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2018年8月2日(木)

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』レビュー。PS Vita版からの変更点や新規イベントなどに注目!

文:まさん

 スクウェア・エニックスが、2018年8月2日に発売する予定のPS4/Nintendo Switch/iOS/Android/PC(Steam)用RPG『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』。PS Vita版から本作にほれ込んでいる担当ライター・まさんがプレイレポートをお届けします。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』

 本作はPS Vita用RPG『サガ スカーレット グレイス』に新規シナリオやパートボイス、BGM、2名の新キャラクターなど、さまざまな新要素を追加したタイトル。

 コンシューマーハードからスマートフォンに至るまで、発売と同時に多数のプラットフォームで展開されるという新たな試みがなされています。

 今回のレビュー記事では、PS4版のサンプルROMをプレイして判明した追加要素を中心に解説しつつ、本作ならではの魅力をお届けしていきます。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』

 ついに『サガ スカーレット グレイス緋色の野望』が発売! というわけで、皆さんこんにちはお久しぶり。『サガ』シリーズ担当ライターのまさんです。

 PS Vita版の時点で推しに推しまくっていた『サガ スカーレット グレイス』。どれくらい推しているかというと、電撃PlayStationで“万人にオススメの赤マークはついてないけど100点”という割と前代未聞な薦(すす)め方をしたくらい好きな作品なんですよ。

 電撃オンラインでも過去に“150時間座談会”などをしていますが、とにかく魅力的な『サガ スカーレット グレイス(以下、前作をVita版、最新作を緋色の野望と省略)』。おもしろいのは当然なのですが、どこがどうおもしろいのか。PS Vita版と比べてどう変わったのか、何がおもしろいのか。

 遊んでみてわかったことなどをお伝えしていきたいと思います。なお、極力ネタバレは避けますが、一部イベントの展開などに触れることをご了承ください。

 と言っても、このゲーム。Vita版以上に“わけがわからないイベント”が増えているので、各媒体のレビューを読んだくらいでは全貌がつかめないので安心してください。1周目のプレイはチュートリアルの入口みたいなゲームです。すごい。さすが『サガ』。

ロード時間もゲームテンポも爆速! これが理想の『サガスカ』だ!

 『緋色の野望』は、本当におもしろいRPGです。ただし、普通のRPGではありません。PS Vita版のプレイレポートでも、これまでにないプレイスタイルと自由度の高い冒険の魅力に触れましたが、とにかく新しい!

 何よりも、ダンジョンの探索などがいっさいなく、すべてのイベントがワールドマップ上で発生する“フリーワールドシステム”。

 RPGと言えばダンジョン探索というお約束をぶっちぎり、アナログなボードゲームをコンピュータRPGとして再現したような意欲的なシステムです。不思議な感覚ですし、最初は間違いなく驚くと思いますが決して物足りなさは感じません。

 同じ主人公を選んでも、冒険の仕方によって発生するイベントや仲間にできるキャラが変わってくる自由度の高さが魅力的で、何周しても思った通りにはいかない驚きに満ちたシステムなんですよ。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲どこで戦闘を行うか、イベントを発生させるか、自分でアイコンを選んで“選択”しないと進みません。フリーシナリオではなく、フリーワールドの理由がわかるシステムです。

 しかも、今回の『緋色の野望』ではイベントが大幅に増量。Vita版と同様にタリア編を選んでプレイを開始したのですが、見たことのないイベントがボンボン発生します。

 フリーバトルしかなかった場所にもイベントが追加されており、プレイ済みの人……というか、自分もあらためてフィールドを歩くワクワク感に胸を躍らせているところです。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲『サガ』らしい謎だらけのイベントが満載。どうでもいい会話から強敵とのバトルまで、さまざまなイベントが待っています。

 新しいエリアマップに行くたびに、今度はどんな珍妙極まるイベントが起きるのかと期待すると、予想以上に変なイベントが起きる。これこそが『緋色の野望』の醍醐味ですよ。会話イベントとバトルに特化したつくりで、河津節あふれるテキストの魅力をたっぷり堪能できる。最高の『サガ』なのです。

 また、ゲームのテンポ自体がVita版より早くなっているのも見どころ。フィールドの移動速度が上がっており、バトルを選択しても一瞬で戦闘が始まります。戦闘準備を飛ばしていきなりバトルに入ることも可能になり、Vita版をプレイしていると戦闘準備の曲を聞く暇もないのに寂しさを覚えるくらいです。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲戦闘準備をすっ飛ばしてバトルを始められる新要素が大きい! ロード時間も早いのでテンポ感が前と全然違います。

