【男性目線の『アイナナ』レポ】モンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力第3回
みなさま、こんにちは! 自称“モンジェネおじさん”ことフリーライターの原 常樹です。
すっかり『アイドリッシュセブン』にハマってしまったひとりの男性マネージャーが「アイナナはここが素晴らしい!」ととりとめもなく語っていく本連載。【男性のマネージャー】、また【男性に布教しようとしているマネージャー】を応援する──というのがとりあえずのコンセプトです。
前回の連載では、第2部のストーリーを振り返らせていただきましたが、駆け足と言いつつ、結局終わらず……。今回はその続き(終盤)の感想をつらつらと語っていきたいと思います。どうかお付き合いよろしくお願いいたします!
■【男性目線の『アイナナ』レポ】モンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力第2回はこちら
雨降って地固まるという感じで無事にリスタートすることができたIDOLiSH7。彼らが新たな歩みを始めたところで、物語の軸は「Re:valeとゼロにまつわるミステリー(MEZZO"のエピソードも添えて)」へと移っていきます。
Re:valeはブラック・オア・ホワイトの総合優勝者。名実ともにトップスターということでTRIGGERを超える強敵をイメージしていた人も多かったのではないかと思います(かくいう僕がそうでした)。ところがフタを開けてみれば出てきたのはユーモラスなふたり組のお兄さん。IDOLiSH7に対しても最初から友好的……というか、もはや頼もしい味方みたいな感覚。マネージャーの岡崎さんも非常に好印象です。
彼らはパーフェクトなアイドルとして描かれていくのかと思いきや、彼らも第2部の中盤で“ジェットコースターで落ちる側”に回ります。それどころか、以前の男子マネージャー座談会で太白さんが言っていたとおり、もっとも急角度で落とされたのはまさしく彼らでした。
──そう、百さんが突然歌を歌えなくなってしまったんです。そのあとの「オレの幸せは借り物なんだもん」、「オレは本物のRe:valeじゃないんだ」という百さんの告白にも「!?」となりました。トップアイドルがどうしてそんなことに……と普通は思いますよね。
実はインディーズで活躍していた頃のRe:valeは千さんが別の相方と組んでいたユニットで、百さんはそのファンだった。けれども、不可解な照明の落下事故によって相方が顔に大怪我を負ってしまい、そのまま「ユキらし、Re:valeらしく、歌える場所を探して欲しい」という書置きを残して消えてしまいまいした。千さん自身も引退を考える状況になってしまいますが、そんなときに相方が見つかるまでの間、5年間だけでも組んでほしいと千さんに頭を下げたのが百さんだったと。
百さんは未だに自分がかつての相方の“代わり”でしかないと考えていたわけです。もっとも千さんは百さんをしっかりと認めているようで、期限切れだとはとても考えていなさそうですが。
千さんの気持ちを確認した百さんは明るさを取り戻します。しかし、「千さんのことを信用しているつもりだ」と言いつつもやはり歌うことはできません。
“過去”がある以上、未だに自分とかつての相方を比べてしまうのは無理もないことですし、千さんも自分のせいかと気に病んでしまいます。もっとも千さんは昔の相方に対して「何の恩返しもできずに僕だけ成功できた」という後ろめたさを抱えていたのも大きいのでしょう。
Re:valeの問題は根が深く、このまま第二部のラストまで続くこととなります。
さて、物語にはもうひとつ大きな変化が起きます。巷に「Get Back My Song!<僕の歌を録り返せ>」という不吉な落書きが描かれるようになったんです。そして、Re:valeがこれまで不可侵の領域だった伝説のアイドル・ゼロの曲をカバーしようとしたということがその根底にあるのではないかと言われます。さらに事態は悪化し、IDOLiSH7の事務所にも「Haruki The Betrayer!<裏切り者のハルキ>」という落書きが……。
ゼロの曲を作っていた作曲家・桜春樹がIDOLiSH7に楽曲を提供していたということが問題視されてしまいます。ここで矢面に立ったのは、桜春樹と旧知の仲だというナギくん。春樹から好意で曲を譲り受けたというナギくんは彼の名誉を守るために広報マネージャーとして記者会見を開きます。その姿はまさに堂々たるものでした
上品さとユーモアを武器にマスコミすらも好意的な方向へと誘導できるスピーチ能力。只者ではない風格を漂わせていて、きっとこれは未だ明かされていないナギくんの出自にも関係しているのではないかと……。
しかし、会場が好意的な雰囲気になったところで、突如ゼロの衣装を着た人物が現れ、赤いペンキ缶を投げつけてきました。突然歌い出した彼の圧倒的なパフォーマンスに道行く人々はゼロの復活だと騒ぎ出します(ゼロの熱狂的ファンで実際に彼を見たことのある三月くんは「作られたパフォーマンスだ」と直感で感じましたが)。って、もうこれ、完全にサスペンスじゃないですか!?
