2018年11月10日(土)

“切ない、泣ける”アニソン/ゲーム曲を特集。ハイレゾ音源で涙腺崩壊【おすすめ曲カタログ】

文:電撃オンライン

 アニソンやゲーム曲を中心に、ライター&編集者が思い出の曲を語る“おすすめ曲カタログ”。ハイレゾ音源配信サイト“e-onkyo music”協力のもと、高音質で聴ける名曲・名盤の数々を紹介します。

“おすすめ曲カタログ”

 11月号では、哀愁漂うこの季節にぴったりな“切ない曲、泣ける曲”を特集しちゃいます。ぜひ、涙なくして語れないアニメ・ゲームの名シーンに想いを馳せながらお聴きください。

※購入したハイレゾ音源を再生する際は、ハイレゾ対応機器が必要となります。ハイレゾ音源の再生環境についてはこちら。

『Masquerade』 / Hitomi

“おすすめ曲カタログ”
アーティストHitomi
作詞黒石ひとみ
作曲黒石ひとみ
編曲黒石ひとみ
関連作品『コードギアス 反逆のルルーシュ』

どこまでも軽やかに透き通るウィスパーボイス

【文:ゲゲン】

 今回のテーマで選んだ曲は、TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』の挿入歌『Masquerade』です。

 美しいメロディー、幾重にも重ねられた音、“Angel Feather Voice”と呼ばれるHitomiさん(黒石ひとみさんの別名義)の神秘的で優しいウィスパーボイスにより紡がれる曲は、そこに含まれるすべてを優しく包み込んで、尊いものに昇華しまう何かがあるように感じます。

 『コードギアス』は、“ギアス”という超常の力を得た主人公・ルルーシュと仲間たちによる非対称戦争からはじまり、そこから生じるすれ違いや悲劇の連鎖、それらの根源にさえ立ち向かう人々を描いた作品です。

 ただし、ルルーシュが歩むことになる道は決して万人から祝福されるものではなく、この曲もルルーシュの選択から悲劇に巻き込まれた仲のいい同級生に対して、直接向き合い、決別することになるシーンで流れます。

 友情とも恋とも、自分でさえ分からなかった傷つきやすい感情を抱えたまま、世界を壊して創る者“ゼロ”として、仮面で姿も気持ちも隠して突き進むことになるルルーシュ。そんな彼の心情そのものとさえ受け取れる悲壮な、しかしそれだけでは言い表せない、作品に寄り添った名曲です。

 また、今回は『Masquerade』をチョイスしましたが、本作には他にも甲乙つけがたい挿入歌が多数ありますので、ぜひ作品と合わせて視聴してみてください。

『ヘミソフィア』 / 坂本真綾

“おすすめ曲カタログ”
アーティスト坂本真綾
作曲菅野よう子
作詞岩里祐穂
編曲菅野よう子
関連作品『ラーゼフォン』

ラーゼフォンの物語を表現した神秘の旋律!

【文:AO】

 切ない系の名曲は、なかなか難しいですよね。やっぱりポジティブで気分が盛り上がる曲の方がリピートされやすいですし。……という自分の浅い考えを正してくれたのが、この『ヘミソフィア』でございます! 

 アニソン好きなら知らぬ者はいないほどの名曲であり、ロボットアニメ『ラーゼフォン』の主題歌。名曲すぎて、間違いなく1,000回はリピートしました!

 曲調はアップテンポで、非常に変則的。メッセージ性が高く、主人公・綾人の物語にシンクロしたかのような歌詞が心に響きます。「人生の半分も僕はまだ生きてない~」というフレーズとか、背筋が震えましたよ。

 まるで、本当に綾人が訴えかけているように、作品に感情移入すればするほど心が切なくなりますね……。坂本真綾さんの透明感のある歌声が本当にマッチしていると思いました。

 ていうか、この曲を聞くと、どうしてもアニメ第19話“ブルーフレンド”を思い出しちゃいますね。朝比奈は、本当にイイ子だった……(泣)。初めて聴いた時、とても衝撃を受けた曲なので、アニメを知らない人もぜひ聴いてみてほしいですね。

『Sincerely』 / TRUE

“おすすめ曲カタログ”
アーティストTRUE
作詞唐沢美帆
作曲堀江晶太
編曲堀江晶太
編曲Evan Call
関連作品『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』

人の心に届くような手紙を書く少女を歌った曲

【文:亀井ライダー】

 今回ご紹介するのは、アニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のオープニングに使用されている『Sincerely』です。