 このレビューの前にスマートフォン版もプレイしているのですが、スマートフォン版でも十分早いが、PS4版のロード時間は爆速。動きもスムーズでなめらかです。

 スマートフォン版は機種によっては、ごくまれに読み込みが一瞬遅くなるときもあったのですが、PS4版ではいっさいそういった現象はありませんでした。

 もちろん、そこまで大きな違いはない(本当に一瞬)ですが、ハイスペックの機種がある人はPC版やスマホ版。安定した性能を求める人はPS4版やNintendo Switch版がオススメかもしれません。

 なお、戦闘中の読み込みも早く、Vita版で物議をかもした“Ready Go”も一瞬です。Ready Goを知らない人に説明すると、これはコマンド選択後から実際に戦闘が始まるまでの演出。ピン(ready)→ピン(Ready)→ピン(Ready)→シューン(GO)という音とともに、Ready Goの表示が挟まって戦闘が始まります。

 この演出。意外なことにかなり重要なんですよ。なぜなら、Readyの数が多いほど技をひらめいたり、連撃が発動したりといった特殊なことが起こる目安になるから。Vita版ではReadyが長いとドキドキしたものです。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲Readyが存在しなくてもいいくらい読み込みが早いです。早すぎて物足りなくなるほどなので、Vita版になれていると逆に戸惑うかもしれません。

 演出としてアリだったので早いほうがうれしいのはもちろんなのですが、早すぎてReadyの回数増加がわかりにくいのは残念。

 いや、いいことなんですけど、なんか複雑な気分なの! バトルに関してはのちほど詳しく語りますが、全体的なテンポの速さもあってVita版とはプレイ感そのものが違っています。

 全体的にVita版をプレイした人ほど、かゆいところに手が行き届いているとわかる改良がされていて、本当に理想的な進化なんですよ。

 とくに、UIの改善は重要度大。気に入った編成と陣形をプリセットで登録できたり、鍛冶屋での装備の比較がしやすくなっていたりと、細かい改善ですが遊びやすくなっています。

 戦闘準備のタブも切り替えやすくなっているので、武器の使いまわしも楽に。リワード報酬の詳細も戦闘中に見られるようになっており、スキがありません。もちろん、初めて遊ぶ人にもオススメしやすくなっています。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲PS4版では大画面向けのUIがデフォルトになっています。Vita版とはまったく操作がちがいますが、慣れてくるとVita版に戻れなくなるくらい便利。携帯機向けUIも文字が大きくて読みやすい!

新規イベント盛りだくさん! アンケートには素直に答えましょう

 UIの改善だけではありません。『緋色の野望』はVita版にキャラクターボイス、新規イベント、新キャラクター、新たな敵、技、術などなど……ありとあらゆるところに新規要素を加えた作品になっています。というわけで、戦闘の説明をする前に、少し新規要素について解説していきましょう。

 新規要素自体は移植に際してよく追加されるものと思われるでしょうが、そこは『サガ』。なんというか、いわゆる“追加要素”とは違います。大々的に押し出してもいいくらいの追加要素なのに、とてもさりげなく違和感を抱かせないように追加されているのです。

 まずは、ボイス。『緋色の野望』からはキャラクターボイスが追加されており、一部のイベントや戦闘中などにしゃべってくれるようになりました。

 ゲーム開始時に主人公のバトルボイスをデフォルトとアレンジで選べるなど、よくわからないこだわりも好き。だいたい、アレンジのほうが力強いしゃべり方をするのが笑えます。

 ボイスそのものの使い方もうまく、とくに戦闘中のボイスは必聴。こればかりは実際に聞かないと伝わらないので、プレイして聞いていただきたいのですが、いろいろなシチュエーションでしゃべってくれるので燃えるし、笑えます。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲いっさいセリフがなかった十二星神も、戦闘中にボイス付きでしゃべってくれるようになりました。ヴァッハ神様への愛(謎パラメータ)がアップ!

 味方がやられて連撃が発動すると「かたきはとるわ!」と叫んでくれたり、連撃でトドメを刺すとわかりやすくしゃべってくれたり、キラーズ(タリアの初期メンバー)のトマトおじさんは「中身が……出る!」と訳の分からない悲鳴をあげたり、ヘンテコなセリフばっかりしゃべるので戦闘の印象がガラッと変わりました。

 セ、セリフの河津節が効きすぎている……!