ゼロの復活に沸き立つ世間は、ゼロの曲をカバーするRe:valeや、桜春樹の曲を歌うIDOLiSH7に対して批判の手を向けますが、そこに迷いなく真っ向から向き合ったのがTRIGGERでした。いやー、第2部のTRIGGERは本当にかっこいい!
さらに各アイドル事務所も、業界の大物たちにRe:valeによるゼロの楽曲カバーに対して好意的なコメントやニューストークを積極的に流させるという戦略に出ることで、有能さを見せつけます。もちろん、我らがマネージャー、もう紡ちゃんと言っちゃいますが、彼女も大活躍。第2部では、要所要所で敏腕っぷり見せつけているところからも頼られる存在になったことがうかがえます(第8話でアイドルたちを元気づけたのも最高の行動でしたし、センターの交代劇も良い判断でした)。アイドルたちを守ろうとするスタッフたちの奔走が輝いて見えるのも『アイドリッシュセブン』の魅力なんですよね。
そして、この一連の事件には、天くんの養父である九条鷹匡がキーパーソンとして関わっていることが明らかに。さらに、彼が引き取っていた環くんの実の妹・理(あや)ちゃんも物語に絡んできます。
九条鷹匡の夢を叶えさせてあげたいけれども、自分は九条天の保険だと語る理ちゃん。偶然出会った壮五くんは環くんの妹なのではないかと気づきますが、そのことを環くんに告げられないままに日々が過ぎてしまいます。そしてある日、自分と妹をつなぐキーホルダーが壮五の鞄から出てきたことで、壮五が理ちゃんに会っていたことを知った環は、自分のことを信じてもらえていなかったと感じ激昂。MEZZO”は解散の危機に陥ってしまいます。
お互いのことを考えて全力で動いていたのにすれ違ってしまうというのは、一織くんと陸くんのときと同じ構造ですね。そして、ここで助け船を出したのもやっぱりTRIGGERのリュウ兄貴……。「少しずつ、相手を理解して、やがて最高のパートナーになる。俺たちだってそうだった」という龍くんが環くんをなだめ、壮五くんはいつもながらに視野の広い大和さんに「おまえに頼られたら俺は嬉しい」と諭されます。
▲どうにかMEZZO”解散を防ごうと、ドアを破って環くんの部屋に突入する壮五くん。さすが日本一スクリュードライバーが似合うアイドル。「あらゆる手段」という言葉もまったくフェイクに聞こえません。 |
壮五くんの案じた一計の甲斐もあって、涙の兄妹再会が実現。しかし、それでも理ちゃんは九条鷹匡のもとで彼に恩返しをすることを選びます。また九条鷹匡自身も一行の前に姿を現し、自分がゼロのマネージャー兼ライブの舞台演出家・Haw9であったということを明かしました。
これまで暗躍していた九条鷹匡でしたが、彼は言うなれば、夢の半ばでいなくなってしまったゼロに妄執を抱いてしまった過去の亡霊。ゼロを超える伝説を作ろうとかつては壮五くんの叔父である逢坂聡や、Re:valeの千さんにもその願望を投影して失敗してきました……。そして、今は天くんと理ちゃんを引き取って育ててゼロを超える存在にしようとしている。そのためには手段を選びません。
なんか話が一気にダークな方向に行きましたね……。
七瀬家、四葉家、逢坂聡、そしてRe:valeと多くの人間をバラバラにしてきた九条という共通の敵を確認したことで、IDOLiSH7のメンバーはより結束を見せます。もちろん、MEZZO"の解散もなくなりました。