 このアニメは、主人公のヴァイオレット・エヴァーガーデンが戦後、上官から告げられた「愛してる」の意味を知るために、手紙を代筆する仕事“自動手記人形”となり成長していくというもの。戦争の道具として生きてきた彼女が代筆を通じて人とふれあい、心の機微を感じ取れるようになっていく様子が描かれます。

 そしてオープニングテーマ曲の『Sincerely』は、初めての感情に恐れながらも一歩ずつ前に進んでいく――そんなヴァイオレットのことを歌った切なくも美しい曲です。報告書のようにしか描けなかった手紙が、読み手の心に届くように変わっていく様子が見事に表現されいます。

 中でも「わたしなんで泣いているんだろう」から入るサビの部分は、ハイレゾ音源でより訴えかけられるように聴こえます。人としての心を取り戻しているのに自分ではわからない、そんなヴァイオレットの戸惑いを表しているようで、思わず涙がこぼれます。

 ちなみに“Sincerely”という言葉は手紙の結びに使われ、その点でも『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のイメージにぴったりの曲です。

『愛すること』 / angela

“おすすめ曲カタログ”
アーティストangela
作詞atsuko
作曲atsuko、KATSU<angela>
編曲KATSU<angela>
関連作品『蒼穹のファフナー EXODUS』

angelaから愛するカノンへ贈られた『ファフナー』シリーズ屈指のバラード曲

【文:げっしー】

 angelaが歌う『愛すること』は、TVアニメ『蒼穹のファフナー EXODUS』第17話“永訣の火”のエンディングで使用された楽曲です。

 第2期の17話というと……カノン・メンフィス(劇場版『蒼穹のファフナー HEAVEN AND EARTH』より羽佐間カノン)が最期を迎えたエピソードです。筆者自身、『ファフナー』シリーズの中でもカノンは1、2を争うくらい好きなキャラクターだったので、見た後はしばらく立ち直ることができませんでした。

 カノンの中にある“戸惑い”を感じさせるようなイントロ、歌詞から始まる本楽曲。その後は、生きる意味や居場所を与えてくれた真壁一騎と竜宮島の未来を守るため、死が近づく中で戦ってきたカノンの心情が綴られています。

 大サビの裏で有名なクラシック音楽『パッヘルベルのカノン』が奏でられる中、最後を飾る歌詞「1つ ありがとう 2つ さよなら これが私のすべて」。カノンが最後に残した言葉“ありがとう”、“さようなら”と同じということもあり、何度聴いてもここで涙腺が崩壊してしまいます……。

 Angelaから愛するカノンへ贈られた“最後の曲”。アニメを見た人はもちろん、初めて聴く人も切ない歌詞にウルッときてしまうのではないでしょうか。ちなみに、アニメをまだ見たことがないという人は、2019年より公開される『蒼穹のファフナー THE BEYOND』に向けて予習しておくことをオススメします。

 歌詞とメロディの隅々まで込められたカノンへの愛や思いを感じ取るためにも、高音質が特徴のハイレゾ音源でぜひ聴いてください。

『カミイロアワセ』 / binaria

“おすすめ曲カタログ”
アーティストbinaria
作詞Annabel
作曲yanaginagi
編曲binaria
関連作品『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 絶望編』

希望か絶望か……、聴き手の心を写す二面性

【文:宮居春馬】

 私にとって『ダンガンロンパ』は、1作目の発売当初から追っかけてきた思い出深いシリーズです。『ダンガンロンパ 希望の学園と絶望の高校生』、『スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園』までは、つながりのある物語として描かれてきました。その締めくくりとなる『ダンガンロンパ3』が、ゲームではなくアニメと知った時の衝撃は忘れられません。

 『ダンガンロンパ3』は、“未来編”と“絶望編”の2タイトルを、同時期に放映するという特殊な形式で世に出てきました。このうち、未来編はその名の通り、ゲームよりも未来の話。ここまでの『ダンガンロンパ』シリーズを締めくくる内容で、“絶望編”は『ダンガンロンパ』シリーズの始まりを描いたものになっています。

 どちらも夢中になって視聴していましたが、“絶望編”では大きなショックを受けることとなりました……。もちろん、ゲーム2作をやっている以上、この“絶望編”の物語がどこへ向かっていくのか、頭で理解したうえで見ているのですが、どこか淡い期待も抱きながら見ていました。