 初期メンバーほどヘンなことを言いますし、能力値がアップするたびに言うセリフもいちいちツボです。無事な状態で成長したときと、やられた状態で成長したときでセリフが違いますし、ボイスが個性的すぎるのでしっかり聞きながらプレイすることを推奨します。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲キャラクターの顔グラフィックが出ている状態でR3ボタンを押すと、紹介テキストを読み上げてくれる隠し要素も。

 ゲーム開始時に選べるものと言えば、もう1つ。主人公4人を選択する前に、ゲーム内アンケートが登場します。これはVita版をクリアしたかどうかを聞かれるもので、クリア済みの回答をしたキャラクターに関する特定のイベントが増えるというもの。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲アンケートに答える。もしくは2周目以降で、クリアした主人公のパートナーに関連したイベントが増えます。トロフィーもあるので、Vita版を遊んだ人は“クリア済み”にするのが吉。

 具体的に言うと各主人公のパートナーや初期メンバーが街やダンジョンに立つようになり、そこで話しかけることでパートナー関連のイベントが発生するようになります。

 メインストーリーとはあまり関係ないですが、タリア以外にはキラーズのメンバーがどう見えているのか。バルマンテがいないときのアーサーはどんな悪だくみをしているのか。

 各パートナーのキャラクターを掘り下げる内容になっているので、クリア済みの人は選んでおくといいでしょう。もっとも、主人公たちとの関係性を踏まえた内容なので、未クリアの人は正直に答えたほうが1周目を素直に楽しめると思います。

 というか、クリア済みにするとイベントが増えるのでプレイ時間が増えまくるんですよ……! 前作よりテンポがいいはずなのに、アンケートをすべてクリア済みにして遊んでみたら、最終的に前作の1周目よりもプレイ時間が増えちゃいました。

 もちろん、パートナー関連以外の新イベントはアンケートに答えなくても見られるのでご安心を。パートナー関連以外でも新イベントは多いので、ガッツリ楽しめると思います。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲意味がなかった場所やフリーバトルだったアイコンにも新規イベントが盛りだくさん。あの川の“クラゲ”にも有効活用できるイベントが……!

 新規イベントも、本当にさりげなく増えています。いかにも“新イベント”という感じではなく、単純に起きるイベントが大量に増えた形ですね。これまた具体的に説明していくと、1つは強敵とのバトル。フリーバトルだった場所に戦闘イベントが追加されており、各地で新たな強敵が出現するようになりました。

 もう1つは、フィールド上に新しいアイコン自体が増えている点。特定のアイテムを集めてくる新イベントや、かなり鍛えたパーティ以外は門前払いされてしまう“闘技場”など、前作を遊んだ人も見たことがないようなイベントが用意されています。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲鍛えたパーティで戦う“闘技場”。各地に強敵と戦えるバトルコンテンツが増えており、2周目以降のやり込み要素として目標にするのもアリです。

 ほかには、街の中で選べる選択肢が増えた点も見逃せません。“広場”では、吟遊詩人などから各地方の歴史を聞くことができます。

 イベントのヒントであったり、謎だらけだったイベント(例:カニ)に対する解釈であったりと、さまざまな情報が手に入りますし、世界観もよくわかって聞いてるだけで楽しいです。街に入ったら必ず立ち寄っておきましょう。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲いろいろなイベントが発生する広場。ごくまれに、各武器の達人が無償で仲間を鍛えてくれることもあります。能力値がタダで上がる美味しいイベントですよ。

 また、仲間を派遣して素材を入手する“斡旋所”や、いらない武器と素材を交換できる“下取り所”など、素材を集められる施設が増えているのもビックリ。鍛冶屋を使い続けると常連になって割引されたり、ゲーム的なメリットがありつつ、街の印象が深まるイベントが追加されています。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲下取り所に斡旋所と、素材の入手手段が増えたことで武器を鍛えやすくなりました。Vita版よりも鍛冶屋のランクを上げやすくなりました。

 そうそう、新キャラクターを忘れてはいけません。今回は、カメリアとサビットという2人のキャラクターが追加されているのですが、彼らとの関係も見どころ。サビットの態度は出会う主人公によって違いますし、1人の主人公を遊んだだけでは見えてこない部分があります。

 いや、全員遊んだから完全に背景が見えるかどうかは保証できませんが……。だって『サガ』だし(笑)。

 それはともかく、あまり詳細は言えないので公式に発表されている程度の話をすると、魔女狩り団のカメリアはタリアとの絡みが興味深かったり、ウルピナとタリアでサビットの態度が違ったりと……ええと、あとは周回してください! これ以上は言えません!!