一方で天くんは九条の夢を叶えるという理想を持ち続け、楽くんと龍くんは彼を守る引き金となることを決めます。アイドルたちの胸中も複雑でしょう……。
いよいよ始まったゼロアリーナのこけら落としでは、初日にTRIGGER、二日目にIDOLiSH7が見事にステージを成功させます。しかし、Re:valeは百さんが歌えないまま最終日を迎えることに……。
なぜまったく百さんの声が出ないのか。楽屋で怪しい動きをする大和さんを見たときは「まさか!?」と思いましたが、それが千さんを取り乱させるための“お芝居”だったというのはお見事。実際、かつて相方を失ったときのように取り乱す千さんを目の当たりにしたことで、百さんは歌に対する自信を取り戻します。
そして、もうひとつサプライズが……。
千さんのかつての相方がふたりの前にやってきます。なんとなく名前に入っている数字から想像はできていたという人も多かったと思いますが(僕は早めに気づけたので予想が当たって嬉しかったです!)、その正体は大神万理さん。百さんは憧れの対象であった“バン”さんにしっかりと認められ、千さんも「Re:valeはもう俺と君のものじゃない。君と百くんのものだよ」と言われたことでついに歌声を取り戻します。
IDOLiSH7にとっての「RESTART POiNTER」があったように、「SILVER SKY」は彼らが自分たちを“本物のRe:vale”と認識して歌った再出発の楽曲になったわけです。
そして、Re:valeのライブにサプライズユニットという形で華を添えるIDOLiSH7とTRIGGER。これを粋と言わずして何を粋と呼べばいいでしょう。
……まぁ、粋じゃない乱入者も一名いましたが。ゼロを模した怪人物とメンバーたちは大捕り物を繰り広げることになりますが、結果的に逃げられてしまいます。
そして、打ち上げでは、百くんのグラスの中に「……僕の歌を、歌ってくれてありがとう……」といったゼロからのメッセージが書かれたカードも。いや、グラスにこのカードを入れられる人って限られている気もしますが、はたして……。
──とまぁ、こんな感じで、だいぶボリューミーにはなってしまいましたが、モンジェネおじさんの視点からざっくりと第2部を振り返らせてもらいました。
陸くんの“代わり”を一織くんが買って出て、百さんは自分が万理さんの“代わり”でしかないと悩み、九条鷹匡がゼロの“代わり”を追い求める……第2部はそんな「自分は誰かの代わりなのか?」と突きつけられるようなストーリーでした。
だからこそ、TRIGGERのメンバーたちが言っていた「自分を他人と比較してもしょうがない」という言葉は、ひとつのアンサーであり、そこに光を見出して自分たちの価値を確認することで再出発するアイドルたちの姿には希望を感じさせられました。
そして、第2部には大和さんやナギくんの出自に関するヒントが開かされたりと伏線がたっぷり(さらにゼロに関する謎も解決してはいません)あったのも忘れてはなりません。第3部ではこれらの伏線が見事に働いていくわけですが……感想を書けるのが今から楽しみですよ! ホントに。
それでは、今回はここまで。
2回にわたっての振り返りにお付き合いいただき、ありがとうございました! また次回の連載でお会いしましょう!
■【男性目線の『アイナナ』レポ】帰ってきたモンジェネおじさんが語る『アイドリッシュセブン』の魅力第1回はこちら
(C)アイドリッシュセブン
(C)BNOI/アイナナ製作委員会
データ