 しかし、そんな期待は無残に打ち砕かれ、覆ることのない絶望を突き付けられることとなったわけです。非常に辛い内容ではありましたが、『ダンガンロンパ2』プレイ後、宙ぶらりんになっていた気持ちに整理がつき、それによって、余計に『ダンガンロンパ2』は思い入れの深い作品になりました。

 そんな『ダンガンロンパ3 -The End of 希望ヶ峰学園- 絶望編』のOPとして使われたのが『カミイロアワセ』という曲です。先入観を持たずに聴けば、透明感のあるボーカルや、美しい楽器音や電子音で彩られており、聴いていると、きれいなイメージばかりが湧いてきます。

 しかし、この物語に絶望的な結末が待っていることを知ってしまうと、機械的で不安を掻き立てる音のようにも聴こえてくるから不思議なものです。歌詞に「絶望? 希望? 紙一重」とあるように、美しいものと恐ろしいものも紙一重なのではないでしょうか。

 この曲がどのように響くのか、それは聴き手の心持ち次第です。美しいサウンドに耳を傾けるだけでなく、ぜひとも『ダンガンロンパ』という作品に触れながら、この曲を堪能してみてください。

『3rdMob:RE:I AM MARIE』 / 澤野弘之

“おすすめ曲カタログ”
アーティスト澤野弘之
作曲澤野弘之
編曲澤野弘之
関連作品『機動戦士ガンダムUC』

娘を“2度”亡くした男の姿が忘れられない

【文:てけおん】

 『機動戦士ガンダム episode 7 虹の彼方に』のBGMとして使用された楽曲『3rdMob:RE:I AM MARIE』は、使われたシーンを思い出すたびに涙腺がゆるみそうになる、そんな曲です。

 この曲が流れるのは、クシャトリヤを駆る女性パイロット・マリーダが命を落とす間際、残された人たちに語りかけるシーンのあたりです。彼女と深い信頼関係を持つジンネマンとのやり取りがたまらないんですよ。

 もともと彼女に“マリーダ”という名前を与えたのはジンネマンで、その名前は亡くした娘の名前“マリー”にちなんだもの。さらに劇中でジンネマンとマリーダは、上官と部下から、父と娘へと関係性が変わっていきます。そうした劇中での積み重ねがあるからこそ、見ている側に与える悲しみもひときわ強いものになっています。

 使われたシーンにあわせて、曲調も序盤は悲しくさびしげですが、中盤から力強さと優しさを感じさせるものになっています。

 今回は『3rdMob RE I AM MARIE』を取り上げましたが、アルバム『機動戦士ガンダムUC オリジナルサウンドトラック4』自体もめちゃめちゃオススメです。特に『5thMob.:UXO-→RX 0』の次に『6thMob.:UNICORN GUNDAM』が入るあたり。

 劇中で使用される順番通りなんですけど、これがまた心を震わせるすばらしさ。もっかい使用されたシーンを見返したくなる、そんなアルバムですよ。

『アクアテラリウム』 / やなぎなぎ

“おすすめ曲カタログ”
アーティストやなぎなぎ
作詞やなぎなぎ
作曲石川智晶
編曲MATERIAL WORLD
関連作品『凪のあすから』

ゆらゆらと1人きりで海を漂っている感覚になる一曲

【文:たすん】

 テーマは“切ない曲”ということで真っ先に思い浮かんだのが、『凪のあすから』のエンディングテーマ『アクアテラリウム』でした。TVアニメは結構話の重いシーンが多々ありますが、キレイな作画と海を題材にした雰囲気のいいアニメでもあります。

 特にアニメでは、すごくタイミングよくエンディングが流れるので、そのまま聴き入ってしまうこともしばしば。また、エンディングアニメーションではヒロインの向井戸まなかが海の中を漂っている姿が描かれていいます。これがなんともストーリーと歌の雰囲気があいまって、切なくなりつつも心を穏やかにしてくれる素敵なエンディングなんですよね。

 ちなみに、アニメの物語は陸と海を舞台にさまざまな人たちの葛藤が繰り広げられる話なのですが、まさに陸と海を体言しているアクアテラリウムそのもの。物語にぴったりなネーミングとなっているところもにくい!

 『凪のあすから』が放送終了してから約4年。『アクアテラリウム』を改めて聴いていたら、ものすごくアニメが見たくなったので、ぜひ皆さんも本楽曲とアニメをあわせて聴いて、見てください!