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲サビットとタリアのイベントは、おそらくみんな笑うはず。画像は辛辣な物言いですが、こんな言い方をされるのにも理由があります。
『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲カメリアを仲間にするのには、結構苦労するかも……? どこで仲間にできるのかは、1周目だと気が付かないかもしれません。

 それから、ちょっとマニアックな話になりますが新技や新たな術に加え、既存のイベントやバトルのバランス。入手できる陣形などにも手直しが入っており、Vita版と同じような冒険はおそらくできないかと思われます。というか、マジカルシャワーが手に入らないの!

 なくなったわけではないのですが、持っている人が限られていて入手できないんですよマジカルシャワー。Vita版の最強戦術マジカルシャワー+招雷or毒霧は、もはや通用しません。いや、できなくはないのですが強さに調整が入って「最強!」というほどではなくなってますね。

 今回は武器の陣形が非常に充実していますし、槍でもプロテクト技が可能になっているなど、Vita版とは違う戦い方になる場合も多いでしょう。いろいろな戦術や陣形を試してみることをオススメしますね。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲ちょっと、クライサさん。あなた、マジカルシャワーをどこに置いてきたんですか。ありのままの姿を見せて仲間にしないルート選んじゃいますよ!

『緋色の野望』最大の魅力がバトル! カードゲームのように奥深い戦略性で一生遊べます!!

 そろそろバトルの魅力に移りましょう。『緋色の野望』最大の魅力であり、Vita版でも評価が高い要素がバトル。このゲームはバトルとフィールドのイベントに特化したゲームで、プレイ時間のほとんどがバトルと言ってもいいくらい振り切っていますが全然問題ありません。

 なぜなら、バトルの仕組みが非常に良くできているから。タイムラインに沿って行動するバトルというとオーソドックスにみえるかもしれませんが、かなり違います。デッキを組んで戦うデジタルカードゲームをイメージしてもらうほうがわかりやすいかもしれません。

 敵も味方もそれぞれのパーティ全体で限られたBPを共有しており、行動にBPを消費するのもカードゲーム的。初手から全員が行動できるような場面はほぼありません。もちろん、味方だけではなく敵も序盤は様子見タイム。

 あえて初手で行動せず、数ターンかかる術の詠唱をはじめるのか。1人でBPを消費して大技を出すのか。敵の攻撃に備えてカウンターを用意するのか。数ターン先の先を読んで戦うバトルに脳汁が止まらない!

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲毎ターン、どうやって戦うか考えに考える戦闘。ノーマル以上の敵に挑めば、毎回が死闘でザコ戦なんてものは存在しません。全部イベント戦みたいなゲームです。

 ここに“インタラプト技”と呼ばれるカウンターも絡んでくるので、さらに高度な読み合いが発生します。インタラプト技とは、特定の属性で攻撃した相手にカウンターで発動する技の種類。敵が斬属性で攻撃したときに斬属性に反応するインタラプト技を使えば、相手の攻撃にカウンターでダメージを与えることができます。

 敵が使ってくる場合は“???”と表示されるので、どの属性のインタラプト技なのかを想像しながら戦うのもポイント。インタラプト技にインタラプト技で返したり、まさにカードゲームのようなバトルが楽しめます。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲インタラプト技が成功すると気持ちよく有利に。逆に決められると一気にピンチに!

 それから『サガ』特有の“ひらめき”も忘れてはいけませんね。本作では戦闘中に技をひらめき、新しい技を使えるようになる“ひらめき”が搭載されています。

 しかし、ひらめきの瞬間は歴代シリーズと異なり、選んだ技を使ったあとに“ひらめいた技”を追加で使うんですよ。つまり、攻撃の手数が1つ増えるわけです。強敵相手にひらめいてトドメを刺せたり、危険な技をブロックできたり、運も絡んできますがメチャクチャ燃えますよ!

