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2018年8月14日(火)

『ルミネス リマスター』を電撃PS副編集長が語る!【電撃PSロングレビュー】

文:電撃PlayStation

 電撃PlayStationにて掲載中のロングレビューコーナー“レビューエクストラゴールド”。本コーナーは、そのタイトルをクリア、またはクリア相当までやり込んだプレイヤーが語る、愛のあるレビューが見どころとなっています。

 今回は、電撃PlayStation Vol.666にて掲載したレビューの転載をお届け。音と光のパズル『ルミネス リマスター』を電撃PS副編集長のおしょうが熱く語ります。

『ルミネス リマスター』

考えても考えなくてもいい、“感じる”んだ

 みなさんにとって“ゲーム”とはなんでしょう? ……と、いきなり大上段な質問から書き始めてしまいましたが、よくよく考えてみると、ゲームの“用途”って、じつは人によってそれなりの差があるんじゃないかと思うわけです。

 ある人にとって、ゲームは映画と同等かそれ以上のエンターテイメントであり、ある人にとっては気分転換のためのツールであり、ある人にとっては生きるうえでのヒントを授けてくれるものだったり。さらにはコミュニケーションツールとしての面に重きを置いている人、スポーツのようにひたすら高みを目指す人、はたまた単なるヒマつぶし用の人などなど……。

 “ゲームが好き”といっても、その内実は千差万別で、趣味趣向・文化的背景の違いだけでなく、その人それぞれの“用途”が、その人にとっての1本のゲームの価値を決めます。だからゲームのレビューは難しく、電撃PlayStationのようなメディアの人間としては、できるだけ多くの人の判断の一助となるよう考慮しながら、文章を練ることしかできません。

 ちなみに、これを書いている私自身にとってのゲームの“主な用途”は、「映画や小説などの他のエンターテイメントでは味わえない“インタラクティブな物語欲”を満たすこと」です。だから、自然とプレイするゲームはRPGやアドベンチャー、ドラマ性の強いアクションゲームなどが中心になってきます。

 でも、そんな自分の傾向から一見してはずれた作品でありながら、プレイして強く惹かれてしまうゲームというのも、間違いなく存在します。それはひょっとしたら、エンターテイメントとしてゲームのツボを、最も突いている作品であるのかもしれません。そして自分にとってその代表例といえるのが、本作(の初代となる)『ルミネス』でした。

『ルミネス リマスター』

 画面写真を見れば一目でわかるように、『ルミネス』はパズルゲームです。そして多くのパズルゲームは“攻略性”に重きを置いています。一見して解法の見えにくい問いに対し、素早く、的確に解法を見出して解き明かし、先に進んでいく。それこそがパズルの醍醐味といえるでしょう。ですが自分はそのストイック、または求道的ともいえるスタンスが少し苦手で、積極的にプレイをするジャンルではありませんでした。

 そんな自分が、なぜPSPと同時に発売された初代『ルミネス』を手に取ったかといえば、あの『Rez』を世に送り出した水口哲也氏の作品だからにほかなりません。シューティングゲームとしての動きに映像、サウンドなどをシンクロさせることで生まれた、音楽を奏でるかのような、そして豊かな物語性まで感じさせてくれるシューティング『Rez』。はたして予想どおり、そのコンセプトは『ルミネス』という別の作品でも花開きました。

 『ルミネス』の基本ルールは至ってシンプルで、2色で構成されたブロックを、同色のブロックが2×2の正方形以上になるように積み、それがタイムラインの通過時に消えていくというもの。これだけ説明すると、単なる落ちものパズルの系統の1つという感じですが、本作の真骨頂は『Rez』同様、操作と映像とBGMとSE(効果音)、そのすべてが融合した、プレイ感の圧倒的な気持ちよさにあります。

 Mondo Grossoの“SHININ’”や“Shake Ya Body”といった曲に合わせ、ブロックの移動や回転時に発生するSEで自由にリズムを刻みながらプレイする快感。その気持ちよさが思考性パズルでありながら意外にも精神をリラックスさせ、いつのまにか時が過ぎていく。腰を据えてガッツリゲームをプレイするタイプの自分であっても、ひとときの気分転換として機能してくれるゲーム……それが『ルミネス』です。その独自性と魅力は、その後本作のシリーズが数多く発売され、長くプレイヤーに愛されてきたことでも証明されているでしょう。

『ルミネス リマスター』

 そして1作目の発売から約13年の時が経ち、再び生まれ変わってPS4などの据置機に登場したのが、『ルミネス リマスター』です。携帯機だったPSPから、据置機であるPS4へ。それはどこでもプレイできる手軽さのかわりに、大画面での圧倒的な映像美&音による、より“深い”快感をプレイヤーに与えてくれます。

 じつは正直に語ると、ここまで述べておきながら、自分の『ルミネス』の腕前はかなりイマイチです。そんな自分でも、『ルミネス』をプレイしているときの快感は唯一無二。工夫してどんどん先のスキン(ステージ)へ進んでいくのも楽しいし、頭を空っぽにして好きなスキンをゲームオーバーまで気ままにプレイするのも楽しい。ブルース・リーの有名な言葉「考えるな、感じるんだ!(Don't Think. Feel!)」を借りるなら「考えても考えなくてもいい、感じるんだ!」といった感じでしょうか。

 最後に、このゲームの生み親である水口哲也氏は現在、新作『テトリス エフェクト』の制作を進めています。落ちものパズルの元祖『テトリス』をベースに、これまでの水口氏の作品の流れをくむコンセプトが盛り込まれ、さらにその作品が『テトリス エフェクト(※)』と名付けられている……。間違いなく、そこには“感じるべき新たな体験”があるだろうと信じています。

【※】プレイヤーがテトリスのプレイ後に、映像や思考、さらには夢の中にもテトリミノ(テトリスのブロックの名称)のイメージが表れる実際の現象を、研究者が表した言葉でもある。

(C)ENHANCE 2018 (C) Resonair/BANDAI/BNEI

データ

▼『電撃PlayStaton Vol.666』
■プロデュース:アスキー・メディアワークス
■発行:株式会社KADOKAWA
■発売日:2018年7月27日
■定価:879円+税
 
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