『日々の夢想い』 / livetune feat. 初音ミク

“おすすめ曲カタログ”
アーティストlivetune feat. 初音ミク
作詞Elina
作曲kajyuki

初音ミクが持つ新たな一面を教えてくれた一曲

【文:ユート】

 今から10年前の2008年。『初音ミクの消失』や『ブラック★ロックシューター』、『ワールドイズマイン』などなど多くの名曲が登場し、ボカロ界隈の最盛期とも言える時代がありました。当時は、自分もいろいろなボカロ曲を聞き漁ったものです。

 そんな時に発売されたのが、初音ミクの初のメジャーアルバムとなる『Re:package』。“世界で初めての感動…遂に誕生した奇跡の命がここにある。”をキャッチコピーに、同人版から新たに3曲を追加した全15曲の楽曲が、初音ミクの世界へといざなってくれます。

 今回自分が取り上げた『日々の夢想い』もその中の1曲。聴いた時の率直な感想は「ミクってこんな歌も歌えるんや!」でした(笑)。というのも、自分は割とにぎやかだったり、ネタっぽかったりする曲ばかり聴いていたもので、片想いを連想させるような切ない歌詞と落ち着いたメロディによって構成された『日々の夢想い』は、かなり衝撃だったんです。

 ハイレゾ音源は音質がクリアで、ミクの歌声をはじめ、Bメロやサビのメロディもかなり鮮明に聴こえてきます。自分が衝撃を受けた歌詞やメロディを、よりよい音質で聴けたのは最高のひと言! 生演奏クラスの深みです、本当に。ボカロファン、そして当時CDで『Re:package』の楽曲を楽しんでいた方も、ぜひ1度ご試聴くださいませ!

『メヌエット』 / 山崎まさよし

“おすすめ曲カタログ”
アーティスト山崎まさよし
作詞山崎将義
作曲山崎将義
編曲山崎将義
関連作品『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-』

底知れぬ自然の中で愛を紡ぎ続ける人々の叙事詩

【文:斎藤ゆうすけ】

 今年も秋をすっ飛ばして冬がやってきましたね。激動の2018年も残すところあと2ヵ月。なにかとアンニュイな気分になるこの時期にあえて聴いていだたきたい楽曲が、山崎まさよしさんの名曲『メヌエット』です。

 この曲は、2005年にリリースされたPlayStation2用ソフト『ロマンシング サガ -ミンストレルソング-(ミンサガ)』のテーマソングとしてリリースされた楽曲で、作詞・作曲・編曲を山崎まさよしさんが山崎将義名義で担当されています。

 『ミンサガ』は、スーパーファミコンの名作ソフト『ロマンシング サ・ガ(ロマサガ)』のリメイク作品です。

 1992年発売の『ロマサガ』は、プレイヤーの行動次第でストーリーが変化するフリーシナリオシステムの導入や、数奇な運命によって導かれ合う8人の魅力的な主人公たちの存在などにより、大きな話題を集めた作品だったりします。

 かく言う自分も、中学生のころに『ロマサガ』と出会い、その奥深いシステムやストーリーに感動し、すべての主人公でクリアするぐらい熱中しておりました。

 そんな『ロマサガ』が最新のグラフィックで生まれ変わり、マップ上でアクションを起こせるマップアビリティや当時に語り切れなかった新シナリオなどを追加し、大幅なパワーアップを遂げてリリースされたのが『ミンサガ』でした。

 当然のように『ミンサガ』を購入した僕は、ゲームを起動してすぐに『メヌエット』と出会うことになります。作品を象徴するキャラクターであり、どこか山崎まさよしさん本人を思わせる吟遊詩人がギターを奏でつつ世界を旅するデモムービー……。そこで使われていた曲が『メヌエット』でした。

 山崎さんの優しくもどこか切なげな歌声で紡がれる無限に広がる空と果てしなく続く大地の光景……。すべてを生み出した底知れぬ自然の中にあって、人間は誰かに愛を届けることだけを望んでいる……。

 そんなメッセージと『ミンサガ』の世界観を重ね合わせつつ、中学生から社会人になった僕自身も時の流れの儚さを感慨深く受け止めておりました。

 冒頭で「なにかとアンニュイな気分になるこの時期」と書きましたが、この曲はゲームのことを知らなくても、山崎さんの歌声と壮大な歌詞がアナタをより切ない気分させてくれる名曲中の名曲です。長い冬の夜に、この曲とともにあえてアンニュイな気分に溺れてみてはいかがでしょうか?

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