 運要素と言えば、おもしろいのが“恩寵”。これは、世界の神様である十二星神が戦闘中気まぐれに手助けをしてくれるというシステムです。本当に気まぐれなのですが、発動した恩寵は次の戦闘以降に発生しやすくなるので回復の恩寵などがくるとうれしいですね。

 Vita版では、こちらがジリ貧になると防御力を高めてくれる“イムホキエルの加護”が発動して「今更遅い!」となることもありましたが、今回のイムホキエル神は素早く発動してくれて意外と便利だったりします。逆に早く発動しすぎるので、短期決戦で倒すと恩寵を上書きしていくお茶目さも兼ね備えたような気がしなくもないですが……(笑)。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲今回は、まともなタイミングで発動するイムホキエル神! もう、みんなから恨まれることはない……かも?

 そして、一番大きな要素が“連撃”。本作では、タイムライン上にある敵や味方が倒されるとアイコンが消滅するのですが、消滅したあとに味方のアイコン同士がくっつくと“連撃”と呼ばれる連携攻撃が発動します。

 非常に強力な攻撃なのですが、敵同士のアイコンがくっついた場合、敵も連撃を使ってくるので要注意。どの敵から倒すか考えなければいけないのも本作のバトルの魅力です。

 攻撃によってタイムラインの順番も変わりますし、バンプ技という相手のアイコンの位置をずらす技もあって……ああ、こればかりは体験してもらうしかない!

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲倒す順番をいじって連撃を発動。どの順番で倒すのかを考えるのが楽しいのです。

 Vita版のころから魅力的だった戦闘ですが、今回は戦闘中に味方がしゃべってくれるので非常に賑やか。キャラクターも肩で息をしていたり、細かく動くようになったので視覚的にも印象が違います。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲新しいサブイベントにともなってバトルも増加。前作で慣れている人にも、なかなか手ごわいバトルが待っていますよ!
『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
▲戦闘終了後の術習得もわかりやすくなりました。覚えたい系統の杖を装備して、説明に従ってフラックスを吸収させていればガンガン覚えます。

 前作と同等の難易度は“標準”ですが、戦闘が苦手な人は“弱め”もアリ。“弱め”は、あくまでも『緋色の野望』基準なので、何も考えずにボタン連打では勝てません。

 敵の攻撃力などは下がっていますが、しっかり考えて戦わないとジリ貧で全滅は確実。だけど、そこがいいんですよ! 思考する楽しさを残しつつ、ジリ貧で勝てる魅力が保たれています。つまり、それだけ考えて戦うゲームなので、RPGが苦手なら迷わず“弱め”にしてください。

 このゲームは最後の1人さえ生き残ればいいですし、1人だけになっても逆転の目が残されている場合も多いです。

 慣れてくると“弱め”では物足りなくなってくるかもしれませんが、いつでも難易度を変えられるので安心。標準では物足りない『サガ』マニアは、1周目から“強め”でどうぞ。メイルシュトロームに泣いても後悔しないそこのアナタですよ!

 さて、もっともっと語りたいところではあるのですが、ネタバレしても仕方がないですし、周回要素も公式で公開されていますしね。野暮な話はやめましょう。

 というか、ぶっちゃけもう発売じゃないですか! レビューを読んでる場合じゃないですよ。遊んだほうが早いですって。実際に、自分でじっくり考えるゲーム性こそが最大の魅力なので、こればっかりは動画やレビューで済ませてはいけません。遊びましょう。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』

 あ、ただ、1つだけご注意を。前作もそうなのですが、このゲームは遊べば遊ぶほど魅力が出てくるスルメのようなゲームです。

 戦闘自体の魅力も、インタラプト技を身につけ始めた辺りからジワジワとわかってくるので、序盤を遊んで合わないと思っても、それだけで判断するのはもったいないですよ。

 世界の隅々までめぐり、じっくりと噛み締めるように遊んでみてください。メチャクチャオイシーですし、夏休みの時間を持っていかれてうれしい悲鳴をあげることになると思います。

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』

 というわけで、百聞は一見に如かず。最後に皆さんがこのゲームで最も見るであろう画面を張ってお別れしましょう。では、良い旅を!

『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』

(C)2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved. ILLUSTRATION: TOMOMI KOBAYASHI

データ

▼『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』
■メーカー:スクウェア・エニックス
■対応機種:PC
■ジャンル:RPG
■発売日:2018年8月2日
■価格:5,800円+税

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