはどうやって広告を打ち出していくのか悩んでいるかと思います。その悩みの一つがどれだけ広告にお金をかけるかということでしょう。

 我々は広告にかけるお金がなかったので、まずユーザーに対してなるべく近い距離で情報を発信していくことを心掛けました。社長である自分が開発の途中経過を随時発信して、発売を延期するたびに今なにがどの程度進んでいるかという開発情報もユーザーさんにお届けしていきましたね。

 あと、東京ゲームショウに出展して訪れてくれたユーザーさんに自分たちが作った『ドラゴンファングZ』のどこに価値があるかというプレゼンも行いました。そしてもう1つがメディアの力に積極的に頼っていくことです。

 電撃PSを含めたゲームメディアは、BitSummitの会場に出展されているゲームの情報を発信したいんですよ。だから、メディアに対して自分たちが作ったゲームのどこに価値があり、革新的であるかを説いていくことが重要だと思います。そこでメディアの人たちに商品価値があると思ってもらえれば、本のページであったり動画の時間といったものを割いてくれます。

西岡:どのメディアもインディーゲームはしがらみのようなものもなく、推したいゲームを推せますね。『ドラゴンファングZ』が各メディアで記事になっているのはいいゲームだからだと思います。

松田:このセッションを見ている人は、全員電撃PSの編集長の顔と名前がわかっています。ですから、デベロッパーのみなさんは会場内で西岡さんを捕まえて自分のゲームをプレゼンしてみてください(笑)。そういったアクションができるかが、ユーザーへの認知度に悩んでいるデベロッパーさんと我々の違いだと思います。

村上雅彦氏(以下、敬称略):我々のSkeleton Crew Studioは、開発を始めてまだ2年目という若い会社です。ですから、作ったゲームをどうユーザーに認知させるかがさっぱりわからないところからのスタートでしたね。

 ほかのみなさんを見てきて自分たちも作ったゲームをユーザーさんに認知してもらおうとしましたが、これがまあ難しい。松田さんと同じく、我々も広告にお金を掛けられないなか行ったのが東京ゲームショウではなく、海外の小さなインディーゲームのイベントに出展する方法でした。

 大きな日本のイベントでは1つのインディーパブリッシャーとして埋もれがちな我々ですが、海外であれば“海を越えて日本からやってきた”というだけでひとつ注目度が高まるんですよ。我々の会社は海外スタッフが多いこともあり、そうやって外堀を埋めるように海外で認知度を高めて改めて日本に向かうという方法を取りました。

伊藤雅哉氏(以下、敬称略):私はパブリッシャーなので、みなさんとは逆に一緒にリリースするゲームを探す立場になります。雑誌を読んでイベントに行ってSNSを見て、といろいろな手段で一緒にリリースするゲームを探していますね。そんなときに目に留まるのは、ビジュアルや動画、そして優れた技術です。

 ですから、短い動画でもいいのでなにかしらデベロッパーさんの強みを見せつけられるものがSNSなどに用意されていると我々も見つけやすくなります。また、自分たちがパブリッシングするにあたって初期費用はいただいていません。むしろ出資してサポートするくらいの気持ちでゲームを探しているので、デベロッパーのみなさんは積極的にアピールしてください。

『BitSummit Volume 6』

西岡:もうひとつ質問なのですが、ゲームをユーザーさんに届けるにあたって重要なポイントはなんだと思いますか?

伊藤:いくらよいゲームを作っても、その情報を身内だけに発信しているようではユーザーさんの目には留まりません。作ったゲームは世界に届くかもしれないということを意識して、ゲームの情報を幅広い人に知ってもらう手段を考えてほしいですね。自分たちの目に留まれば、少なくとも電撃PSでは発信できるので。

川勝:『人狼ゲーム』がこれだけ流行っているのに、1人で遊べる『人狼ゲーム』がない。自分たちのような人とコミュニケーションを取るのが苦手な人だっているのに! という思いから生まれたのが我々が開発している『グノーシア』です。同じようにみなさんもどうしてこんなゲームがないのか!! という怒りを持ってゲーム制作に取り組んでほしいですね。

松田:はっきり言って昔はインディーデベロッパーがゲームメディアやハードメーカーと接点を持つというのは難しいことでした。ですが、昔は天上人のような存在だったメディアやメーカーも我々に目が届くところまで降りてきています。だからこそ、自分たちの作るゲームの新規性など拘るべきところを拘り切って作るのが大事ですね。

村上:メディアもパブリッシャーもおもしろいゲームを探しています。ですから、広告展開やパブリッシングに関して気になることわからないことがあればまず聞いてみるのがよいかと思います。

西岡:本日はありがとうございました。

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